JP3836376B2 - ズーム位置設定装置付きカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影レンズとしてズームレンズを備えるカメラに係り、特に、電源オフ時にズームレンズを収納する機構を有する場合における電源オン時のズーム位置の設定を改善したズーム位置設定装置付きカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、撮影レンズとしてズームレンズを備えるビデオカメラ等のカメラにおいて、電源のオフ時には、ズームレンズのズーム位置を維持したまま停止するのが一般的であった。しかしながら、このようにズーム位置を維持したまま電源オフ状態となると、長焦点側、つまりテレ(TELE)側、にズーミングした状態で電源をオフとした場合には、次の電源投入時に比較的近接位置の被写体を撮影する場合に、比較的近接位置の撮影に適する短焦点側、つまりワイド(WIDE)側へズーミングするのに時間がかかり、撮影タイミングを逸することが多かった。すなわち、テレ側では、最近接撮影距離が遠く、撮像視野が狭く、被写界深度が浅い傾向があるため、ある程度より遠い距離で限られた領域内の限られた距離範囲についてしかピントが合わない。このようなテレ側に比して、ワイド側では、最近接撮影距離が近く、撮像視野が広く、被写界深度が深い。このため、ワイド側では、比較的近い距離から遠い距離まで、広い領域内の広い距離範囲についてピントが合う。したがって、突発的な状況に際しても、多様な被写体に対して、撮影タイミングを逸することなく容易に適切な撮影を行なうことができる。
【0003】
このため、電源投入時にズームレンズがテレ側のズーム位置にあると、そのままのズーム位置で撮影を行うことよりも、一旦ワイド側にズーミングしてから撮影することが多くなり、急を要する場合にはその間に撮影タイミングを逸してしまうことも多い。
これに対して、電源投入時にズームレンズがワイド側のズーム位置にあると、そのままのズーム位置で撮影を行うこともでき、時間的な余裕があって、しかもテレ側にズーミングしてから撮影することが好ましい場合にのみ、テレ側にズーミングしてから撮影すれば良く、急を要する場合にはあえてズーミングせずにそのままのズーム位置で撮影を行うこともできるので、撮影タイミングを逸することなく、少なくとも適切なタイミングで撮影を行うことができる。
このような観点に基づく従来の提案の一例が特開平5−328196号公報に示されている。すなわち、特開平5−328196号公報には、電源をオフとする際には、あらかじめズームレンズをワイド側のズーム位置に設定してから電源を遮断し、次の電源投入時には、電源投入直後から素早く撮影を行うことを可能とし、電源投入時に撮影チャンスを逃すことがないビデオカメラが示されている。
【0004】
この特開平5−328196号公報のビデオカメラでは、電源スイッチがオフとされると、映像信号および音声信号にミュートがかけられ、パワーオフフラグがチェックされる。そして、ズーム位置が、所定のズーム位置か、またはそれよりワイド側になるまでは、前記パワーオフフラグはセットされず、前記パワーオフフラグがセットされて初めてプログラムがリターンして電源がオフとされる。電源スイッチがオンの状態でスタンバイスイッチがオフとされると、先に述べたような処理をすることなくプログラムはリターンする。
すなわち、電源スイッチがオフとされたときは、映像信号および音声信号にニューティングをかけてズームレンズがワイド側まで移動される。次の撮影時に電源がオンとされたときはズームレンズがワイド側にあるため、そこから例えばオートフォーカスによるフォーカシングを開始すると、当初より広範囲の距離の被写体に合焦しており、且つ近接位置の被写体にも迅速に合焦させることが可能となる。なお、電源オフ直前のズーム位置を保持したいときは、スタンバイスイッチをオフとしておくことにより、電源をオフとしたときのズーム位置にズームレンズが保持される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、特開平5−328196号公報のカメラでは、電源のオフ操作時に、ズーム位置がワイド側にないときはワイド側の所定位置に設定されてから電源が遮断され、次の電源投入時には、ズームレンズは、ワイド側のズーム位置に設定されており、常にワイド側からズーミングを開始することになる。また、この機能を用いない電源オフ操作も、特開平5−328196号公報のカメラでは、可能であるが、その場合には、電源のオフ操作時に、その時点のズーム位置のまま電源が遮断され、次の電源投入時には、ズームレンズは、電源遮断時のズーム位置が保持されていて、その位置からズーミングすることになる。
【0006】
しかしながら、カメラにおける撮影のシチュエーションは、多種多様であり、例えば、報道またはスナップ撮影等の目的で緊急時にも広範囲での撮影が要求される際には、特開平5−328196号公報のように、電源投入時にズームレンズがワイド側の所定のズーム位置となったほうがシャッターチャンスを逃さずに撮影することができることが多いが、距離または撮影画角等に共通性のある被写体に対する一連の撮影が長期間にわたって行なわれる際には、電源投入時に、ズームレンズが前回の電源遮断時のズーム位置となった方が適切な撮影を速やかに行なうことができるし、電源投入時において、既に、遠景またはポートレート等の撮影のようにテレ側で撮影する可能性が高いことがわかっている場合には、電源投入時に、ズームレンズがテレ側の所定のズーム位置となった方が適切な撮影を速やかに行なうことができるし、電源投入時において、既に、室内または広視野の風景等の撮影のようにワイド側で撮影する可能性が高いことがわかっている場合には、電源投入時に、ズームレンズがワイド側の所定のズーム位置となった方が適切な撮影を速やかに行なうことができると考えられる。
【0007】
従って、カメラの電源投入時におけるズームレンズの初期位置を一義的に固定するのではなく、ズームレンズのズーム初期位置を所望に応じて選択することができることが望ましい。なお、上述した特開平5−328196号公報に開示されたビデオカメラでは、電源投入時にズームレンズをワイド側の所定のズーム位置としたくないときには、電源オン状態でスタンバイスイッチをオフとしておくことにより、電源を遮断したときのズーム位置にズームレンズを保持させることができる。しかしながら、特開平5−328196号公報の技術では、これら2種の動作モードの選択は、予め電源オン状態において行なわねばならず、電源投入時にズームレンズの初期位置を選択することはできない。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、電源投入後速やかに適切なズーム位置における撮影を可能とするズーム位置設定装置付きカメラを提供することを目的としている。
すなわち、本発明の請求項1の目的は、特に、簡単な操作による電源投入方法の相違によって、ズームレンズのズーム初期位置を電源投入時に選択し得るズーム位置設定装置付きカメラを提供することにある。
本発明の請求項2の目的は、特に、電源スイッチの操作時間をパラメータとして電源投入方法を弁別することによって、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択し得るズーム位置設定装置付きカメラを提供することにある。
【0009】
本発明の請求項3の目的は、特に、規定時間内における電源スイッチの操作回数をパラメータとして電源投入方法を弁別することによって、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択し得るズーム位置設定装置付きカメラを提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、簡単な操作による電源遮断方法の相違によって、電源遮断時におけるズーム位置を記憶し、電源投入時におけるズームレンズのズーム初期位置として、記憶された電源遮断時におけるズーム位置を選択することを可能とするズーム位置設定装置付きカメラを提供することにある。
本発明の請求項5の目的は、特に、電源スイッチの操作時間および規定時間内における電源スイッチの操作回数のうちの少なくともいずれか一方をパラメータとして電源遮断方法を弁別することによって、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択し得るズーム位置設定装置付きカメラを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明に係るズーム位置設定装置付きカメラは、上述した目的を達成するために、
電源オフ時にズームレンズを所定の収納位置に収納するズームレンズ操作機構と、
電源投入方法の相違を弁別する手段を有し、該電源投入方法の相違に基づいて、前記ズームレンズのテレ(TELE)位置およびワイド(WIDE)位置の少なくとも一方を含む複数のズーム位置から、電源投入時におけるズーム位置を選択的に設定するズーム位置設定装置と
を具備することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載した本発明に係るズーム位置設定装置付きカメラは、前記電源投入方法を弁別する手段が、電源スイッチの投入操作持続時間をパラメータとして前記電源投入方法の弁別を行なうことを特徴としている。
請求項3に記載した本発明に係るズーム位置設定装置付きカメラは、前記電源投入方法を弁別する手段が、規定時間内における電源スイッチの投入操作回数をパラメータとして前記電源投入方法の弁別を行なうことを特徴としている。
請求項4に記載した本発明に係るズーム位置設定装置付きカメラは、上述した目的を達成するために、
電源オフ時にズームレンズを所定の収納位置に収納するズームレンズ操作機構と、
電源遮断方法の相違を弁別する手段を有し、該電源遮断方法の相違に基づいて、選択的に該電源遮断直前におけるズーム位置を記憶するズーム位置記憶手段と、
前記電源投入方法の相違を弁別する手段により弁別した電源投入方法の相違に基づいて、予め設定されたズーム位置および前記ズーム位置記憶手段によって記憶されたズーム位置から、電源投入時におけるズーム位置を選択的に設定するズーム位置設定装置と
を具備することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載した本発明に係るズーム位置設定装置付きカメラは、前記電源遮断方法を弁別する手段が、電源スイッチの遮断操作持続時間および規定時間内における前記電源スイッチの遮断操作回数の少なくともいずれか一方をパラメータとして前記電源遮断方法の弁別を行なうことを特徴としている。
【0013】
【作用】
すなわち、本発明の請求項1によるズーム位置設定装置付きカメラは、ズームレンズ操作機構およびズーム位置設定装置を有し、前記ズームレンズ操作機構は、電源オフ時にズームレンズを所定の収納位置に収納し、前記ズーム位置設定装置は、電源投入方法の相違を弁別する手段を有し、該電源投入方法の相違に基づいて、前記ズームレンズのテレ(TELE)位置およびワイド(WIDE)位置の少なくとも一方を含む複数のズーム位置から、電源投入時におけるズーム位置を選択的に設定する。
このような構成により、特に、簡単な操作による電源投入方法の相違によって、ズームレンズのズーム初期位置を電源投入時に選択することが可能となる。
【0014】
本発明の請求項2によるズーム位置設定装置付きカメラは、前記電源投入方法を弁別する手段が、電源スイッチの投入操作持続時間をパラメータとして前記電源投入方法の弁別を行なう。
このような構成により、特に、電源スイッチの操作時間をパラメータとして電源投入方法を弁別することによって、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択することが可能となる。
本発明の請求項3によるズーム位置設定装置付きカメラは、前記電源投入方法を弁別する手段が、規定時間内における電源スイッチの投入操作回数をパラメータとして前記電源投入方法の弁別を行なう。
このような構成により、特に、規定時間内における電源スイッチの操作回数をパラメータとして電源投入方法を弁別することによって、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択することが可能となる。
【0015】
本発明の請求項4によるズーム位置設定装置付きカメラは、電源オフ時にズームレンズを所定の収納位置に収納するズームレンズ操作機構に加えて、電源遮断方法の相違を弁別する手段を有し、該電源遮断方法の相違に基づいて、選択的に該電源遮断直前におけるズーム位置を記憶するズーム位置記憶手段、並びに前記電源投入方法の相違を弁別する手段により弁別した電源投入方法の相違に基づいて、予め設定されたズーム位置および前記ズーム位置記憶手段によって記憶されたズーム位置から、電源投入時におけるズーム位置を選択的に設定するズーム位置設定装置とを具備する。
このような構成により、特に、簡単な操作による電源遮断方法の相違によって、電源遮断時におけるズーム位置を記憶し、電源投入時におけるズームレンズのズーム初期位置として、記憶された電源遮断時におけるズーム位置を選択することが可能となる。
【0016】
本発明の請求項5によるズーム位置設定装置付きカメラは、前記電源遮断方法を弁別する手段が、電源スイッチの遮断操作持続時間および規定時間内における前記電源スイッチの遮断操作回数の少なくともいずれか一方をパラメータとして前記電源遮断方法の弁別を行なう。
このような構成により、特に、電源スイッチの遮断操作持続時間および規定時間内における電源スイッチの遮断操作回数のうちの少なくともいずれか一方をパラメータとして電源遮断方法を弁別することによって、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づき、図面を参照して本発明のズーム位置設定装置付きカメラを詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係るズーム位置設定装置付きカメラの要部の構成を説明するためのものである。図1は、ズーム位置設定装置付きカメラの動作制御に係る電気系の概略構成を示すブロック図であり、図2は、ズームレンズのズーム鏡胴の動作位置関係を示す上面側から見た模式的平面図である。
図1に示すズーム位置設定装置付きカメラは、制御装置1、ズーム鏡胴ユニット2、メインスイッチ3、ズームテレスイッチ4およびズームワイドスイッチ5を具備している。
【0018】
制御装置1は、ズーム位置設定装置を構成し、当該カメラの全ての機能を制御するためのコントローラであって、マイクロコンピュータ等を用いて構成される。制御装置1には、制御に必要な情報を一時的に記憶するための一時記憶装置(RAM〜ランダムアクセスメモリ)11を備えている。ズーム鏡胴ユニット2は、ズームレンズ操作機構を構成し、撮影レンズであるズームレンズのズーミングを含むズーム鏡胴を作動させる。このズーム鏡胴ユニット2は、制御装置1からの信号により動作制御され、その動作に伴って制御装置1に位置情報等を返す。メインスイッチ3は、当該カメラの電源のオン/オフを切り替えるための電源スイッチである。メインスイッチ3の基本的な動作においては、電源がオフとなっている状態からこのメインスイッチ3をオンとするとカメラの電源が投入されてオンとなり、電源がオンとなっている状態から、メインスイッチ3をオフとするとカメラの電源が遮断されてオフとなる。
【0019】
ズームテレスイッチ4は、ズームレンズをテレ側にズーミングしたいときに操作するスイッチであり、このズームテレスイッチ4がオン操作されると制御装置1は、ズームレンズをテレ側にズーミングすべく、ズーム鏡胴ユニット2を制御する。ズームワイドスイッチ5は、ズームレンズをワイド側にズーミングしたいときに操作するスイッチであり、このズームワイドスイッチ5がオン操作されると制御装置1は、ズームレンズをワイド側にズーミングすべく、ズーム鏡胴ユニット2を制御する。この場合、メインスイッチ3は、基本的に操作毎にオン状態/オフ状態を交互に繰り返すいわゆるトグル動作型のスイッチであるが、オフ状態からオン状態とするときには、スイッチの操作持続時間が所定時間、この場合、2秒(S)以上であるか2秒未満であるかを、制御装置1において弁別する。また、ズームテレスイッチ4およびズームワイドスイッチ5は、いずれも操作中のみオンとなり、開放されるとオフとなるノーマルオフの自己復帰型のスイッチを用いる。
【0020】
図2は、カメラボディBに対するズーム鏡胴2aのテレ側端部位置、つまりテレ端位置、ワイド側端部位置、つまりワイド端位置およびズーム鏡胴2aの収納位置の位置関係を説明している。この場合、ズーム鏡胴2aは、テレ端位置では、カメラボディBから最も長く突出した状態にあり、ワイド端位置では、カメラボディBから若干突出した状態にある。なお、当該カメラの電源オフ状態では、ズーム鏡胴2aは、ほとんどカメラボディBから突出せず、ほぼカメラボディBに埋没した状態の収納位置にある。
次に、図3に示すフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態に係るズーム位置設定装置付きカメラの動作を説明する。
通常操作では、メインスイッチ3がオフ状態、つまり電源オフ中に、メインスイッチ3を短時間、例えば数10ミリ秒(mS)以上で且つ1秒未満、オン操作することになるが(ステップS11)、制御装置1はその操作時間を計測弁別して(ステップS12)、この場合は、メインスイッチが1秒未満であるので、NOに分岐してズーム鏡胴2aを収納位置から移動させて一般的な待機位置であるワイド端位置に設定して、撮影待機状態、すなわち電源オン状態に移行する(ステップS13)。
【0021】
仮に、電源オフ状態にあるときに、比較的遠距離の被写体のシャッタチャンスを見つけた場合には、ステップS11において、メインスイッチ3を所定時間、例えば1秒、以上操作し続けると、ステップS12において、制御装置1がそれを判定弁別して、YESに分岐しズーム鏡胴2aのズーム位置を収納位置からテレ端位置に移動させ、撮影待機状態(電源オン状態)に移行する(ステップS14)。(以上が、請求項1、請求項2に対応する。)
先に述べた従来技術においては、全ての操作において(メインスイッチ3の操作時間がたとえ所定時間以上であっても)、上述したステップS13の動作となる。このため、その状態からテレ状態で撮影したい場合は、メインスイッチ3から手を離し、ズーム鏡胴2aが、ワイド端位置になったことを確認した後に、ズーム切り替え用のズームテレスイッチ4を操作して、ズーム鏡胴2aをテレ端位置に移動させる必要があり、煩雑で且つ待ち時間が長くかかり、操作の効率が悪かった。
【0022】
これに対して本発明の第1の実施の形態によるズーム位置設定装置付きカメラにおいては、電源投入後、ワイド端位置で撮影を開始したい場合には、メインスイッチ3を従来通り短時間操作し、テレ端位置で撮影を開始したい場合には、メインスイッチ3を1秒以上押し続けることによって、操作性を損なうことなく電源投入時にズーム鏡胴2aの位置を選択することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態によるズーム位置設定装置付きカメラの動作を図4に示すフローチャートを参照して説明する。この第2の実施の形態においても、ズーム位置設定装置付きカメラ自体の装置構成としては図1および図2に示した通りの構成で良く、基本的に制御装置1における処理が第1の実施の形態と異なる。但し、この場合、メインスイッチ3は、電源投入時の操作時間を弁別する必要はなく、所定の規定時間内における再操作されたか否かの操作回数を弁別すればよいので、操作持続時間の計測が可能でないスイッチをも用いることができる。
【0023】
この場合、電源投入直後のズーム鏡胴2aのズーム初期位置を選択設定するための電源の投入方法として、メインスイッチ3の操作時間ではなく、メインスイッチ3の動作、つまり所定の規定時間当たりの操作回数を弁別するようにしてシステムを構成してもよい。例えば、図4に示すように、通常操作では、メインスイッチ3がオフ状態、つまり電源オフ中に、メインスイッチ3を1回オン操作することになるが(ステップS21)、その場合には、メインスイッチ3の最初のオン操作によって、制御装置1は、ズーム鏡胴2aを収納位置から一般的な待機位置であるワイド端位置に設定すべく移動を開始し(ステップS22)、その移動中の所定の規定時間内に2回目の操作がされないことを弁別してステップS23においてNOに分岐して、ズーム鏡胴2aをワイド端位置に設定して(ステップS24)、電源オン撮影待機状態に移行する(ステップS25)。
そして、電源オフ状態にあるときに、メインスイッチ3を操作し、ステップS23において、上述した所定の規定時間内に2回目のメインスイッチ3の操作を検知すると、制御装置1がそれを判定弁別して、YESに分岐してズーム鏡胴2aのズーム初期位置をワイド端位置からテレ端位置に変更し(ステップS26)、ズーム鏡胴2aを移動させて電源オン撮影待機状態に移行する(ステップS25)。
【0024】
すなわち電源オフ状態から、所定の規定時間内に、メインスイッチ3を1回操作すれば、ズーム初期位置をワイド端位置に設定し、2回操作すれば、ズーム初期位置をテレ端位置に設定する(請求項3に対応する)。
この方法でも、ユーザは通常動作時、または特に意識しない操作の場合には、ズーム位置が標準的なワイド端位置からスタートされ、意識してテレ端側からスタートさせたい場合には、メインスイッチ3を規定時間内に2回操作することで簡単に、ズーム位置をテレ端位置からスタートさせることができるので、大変便利である。
なお、この方法では、始めに電源オフ状態から、メインスイッチ3の操作により、ワイド端位置に初期設定するようにし、その設定途中に、再度メインスイッチ3が操作されたら、ワイド端位置で停止せずに、テレ端位置までズーム鏡胴2aが駆動される構成として説明したが、規定時間内におけるメインスイッチ3の動作回数を確認した後にズーム鏡胴2aの駆動を開始するようにするなど、種々の変形した構成も取ることができる。
【0025】
また、ズーム鏡胴2aの設定初期位置も、ワイド端位置およびテレ端位置に限らず、所望の位置に初期設定するようにすることも可能である。
上述した通り、本発明の第1および第2の実施の形態によるズーム位置設定装置付きカメラにおいては、制御装置1の制御プログラムの変更のみで実現することも可能な簡単な構成で、電源投入時に、ユーザが意図するズーム位置に、ズーム鏡胴2aを設定することができる。このため、従来、まず電源を投入し、鏡胴がワイド端位置に設定されるのを待ってから、ズームスイッチ4または5の操作によって、自分が設定したいズーム位置に移動させるといったような操作が必要であったのに対して、そのような無駄な操作を不要または少なくすることができ、シャッタチャンスを生かした効率的な撮影環境をユーザに提供することができる。
【0026】
さらに、同様に、このような方法を、電源遮断時に応用して、電源遮断時の、メインスイッチ3の操作時間または回数により、通常の電源オフ状態とするのか、直前のズーム位置を記憶するのかを選択可能とする構成としても良い。その場合には、電源オン状態において、メインスイッチ3を操作して、ズーム鏡胴2aを収納させて電源オフ状態とする前に、その時点でのズーム位置を、ズーム位置記憶手段としての制御装置1の一時記憶装置(RAM)11に記憶させた後、ズーム鏡胴2aを収納させ、電源オフ状態とする。
例えば、本発明の第3の実施の形態によるズーム位置設定装置付きカメラの動作を図5に示すように、通常操作では、メインスイッチ3がオン状態、つまり電源オン中、に、電源を遮断するためにメインスイッチ3を短時間、例えば数10ミリ秒(mS)以上で且つ1秒未満、操作することになるが(ステップS31)、その場合には、制御装置1はその操作時間が1秒未満であることを計測弁別してステップS32においてNOに分岐して、ズーム鏡胴2aを収納位置へ移動させて一般的な休止位置である収納位置に設定して、撮影休止状態、すなわち電源オフ状態に移行する(ステップS33)。
【0027】
また、電源オン状態にあるときに、ステップS31でメインスイッチ3を所定時間、例えば1秒、以上操作し続けると、ステップS32で制御装置1がそれを判定弁別して、YESに分岐してズーム鏡胴2aのズーム位置を制御装置1内の一時記憶装置11に記憶させ(ステップS34)、ズーム鏡胴2aを収納位置に移動させ、撮影休止状態(電源オフ状態)に移行する。このとき、ステップS32でメインスイッチ3の操作時間を弁別する代わりに、所定の規定時間内のメインスイッチ3の操作回数を弁別するようにしても良い(請求項4および請求項5に対応)。
この場合は、上述した第1および第2の実施の形態に示された方法において、電源投入時のズーム初期位置を、選択する際に、通常のワイド端位置とするのか、テレ端位置でなく、記憶された前回ズーム位置とするのかを選択することになる。
また、上述したメインスイッチ3の操作回数の弁別数を増加させたり、操作時間の弁別と組み合わせたりして、選択肢を増加させれば、さらに多種類のズーム初期位置を選択設定可能とすることもできる。
その他、本発明は、その要旨を変更しない範囲内において種々変形して実施することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電源投入後速やかに適切なズーム位置における撮影を可能とするズーム位置設定装置付きカメラを提供することができる。
【0029】
すなわち、本発明の請求項1のズーム位置設定装置付きカメラによれば、ズームレンズ操作機構およびズーム位置設定装置を有し、前記ズームレンズ操作機構は、電源オフ時にズームレンズを所定の収納位置に収納し、前記ズーム位置設定装置は、電源投入方法の相違を弁別する手段を有し、該電源投入方法の相違に基づいて、前記ズームレンズのテレ(TELE)位置およびワイド(WIDE)位置の少なくとも一方を含む複数のズーム位置から、電源投入時におけるズーム位置を選択的に設定するズーム位置設定装置を具備する構成としたので、特に、簡単な操作による電源投入方法の相違によって、ズームレンズのズーム初期位置を電源投入時に選択することが可能となる。
本発明の請求項2のズーム位置設定装置付きカメラによれば、前記電源投入方法を弁別する手段が、電源スイッチの投入操作持続時間をパラメータとして前記電源投入方法の弁別を行なうように構成したので、特に、電源スイッチの操作時間をパラメータとして電源投入方法を弁別することによって、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択することが可能となる。
【0030】
本発明の請求項3のズーム位置設定装置付きカメラによれば、前記電源投入方法を弁別する手段が、規定時間内における電源スイッチの投入操作回数をパラメータとして前記電源投入方法の弁別を行なうように構成したので、特に、規定時間内における電源スイッチの操作回数をパラメータとして電源投入方法を弁別することによって、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択することが可能となる。
本発明の請求項4のズーム位置設定装置付きカメラによれば、電源オフ時にズームレンズを所定の収納位置に収納するズームレンズ操作機構に加えて、電源遮断方法の相違を弁別する手段を有し、該電源遮断方法の相違に基づいて、選択的に該電源遮断直前におけるズーム位置を記憶するズーム位置記憶手段、並びに電源投入方法の相違を弁別する手段を有し、該電源投入方法の相違に基づいて、予め設定されたズーム位置および前記ズーム位置記憶手段によって記憶されたズーム位置から、電源投入時におけるズーム位置を選択的に設定するズーム位置設定装置とを具備する構成としたので、特に、簡単な操作による電源遮断方法の相違によって、電源遮断時におけるズーム位置を記憶し、電源投入時におけるズームレンズのズーム初期位置として、記憶された電源遮断時におけるズーム位置を選択することが可能となる。
【0031】
本発明の請求項5のズーム位置設定装置付きカメラによれば、前記電源遮断方法を弁別する手段が、電源スイッチの遮断操作持続時間および規定時間内における前記電源スイッチの遮断操作回数の少なくともいずれか一方をパラメータとして前記電源遮断方法の弁別を行なうような構成としたので、電源投入時に容易に且つ確実にズームレンズのズーム初期位置を選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るズーム位置設定装置付きカメラの電気制御系の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】図1のズーム位置設定装置付きカメラの上面から見たズーム鏡胴の動作位置関係を模式的に示す平面図である。
【図3】図1のズーム位置設定装置付きカメラの電源投入時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るズーム位置設定装置付きカメラの電源投入時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るズーム位置設定装置付きカメラの電源遮断時の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 制御装置(マイクロコンピュータ)
2 ズーム鏡胴ユニット
3 メインスイッチ
4 ズームテレスイッチ
5 ズームワイドスイッチ
11 一時記憶装置(RAM)
Claims (5)
- 電源オフ時にズームレンズを所定の収納位置に収納するズームレンズ操作機構と、
電源投入方法の相違を弁別する手段を有し、該電源投入方法の相違に基づいて、前記ズームレンズのテレ(TELE)位置およびワイド(WIDE)位置の少なくとも一方を含む複数のズーム位置から、電源投入時におけるズーム位置を選択的に設定するズーム位置設定装置と
を具備することを特徴とするズーム位置設定装置付きカメラ。 - 前記電源投入方法を弁別する手段は、電源スイッチの投入操作持続時間をパラメータとして前記電源投入方法の弁別を行なうことを特徴とする請求項1に記載のズーム位置設定装置付きカメラ。
- 前記電源投入方法を弁別する手段は、規定時間内における電源スイッチの投入操作回数をパラメータとして前記電源投入方法の弁別を行なうことを特徴とする請求項1に記載のズーム位置設定装置付きカメラ。
- 電源オフ時にズームレンズを所定の収納位置に収納するズームレンズ操作機構と、
電源遮断方法の相違を弁別する手段を有し、該電源遮断方法の相違に基づいて、選択的に該電源遮断直前におけるズーム位置を記憶するズーム位置記憶手段と、
前記電源投入方法の相違を弁別する手段により判別した電源投入方法の相違に基づいて、予め設定されたズーム位置および前記ズーム位置記憶手段によって記憶されたズーム位置から、電源投入時におけるズーム位置を選択的に設定するズーム位置設定装置と
を具備することを特徴とする請求項1に記載のズーム位置設定装置付きカメラ。 - 前記電源遮断方法を弁別する手段は、電源スイッチの遮断操作持続時間および規定時間内における前記電源スイッチの遮断操作回数の少なくともいずれか一方をパラメータとして前記電源遮断方法の弁別を行なうことを特徴とする請求項4に記載のズーム位置設定装置付きカメラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002017817A JP3836376B2 (ja) | 2002-01-28 | 2002-01-28 | ズーム位置設定装置付きカメラ |
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