JP3835714B2 - パイプ形遠赤外線ヒーター炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装乾燥、食品焙煎、接着剤乾燥、水切り乾燥等の幅広い技術分野において用いられるパイプ形遠赤外線ヒーター炉に関するものであり、特に燃焼ガスを熱源としたパイプ形遠赤外線ヒーター炉の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃焼装置で発生させた高温の燃焼ガスを熱源とし、炉内に配置したパイプ形ヒーターの内部にこの高温ガスを通して被加熱物を加熱するようにしたパイプ形遠赤外線ヒーター炉は、図3、4に例示するように従来から知られている。
図3に示すパイプ形遠赤外線ヒーター炉では、燃料ガスを燃焼装置12で燃焼させ、そこで発生した高温の燃焼ガスは、炉体11内に配置したパイプ形ヒーター13の一端から送入され、他端から炉体11外に排気される。そして、このときパイプ形ヒーター13は、送入された燃焼ガスによって加熱され、その表面が高温となって遠赤外線を放射するので、搬送コンベヤ14上の被加熱物を加熱できる構造となっている。
【0003】
この図3に示される構造においては、燃焼ガスがそのまま炉外に排気されるので、熱損失が大きく、燃焼装置2において発生させた熱量の約30%が無駄になるおそれがあった。また、パイプ形ヒーター13の温度分布は、燃焼ガス入口側の表面温度が最も高く、最も低温となる出口側にいたるまで順次低下することになり、例えば、全長12mのパイプ形ヒーター13の場合、入口側が300℃であっても出口側では200℃に低下するケースもあった。
【0004】
図4に示すパイプ形遠赤外線ヒーター炉では、炉体11内に配置したパイプ形ヒーター13に送入された燃焼ガスは、そのパイプ形ヒーター13の途中に設けられた複数の噴射孔15から噴射されるよう構成されている。この場合には、上記のような熱損失は防止できるが、燃焼ガス中のNOX 、SOX の濃度によっては、塗装乾燥、食品焙煎のように炉内雰囲気にクリーン性が要求される用途にはそのまま適用できないという問題があった。なお、上記したパイプ形ヒーター13の温度分布の問題はそのまま残っていた。
【0005】
また、本出願人は、炉内雰囲気をクリーンに保ちつつ、しかも熱損失を防止しながら被加熱物を加熱することができるパイプ形遠赤外線ヒーター炉について、すでの特願平8−220084号として出願しているが、その構造の特長は、図5に示すように、パイプ形ヒーター13と熱交換器17と循環ブロワ16aとから循環経路16を形成し、燃焼装置12により発生させた燃焼ガスをこの熱交換器17に導いて循環経路16の内部を循環する高温ガスを加熱するとともに、フレッシュエアを被加熱物に対して噴射する噴射孔19を備えたフレッシュエア配管18を設けた点にある。この場合、燃焼ガスによりフレッシュエアを加熱するようにしてもよい。
【0006】
この構造のパイプ形遠赤外線ヒーター炉では、パイプ形ヒーター13内の高温ガスを循環させるので、上記のようなパイプ形ヒーター13の温度分布の問題はかなり解決され得るが、そのためには、前記高温ガスを循環ブロワ16aによって高速に付勢して循環させる必要があり、その高温度に耐える循環ブロワ16aを必要とし、そのメンテナンスが不可欠となった。また、燃焼ガスの熱量を熱交換器17を介して高温ガスに伝達する手段を採用したため、熱効率の低下を避けることができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決するためになされたものであり、パイプ形ヒーターの温度分布を入口から出口まで可及的均一にできるとともに、燃焼ガスの保有熱量を利用効率を向上させることができるパイプ形遠赤外線ヒーター炉を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、炉体内に配置したパイプ形ヒーターの内部に燃焼ガスを通過させ、そのパイプ形ヒーターを加熱して、その表面から放射される遠赤外線により被加熱物を加熱するパイプ形遠赤外線ヒーター炉であって、そのパイプ形ヒーター内の燃焼ガスの通過方向を切り換え自在な切換弁を燃焼ガスの供給管路に設けたことを特徴とするパイプ形遠赤外線ヒーター炉によって解決することができる。
【0009】
また、本発明は、前記切換弁には、前記燃焼ガスの通過方向の切り換え周期を設定できるとともに、それに基づく所定の切り換え指令を切換弁に伝達する指令器が付設されている形態に好ましく具体化することができる。
また、本発明は、外気を被加熱物に向けて噴射する噴射孔を備えたブロー配管を配設した形態に好ましく具体化することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の1実施形態を、図面1、図2を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、炉体1には、上部にパイプ形ヒーター2、下部には被加熱物を載置、搬送するためのコンベヤ3が配置され、外部には、燃料ガスを燃焼させる燃焼装置4が設けられ、この燃焼装置4で得られた燃焼ガスは、ガス配管51a、切換弁5およびガス配管21aまたはガス配管21bを経由して前記パイプ形ヒーター2の一方側から供給され、そして、このパイプ形ヒーター2を加熱に消費された燃焼ガスは他方側からガス配管21bまたはガス配管21aと切換弁5およびガス配管51bを経由して取り出されるように、燃焼ガスの供給管路が形成されている。
【0011】
この場合、切換弁5の機能は、先ず、燃焼装置4に連なるガス配管51から送り込まれる燃焼ガスを、切換弁5内の切換え通路を通して、パイプ形ヒーター2の一方側(例えば図1では右側)に連なるガス配管21aに送り込むとともに、パイプ形ヒーター2の他方側(例えば図1では左側)からガス配管21bを経て送り出される燃焼ガスを、切換弁5内の切換え通路を通して、排出側のガス配管51bに送り出すものである。そして、この切換弁5を操作することにより、燃焼ガスの通過方向を前記方向とは逆方向に、ガス配管21b〜パイプ形ヒーター2〜ガス配管21aの順に通過させることができるのである。
【0012】
ここに前記この切換弁5の1例を図2に示す。パイプ形ヒーター2に連結されるガス配管21a、21bは、燃焼ガスの供給側ガス配管51aおよび排出側ガス配管51bのそれぞれに弁体52a、52bによって切り換え可能に連結されている。かくして、弁体52a、52bを同期させて左側、右側、左側、右側、というように切り換えれば、パイプ形ヒーター2内の燃焼ガスの流れ方向を左、右、左、右、というように切り換えることができるのである。
【0013】
この実施形態におけるパイプ形ヒーターでは、燃焼装置4により発生した燃焼ガスを直接にパイプ形ヒーターの内部に通し、ヒーター本体を加熱することによりヒーター面からの放射熱により被加熱物を加熱する点において、燃焼ガスの保有熱量の利用効率を向上させた装置が得られるのであるが、さらに、前記切換弁5を操作することにより、燃焼ガスに流れ方向を適宜に切り換えることができるので、ヒーターの温度分布において、高温となる入口側と低温となる出口側が順次交替することになり、その温度は平準化されるから、上記した熱交換装置や高温用循環ブロワが必要でなく、燃焼ガスが1方向だけに流れる場合のヒーターの温度分布のような、入口側が高温で出口側が低温となる不具合が確実に防止できる。
【0014】
さらに、この実施形態において、前記燃焼ガスの通過方向の切り換え周期を設定できるとともに、それに基づく所定の切り換え指令を切換弁5に伝達する指令器52を付設するのが好ましい。例えば、前記の切り換え周期を15秒〜2分に範囲内、好ましくは20〜30秒の時間に設定できるようにし、その設定時間に基づいて切換弁5を自動的に操作することによって、本発明のパイプ形遠赤外線ヒーター炉を安定に運転することが可能となる。
なお、図1ではパイプ形ヒーター2は、単純な模式形状で示されているが、屈曲蛇行型、フィン付形状、平板型など形状、レイアウトを自由に設定することができるものである。
【0015】
また、図1に示すこの実施形態では、高圧送風機62により新鮮な外気を、炉体1内でパイプ形ヒーター2とコンベヤ3との間に配置されたブロー配管6に送入して、その管壁に設けられた多数の噴射孔61から被加熱物に向けて噴射できるよう、炉内ガス噴射システムが配設されている。
このようにこの実施形態では、新鮮な外気を噴射流として利用できるので、クリーンな雰囲気が維持でき、例えば食品の乾燥などにも応用できるうえ、被加熱物に対して噴射流を衝突させ、被加熱物の表面に存在する熱伝達を阻害していた空気境界膜が飛散して除去できるので、熱伝達率を飛躍的に向上させることができる。
なお、このブロー配管6の形状は特に限定されるものではないが、ループ状にしておくとガスが各噴射孔61から均等に噴射し易くなるので好ましい。
【0016】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のパイプ形遠赤外線ヒーター炉によれば、高い熱効率を維持しながらパイプ形ヒーターの温度分布が改善されるから、より均熱加熱が可能となる他、その実施形態によれば、新鮮な外気を被加熱物に対して噴射することにより熱伝達率を効果的に向上させることができるという効果が得られる。よって、本発明は前記問題点を解決したパイプ形遠赤外線ヒーター炉として、その工業的価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す配管系統図。
【図2】本発明の切換弁を説明するための模式配管図。
【図3】従来例を示す配管系統図。
【図4】他の従来例を示す配管系統図。
【図5】先願の実施形態を示す配管系統図。
【符号の説明】
1 炉体、2 パイプ形ヒーター、21a、21b ガス配管、3 コンベヤ、4 コンベヤ、5 切換弁、51a、51b ガス配管、52a、52b 弁体、6 ブロー配管、61 噴射孔、62 高圧送風機。
Claims (3)
- 炉体内に配置したパイプ形ヒーターの内部に燃焼ガスを通過させ、そのパイプ形ヒーターを加熱して、その表面から放射される遠赤外線により被加熱物を加熱するパイプ形遠赤外線ヒーター炉であって、そのパイプ形ヒーター内の燃焼ガスの通過方向を切り換え自在な切換弁を燃焼ガスの供給管路に設けたことを特徴とするパイプ形遠赤外線ヒーター炉。
- 前記切換弁には、前記燃焼ガスの通過方向の切り換え周期を設定できるとともに、それに基づく所定の切り換え指令を切換弁に伝達する指令器が付設されている請求項1に記載のパイプ形遠赤外線ヒーター炉。
- 外気を取り入れて被加熱物に向けて噴射する噴射孔を備えたブロー配管を配設した請求項1または2に記載のパイプ形遠赤外線ヒーター炉。
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JP34990496A JP3835714B2 (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | パイプ形遠赤外線ヒーター炉 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH10197156A JPH10197156A (ja) | 1998-07-31 |
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Family Applications (1)
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JP34990496A Expired - Fee Related JP3835714B2 (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | パイプ形遠赤外線ヒーター炉 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3835714B2 (ja) |
-
1996
- 1996-12-27 JP JP34990496A patent/JP3835714B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10197156A (ja) | 1998-07-31 |
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