JP3834385B2 - ダイオードリミッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波回路における伝送信号のリミッティングに用いられ、特に小型化、低価格化が要求されるレーダー装置の受信回路に必要となるダイオードリミッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばレーダー装置は、図3に示すように、マグネトロン16で発振したマイクロ波をサーキュレータ17によりアンテナ18方向に送り出し、目標物で反射した反射波をそのアンテナ18で受信してサーキュレータ17によりリミッタ19に導き、更に受信機20に転送して分析処理するよう構成されている。
【0003】
リミッタ19は、アンテナ18でのマイクロ波の直接反射波やサーキュレータ17を直接漏洩して入力する大きなエネルギーのマイクロ波から受信機305を保護するためのものであり、通常はPINダイオードを使用して、マイクロ波電力によるセルフバイアスによりインピーダンスを変化させ、大電力時に回路を短絡させてリミッタ機能を果たすように構成されている。
【0004】
従来のダイオードリミッタとしては、主に2種類のタイプがあり、一方は導波管を用いるタイプで、他方は伝送線路(マイクロストリップライン)を用いるタイプである。
【0005】
図4に示すものは前者の導波管を用いるものの例で、図に示すような導波管4内に導電性のポスト21を用いてピル型パッケージに収納したPINダイオード22が配置されている。また、PINダイオード22が導波管4内で整合するよう、回転ネジ23が設けられ、そのねじ込み深さによりリアクタンス成分を調整している。図示しないが、この導波管型ダイオードリミッタの後段には導波管・同軸変換器を介して受信機が存在し、その受信機内には信号処理を行うための伝送線路で形成された回路を具備している。
【0006】
一方、図5に示すものは後者の伝送線路を用いるものの例で、図に示すとおり、誘電体基板3の伝送線路25上に基板実装型パッケージに収納したPINダイオード9を配置し、PINダイオード9が整合するよう、図示しない整合パターンが伝送線路25上に設けられている。
【0007】
導波管4から進入したマイクロ波は導波管・同軸変換器24により誘電体基板3、伝送線路25及びPINダイオード9で構成されるリミッタ回路に導かれ、次に図示しない後段の受信機に導かれる。図4の導波管型ダイオードリミッタは、受信機と別筐体内に形成され、両者は導波管・同軸変換器を介して電気的に接続させるが、図5の伝送線路型ダイオードリミッタの場合の受信機との接続は、同軸コネクタによるか、または受信機内に伝送線路型ダイオードリミッタを形成することで、ダイレクトに伝送線路で繋げることも可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなダイオードリミッタにおいては、下記のような問題があった。ダイオードリミッタはデュプレクサーの後段で受信回路側に配置されるが、図4のような導波管型ではダイオードリミッタの導波管長が通常使用される2ステージタイプ(図4は1ステージタイプ)では30mm程度あることから、特に小型化の要求があるレーダ装置においては、設計段階で小型化が困難になってしまう。また、図5のような伝送線路型では、導波管型で使用する導波管が必要無く、回路上のレイアウトにより小型化が可能であるが、耐電力が導波管型のそれに比較すると極端に低下し、デュプレクサとしてT分岐を用いた場合には使用不可能となってしまう等の問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明のダイオードリミッタは、略矩形状の開口とマイクロ波の伝搬方向に沿って凹凸部が形成された内壁を有する導波管を具備し該凹部から該導波管開口面と略平行に2分割された筐体と、前記筐体に挟持され前記導波管周縁との接触部にスルーホールを有する金属パターンが形成された誘電体基板と、前記誘電体基板上へ前記導波管開口に対向するよう配置され、前記金属パターンによりアノード及びカソード電極がそれぞれ対向する該導波管内壁に電気的に接続されたPINダイオードとからなるダイオードリミッタであって、前記PINダイオードに接続する前記金属パターンは前記導波管内に該導波管断面の長辺を等分する中心線上に延在し前記アノードまたは前記カソード電極と該導波管内壁を電気的に接続する伝送線路を具備し、前記PINダイオード配置面の裏面に形成された金属パターンは前記導波管内に該導波管断面の長辺を等分する中心線上に延在しかつ開放端を有する伝送線路を具備することを特徴とする。
【0010】
また、前記PINダイオードに接続する伝送線路は、前記凹部内に複数のスタブで形成された調整用線路を具備する構成としてよい。
【0011】
本発明では、導波管を具備する筐体を2分割し、誘電体基板を筐体で挟持するため、導波管を遮るように誘電体基板が配置されるが、伝送線路以外の部分では誘電体であり、導波管周縁のスルーホールにより誘電体基板の表裏を導通させるため、マイクロ波の反射による減衰やリークを抑える。誘電体基板に形成された伝送線路が、開口面側では導波管型ダイオードリミッタのポストとなり、短絡面側では導波管・同軸変換器の中心導体として機能する。また、導波管型ダイオードリミッタにおける回転ネジによるリアクタンス成分の調整は、調整用線路のスタブ切断によるリアクタンス成分の調整で代えることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を図面に沿って説明する。なお、複数の図面にわたって同一または相当するものについては同一の符号を付し、説明の重複を避けた。
【0013】
図1は本発明の実施の形態を示す横断面図であり、筐体1は誘電体基板3の台座であると共に、導波管4も構成している。筐体2は、誘電体基板3上に設けられた図示しない回路系のシールドと導波管短絡面5を構成している。また、凸部12、13、凹部14、15は、それぞれ従来の導波管型ダイオードリミッタのキャパシタンス成分とインダクタンス成分を構成し、伝送線路10が従来の導波管型ダイオードリミッタのポストを構成し、インダクタンス成分となっている。本図に示すように誘電体基板3は筐体1と筐体2に挟持され、2つの筐体を組み合わせて構成された導波管4を遮るように配置される。
【0014】
図2は誘電体基板3上に形成された金属パターンの詳細を示した図で、図2(a)は導波管4の開口に対向する金属パターン、図2(b)は図2(a)の裏面図にあたり、導波管4の短絡面に対向する金属パターンを示す。なお、図示省略したが、マイクロ波集積回路を構成する金属パターンは図2(b)の面に形成され、素子実装面もここになる。従って、図2(a)はアース面になるが、図示の通りマイクロ波が透過するよう伝送線路10を残して導波管断面に対応して金属パターンを削除している。
【0015】
伝送線路10はアースパターンから導波管4の断面の長辺を等分する中心線上に沿って延在する形にパターニングしてあり、その先端は基板実装型PINダイオード9の一方の電極に接続している。また、基板実装型PINダイオード9の他方の電極は直接アースパターンに繋がっている。従って、PINダイオードの一方の電極が伝送線路10を介して導波管内壁に電気的に接続し、その導波管内壁に対向する導波管内壁に他方の電極がアースパターンを介して電気的に接続することになる。なお、PINダイオード9は最も電磁界結合のし易い場所に配置するが、図のように下方にずらした方が整合を取り易い。
【0016】
また、本図に示すスルーホール6は誘電体基板の表裏面を導通させ、筐体1と筐体2に形成された導波管を連続させるほか、導波管より誘電体基板を介してマイクロ波がリークすることを防ぐ役割をしている。ちなみに、このスルーホール6のピッチはマイクロ波の波長に合わせており、例えば波長が16mm(ガラスエポキシ基板内)の場合、直径を0.8mmとすると、ピッチは3mmとして好適である。
【0017】
さらに、図2(b)に示す金属パターンには導波管断面の長辺を等分する中心線上に延在し、開放端を有する伝送線路7が設けられ、これが導波管内において、導波管4の短絡面5からの反射波に結合するプローブとなる。また、導波管より外側の部分では、通常の分布定数回路における50オーム線路に代表されるような伝送線路8になっており、以降、後段の受信機に接続すべく、整合回路、増幅回路、ミキサー等が設けられている。なお、伝送線路7は短絡面5からマイクロ波の管内波長の1/4に設定している。また、本発明のダイオードリミッタを受信機と一体に形成した場合はさらにその後に受信機内の回路が続く。
【0018】
このような構成であるため、誘電体基板3の伝送線路10にPINダイオード9を実装した部分が導波管内に露出し、これが導波管型ダイオードリミッタの機能を果たすことで、伝送線路で構成したダイオードリミッタでも耐電力を持たせることができる。本実施の形態では、パルス幅1μs デューティー(単位時間当たりのマグネトロン発振時間の比)0.001で耐電力8kWを実現することができた。
【0019】
同時に誘電体基板3の導波管短絡面側に形成した伝送線路7がプローブとなり、導波管・同軸変換器も兼ねさせることができる。よって、導波管・同軸変換器を配設するスペースを省くことができ、小型化を可能にする。また、伝送線路8上にPINダイオードを実装するだけで複数ステージを容易に形成できるので、レイアウト上での省スペースを図りながら高性能化が可能となる。
【0020】
また、本発明において、第一の金属パターンの伝送線路10の導波管内壁との接続部近傍には複数のスタブが形成された調整用線路11を設けることでインダクタンスの調整が可能となる。即ち、スタブをPINダイオード9側から順次切断することで整合が取れる。
【0021】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、導波管断面中心に位置するよう基板実装型PINダイオードを配置し、前記PINダイオードのアノード及びカソードを金属パターンを介して導波管内壁と電気的に接続することで伝送線路で構成したダイオードリミッタであっても耐電力を持たせることができる。従って、デュプレクサとしてT分岐を採用した場合等、耐電力が求められる場合であっても導波管型ダイオードリミッタを使用せずに済むことから、工程の簡略化やコストダウンが可能となる。特に、レーダー装置においては、小型化、低価格化の設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る誘電体基板の金属パターンの詳細を示す図である。
【図3】レーダー装置の構成例を示す概念図である。
【図4】従来の導波管を用いたダイオードリミッタの例を示す断面図である。
【図5】従来の伝送線路を用いたダイオードリミッタの例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:筐体
2:筐体
3:誘電体基板
4:導波管
5:導波管短絡面
6:スルーホール
7:伝送線路
8:伝送線路
9:基板実装型PINダイオード
10:伝送線路
11:調整用線路
12、13:凸部
14、15:凹部
16:マグネトロン
17:サーキュレータ
18:アンテナ
19:リミッタ
20:受信機
21:ポスト
22:ピル型パッケージPINダイオード
23:回転ネジ
24:導波管・同軸変換器
25:伝送線路
Claims (2)
- 略矩形状の開口とマイクロ波の伝搬方向に沿って凹凸部が形成された内壁を有する導波管を具備し該凹部から該導波管開口面と略平行に2分割された筐体と、前記筐体に挟持され前記導波管周縁との接触部にスルーホールを有する金属パターンが形成された誘電体基板と、前記誘電体基板上へ前記導波管開口に対向するよう配置され、前記金属パターンによりアノード及びカソード電極がそれぞれ対向する該導波管内壁に電気的に接続されたPINダイオードとからなるダイオードリミッタであって、
前記PINダイオードに接続する前記金属パターンは前記導波管内に該導波管断面の長辺を等分する中心線上に延在し前記アノードまたは前記カソード電極と該導波管内壁を電気的に接続する伝送線路を具備し、前記PINダイオード配置面の裏面に形成された金属パターンは前記導波管内に該導波管断面の長辺を等分する中心線上に延在しかつ前記導波管短絡面で反射したマイクロ波に結合する開放端を有する伝送線路を具備することを特徴とするダイオードリミッタ。 - 前記PINダイオードに接続する伝送線路は、前記凹部内に複数のスタブで形成された調整用線路を具備することを特徴とする請求項1に記載のダイオードリミッタ。
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JP18734597A JP3834385B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | ダイオードリミッタ |
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- 1997-06-27 JP JP18734597A patent/JP3834385B2/ja not_active Expired - Fee Related
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