JP3833891B2 - エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車などにおいて、側面衝突に対する保護も含めて、運転者と乗員の保護を強化するためのエアバッグ用ガス発生器及びこれを使用するエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエアバッグ用ガス発生器は比較的複雑な構造であり、例えば、一体に形成及び/又は溶接した内部仕切によって内部点火室、燃焼室及びフィルタ室を規定した鋳造ハウジングの如き構造を有する。さらに、クーラント構造、例えば熱伝導材料などで形成したフィルタは多くの場合、これらのガス発生構造内部に発生した温度及び圧力に耐えるようにするため上記の如き構造の複雑さを必要とする。
【0003】
このような多くの従来のガス発生器はアジ化ナトリウムを主体とする材料の様なアジド化合物を主成分とするガス発生剤を用いるが、これらは比較的高い燃焼速度と望ましくない毒性レベルを有し、ミストや灰分のような燃焼生成物が付随する。
【0004】
従って、従来技術においては、より簡単なガス発生器構造に対する必要性が存在し、例えば、金属シートより形成し、一部が改良されたクーラント/フィルタ構造によって形成された内部室を有し、燃焼速度、発生ガス量、内部圧力と内部温度を調整できるような非アジドガス発生剤を利用し、エアバッグ用ガス発生器の効率を増大し、他方、大きさと価格を減少させ、そして望ましくないミストや灰分のような燃焼生成物の量を減少させたものが望まれてきた。
【0005】
アジド化合物をベースとするガス発生材料(例えばNaN3/CuO)は70kg/cm2の圧力下で約45〜50mm/秒という比較的高い線燃焼速度を有する。アジド化合物ベースのガス発生材料は、この比較的高い線燃焼速度のため、優れた形状保持性能をもつ比較的大きなペレット又は円板形状片の形でさえ、例えば運転者席用エアバッグガス発生器において使用されるとき、40〜60ミリ秒の完全燃焼時間という要求特性を満足させ得る。
【0006】
非アジドガス発生材料は、環境に対する影響及び乗員の安全という点で優秀であることで発展してきた。しかしながら、かかる材料は一般に30mm/秒より小さい線燃焼速度を有する。もし線燃焼速度が約20mm/秒であり、ガス発生材料が直径2mmのペレット又は2mm厚みの円板の形で製造されると仮定すれば、燃焼時間は約100ミリ秒であり、これは40〜60ミリ秒という望ましい燃焼時間を満足させ得ない。望ましい燃焼時間を得るための線燃焼速度が約20mm/秒であるとき、材料のペレットの直径又は円板の厚さは約1mmであることを要する。線燃焼速度が10mm/秒より小さいときは、ガス発生材料の円板は0.5mm又は以下の厚さをもつことを要する。それ故、工業的に安定で長時間の自動車の振動に耐える様なペレット又は円板の形状でガス発生材料を製造することは実際上不可能である。それ故望ましい要求性能に合致するエアバッグ用ガス発生器を提供することは困難であった。
【0007】
従来のガス発生器として、特開平7−47911号公報に開示されるものがある。これを図9に示す。このガス発生器は、外周壁に多数のガス流出口49を有する上部シェル40と、下部シェル41の外周縁が電子ビーム溶接により接合されて内部に収容空間が形成され、その収容空間の中心部に点火室42が形成され、その点火室42の外周に同心状に燃焼室43が形成される。点火室42にはスクイブ44が収納され、燃焼室43にはガス発生剤45とフィルタ46が収納されている。上部シェル40と一体の円筒体47と、下部シェル41と一体の円筒体48とが互いに螺合固定されている。フィルタ46は、ガス発生剤45の燃焼により発生する燃焼ガスがフィルタ46を通過する間に燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集を果たす。フィルタ46の外周面は、上下シェル40及び41の内周面に当接している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のガス発生器においては、フィルタ46の外周面が上下シェル40及び41の内周面に当接しているために、フィルタ46に入る燃焼ガスは、ガス流出口49に向かって進み、フィルタの下端部の領域A、及び上端部の領域Bを通過しないで抜け出てしまう虞がある。そのために、フィルタの有効利用と燃焼ガスの効果的な冷却・浄化が達成されないなどの問題点を有している。
【0009】
他の例としてガス発生器のクーラントは、例えばストリップ状の金網を筒状に多重に巻回したものからなり、ガス発生器の燃焼室で発生した燃焼ガスがそこを通過する間に、燃焼ガスの冷却を果たすと共に、比較的大きな燃焼残渣の捕集も果たすものである。図12にZanderらの米国特許4,902,036に示されたものに似たクーラントを備えたガス発生器の一例を示す。このガス発生器は、ガスの排出口230を有するハウジング231と、このハウジング231内の中央部に画成される点火手段収容室232と、この点火手段収容室232の外側に画成される燃焼室233と、この燃焼室233の外側に画成されるクーラント/フィルタ室234とを有している。そして、点火手段収容室232には点火手段、すなわち点火器235及び伝火薬236が配設され、燃焼室233には点火手段により点火されてガスを発生するガス発生剤237を充填するキャニスタ238が配設され、クーラント/フィルタ室234には燃焼室233で発生した燃焼ガスの冷却を果たすクーラント239、及び燃焼ガスの浄化を果たすフィルタ240が配設されている。燃焼室233は、燃焼ガスの噴出口244を備え底部に中央孔245を有するカップ状のコンバスタカップ243により画成され、またクーラント/フィルタ室234は、リテーナ242により上段の室と下段の室に仕切られ、上段の室にはフィルタ240が、下段の室にはクーラント239がそれぞれ配設されている。
【0010】
そして、センサ(図示せず)が衝撃を感知するとその信号が点火器235に送られて点火器235が作動し、これにより伝火薬236が着火して高温・高圧の火炎が生成される。この火炎は、開口241を通りキャニスタ238の壁を破り内部のガス発生剤237に点火する。これによりガス発生剤237が燃焼してガスを生成し、このガスはコンバスタカップ243の噴出口244より噴出し、クーラント239を通過する間に冷却され、また比較的大きな燃焼残渣が捕集され、更にフィルタ240を通過する間に残りの燃焼残渣が捕集され、冷却、浄化されたガスがガスの排出口230を経てエアバッグ(図示せず)内に流入するようになっている。これによりエアバッグが膨張して乗員と硬い構造物の間にクッションを形成し、衝撃から乗員を保護する。
【0011】
従来のクーラントは、その空隙構造が単純であるために、微細な燃焼残渣を効果的に捕集することに関し、なお問題がある。そのために、クーラントと別個にフィルタを必要とする。また、従来のクーラントは、圧力損失が小さい(ガスの透過性が良い)ために、クーラントにより圧力室、例えば燃焼室を画成することが困難である。そのために、クーラントと別個に燃焼室画成部材、例えば上記コンバスタカップ、コンバッションリングなどを必要とする。
【0012】
従って、従来のクーラントを備えるガス発生器においては、部品点数が増加し、またガス発生器の径が拡大し、そのためにガス発生器の大型化、重量化を招く結果となっている。
【0013】
更に、従来のクーラントは、かさ密度(成形体などの質量をそのかさ体積で割った値)が小さいために、クーラントにより圧力室を画成することが困難であると共に、クーラントの保形強度が小さく、そのためにガス圧を受けたときに変形し易く、クーラントの変形は燃焼残渣の捕集に悪影響を与える。
【0014】
又衝突の衝撃から乗員を保護する目的で自動車に装着されるエアバッグ装置は、センサ、コントロールユニット、及びパッドモジュールなどから構成される。パッドモジュールは、例えばステアリングホイールに取り付けられ、モジュールカバー、エアバッグ、及びガス発生器から主として構成される。ガス発生器は、ハウジングと、このハウジング内に配設される点火手段と
、この点火手段により点火されて燃焼ガスを発生するガス発生手段と、このガス発生手段の周囲に配設されガス発生手段の燃焼ガスが通過する間に燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集を果たすクーラント・フィルタを備えている。そして、衝撃により点火手段が作動し、これによりガス発生手段が燃焼して高温・高圧のガスを発生する。発生したガスはクーラント・フィルタにより冷却・浄化され、冷却・浄化されたガスはエアバッグ(袋体)内に噴出する。これによりエアバッグはモジュールカバーを破って膨出しステアリングホイールと乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成するようになっている。
【0015】
エアバッグ装置のパッドモジュールは、通常の運転に際して邪魔にならない程度の大きさであることが必須の要件である。そのためにパッドモジュールに含まれるガス発生器は、可能な限り小型・軽量であることが望ましい。ガス発生器の小型・軽量化を達成するために、ガス発生器のハウジングを可能な限り薄肉にすることに対する強い要請がある。
【0016】
ガス発生器のハウジングを薄肉にした場合、ガス発生器の作動時に燃焼ガスの圧力によりガス発生器のハウジングが変形し、ハウジング内のクーラント・フィルタにおいて、クーラント・フィルタの端面と、これに当接するハウジング内面間で隙間が生じ、この隙間を通り燃焼ガスがクーラント・フィルタを通過せずに抜け出てしまう、いわゆるショートパスの問題が生じる虞がある。ショートパスが生じると、冷却・浄化されないガスがエアバッグ内に噴出してエアバッグが損傷を受ける虞がある。
【0017】
本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点を解消する新規なエアバッグ用ガス発生器構造を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、ガス発生剤を含むガス発生器中での燃焼室の外周境界を区画したクーラント/フィルタを使用した改良されたエアバッグ用ガス発生器構造を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、非アジドガス発生剤を利用した改良された比較的簡単なエアバッグ用ガス発生器構造を提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、非アジドガス発生剤を使用した改良された比較的簡単なエアバッグ用ガス発生器構造及び非アジドガス発生剤を含むガス発生器内での燃焼室の外周境界を区画する改良されたクーラント/フィルタ構造を提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、改良された比較的簡単なエアバッグ用ガス発生器構造であって、該構造の外側ハウジングとその外側ハウジングの内部に燃焼室の外周を区画する内部クーラント/フィルタ構造の間での改良された組合わせを含むものを提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、本発明の構造、要素及び/またはガス発生剤を使用した運転者用、乗員用、側面衝突用のエアバッグ用ガス発生器構造及びシステムを提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、複数個のガス排出口を有するハウジングと、前記ハウジング内に配設される点火手段と、前記ハウジング内に配設され前記点火手段により点火されて燃焼ガスを発生するガス発生手段と、前記ガス発生手段を収容する燃焼室を画成し前記燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集を果たすフィルタ手段とを含み、
前記フィルタ手段は、その外周が前記ハウジングの外周壁内面と対向し且つ両者の間に間隙を形成する様配設され、前記間隙は、前記燃焼ガスが前記フィルタ手段の全面を通過するに必要なガス通路を形成することを特徴とする。
【0024】
そして、ガス発生器作動時に於いて前記ガス通路が確保されるガス通路確保手段を含むことが好ましい。
【0025】
前記ハウジングの一つの好ましい態様は、加工された孔部を有しない円形部と、該円形部の外周部に形成され前記ガス排出口を有する周壁部と、該周壁部の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部とを有するディフューザシェルと、該ディフューザシェルと共に空間を形成し、円形部と、該円形部の中央部に形成される中央孔及び該円形部の外周部に形成される周壁部と、該周壁部の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部とを有するクロージャシェルからなり、前記点火手段は、前記クロージャシェルの中央孔に配設される。
【0026】
また、前記ハウジングの他の好ましい態様は、前記ガス排出口を有する円筒状部と、該円筒状部の両端部に配設される側壁部からなり、前記点火手段は、前記両側壁部のいずれか一方に配設される。
【0027】
前記ガス通路確保手段は、前記フィルタ手段の膨出を抑止する抑止手段からなることが好ましい。
【0028】
前記抑止手段は、前記フィルタ手段の外周面に嵌合する多孔円筒体から構成したり、またフィルタ手段の外側に形成される金網層或いはベルト状抑止層からなることができる。
【0029】
前記間隙は、1.0〜4.0mmの大きさを有することが好ましい。
【0030】
また、前記フィルタ手段は円筒形状の積層金網体からなり、該金網体の内側空間に前記ガス発生手段が収容されることが好ましい。
【0031】
本ガス発生器において、フィルタ手段とハウジングの外周壁間に形成される上記間隙は、ガス通路として機能し、このガス通路の存在により、燃焼ガスはフィルタ手段の全領域を通過しガス通路に向かって進み、これによりフィルタ手段の有効利用と燃焼ガスの効果的な冷却・浄化が達成される。冷却・浄化された燃焼ガスは、上記ガス通路を通ってハウジングのガス排出口に至る。この間隙のより好ましい大きさは、1.0〜3.0mmとする。この間隙は、基本的にはフィルタ手段の外周とハウジングの外周壁内面の間をいうが、フィルタ手段に上記抑止手段が備わるときは、この抑止手段の外周とハウジングの外周壁内面の間をいう。
【0032】
上記ハウジングは、ディフューザシェルとクロージャシェルからなることができる。ディフューザシェルとクロージャシェルは、それぞれ、厚さ1.2〜3.0mmのステンレス鋼板からなり、45〜75mmの外径を有することができる。本ガス発生器において、少なくともディフューザシェル側にフランジを有することが好ましい。このフランジは、ガス発生器を含むパッドモジュールを固定する支持部材の下側に位置するので、万が一溶接部が破損してもエアバッグ側、すなわち乗員側に危害が及ぶ虞はない。ディフューザシェルとクロージャシェルを各種溶接法、例えば電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接、プロゼクション溶接などにより接合することができる。ディフューザシェルとクロージャシェルの材料に関し、ステンレス鋼板に代わり鋼板にニッケルメッキを施したものを使用してもよい。ディフューザシェルのガス排出口を、1.5〜4.5mmの直径とし、合計16〜24個周方向に配置することができる。また、ハウジングの全高(ディフューザシェルの上面からクロージャシェルの底面までの高さ)を25〜40mmとすることが好ましい。
【0033】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、複数個のガス排出口を有するハウジングと、前記ハウジング内に配設される点火手段と、前記ハウジング内に配設され前記点火手段により点火されて燃焼ガスを発生するガス発生手段と、前記ガス発生手段の周囲に配設され前記燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集を果たすフィルタ手段と、前記フィルタ手段の端面とこれに当接する前記ハウジングの内面間の前記燃焼ガスのショートパスを防止するショートパス防止手段とを含む。
【0034】
そして、前記ショートパス防止手段は、前記フィルタ手段の端部開口を塞ぐ円形部と該円形部と一体に形成され前記フィルタ手段の内周面に当接する周壁部とからなるプレート部材からなることが好ましい。
【0035】
前記プレート部材は、その円形部に前記点火手段を収容する点火手段収容室の外周壁に嵌合する中央孔を有することができる。
【0036】
前記ハウジングの一つの好ましい態様は、加工された孔部を有しない円形部と、該円形部の外周部に形成され前記ガス排出口を有する周壁部と、該周壁部の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部とを有するディフューザシェルと、該ディフューザシェルと共に空間を形成し、円形部と、該円形部の中央部に形成される中央孔及び該円形部の外周部に形成される周壁部と、該周壁部の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部とを有するクロージャシェルからなり、前記点火手段は、前記クロージャシェルの中央孔に配設される。
【0037】
また、前記ハウジングの他の好ましい態様は、前記ガス排出口を有する円筒状部と、該円筒状部の両端部に配設される側壁部からなり、前記点火手段は、前記両側壁部のいずれか一方に配設される。
【0038】
本発明の一つの好ましい態様においては、前記ハウジングの外周壁と前記フィルタ手段間にガス発生器の中心軸に対し傾斜するハウジングの内周面が形成される。
【0039】
また、本発明の一つの好ましい態様においては、前記フィルタ手段の少なくとも一方の端面が溶接により前記ハウジングの内面に固定される。
【0040】
上記ショートパス防止手段はプレート部材からなることができ、このプレート部材は、円形部と、これと一体の周壁部からなる。円形部はフィルタ手段の端部開口を塞ぎ、また周壁部はフィルタ手段の内周面に当接する。燃焼ガスの圧力を受けてハウジングが上下方向に変形するとき、上記円形部もガス圧により上下方向に移動し、このとき上記周壁部はフィルタ手段の内周面上を摺動する。または、上記プレート部材を延性を有する薄板で構成した場合、燃焼ガスの圧力を受けてハウジングが変形するとき、上記円形部及び周壁部も変形してハウジングの内面及びフィルタ手段の内周面に密接する。このようにして、ハウジングの変形により、仮にフィルタ手段端面とハウジング内面間で隙間が生じても、上記プレート部材によりショートパスが防止される。
【0041】
プレート部材はその円形部に中央孔を有し、この中央孔は前記点火手段を収容する点火手段収容室の外周壁に嵌合する、ようにすることができる。これによりプレート部材が外周壁に固定され、このプレート部材はフィルタ手段の位置決め部材としても機能することができる。
【0042】
フィルタ手段の位置決め手段として、ハウジングの外周壁とフィルタ手段間にガス発生器の中心軸に対し傾斜するハウジングの内周面を形成することができる。上記内周面はフィルタ手段の周囲にすり鉢状の面を形成し、フィルタ手段の半径方向移動を阻止する。
【0043】
上記プレート部材は、フィルタ手段の両方の端部に配設することができ、またいずれか一方の端部に配設することができる。一方の端部のみに配設した場合は、ショートパスを防止するために、プレート部材が配設されない側のフィルタ手段端面を溶接によりハウジングの内面に固定することができる。
【0044】
上記プレート部材を厚さ0.5〜1.0mmのステンレス鋼板、鋼板などからプレス成形することができる。
【0045】
フィルタ手段とハウジングの外周壁間に間隙を形成し、この間隙によりフィルタ手段の周囲にガス通路を形成することができる。このガス通路の存在により、燃焼ガスはガス通路に向かって進みフィルタ手段の全領域を通過し、これによりフィルタ手段の有効利用と燃焼ガスの効果的な冷却・浄化が達成される。
【0046】
フィルタ手段はまた、その内側又は外側に積層金網体からなる層を有する二重構造とすることができる。内側の層は、フィルタ手段に向け噴出される点火手段の火炎、及びこの火炎により点火されて燃焼するガス発生手段の燃焼ガスに対しフィルタ手段を保護するフィルタ手段保護機能を有することができる。また外側の層は、ガス発生器作動時にガス圧によりフィルタ手段が膨出して上記間隙を塞ぐことのないように、フィルタ手段の膨出を抑止する抑止手段として機能することができる。
【0047】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、金属板をプレス成形してなりガスの排出口を有するディフューザシェルと、金属板をプレス成形してなり中央孔を有するクロージャシェルからなるハウジングと、管よりなり前記中央孔と同心に配置され点火手段用中空室を形成する前記ハウジング内の中央筒部材と、前記中央筒部材を取り囲んで配設されガス発生手段用燃焼室を画成し常温において流量100l/min/cm2で0.3×10-2〜1.5×10-2kg/cm2の圧力損失を有し燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集を果たすクーラント/フィルタを含み、衝撃により前記燃焼室で発生するガスをエアバッグ内に導入して衝撃から乗員を保護するものである。
【0048】
本発明のガス発生器の一つの好ましい態様は、ディフューザシェルと、クロージャシェルと、中央筒部材と、そしてクーラントを含む。これら4つの部材は別個に製造される。すなわち、ディフューザシェルとクロージャシェルは、板をプレス成形してなり、中央筒部材は、好ましくは、板を管状に丸めて溶接した管よりなり、そしてクーラント/フィルタは、好ましくは、平編の金網を半径方向に重ね半径方向及び軸方向に圧縮成形したものよりなる。
【0049】
従来はディフューザシェルの円形部に一体形成されていた中央筒部を分離することにより、ディフューザシェルの形状が単純化される。また、中央筒部を分離することにより、中央筒部の容積をディフューザシェルと別個に必要に応じて自由に変更することができる。中央筒部材は、単独で例えばUOプレス方式を利用して安価に製造することができる。そのような溶接パイプはUOプレス方式(板をU型に成形し、次にO型にし、継ぎ目を溶接する工程を含む)または電子抵抗溶接法(板をシリンダーに巻き、圧力を継ぎ目にかけながら大電流を通して抵抗熱で継ぎ目を溶接する工程を含む)で作ることができる。
【0050】
ディフューザシェルとクロージャシェルをプレス加工により成形することにより、ディフューザシェルとクロージャシェルの製造が容易になると共に、製造コストの低減も達成される。
【0051】
ガス発生器構造の他の態様はハウジングの中央に位置し、クーラント/フィルタとハウジングにより区画された燃焼室内でクロージャーシェルに取り付けた点火缶の使用により中央筒を省略する。本明細書に於てクーラント/フィルタとは、好ましくは非アジドガス発生剤により発生されたガスを冷却すること及び濾過することという2重の機能をよりよく述べるためのクーラント/フィルタ構造または装置をさすものである。
【0052】
好ましい態様に於いてクーラント/フィルタ構造を通る圧力損失は、好ましくは、常温において流量100l/min/cm2で0.5×10-2〜1.2×10-2kg/cm2とする。より好ましくは、常温において流量100l/min/cm2で0.7×10-2〜0.9×10-2kg/cm2とする。
【0053】
本ガス発生器に好適の固体のガス発生手段として、NQ/Sr(NO32/CMCからなるペレット状ガス発生剤がある。これは、NQ(ニトログアニジン)32.4重量%、Sr(NO32(硝酸ストロンチウム)57.6重量%、CMC(カルボキシメチルセルロース)10重量%の混合物である。NQは燃料として作用し、Sr(NO32は酸化剤として作用し、そしてCMCはバインダーとして作用する。
【0054】
固体ガス発生剤は好ましくは70kg/cm2の圧力下で5〜30mm/秒の線燃焼速度を有し、より好ましくは5〜15mm/秒である。
【0055】
ディフューザシェルとクロージャシェルは、それぞれ、厚さ1.2〜3.0mmのステンレス鋼板からなり、ディフューザシェルは45〜75mmの外径を、クロージャシェルは45〜75mmの外径をそれぞれ有し、ディフューザシェルとクロージャシェルとで形成される外周壁と、クーラント/フィルタとの間に1.0〜4.0mmの間隙が形成されることが好ましい。
【0056】
ディフューザシェルとクロージャシェルは、ガス発生器のハウジングを形成し、少なくとも一方に取付用のフランジを設けることができる。ディフューザシェルとクロージャシェルを各種溶接法、例えばプラズマ溶接、摩擦溶接、プロゼクション溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接などにより接合することができる。ディフューザシェルとクロージャシェルの材料に関し、ステンレス鋼板に代わり鋼板にニッケルメッキを施したものを使用してもよい。ディフューザシェルとクロージャシェルとで形成される外周壁と、クーラント/フィルタとの間に形成される上記間隙は、クーラント/フィルタを通過して冷却・浄化されたガスが、ディフューザシェルのガス排出口に至るガス流路として機能する。
【0057】
ディフューザシェルのガス排出口を、2.0〜5.0mmの直径とし、合計12〜24個周方向に配置することができる。
【0058】
電気作動式ガス発生器の中央筒部材は、厚さ1.2〜3.0mmのステンレス鋼板を管状に丸めて溶接した管よりなり、17〜22mmの外径を有することができる。機械作動式ガス発生器では、中央筒板は厚さ1.5〜7.5mmで外径が19〜30mmである。
【0059】
中央筒部材はまた、1.5〜3.0mmの直径を有し周方向に配置された合計6〜9個の貫通孔を有することが好ましい。この貫通孔は、千鳥形に2列に配置され、一方の列は直径1.5mmの貫通孔3個からなり、他方の列は直径2.5mmの貫通孔3個からなることができる。中央筒部材は点火手段用の中空室を形成し、この中空室に点火器と伝火薬からなる点火手段が収容される。前記貫通孔はこの伝火薬の火炎が噴出する孔となる。中央筒部材は、その内周部に雌ねじを刻設し、点火器の外周部に雄ねじを刻設し、中央筒部材に点火器を螺合することにより点火手段を中央筒部材に固定することができる。あるいは、中央筒部材は一端にかしめ部を有し、このかしめ部をかしめることにより中央筒部材に点火手段を固定することができる。その他、溶接により固定することもできる。中央筒部材をディフューザシェルに固定する方法として、摩擦溶接、プロゼクション溶接、レーザ溶接、アーク溶接、電子ビーム溶接などが挙げられる。
【0060】
クーラント/フィルタは、平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮して成形したものからなることが好ましい。このようにして成形されたクーラント/フィルタは、空隙構造が複雑となり、優れた捕集効果を有する。その様にして、冷却機能と捕集機能を兼ね備えた一体型のクーラント/フィルタが実現できる。好ましい態様に於てかかるクーラント/フィルタは常温及び流量100l/min/cm2 の条件下で、0.3×10-2〜1.5×10-2kg/cm2 の圧力損失を有する。
【0061】
より具体的には、平編のステンレス鋼製金網を円筒体に形成し、この円筒体の一端部を外側に繰り返し折り曲げて環状の積層体を形成し、この積層体を型内で圧縮成形することによりクーラント/フィルタを成形することができる。あるいは、平編のステンレス鋼製金網を円筒体に形成し、この円筒体を半径方向に押圧して板体を形成し、この板体を筒状に多重に巻回して積層体を形成し、この積層体を型内で圧縮成形することによってもクーラント/フィルタを成形することができる。金網の材料であるステンレス鋼は、SUS304、SUS310S、SUS316(JIS規格記号)などを使用することができる。SUS304(18Cr−8Ni−0.06C)は、オーステナイト系ステンレス鋼として優れた耐食性を示す。
【0062】
クーラント/フィルタはまた、線径0.3〜0.5mmの金網からなり、内側に線径0.5〜0.6mmの金網からなる厚さ1.5〜2.0mmの層を有する二重構造とすることができる。内側の層は、クーラント/フィルタに向け噴出される点火剤の火炎、及びこの火炎により点火されて燃焼するガス発生剤の燃焼ガスに対しクーラント/フィルタを保護するクーラント/フィルタ保護機能を有する。
【0063】
クーラント/フィルタは、55〜65mmの外径、45〜55mmの内径、及び26〜32mmの高さを有することができる、即ち厚さが5〜10mmである。さもなくば外径40〜65mm、内径30〜55mm、及び高さ19〜37.6mmであり得る。また、クーラント/フィルタは、その移動を阻止するクーラント/フィルタ支持部材を有することが好ましい。このクーラント/フィルタ支持部材は、中央筒部材に穿たれた点火剤の火炎用貫通孔に対向して配置されクーラント/フィルタの内周面をカバーする防炎板部を有する。この防炎板部は、クーラント/フィルタに向け噴出される火炎に対しクーラント/フィルタを保護するクーラント/フィルタ保護機能と、噴炎の方向転換を図り火炎がガス発生剤に十分に回るようにする燃焼促進機能を有する。また、このクーラント/フィルタ支持部材は、ハウジング内面とクーラント/フィルタ端面間の燃焼ガスのショートパスを防止するショートパス防止機能も有する。クーラント/フィルタ支持部材を厚さ0.5〜1.0mmのステンレス鋼板、鋼板などから形成することができる。又上記防炎板部を支持部材とは別個の防炎板としてクーラント/フィルタ内周面に接して、又はそれから間隔をおいて配置することもできる。
【0064】
ハウジング内に外部より湿気が侵入するのを阻止するために、ディフューザシェルのガス排出口がその直径の2〜3.5倍の幅を有するアルミニウムテープにより塞がれることが好ましい。アルミニウムシールテープの貼付は、粘着性アルミニウムテープ、または接着剤、好ましくは加熱により溶融して接着を確実なものとすることができる例えばホットメルト系接着剤を使用することにより行うことができる。
【0065】
燃焼室にガス発生剤のクッションを配設することができる。このクッションは、ステンレス鋼製金網から形成され、支持板に固定され、この支持板は、その内周部及び外周部に曲折部を備え、この曲折部の弾力により中央筒部材とクーラント/フィルタ間に固定されることが好ましい。クッションをステンレス鋼製金網から形成した場合、このクッションはクーラントとしても機能することができる。クッションをシリコン発泡体から形成することもできる。
【0066】
ハウジングの全高は、30〜35mmとすることが好ましい。
【0067】
クーラント/フィルタは所定の線径と所定の嵩密度を有する。線径と嵩密度の正しい設定は燃焼ガスの燃焼残渣も捕らえることができ、クーラント/フィルタの保形強度を十分に増すことができる。このように、クーラント/フィルタが燃焼圧力で変形するのを防ぎ、燃焼汚れ残渣を捕らえる正常な機能を確保し、クーラント/フィルタは厚みを減少することができる。このかさ密度は好ましくは3.5〜4.5g/cm3で、しかし線径0.3〜0.6mmのとき3.0〜5.0g/cm3であり得る。
【0068】
金属メッシュの代りに、焼結金属がクーラント/フィルタ手段を形成するため使用され得る。クーラント/フィルタはまた金属及びセラミックの複合材料又は発泡金属体からも作ることができる。
【0069】
他のいくつかのクーラント/フィルタの態様があるが、図面と共に詳細な説明で記載する。
【0070】
本発明はまた米国特許第5,466,420で記載されたようなアルミニウムハウジングに於いて利用され得る。この場合に於いて、厚さ2〜4mmをもつハウジングがプレス形成以外の手段により形成され、ディフューザシェルはクロージャシェルに対し摩擦溶接により結合される。
【0071】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は次のものを含む:
上記の如き本発明のガス発生器と、
衝撃を感知しその感知信号を出力する衝撃センサと、
前記感知信号を入力し前記ガス発生器の点火手段に作動信号を出力するコントロールユニットと、
前記ガス発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグ、及び
前記エアバッグを収容するモジュールケースからなるエアバッグ装置である。
本発明は、ガスがハウジングを変形したり、その変形の結果クーラント/フィルタの両端面をバイパスしたりするのを防ぐことにより、比較的薄い材料でハウジングを形成することを可能とする。本発明は、クーラント/フィルタとそれと協働し前記のようなショートパスとクーラント/フィルタからのバイパスを防止する協働する邪魔板との組み合わせを提供する。これは図面の詳細な説明でより詳しく記載する。このような防止構造がないと、濾過されなかった燃焼残渣がガス発生器から出ていって、組合わせのバッグを傷つける。提供された構造はすべて運転者用、乗員用、側面衝突用のガス発生器のためである。
【0072】
次に非アジドガス発生剤に適したハウジングのパラメーターを説明する。
【0073】
多くの非アジドガス発生剤の比較的遅い燃焼速度(30mm/秒未満)に適応するように、また運転者用、乗員用、側面衝突用に適切な時間でガス発生剤が完全に燃焼することを確実にするように、A/At比を調節する。Aはガス発生剤の全表面積であり、Atはガス発生器のディフューザシェル中のガス排出孔の総面積である。
【0074】
運転席のエアバッグ用ガス発生器の場合、非アジドガス発生剤の好ましい量は20より50gのオーダーである。乗員席(所謂助手席)では、非アジドガス発生剤の好ましい量は40より190gである。側面衝突用では、10より25gである。この燃焼パラメーターはさらに以下に詳述する非アジドガス発生剤の粒子径を調整することにより強化される。他の調整するパラメーターはガス発生器ハウジング内の内容積とガス発生剤の量であり、これも以下に詳述する。
【0075】
またガスの流れの最適化はクーラント/フィルタとハウジングの端壁との間の規定されたガス通路乃至空間の放射方向(環状の)断面積Stを、ディフューザのガス排出孔の総面積Atと同じかより大きいように制御することにより達成し得る。この比St/Atは好ましくは1〜10の範囲、より好ましくは2〜5の範囲に入るのが好ましい。
【0076】
このガス通路乃至空間の環状断面積を維持するために、クーラント/フィルタには外側の多孔の円筒状補強材を設け、これがガス通路の内壁を規定し、発生したガスの圧力下のクーラント/フィルタのその通路への膨張を防止する。他の適当な外周壁支持層も又この目的のために設けられ得る。
【0077】
本発明のクーラント/フィルタ構造はデイフイーザ孔より噴出するガス中の固体粒子の量を2g未満に調節する。好ましくは、1g未満より0.7g未満である。
【0078】
さらに、デイフューザ孔の総面積Atと発生ガスの容量の比は所望の指数(インデックス)より大きく維持し、そして130cc又はそれ以下の容量をもつガス発生器ハウジング中で最大圧力範囲が100より300kg/cm2に維持されるようにデイフイーザ孔の大きさと数により(70kg/cm2圧力下で線燃焼速度が30mm/秒以下である非アジドガス発生剤に対して)面積Atが調整される。120ccのハウジング容積に於いて、ガス排出孔の総面積は好ましくは1.13cm2である。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0080】
図1は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の断面図である。本ガス発生器は、ディフューザシェル1とクロージャシェル2からなるハウジング3と、このハウジング3内の中央筒部材4と、そしてこの中央筒部材4を取り囲んで配設されるクーラント/フィルタ5を含んでいる。
【0081】
ディフューザシェル1は、ステンレス鋼板をプレスにより成形してなり、その周壁部6に本実施例では3mm径のガス排出口7が周方向に20個等間隔に配設されている。このディフューザシェル1は、円形部8の中央に内側に凹んだ凹部9を有し、この凹部9は、点火装置を構成する点火器18と共に、点火装置の伝火薬容器10を挟持している。クロージャシェル2は、ステンレス鋼板をプレスにより成形してなり、その中央部に中央孔12を有している。この中央孔12と同心に中央筒部材4が配置され、この中央筒部材4の一端側端面34がクロージャシェルの内面35に当接している。クロージャシェル2はまた、その周壁部13の先端部に取付用のフランジ部14を有している。ディフューザシェル1とクロージャシェル2は、各周壁部において互いに嵌合し、この嵌合部においてレーザ溶接15がされ、両者は接合されてハウジング3を形成している。
【0082】
中央筒部材4は、両端が開放したステンレス鋼管よりなり、その一端側に雌ねじ32が切られている。中央筒部材4の他端側は、イナートガスアーク溶接により、ディフューザシェルの円形部8にその凹部9を取り囲むようにして固定されている。この中央筒部材4の内側に点火装置用中空室、すなわち点火装置を収容するための点火装置収容室17が形成されている。点火装置は、センサ(図示せず)からの信号により作動する点火器18と、この点火器18により着火される伝火薬を充填した伝火薬容器10からなっている。点火器18の外周面に雄ねじ36が切られており、この雄ねじ36は中央筒部材の雌ねじ32と螺合して点火器18は中央筒部材4にねじ結合されている。点火器18に備わる鍔部37は、ねじのゆるみ止めの機能を有する。点火器18はその外周溝にOリング20を備え、このOリング20は点火手段収容室17のシールを果たしている。中央筒部材4はまた、その他端側に千鳥形に配列した2列の貫通孔列21を有している。本実施例の場合、2列のうち、一方の列は直径1.5mmの貫通孔3個からなり、他方の列は直径2.5mmの貫通孔3個からなっている。
【0083】
ディフューザとクロージャのシェル1、2と中央筒部材4のいくつかの好ましいパラメータは次の如くである。
【0084】
ディフューザシェルとクロージャシェルは、それぞれ、厚さ1.2〜2.0mmのステンレス鋼板からなり、ディフューザシェルは65〜70mmの外径を、クロージャシェルは65〜75mmの外径をそれぞれ有し、ディフューザシェルとクロージャシェルとで形成される外周壁と、クーラント/フィルタ間に1.0〜4.0mmの間隙が形成されることが好ましい。
【0085】
ディフューザシェルのガス排出口を、2.0〜5.0mmの直径とし、合計16〜24個周方向に配置することができる。
【0086】
中央筒部材は、厚さ1.2〜3.0mmのステンレス鋼板を管状に丸めて溶接した管よりなり、17〜20mmの外径を有することができる。
【0087】
中央筒部材はまた、1.5〜3.0mmの直径を有し周方向に配置された合計6〜9個の貫通孔を有することが好ましい。
【0088】
これらの貫通孔は、千鳥形に2列に配置され、一方の列は直径1.5mmの貫通孔3個からなり、他方の列は直径2.5mmの貫通孔3個からなることができる。
【0089】
さらに、中央筒部材4は電気式又は機械式センサの使用に応じて異なる寸法であることが好ましい。機械式では、筒壁の厚さは1.5〜7.5mmで外径19〜30mm、電気式では筒壁の厚さは1.2〜3.0mmで外径17〜22mmである。
【0090】
クーラント/フィルタ5は、中央筒部材4を取り囲んで配設され、ハウジングと共に中央筒部材4の周囲に環状の室、すなわちガス発生手段用燃焼室22を画成している。このクーラント/フィルタ5は、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮してなり、3.0〜5.0g/cm3のかさ密度を有する。このクーラント/フィルタ5の好ましい成形方法を図
面に基づき説明する。先ず、線径0.3〜0.6mmのステンレス鋼製素線を平編みして図2に示すような円筒体60に形成する。次に、この円筒体60の一端部61を図3に示すように外側に折り曲げ、これを繰り返し折り曲げて環状の積層体62を形成する。折曲げの回数は、素線の線径、クーラントの厚さなどを勘案して決められる。最後に、この積層体62を型(図示せず)に入れ、かさ密度が3.0〜5.0g/cm3となるように、型内で半径方向及び軸方向に圧縮して図4に示すようなクーラント/フィルタ5を得る。
【0091】
本発明のクーラント/フィルタは、線径0.3〜0.6mmの平編の金網を筒状に半径方向に重ね半径方向及び軸方向に圧縮成形してなる。このような編目構造を有する金網を半径方向に積層して圧縮成形してなる本クーラント/フィルタは、空隙構造が複雑となり、優れた捕集効果を有する。そのために、本クーラント/フィルタは、本来の冷却機能に加えて、フィルタとしての捕集機能も有することができ、本発明によれば、それ故冷却機能と捕集機能を兼ね備えたクーラント/フィルタ一体型のクーラント/フィルタが実現できる。
【0092】
クーラント/フィルタ5の別の成形方法を図5及び6に基づき説明する。図2に示すような円筒体60を形成した後、この円筒体60を半径方向に押圧して図5に示すような板体64を形成する。この板体64を図6に示すように筒状に多重に巻回して積層体65を形成し、この積層体65を型内で半径方向及び軸方向に圧縮してクーラント5を成形することができる。
【0093】
このようにして成形されたクーラント/フィルタ5は、各層においてループ状の編目が押し潰されたような形63をしており、それが半径方向に層をなしている。従って、クーラントの空隙構造が複雑となり、このクーラントは優れた捕集効果を有する。
【0094】
図11に示す様に、平編は金属線を編んで形成され、編目がすべて一方向に引き出されてループをなしており、空隙構造を有する。
【0095】
上記成形方法を用いて、常温において流量100l/min/cm2で0.3×10-2〜1.5×10-2kg/cm2の圧力損失を有するように、圧縮成形された本クーラント/フィルタを得ることができる。
【0096】
積層体65の内側に別の積層体を挿入して圧縮成形することにより、二重構造のクーラントをつくることができる。別の積層体は、例えば線径0.5mmの金網からなる図5に示すような板体64を図6に示すようにして2回程度巻回したものからなることができる。
【0097】
このクーラント/フィルタ5は燃焼室22を画成し、燃焼室で発生した燃焼ガスを冷却し、燃焼残渣を捕集する機能を有する。リング体23がクーラント/フィルタ5の外側に装着され、全周壁に多くの通過孔を有し、クーラント/フィルタ5を強化する。これらは図1に示されている。
【0098】
さらに図1について述べると、ディフューザシェルの円形部8を取り囲んで周方向に傾斜部67が形成されている。また、クロージャシェルの環状部68を取り囲んで同じように周方向に傾斜部69が形成されている。これら傾斜部67及び69は、クーラント/フィルタ5の移動を阻止する手段として機能すると共に、ハウジングの外周壁6及び13と、クーラント/フィルタのリング体23間に間隙を形成する手段としても機能している。
【0099】
燃焼室22にペレット状のガス発生剤25、及びこのガス発生剤25のクッション26が配設されている。リング形クッション26は、ステンレス鋼製金網から形成され、支持板24に固定されている。このクッション26は、クーラントを兼ねている。リング形支持板24は、ステンレス鋼板よりなり、その内周部及び外周部に曲折部66を備え、この曲折部66の弾力により中央筒部材4とクーラント5間に固定されている。
【0100】
ハウジングの外周壁6及び13と、クーラント/フィルタのリング体23間に間隙が形成されており、この間隙28は、クーラント/フィルタ5を通過して冷却・浄化されたガスが、ディフューザシェルのガス排出口7に至るガス流路として機能する。また、ハウジング3内に環境湿気が侵入するのを阻止するために、アルミニウムシールテープ29によりディフューザシェルのガス排出口7が塞がれている。
【0101】
このように構成された本ガス発生器において、衝撃をセンサ(図示せず)が感知すると、その信号が点火器18に送られて点火器18が作動し、これによって伝火薬容器10内の伝火薬が着火して高温の火炎を生成する。この火炎は貫通孔列21より噴出し、燃焼室22内のガス発生剤25に点火する。これによりガス発生剤が燃焼して高温・高圧のガスを生成し、この燃焼ガスはクッション26により冷却されまた燃焼残渣が捕集され、更にクーラント/フィルタ5を通過する間に冷却されまた燃焼残渣が捕集される。冷却・浄化された燃焼ガスは、多孔リング体23の貫通孔を通過し、間隙28を通り、アルミニウムシールテープ29の壁を破ってガス排出口7より噴出し、エアバッグ(図示せず)内に流入する。これによりエアバッグは膨張して乗員と堅い構造物の間にクッションを形成し、衝撃から乗員を保護する。
【0102】
図8に、本発明のガス発生器を有するエアバッグ装置の例を示す。このエアバッグ装置は、ガス発生器80と、衝撃センサ81と、コントロールユニット82と、モジュールケース83と、そしてエアバッグ84からなっている。
【0103】
ガス発生器80は、図1に基づいて説明したガス発生器が使用されている。
【0104】
衝撃センサ81は、例えば半導体式加速度センサからなることができる。この半導体式加速度センサは、加速度が加わるとたわむようにされたシリコン基板のビーム上に4個の半導体ひずみゲージが形成され、これら半導体ひずみゲージはブリッジ接続されている。加速度が加わるとビームがたわみ、表面にひずみが発生する。このひずみにより半導体ひずみゲージの抵抗が変化し、その抵抗変化を加速度に比例した電圧信号として検出するようになっている。
【0105】
コントロールユニット82は、点火判定回路を備えており、この点火判定回路に前記半導体式加速度センサからの信号が入力するようになっている。センサからの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット82は演算を開始し、演算した結果がある値を越えたときガス発生器80の点火器18に作動信号を出力する。
【0106】
モジュールケース83は、例えばポリウレタンから形成され、モジュールカバー85を含んでいる。このモジュールケース83内にエアバッグ84及びガス発生器80が収容されてパッドモジュールとして構成され、このパッドモジュールは自動車のステアリングホイール87に取り付けられている。
【0107】
エアバッグ84は、ナイロン(例えばナイロン66)、またはポリエステルなどから形成され、その袋口86がガス発生器のガス排出口7を取り囲み、折り畳まれた状態でガス発生器のフランジ部14に固定されている。
【0108】
自動車の衝突時に衝撃を半導体式加速度センサ81が感知すると、その信号がコントロールユニット82に送られ、センサからの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット82は演算を開始し、演算した結果がある値を越えたときガス発生器80の点火器18に作動信号を出力する。これにより点火器18が作動してガス発生剤に点火しガス発生剤は燃焼してガスを生成する。このガスはエアバッグ84内に噴出し、これによりエアバッグはモジュールカバー85を破って膨出し、ステアリングホイール87と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0109】
図7に本発明のガス発生器の別の例を示す。このガス発生器は、ディフューザシェルとクロージャシェルの形状が図1のものと比べて異なる。すなわち、ディフューザシェル1′とクロージャシェル2′は、それぞれフランジ部30、31を有し、これらフランジ部30及び31が重ね合わされて溶接がされている。また、クロージャシェル2′は、中央孔の縁が軸方向に曲折する曲折部72を有し、この曲折部72の内周面により中央孔12′が形成されている。更に、ディフューザシェル1′は、周方向に延びる傾斜部70の構成により、皿形の円形部8′を有し、この皿形円形部8′は中央筒部材4′の位置決めの機能を果たしている。
【0110】
中央筒部材4′は、その一端がクロジャシェル2′の外側に突出し、その突出端にかしめ部16を形成している。また他端側には外向きフランジ33が形成され、この外向きフランジ33をディフューザシェルの皿形円形部8′の底に当接させ、外向きフランジ33と円形部8′との間にプロゼクション溶接が施されて、中央筒部材4′はディフューザシェル1′に固定されている。中央筒部材4′はまた、その他端側に1列の貫通孔列21′を有している。本実施例の場合、直径2.5mmの貫通孔が6個円周方向に配置されている。貫通孔列21′はアルミニウムテープ74により塞がれており、中央筒部材4′内に直接伝火薬75が充填されている。中央筒部材4′が皿形円形部8′によりその底に位置決めされ、ディフューザシェル1′に固定された後、クロージャシェルの中央孔12′が中央筒部材4′に挿通され、その後クロージャシェルとディフューザシェル、及びクロージャシェルと中央筒部材が接合される。中央筒部材4′に弾力により嵌合しているリング形板部材76は、溶接防護板として機能している。中央筒部材4′の一端側に点火器18′用の段部71が形成されている。点火器18′は、伝火薬75が充填された後、中央筒部材4′内に挿入され段部71に係止される。その後、中央筒部材のかしめ部16をかしめることによりハウジング3′に固定される。
【0111】
クーラント/フィルタ5′は、その移動を阻止するクーラント/フィルタ支持部材38を有している。このクーラント/フィルタ支持部材38は、約1mm厚のステンレス鋼板をプレス成形してなり、中央筒部材の外向きフランジ33を取り巻いて配置され傾斜部70に当接する環状部39と、この環状部39に対し曲折する防炎板部60を有している。防炎板部60は、中央筒部材に穿たれた点火手段の火炎用貫通孔、すなわち前記貫通孔列21′に対向して配置され、クーラント/フィルタ5′の内周面61をカバーしている。この防炎板部60は、クーラント/フィルタ5′に向け噴出される火炎に対しクーラントを保護するクーラント保護機能と、噴炎の方向転換を図り火炎がガス発生剤に十分に回るようにする燃焼促進機能を有している。なお、クーラント/フィルタの移動を阻止する手段として、上記傾斜部67、69(図1)、及びクーラント/フィルタ支持部材38の他に、ハウジングの上下、又はいずれか一方の角部73を内側に突出させてクーラント5′に当接する突出部を形成し、これによりクーラント/フィルタ5′の移動を阻止するようにしてもよい。また、図1のクーラント/フィルタ5に備わる多孔リング体23は、必ずしも必要ではなく、本実施例のクーラント/フィルタ5′の場合、このようなものを備えていない。
【0112】
このように構成された本ガス発生器において、衝撃をセンサ(図示せず)が感知すると、その信号が点火器18′に送られて点火器18′が作動し、これによって伝火薬75が着火して高温の火炎を生成する。この火炎は、アルミニウムテープ74の壁を破り貫通孔列21′より噴出し、クーラント/フィルタ5′により画成された燃焼室22′内に入る。燃焼室22′に入った火炎は、貫通孔列21′付近のガス発生剤25′に点火すると共に、防炎板部60により進路が曲げられて燃焼室下部のガス発生剤に点火する。これによりガス発生剤が燃焼して高温・高圧のガスを生成し、この燃焼ガスは、クーラント/フィルタ5′を通過し、クーラント/フィルタ5′を通過する間に冷却されまた燃焼残渣が捕集され、冷却・浄化された燃焼ガスは、ガス流路28′を通り、ガス排出口7′を経てエアバッグ(図示せず)内に流入する。これによりエアバッグが膨張し、乗員と堅い構造物の間にクッションを形成して衝撃から乗員を保護する。
【0113】
図10に本発明のクーラント/フィルタの一例をエアバッグ用ガス発生器に適用した例を示す。このガス発生器は、ディフューザシェル111とクロージャシェル112からなるハウジング113と、このハウジング113内の中央部に配置される中央筒部材114と、そしてこの中央筒部材114を取り囲んで配設されるクーラント/フィルタ104を含んでいる。
【0114】
ディフューザシェル111は、ステンレス鋼板をプレスにより成形してなり、その周壁部106にガス排出口107が周方向に複数個等間隔に配設されている。ディフューザシェル111はまた、周方向に延びる傾斜部70の構成により、皿形の円形部108を有し、この皿形円形部108は中央筒部材114の位置決めの機能を果たしている。クロージャシェル112は、ステンレス鋼板をプレスにより成形してなり、その中央部に孔部を有し、この孔部の孔縁は軸方向外側に曲折して曲折部172を形成しており、この曲折部172の内周面により中央孔115を形成している。
【0115】
中央筒部材114は、ステンレス鋼管よりなり、その一端がクロージャシェル112の外側に突出し、その突出端にかしめ部116を形成している。また他端側には外向きフランジ133が形成され、この外向きフランジ133をディフューザシェルの皿形円形部108の底に当接させ、外向きフランジ133と円形部108との間にプロゼクション溶接が施されて、中央筒部材114はディフューザシェル111に固定されている。中央筒部材114はまた、その他端側に1列の貫通孔列121を有している。
【0116】
この中央筒部材114の内側に、点火手段を収容するための点火手段収容室117が形成されている。点火手段は、センサ(図示せず)からの信号により作動する点火器118と、この点火器118により着火される伝火薬175からなっている。貫通孔列121はアルミニウムシールテープ174により塞がれており、中央筒部材114内に直接伝火薬175が充填されている。
【0117】
中央筒部材114が皿形円形部108によりその底に位置決めされ、ディフューザシェル111に固定された後、クロージャシェルの中央孔115が中央筒部材114に挿通され、ディフューザシェルのフランジ部130とクロージャシェルのフランジ部131が重ね合わされ、その後クロージャシェルとディフューザシェル、及びクロージャシェルと中央筒部材が接合される。中央筒部材114に弾力により嵌合しているリング形板部材176は、溶接防護板として機能している。中央筒部材114の一端側に点火器118用の段部171が形成されており、点火器118は、伝火薬175が充填された後、中央筒部材114内に挿入され段部171に係止される。その後、中央筒部材のかしめ部116をかしめることによりハウジング113に固定される。
【0118】
クーラント/フィルタ104は、中央筒部材114を取り囲んで配設され、ハウジング113と共に中央筒部材114の周囲に環状の室、すなわち燃焼室122を画成している。燃焼室122内にペレット状のガス発生剤125が充填されている。このクーラント/フィルタ104は、その移動を阻止するクーラント/フィルタ支持部材138を備えている。このクーラント/フィルタ支持部材138は、ステンレス鋼板をプレス成形してなり、中央筒部材の外向きフランジ133を取り囲んで配置され傾斜部170に当接する環状部139と、この環状部139に対し曲折する防炎板部160を有している。防炎板部160は、貫通孔列121に対向して配置され、クーラント/フィルタ104の内周面161をカバーしている。この防炎板部160は、クーラント/フィルタ104に向け噴出される火炎に対しクーラント/フィルタを保護すると共に、噴炎の方向転換を図り火炎がガス発生剤に十分に回るようにしている。
【0119】
ハウジングの外周壁106及び109と、クーラント/フィルタ104間に間隙128が形成されており、この間隙128は、クーラント/フィルタ104を通過して冷却・浄化されたガスが、ディフューザシェルのガス排出口107に至るガス流路として機能する。また、ハウジング113内に外部より湿気が侵入するのを阻止するために、アルミニウムテープ129によりディフューザシェルのガス排出口107が塞がれている。
【0120】
このように構成されたガス発生器において、衝撃をセンサ(図示せず)が感知すると、その信号が点火器118に送られて点火器118が作動し、これによって伝火薬175が着火して高温の火炎を生成する。この火炎はアルミニウムテープ174の壁を破り貫通孔列121より噴出し、クーラント/フィルタ104により画成された燃焼室122内に入る。燃焼室122に入った火炎は、貫通孔列121付近のガス発生剤125に点火すると共に、防炎板部160により進路が曲げられて燃焼室下部のガス発生剤に点火する。これによりガス発生剤が燃焼して高温・高圧のガスを生成する。クーラント/フィルタ104は、燃焼室内で発生する燃焼ガスの圧力をガス発生剤の正常な燃焼にとって望ましい値に維持するように作用する。この燃焼ガスは、クーラント/フィルタ104を通過しその間に、クーラント/フィルタの冷却機能により冷却され、またクーラント/フィルタの捕集機能により燃焼残渣が捕集され、冷却・浄化された燃焼ガスは、ガス流路128を通り、ガス排出口107を経てエアバッグ(図示せず)内に流入する。これによりエアバッグが膨張し、乗員と堅い構造物の間にクッションを形成して衝撃から乗員を保護する。
【0121】
図13は本発明のクーラント/フィルタの他の例をエアバッグ用ガス発生器に適用した図10と同様な図の部分拡大図である。
【0122】
クーラント/フィルタ104’は、ガス発生剤125を取り囲んで配設され、中央筒部材114の周囲に環状の室、すなわち燃焼室122を画成している。このクーラント/フィルタ104’は、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮してなる。このクーラント/フィルタ104’は、各層においてループ状の編目が押し潰されたような形をしており、それが半径方向に層をなしている。従って、クーラント/フィルタの空隙構造が複雑となり、このクーラントは優れた捕集効果を有する。クーラント/フィルタ104’の外側に積層金網体からなる外層129が形成されている。この外層129は、ガス発生器作動時にガス圧によりクーラント/フィルタ104’が膨出して上記間隙128を塞ぐことのないように、クーラント/フィルタの膨出を抑止する抑止手段として機能すると共に、冷却機能も有している。このクーラント/フィルタ104’により、燃焼室122が画成されると共に、燃焼室で発生した燃焼ガスが冷却され、そして燃焼残渣が捕集される。なお、上記外層129に代わり、ワイヤ乃至ベルト手段によりクーラント/フィルタ104’の周囲を取り巻いてもよい。ワイヤ乃至ベルト手段が両フランジ部の接合部位にあるようにすると、間隙128の環状断面積変化が最小限に抑えられる。
【0123】
クーラント/フィルタの膨出を抑止する抑止手段を多孔円筒体から構成することができる。多孔(パーフォレーテッド)円筒体の例を図14及び図15に示す。この多孔円筒体は、クーラント/フィルタの外周面に嵌合する内周面330、331を有し、周壁部332、333全体に均一に配置された多数の貫通孔334、335を有している。貫通孔334は小径の丸穴からなり、貫通孔335は大径の四角穴からなっている。これらの膨出抑止手段はクーラント/フィルタ104’の圧力損失に影響を与えることはない。即ちそれらはクーラント/フィルタ手段より小さい圧力損失を有する。
【0124】
図16は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の例の断面図である。本ガス発生器は、ディフューザシェル401とクロージャシェル402からなるハウジング403と、このハウジング403内の収容空間に配設される点火手段、すなわち点火器404及び伝火薬405と、これらにより点火されて燃焼ガスを発生するガス発生手段、すなわち固形ガス発生剤406と、ハウジング403と共にガス発生剤406を収容する燃焼室428を画成するフィルタ手段、すなわちクーラント/フィルタ407と、そしてこのクーラント/フィルタ407と前記ハウジング403の内周壁408間に形成される間隙409とを含んでいる。
【0125】
ディフューザシェル401は、ステンレス鋼板をプレスにより成形してなり、円形部412と、この円形部412の外周部に形成される周壁部410と、この周壁部410の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部419を有している。周壁部410に本実施例では3mm径のガス排出口411が周方向に18個等間隔に配設されている。このディフューザシェル401は、その円形部412の中央部に段差により外側に突出した突出円形部413が形成され、この突出円形部413は、ハウジング、特にその天井部に剛性を与えると共に、収容空間の容積増大を果たしている。この突出円形部413と点火器404の間に伝火薬405を収容する伝火薬容器453が挟持されている。
【0126】
クロージャシェル402は、ステンレス鋼板をプレスにより成形してなり、円形部430と、この円形部430の中央部に形成される中央孔415及びこの円形部430の外周部に形成される周壁部447と、この周壁部447の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部420を有している。中央孔415は、その孔縁部に軸方向曲折部414を有している。この中央孔415に嵌合して中央筒部材416が配置され、この中央筒部材416の一端側端面417は曲折部414の端面418と面一になっている。
【0127】
ディフューザシェル401とクロージャシェル402は、それぞれフランジ部419、420を有し、これらフランジ部419及び420が重ね合わされてレーザ溶接421がされ、両者は接合されてハウジング403を形成している。
【0128】
また、前記ディフューザシェルのフランジ部419は、図21のように、パットモジュールの取付金具への取付部410Aを有する。取付部410Aは周辺方向で90度間隔で配置され、ネジ穴410Bを有する。クロージャシェル上のフランジ420の輪郭は点線で示す。
【0129】
中央筒部材416は両端が開放したステンレス鋼管よりなり、その他端側は電子ビーム溶接422によりディフューザシェルの突出円形部413に固定されている。この中央筒部材416の内側に点火手段収容室423が形成され、この点火手段収容室423内に、センサ(図示せず)からの信号により作動する点火器404と、この点火器404により着火される伝火薬405を充填した伝火薬容器453が配設されている。この中央筒部材416は点火器用保持部材424を有し、この保持部材424は、点火器404の軸方向移動を規制する内向きフランジ部425と、点火器が嵌合し中央筒部材416の内周面に固定される周壁部426と、かしめにより前記内向きフランジ部425との間に点火器を軸方向に固定するかしめ部427とからなっている。中央筒部材416はまた、その他端側に貫通孔454を有している。本実施例の場合、直径2.5mmの貫通孔が周方向に6個等間隔に配設されている。
【0130】
中央筒部材416は、厚さ1.2〜2.0mmのステンレス鋼板を管状に丸めて溶接した管よりなり、17〜20mmの外径を有することができる。このような溶接管は、UOプレス方式(板をU形に成形した後、O形に成形し、継目を溶接するもの)、または電縫管方式(板を円形に成形し、継目に圧力を加えながら大電流を流して抵抗熱で溶接するもの)などにより形成することができる。
【0131】
クーラント/フィルタ407は、ガス発生剤406を取り囲んで配設され、中央筒部材416の周囲に環状の室、すなわち燃焼室428を画成している。このクーラント/フィルタ407は、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮してなる。このクーラント/フィルタ407は、各層においてループ状の編目が押し潰されたような形をしており、それが半径方向に層をなしている。従って、クーラント/フィルタの空隙構造が複雑となり、このクーラント/フィルタは優れた捕集効果を有する。クーラント/フィルタ407の外側に積層金網体からなる外層429が形成されている。この外層429は、ガス発生器作動時にガス圧によりクーラント/フィルタ407が膨出して上記狭い間隙409を塞ぐことのないように、クーラント/フィルタの膨出を抑止する抑止手段として機能する。このクーラント/フィルタ407により、燃焼室428が画成されると共に、燃焼室で発生した燃焼ガスが冷却され、そして燃焼残渣が捕集される。なお、上記外層429に代わり、ワイヤ乃至ベルト手段によりクーラント/フィルタ407の周囲を取り巻いてもよい。ワイヤ乃至ベルト手段が両フランジ部の接合部位にあるようにすると、間隙によるガス通路の断面積変化が最小限に抑えられる。
【0132】
クーラント/フィルタの膨出を抑止する抑止手段を図14及び図15について上述した多孔(パーフォレーテッド)円筒体から構成することができる。
【0133】
更に図16について説明すると、クロージャシェルの円形部430を取り囲んで周方向に傾斜部431が形成され、この傾斜部431は、クーラント/フィルタ407の移動を阻止する移動阻止手段として機能すると共に、ハウジングの外周壁408とクーラント/フィルタ407間に間隙409を形成する手段としても機能している。
【0134】
燃焼室428に、固形ガス発生剤406と、クーラント/フィルタ407の移動を阻止する移動阻止手段、すなわちクーラント/フィルタ支持部材432と、そしてプレート部材433が配設されている。ガス発生剤406は中空円柱体をなしており、この形状の故に、燃焼は外面及び内面で起こり、燃焼の進行につれてガス発生剤全体の表面積はあまり変わらないという利点を有している。クーラント/フィルタ支持部材432は、点火手段の火炎用貫通孔454に対向して配置されクーラント/フィルタ407の内周面をカバーする防炎板部434と、この防炎板部434と一体に形成され、中央筒部材416に嵌合する中央孔435を有する円形部436からなっている。防炎板部434は、クーラント/フィルタ407に向け噴出される火炎に対しクーラント/フィルタを保護するクーラント/フィルタ保護機能と、噴炎の方向転換を図り火炎がガス発生剤406に十分に回るようにする燃焼促進機能を有する。また、このクーラント/フィルタ支持部材432は、ガス発生器組立の際にクーラント/フィルタの位置決めとして機能すると共に、ガス発生器作動時にハウジングの内面437とクーラント/フィルタ端面438間の燃焼ガスのショートパスを防止するショートパス防止機能も有している。このような間隙はインフレイターハウジングの内壁へ当たる燃焼ガスの内圧によって形成され得る。プレート部材433は、支持部材432と同様厚さ0.5〜1.0mmのステンレス鋼板よりなり、中央筒部材416に嵌合する中央孔439と、充填ガス発生剤に当接してガス発生剤の移動を抑止する円形部450と、この円形部450と一体に形成されクーラント/フィルタ407の内周面に当接する周壁部451からなっている。このプレート部材433は、弾性力により中央筒部材416とクーラント/フィルタ407間に挟持され、クーラント/フィルタの前記端面438と反対側の端面における燃焼ガスのショートパスを防止している。またこのプレート部材433は、溶接の際に、溶接防護板としても機能している。
【0135】
ハウジングの外周壁408と、クーラント/フィルタの外層429間に間隙409が形成されている。この間隙409によりクーラント/フィルタ407の周囲に半径方向断面が環状のガス通路が形成される。本実施例の場合、ガス通路の半径方向断面積は一定であるが、例えばクーラント/フィルタを円錐形に形成してガス排出口411に接近するに従いガス通路の半径方向断面積が増大するようにすることもできる。この場合、ガス通路の半径方向断面積は、平均値をとることができる。また、前記傾斜部431に代わり、クーラント/フィルタ407の端部にハウジングの外周壁408に当接する突出部を設け、この突出部によりクーラント/フィルタ407の移動を阻止する移動阻止機能と、ハウジングの外周壁8とクーラント/フィルタ407間に間隙を形成する機能とをもたせることもできる。ガス通路の半径方向断面における面積Stは、ディフューザシェルの各ガス排出口411の開口面積Sの総和Atよりも大きくされている。クーラント/フィルタ周囲のガス通路の存在により、燃焼ガスはガス通路に向かって進み燃焼ガスはクーラント/フィルタの全領域を通過し、これによりクーラント/フィルタの有効利用と燃焼ガスの効果的な冷却・浄化が達成される。冷却・浄化された燃焼ガスは、上記ガス通路409を通ってディフューザシェルのガス排出口411に至る。
【0136】
ハウジング403内に外部より湿気が侵入するのを阻止するために、アルミニウムテープ452によりディフューザシェルのガス排出口411が塞がれている。
【0137】
このように構成された本ガス発生器において、衝撃をセンサ(図示せず)が感知すると、その信号が点火器404に送られて点火器404が作動し、これによって伝火薬容器453内の伝火薬405が着火して高温の火炎を生成する。この火炎は貫通孔454より噴出し、貫通孔454付近のガス発生剤406に点火すると共に、防炎板部434により進路が曲げられて燃焼室下部のガス発生剤に点火する。これによりガス発生剤が燃焼して高温・高圧のガスを生成し、この燃焼ガスは、クーラント/フィルタ407の全領域を通過し、その間に効果的に冷却されまた燃焼残渣が捕集され、冷却・浄化された燃焼ガスは、ガス通路(間隙409)を通り、アルミニウムテープ452の壁を破ってガス排出口411より噴出し、エアバッグ(図示せず)内に流入する。これによりエアバッグが膨張し、乗員と堅い構造物の間にクッションを形成して衝撃から乗員を保護する。
【0138】
図16のガス発生器を組立てる時は、ディフューザーシェル401を中央筒部材416とその突出円形部413を底にして接合し、プレート部材432を中央筒部材416上に嵌合し、クーラント/フィルタ407をプレート部材432の周壁の外側上に配設してクーラント/フィルタ407を位置決めし、クーラント/フィルタの内側に固体ガス発生剤406を充填し、ガス発生剤406上にプレート部材433を配設する。次でクロージャシェルの中央孔415が中央筒部材416上に、クロージャシェルのフランジ部420及びディフューザシェルのフランジ部419が重なる様におかれる。重ねられたフランジ部は421及び444に於てレーザ溶接され、ディフューザシェル401及びクロージャシェル402を一緒に溶接し、又クロージャシェル402及び中央筒部材416を一緒に溶接する。最後の工程として、伝火薬容器453及び点火器404が中央筒部材416中に挿入され、次で点火器保持部材412がかしめられて、それらを固定する。
【0139】
図17は、本発明の別の実施例のエアバッグ用ガス発生器の断面図である。本ガス発生器は、ディフューザシェル461とクロージャシェル462からなるハウジング463と、このハウジング463内の収容空間に配設される点火器464と、この点火器464により点火されて燃焼ガスを発生する固形ガス発生剤466と、このガス発生剤466を収容する燃焼室484を画成するクーラント/フィルタ467と、そしてこのクーラント/フィルタ467と前記ハウジング463の外周壁468間に形成される間隙469とを含んでいる。
【0140】
ディフューザシェル461は、ステンレス鋼板をプレスにより成形してなり、円形部478と、その外周部に形成される周壁部476を有している。周壁部476にはガス排出口477が周方向に等間隔に複数個配設されている。このディフューザシェル461は、その円形部478に放射状に配置された複数の半径方向リブ状体479を有している。これらリブ状体479は、ディフューザシェルの円形部478に剛性を与え、これによりハウジングの天井部を形成する円形部478がガス圧により変形するのを阻止している。
【0141】
又図22に示す如く、これらリブ状補強体479は、ハウジング、特にその天井部を形成するディフューザシェル円形部478に剛性を与え、これによりハウジングがガス圧により変形するのを阻止している。ディフューザシェルのフランジ部486は、図22に示すように、パットモジュールの取付金具への取付部497を有している。この取付部497は、フランジ部486の周方向に90度の間隔をおいて配設されており、ねじボルト用の取付穴476Bを有している。
【0142】
クロージャシェル462は、ステンレス鋼板をプレスにより成形してなり、円形部471と、その外周部に形成される周壁部472を有している。円形部471は中央部に凹部473が形成され、この凹部473の中央部に中央孔474が形成されている。この中央孔474は、その孔縁部に軸方向曲折部475を有し、この曲折部475は、点火器の胴部480が嵌合する内周面481と、点火器の鍔部482が係止する端面483を有している。軸方向曲折部475の内周面481は比較的大きなシール面が確保される。気密性確保のために、点火器の胴部480と内周面481間にシーリング材を充填することができ、また点火器の鍔部482と端面483間に溶接を行うことができる。点火器の鍔部482が係止する端面483は、燃焼室484内のガス圧により点火器464が抜け出るのを防止している。凹部473は、クロージャシェルの円形部471に剛性を与えると共に、点火器のコネクタ底面485を円形部471の外面よりも内側の位置においている。
【0143】
ディフューザシェル461は、その周壁部476の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部486を有し、またクロージャシェル462もその周壁部472の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部487を有している。これらフランジ部486、487がハウジングの軸方向略中央位置でかさね合わされてレーザ溶接488がされ、ディフューザシェル461とクロージャシェル462は互いに接合される。これらフランジ部486、487は、ハウジングの外周壁に剛性を与え、ガス圧によるハウジングの変形を阻止している。
【0144】
点火器464は、センサ(図示せず)からの信号により作動する慣用の電気式点火器からなっている。電気式点火器は、機械的な機構を含まず構造が簡単でかつ小型・軽量であるため、機械式の点火器よりも好ましい。この点火器464(出力:10cc密閉圧力容器内で300〜1500psi)には、図16の伝火薬容器453に類するものが付随していない。これはガス発生剤466の着火性、及び燃焼性が良いことによる。
【0145】
即ち、ガス燃焼剤466は330℃以下の分解点火温度を有し、2000°K以上の燃焼温度を有する。ガス発生剤466は中空円柱体をなしており、この形状の故に、燃焼は外面及び内面で起こり、燃焼の進行につれてガス発生剤全体の表面積はあまり変わらないという利点を有している。
【0146】
クーラント/フィルタ467は、中央孔474と同心に配置され、ハウジング463と共に燃焼室484を画成している。このクーラント/フィルタ467は、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮してなる。このクーラント/フィルタ467により、燃焼室484が画成されると共に、燃焼室で発生した燃焼ガスが冷却され、そして燃焼残渣が捕集される。このクーラント/フィルタ467の外側に積層金網体からなる外層489が形成されている。この外層489は、クーラント/フィルタを補強し、膨出を防止する。
【0147】
クロージャシェルの円形部471を取り囲んで周方向に傾斜部490が形成され、この傾斜部490は、クーラント/フィルタ467の位置決め乃至は移動を阻止する手段として機能すると共に、ハウジングの外周壁468と、クーラント/フィルタの外層489間に間隙469を形成する手段としても機能している。
【0148】
燃焼室484に固形ガス発生剤466とプレート部材491が配設されている。ガス発生剤466は、直接、燃焼室内の空間に充填され、点火器464に隣接して配設され、クーラント/フィルタ467の一側端部とシェル部分478の間の開口を塞ぐプレート部材の円形部492によりその移動が規制されている。プレート部材491は、前記円形部492と、クーラント/フィルタ467の一側端部の内周面に当接して該内周面をカバーする、前記円形部492と一体の周壁部493を有している。このプレート部材491により、クーラント/フィルタの一側端面494とディフューザシェル円形部478の内面間の燃焼ガスのショートパスが防止される。ショートパスを防止するプレート部材491が備わるときは、クーラント/フィルタのハウジングに対する固定は、反対側の端面495のみ行えばよい。
【0149】
ハウジングの外周壁468と、クーラント/フィルタの外層489間に間隙469が形成されており、この間隙469によりクーラント/フィルタ467の周囲に半径方向断面が環状のガス通路が形成されている。図16に示すガス発生器と同様に、ガス通路の半径方向断面における面積は、ディフューザシェルの各ガス排出口477の開口面積の総和よりも大きくされている。クーラント/フィルタ周囲に設けられたスペーサ489は、燃焼ガスがクーラント/フィルタ467の全領域を通過してガス通路469に向かって進み、それにより流れの均等さを改善し、且つクーラント/フィルタ467の有効利用と燃焼ガスの効果的な冷却・浄化が達成される。冷却・浄化された燃焼ガスは、上記ガス通路469を通ってディフューザシェルのガス排出口477に至る。ハウジング463内に外部より湿気が侵入するのを阻止するために、アルミニウムテープ496によりディフューザシェルのガス排出口477がハウジング内側より塞がれている。
【0150】
本ガス発生器を組み立てるときは、クロージャシェルの円形部471を底にしてクロージャシェル462を置き、その中央孔474に点火器464を配設する。次に、クーラント/フィルタ467を配設し、その内側に固形ガス発生剤466を充填し、更にその上にプレート部材491を配設する。最後に、ディフューザシェルのフランジ部486をクロージャシェルのフランジ部487にかさね、レーザ溶接488を行い、ディフューザシェル461とクロージャシェル462を接合する。
【0151】
このように構成された本ガス発生器において、衝撃をセンサ(図示せず)が感知すると、その信号が点火器464に送られて点火器464が作動し、これによって燃焼室484内のガス発生剤466に点火する。これによりガス発生剤が燃焼して高温・高圧のガスを生成し、この燃焼ガスはクーラント/フィルタ467の全領域よりクーラント/フィルタ467に入り、クーラント/フィルタ467を通過する間に冷却されまた燃焼残渣が捕集される。冷却・浄化された燃焼ガスは、間隙469により形成されるガス通路を通り、アルミニウムテープ496の壁を破ってガス排出口477より噴出し、エアバッグ(図示せず)内に流入する。これによりエアバッグは膨張して乗員と堅い構造物の間にクッションを形成し、衝撃から乗員を保護する。
【0152】
図16及び17の前記実施例に於て、ディフューザシェルとクロージャシェルは一緒にエアバッグ用ガス発生器のハウジングを形成し、これらディフューザシェルとクロージャシェルは、それぞれ、厚さ1.2〜3.0mmのステンレス鋼からなり45〜75mm、又はより好ましくは50〜70mmの外径を有することができる。ディフューザシェルとクロージャシェルを各種溶接法、例えば電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接、プロゼクション溶接などにより接合することができる。ディフューザシェルとクロージャシェルの材料に関し、ステンレス鋼板に代わり鋼板にニッケルメッキを施したものを使用してもよい。ディフューザシェルのガス排出口を、1.5〜4.5mmの直径とし、合計16〜24個周方向に配置することができる。また、ハウジングの全高(ディフューザシェルの上面からクロージャシェルの底面までの高さ)を25〜40mmとすることが好ましい。
【0153】
図18は、図16のものと類似しているエアバッグ用ガス発生器の他の例を示し、ディフューザシェル401′とクロージャシェル402′をアルミニウム合金を使用して鋳造により成形した例を示す。ディフューザシェル401′は、円形部412′と、これと一体に形成される中央筒部416′と、円形部412′の外周部に形成される周壁部410′と、その先端部に半径方向外側に延在するフランジ部419′を有している。また、クロージャシェル402′は、円形部430′と、その中央部に形成される中央孔415′と、前記円形部430′の外周部に形成される周壁部447′と、この周壁部447′の先端部に半径方向外側に延在するフランジ部420′を有している。中央孔415′は前記中央筒部416′の外周に嵌合し、ディフューザシェルのフランジ部419′とクロージャシェルのフランジ部420′とがかさね合わされ、レーザ溶接421′がされ、ディフューザシェルとクロージャシェルは接合されてハウジング403′を形成している。
【0154】
図16に示したガス発生器と同様、本実施例のガス発生器は又その中にクーラント/フィルタ407’を有する燃焼室428’と、ディフューザシェル401’から突出する中央筒部材416’により規定される点火手段収容室423’を含む。間隙409’がクーラント/フィルタ407’とハウジングの間に設けられる。図16のものと同一の部材は同一の符号が付けられており、それらの説明は省略する。
【0155】
図18に示されたエアバッグ用ガス発生器に於ては、クロージャシェルはディフューザシェルにレーザ溶接されてハウジングを形成している。併しながら、米国特許第5,466,420号に開示される如く、摩擦溶接も又レーザ溶接の代わりに用いられ得る。
【0156】
図19は、図17に示したものと類似するエアバッグ用ガス発生器の他の例を示し、ディフューザシェル461′とクロージャシェル462′はアルミニウム合金を使用して鋳造により成形される。ディフューザシェル461′は、円形部478′と、その外周部に形成される周壁部476′と、その先端部に半径方向外側に延在するフランジ部486′を有している。クロージャシェル462′は、円形部471′と、その外周部に形成される周壁部472′と、その先端部に半径方向外側に延在するフランジ部487′を有している。円形部471′の中央部に中央孔474′が形成されている。この中央孔474′に点火器464の胴部480が嵌合し、また点火器464の鍔部482はクロージャシェル円形部471′の内面497に係止している。ディフューザシェルのフランジ部486′とクロージャシェルのフランジ部487′とがかさね合わされてレーザ溶接488′がされ、ディフューザシェル461′とクロージャシェル462′は互いに接合されてハウジング463′を形成している。なお、図17と同一の部材は同一の符号をつけて説明を省略する。
【0157】
図20は助手席用エアバッグ装置に好適の本発明のガス発生器の断面図であるが、図20のガス発生器は、周方向及び軸方向に配列された複数個のガス排出口500を有する円筒状部501と、この円筒状部501の両端部に配設される側壁部502及び503からなるハウジング504を有している。このハウジング504内の中心部に伝火チューブ505が配設され、この伝火チューブ505の外面に嵌合してディスク状のガス発生剤506が多数並置され、更にこれらを囲繞してクーラント/フィルタ507が配設されている。一方の側壁部502に伝火薬508と点火器509からなる点火手段が配設され、この点火手段は伝火チューブ505内に収容されている。他方の側壁部503には固定用のねじボルト510が固着されている。伝火チューブ505は伝火薬508の火炎が噴出する開口511を多数備え、これら開口511は伝火チューブの管壁に均一に分散して穿設されている。ハウジング504の内面には、少なくとも排出口500が穿設される領域に、アルミニウムテープ524が固着されている。このアルミニウムテープ524は、排出口500より外部の湿気がハウジング内に侵入しないように、排出口500を気密に閉鎖している。
【0158】
クーラント/フィルタ507の図面右側端部にプレート部材512が、また左側端部にプレート部材513がそれぞれ配設されている。プレート部材512は、クーラント/フィルタ507の右側端部開口514を塞ぐ円形部515と、この円形部515と一体に形成されクーラント/フィルタの内周面516に当接する周壁部517とからなっている。円形部515は、前記伝火チューブ505の外周面に嵌合する中央孔518を有している。また、プレート部材513もプレート部材512と同様に構成された円形部521、周壁部522、及び中央孔523を有している。これらプレート部材512、513は、半径方向移動に関し伝火チューブ505に固定されており、ガス発生器組立の際にクーラント/フィルタ507の位置決め手段として機能し、また車両振動などによりクーラント/フィルタ507が移動するのを阻止する移動阻止手段として機能すると共に、ガス発生器作動時にハウジングの内面519とクーラント/フィルタ端面520間の燃焼ガスのショートパスを防止するショートパス防止手段としても機能する。
【0159】
ハウジングの円筒状部501と、クーラント/フィルタ507間に間隙525が形成されている。この間隙525によりクーラント/フィルタ507の周囲に半径方向断面が環状のガス通路が形成される。このガス通路の半径方向断面における面積Stは、円筒状部の各ガス排出口500の開口面積Sの総和Atよりも大きくされている。この間隙525の存在により、燃焼ガスはクーラントの全領域を通過しガス通路に向かって進み、これによりクーラントの有効利用と燃焼ガスの効果的な冷却・浄化が達成される。冷却・浄化された燃焼ガスは、上記ガス通路を通って円筒状部のガス排出口500に至る。
【0160】
衝撃をセンサが感知するとその信号が点火器509に送られて点火器509が作動し、これによって伝火薬508が着火して高温の火炎を生成する。この火炎は、伝火チューブ505の開口511より噴出する。噴出した火炎は、開口領域のガス発生剤506に点火する。これによりガス発生剤506は燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、クーラント/フィルタ507の全領域を通過し、その間に効果的に冷却されまた燃焼残渣が捕集され、冷却・浄化された燃焼ガスは、ガス通路(間隙525)を通り、アルミニウムテープ524の壁を破ってガス排出口500より噴出し、エアバッグ(図示せず)内に流入する。これによりエアバッグが膨張し、乗員と堅い構造物の間にクッションを形成して衝撃から乗員を保護する。
【0161】
図16及び図17のガス発生器において、例えば固形ガス発生剤406の表面積の総和をA、ディフューザシェルの各ガス排出口411の開口面積の総表面積をAtとするとき、AとAtとの比の値A/Atが、ガス発生剤20〜50gについてA/At=100〜300とされている。この表面積の比の設定により、ガス発生剤の燃焼速度が運転席用エアバッグに適した速度に調整され、本ガス発生器に備わるガス発生剤が所望の時間内で完全燃焼することを保証する。
【0162】
図20のエアバッグ用ガス発生器において、例えば、各固形ガス発生剤506の表面積の総和をA、円筒状部の各ガス排出口500の開口面積の総表面積をAtとするとき、ガス発生剤40〜120gについて、AとAtとの比の値 A/Atが、A/At=80〜240と設定される。この表面積比の設定により、ガス発生剤の燃焼速度が助手席用エアバッグに適した速度に調整され、本ガス発生器に備わるガス発生剤が所望の時間内で完全燃焼することができる。これに対し、側面衝突用エアバッグでの適切な比は、同様の構造にも関わらず、ガス発生剤10〜25gで、250〜3600である。
【0163】
図35は、助手席側に配置するのに適したエアバッグ装置の構成図を示す。この図に示すエアバッグ装置は、助手席用エアバッグ装置に好適のガス発生器80"とエアバッグ84"とをモジュールケース83"内に収容し、更に該ガス発生器80"には、コントロールユニット82"を介して衝撃センサ81"が接続されている。この図に示すエアバッグ装置は助手席側のダッシュボード(図示せず。)内などに収容される。
【0164】
この本発明の好ましい実施例の一つを示す図35中に於けるガス発生器80"は、特に図20に基づいて説明したガス発生器のような電気着火式のガス発生器を示しているが、その他にも、このガス発生器は、軸方向に長いガス発生器であって、その周方向及び軸方向にガス排出口を有するものであれば、機械式センサを使用した機械着火式ガス発生器であっても良い。
【0165】
エアバッグ84"は、ナイロン(例えばナイロン66)、またはポリエステルなどを用いて助手席側の乗員の安全を確保するのに充分な大きさに形成される。該エアバッグ84"は、その袋口をモジュールケース83”の開口側に取り付け、折り畳まれた状態でモジュールケース83”内に収容される。
【0166】
モジュールケース83"は、例えばポリウレタン等を用いて、少なくとも前記ガス発生器80"とエアバッグ84"とを収容可能な大きさに形成される。そしてこのモジュールケース83"内にエアバッグ84"とガス発生器80"とを収容してパッドモジュールを構成し、このパッドモジュールを自動車助手席側のダッシュボード内などに取り付ける。
【0167】
図面中に於ける衝撃センサ81"とコントロールユニット82"とは、図8に基づいて説明した運転席側に配置するのに適したエアバッグ装置に使用したものと同じである。
【0168】
このエアバッグ装置は、自動車の衝突時の衝撃を感知した衝撃センサ81"からの信号によりコントロールユニット82"が演算を開始し、その演算結果に応じてガス発生器80"を作動させて燃焼ガスを噴出させる。このガス発生器80"の作動によって噴出した燃焼ガスはエアバッグ84"内に流入し、これによりエアバッグ84"はモジュールケース83”外に膨出して、ダッシュボードと乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0169】
図23は、衝撃を感知するために機械式センサを使用した機械着火式ガス発生器であり、特に運転席側に配置するのに適した形状の機械着火式ガス発生器を示している。
【0170】
この図に示す機械着火式ガス発生器は、周方向に複数のガス排出口1511を有するディフューザシェル1501と、中央孔1513を有するクロージャシェル1502とを接合してハウジングを形成している。両シェルの接合は各種溶接法、例えばプラズマ溶接、摩擦溶接、プロゼクション溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接などにより行うことができる。このハウジング内は、前記中央孔1513と同心に配置される筒状の隔壁1503により2室以上に画成されており、該隔壁1503の内側を点火装置収容室1504、外側を燃焼室1505としている。該点火装置収容室1504内には伝火薬1508と機械式センサ1550とを含む点火装置が収容され、該燃焼室1505内には他の図面(図1,7,10,16)に基づいて説明したガス発生剤1506、クーラント/フィルタ1507、クーラント支持部材1509、リング体1510、プレート部材1512、その他ガス発生器の作動に際して好適な部材が適宜収容される。またクーラント/フィルタ1507外側に確保される間隙1514など適宜好適な構造も採用可能である。
【0171】
図23に示すガス発生器中、ガス発生剤1506を着火する点火装置は、例えば図24に示すように、専ら機械的な機構により衝撃を感知して撃針1551を発射する機械式センサ1550と、該機械式センサ1550から発射される撃針1551に刺突されて着火・燃焼する雷管1515と、該雷管1515が燃焼した火炎で着火・燃焼してガス発生剤1506を燃焼させる伝火薬1508とから構成することができる。この図24における点火装置はハウジングの点火装置収容室1504内に収容され、伝火薬1508と機械式センサ1550との間には雷管1515を収容・固定する雷管ピース1516が配設される。該雷管ピース1516は、前記雷管1515をハウジングの軸芯に配設して隔壁1503に固定される。機械式センサ1550は、該センサ1550が衝撃を感知した際に発射する撃針1551が前記雷管1515を刺突可能なように点火装置収容室1504内に配設される。この雷管ピース1516には、雷管1515を収容する箇所と伝火薬1508を収容する箇所とを連通する貫通孔1517が穿設されており、該貫通孔1517の何れか一方又は双方の開口にはシールテープ(図示せず)を添付して閉塞することができる。また、雷管1515を収容した箇所の開口にもシールテープを添付して閉塞し、該雷管1515の吸湿を阻止することができる。
【0172】
上記した専ら機械的な機構により衝撃を感知して撃針1551を発射する機械式センサ1550としては、例えば図25に示すように、単一の撃針1551をコイルばね1552によりトリガ1553のカム面1554に押圧し、該カム面1554に隣接するくぼみ部分1555をトリガ1553と撃針1551との係合が外れるように切り欠いて形成し、更にシリンダ1556内にボール1557を配設して、該ボール1557に、コイルばね1558により図面上方に押圧されているばねホルダ1559のアーム部分1560を係止した機械式センサ1550が挙げられる。この機械式センサ1550は、衝撃を感知すると、ボール1557がシリンダ1556内の下方に移動し、このときアーム部分1560を介してばねホルダ1559が図面の下方向に移動する。これによりトリガ1553が回転し、該トリガ1553のカム面1554と撃針1551との係合が外れ、該撃針1551はコイルばね1552の力によりくぼみ部分1555を通って飛び出し、雷管1515を打つようになっている。この機械式センサ1550は撃針1551の刺突機構が1つでよいことから、2つの撃針を有する機械式センサと比べ、構造が簡素化され、かつ小さな容積と減少した重量を有している。
【0173】
図32は、機械着火式ガス発生器380'を用いたエアバッグ装置を示す。この図に示すエアバッグ装置は、モジュールケース383'内に図23に基づいて説明した機械着火式ガス発生器380'と、エアバッグ384'とを収容して成る。
【0174】
モジュールケース383'は、例えばポリウレタンから形成され、モジュールカバー385'を含んでいる。このモジュールケース383'内にエアバッグ384'及びガス発生器380'が収容されてパッドモジュールとして構成され、このパッドモジュールは自動車のステアリングホイール387'に取り付けられる。
【0175】
エアバッグ384'は、ナイロン(例えばナイロン66)、またはポリエステルなどから形成され、その袋口がガス発生器のガス排出口307'を取り囲み、折り畳まれた状態でガス発生器のフランジ部314'に固定されている。
【0176】
上記のようにガス発生器として機械着火式ガス発生器380'を用いたエアバッグ装置の場合には、図8に示すような電気着火式ガス発生器を用いたエアバッグ装置とは異なり、衝撃を感知する衝撃センサや、ガス発生器の作動を管理するコントロールユニット等が不要となることからこれらの配置及び配線が不要となる。このエアバッグ装置は、ガス発生器380'内に収容される機械式センサ381'が自動車の衝突時の衝撃を感知することにより、該ガス発生器380'が作動してそのガス排出口307'から燃焼ガスを噴出する。このガスはエアバッグ384'内に流入し、これによりエアバッグはモジュールカバー385'を破って膨出して、ステアリングホイール387'と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0177】
図26はガス発生剤2606とクーラント/フィルタ2607との間にパーフォレーテッドバスケット2650を設けたエアバッグ用ガス発生器を示す。このガス発生器は複数のガス排出口2611を有するディフューザシェル2601と、中央孔2613を有するクロージャシェル2602とを各種溶接方法によって接合してハウジングを形成している。該ハウジング内は前記中央孔2613と同心に配置された略円筒形状の隔壁2603により2室以上に画成され、該隔壁2603の内側を点火装置収容室2604、外側を燃焼室2605としている。そして点火装置収容室2604内には、他の図面(図23〜25)に基づいて説明した伝火薬2608と機械式センサ2612とを含む点火装置が収容され、また燃焼室2605内には、図27及び図28に示すパーフォレーテッドバスケット2650のほか、他の図面(図1、7、10、16)に基づいて説明したガス発生剤2606、クーラント/フィルタ2607、クーラント支持部材2609、リング体2610、プレート部材2616、その他ガス発生器の作動に際して好適な部材が適宜収容され、またクーラント/フィルタ2607の外側に確保される間隙2614など適宜好適な構造も採用することができる。
【0178】
このパーフォレーテッドバスケット2650は、略円筒形状であってその周壁面2652には周方向及び軸方向に複数の貫通孔2651が形成されている。この貫通孔2651は、所定間隔毎に規則的に或いは不規則に形成することができ、また該貫通孔2651の大きさは、発生ガスの通過に支障を来さない範囲において自在に調整することができる。該パーフォレーテッドバスケット2650は、ガス発生剤2606とクーラント/フィルタ2607との間に配設され、クーラント/フィルタ2607の露出している箇所全域、即ちクーラント支持部材2609の防炎板部2615よりも下方を覆っている。防炎板部2615は8〜15mmの高さを有し、例えば隔壁中の最低の貫通孔から少なくとも2mm下方まで延びて隔壁の貫通孔からの炎がクーラント/フィルタ2607に接触することを防止する。またこのパーフォレーテッドバスケット2650は、クーラント/フィルタ2607と同じ軸芯長又はそれよりも僅かに短く形成して、該クーラント支持部材2609の防炎板部2615の外側に配設し、クーラント/フィルタ2607とクーラント支持部材2609の防炎板部2615とを重ね合わせることも可能である。
【0179】
なお、図26は機械式センサ2612を使用した機械着火式ガス発生器にパーフォレーテッドバスケット2650を用いた例を示しているが、このパーフォレーテッドバスケット2650は、図1,7,10,16,17,19に示すような電気着火式ガス発生器に適用することも可能である。
【0180】
図29に示すエアバッグ用ガス発生器は、図26に示すエアバッグ用ガス発生器と同様に、ガス排出口611'を有するディフューザシェル601'と中央孔613'を有するクロージャシェル602'とを接合して成るハウジング内を、隔壁603'で点火装置収容室604'と燃焼室605'との2室に画成し、該点火装置収容室604'内には図23に基づいて説明した伝火薬608'と機械式センサ612'とを含む点火装置が収容され、燃焼室605'内には図30及び図31に示すパーフォレーテッドバスケットのほか、他の図面で説明したガス発生剤606'、クーラント/フィルタ607'、リング体610'、プレート部材609'、その他ガス発生器の作動に際して好適な部材が適宜収容される。またクーラント/フィルタ607'外側に確保される間隙614'など適宜好適な構造も採用可能である。このパーフォレーテッドバスケット650'はステンレス鋼、アルミニウム又はカーボンスチールなどから形成することができる。
【0181】
この実施例においてガス発生剤606'とクーラント/フィルタ607'との間に配設されるパーフォレーテッドバスケット650'は、図26に示すエアバッグ用ガス発生器に用いられるパーフォレーテッドバスケット2650とは異なる形状であり、図30及び31に示すように複数の貫通孔651'が形成された円筒形状の周壁652'の上端開口には略平板円形状の蓋部653'が一体形成されている。この蓋部653'は、該パーフォレーテッドバスケット650'を配設するハウジングの上部の円形部616'の内面と相補的に係合可能な形状とすることができる。特にこの実施例に示すガス発生器においては、ディフューザシェル601'に点火装置収容室604'を画成する円筒形状の隔壁603'が設けられていることから、該パーフォレーテッドバスケット650'の蓋部653'には、その中央に該隔壁603'を挿通する大きさの開口部654'が形成されている。
【0182】
この実施例に於けるパーフォレーテッドバスケット650'では、その周壁652'に形成される貫通孔651'は、隔壁652'に形成された貫通孔651'の半径方向に相当する箇所を外して形成される。即ち該バスケット650'は隔壁603'の貫通孔617'から噴出される伝火薬608'の燃焼による火炎からクーラント/フィルタ607'を保護することができ、更に該火炎の方向転換を図り燃焼室605'内のガス発生剤606'に十分に回ることができるように、該パーフォレーテッドバスケット650'の周壁652'に形成される貫通孔651'は、隔壁603'の貫通孔617'から噴出される伝火薬608'の燃焼による火炎があたる箇所を外して形成される。望ましくは該周壁652'の貫通孔651'は、伝火薬608'の燃焼による火炎が噴出する箇所よりも下方に所定間隔で形成される。その結果、このパーフォレーテッドバスケット650'の上方、詳細には貫通孔651'が形成される箇所よりも上方は、クーラント/フィルタ607'に向け噴出される伝火薬608'の燃焼による火炎からクーラント/フィルタ607'を保護するクーラント/フィルタ保護機能と、該火炎の方向転換を図り火炎がガス発生剤606'に十分に回るようにする燃焼促進機能を有することとなる。パーフォレーテッドバスケット650'に形成される貫通孔651'の大きさは、図26〜28に示すパーフォレーテッドバスケットと同様に適宜調整することができる。
【0183】
なお、図29は機械式センサ612'を使用した機械着火式ガス発生器にパーフォレーテッドバスケットを用いた例を示しているが、このパーフォレーテッドバスケットは、図1,7,10,16,17,19に示すような電気着火式ガス発生器に適用することも可能である。
【0184】
図33に示すエアバッグ用ガス発生器は、ハウジング内に収容されるクーラント/フィルタ750 が2以上の層で形成されていることを特徴とする。このガス発生器は、ガス排出口711 を有するディフューザシェル701 と中央孔713 を有するクロージャシェル702とを接合して成るハウジング内を、隔壁703で、点火装置収容室704と燃焼室705との2室に画成し、該点火装置収容室704内には図23で 説明した伝火薬708と機械式センサ715とを含む点火装置を収容し、燃焼室705 内には図34に示すような2以上の層で形成されたクーラント/フィルタ750 のほか、他の図で説明したガス発生剤706、クーラント支持部材709、リング体710、 プレート部材712、その他ガス発生器の作動に際して好適な部材を適宜収容する。またクーラント /フィルタ750の外側に確保される間隙714など適宜好適な構造も採用することができる。
【0185】
この2以上の層で形成されるクーラント/フィルタ750は、例えば半径方向に重ね合わされる内側の層751と外側の層752とを異なる密度或いは材料で形成することができる。内側の層751と外側の層752とが異なる密度のクーラント/フィルタ750を形成する場合には、空隙構造を粗くした金網で内側の層751を形成し、空隙構造を細かくした金網で外側の層752を形成して、両層を半径方向に組み合 わせて形成することができる。この内側の層751 に使用される空隙構造を細かくした金網としては、環状の金網積層体を型内で圧縮成形して形成したものを使用することができる。
【0186】
この実施例において、図33には機械式センサ715を用いた機械着火式ガス発生器に上記構成のクーラント/フィルタを収容した例を示しているが、その他にも図1,7,10,16,17,19に示すような電気着火式ガス発生器にも上記構成のクーラント/フィルタを適用することもできる。
【0187】
図36に示すエアバッグ用ガス発生器は、図26に示すガス発生器に近似しており、ガス発生剤806とクーラント/フィルタ807との間に図37及び図38に示すパーフォレーテッドバスケット850を適用したガス発生器である。ただしこの図36に示すガス発生器は、図26に示すガス発生器とは異なり、特に電気着火式ガス発生器に、パーフォレーテッドバスケット850を使用している。
【0188】
このガス発生器は複数のガス排出口811を有するディフューザシェル801と、中央孔813を有するクロージャシェル802とを各種溶接方法の一つによって接合してハウジングを形成している。該ハウジング内は前記中央孔813と同心に配置された略円筒形状の隔壁803により2室に画成され、該隔壁803の内側を点火装置収容室804、外側を燃焼室805としている。そして点火装置収容室804内には、他の図面に基づいて説明した伝火薬808と点火器812とを含む点火装置が収容される。燃焼室805内には、図37及び図38に示す如きパーフォレーテッドバスケット850のほか、ガス発生剤806、クーラント/フィルタ807、クーラント支持部材809、リング体810、プレート部材816、その他ガス発生器の作動に際して好適な部材が収容される。またクーラント/フィルタ807の外側に間隙814を設けることができる。
【0189】
パーフォレーテッドバスケット850は、略円筒形状であってその周壁面852には周方向及び軸方向に複数の貫通孔851が形成されている。この貫通孔851は、所定間隔毎に規則的に或いは不規則に形成することができ、また該貫通孔851の大きさは、発生ガスの通過に支障を来さない範囲において自在に調整することができる。該パーフォレーテッドバスケット850は、ガス発生剤806とクーラント/フィルタ807との間に配設され、クーラント/フィルタ807の露出している箇所全域、即ちクーラント支持部材809の防炎板部815よりも下方を覆っている。またこのパーフォレーテッドバスケット850は、クーラント/フィルタ807と同じ軸芯長又はそれよりも僅かに短く形成して、該クーラント支持部材809の防炎板部815の外側に配設し、クーラント/フィルタ807とクーラント支持部材809の防炎板部815とを重ね合わせることも可能である。
【0190】
なお、パーフォレーテッドバスケット850は、図26に示すように機械着火式ガス発生器に適用することもできる。
【0191】
図39に示すエアバッグ用ガス発生器は、図29に示すガス発生器に近似しており、ガス発生剤806'とクーラント/フィルタ807'との間に、図40及び図41に示すパーフォレーテッドバスケット850'を適用したガス発生器である。ただしこの図39に示すガス発生器は、図29に示すガス発生器とは異なり、特に電気着火式ガス発生器に、パーフォレーテッドバスケット850'を使用している。
【0192】
またこのガス発生器は図36に示すエアバッグ用ガス発生器と同様に、ガス排出口811'を有するディフューザシェル801'と中央孔813'を有するクロージャシェル802'とを接合して成るハウジング内を、隔壁803'で点火装置収容室804'と燃焼室805'との2室に画成し、該点火装置収容室804'内には他の図面に基づいて説明した伝火薬808'と点火器812'とを含む点火装置が収容され、燃焼室805'内には図40及び図41に示すパーフォレーテッドバスケットのほか、ガス発生剤806'、クーラント/フィルタ807'、リング体810'、プレート部材809'、その他ガス発生器の作動に際して好適な部材が適宜収容される。またクーラント/フィルタ807'外側に間隙814'を設けることも可能である。
【0193】
この実施例においてガス発生剤806'とクーラント/フィルタ807'との間に配設されるパーフォレーテッドバスケット850'は、図36に示すエアバッグ用ガス発生器に用いられるパーフォレーテッドバスケット850 とは異なる形状であり、図40及び図41に示すように複数の貫通孔851'が形成された円筒形状の周壁852'の上端開口には略平板円形状の蓋部853'が一体形成されている。この蓋部853'は、該パーフォレーテッドバスケット850'を配設するハウジングの上部の円形部816'の内面と相補的に係合可能な形状とすることができる。特にこの実施例に示すガス発生器においては、ディフューザシェル801'に点火装置収容室804'を画成する円筒形状の隔壁803'が設けられていることから、該パーフォレーテッドバスケット850'の蓋部853'には、その中央に該隔壁803'を挿通する大きさの開口部854'が形成されている。
【0194】
この実施例に於けるパーフォレーテッドバスケット850'では、その周壁852'に形成される貫通孔851'は、隔壁852'に形成された貫通孔851'の半径方向に相当する箇所を外して形成される。即ち該バスケット850'は隔壁803'の貫通孔817'から噴出される伝火薬808'の燃焼による火炎からクーラント/フィルタ807'を保護することができ、更に該火炎の方向転換を図り燃焼室805'内のガス発生剤806'に十分に回ることができるように、該パーフォレーテッドバスケット850'の周壁852'に形成される貫通孔851'は、隔壁803'の貫通孔817'から噴出される伝火薬808'の燃焼による火炎があたる箇所を外して形成される。望ましくは該周壁852'の貫通孔851'は、伝火薬808'の燃焼による火炎が噴出する箇所よりも下方に所定間隔で形成される。その結果、このパーフォレーテッドバスケット850'の上方、詳細には貫通孔851'が形成される箇所よりも上方は、クーラント/フィルタ807'に向け噴出される伝火薬808'の燃焼による火炎からクーラント/フィルタ807'を保護するクーラント/フィルタ保護機能と、該火炎の方向転換を図り火炎がガス発生剤806'に十分に回るようにする燃焼促進機能を有することとなる。パーフォレーテッドバスケット850'に形成される貫通孔851'の大きさは、図37及び図38のパーフォレーテッドバスケットと同様に適宜調整することができる。
【0195】
なお、パーフォレーテッドバスケット850'は、図29に示すように機械着火式ガス発生器にも適用することもできる。
【0196】
図42に示すエアバッグ用ガス発生器は、図33に示すエアバッグ用ガス発生器と同じように、ハウジング内に収容されるクーラント/フィルタ750'が2以上の層で形成されていることを特徴とする。ただしこの図42に示すガス発生器は、図33に示すガス発生器とは異なり、特に電気着火式ガス発生器に、2以上の層からなるクーラント/フィルタ750'を使用している。
【0197】
このガス発生器は、ガス排出口711'を有するディフューザシェル701'と中央孔713'を有するクロージャシェル702'とを接合して成るハウジング内を、隔壁703'で、点火装置収容室704'と燃焼室705'との2室に画成し、該点火装置収容室704'内には他の図面に基づいて説明した伝火薬708'と点火器715'とを含む点火装置を収容し、燃焼室705'内には図F2に示すような2以上の層で形成されたクーラント/フィルタ750'のほか、ガス発生剤706'、クーラント支持部材709'、リング体710'、プレート部材712'、その他ガス発生器の作動に際して好適な部材を適宜収容する。またクーラント/フィルタ750'の外側に間隙714'を設けることができる。この2以上の層で形成されるクーラント/フィルタ750'は、例えば半径方向に重ね合わされる内側の層751'と外側の層752'とを異なる密度或いは材料で形成することができる。内側の層751'と外側の層752'とが異なる密度のクーラント/フィルタ750'を形成する場合には、空隙構造を粗くした金網で内側の層751'を形成し、空隙構造を細かくした金網で外側の層752'を形成して、両層を半径方向に組み合わせて形成することができる。この内側の層751'に使用される空隙構造を粗くした金網としては、例えば他の図面(図2〜6)に基づいて説明した環状の金網積層体を型内で圧縮成形して形成したものを使用することができる。
【0198】
なお、パーフォレーテッドバスケット850'は、図33に示すように機械着火式ガス発生器にも適用することもできる。
【0199】
次に非アジドガス発生剤について説明する。
【0200】
従来のアジド系ガス発生剤は、分解開始温度が350℃、燃焼温度が1500Kであり、通常の点火器だけでは着火が不安定で、着火した場合でもガス発生器の性能を満足させるに足る燃焼には至らず、そのために点火器で伝火薬(B/KNO3)を着火させ、伝火薬のエネルギでガス発生剤を着火、燃焼させていた。 エアバッグ用本ガス発生器のガス発生剤として、330℃以下の分解開始温度と、2000°K以上の燃焼温度を有する着火性、及び燃焼性に優れたガス発生剤として非アジド系ガス発生剤を用いれば、従来必要とされていた伝火薬を不要とすることができることが見い出された。上記分解開始温度は、好ましくは310℃以下とする。
【0201】
本ガス発生器に使用する非アジド系ガス発生剤としては、従来提案されている種々のものを使用し得る。例えば、テトラゾール、トリアゾール、又はこれらの金属塩等の含窒素有機化合物とアルカリ金属硝酸塩等の酸素含有酸化剤を主成分とするもの、トリアミノグアニジン硝酸塩、カルボヒドラジッド、ニトログアニジン等を燃料及び窒素源とし、酸化剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩などを使用したものなどが知られており、何れも本発明においてガス発生剤として使用し得る。しかしこれらに限定されるものではなく、燃焼速度、非毒性及び燃焼温度の要求に応じて適当に選定される。ガス発生剤は、ペレット状、ウエハー状、中空円柱状、多孔体、又はディスク状等の適当な形状に於いて使用される。
【0202】
ガス発生剤を点火器により点火する場合、ガス発生剤の表面積が大きい方が点火が容易であり、このためガス発生剤は、中空円柱体、多孔体などのものが好ましい。
【0203】
本ガス発生器のハウジングの内容積は、より好ましくは65〜115ccとするが、60〜130ccでもよい。また、固形ガス発生剤の充填重量は、好ましくは運転手の側面用エアバッグでは30〜40gであるが、20〜50gでもよい。
【0204】
非アジド系ガス発生剤は、70Kg/cm2の圧力下において、5〜30mm/secの線燃焼速度を持ち、このガス発生剤を用いて自動車用エアバッグのガス発生器を構成するとき、運転席用エアバッグでは40〜60msec、助手席用エアバッグでは50〜80msec、側突用エアバッグでは5〜15msecでガス発生剤を全て燃焼させる必要がある。そこで、ガス発生剤の燃焼を調整するために、各ガス発生剤の表面積の総和をA、ディフューザシェルの各ガス排出口の開口面積の総和をAtとするとき、AとAtとの比の値A/At について適当な設定がなされる。すなわち、この比A/At は次の様に設定される:
運転席用エアバッグにおいては、20〜50gのガス発生剤で、A/At=100〜300、
助手席用エアバッグにおいては、40〜120gのガス発生剤で、A/At=80〜240、
側突用エアバッグにおいては、10〜25gのガス発生剤で、A/At=250〜3600
A/Atの比が各エアバッグの最大値を超える時、エアバッグ用ガス発生器内の圧力は過大となり、ガス発生材料の燃焼速度が余りに大きくなる結果となる。該比が最小値より小さくなると、エアバッグ用ガス発生器内の圧力が十分上昇せず、燃焼速度が余りに小さくなるという結果となる。何れの場合も、燃焼時間は望ましい範囲外となり、かかる燃焼時間をもつエアバッグ用ガス発生器は使用し得ない。
【0205】
所望の燃焼時間で完全燃焼を達成するためには、ガス発生剤の1個の形状における肉厚部分の厚みの最も小さい厚み距離を0.01〜2.5mmとすることが好ましく、0.01〜1.0mmとすることがさらに好ましい。
【0206】
【実施例】
以下、4種類のガス発生剤を用いて、伝火薬を用いることなく、点火器によりガス発生剤の点火を行い、表1に示す結果を得た。点火器は、Zpp(ジルコニウム/過塩素酸カリウムの混合物)を用いた出力1250psiのものを使用した。組成比は重量比である。NQは高比重ニトログアニジンである。
【0207】
【表1】
Figure 0003833891
【0208】
【表2】
Figure 0003833891
【0209】
本発明例1及び本発明例2において、伝火薬を用いることなく点火器によりガス発生剤は着火した。
【0210】
比較例1では、分解開始温度が高く燃焼温度が低すぎるため、伝火薬なしでは着火しなかった。
【0211】
比較例2では、分解開始温度は低いが、燃焼温度が低いために、伝火薬なしでは着火しなかった。
【0212】
ガス発生器ハウジングの(デイフューザ)排出孔よりガスと共に排出される燃焼粒子(燃焼残渣)の量を制限することが望ましい。何故なら、そのような粒子はガス発生器に装着したエアバッグを燃やす傾向があるからである。粒子の最適範囲は2gを超えない。ガスの燃焼温度そのものはエアバッグの損傷を防ぐための臨界的な因子ではない。
【0213】
本発明のクーラント/フィルタは、ガス発生器の作動時ガス発生剤の燃焼によって発生する通常のガス発生量中に含まれる燃焼残渣を2g以下、望ましくは1g以下、特に望ましくは0.7g以下とする機能を有する必要がある。ここで、通常のガス発生量とは、用途に応じて当然異なるが、例えば自動車の運転席用のエアバッグ用ガス発生器であれば0.5〜1.5molであり、その助手席用のエアバッグ用ガス発生器であれば1.5〜5molである。本発明のエアバッグ用ガス発生器に於いて は、発生するガスの発生量とは関係なく、その発生ガス中に含まれる燃焼残渣の量が、上記所定の数値に制限されていなければならない。
【0214】
しかし、この点では、ガスの必要モル数は非アジドガス発生剤で発生したガスのより高い燃焼温度と、これに付属するより高いガスの膨張量により減少される。その結果、より少ないガス発生剤でよく、より小さいガス発生器が可能とされる。
【0215】
かかるクーラント/フィルタのかさ密度は、3.0〜5.0g/cm3, 好ましくは3.5〜4.5g/cm3である。
【0216】
金網の材料は例えばステンレス鋼を使用することができ、ステンレス鋼としては、例えばSUS304、SUS310S、SUS316(JIS規格記号)などを使用することができる。SUS304(18Cr−8Ni−0.06C)は、オーステナイト系ステンレス鋼として優れた耐食性を示す。
【0217】
フィルタの外側及び内側の双方、又はいずれか一方に、周壁全体に多数の貫通孔を有する補強用リング体を嵌合することができるが、このものは必ずしも必要ではない。
【0218】
本発明のガス発生器(インフレータ)は非アジド系含窒素有機化合物を使用する。この非アジド系ガス発生剤は、少なくとも含窒素有機化合物と、酸化剤と、スラグ形成剤とからなり、ガス発生剤を所定形状の成形体とする場合には、バインダーを配合することもできる。
【0219】
含窒素有機化合物としては、例えばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体から成る群から選ばれた1種又はそれ以上の混合物等がある。
【0220】
これらの具体例として、5−オキソ−1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、5,5'−ビ−1H−テトラゾール、グアニジン、ニトログアニジン、シアノグアニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、ビウレット、アゾジカルボンアミド、カルボヒドラジド、カルボヒドラジド硝酸塩錯体、蓚酸ジヒドラジド、ヒドラジン硝酸塩錯体等を挙げることができる。中でもニトログアニジン及びシアノグアニジンが好ましく、分子中の炭素数が少ない点からニトログアニジンは最も好ましい化合物である。ニトログアニジンとして針状結晶状の低比重ニトログアニジンと塊状結晶の高比重ニトログアニジンがあり、いずれでも使用できるが、少量の水存在下での製造時の安全性及び取り扱い易さから、高比重ニトログアニジンの使用がより好ましい。
【0221】
化合物の濃度は、分子式中の炭素元素、水素元素及びその他の酸化される元素の数によって異なるが、通常25〜60重量%の範囲で用いられ、好ましくは30〜40重量%の範囲で用いられる。用いられる酸化剤の種類により絶対数値は異なるが、完全酸化理論量より多いと発生ガス中の微量CO濃度が増大し、完全酸化理論量及びそれ以下になると発生ガス中の微量NOx濃度が増大する。両者の最適バランスが保たれる範囲が最も好ましい。
【0222】
酸化剤としては種々のものが使用できるが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属から選ばれたカチオンを含む硝酸塩の少なくとも1種から選ばれた酸化剤が用いられる。その量は用いられるガス発生化合物の種類と量により絶対数値は異なるが40〜65重量%の範囲で用いられ、特に上記のCO及びNOx濃度に関連して45〜60重量%の範囲が好ましい。
【0223】
その他、亜硝酸塩、過塩素酸塩等のエアバッグインフレータ分野で多用されている酸化剤も用い得るが、硝酸塩に比べて亜硝酸塩分子中の酸素数が減少すること又はバッグ外へ放出されやすい微粉状ミストの生成を減少させる等の観点から硝酸塩が好ましい。
【0224】
スラグ形成剤の機能は、ガス発生剤組成物中の特に酸化剤成分の分解によって生成するアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物をミストとしてインフレータ外へ放出することを避けるため液状から固体状に変えてクーラント/フィルタがよりよくそれらを燃焼室内に止める様にさせる。クーラント/フィルタはスラッグ形成剤と粒状残渣の混合物を捕らえ、冷却し、クーラント/フィルタをその後通り抜けない粒子径にする。この相互作用こそ従来のフィルタ構造に対する要求を解消する。
【0225】
金属成分の違いによって最適化されたスラグ形成剤を選ぶことができる。このスラグ形成剤としては、例えばベントナイト系、カオリン系等のアミノケイ酸塩を主成分とする天然に産する粘土並びに合成マイカ、合成カオリナイト、合成スメクタイト等の人工的粘土及び含水マグネシウムケイ酸塩鉱物の1種であるタルク等が挙げられ、この内の少なくとも1種から選ばれたスラグ形成剤を用いることができる。好ましいスラグ形成剤として酸性白土を挙げることができる。
【0226】
例えば、硝酸カルシウムから発生する酸化カルシウム、粘土中の主成分である酸化アルミニウム及び酸化ケイ素の三成分系における酸化物混合物の粘度及び融点は各々その組成比によって1350℃から1550℃の範囲で粘度が3.1ポイズから約1000ポイズまで変化し、融点は組成により1350℃から1450℃に変化する。これらの性質を利用してガス発生剤組成物の混合組成比に応じたスラグ形成能を発揮することができる。
【0227】
スラグ形成剤の使用量は1〜20重量%の範囲で変えることができるが、好ましくは3〜7重量%の範囲である。多すぎると線燃焼速度の低下及びガス発生効率の低下をもたらし、少なすぎるとスラグ形成能を十分発揮することができない。
【0228】
バインダーは所望のガス発生剤組成物の成型体を得る場合に必要な成分であり、水及び溶媒等の存在下で粘性を示し、組成物の燃焼挙動に大幅な悪影響を与えないものであれば何れでも使用可能である。このようなバインダーとしては例えば、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、澱粉等の多糖誘導体が挙げられるが、製造上の安全性と取り扱い易さから水溶性のバインダーが好ましい。カルボキシメチルセルロースの金属塩、特にナトリウム塩が最も好ましい例として挙げられる。
【0229】
バインダーの使用量は3〜12重量%の範囲で使用でき、更に好ましくは4〜12重量%の範囲である。量的には多い側でより成型体の破壊強度が強くなるが、量が多いほど組成物中の炭素元素及び水素元素の数が増大し、炭素元素の不完全燃焼生成物である微量COガスの濃度が増大し、発生ガスの品質を低下させるため好ましくない。特に12重量%を超える量では酸化剤の相対的存在割合の増大を必要とし、ガス発生化合物の相対的割合が低下し、実用できるインフレータシステムの成立が困難となる。
【0230】
更に、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の副次的な効果として水を使用した成型体製造時に硝酸塩との金属交換反応によって生じる硝酸ナトリウムの分子オーダーのミクロな混合状態の存在により酸化剤である硝酸塩、特に分解温度の高い硝酸ストロンチウムの分解温度をより低温側に移行させ、燃焼性を向上させる効果を有する。
【0231】
従って、本発明の実施に当って用いられる好ましいガス発生剤組成物は、
(a)約25〜60重量%、好ましくは30〜40重量%のニトログアニジン
(b)約40〜65重量%、好ましくは45〜65重量%の酸化剤
(c)約1〜20重量%、好ましくは3〜7重量%のスラグ形成剤
(d)約3〜12重量%、好ましくは4〜12重量%のバインダー
から成るガス発生剤組成物であり、特に好ましい組成物としては、
(a)約30〜40重量%のニトログアニジン
(b)約40〜65重量%の硝酸ストロンチウム
(c)約3〜7重量%の酸性白土及び
(d)約4〜12重量%のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩
から成るガス発生剤組成物である。
【0232】
而して、本発明によれば、
(a)約25〜60重量%のニトログアニジン
(b)約40〜65重量%の酸化剤
(c)約1〜20重量%のスラグ形成剤
(d)約3〜12重量%のバインダー
から成るエアバッグ用ガス発生剤成型体が提供される。
【0233】
含窒素有機化合物としてはジシアンジアミドも好ましく使用される。
【0234】
ガス発生剤組成物中での含窒素有機化合物の使用量は、用いられる含窒素化合物を構成する元素の数及び分子量、酸化剤及びその他の添加剤との組み合わせにより異なるが、酸化剤その他の添加剤と組み合わせによる酸素バランスが零付近が最も好ましいが、前記した微量CO及びNOxの発生濃度に応じて酸素バランスを正側又は負側に調整することにより最適な組成物成型体が得られる。例えば、ジシアンジアミドを用いた場合、その量は8〜20重量%の範囲が好ましい。
【0235】
本発明で用いられる酸素を含む酸化剤としては、エアバッグ用ガス発生剤の分野で公知の酸化剤を用いることができるが、基本的には残渣成分が液体又は気体状態になり、冷却剤及びフィルタ剤への熱的負荷を掛けることを低減できるよう、高融点物質を生成する性質を有する酸化剤を用いることが好ましい。
【0236】
例えば、硝酸カリウムは、一般的にガス発生剤で使用される酸化剤であるが、燃焼時の主たる残渣成分は酸化カリウムもしくは炭酸カリウムであり、酸化カリウムは約350℃で過酸化カリウムと金属カリウムに分解し、更には過酸化カリウムは融点763℃であり、ガス発生器作動状態では液体又は気体状態となり、前記の冷却剤及びフィルタ剤への熱的負荷を考慮すると好ましくない。
【0237】
本発明で好ましく用いられる酸化剤としては硝酸ストロンチウムが挙げられる。硝酸ストロンチウムの燃焼時の主たる残渣成分は融点2430℃の酸化ストロンチウムであり、ガス発生器作動状態でもほとんど固体状態である。
【0238】
本発明における酸化剤の使用量は含窒素有機化合物を完全に燃焼するに十分な酸化剤量であれば特に制限されず、線燃焼速度及び発熱量を制御するために適宜変更できるが、ジシアンジアミドに対し酸化剤として硝酸ストロンチウムを用いた場合、11.5〜55重量%であることが好ましい。
【0239】
本発明の好ましいガス発生剤組成物の一つとしては、ジシアンジアミドを8乃至20重量%、硝酸ストロンチウムを11.5乃至55重量%、酸化銅を24.5乃至80重量%、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を0.5乃至8重量%含有するものがあげられるが、本発明はジシアンジアミドを8乃至20重量%、硝酸ストロンチウムを11.5乃至55重量%、酸化銅を24.5乃至80重量%、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を0.5乃至8重量%含有するガス発生剤組成物をも提供するものである。
【0240】
ニトログアニジン、Sr(NO3)2、カルボキシメチルセルロース及び酸性白土を、ニトログアニジン:Sr(NO3)2:カルボキシメチルセルロース:酸性白土=35.4:49.6:10:5の組成重量比で含む非アジド固形ガス発生剤は、本発明のエアバッグ用ガス発生器中これをタンク内で作動させてガスを発生させる。該ガス発生器から排出された発生ガスをタンク内に収容し、その後タンク内をアセトンで洗浄してガス排出口から排出されるガス中に含まれる燃焼残渣を得て、ガス中の燃焼残渣の量を測定した。
【0241】
その結果、ガス発生器の排出口から排出された発生ガスの量は1molであり、その中には0.3gの燃焼残渣が含まれていた。
助手席用の本発明のエアバッグ用ガス発生器は、同様の試験で、発生ガスの量は4molであり、その中には0.6gの燃焼残渣が含まれていた。両試験とも2g未満の粒子発生であり、かかる結果はエアバッグの粒子損傷を防止している。
【0242】
本発明の実施に当たっては、次の様な追加の操作パラメータが見出された。
【0243】
本発明者等は上記非アジド系ガス発生剤を安定して燃焼させるためには、ガス発生器内の最大圧力が少なくとも100kg/cm2必要であること、そしてガス発生器最大内圧が300kg/cm2を超えると容器(ハウジング)に過度な強度が必要とされ、ガス発生器が小型、軽量にならないことを見出した。
【0244】
しかしてこの様な最大内圧に対しては破裂板等による圧力制御は不必要であること、小型容器(内容積120cc以内)において、最大内圧100〜300kg/cm2、開口部総面積/ガス発生量0.50〜2.50cm2/molであればエアバッグ展開にふさわしい出力カーブが得られることを見出した。
【0245】
即ち本発明は、ハウジング内部にガス発生剤を収納し、該ガス発生剤から発生したガスがエアバッグへと通過する方向にガス発生剤の燃焼を制御する複数の開口部が設けられているガス発生器であって、ガス発生剤のガス発生量に対する上記開口部の総面積を0.50〜2.50cm2/mol、ガス発生器の作動時の最大内圧を100〜300kg/cm2とすることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器を提供する。
【0246】
本発明の実施にあたっては開口部が円相当径3〜4.5mmを有することが好まし い。ここで円相当径とは、開口部が円のみならず、円に近似できる形状を有する場合もあるので、直径ではなく、円相当径とした。これは各開口部と面積を等しくする真円とした場合の径である。開口部の円相当径が2mm未満では開口部総面積/ガス発生量が2.50cm2/mol以下であっても、開口部出口に存在するエアバッグ部品、例えば、開口部がハウジングのディフューザーのガス排出口であればエアバッグ、開口部がハウジング内部の燃焼室隔壁であればフィルタやクーラント等を損傷させる。又これを防ぐため開口部の数を増やすと孔数が多くなりすぎ、加工に費用がかかる。
【0247】
本発明では内容積120cc以内の小型容器で、最大内圧を100〜300kg/cm2、好ましくは130〜180kg/cm2、開口部総面積/ガス発生量を0.50〜2.50cm2/mol、好ましくは1.00〜1.50cm2/molに制御する様に非アジド系ガス発生剤を選択し、又開口部の孔径及び個数を決定する。これによってエアバッグ展開にふさわしい出力カーブを得ることができる。開口部総面積は(1つの孔面積)×(個数)で決まる。従って、バッグに対しての損傷を考慮すれば孔径が決まり、従って個数も決まることになる。
【0248】
本発明のガス発生器は、内部にガス発生剤を収容し、該ガス発生剤からのガスが通過する方向に、ガス発生剤の燃焼を制御する複数の開口部が、該発生器のハウジング及び/又はガス発生剤から発生したガスがエアバッグへと通過する方向のハウジング内の隔壁(以下、単にハウジング内の隔壁とする。)に形成されているものであればよい。上記開口部は、1つの開口部の開口面積が、内径3〜4.5mmの円面積に相当する大きさであり、ハウジング、ハウジング内の隔壁、又はハウジングとハウジング内の隔壁との双方の何れかに、周方向に合計12〜20個形成されることが望ましい。本発明に於いてガス発生器内の作動時の最大内圧は、ハウジング又はハウジング内の隔壁の何れかに設けた開口部、或いはハウジングとハウジング内の隔壁との双方に設けた開口部によって規制される。例えば、ハウジングとハウジング内の隔壁との双方に開口部を設け、ハウジング又はハウジング内の隔壁の何れかの開口部でハウジングの内圧を規制する場合には、他方の開口部は更に内圧を規制することとならない範囲内に於いて、適宜形成することができる。
【0249】
発生したガスが通過する開口部は、ハウジング及び/又はハウジング内の隔壁の円周方向に一列に、或いは千鳥形に配置することができる。
【0250】
ハウジングは、鋳造・鍜造によって形成する他、ガスを排出するための開口部(以下、ガス排出口とする。)を有するディフューザシェルと中央孔を有するクロージャシェルとをプレス成形し、これらを各種溶接法、例えばプラズマ溶接、摩擦溶接、プロゼクション溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接などにより溶接して形成することができる。該ハウジングはガス排出口を有する。このプレス形成によるハウジングは、その製造が容易になると共に、製造コストを低減することができる。ディフューザシェルとクロージャシェルは、例えば、それぞれ厚さ1.2〜2.0mmのステンレス鋼板を用いて、ディフューザシェルの外径を65〜70mm、クロージャシェルの外径を65〜75mmとして形成することができる。ステンレス鋼板の代わりに鋼板にニッケルメッキを施したものを使用してもよい。このハウジングには取付用のフランジを形成すること、又ハウジング外周壁とクーラントとの間には、ガス流路として機能する1.0〜4.0mmの間隙を形成することが好ましい。ハウジングの全高は、30〜35mmとすることが好ましい。
【0251】
隔壁は、ハウジング内を2室以上に区画するものであって、必要に応じてハウジング内に適宜形成される。但し本発明に於いてガス発生剤の燃焼を制御する複数の開口部が設けられる隔壁とは、ガス発生剤の燃焼室で発生したガスが通過する方向にある隔壁である。このような隔壁としては、例えば、ハウジング内のガス発生剤収納室とクーラント/フィルタとの間に配置される隔壁の他、コンバッションリングも含まれる。このコンバッションリングは、燃焼室を囲むようにハウジング内に配置され、その周壁にはガス発生剤燃焼時の最大内圧を制御する開口部が多数設けられている。
【0252】
なお、この隔壁は、ハウジング内に筒状部材を収納して、その周壁を隔壁とすることもできる。筒状部材は、例えば、厚さ1.2〜2.0mmのステンレス鋼板を管状に丸めて溶接した溶接管を用いて形成することができる。筒状部材を用いて隔壁とした場合にも、該筒状部材には開口部が形成される。
【0253】
上記の開口部には、外気(湿気)の進入を阻止する必要がある場合には、孔径の2〜3.5倍の幅を有するシールテープが貼付されることが望ましい。このシールテープは、専ら防湿の目的で開口部を閉塞するものであり、発生したガスが開口部を通過するに際して何等障害とはならず、一切、ハウジングの内圧を規制することはない。従って、本発明に於いてシールテープの厚さは、湿気の進入を阻止することができる充分な厚みを有すれば足り、例えばシールテープとしてアルミニウムテープを用いた場合には、該テープの厚さを25μm以上とすることにより、テープ面からの湿気の進入を阻止することができる。但し、本発明においては、迅速にガス発生器を立ち上げる為にハウジング内最大内圧は、専ら開口部総面積によって規制するから、該アルミニウムテープの厚さが80μm以上の場合には、ガス発生剤の燃焼によって噴出ガスが発生しても、アルミニウムテープは破裂しにくいものとなり、アルミニウムテープが破裂する迄の時間が必要となるので、エアバッグ装置の立ち上がり動作が遅れ、所期の目的を達成することができないおそれがある。従ってアルミニウムテープをシールテープとして用いた場合にはそのテープ厚は25〜80μmであることが望ましい。
【0254】
【発明の効果】
本発明のガス発生器においては、クーラント/フィルタには、好ましくは外周部に膨出抑止手段が形成され、ガス発生器のフィルタとハウジングとの間にガス発生器作動時において空隙を確保する。クーラント/フィルタとハウジングの間に空隙を保持することにより、燃焼ガスはクーラント/フィルタ構造の全領域を通過し、クーラント/フィルタの有効な利用と燃焼ガスの有効な冷却及び浄化を実現する。
【0255】
本発明のガス発生器は、以上述べた通りに構成されているので、燃焼ガスはクーラント/フィルタ構造の全領域を通過するようになり、これによりクーラント/フィルタの有効利用と、燃焼ガスの効果的な冷却及び浄化が達成されるものである。
【0256】
又本発明のガス発生器は、上記のように構成されたショートパス防止手段を具備し、これにより燃焼ガスのショートパスが常に防止され、燃焼ガスは全てフィルタ手段を通過するようになり、これにより効果的に冷却、浄化された燃焼ガスが常に得られ、従ってエアバッグの正常な展開が常に保証されるものである。
【0257】
本発明のガス発生器においては、外殻容器をコストの高い鍛造により成形するのを避け、安価にかつ容易に製造できるプレス加工により成形するものであるから、コスト面及び製造面で有利となる。すなわち、ディフューザシェルとクロージャシェルをプレスにより成形することにより、製造コストの低減が達成されると共に、ディフューザシェルとクロージャシェルの製造も容易になる。
【0258】
従来はディフューザシェルの円形部に一体形成されていた中央筒部材を分離することにより、ディフューザシェルの形状が単純化される。また、中央筒部材を分離することにより、中央筒部材の容積をディフューザシェルと別個に必要に応じて自由に変更することができる。中央筒部材は、単独で例えばUOプレス方式を利用して安価に製造することができる。
【0259】
本ガス発生器に備わるクーラント/フィルタは、本来の冷却機能に加えて、燃焼室を画成する機能、及び燃焼残渣を捕集する機能も兼ねるものであるから、従来クーラントと別個に備わっていた燃焼室隔壁部材、及びフィルタを廃止することができる。これにより部品点数が減少し、またガス発生器の径が縮小し、その結果小型・軽量のガス発生器が実現できる。
【0260】
本ガス発生器を備えるエアバッグ装置は、ガス発生器の部品点数が減少され、またガス発生器の径が縮小されているので、小型・軽量のエアバッグ装置が実現できる。
【0261】
本発明のクーラント/フィルタ構造は、以上説明した通りに構成されているので、微細な燃焼残渣でも効果的に捕集することができる。すなわち、本クーラント/フィルタは、本来の冷却機能に加えて、優れた捕集機能も有するから、従来クーラントと別個に必要とされていたフィルタを廃止することができる。
【0262】
従って、本発明のクーラント/フィルタ装置を備えるガス発生器は、部品点数が減少し、またガス発生器の径が縮小し、その結果ガス発生器の小型・軽量化が実現できるものである。
【0263】
所定のかさ密度を有する本クーラント/フィルタ装置は、その保形強度が著しく増大し、そのためにガス圧による変形が回避され、従ってクーラント及び/又はフィルタ装置の正常な燃焼残渣捕集機能が確保され、またその薄肉化が達成される。
【0264】
パーフォレーテッドバスケットはクーラント/フィルタの表面をインフレータ内の圧力に影響を与えることなく溶融することから保護する。更にパーフォレーテッドバスケットはクーラント/フィルタ及びガス発生剤ペレットの直接接触を防止し、且つまた発生剤が振動によりクーラント/フィルタに対し摩擦することを防止する。
【0265】
パーフォレーテッドバスケットの火焔防止部材乃至火焔防止板は分離板中の透孔の列と対向して配置され、クーラント/フィルタの内周面をクーラント/フィルタに向かって噴出する火焔から遮蔽し、且つ更に噴出する火焔が偏曲されて火焔がガス発生剤に十分到達する様にする。更に火焔防止部分及び穿孔部分を一つのユニットとして形成することにより、製造プロセスが減少され、穿孔部分を火焔防止部分に連結するための要素が除去され得る。
【0266】
本発明のガス発生器は、従来必要とされていた伝火薬を不要とすることがで、また従来の3室構成のガス発生器に比べ、ガス発生器の径が縮小し、そのためにガス発生器の小型化・軽量化が実現できる。また、本発明の点火器/燃焼室共通で、伝火薬のための隔壁がなく点火器をガス発生剤が包囲している1室構成のガス発生器においては、ハウジングを形成するディフューザシェル及びクロージャシェルの形状が簡単になり、そのためにガス発生器の製造が容易となり、コスト的にも有利となる。
【0267】
本発明のエアバッグ用インフレータ内に設置された機械式のセンサにより衝突による衝撃を感知することにより、電気衝撃センサ、電子的制御ユニット及びセンサと制御ユニットを連結する器具を不要にし、それにより電気的に作動されるエアバッグ装置と比較してエアバッグ装置をよりコンパクトに且つ重量をより軽くすることができる。
【0268】
本発明のエアバッグ用インフレータは衝突による衝撃を電気式又は機械式の何れでもこれを感知して作動され得る。
【0269】
本発明のガス発生器は、ガス発生剤、特に非アジド系ガス発生剤を用い、その発生ガスがエアバッグへ通過する方向の開口部の孔径及び開口部総面積/ガス発生量を制御することにより、破裂板を用いることなく、ガス発生剤を安定に燃焼させ、小型容器でエアバッグ展開にふさわしい出力カーブを得ることができる。従ってエアバッグ用ガス発生器を小型・軽量化する際に有利なものとなる。
【0270】
特に本発明のエアバッグ用ガス発生器は、含窒素有機化合物と、酸化剤と、酸性白土とを必須成分として含有する非アジド系ガス発生剤組成物を使用し、且つかさ密度が3.0〜5.0g/cm3のフィルタを使用することにより、仮にガス発生剤の燃焼によって液状の燃焼残渣が発生したとしてもスラグが生成し、本発明のガス発生器中のフィルタによって濾別することができる。その結果、最小量の燃焼残渣がフィルタ部材を通過し、エアバッグの損傷を解消することができる。
【0271】
本発明のエアバッグ用ガス発生器を用いたエアバッグ装置は、エアバッグが燃焼残渣によって損傷を受けることがなくなり、自動車、航空機等に搭載される人体保護のために供せられるエアバッグ装置に有用である。
【0272】
本発明のガス発生器は、上述した種々の構造により、本ガス発生器に備わるガス発生剤を所望の時間内に完全燃焼させることができる。
【0273】
本発明のガス発生器においては、上記の実施態様におけるそのフランジ部の構成により、ガス発生器作動時におけるハウジングの変形が阻止され、そのためにガス発生手段の正常な燃焼、及び燃焼ガスの正常な流れなどが保証されると共に、ハウジングの薄肉化が達成され、小型、軽量のガス発生器が実現できる。
【0274】
また、ディフューザシェルに設けられたフランジ部は、万が一溶接部が破損してもエアバッグ側、すなわち乗員側に危害がおよぶ危険性を回避できる。
【0275】
ディフューザシェルとクロージャシェルをプレスにより成形することにより、製造コストの低減が達成されると共に、ディフューザシェルとクロージャシェルの製造も容易になる。
【0276】
ディフューザシェルの円形部及びクロージャシェルの円形部の双方又はいずれか一方にリブ状補強体及び補強段部の双方又はいずれか一方を設けることにより、ガス発生器作動時のハウジング、特にその円形部の変形が阻止される。その結果、円形部内面とフィルタ手段端面間で燃焼ガスのショートパスが防止され、エアバッグの正常な展開が常に確保されるものである。
【0277】
本発明を上記の如く説明したが、これは多くのやり方で変え得ることは明らかである。かかる変型は本発明の精神及び範囲から逸脱するものではなく、凡てのかかる当業者にとって自明の修正は特許請求の範囲内に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエアバッグ用ガス発生器の縦断面図である。
【図2】本発明のクーラント/フィルタを製造する工程に使う円筒体金網の斜視図である。
【図3】図2の円筒体金網をクーラント/フィルタに形成する概要説明図である。
【図4】本発明の製造したクーラント/フィルタ構造の縦断面概要図である。
【図5】半径方向に圧縮した円筒体金網より形成した平面板部材の概要図である。
【図6】図5の平面板部材を巻いて形成した多層の円筒体金網の概要説明図である。
【図7】本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の例の縦断面図である。
【図8】図1、2に示したようなエアバッグ用ガス発生器を組み込んだ本発明のエアバッグ装置の概要図である。
【図9】従来のエアバッグ用ガス発生器の縦断面図である。
【図10】本発明のクーラント/フィルタを含む本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の例の縦断面図である。
【図11】本発明のクーラント/フィルタのための平編金網の様子を示す線図である。
【図12】従来のクーラント/フィルタを備えるエアバッグ用ガス発生器の部分断面図である。
【図13】本発明の他例のクーラント/フィルタを備える本発明のエアバッグ用ガス発生器の部分断面図である。
【図14】図13のクーラント/フィルタの外への変形と膨張を防ぐ要素の一例を示す縦断面図である。
【図15】図13のクーラント/フィルタの外への変形と膨張を防ぐ要素の他例を示す縦断面図である。
【図16】追加の細部構造を示す本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の例の縦断面図である。
【図17】本発明の更に他の例のエアバッグ用ガス発生器を示す縦断面図である。
【図18】本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の例の部分縦断面図である。
【図19】本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の例の部分縦断面図である。
【図20】助手席用のエアバッグ装置に適合する本発明のエアバッグ用ガス発生器の縦断面図である。
【図21】図16のエアバッグ用ガス発生器の平面図である。
【図22】図17のエアバッグ用ガス発生器の平面図である。
【図23】本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の例の部分縦断面図である。
【図24】図23のエアバッグ用ガス発生器の縦断面図である。
【図25】図23のエアバッグ用ガス発生器における機械式センサの縦断面図である。
【図26】本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の例の部分縦断面図である。
【図27】図26のエアバッグ用ガス発生器におけるパーフォレーテッドバスケットの概要斜視図である。
【図28】図26のエアバッグ用ガス発生器におけるパーフォレーテッドバスケットの縦断面概要図である。
【図29】本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の例の部分縦断面図である。
【図30】図29のエアバッグ用ガス発生器におけるパーフォレーテッドバスケットの概要斜視図である。
【図31】図26のエアバッグ用ガス発生器におけるパーフォレーテッドバスケットの縦断面概要図である。
【図32】図23に示したようなエアバッグ用ガス発生器を組み込んだ本発明のエアバッグ装置の概要図である。
【図33】本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の例の縦断面図である。
【図34】図33のエアバッグ用ガス発生器におけるクーラント/フィルタの分解斜視略図である。
【図35】図20に示したようなエアバッグ用ガス発生器を組み込んだ本発明のエアバッグ装置の概要図である。
【図36】本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の例の縦断面図である。
【図37】図36のエアバッグ用ガス発生器におけるパーフォレーテッドバスケットの概要斜視図である。
【図38】図36のエアバッグ用ガス発生器におけるパーフォレーテッドバスケットの縦断面概要図である。
【図39】本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の例の縦断面図である。
【図40】図39のエアバッグ用ガス発生器におけるパーフォレーテッドバスケットの概要斜視図である。
【図41】図39のエアバッグ用ガス発生器におけるパーフォレーテッドバスケットの縦断面概要図である。
【図42】本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の例の縦断面図である。
【図43】図42のエアバッグ用ガス発生器におけるクーラント/フィルタの分解斜視略図である。
【符号の説明】
1 ディフューザシェル
2 クロージャシェル
3 ハウジング
4 中央筒部材
5 クーラント/フィルタ
7 ガス排出口
18 点火器
25 ガス発生剤
60 円筒体
62 積層体
64 板体
81 衝撃センサ
82 コントロールユニット
83 モジュールケース
334 貫通孔
409 間隙
410A 取付部
411 ガス排出口
488 レーザ溶接
500 ガス排出口
504 ハウジング
506 ガス発生剤
507 クーラント/フィルタ
509 点火器
525 間隙
750 クーラント/フィルタ
751 内側の層
752 外側の層
1550 機械式センサ
1515 雷管
2650 パーフォレーテッドバスケット

Claims (8)

  1. 複数個のガス排出口を有するハウジングと、ハウジング内に配設される点火手段と、点火手段のまわりに配設されるガス発生手段とガス発生手段のまわりに配設されるクーラント/フィルタ手段とを含み、
    前記ガス発生手段は前記点火手段により点火可能な固体非アジド物質であり、
    前記クーラント/フィルタ手段は中央円筒部材中の貫通孔に面して配置され、該クーラント/フィルタの内周面を蔽う防炎板を有し、該貫通孔は該点火器からの火炎を該燃焼室へ通過させる様にするものであり、
    更に該クーラント/フィルタ手段の外周と該ハウジングの周壁の内面により規定される間隙を含み、該間隙の半径方向断面における面積Stと、前記ガス排出口の開口面積の総和Atとの比の値St/Atが1以上であり、該間隙は該ガス発生剤の燃焼により生ずる該クーラント/フィルタを通る燃焼ガスの流れの均一性を増大させるものである、エアバッグ用ガス発生器。
  2. 該クーラント/フィルタ手段は該クーラント/フィルタの移動を防止するための支持部材を有し、該支持部材は該防炎板を含む、請求項記載のガス発生器。
  3. 該クーラント/フィルタ手段は該クーラント/フィルタの移動を防止するための支持部材を有し、該支持部材は前記ハウジング内面とクーラント/フィルタ端面間の燃焼ガスのショートパスを防止する請求項記載のガス発生器。
  4. 該防炎板は約8〜15mmの高さを有する、請求項記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 複数のガス排出口を有するハウジングと、
    該ハウジング内部に配設され、点火手段を含み、該点火手段からの火炎を通過させるための貫通孔を有する中央筒部材と、
    該中央筒部材を取り囲んで配設され、点火手段からの火炎により点火可能で、燃焼ガスを生成する非アジド物質からなるガス発生物質と、
    該ガス発生物質を取り囲んで配設されるクーラント/フィルタ手段とを含み、
    該クーラント/フィルタ手段は該貫通孔と該複数のガス排出口との間に配設され、該複数のガス排出口に実質上隣接する該クーラント/フィルタ手段の内周面の一部を蔽う防炎板を有するものであり、
    更に該クーラント/フィルタ手段の外周と該ハウジングの周壁の内面により規定される間隙を含み、該間隙の半径方向断面における面積Stと、前記ガス排出口の開口面積の総和Atとの比の値St/Atが1以上であり、該間隙は該ガス発生剤の燃焼により生ずる該クーラント/フィルタを通る燃焼ガスの流れの均一性を増大させるものである、エアバッグ用ガス発生器。
  6. 該防炎板は該クーラント/フィルタ手段の該ハウジング内における移動を阻止する支持部材を含む、請求項記載のガス発生器。
  7. 該防炎板は約8〜15mmの高さを有する請求項記載のガス発生器。
  8. 複数のガス排出口を有する、ガス排出用ハウジングと、
    該ハウジングから排出される燃焼ガスを発生するため、該ハウジング内に配設される固形非アジドガス発生物質と、
    該固形非アジドガス発生物質を点火するため、該ハウジング内に該ガス発生物質により取り囲まれて配設される点火手段と、
    該固形非アジドガス発生剤により発生される燃焼ガスを冷却濾過するため、該ハウジング内に該固形非アジドガス発生物質を取り囲んで配設されるクーラント/フィルタ手段と、
    燃焼ガスが該複数個のガス排出口へ向けて該クーラント/フィルタ手段を通って直接に流れることを阻止するため、該複数のガス排出口に実質上対向し、且つ該クーラント/フィルタ手段の内周面を蔽う様に配設される防炎板とを有してな
    該クーラント/フィルタ手段はその外周と該ハウジングの外周壁の内側との間に間隙を規定し、該間隙の半径方向断面における面積Stと、前記ガス排出口の開口面積の総和Atとの比の値St/Atが1以上である、エアバッグ用ガス発生器。
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