JP3833878B2 - 物品搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカム機構を用いた物品搬送装置に関し、更に詳しくは工作機械の自動工具交換装置または自動パレット交換装置等に用いて好適であって、カムを利用して旋回軸の軸方向の移動と旋回軸を中心とした旋回移動とを行わせて物品を搬送する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、工作機械の工具交換装置において、工具搬送にカム機構を用い単一の駆動源で工具交換アームの軸方向移動と旋回移動を行わせるものとして特開平6−155215号公報が知られている。
このものは図7に示すように枠体111に設けられた単一のサーボモータ112により送りねじ軸113を回転させ、回転を阻止された軸114を軸線方向に移動させる。この軸114に対して回転可能で軸線方向に一体移動するように取り付けられた円筒カム115の外周には軸方向の直線部とリード部とを有するカム溝115aが形成されている。
【0003】
枠体111には位置固定にカムフオロア116が取り付けられていて、カム溝115aに案内される。円筒カム115の先端には工具交換アーム117が固着されていて、サーボモータ112の回転により軸114が軸線方向に移動して、工具交換アーム117がカム溝115aの直線部による軸線方向の移動とカム溝115aのリード部による旋回移動とを行う。そしてカム溝115aの折り返し点においてカムフオロア116の進行方向を規制するためにストッパ作動用のソレノイド118を用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べた特開平6−155215号公報のものは、軸114の一方向動作が完了してソレノイド118を作動させるので、工具交換アームの動作が一旦停止してからしか次の反対方向の動作に移行することが出来ず、一連の動作を高速に行うことが出来ないという問題を有していた。
本発明は従来の技術を有する上記の問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、カムを利用して移動途中にて停止することなく高速動作可能な物品搬送装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために請求項1に記載された本発明の物品搬送装置は、物品を把持したアームを固着した旋回軸が軸線方向に移動し且つ軸心回りに旋回して、物品を旋回軸を中心に2位置に旋回移動させて位置決めする物品搬送装置であって、
筐体に軸方向移動を阻止され回転可能に設けられたねじ軸と、前記筐体に対し軸線方向に螺旋移動可能で前記ねじ軸に螺合するナットと、前記筐体に設けられ前記ねじ軸を回転駆動する1個のモータと、前記ナットに固着されると共に前記アームを固着した旋回軸と、該旋回軸に外挿して前記筐体に固着されたスリーブと、前記旋回軸または前記スリーブのいずれか一方に軸心に対し直角に突出して設けたカムフオロアと、前記旋回軸または前記スリーブのいずれか他方に前記カムフオロアと係合するよう刻設されたU字状のカム溝と、前記スリーブに取付けられたピストンソレノイド及び前記旋回軸外周に前記ピストンソレノイドの軸先端が係合する切欠とよりなりピストンソレノイドの作動で前記カム溝内で停止した前記カムフオロアを移動させる装置とを含み、前記カム溝は前記2位置に相当する前記カム溝上の2位置から滑らかに形成されたU字状のカム溝であって、前記モータの回転で前記ナットの軸方向の移動で前記カムフオロアが前記カム溝に沿って移動することにより前記旋回軸及び前記アームを自動的に旋回を行わせるようになしたものである。
【0006】
上述の装置によれば旋回軸を移動体に対し固着したので、カムフオロアがU字状のカム溝を移動するときの運動変換等により特別の駆動源を必要とせず旋回軸及びアームを直線動から旋回動へ自動的にスムースに停止することなく連続して移動させることが出来る。
【0007】
また請求項2に記載された本発明の物品搬送装置は、物品を把持したアームを固着した旋回軸が軸線方向に移動し且つ軸心回りに旋回して、物品を旋回軸を中心に2位置に旋回移動させて位置決めする物品搬送装置であって、
筐体に軸方向移動を阻止され回転可能に設けられたねじ軸と、前記筐体に対し軸線方向に螺旋移動可能で前記ねじ軸に螺合するナットと、前記筐体に設けられ前記ねじ軸を回転駆動する1個のモータと、前記ナットに固着されると共に前記アームを固着した旋回軸と、該旋回軸に外挿して前記筐体に固着されたスリーブと、前記旋回軸または前記スリーブのいずれか一方に軸心に対し直角に突出して設けたカムフオロアと、前記旋回軸または前記スリーブのいずれか他方に前記カムフオロアと係合するよう刻設されたカム溝と、前記スリーブに取付けられたピストンソレノイド及び前記旋回軸外周に前記ピストンソレノイドの軸先端が係合する切欠とよりなりピストンソレノイドの作動で前記カム溝内で停止した前記カムフオロアを移動させる装置とを含み、前記カム溝は前記2位置に相当する前記カム溝上の2位置から滑らかに形成されたU字状のカム溝であって、U字状溝端のそれぞれに前記カムフオロアを旋回可能ならしめる水平方向の旋回溝を形成し、前記モータの回転で前記ナットの軸方向の移動で前記カムフオロアが前記カム溝に沿って移動することにより前記旋回軸及び前記アームを自動的に旋回を行わせるとともにU字状溝端で前記カムフオロアが前記旋回溝に移動して前記アームを退避位置に退避させるようになしたものである。
【0008】
上述の装置によればU字状のカム溝の端部でカムフオロアを第2の旋回溝内に移動させることが出来るので、特別の駆動源を必要とせずアームを退避位置に退避させることが出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕
以下本発明の物品搬送装置を工作機械の自動工具交換装置に用い移動体と旋回軸とを同軸上に設けた実施例1について図1にもとづいて説明する。
【0010】
図示しない工作機械の本体に筐体1が固着されていて、この筐体1の上面に正逆転可能なモータ2が取り付けられている。モータ2の出力軸2aは筐体1内に突き出ていて、第1歯車3を取着している。筐体1には出力軸2aの軸線と平行にねじ軸4が軸受5により軸方向移動を阻止された状態で回転可能に軸承されている。このねじ軸4には移動体としてのナット6が螺合している。またねじ軸4には第1歯車3と噛み合う第2歯車8がキー着されている。
【0011】
ナット6には円筒形の旋回軸13が上端を固着されていて、この旋回軸13の下端には工作機械に用いる工具Tを両端に把持可能な把持アーム14が旋回軸13の軸線に直角に固着されている。そして旋回軸13の回動によりアーム14は水平に旋回させられる。
筐体1には旋回軸13を外挿する状態にスリーブ15が固着されている。旋回軸13の上端近傍には外方へ突き出た状態でカムフオロア16が固着されている。そしてスリーブ15の内周にはカムフオロア16を受け入れ案内するカム溝15bが刻設されている。
【0012】
スリーブ15にはカム溝15bの下端と僅かな寸法隔てた位置と最下端位置との2個所に含油軸受17が設けられていて旋回軸13を回転可能に支えている。
上記説明ではカム溝15bはスリーブ15に形成されているが、図1には示すように旋回軸13の外径と遊嵌する内径を有した円筒カム21をスリーブ15内に嵌挿固着し、この円筒カム21にカム溝15bを刻設するようになしてもよい。
【0013】
次にカム溝15bの形状を図2,図3にもとづいて説明する。
図2は円筒カム21の斜視図であり、図3はカム溝15bの展開図である。カム溝15bは円筒カム21の上部で180度離れたa位置とf位置に溝端部があり、a位置とe位置から垂直下方にb位置とe位置まで垂直直線溝を形成している。そしてb位置とe位置から下降しながら円筒カム21の円筒曲面に沿って滑らかに曲がり始めc位置に到る曲がり溝を形成している。尚、U字状のカム溝15bは図3に示す形状ばかりではなくU字状の端部に水平溝を連続して形成した図5に示すものや、ほぼU字状のもの等全てを含むものとする。
【0014】
〔作用〕
次に自動工具交換装置において工具を搬送する場合の作用を説明する。
今ナット6が上昇させられ、旋回軸13及び工具Tを把持しているアーム14も上昇し上端位置に停止しているものとする。
このときカムフオロア16はカム溝15bのa位置に位置している。
次に工具交換動作のためにモータ2を回転させると、ナット6はカムフオロア16がカム溝15b内に係合させられていて、回転を阻止されているため、カム溝15bに沿ってアーム14の方に下降移動を開始する。
【0015】
従って旋回軸13及びアーム14も下降移動し、カムフオロア16はカム溝15bのb位置方向へ移動する。カムフオロア16がb位置通過後は曲がり溝によりナット6はb位置とc位置の間の僅かな垂直方向の寸法を下降移動する。旋回軸13はナット6に対して固着されているため、カムフオロア16がカム溝15bのb位置とc位置間を移動しているとき、円筒カム面に沿ったカム溝15bの曲がり溝により旋回軸13は旋回を行い従ってアーム14も旋回し、カムフオロア16はc位置まで自動的に旋回移動する。
【0016】
そして、カムフオロア16がカム溝15bのc位置とe位置間を移動しているとき、円筒カム面に沿ったカム溝15bの曲がり溝により運動変換等にて旋回軸13は旋回を行い従ってアーム14も旋回し、カムフオロア16はd位置を通過してカム溝15bの曲がり溝の最終点であるe位置まで自動的に旋回移動する。
【0017】
d点位置の近傍でカムフオロア16の位置と移動体の駆動装置にずれが生じた場合に各構成部品に無理な力が作用する。従ってカムフオロア16がd位置の近傍を通過する時点でモータ2の出力トルクを制限させるように制御することも行われる。或いは移動体部分に皿ばね等を必要に応じて付加することも行われる。
【0018】
カムフオロア16がU字状のカム溝15b内をa位置からf位置まで移動して一連の自動工具交換動作が完了し、次の自動工具交換動作を行わせるときには、カムフオロア16はカム溝15b内をf位置からa位置まで移動する。
【0019】
尚、工作機械の本機側に何らかの不具合が発生し、工具交換動作を速やかに停止させたい場合には図1(b)に示すブレーキ装置25を作用させる。ブレーキ装置25は旋回軸13を挟む二つの駒26,27がスリーブ15内に収容されていて、ロータリソレノイド28により左ねじと右ねじを刻設されたねじ軸29を回転させ、左ねじと右ねじそれぞれと螺合する二つの駒26,27を互いに接近させて旋回軸13にブレーキを加えるものである。
【0020】
次にカムフオロア16がカム溝15b内のd点近傍の位置に停止した場合に、旋回軸13を回動させ、カムフオロア16を復帰可能な位置まで移動させる装置31について図1(c)にもとづき説明する。
【0021】
スリーブ15にピストンソレノイド32を取り付ける。旋回軸13が下降しカムフオロア16がカム溝15bのd点近傍に位置する場合におけるピストンソレノイド32の軸33先端と相対する旋回軸13外周に軸33先端と係合する切欠き13aを設ける。
カムフオロア16をd点近傍の位置から復帰可能な位置まで移動させるにはピストンソレノイド32を往運動させ旋回軸13の切欠き13aに軸33先端を係合させ旋回軸13を徐々に回転させる。
【0022】
〔実施例2〕
次にU字状のカム溝の端部に円周方向の水平溝を形成してアームを退避移動させる実施例2を図4から図6にもとづき説明する。なお図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
ナット6にはカムフオロア16が軸線に直角に外方へ突設させられていて、円筒カム21に刻設したU字状のカム溝15bと係合している。そして旋回軸13がナット6と共に上昇端に達したときカムフオロア16が水平旋回可能なようにU字状のカム溝15bの上端は直線溝の上端a位置,f位置に連続して水平方向に第2旋回溝a→a´とf→f´とを有している。
【0023】
U字状のカム溝15bの端部a位置及びe位置に相当するスリーブ15上の位置にはカムフオロア16が到達したことを検知する検出センサ18が取り付けられている。そしてカムフオロア16の復帰位置を検出する。
更にナット6のフランジにはU字状のカム溝15bのaおよびfに相当する円周方向の切欠き6bが設けられていて、ナット6が上昇したときにこの切欠き6bと対応するスリーブ15上の位置にストッパ44を先端が切欠き6bに係合するように取り付けられている。
【0024】
次に実施例2の作用について説明する。
モータ2の回転でナット6が上昇すると、ナット6に固着している旋回軸13が上昇する。このときナット6の回転方向にフランジに設けた切欠き6bの端部がストッパ44の先端に当接し工具無時のカムフオロア16のだれを防止する。この状態でモータ2を更に同一方向に回転させるとナット6が上昇端で上昇を阻止されているためねじ軸4と一体として回転を行うようになる。このときナット6に固着されているカムフオロア16は第2旋回溝に移動する。
【0025】
d点位置の近傍でカムフオロア16の位置と移動体の駆動装置にずれが生じた場合に各構成部品に無理な力が作用する。従ってカム溝d位置の近傍を図6に示すように、曲線同士の交差によってカム溝部の切上部を形成することも行われる。尚、この場合カムフオロア16がd点近傍の途中で停止した場合にモータ2のインチング回転のみにて復帰させることも可能である。
【0026】
【発明の効果】
本発明の装置は上述のように構成されているので次に記載する効果を奏する。
【0027】
請求項1の装置は、旋回軸をナットに固着したので、カムフオロアがカム溝の曲がり溝を移動するときの運動変換等により特別の駆動源を必要とせず旋回軸及びアームを自動的にスムースに停止することなく旋回させることが出来る。
【0028】
請求項2の装置は、U字状のカム溝の端部でカムフオロアを水平溝内に移動することが出来るので、特別の駆動源を必要とせずアームを退避位置に退避させるとが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の物品搬送装置の実施例1の説明図、(b)は旋回軸にブレーキを掛ける機構の説明図、(c)は旋回軸を微動回動させる機構の説明図である。
【図2】円筒カムの斜視図である。
【図3】円筒カムに形成したU字状のカム溝の展開図である。
【図4】本発明の実施例2の説明図である。
【図5】実施例2に用いるU字状のカム溝の展開図である。
【図6】カム溝の切上部の詳細図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 筐体 2 モータ
6 ナット 4 ねじ軸
13 旋回軸 14 アーム
15 スリーブ 15b カム溝
16 カムフオロア 18 センサ
31 回動機構
Claims (2)
- 物品を把持したアームを固着した旋回軸が軸線方向に移動し且つ軸心回りに旋回して、物品を旋回軸を中心に2位置に旋回移動させて位置決めする物品搬送装置であって、筐体に軸方向移動を阻止され回転可能に設けられたねじ軸と、前記筐体に対し軸線方向に螺旋移動可能で前記ねじ軸に螺合するナットと、前記筐体に設けられ前記ねじ軸を回転駆動する1個のモータと、前記ナットに固着されると共に前記アームを固着した旋回軸と、該旋回軸に外挿して前記筐体に固着されたスリーブと、前記旋回軸または前記スリーブのいずれか一方に軸心に対し直角に突出して設けたカムフオロアと、前記旋回軸または前記スリーブのいずれか他方に前記カムフオロアと係合するよう刻設されたU字状のカム溝と、前記スリーブに取付けられたピストンソレノイド及び前記旋回軸外周に前記ピストンソレノイドの軸先端が係合する切欠とよりなりピストンソレノイドの作動で前記カム溝内で停止した前記カムフオロアを移動させる装置とを含み、前記カム溝は前記2位置に相当する前記カム溝上の2位置から滑らかに形成されたU字状のカム溝であって、前記モータの回転で前記ナットの軸方向の移動で前記カムフオロアが前記カム溝に沿って移動することにより前記旋回軸及び前記アームを自動的に旋回を行わせるようになしたことを特徴とする物品搬送装置。
- 物品を把持したアームを固着した旋回軸が軸線方向に移動し且つ軸心回りに旋回して、物品を旋回軸を中心に2位置に旋回移動させて位置決めする物品搬送装置であって、筐体に軸方向移動を阻止され回転可能に設けられたねじ軸と、前記筐体に対し軸線方向に螺旋移動可能で前記ねじ軸に螺合するナットと、前記筐体に設けられ前記ねじ軸を回転駆動する1個のモータと、前記ナットに固着されると共に前記アームを固着した旋回軸と、該旋回軸に外挿して前記筐体に固着されたスリーブと、前記旋回軸または前記スリーブのいずれか一方に軸心に対し直角に突出して設けたカムフオロアと、前記旋回軸または前記スリーブのいずれか他方に前記カムフオロアと係合するよう刻設されたカム溝と、前記スリーブに取付けられたピストンソレノイド及び前記旋回軸外周に前記ピストンソレノイドの軸先端が係合する切欠とよりなりピストンソレノイドの作動で前記カム溝内で停止した前記カムフオロアを移動させる装置とを含み、前記カム溝は前記2位置に相当する前記カム溝上の2位置から滑らかに形成されたU字状のカム溝であって、U字状溝端のそれぞれに前記カムフオロアを旋回可能ならしめる水平方向の旋回溝を形成し、前記モータの回転で前記ナットの軸方向の移動で前記カムフオロアが前記カム溝に沿って移動することにより前記旋回軸及び前記アームを自動的に旋回を行わせるとともにU字状溝端で前記カムフオロアが前記旋回溝に移動して前記アームを退避位置に退避させるようになしたことを特徴とする物品搬送装置。
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