JP3832429B2 - 活性炭吸着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ゴミ焼却炉、鉱石の製錬炉あるいは高炉その他の工鉱業生産設備から発生する排ガスに含まれているダイオキシン類、重金属、硫黄酸化物等の有害な成分を活性炭に吸着して除去する活性炭吸着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴミ焼却炉、鉱石の製錬炉あるいは高炉その他の工鉱業生産設備から発生する排ガス中には、ダイオキシン類、重金属、硫黄酸化物等の有害成分が含まれている。特にダイオキシン類は10億〜1兆分の1の濃度という超微量ながら極めて毒性が高く、排ガスとして排出され大気に拡散したダイオキシン類は雨などで降下して土壌、河川、海を汚染し、食物連鎖により生物濃縮される。
【0003】
このように非意図的に微量生成するダイオキシン類を、長年、日常的に人が摂取することにより、ダイオキシン類の慢性毒性、発癌性による健康被害の発症が懸念されており、ダイオキシン類排出の削減が強く求められている。ここで、このダイオキシン類や上述した有害成分の効果的な除去を目的に活性炭が用いられる。
【0004】
活性炭を用いたこれら有害成分の除去方法として、粉末活性炭を排ガスが排出される煙道に噴霧して排ガス中のダイオキシン類等を吸着し、ろ過式集じん器等でダストと共に集じんする方法や、粒状活性炭を装置の内部に充填して活性炭層を形成し、排ガスをこの活性炭層に通過させてダイオキシン類等を吸着・除去する活性炭吸着装置が用いられている。
【0005】
図12は、第11回廃棄物学会研究発表会講演論文集第771〜773頁に記載された「移動床活性炭吸着塔を用いたダイオキシン除去システムのごみ焼却工場における実施設運転特性」(非特許文献1)中、その図2に示された従来の活性炭吸着装置の概略を示す図である。この装置は縦型充填層構造を有する。ガス吸着塔の側部(図中左側)に設けられたガス入口から導入された排ガスは吸着剤が充填された吸着部(活性炭層)に導かれる。吸着材部で有害成分の除去処理されたガス(清浄ガス)は、図中右側のガス出口から排出される。
なお、吸着剤は吸着剤の投入ロ(図中上部)より吸着塔に投入され、吸着効率が低下したときには切出し装置の操作により吸着部底部から排出され吸着塔下部に集められ、吸着塔底部の取出し口7より取り出され、焼却炉内で焼却されるなどにより処分される。
【0006】
【非特許文献1】
「移動床活性炭吸着塔を用いたダイオキシン除去システムのごみ焼却工場における実施設運転特性」 第11回廃棄物学会研究発表会講演論文集、第771〜773頁、2000年10月10日、廃棄物学会発行
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の活性炭吸着装置の場合は、吸着部である活性炭層を排ガスが下から上へ流れることにより排ガス中の有害物質が挙除されるものであるが、吸着部での差圧を小さくするために排ガスの流速を遅くしているので、吸着部の断面積を大きくする必要がある。また、吸着部の層厚は、排ガスにより吸着材が吹き上がるのでその自重により防止するために、所定の厚さを確保する必要がある。
したがって、活性炭吸着装置が大型となるとともに、活性炭層の体積も大きなものとなっていた。このように活性炭層の体積が大きいと活性炭層中での発熱及びそれに起因する発火暴走などのおそれがあり、その対策が大掛かりなものとなっていた。
【0008】
活性炭の発火原因の大部分は吸着された有機物の酸化反応熱による蓄熱発火と考えられる。蓄熱の温度上昇は発熱速度、放熱速度に強く依存し、前者が後者を上まわると加速されて発火点に達する。ここで、発熱の要因としては吸着熱、被吸着物の酸化反応熱、炭素の酸化熱が考えられる。一方、放熱の要因としては熱容量、熱伝導が考えられる。活性炭のそのものは炭素であり、酸素共存下ではある温度以上での燃焼を完全に防ぐことはできない。また、活性炭の熱伝導率は非常に低いため、活性炭吸着装置のように活性炭を充填して使用する場合には蓄熱発火の危険性が高くなる上に、最初に温度が上昇し始める箇所の特定ができないため、温度計等で発火の初期検知も困難である。
【0009】
蓄熱発火を防止するため、処理する排ガス温度を所定の温度以下で運転することや、停止時には活性炭吸着装置の内部に窒素ガスを吹き込むことなどが必要とされ、設置コストや運転コストが高くなっていた。
【0010】
さらに、活性炭の温度上昇は発火に至らなくても、ダイオキシン類やその他の有害物質の除去効率を低下させる。このようなことからも、活性炭の温度上昇を抑制することが望まれている。
【0011】
活性炭の温度上昇を抑制する方法として空気を送風する事も考えられるが、空気の通気には冷却効果と酸化効果の両面を有し、160℃以上では酸化効果が冷却効果よりも勝り、逆に発火の危険性が高くなるとの指摘もある。すなわち、高温の活性炭層に空気を吹き込むと、発火するおそれがある。
【0012】
上述したように、排ガス中に含まれるダイオキシン類やその他の有害物質の除去に対して活性炭を用いた吸着処理は有効であるものの、比較的高温の燃焼排ガスなどを活性炭で処理する場合には、活性炭の発熱およびそれに基づく発火という危険性が伴う。排ガスの処理装置などにおいては、安全性の確認が第一に求められるこ とから、活性炭の発火防止対策が強く求められている。さらに、装置の小型化への要望も強い
【0013】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、小型で発火防止性能に優れた活性炭吸着装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る活性炭吸着装置は、ダイオキシン類や重金属類、硫黄酸化物等の有害成分を含む排ガスから有害成分を吸着により除去する活性炭吸着装置であって、被処理ガスの流入側の面と吸着処理済み被処理ガスの流出側の面とが互いに実質的に平行な活性炭層を備え、排ガスを、それらの流入側の面から流出側の面に向かって該活性炭層を通過させて該排ガス中の有害成分を除去する活性炭吸着装置において、前記複数の活性炭層は、流入側の面および流出側の面を実質的にそれぞれ平行に並べて配置され、各活性炭層には、その流入側の面の略全面に被処理ガスを供給する案内通路とその流出側の面のほぼ全面からの吸着処理済みガスを排出する排出流路とが付設され、該案内流路の主となるガスの流れ方向と該排出流路の主となるガスの流れ方向は等しく案内流路と排出流路との該主となるガスの流れ方向に垂直な面が前記各活性炭層の流入側の面および流出側の面と実質的に直交し、かつ、前記案内流路と前記排出流路との間が活性炭層を有する整流流路により接続され、案内流路の主となるガスの流れ方向と、整流流路中のガスの流れ方向とが鈍角をなし、かつ、整流流路中のガスの流れ方向と排出流路を流れる主となるガスの流れ方向とが上記鈍角と等しい大きさの角度をなすことを特徴とする。
【0015】
このような請求項1の発明によれば、活性炭層中のガスの流れは層厚方向に対して傾斜した方向を有する「斜行流」となるため、層厚方向に排ガスを流す場合(直行流)と比ぺて、層厚を薄くした場合であっても、排ガスと活性炭との接触時間を充分なものとすることが可能で、被処理ガス中の特定成分の除去性能を確保しながら活性炭層の層厚を薄くできる。また、被処理ガス量に応じて複数の活性炭層を平行に並べて配置したため、活性炭吸着装置内部の排ガス流れの乱れが低減されると共に空間利用効率(吸着装置の全容積に占める活性炭層の体積の比率)が従来よりも10〜30%程度向上して、結果として装置全体をコンパクトなものとすることが可能となる。
【0016】
請求項1の発明に係る活性炭吸着装置は、活性炭層の層厚を薄くすることにより、活性炭層の一部で何らかの発熱要因が生じたとしても、そこで発生した熱は放熱されやすくなるので、活性炭の発熱およびそれに伴う発火などの危険性を回避することができる。
【0017】
なお、本発明において、案内流路の主となるガスの流れ方向、および、排出流路の主となるガスの流れ方向、における「主となるガスの流れ」とはこれら流路において、これら流路の中央をガスが層流状態で流れる場合の想定される流れであり、このとき、流路壁、あるいは分岐などによって生じる可能性のある、乱流、派生流などはないと想定されたときの流れである。
【0018】
さらに本発明に係る活性炭吸着装置は前記案内流路と前記排出流路との間が活性炭層を有する整流流路により接続され、案内流路の主となるガスの流れ方向と、整流流路中のガスの流れ方向とが鈍角をなし、かつ、整流流路中のガスの流れ方向と排出流路を流れる主となるガスの流れ方向とが上記鈍角と等しい大きさの角度をなす
【0019】
このような構成により、活性炭層内に斜行流がより安定して形成され、その流れの方向や速度が均一になりやすい。また、蓄熱しやすい場所をなくすることができ、活性炭層での蓄熱による発火などの危険性をより低減させることができる。
【0021】
請求項の発明に係る活性炭吸着装置は、請求項に記載の活性炭吸着装置において、前記活性炭層は、粒状活性炭全体として1W/mK以上の熱伝導率を有する高熱伝導率の粒状活性炭が充填されていることを特徴としている。
【0022】
請求項に記載の活性炭吸着装置はこのような構成により高熱伝導率の活性炭物質が、活性炭物質全体として1W/mK以上の熱伝導率を有しているため、活性炭層の一部で何らかの発熱要因が生じたとしても、そこで発生した熱は速やかにその周囲に放散され、活性炭層全体の温度分布が均一化されるので、活性炭層の温度が過剰に上昇して発火に至ることをより確実に防止できる。
【0023】
請求項の発明の活性炭吸着装置は、請求項1または請求項2に記載の活性炭吸着装置において、前記活性炭層が、粒状活性炭と粒状高熱伝導性物質とを混合充填してなることを特徴としている。
【0024】
請求項に記載の活性炭吸着装置は活性炭層の一部で何らかの発熱要因が生じたとしても、そこで発生した熱は混合された粒状高熱伝導性物質によって速やかにその周囲に放散され、活性炭層全体の温度分布が均一化されるので、活性炭層の温度が過剰に上昇して発火に至ることをより確実に防止できる。
なお、装置の使用目的、重要度等により、吸着性能を重視する混合比率を選択したり、あるいは、発火防止性能を重視した混合比率を選択することができる。
【0027】
請求項の発明の活性炭吸着装置は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の活性炭吸着装置において、被処理ガス流れ方向に対して活性炭層の上流側に、集塵手段が一体構造で設けられたことを特徴としている。
【0028】
請求項に記載の活性炭吸着装置は、このような構成により、濾過集塵器などの濾過手段により塵埃による活性炭層の圧力損失の上昇を防止することができ、部分的に通気抵抗の高い部分、すなわち蓄熱しやすい箇所の発生が防止されることにより、活性炭層の温度が部分的に過剰に上昇して発火に至ることを効果的に防止できる。また、集塵手段との一体化により、製作や設置のコストや設置面積の抑制が可能となる。
【0029】
請求項の発明の活性炭吸着装置は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の活性炭吸着装置において、活性炭吸着装置の複数の活性炭層がガスの流れ方向に対して並列に一体化されて活性炭ユニットが形成され、かつ、該活性炭ユニットが前記活性炭吸着装置に出し入れ可能であることを特徴としている。
【0030】
請求項に記載の活性炭吸着装置は、このような構成により、性能の劣化した活性炭を有するユニットを充分な性能を有する活性炭ユニットに容易に交換することができ、運転停止時間の短縮や作業の効率化が可能となると同時にユニット化により、交換時の粉塵の発生が防止され、環境汚染の問題も解消される。
ここで、ユニットは互いに互換性を有する形状であることが望ましい。
【0031】
請求項の発明の活性炭吸着装置は、請求項に記載の活性炭吸着装置において、上記活性炭ユニットが複数個、ガス流れ方向に対して直列に配置されていることを特徴とする。
このような構成により請求項7に記載の運転方法が可能となる。
【0032】
請求項に記載の活性炭吸着装置の運転方法は、請求項に記載の活性炭吸着装置の運転方法であって、活性炭ユニットの交換に際し、被処理ガス流れ方向に対して各活性炭ユニットをそれぞれ一段ずつ下流側の活性炭ユニットと交換して、最も上流側の活性炭ユニットを装置外に取り出すと共に、最も下流側の活性炭ユニットとしてとして未使用または再生済みの活性炭が充填された活性炭ユニットを配することを特徴としている。
【0033】
最上流側のユニットは除去すべき有害成分を高濃度に有するガスにさらされ、最も先に破過する。しかしながら最上流側のユニットの破過時であってもその下流側のユニットの吸着性能は充分残留している。このため上記のような運転によりは排ガス中の有害成分の装置からのリークを効果的に防止しながら、活性炭の性能を十全に引き出すことができ、しかも、活性炭の交換がきわめて容易であって、運転停止時間の短縮や作業の効率化が可能となる。
なお、上記ユニットの交換は所定時間ごとに行っても良く、また、装置に導入される排ガス性状を分析して交換時間を決定してもよく、あるいは、特定のユニット(最上流側のユニットが好ましい)の流出側ガスを分析し、特定成分が検出されたとき、ないし、特定成分の濃度が所定値になったときに交換をおこなっても良い。
なお、当然のことながら、直列に配された活性炭ユニット群を複数、並列に有する装置での場合もこの活性炭吸着装置の運転方法に含まれる。
また、請求項8に記載の活性炭吸着装置の運転方法は、請求項7に記載の活性炭吸着装置の運転方法において、前記活性炭吸着装置の活性炭層として、静止した空気雰囲気における自己点火温度が、処理対象とする被処理ガスの温度よりも高い活性炭層を用いることを特徴とする。
このような構成により、活性炭層での発火の可能性をきわめて低くすることが可能となる。
請求項9に記載の活性炭吸着装置の運転方法は、請求項1ないし請求項6に記載の活性炭吸着装置の運転方法であって、前記活性炭吸着装置の活性炭層として、静止した空気雰囲気における自己点火温度が、処理対象とする被処理ガスの温度よりも高い活性炭層を用いることを特徴とする。
このような構成により、活性炭層での発火の可能性をきわめて低くすることが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の活性炭吸着装置は、ダイオキシン類や重金属類、硫黄酸化物等の有害成分を含む排ガスから有害成分を吸着により除去する活性炭吸着装置であって、被処理ガスの流入側の面と吸着処理済み被処理ガスの流出側の面とが互いに実質的に平行な活性炭層を複数備え、排ガスを、それらの流入側の面から流出側の面に向かって該活性炭層を通過させて該排ガス中の有害成分を除去する活性炭吸着装置において、前記複数の活性炭層の流入側の面と流出側の面とが実質的にそれぞれ平行に並べて配置され、かつ、各活性炭層には、その流入側の面の略全面に被処理ガスを供給する案内通路とその流出側の面のほぼ全面からの吸着処理済みガスを排出する排出流路とが付設され、該案内流路と該排出流路とはそれぞれの流路の主となるガスの流れ方向が等しく、かつ、案内流路と排出流路との該主となるガスの流れ方向に垂直な面が前記各活性炭層の流入側の面および流出側の面と実質的に直交している構成により、被処理ガスは活性炭層内を流入側の面および流出側の面に対して斜めに流れる(斜行流)。
【0035】
活性炭層を通過する排ガスの流れ方向を、層厚方向に対してこのように傾斜した方向とすることにより、層厚方向に沿って排ガスを流す場合(直行流、図1参照、図中矢印は排ガスの流れ方法を示す。)と比べて、層厚を薄くしても性能を維持することが可能となる。
【0036】
すなわち、図1に示すような直行流れの場合、排ガスと活性炭層との接触長さ(d1)と活性炭層の厚み(t1)は同一である。しかし、図2に示すように本願発明のように被処理ガスを流入側の面および流出側の面(この例ではこれら面は互いに平行)に対して斜めに活性炭層内を流す場合では、活性炭層の厚みt2は排ガスと活性炭層との接触長さd2よりも短くなる。すなわち、排ガス量が同じ場合に、排ガスと活性炭層との接触長さd2を上記d1と等しく、また、活性炭層の高さh2を図における活性炭層の高さh1と等しくすると、これら図1及び図2の場合では、有害物質等の特定成分の除去性能の目安である空間速度(sv)は同一だが、非処理ガス流れに対しての活性炭層の厚さd2は被処理ガスを流入側の面と排ガスと流れとがなす角の角度θが45°のときに、実際の層厚t2に対して、√2倍となるので、実際の活性炭層の厚さt2には上記図1の例での活性炭層厚さd1の1/√2倍であれば充分であることが判る。
【0037】
ここで、本発明において、この活性炭層中のガスの流れと流入側の面とがなす角は、30°以上70°以下であることが望ましい。30°未満であると、直交流の場合と層厚があまり変わらず、また、70°を超えるのは構造的に困難となる。
【0038】
上述のように本発明では層厚を薄くすることができる。活性炭層の層厚が薄くなることは、活性炭の発火の原因である蓄熱発火の防止に大きな効果がある。
ある容量の活性炭層で発火が生じるときの雰囲気温度を自己点火温度と称するが、活性炭層の容量が大きくなる程、自己点火温度は下がり、活性炭層を立方体にした場合の容積の対数と自己点火温度の逆数とは比例関係にある。この自己点火温度は、活性炭層の形状によっても当然左右され、活性炭層が薄くなる程に自己点火温度は上がる(つまり、発火しにくくなる)。
【0039】
直方体の活性炭層の場合は、層厚を薄くする程自己点火温度は上がる。このように、活性炭層中のガスの流れを層厚に対して斜めにすることにより、処理するガスの温度をより高くできる、または、同じ温度のガスを処理しても発火の危険性をより低減できると云う効果が得られる。
【0040】
本発明において、活性炭層が、処理対象とする被処理ガスの温度より、静止した空気雰囲気における自己点火温度が高いことが望ましい。前述のように、自己点火温度は、同一形状であれぱ活性炭層の容量が大きい程に低くなる。ガスの吸着処理時には、ガスが活性炭層の熱を持ち去るので蓄熱して発火する危険は少ないが、埋火直後には活性炭層の温度が下がっていないのに、排ガスの流れが止まってしまうという状況が発生する場合がある。このような場合には、蓄熱効果が進行して発火に至ることもある。また、排ガス中の酸素濃度は空気中のそれよりもかなり低いが、ガス中の酸素濃度が高いほど、発火の可能性が高くなる。つまり、排ガスの温度とした静止中の空気雰囲気という条件が、活性炭層にとっての最も過酷な条件であり、逆に、この条件においても活性炭層の自己点火が起こらなければ、その活性炭吸着装置は十分に安全といえる。そこで、静止した空気雰囲気における活性炭層の自己点火温度が、排ガスの温度よりも高くなる様に活性炭層の層厚を決定する。なお、活性炭は排ガス中のナトリウムを含む成分やカリウムを含む成分等を吸着することにより発火温度が下がるので、この温度降下分も考慮して、設計時に余裕をみて層厚を決めることが好ましい。
【0041】
また、排ガス中の酸素濃度は空気中の酸素濃度よりもかなり低い(通常10vol%程度)が、ガス中の酸素濃度が高いほど、発火の可能性が高くなる。従って、実際の使用温度であって、かつ、通気による熱の放散が生じない静止した空気雰囲気下と云う条件が最も厳しい条件であるが、この条件であっても活性炭層の自己点火が生じなければ、そのような活性炭層を有する活性炭吸着装置は充分に安全であると云える。
【0042】
さらに、本発明における活性炭層はガスの流入側の面及び流出側の面を金網、パンチングメタルなどの通気性と耐熱性のある素材によって、非透過面は鋼板などの非通気性で耐熱性の素材によって覆うことにより、活性炭が吹き飛ばされるおそれがないので、活性炭としては吸着に必要な容量を確保すれぱよくなり、コンパクト化が可能となる。さらに、活性炭層を複数設けてそれを並列に配置することにより、活性炭吸着装置の容積を有効に活用できるので、活性炭吸着装置の小型化が可能となる。
【0043】
一般に活性炭は熱伝導率が0.1〜0.4W/mK程度と極めて熱伝導性が低い物質である。このような活性炭を充填した吸着装置を用いて、例えば燃焼排ガスの浄化処理を実施した場合、燃焼排ガス自体の温度は活性炭の発火温度以下であっても、飛灰の付着などの何らかの発熱要因が発生すると、例えば飛灰の酸化反応に伴う反応熱や触媒効果により部分的な温度上昇が起こる。
【0044】
このような活性炭層の部分で発生した熱は、活性炭の極めて低い熱伝導性に起因して、放散されることなく蓄熱されてヒートスポットが生じる。ヒートスポットが原因となって、活性炭の発火暴走が起こるおそれがある。このように、活性炭の発火は例えば吸着塔内の温度分布に起因する。
【0045】
ここで、本発明の活性炭吸着装置の活性炭層には、高熱伝導率の活性炭を用いることが望ましい。このような、高熱伝導率の活性炭によって活性炭層を構成したときに1W/mK以上の熱伝導率を有しているため、活性炭層の一部で上記のような発熱要因が生じたとしても、そこで発生した熱は速やかにその周囲に拡散され、活性炭層全体の温度分布が均一化され、活性炭の発火暴走などの発生を大幅に抑制することができる、すなわち、活性炭が充填された活性炭層全体の温度分布が均一化され、異常な温度上昇が抑制される。さらにこのような高熱伝導率の活性炭の利用により、活性炭の温度上昇に伴う吸着効率の低下などを抑制することが可能となる。
【0046】
このような、熱伝導率を1W/mK以上とした高熱伝導率の活性炭(造粒炭)の製造方法は、特開2000−272914公報に詳細に記載されている。
本発明で用いることが望ましい高熱伝導率の活性炭(造粒炭)の具体的な構成としては、下記の表1(特開2000−272914公報中表1をそのまま引用したもの)のうち「実施例」とされたものに示すように比表面積が100m2/g以上の活性炭と、熱伝導率が30W/mK以上の炭素材からなる熱伝導性向上材とを含むと共に、前記活性炭物質全体として1W/mK以上の熱伝導率を有し、かつ前記熱伝導性向上材により前記活性炭に生じた熱を前記活性炭(造粒炭)の外部に放散するようにした構成が挙げられる。
【0047】
【表1】
Figure 0003832429
【0048】
また、本発明で好適に用い得る熱伝導性活性炭は、有害物質の吸着力としての観点から、活性炭物質全体としての比表面積が100m2/g以上であり、且つ、n−ブタン吸着量が3%以上であることが好ましい。上記の表から明らかなように、このように生成された活性炭(造粒炭)は吸着材としての比表面積やn−ブタン吸着量を維持した上で、良好な熱伝導率を有していることが分かる。
【0049】
このような具体的な構成例を図3に示す。この例では前記案内流路と前記排出流路との間が活性炭層を有する整流流路により接続され、案内流路の主となるガスの流れ方向と、整流流路中のガスの流れ方向とが鈍角をなし、かつ、整流流路中のガスの流れ方向と排出流路を流れる主となるガスの流れ方向とが上記鈍角と等しい大きさの角度をなす。
【0050】
このような構成により活性炭層内に斜行流がより安定して形成され、その流れが均一になりやすい。また、蓄熱しやすい場所をなくすることができ、活性炭層での蓄熱による発火などの危険性をより低減させることができる。
【0051】
また、本発明の活性炭吸着装置において、被処理ガス流れ方向に対して直列に配置した活性炭層(ここでは後述する活性炭層を内部に有する活性炭ユニット)の上流側に、例えば図4のように集塵手段(本例では濾布からなる集塵手段)を一体構造で設けることが望ましい。
【0052】
このとき濾過集塵器などの濾過手段により塵埃による活性炭層の圧力損失の上昇を防止することができ、部分的に通気抵抗の高い部分、すなわち蓄熱しやすい箇所の発生が防止されることにより、活性炭層の温度が部分的に過剰に上昇して発火に至ることを効果的に防止できる。また、集塵手段との一体化により、設置コストや設置面積の抑制が可能となる。
【0053】
<実施の形態1>
実施の形態1に係る活性炭吸着装置は、ダイオキシン類や重金属類、硫黄酸化物等の有害成分を含む排ガスから有害成分を吸着により除去する活性炭吸着装置であって、被処理ガスの流入側の面と吸着処理済み被処理ガスの流出側の面とが互いに実質的に平行な活性炭層を複数備え、排ガスを、それらの流入側の面から流出側の面に向かって該活性炭層を通過させて該排ガス中の有害成分を除去する活性炭吸着装置であって、複数の活性炭層は、流入側の面および流出側の面を実質的にそれぞれ平行に並べて配置され、各活性炭層には、その流入側の面の略全面に被処理ガスを供給する案内通路とその流出側の面のほぼ全面からの吸着処理済みガスを排出する排出流路とが付設され、案内流路の主となるガスの流れ方向と排出流路の主となるガスの流れ方向は等しく、かつ、案内流路と排出流路との該主となるガスの流れ方向に垂直な面が前記各活性炭層の流入側の面および流出側の面と実質的に直交している活性炭吸着装置であり、活性炭層の両側付近に排ガスの側流(主となる流れ)を形成し、排ガスが活性炭層内を斜行流で通過させるようにしたものである。
【0054】
図5及び図6は本発明の実施の形態1に係る活性炭吸着装置の概略構成を示す図である。この活性炭吸着装置20は、図5及び図6に示すように、上部のガス入口21から流入したダイオキシン類や重金属類、硫黄酸化物等の有害成分を含む排ガスが活性炭層22を通過してガス中の有害性分が活性炭層22の活性炭に吸着除去された後、下部のガス出口23から排出されるガス吸着塔24を具備するものである。ガス吸着塔24は、断面ほぼ矩形状に形成され、図示例では上部及び下部にガス入口21及びガス出口23を設けてあるが、これに限定されるものではなく、例えば一側面及びその一側面と対向する側面にガス入口及びガス出口を設けるようにしてもよい。
【0055】
活性炭層22は、縦型でも横型でもどちらでもよく、例えぱ縦型にほぽ斜角柱形状に形成されている。活性炭層22の一対の対向する両面(被処理ガスの流入側の面と吸着処理済み被処理ガスの流出側の面)22a、22aは、ガスを通過させることができるならばどのように形成してもよく、例えば、パンチングメタル(穿孔された鋼板)を用いたり、断面円形、矩形、楕円形、多角形等の棒部材等を格子状に組み合せたものを用いたりして形成するようにしてもよい。これら被処理ガスの流入側の面と吸着処理済み被処理ガスの流出側の面は互いに実質的に平行(この例では平行)となっている。活性炭層22は、ガス吸着塔24のほぽ中央部に、その塔24の上下方向とほぽ直交する方向に沿って所定の間隔を隔てて複数図示例では6つ直列に固定されており、これら活性炭層22により塔24内が上下に区画されている。両端の活性炭層22、22は、ガス吸着塔24の対向する内壁から所定の間隔を隔てて配設されている。各活性炭層22の一対の側面22b、22bがガス吸着塔24の内壁(遮断板を含む)にそれぞれ固定されている。
【0056】
両端(1番目及び6番目)の活性炭層22、22の上面22c、22cと、それら活性炭層の上面22c、22cから対向するガス吸着塔24の内壁までの間とが傾斜して取り付けられた遮蔽板25により閉塞されている。また、2番目と3番目との活性炭層22、22の上面22c、22cと、それら活性炭層22、22の間とがV字型の遮蔽板26により閉塞されていると共に、4番目と5番目との活性炭層22、22の上面22c、22cと、それら活性炭層22、22の間とが遮蔽板26により閉塞されている。また、1、2番目の活性炭層22、22の下面22d、22dとそれら活性炭層22、22の間と、3、4番目の活性炭層22、22の下面22d、22dとそれら活性炭層22、22の間と、5、6番目の活性炭層22、22の下面22d、22dとそれら活性炭層22、22の間とが、それぞれ逆V字型の遮蔽板27により閉塞されている。すなわち、1、2番目の活性炭層22、22の上面22c、22cの間、3、4番目の活性炭層22、22の上面22c、22cの間及び5、6番目の活性炭層22、22の上面22c、22cの間が、排ガスを活性炭層に案内する案内口28として形成されることになると共に、その案内口28から遮蔽板27に向かって側流(主となる流れ)の案内流路(A)が形成される。
【0057】
また、1番目及び6番目の活性炭層22、22の下面22d、22dから対向するガス吸着塔24の内壁までの間、2、3番目の活性炭層22、22の下面22d、22dの問及び4、5番目の活性炭層22、22の下面22d、22dの間が、活性炭層22を通過したガスの排出ロ29として形成され、遮蔽板26からその排出口29に向かって側流(主となる流れ)が流れる排出流路(B)が形成されている。また案内流路(A)と排出流路(B)は斜角柱形状の整流流路(C)により接続され、そのそれぞれの接続角は鈍角となっている。また、この整流流路(C)には活性炭層22が内接されている。
【0058】
すなわち、この例では、断面が長方形の案内流路(A)と案内流路(A)と等しい断面を有する排出流路(B)との間が、活性炭層22を有し、断面が長方形の整流流路(C)により接続され、案内流路(A)を流れてきた主となるガスの流れ方向と、整流流路(C)中のガスの流れ方向とが鈍角をなし、かつ、整流流路(C)中を流れるガスの流れ方向と排出流路(B)を流れる主となるガスの流れ方向とが上記鈍角と等しい大きさの角度をなしている。
【0059】
このため、案内流路からのガスは、図示するように、整流流路に沿って流れ活性炭層22内をその層厚方向に対して傾斜して通過するようになっている。なお、活性炭層の両側に側流(主となる流れ)が形成されて、活性炭層内を斜行流で通過させることができるならば、どのように構成してもよい。
【0060】
活性炭層22の層厚は、空気雰囲気の排ガス中に含まれる有害成分の吸着除去が行われる範囲から任意に選択されるが、好ましくはその範囲のなかでできるだけ狭い方がよい。具体的には例えば、活性炭層22の層厚は、およそ30〜100mmであることが好ましい。活性炭層22の層厚がおよそ30mm未満では排ガスのすり抜けが起こり有害成分の除去性能が悪くなることがあり好ましくなく、層厚が100mmを超えると活性炭層の一部で何らかの発熱要因が生じることがあり得る可能性があるので好ましくない。
【0061】
また、活性炭層22の高さや奥行き方向の幅は、処理するガス量などにより決定されるが、ガス吸着塔24の構造的な制限からおよそ500〜3000mmの範囲とすることが好ましい。さらに、整流流路の長さは、長いほど被処理ガスが整流化されて流れが均一になるが、同時に装置の大きさも大きくなってしまうので、およそ活性炭層の上面幅(または下面幅)と同じ長さないし3倍程度の長さとすることが好ましい。また、上記案内流路(A)を流れてきた主となるガスの流れ方向と、活性炭層の流入側の面に至る整流流路(C)中の主となるガスの流れ方向とがなす角度(接続角)は、(当然90°超180°未満の範囲で)大きくするほどに層厚を薄くできる効果がある、構造的な制限からおよそ135°以上160°以下の範囲で設定することが望ましい。
【0062】
ここで上記装置で用いた活性炭の、静止した空気雰囲気における自己点火温度を下記のようにして調べた。
図7に示すように、空気雰囲気のマッフル炉30内に活性炭約60〜80gをニッケルメッシュ製容器31に充填して、一辺約50mmの立方体堆積層32を形成した。このマッフル炉30内を雰囲気中の酸素濃度を一定に保ちながら昇温速度約2℃/minで加熱し、立方体堆積層32内のほぼ中央部の温度と、マッフル炉30内の雰囲気温度とを熱電対33、34を用いてそれぞれ測定し、立方体堆積層32内の温度と雰囲気温度との差が急激に変わり始めるときの雰囲気温度を、発火開始温度として求めた。その結果、発火開始温度(発火にいたる雰囲気温度)は約220℃であった。この結果から、立方体堆積層32の1辺の長さ(堆積層厚)が10cm、20cm、40cm、100cm、200cm、400cmの場合についての発火開始温度をそれぞれ伝熱計算によって求め、その結果を図8に示した。図8から判るように、堆積層厚を10cm以下にすることにより発火開始温度が200℃以上と高温になるので、雰囲気温度が200℃未満では発火することがない。なお、実際の発火開始温度は活性炭の種類によって異なるので、実際の活性炭層の層厚は、通過する排ガスの温度において、その活性炭層で蓄熱発火が発生しない層厚とする必要があるが、その層厚はおよそ50mm以上100mm以下の範囲である。
【0063】
この実施の形態1に係る活性炭吸着装置20のガス吸着塔24内を排ガスが活性炭層22の層厚方向に沿って通過するのではなく、その層厚方向に対して傾斜した傾斜方向に通過する、つまり斜行流で通過するため、層厚方向に沿って通過する場合に比して、ダイオキシン類等の有害成分を除去するために必要とされる活性炭層22の層厚を薄くすることができる。このため、活性炭層22の層厚を薄くすることにより、活性炭層22の一部で何らかの発熱要因が生じたとしても、そこで発生した熱は放熱されやすいので、活性炭の発熱およびそれに伴う発火などの危険性を回避することができる。
【0064】
また、活性炭層22は、活性炭物質全体として1W/mK以上の熱伝導率を有する高熱伝導率の活性炭(造粒炭等)を充填して形成されていることが好ましい。このように、高熱伝導率の活性炭を充填して活性炭層22を形成することにより、高熱伝導率の活性炭は、活性炭物質全体として1W/mK以上の熱伝導率を有しているため、活性炭層22の一部で何らかの発熱要因が生じたとしても、そこで発生した熱は速やかにその周囲に放散され、活性炭層22全体の温度分布が均一化されるので、活性炭層22の温度が過剰に上昇して発火に至ることをより確実に防止できる。
【0065】
<実施の形態2>
図9は本発明の実施の形態2に係る活性炭吸着装置の活性炭層の概略構成を示す図である。なお、図中、図5及び図6と同一符号は同一または相当部分を示す。本実施の形態2は、、図9に示すように、活性炭層22の上流側端部に高熱伝導層36を設け、下流側端面を前記排ガスの傾斜方向とほぽ平行に延在して傾斜面38(被処理ガスの流れの方向に対して平行な面)として形成させたものである。
【0066】
すなわち、図10に示すように活性炭層の流入側の面及び流出側の面は平行で、かつ、互いに面対称となっている活性炭層と比べ、この図9の例では、活性炭層の形状は流入側の面及び流出側の面とを底面及び上面とする四角錐台であって、かつ、該活性炭層の4つの側面のうち3つ(下側の面を除く3つ)が流入側の面から流出側の面に流れる被処理ガスの流れの方向に対して平行である。
【0067】
図9や図10の例では活性炭層の上側の面が水平であるために活性炭等の交換作業は容易である。しかし、排ガスが通過しない箇所及び通過し難い箇所が生じる。そのようなところには例えば図10に示すように高熱伝導層を配する
【0068】
高熱伝導層36は、活性炭層22内に充填する活性炭物質よりも熱伝導率が高い高熱伝導物質37を充填して形成されている。高熱伝導物質37は、熱伝導率が高いものであるほど効果が高く、このような高熱伝導物質としては、例えばアルミニウムペレット等が用いられ、この例では粒状のアルミニウムペレットを充填した。
【0069】
高熱伝導層36の設置箇所は、活性炭層22内の排ガスが通過しない箇所及び通過し難い箇所である。具体的には、活性炭層22が図9に示すように断面ほぼ矩形状に形成されていると、排ガスが活性炭層22の層厚方向に対して傾斜した傾斜方向に通過する場合、図9中、「○」で囲った活性炭層22の箇所αは、被処理ガスの流れがない箇所、あるいは、被処理ガスの流れが実質的にない箇所(排ガスが通過しないかまたは通過し難い箇所)となる。この箇所が高熱伝導層36の設置箇所である。その箇所の表面を、図9に示すように閉塞して、この閉塞した内部に高熱伝導物質37を充填することにより、高熱伝導層36が形成される。
【0070】
なお、一般に活性炭層上面を斜めにする作業は困難であるので、高熱伝導層36によりその部分の蓄熱を防ぐことにより活性炭層上面を水平のままにしたときに生じる問題を排除することができる。
【0071】
すなわち、図示例では、活性炭層の活性炭層下面である下側端部を斜めにしてガスの通過しない箇所及び通過し難い箇所が形成されるのを防ぐと共に、活性炭層22の活性炭層上面(上側端部)を水平にして、高熱伝導層36をこの活性炭層22の上に形成して活性炭層22上部の部分的な蓄熱を防止している。
なお、このとき、同時に活性炭層下面(下側端部)を水平にしてその下に高熱伝導層36を設けるようにしてもよいし、また、下側端部にのみに高熱伝導層36を設けるようにしてもよい。
【0072】
このように、被処理ガスの流れがない箇所、あるいは、被処理ガスの流れが実質的にない箇所は、ガスの通過による冷却が起きず蓄熱されやすいが、その箇所には高熱伝導層36が設けられているため、放熱されやすく蓄熱されにくくなるので、活性炭の発熱およびそれに伴う発火などの危険性をより低減させることができる。
【0073】
次に、本発明の活性炭吸着装置において、上記活性炭層の複数が1体でユニット化されており、かつ、該活性炭ユニットが前記活性炭吸着装置に出し入れ可能である例をモデル的に図11に示す。
【0074】
図中A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1およびD2はそれぞれ活性炭ユニットを示し、これらは互いに交換可能な形状をしている。これら活性炭ユニットのそれぞれが複数の活性炭層を有し、これら複数の活性炭層は、流入側の面および流出側の面を実質的にそれぞれ平行に並べて配置され、かつ、各活性炭層には、その流入側の面の略全面に被処理ガスを供給する案内通路とその流出側の面のほぼ全面からの吸着処理済みガスを排出する排出流路とが付設され、その案内流路と排出流路とはそれぞれの流路の主となるガスの流れ方向が等しく、かつ、案内流路および排出流路での主となるガスの流れ方向に垂直な面が各活性炭層の流入側の面および流出側の面と実質的に直交している。
活性炭ユニット交換前には活性炭吸着装置には活性炭ユニットA1、A2、B1、B2、C1およびC2がセットされている。
【0075】
このうち活性炭ユニットA1、B1およびC1はガス流れ方向上流からこの順に直列に接続され、また活性炭ユニットA2、B2およびC2はガス流れ方向上流からこの順に直列に接続されている。活性炭ユニットA1、B1およびC1と、活性炭ユニットA2、B2およびC2との2セットの直列セットはガス流れ方向並列に接続されて活性炭吸着装置内に収納されている。ここで、活性炭ユニットA1およびA2は最も上流側に位置するためにその吸着能力は他の活性炭ユニットに比べ早く低下する。しかし、A1およびA2の吸着能力が低下しても、当面の間は下流にあるB1やB2などにより吸着されるので、吸着装置全体としては直ちには問題は生じない。
【0076】
これら活性炭ユニットA1およびA2の性能低下を検出したとき、あるいは、予め定めた使用時間に達したときにこれら活性炭ユニットA1およびB1を装置外に取り出し、活性炭ユニットA1がセットされていた場所に活性炭ユニットA1より1段下流側に設置されていた活性炭ユニットB1を移動させ、次いで、活性炭ユニットB1がセットされていた場所に活性炭ユニットB1より1段下流側に設置されていた活性炭ユニットC1を移動させ、最後に活性炭ユニットC1がセットされていた場所に未使用の活性炭ユニットD1をセットする。これら並列にセットされている活性炭ユニットA2、B2およびC2についても同様の操作を行うとともに、活性炭ユニットC2がセットされていた場所に未使用の活性炭ユニットD2をセットする。
【0077】
このような複数の前記活性炭ユニットを被処理ガスの流れ方向に対して直列に配置し、被処理ガス流れ方向に対して各活性炭ユニットをそれぞれ一段ずつ下流側の活性炭ユニットと交換して、最も上流側の活性炭ユニットを装置外に取り出すと共に、最も下流側の活性炭ユニットとしてとして未使用または再生済みの活性炭が充填された活性炭ユニットを配する活性炭吸着装置の運転方法により、活性炭ユニットの性能および寿命を最大限引き出すことができる。なお、本例では活性炭ユニットを直列3段に配置しているが、活性炭ユニットが直列に2段以上配置されている装置であれば、活性炭ユニットの交換を効率的に行うことができる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の活性炭吸着装置によれば、活性炭の温度上昇を抑制することができるため、活性炭層の発火の危険性を回避できる。また、同時に装置のコンパクト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術に係る活性炭吸着装置を示すモデル図である。
【図2】本発明の活性炭吸着装置の原理を説明するためのモデル図である。
【図3】活性炭層の流入側の面の案内流路付近以外の部分と、活性炭層の流出側の面の排出流路付近以外の部分とがともに、ガスに対して遮蔽されている本発明に係る活性炭吸着装置の例を示す図である。
【図4】被処理ガス流れ方向に対して活性炭層の上流側に、集塵手段を一体構造で設けた本発明に係る活性炭吸着装置の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る活性炭吸着装置の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る活性炭吸着装置の概略構成を示す斜視図である。
【図7】活性炭の、静止した空気雰囲気における自己点火温度の測定方法を説明するためのモデル図である。
【図8】発火にいたる雰囲気温度と堆積層厚との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る活性炭吸着装置の概略構成を示す図である。
【図10】本発明の他の実施の形態を示す図である。
【図11】活性炭層の複数が1体でユニット化されており、かつ、該活性炭ユニットが前記活性炭吸着装置に出し入れ可能である例をモデル的に示す図である。
【図12】従来技術に係る活性炭吸着装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
20 活性炭吸着装置
22 活性炭層
28 案内口
29 排出口
35 活性炭物質
36 高熱伝導層
37 高熱伝導物質
38 傾斜面

Claims (9)

  1. ダイオキシン類や重金属類、硫黄酸化物等の有害成分を含む排ガスから有害成分を吸着により除去する活性炭吸着装置であって、被処理ガスの流入側の面と吸着処理済み被処理ガスの流出側の面とが互いに実質的に平行な活性炭層を複数備え、排ガスを、それらの流入側の面から流出側の面に向かって該活性炭層を通過させて該排ガス中の有害成分を除去する活性炭吸着装置において、
    前記複数の活性炭層は、流入側の面および流出側の面を実質的にそれぞれ平行に並べて配置され、各活性炭層には、その流入側の面の略全面に被処理ガスを供給する案内通路とその流出側の面のほぼ全面からの吸着処理済みガスを排出する排出流路とが付設され、
    該案内流路の主となるガスの流れ方向と該排出流路の主となるガスの流れ方向は等しく
    案内流路と排出流路との該主となるガスの流れ方向に垂直な面が前記各活性炭層の流入側の面および流出側の面と実質的に直交し、かつ、
    前記案内流路と前記排出流路との間が活性炭層を有する整流流路により接続され、案内流路の主となるガスの流れ方向と、整流流路中のガスの流れ方向とが鈍角をなし、かつ、整流流路中のガスの流れ方向と排出流路を流れる主となるガスの流れ方向とが上記鈍角と等しい大きさの角度をなすことを特徴とする活性炭吸着装置。
  2. 前記活性炭層は、粒状活性炭全体として1W/mK以上の熱伝導率を有する高熱伝導率の粒状活性炭が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の活性炭吸着装置。
  3. 前記活性炭層は、粒状活性炭と粒状高熱伝導性物質とが混合充填してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の活性炭吸着装置。
  4. 被処理ガス流れ方向に対して活性炭層の上流側に、集塵手段が一体構造で設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の活性炭吸着装置。
  5. 活性炭吸着装置の複数の活性炭層がガスの流れ方向に対して並列に一体化されて活性炭ユニットが形成され、かつ、該活性炭ユニットが前記活性炭吸着装置に出し入れ可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の活性炭吸着装置。
  6. 上記活性炭ユニットが複数個、ガス流れ方向に対して直列に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の活性炭吸着装置。
  7. 請求項6に記載の活性炭吸着装置の運転方法であって、被処理ガス流れ方向に対して、各活性炭ユニットをそれぞれ一段ずつ下流側の活性炭ユニットと交換し、最も上流側の活性炭ユニットを装置外に取り出すと共に、最も下流側の活性炭ユニットとしてとして未使用または再生済みの活性炭が充填された活性炭ユニットを配することを特徴とする活性炭吸着装置の運転方法。
  8. 前記活性炭吸着装置の活性炭層として、静止した空気雰囲気における自己点火温度が、処理対象とする被処理ガスの温度よりも高い活性炭層を用いることを特徴とする請求項7に記載の活性炭吸着装置の運転方法。
  9. 請求項1ないし請求項6に記載の活性炭吸着装置の運転方法であって、前記活性炭吸着装置の活性炭層として、静止した空気雰囲気における自己点火温度が、処理対象とする被処理ガスの温度よりも高い活性炭層を用いることを特徴とする活性炭吸着装置の運転方法。
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