JP3831883B2 - チューインガム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、噛み心地がよく、かつ歯垢除去効果を有するチューインガム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
チューインガムは、菓子としての一般的な嗜好食品であることに加え、咀嚼筋を働かすことによる覚醒や、さらに頭脳活動の活性化および集中力の向上などの効果があること、歯や歯肉の清掃による虫歯の予防、および歯根と歯肉のマッサージ作用による歯肉炎や歯槽膿漏の防止する働きがあることは知られている。ガムベースに甘味料、香料等を加えたチューインガムが一般的である。この一般的な方法で製造される従来のチューインガムは、咀嚼時の食感が単調であること、歯垢除去が不十分であるとの欠点を有している。したがって、咀嚼時の食感がよく、かつ、効果的に歯垢除去できるガムが望まれていた。
【0003】
特公昭61−11574号公告公報に、通常のチューインガム組成において、糖類に一部または全部をセルロースおよび油脂で置換した歯清浄用チューインガムが提案されている。これにより、歯は清浄化されるが、油脂によりセルロース粉末特有の苦み、がさつき感の改良がされているが、なお不十分である。また、油脂添加により、油っぽさが残るなど噛み心地は満足できるものではない。
【0004】
特開平8−80160号公報に顆粒状還元パラチノースに芳香剤、着色料、高甘味度甘味料または機能性素材吸着させた顆粒状物質を含有するチューインガムが提案されている。長時間甘みや香りが持続する点、注目に値するが、歯垢の除去効果は十分とは言えない。
【0005】
また特開平8−294373号公報に、粉末セルロースを含有する造粒物に香料、香辛料を担持させたことを特徴とする着香粒が提案されている。しかしながら、この造粒物は歯垢除去効果や噛み心地については何ら言及していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、噛み心地がよく、かつ効果的に歯垢を除去するチューインガム組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の状況に鑑み、種々研究を重ねた結果、セルロース粉末と水溶性物質からなる粒状顆粒をチューインガムに含有させることにより、口の中に入れたとき、独特の噛み心地が得られ、かつ、歯垢を効果的に除去できることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、セルロース粉末が99〜10重量部と水溶性物質が1〜90重量部からなり平均粒径が50〜2000μmである粒状顆粒を0.2〜20重量部配合してなることを特徴とするチューインガム組成物である。
【0008】
本発明で用いられるセルロース粉末としては、例えば、パルプを機械的に処理したもの、パルプを酸加水分解又はアルカリ酸化分解したもの、パルプを酸加水分解又はアルカリ分解の前又は後で機械的処理したもの、不溶性粉末セルロース、及び粉末αセルロース、その他の不溶性セルロース粉末等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が好適に用いられる。パルプを酸で加水分解した結晶セルロースは、造粒性が良好なため、特に好ましい。
【0009】
本発明で用いられる水溶性物質としては、白糖、乳糖、ブドウ糖、トレハロースなどの糖類や各種オリゴ糖、デキストリン、アルファー化デンプンなどのデンプン加工品、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、エリスリトールなどの糖アルコール、アラビアガム、カラギーナン、キサンタンガム、プルランなどの多糖類など、可食性の水溶性物質の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。抗齲触性甘味料として広く使用されているキシリトール等の糖アルコールは特に好ましい。
【0010】
顆粒に水溶性物質を多く含有させるほど口当たりがソフトになるとともに、噛んでいる間に柔らかくなる性質を賦与することが可能となり、甘味料や香料のみでは得られない魅力のある食感がチューインガムに加味される。顆粒の硬度は、顆粒に含有する水溶性物質の含有量を調節することによって様々に調整可能である。
【0011】
顆粒におけるセルロース粉末と水溶性物質の割合は、セルロース粉末99〜 10重量部に対し水溶性物質1〜90重量部、好ましくはセルロース粉末90〜15重量部に対し、水溶性物質10〜85重量部、より好ましくはセルロース粉末85〜20重量部に対し水溶性物質15〜85重量部である。水溶性物質が1重量部未満の場合、造粒物が固く、歯肉にあたって違和感を覚える。一方、水溶性物質が90重量部を超すと、セルロース顆粒のもつ独特の硬さがなくなると共に歯垢除去作用が弱まる。
【0012】
セルロース顆粒の平均粒径は、乾燥状態で50μm〜2000μm、好ましくは70μm〜1700μm、より好ましくは100μm〜1500μmである。顆粒の平均粒径が50μm未満の場合、噛み心地の感触が弱まり、本発明の効果を得ることができない。一方、2000μmより大きいと歯に当たる固さが強すぎで違和感が生じる。
【0013】
顆粒の配合割合は、本発明のチューインガム組成物の全量に対し0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは、0.8〜10重量部である。配合割合が0.2重量部未満では、本発明の効果が十分に発揮できず、20重量部を越えると使用感に悪影響を与える場合がある。
【0014】
顆粒は上記原料と適量の水を用い、押出し造粒機、攪拌造粒機、転動造粒機、流動層造粒機など汎用の造粒機を用いる一般的な造粒法で製造した造粒物を乾燥して得ることができる。造粒機は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
本発明のチューインガム組成物は、常法により製造できる。通常のチューインガム組成物のガムベースの割合は、チューインガム組成物に対して一般に約5〜45重量部であり、好ましくは約15〜30重量部である。ガムベースの基礎剤としては、例えば、チクルガム、ソルバガム、ジェルトンガム、クラウンガムおよびグッタペルカ等の天然樹脂並びにポリ酢酸ビニル、エステルガム、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリエチレン、ポリイソブチレン等の合成樹脂およびこれらの混合物が使用される。ガムベース中に混入される甘味料としては、例えば白糖、グルコース、フルクトース、マルトースおよびコーンシロップのような糖類、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、マルチトール、パラチノース、還元パラチノースおよび還元水飴のような糖アルコール等が用いられ、チューインガムに対して約25〜75重量部で使用される。さらに必要に応じて着色料、レシチン、グリセリンまたはステアレート等の乳化剤および炭酸カルシウムまたはタルク等の増量剤が使用される。芳香剤としては天然香料、合成香料、およびこれらを組み合わせたものが使用され、例えばスペアミント油、シナモン油、ペパーミント油のような天然の香油、レモン、グレープ、グレープフルーツ、イチゴ、リンゴまたはパイナップル等のフルーツエッセンス、シナモン、クロープ油、アネトール系香料が使用できる。本発明におけるチューインガム組成物は、セルロース顆粒と通常のチューインガム組成物に使用される上記成分を配合する他、粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、甘味料、香料、薬効成分、水等の成分を必要に応じて配合することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の方法で顆粒の平均粒径を測定した。
【0017】
・顆粒の平均粒径(μm)
ロータップ式篩振盪機(平工製作所製、シーブシェーカーA型)により、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて試料50gを5分間篩分し、累積 50重量%の粒度を顆粒の平均粒径とした。
【0018】
実施例1
チクルガム20重量部、粉糖40重量部、ブドウ糖15重量部、水飴10重量部をニーダーに投入し混合した後、結晶セルロース80重量部とキシリトール 20重量部の割合からなる平粒径1000μmの顆粒を15重量部投入し均一に混合した。このものを押出し成形し、ロールで圧延し適宜裁断して製品とした。このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0019】
実施例2
ソルバガム20重量部、粉糖50重量部、ブドウ糖15重量部、水飴10重量部をニーダーに投入し混合した後、結晶セルロース95重量部と乳糖5重量部の割合からなる平均粒径100μmの顆粒を5重量部投入し均一に混合した。このものを押出し成形し、ロールで圧延し適宜裁断して製品とした。このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0020】
実施例3
ポリ酢酸ビニルガムベース30重量部、粉糖44.5重量部、ブドウ糖15重量部、水飴10重量部をニーダーに投入し混合した後、結晶セルロース25重量部とアラビアガム75重量部の割合からなる平均粒径1800μmの球形顆粒を0.5重量部投入し均一に混合した。このものを押出し成形し、ロールで圧延し適宜裁断して製品とした。このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0021】
比較例1
結晶セルロースのみからなる平均粒子径600μmの顆粒に替えた以外は実施例1と同様にしてチューインガムを製造し、このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0022】
比較例2
チクルガム30重量部、粉糖44.9重量部、ブドウ糖15重量部、水飴10重量部をニーダーに投入し混合した後、結晶セルロース70重量部とキシリトール30重量部の割合からなる平均粒径100μmの顆粒を0.1重量部投入し均一に混合した。このものを押出し成形し、ロールで圧延し適宜裁断して製品とした。このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0023】
比較例3
ソルバガム20重量部、粉糖30重量部、ブドウ糖15重量部、水飴10重量部をニーダーに投入し混合した後、結晶セルロース95重量部と乳糖5重量部の割合からなる平均粒径2500μmの顆粒を25重量部投入し均一に混合した。このものを押出し成形し、ロールで圧延し適宜裁断して製品とした。このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0024】
比較例4
球形顆粒の平均粒径を2500μmに替えた以外は、実施例1と同様にしてチューインガムを製造し、このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0025】
比較例5
顆粒の平均粒径を40μmに替えた以外は、実施例2と同様にしてチューインガムを製造し、このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0026】
比較例6
結晶セルロース5重量部と白糖95重量部の割合からなる平均粒径1000μmの顆粒に替えた以外は、実施例2と同様にしてチューインガムを製造し、このチューインガムの噛み心地と歯垢除去効果を判定した。表1に判定結果を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
なお、表1における判定方法は、次の通りである。
【0029】
(1)使用感:パネラー20名に各チューインガムを噛んでもらい、噛み心地が
良好であると回答した人数によって下記の通り判定した。
【0030】
○:15名以上
△:10〜14名
×:9名以下
(2)歯垢除去効果:上下顎前歯部を対象とし、歯垢顕示液で染色した、チュウインガムを噛む前の歯垢面積と5分間噛んだ後の歯垢面積を画像解析装置にて
測定し、下記式より歯垢除去率を算出し、下記の通り判定した。
【0031】
○:歯垢除去率70%以上
△:歯垢除去率40〜69%
×:歯垢除去率39%以下
【0032】
【発明の効果】
本発明のチューインガム組成物は、特定割合のセルロース粉末と水溶性物質からなる顆粒を配合することにより、特徴ある噛み心地を付与し、かつ歯垢を効果的に除去することができる。
Claims (2)
- セルロース粉末が99〜10重量部と水溶性物質が1〜90重量部とからなり平均粒径が50〜2000μmである粒状顆粒を0.2〜20重量部配合してなることを特徴とするチューインガム組成物。
- セルロース粉末が結晶セルロースであることを特徴とする請求項1記載のチューインガム組成物。
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JP24973598A JP3831883B2 (ja) | 1998-09-03 | 1998-09-03 | チューインガム組成物 |
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JP2000069913A JP2000069913A (ja) | 2000-03-07 |
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-
1998
- 1998-09-03 JP JP24973598A patent/JP3831883B2/ja not_active Expired - Lifetime
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