JP3831552B2 - 廃石膏ボ−ド破砕分別処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には産業廃棄物処理装置に関し、より具体的には、廃石膏ボードを破砕し分別して処理する装置に関する。廃石膏ボードの排出量は石膏ボード工業会によれば、1999年度には、製造時、建設時、解体時合わせて160万400トン、2000年度には179万4800トン、2010年度には272万6200トンに達するという試算を弾き出している。一方、平成10年6月から新しい「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令」が施行された。その結果、安定型産業廃棄物に係る見直しが図られ、特に廃石膏ボードに関しては、これまでの安定型処分が原則的に出来なくなり全てが管理型処分へ移行され、例外的に紙分を分離した石膏のみが安定型処分が認められるに至っている。
【0002】
このためこれら廃石膏ボードの処理が関係業界を初め広く廃棄物処理の関係業界において環境汚染の問題と相俟って大きな社会問題となって来ている。
【0003】
【従来の技術】
従来、廃石膏ボードは上述のように安定型産業廃棄物として、他の同種の産業廃棄物と共に容易に廃棄処理されていた。しかしながら、今回の法改正によりそのような処理が一律には行えなくなった。このため、大量に発生する廃石膏ボードを処分するに際して前処理工程が必要となって来た。例えばあるメーカーは、廃棄処分するための廃石膏ボードを予め破砕し、この破砕状態の廃石膏ボードをロータリーキルンへ投入して紙分を完全焼却するという前処理工程を経た後、不燃焼状態の石膏部分のみを集積にこれを安定型産業廃棄物として処理する方法を発表している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような前処理工程では、しばしば廃石膏ボードへ混入している防かび防虫薬品(例えばヒ素)等が燃焼時に有害ガスを発生し燃焼工場付近の人々、植物、家畜等を害するという危険があり、かかる前処理工程は周辺大気汚染源となり地域住民の反対を受けている。また安定型処分から管理型処分への移行により廃石膏ボードの処理費用が上昇する傾向にある。加えて既存の最終処分場の容量が今や飽和状態に近づいてきており、新たな処分場の開設には地域住民の同意が得にくいという状況に有る。このため、根本的には廃石膏ボード等を廃棄処分することなく再生資源として使用することが最も望まれるところである。しかしながら今日でもかかる廃石膏ボードの有効なリサイクル方法が確立してはいない現状である。このため、今日では多くの廃石膏ボードは有効な再生方法又は処理方法を待ちながら野積み状態のまま宙に浮いているという状態である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本件発明は、かかる緊急の要求を満たすために創作されたもので、燃焼に伴う化学処理を施すことなく、単純に物理的な処理により、廃石膏ボードを破砕し、石膏部分と紙部分とを分離し、その後それらを別々に即ち石膏部分はリサイクル原料として極めて理想的な状態にて排出すると共に安定型処分により容易に処理可能であり、一方、残った紙部分は管理型処分に回すことにより安全かつ効果的にかつ大量に廃石膏ボードを迅速処分するための装置を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は本件発明の第1実施例に関する全体立面図であり、図2はその平面図である。本件発明にかかる廃石膏ボード処理装置10は、処理されるべき廃石膏ボードを搬送する第1コンベア11と、第1コンベア11によって運ばれた廃石膏ボードを分断し破砕する破砕機12と、破砕機12によって分断し破砕された廃石膏ボード破砕物を更に細かに破砕すると同時に石膏部分と紙部分とを互いに分離する分離機13と、石膏部分と紙部分とに分離された廃石膏ボード破砕物を分離機13から搬出するための第2コンベア14及び第3コンベア15と、第3コンベア15によって搬出された廃石膏ボード破砕物を石膏部分と紙部分とに分別しかつ粒径毎に選別する選別機16と、石膏部分と紙部分との分離が不十分で十分な選別が出来ない廃石膏ボード破砕物を第1コンベア11まで戻すリターンベルト17と、選別機16によって微粉末部分として選別された石膏粉末を搬出する第4コンベア18と、同様に選別機16によって紙部分として選別された石膏ボードの紙部分を搬出する第5コンベア19と、作業環境を清浄化するための集塵機20と、当該装置10の作業全体を制御する制御盤21と、第1コンベア11へ廃石膏ボードを投入するための廃石膏ボード投入架台22と、を有している。ここにおいて、処理されるべき廃石膏ボードには、石膏ボード製造工場等において石膏ボード製造時に発生するような廃石膏ボード、家屋等に現実に使用する際の建設時に発生するような廃石膏ボード、更には家屋等を解体した際に発生するような使用済みの廃石膏ボード等を含む。
【0007】
第1コンベア11は、例えば公知の中寄ベルトから成るゴム製コンベアであり、一端部から他端部に向け上方へ向かって傾斜配置されている。低い位置にある一端部付近には廃石膏ボードを一時的にストックしそこから当該廃石膏ボードを第1コンベア11へ供給する廃石膏ボード投入架台22が配置されている。
【0008】
第1コンベア11は、石膏ボード製造工場、家屋等の新築現場、更には解体業者等から搬入される例えば1辺が300mm〜500mm程度の廃石膏ボードを破砕機12へ供給する機能を有している。もし搬入された廃石膏ボード破砕物の寸法がこれよりも大きいときには、当該廃石膏ボード破砕物を予め所定の寸法になるように破砕して置くことが好ましい。
【0009】
第1コンベア11の上方他端部は図3〜図5に示す破砕機12へ接続されており、第1コンベア11によって供給される廃石膏ボードは順次破砕機12内部へ送給される。破砕機12は、第1コンベア11の他端部を受け入れている廃石膏ボード受け入れ室31と、廃石膏ボード受け入れ室31の下方にあり受け入れた廃石膏ボードを破砕する破砕室32と、によって構成されている。
【0010】
上方の廃石膏ボード受け入れ室31は、第1コンベア11の他端部を受け入れている廃石膏ボード受け入れ開口33と、石膏ボード受け入れ室31内へ受け入れた廃石膏ボードをそのままの状態で下方の破砕室32へ供給する廃石膏ボード供給開口34と、を有している。廃石膏ボード受け入れ室31は、内部へ廃石膏ボードが堆積しないように該受け入れ室31の側壁下方部が傾斜面構造となっている。また廃石膏ボード受け入れ開口33には、図5に示すように、例えばゴム製、厚布製又は厚いプラスチック製の垂れ35が開口上部から懸吊されている。この垂れ35は複数の細片状に分断された垂下部を有しており、コンベア11へ載った廃石膏ボードが触れた時には容易に廃石膏ボード受け入れ室31の内部方向へ押し込まれ、該廃石膏ボードを受け入れ室31内部へ受け入れるが、破砕室32において破砕された被破砕物が何らかの理由で当該受け入れ開口33へ飛散してきたときには、該飛散物が当該垂れ35に衝突して該飛散物がそこから破砕機12の外部へ流出することを防止している。なお、該受け入れ室31の少なくとも1つの側壁面には、図4に示すように、必要に応じて解放可能な開閉部材36が設けてあり、受け入れ室31の内部の保守点検等を容易に行えるようにしている。
【0011】
破砕室32は、廃石膏ボードを破砕するための空間である。上方は受け入れ室31の廃石膏ボード供給開口34へ解放しており、第1コンベア11によって受け入れ室31内へ受け入れられた廃石膏ボードをそこから順次破砕室32へ落下供給する。下方には当該破砕室32内において破砕された廃石膏ボードを分離機13へ供給するための開口37が形成されている。破砕室32内には受け入れ室31から供給された廃石膏ボードを破砕するための破砕手段40が設けてある。
【0012】
この破砕手段40は、図4に示すように、互いに平行をなしかつ所定の間隔をおいて配置されている回転軸線を有する一対のロ−タ41、42により構成されている。各ロ−タ41、42は、図3、図5に示すように、当該ロータの長手方向にスペーサ等の離置手段(図示なし)によりそれぞれ一定の間隔を置いて配置されている複数のブレード43、44を有している。各ロ−タ41、42を構成しているこれらのブレード43、44は互いに衝突しないよう交互に所定の間隔を置いて咬合っている。更に、実施例においては、各ブレード43、44の中央部がそれぞれロータ41、42の中央回転軸へ対して固定的に配置されかつ当該中央部から半径方向外方へ直線的に伸びており、更に隣接するブレードが回転方向へ互いに60°の間隔を置いて配置されている。しかし、これらのロータの幅方向間隔又はロータの長手方向軸線方向に対するブレードの長手方向間隔、更にはブレードの回転方向に対する回転方向間隔等は、廃石膏ボードの破砕寸法を特定する重要な要素となっている。このため、例えば、ブレードの長さ、これらの間隔又は角度等は、廃石膏ボードの破砕寸法に応じて自由に調整できるようなっていることが望ましく、また、各ブレードが摩耗又は破損した場合に、所望のブレードを容易に取り替えることが出来るように、ブレードはボルト等の取り外し可能な締め付け手段により取り付けられていることが望ましい。
【0013】
破砕室32内において破砕手段40の上方位置には、廃石膏ボード供給開口34から供給される廃石膏ボードをロータ41とロータ42との中間ニップ部位置へ供給するための一対の上方案内板45が取り付けてある。同様に、破砕手段40の下方位置には破砕手段40によって破砕された廃石膏ボードを開口37へ指向するための一対の下方案内板46が取り付けてある。これにより破砕手段40によって破砕された廃石膏ボードが当該破砕室32内へ堆積することのないようにしている。勿論、破砕室32の形状を初めからこれらの案内板45、46を備えたような構造に形成することによりこれらの案内板45、46は削除することは可能である。破砕室32の外側部には前記ロータ41、42を回転するための電動モーター等の起動装置47、48が設けてあり、これらの起動装置はロータ41、42を、それぞれ図4において、矢印49、50で示す方向に回転している。ここで、ロータ41、42は互いに異なる回転数で回転することが好ましい。例えば、ロータ41の回転数は1500rpmであり、ロータ42の回転数は1000rpmである。回転数の差が大きくなると破砕機能が増大するが、ブレードの摩耗が増大するので、概ね上記したような回転数が実用的であるものと思われる。
【0014】
破砕機12の下方には分離機13が配置されており、破砕機12によって破砕された廃石膏ボードの破砕物は次いで分離機13へ送られる。分離機13は、図6、図7及び図8に示すように、概ね円筒形状を有しかつ傾斜配置されている円筒室51と、該円筒室51と同軸をなして当該円筒室内に配置されておりかつ当該円筒室内にて回転する回転体52と、傾斜している円筒室51の上方端部を閉じている上方閉鎖部材53と、円筒室51の下方端部を閉じている下方閉鎖部材54と、回転体52を回転するための電動モーター等の起動装置55と、円筒室51を水平面に対して概ね20〜45度の角度に傾斜保持している保持台56と、により構成されている。円筒室51は、上方位置に破砕機12の開口37に接触配置しているホッパ−57と、下方位置に当該円筒室51内にて処理された廃石膏ボード破砕物を放出する排出開口58と、を有している。
【0015】
回転体52は、中央の回転軸60と、その両端に近接した位置から半径方向外方へ向かって一定の間隔をおいて互いに直角に伸びている十字形をなす一対の突出片61と、前記回転軸60の軸線方向へ対して平行に伸び該突出片61の先端部へ端部が固定されている4枚の分離刃62と、により構成されている。分離刃62の外縁部が形成する回転体52の最大回転直径は、円筒室51の内壁面直径よりも僅かに小さく、分離刃62は、円筒室51内にて僅かな間隔をおいて自由に回転出来る状態となっている。
【0016】
回転軸60はその両端部がそれぞれ上方閉鎖部材53及び下方閉鎖部材54の中央部に設けた穴を介して円筒室51の外方まで伸び、上方閉鎖部材53及び下方閉鎖部材54へねじ止めされている軸受63、64によって回転可能に保持されている。この回転軸60の下方の端部には起動装置55(図6及び図7参照)によりVベルト等(図示なし)を介して起動されるプーリー65(図7参照)が取り付けてあり、こうして回転体52が回動自在となっている。なお、図示の例においては、分離刃62が直刃となっているが、これは必要に応じて曲刃とすることも出来る。それにより、分離機13の取り付けを水平にすることが可能となり、取り付けが容易となる。なおこの場合、一対の突出片61の位置が回転軸60へ対して捩れた位置へ配置されることになる。また、分離刃62の数は4枚に限定されるものではなく、それより少なくても又は多くても良い。
【0017】
図9は、図8に示す分離機13の、特に、回転体52の変形例について示している。図9に示す実施例においては、図8に示す装置と同一部品に対しては図8に使用した符号にAを付して示している。図9に示す実施例が図8に示す実施例と異なる点は回転体52Aの構造である。この実施例においては、回転体52A中央の回転軸60Aと、該回転軸60Aに固定されている複数対(図9の実施例においては5対を示している)の分離刃62Aと、により構成されている。各対の分離刃62Aは、図9の実施例においてはそれぞれ3枚のブレードから形成されている。各ブレードはその中間部が回転軸60Aの軸線方向に所定の間隔をおいて、かつ各ブレードを互に等角度(図9の実施例においては120度)だけずらして該回転軸60Aへ固着している。ここで、図示の例は単なる例示であり、分離刃62Aが5対に限定されるものではなく、また各対を構成しているブレードの数も3枚に限定されるものでもない。分離刃62Aの外縁部が形成する回転体52Aの最大回転直径は、円筒室51Aの内壁面直径よりも僅かに小さく、分離刃62Aは、円筒室51A内にて僅かな間隔をおいて自由に回転出来る状態となっている。
【0018】
回転軸60Aはその両端部がそれぞれ上方閉鎖部材53A及び下方閉鎖部材54Aの中央部に設けた穴を介して円筒室51Aの外方まで伸び、上方閉鎖部材53A及び下方閉鎖部材54Aへねじ止めされている軸受63A、64Aによって回転可能に保持されている。この回転軸60Aの下方の端部には、前述と同様に、起動装置55(図6及び図7参照)によりVベルト等(図示なし)を介して起動されるプーリー65(図7参照)が取り付けてあり、こうして回転体52Aが回動自在となっている。なお、図示の例においては、各分離刃62Aが直刃となっているが、これは必要に応じて曲刃とすることも出来る。それにより、分離機13の取り付けを水平にすることが可能となり、取り付けが容易となる。
【0019】
破砕機12によって破砕された廃石膏ボード破砕物は分離機13、13Aのホッパ57、57Aから円筒室51,51A内へ送られる。円筒室51,51A内へ投入された廃石膏ボード破砕物は該円筒室51,51A内にて回転体52,52Aの分離刃62,62Aによって回転される。この回転に際して廃石膏ボード破砕物の一部は円筒室51,51Aの内方側壁面に擦り付けられ、かつ紙部分に付着している石膏の塊がそぎ落とされ、また一部は円筒室51,51Aの内方側壁面に叩き付けられながら、順次円筒室51,51Aの上方から下方へと移動する。廃石膏ボード破砕物が繰り返し擦り付けられたり叩き付けられたりしている間に破砕物中の石膏部分と紙部分とがほぼ完全に分離されると同時に、石膏部分がリサイクル可能な寸法まで破砕される。発明者の実験によれば、石膏部分と紙部分とを分離しかつ石膏部分を再生可能な寸法まで破砕するための回転体の好ましい回転数は1000〜2000rpm程度であることが分かっている。また、突出片61又はブレードの半径方向寸法と円筒室51、51Aの半径寸法、分離機13,13Aの傾斜角度、回転体52,52Aの回転速度等を適宜調整することにより、石膏部分の破砕寸法を調整することが出来、リサイクル品としての分離した石膏の最終ユーザーの好みに応じた石膏部分の生産が可能である。
【0020】
円筒室51,51A内で回転体52,52Aにより石膏部分と紙部分とに分離された廃石膏ボード破砕物は排出開口58,58Aから排出され、次いで第2コンベア14及び第3コンベア15を介して選別機16まで送られる。第2コンベア14及び第3コンベア15は、第1コンベア11と同様に例えば公知の中寄ベルトから成るゴム製コンベアである。なお、図示の例において、第2コンベア14と第3コンベア15とは互いに直角に配置されているが、これは限定的な事項ではない。
【0021】
選別機16は、図10に示すように、上方にある複数の選別室70と、下方にある振動起動装置71と、により構成されており、廃石膏ボード破砕物を当該破砕物から分離された紙部分と、当該破砕物から分離された石膏部分と、石膏部分と紙部分との未分離部分と、に選別する機能を有している。各選別室70は上から下へ行くに従い順次メッシュ寸法が小さくなる篩が張られている底床部を有しており、当該選別室70が巻きばね及びモータ等から成る振動起動装置71によって上下方向へ振動している。この選別機16は、食品の選別機構、籾擦り機の選別機構等に使用されていると同様の振動式の篩機と類似する機構を有しており、当業者に知られているものであるため、詳述は省略する。
【0022】
図示の選別機16において、選別室70の中央上部には前記第3コンベア15により搬送されて来る破砕物を受け入れる開口部72が設けてある。開口部72から供給された破砕物は最上段の選別室へ入りそこで振動起動装置71によって篩分けされ、順次下段へ落下しながら更に篩分けされる。例えば最上段の選別室の篩のメッシュが概ね10mm、次の段の篩のメッシュが概ね5mm、その下の篩のメッシュが概ね1mmとする、例えば3段の篩から構成されることが出来る。しかして、軽量でかつ最上段の篩を通り抜けなかった概ね10mm以上の寸法を有する破砕物は実質的に紙部分であり、こうして分別された紙部分は公知の手段によって第1選別室70Aの排出部70aから第5コンベア19(図2)を介しては例えば可撓性の容器75へ収容される。その後、該容器75へ収容された紙部分は管理型処分場へ搬出されそこで処理される。
【0023】
また、第2選別室70B内へ落下したが、それ以上下方へ移動しないような寸法的には5〜10mm程度の大きさを有している破砕物は実質的に、紙部分と石膏部分とが一体化した部分で、換言すると、石膏部分が紙部分から未だ分離していない状態の物である。そこで第2選別室70Bにおいて分別された未分離部分は公知の手段によって第2選別室70Bの排出部70bからリターンコンベア17を介して第1コンベアへ戻され、これまでと同様の処置を再度経ることとになる。
【0024】
次いで第3選別室70C内へ落下したが、それ以上下方へ移動しないような寸法的には1〜5mmの大きさを有している破砕物は実質的に、石膏粒部分である。そこで第3選別室70Cにおいて分別されたこの石膏粒部分は第3選別室70Cの排出部70cから直接容器へ充填して系外へ運び、リサイクル原料として使用する。
【0025】
更に第4選別室70D内へ落下した、寸法的に1mm以下の大きさを有している破砕物は実質的に、石膏粉部分である。この石膏粉部分は排出部70dから第4コンベア18を介して容器76へ充填し系外へ運び、同様にリサイクル原料として使用する。
【0026】
選別室70の数、選別寸法即ちメッシュ寸法、選別後の運搬方法等は、適宜変更することが出来ることは当然である。
なお、廃石膏ボード中に、釘やボルト等の金属片が混入していることがあるが、これに対応するため、必要に応じて、例えば図2のコンベア18、19等に公知の金属片除去装置を設置したり、コンベア自体を磁選コンベアとすることが出来る。
【0027】
図11及び図12に示す実施例は、スペースの関係上、図1に示す第2コンベア14を削除した廃石膏ボード処理装置に関する実施例を示しているそれぞれ全体立面図及びその平面図である。この実施例において使用されている各装置の構成作用等は、図1〜図10に示す実施例において述べたものと同一であるので以下においては同一の装置には同一の符号に"100"を付加した符号を付してこの実施例の作動について説明する。
【0028】
図11に示す廃石膏ボード処理装置100は、処理されるべき廃石膏ボードを搬送する第1コンベア111と、第1コンベア111によって運ばれた廃石膏ボードを分断し破砕する破砕機112と、破砕機112によって分断し破砕された廃石膏ボード破砕物を更に細かに破砕すると同時に石膏部分と紙部分とを互いに分離する分離機113,113Aと、石膏部分と紙部分とに分離された廃石膏ボード破砕物を分離機113,113Aから搬出するためのコンベア115と、コンベア115によって搬出された廃石膏ボード破砕物を石膏部分と紙部分とに分別しかつ粒径毎に選別する選別機116と、作業環境を清浄化するための集塵機120と、当該装置110の作業全体を制御する制御盤121と、を有している。また、選別された紙部分、石膏部分、紙部分と石膏部分との混合体部分はそれぞれ選別機116の排出部から直接容器へ収容されている。勿論この実施例において、石膏部分と紙部分との分離が不十分で十分な選別が出来ていない廃石膏ボード破砕物を第1コンベア111まで戻すリターンベルト(図1における符号17参照)や、選別機116によって選別された石膏粉末等を搬出する補助コンベア(図1における符号18参照)や、同様に選別機116によって紙部分として選別された石膏ボードの紙部分を搬出する補助コンベア(図1における符号19参照)、更には第1コンベア111の低い位置にある一端部付近に廃石膏ボードを一時的にストックしそこから当該廃石膏ボードを供給する廃石膏ボード投入架台(図1における符号22参照)等を備えることは自由である。
【0029】
図11及び図12に示す廃石膏ボード処理装置が図1〜図10に示す廃石膏ボード処理装置と異なる点は、実質的には破砕物を分離機113,113Aから選別機116へ搬送するコンベアが単一のコンベアによって構成されており、そのためスペースがそれだけ少なくて済むという点である。
【0030】
これらの実施例において、第1コンベア111及び破砕機112は、石膏ボード製造工場、家屋等の新築現場、更には解体業者等から搬入される例えば1辺が300mm〜500mm程度の廃石膏ボードを受け入れる機能を有している。もし搬入された廃石膏ボード破砕物の寸法がこれよりも大きいときには、当該廃石膏ボード破砕物を予め所定の寸法になるように粗割しておくことが望ましい。なお、このような粗割作業を自動的に行うために、図2に示すような廃石膏ボード投入架台22又はその付近に粗割専用のそれ自体公知の粗割破砕機を設けることも出来る。
【0031】
更に、廃石膏ボード中に、釘やボルト等の金属片が混入していることがある。そのため、必要に応じて、例えば図2のコンベア18、19等に公知の金属片除去装置を設置したり、コンベア自体を磁選コンベアとすることが出来る。
【0032】
図13及び図14は、図11及び図12に示す実施例を更に改良した実施例を示しているそれぞれ全体立面図及びその平面図である。この実施例において使用されている各装置の構成作用等は、実質的に図1〜図10に示す実施例において述べたものと同一であるので以下においては同一の装置には同一の符号に"200"を付加した符号を付してこの実施例の作動について説明する。
【0033】
図13に示す廃石膏ボード処理装置210は、処理されるべき廃石膏ボードを搬送する第1コンベア211と、第1コンベア211によって運ばれた廃石膏ボードを分断し破砕する破砕機212(一対のロ−タとこれらを駆動する一対の起動源及びベルトとによって示している)と、破砕機212によって破砕し分断された廃石膏ボード破砕物を更に細かに破砕すると同時に石膏部分と紙部分とを互いに分離する分離機213(213A)と、石膏部分と紙部分とに分離された廃石膏ボード破砕物を分離機213(213A)から搬出するためのコンベア215と、コンベア215によって搬出された廃石膏ボード破砕物を石膏部分と紙部分とに分別しかつ粒径毎に選別する選別機216と、作業環境を清浄化するための集塵機220と、当該装置210の作業全体を制御する制御盤(図示なし)と、を有している。選別された紙部分、石膏部分、紙部分及び石膏部分の混合体部分はそれぞれ選別機216の排出部から石膏細粒用容器216a、石膏紙屑混入物用容器216b及び紙屑用容器216cへ直接収容されている。勿論この実施例において、石膏部分と紙部分との分離が不十分で十分な選別が出来ていない廃石膏ボード破砕物を第1コンベア211まで戻すリターンベルト(図1における符号17参照)や、選別機216によって選別された石膏粉末等を収容するフレキシブル容器である石膏微細粒収容コンテイナ−216Aまで搬出する補助コンベア(図1における符号18参照)や、同様に選別機16によって紙部分として選別された石膏ボードの紙部分を搬出する補助コンベア(図1における符号19参照)、更には第1コンベア211の低い位置にある一端部付近に廃石膏ボードを一時的にストックしそこから当該廃石膏ボードを供給する廃石膏ボード投入架台(図1における符号22参照)等を備えることは自由である。
【0034】
図13及び図14に示す廃石膏ボード処理装置210が図1〜図10に示す廃石膏ボード処理装置10及び図11及び図12に示す廃石膏ボード処理装置110と異なる点は、排出コンベア215がマグネットプ−リ−付きの中寄ベルトを使用することにより石膏ボ−ド端材中の金属屑を分離しこれらを公知の排出手段280を介して鉄屑収容箱281内へ排出すること、選別機216として遠心力及び多段篩分け機構を併用してお茶の選別に広く使用されている公知の廻し篩機を使用し石膏及び紙屑等を平面的に分別していることである。このことは図10に示す様な多段式の選別機と異なり、分別作業が短時間で確実に達成することが可能となる利点ががる。
【0035】
これらの実施例において、第1コンベア11及び破砕機12は、石膏ボード製造工場、家屋等の新築現場、更には解体業者等から搬入される例えば1辺が300mm〜500mm程度の廃石膏ボードを受け入れる機能を有している。もし搬入された廃石膏ボード破砕物の寸法がこれよりも大きいときには、前述のように当該廃石膏ボード破砕物を予め所定の寸法になるように粗割しておくことが望ましい。なお、このような粗割作業を自動的に行うために、廃石膏ボード投入架台22又はその付近に粗割専用のそれ自体公知の粗割破砕機を設けることが出来ることは既に述べたとおりである。
【0036】
図15及び図16は更に別の実施例を表わす装置300を示す。図15に示す第4実施例は第1の実施例における選別機16を分離機13の下方位置へ直接配置し、更に選別された石膏粉部分を搬出するコンベア18を備えている状態を示している。また図16は、装置全体を公知のトラック等の移動手段90へ積載した形式の廃石膏ボード処理装置400について開示している。この実施例によれば、廃石膏ボード処理装置を設置した専用の処理工場を必要とすることがなく、必要に応じて移動し、どこでもいつでも簡単に廃石膏ボードを処理することが出来、また、最終リサイクル品の使用場所で直接廃石膏ボードを処理するということも可能である。これらの実施例において使用されている各装置の構成作用等は、図1〜図10に示す実施例において述べたものと実質的にほぼ同一であり、詳述はしない。
【0037】
【発明の効果】
本件発明は、年々増大する廃石膏ボードを、紙部分と、石膏部分と、に分離選別することが出来る。このため、紙部分は管理型処分場で処理し、石膏部分は例えばセメントの原料素材、路盤材、汚泥処理のための固形化材料として有効にリサイクルしたり、安定型処分場での処理が可能となる。このため、本発明によれば平成10年6月から施行の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令」の要件を満たし、容易に廃石膏ボードの処理が達成出来るものである。
【0038】
更に本発明によれば、これまでの廃石膏ボードを一括焼却処分することによる大気汚染の問題を完全に解消している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本件発明の廃石膏ボード処理装置の第1実施例を示す全体側面図である。
【図2】図1に示す装置の全体平面図である。
【図3】図1に示す破砕機の上面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図1に示す破砕機の正面図である。
【図6】図1に示す分離機の正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】分離機の分解斜視図である。
【図9】分離機の別の実施例を示す分解斜視図である。
【図10】図1に示す選別機の一部断面にて示す側面図である。
【図11】本件発明の廃石膏ボード処理装置の第2実施例を示す全体側面図である。
【図12】図11に示す装置の全体平面図である。
【図13】本件発明の廃石膏ボード処理装置の第3実施例を示す全体側面図である。
【図14】図13に示す装置の全体平面図である。
【図15】本件発明の廃石膏ボード処理装置の第4実施例を示す全体側面図である。
【図16】本件発明の廃石膏ボード処理装置の第5実施例を示す全体側面図である。
【符号の説明】
10:廃石膏ボード処理装置 11:第1コンベア
12:破砕機 13、13A:分離機
14:第2コンベア 15:第3コンベア
16:選別機 17:リターンコンベア
18:第4コンベア 19:第5コンベア
20:集塵機 21:制御盤
22:廃石膏ボード投入架台 31:受け入れ室
32:破砕室 33:廃石膏ボード受け入れ開口
34:廃石膏ボード供給開口 35:垂れ
36:開閉部材 37:開口
40:破砕手段 41、42:ロータ
43、44:ブレード 45、46:案内板
47、48:起動装置 51、51A:円筒室
52、52A:回転体 53、53A、54、54A:閉鎖部材
55:起動装置 56:保持台
57、57A:ホッパ 58、58A:排出開口
60、60A:回転軸 61:突出片
62、62A:分離刃 63、64:軸受
65:プーリー 70:選別室
71:振動起動装置 72:開口部
75、76:容器
Claims (6)
- 廃石膏ボ−ド破砕処理装置10であって、処理されるべき廃石膏ボードを搬送するコンベア11と、コンベア11によって運ばれた廃石膏ボードを分断し破砕する破砕機12と、破砕機12によって分断し破砕された廃石膏ボード破砕物を更に細かに破砕すると同時に石膏部分と紙部分とを互いに分離する分離機13と、石膏部分と紙部分とに分離された廃石膏ボード破砕物を石膏部分と紙部分とに選別する選別機16と、を有し、
破砕機12が一対のロータ41、42から成る破砕手段40を有しており、これらのロータは互いに隣接して並置し、廃石膏ボードがこれらのロータのニップ部において破砕され、分離機13が円筒室51とその中で回転する回転体52とにより構成されており、
該回転体52が、中央の回転軸60と、その長手方向に間隔を置いて配置した突出片61と、該突出片61の先端部を連結するように配置された分離刃62と、により構成されている、廃石膏ボードを破砕し粒度別に分別する廃石膏ボ−ド破砕分別処理装置10。 - 廃石膏ボード破砕処理装置10であって、処理されるべき廃石膏ボードを搬送するコンベア装置11と、該コンベア装置11によって運ばれた廃石膏ボードを分断し破砕する破砕機12と、破砕機12によって分断し破砕された廃石膏ボード破砕物を更に細かに破砕すると同時に石膏部分と紙部分とを互いに分離する分離機13と、石膏部分と紙部分とに分離された廃石膏ボード破砕物を分離機13から搬出するための別のコンベア装置と、該別のコンベア装置によって搬出された廃石膏ボード破砕物を石膏部分と紙部分と石膏部分及び紙部分の混合部分とに選別し各部分毎に排出する選別機16と、石膏部分及び紙部分の混合部分をコンベア装置11まで戻すリターンベルト17と、作業環境を清浄化するための集塵機20と、コンベア装置11へ廃石膏ボードを投入するための廃石膏ボード投入架台22と、を有しており、破砕機12が一対のロータ41、42から成る破砕手段40を有しており、これらのロータは互いに隣接して並置し、廃石膏ボードがこれらのロータのニップ部において破砕され、分離機13が円筒室51とその中で回転する回転体52とにより構成されており、
該回転体52が、中央の回転軸60と、その長手方向に間隔を置いて配置した突出片61と、該突出片61の先端部を連結するように配置された分離刃62と、により構成されている、廃石膏ボード破砕分別処理装置10。 - 分離刃62が直線刃物である請求項1または2に記載の廃石膏ボード破砕分別処理装置10。
- 分離刃62が曲状刃物である請求項1または2に記載の廃石膏ボード破砕分別処理装置10。
- 廃石膏ボ−ド破砕処理装置10であって、処理されるべき廃石膏ボードを搬送するコンベア11と、コンベア11によって運ばれた廃石膏ボードを分断し破砕する破砕機12と、破砕機12によって分断し破砕された廃石膏ボード破砕物を更に細かに破砕すると同時に石膏部分と紙部分とを互いに分離する分離機13と、石膏部分と紙部分とに分離された廃石膏ボード破砕物を石膏部分と紙部分とに選別する選別機16と、を有し、
破砕機12が一対のロータ41、42から成る破 砕手段40を有しており、これらのロータは互いに隣接して並置し、廃石膏ボードがこれらのロータのニップ部において破砕され、分離機13が円筒室51とその中で回転する回転体52Aとにより構成されており、
該回転体52Aが、中央の回転軸60Aと、該回転軸60Aに固定されている複数対の分離刃62Aと、により構成されており、各対の分離刃62Aが、複数のブレードから形成されており、各ブレードはその中間部が回転軸60Aの軸線方向に所定の間隔をおいて、かつ各ブレードを互に等角度だけずらして該回転軸60Aへ固着している、廃石膏ボードを破砕し粒度別に分別する廃石膏ボ−ド破砕分別処理装置10。 - 廃石膏ボード破砕処理装置10であって、処理されるべき廃石膏ボードを搬送するコンベア装置11と、該コンベア装置11によって運ばれた廃石膏ボードを分断し破砕する破砕機12と、破砕機12によって分断し破砕された廃石膏ボード破砕物を更に細かに破砕すると同時に石膏部分と紙部分とを互いに分離する分離機13と、石膏部分と紙部分とに分離された廃石膏ボード破砕物を分離機13から搬出するための別のコンベア装置と、該別のコンベア装置によって搬出された廃石膏ボード破砕物を石膏部分と紙部分と石膏部分及び紙部分の混合部分とに選別し各部分毎に排出する選別機16と、石膏部分及び紙部分の混合部分をコンベア装置11まで戻すリターンベルト17と、作業環境を清浄化するための集塵機20と、コンベア装置11へ廃石膏ボードを投入するための廃石膏ボード投入架台22と、を有しており、破砕機12が一対のロータ41、42から成る破砕手段40を有しており、これらのロータは互いに隣接して並置し、廃石膏ボードがこれらのロータのニップ部において破砕され、分離機13が円筒室51とその中で回転する回転体52Aとにより構成されており、
該回転体52Aが、中央の回転軸60Aと、該回転軸60Aに固定されている複数対の分離刃62Aと、により構成されており、各対の分離刃62Aが、複数のブレードから形成されており、各ブレードはその中間部が回転軸60Aの軸線方向に所定の間隔をおいて、かつ各ブレードを互に等角度だけずらして該回転軸60Aへ固着している、廃石膏ボード破砕分別処理装置10。
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