JP3830432B2 - ファイバグレーティング型フィルタパッケージ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信モジュール用のファイバグレーティング型フィルタ装置に関し、特にパッケージ化されたファイバグレーティング型フィルタパッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
様々な構造の光ファイバが知られている。例えば、波長選択フィルタとして、光ファイバのコア内に、例えばブラッグ効果を利用した回折格子が1個又は2個以上組み込まれた光ファイバが知られている。
【0003】
このような構成の光ファイバでは、回折格子により反射された光の周波数は、回折格子の歪み及び外部環境の温度の変化により影響を受けてしまう。すなわちその光学特性には温度依存性がある。
【0004】
例えば特表2000−503967号公報には、回折格子の曝されている温度の変化による回折格子の温度依存性を排除して、回折格子の光学特性を補償する光学装置が開示されている。この温度補償される光学装置によれば、回折格子を含む光ファイバの一部の領域に、回折格子が、その本質的な機能を果たしうる条件で光ファイバの長手方向に予め張力をかけておく。この張力が加えられた当該光ファイバの一部の領域の両端部をファイバ保持部材に接着して保持している。この場合、ファイバ保持部材は、負の膨張係数を有する材料により形成してある。
【0005】
このような光学装置によれば、温度変化に応答して生じる張力の増減により発生する回折格子の歪みを利用して、上述の光学特性の温度依存性を実質的に補償することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の温度補償される光学装置では、ファイバ保持部材自体が、外部環境の変化に対し、何ら保護されていない。特に当該光学装置がモジュールなどに現実に実装された場合には、ファイバ保持部材又はファイバグレーティングが、例えば外部から加わる応力により破損されて、その機能が損なわれてしまう恐れがあった。
【0007】
また、ファイバ保持部材を覆って保護するパッケージ部材の適用を考慮した場合には、温度変化によるファイバ保持部材の膨張又は収縮、すなわち体積の増大又は減少を妨げないように、パッケージ化することは困難であった。例えばファイバ保持部材の底面部全面をパッケージ部材に接着すると、温度変化によるファイバ保持部材の体積の増大又は減少が妨げられてしまう。
【0008】
従って、外部環境の温度変化に応じて回折格子の光学特性に対する温度補償を行いつつ、ファイバグレーティングを外部の応力等から保護することは困難であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものである。すなわちこの発明のファイバグレーティング型フィルタパッケージは、グレーティング領域を含む光ファイバを具え、このグレーティング領域の光学特性が温度補償される。
【0010】
この発明のファイバグレーティング型フィルタパッケージは、光ファイバをグレーティング領域に張力を加えた状態で、接着固定材により保持している。その底面部には、第1の嵌合結合部が設けられているファイバ保持部材と、ファイバ保持部材を格納するための格納空間を形成する、上面側が開放されている略直方体状であって、互いに対向する2つの側面部に光ファイバを内部から外部へ貫通させて取り出すファイバ取り出し孔を具えている。
【0011】
また、格納空間側の底面部には、第1の嵌合結合部と嵌合する第2の嵌合結合部が設けられているパッケージ部材と、パッケージ部材の上面側に接して固着されて、グレーティング領域及びファイバ保持部材をパッケージとして覆う蓋部材とを具えている。
【0012】
そして、パッケージ部材とファイバ保持部材とが、第1の嵌合結合部と第二の嵌合結合部とにより、互いに一箇所で固定された状態で、パッケージ部材の側面及びファイバ保持部材の側面の間と、蓋部材及びファイバ保持部材上にグレーティング領域に張力を加えた状態で光ファイバを固定するための接着固定材の間と、嵌合させた第1の嵌合結合部及び第2の嵌合結合部の間とに、ファイバ保持部材の温度変化による膨張又は収縮を妨げないように間隙を設けてある。
【0013】
この発明のファイバグレーティング型フィルタパッケージの構成によれば、パッケージを形成するパッケージ部材及び蓋部材により画成されるファイバ保持部材を格納するための格納空間の容積は、格納空間の温度の変化によるファイバ保持部材の体積の増大又は減少に影響を与えないように設定される。また、ファイバ保持部材の第1の嵌合結合部とパッケージ部材の第2の嵌合結合部とが嵌合して、この嵌合部一点のみでファイバ保持部材はパッケージ部材に固着されているので、パッケージ内部の空間を含む外部環境の温度の変化によるファイバ保持部材の膨張又は収縮を妨げることはなくなる。従って、回折格子の光学特性に対する温度補償効果を阻害することなく、特にグレーティング領域を保護することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照してこの発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は発明を理解できる程度に各構成成分の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるに過ぎず、したがってこの発明を図示例に限定するものではない。また、各図において、同一の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する場合もあることを理解されたい。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、この発明の第1の実施の形態のグレーティング型フィルタパッケージにつき説明する。
【0016】
図1(A)はグレーティング型フィルタパッケージの内部の構造が理解できるように蓋部を取り除いた状態を上面からみた概略的な平面図、図1(B)は図1(A)のI−I破線で切断した断面を示す概略的な断面図、及び図1(C)は図1(B)に示したパッケージ内部の主要な構造の配置関係を説明するための概略的な部分拡大図である。
【0017】
この発明のファイバグレーティング型フィルタパッケージ10は、ファイバ保持部材20を具えている。このファイバ保持部材20は、負の膨張係数を有している。これは、例えば、セラミック(例えば−8×10-6/℃の膨張係数を有する日本電気硝子社製のCERSAT)等により略直方体の棒状に形成されている。このファイバ保持部材20の底面中心部から光ファイバ30の長手方向に直角に交わる方向に、第1の嵌合結合部45が設けられている。この第1の嵌合結合部45の形状は、例えば光ファイバ30の長手方向に沿った断面形状が略長方形状である凹状の溝としてある。
【0018】
このファイバ保持部材20には、光ファイバ30のうち、コアに1又は2以上の回折格子32を含むグレーティング領域41が載置される。なお、図ではグレーティング領域41の位置を分かり易くするために、実際には存在するクラッド層は、図示していない(以下の図においても同様)。
【0019】
このグレーティング領域41の外側両端は、接着固定材36により、ファイバ保持部材20の表面上に固定されている。この光ファイバ30の固定は、光ファイバ30の長手方向に沿ってグレーティング領域41に張力をかけた状態で行われている。
【0020】
接着固定材36としては、従来使用されている例えばSummersOptical社製VTC−2等が挙げられる。
【0021】
このような光ファイバ30をファイバ保持部材20に予め張力をかけた状態で、接着固定する構成により、ファイバ保持部材20の温度変化依存的な膨張又は収縮が、グレーティング領域41に伝わるため、予めグレーティング領域41にかけられている張力と併せてグレーティング領域41の曝される温度変化による光学特性の変化を補償することができる。このような温度補償の原理については、従来の技術の項で引用した特表2000−503967号公報等に詳しい。光学特性の温度補償の原理については、この発明の要旨ではないのでその詳細な説明は省略する。
【0022】
この発明のパッケージは、光ファイバ30が保持されているファイバ保持部材20と、これを外側から覆って保護するための保護部材としての箱体40とで構成されている。以下、このパッケージの具体的な構成例につき説明する。このパッケージの箱体40は、実質的に直方体状の箱体とするのが好ましい。この箱体40は、内部に格納空間41を有している。この箱体40は、直方体の一面、ここでは上面が解放されている略直方体状のパッケージ部材42と、パッケージ部材42の開放されている上面側に固着されている板状の蓋部材44とを具えている。格納空間41には、ファイバ保持部材20と、これに固着保持された光ファイバ30の一部分、特にグレーティング領域34とが格納されている。このパッケージ部材42は、互いに対向する2つの側面部(又は側壁部ともいう。)に光ファイバ30を格納空間41内部から外部へ貫通させて導出させるための2つのファイバ取り出し孔43を具えている。
【0023】
パッケージ部材42の外側面側のファイバ取り出し孔43の出口には、ファイバ取り出し孔43を延長するようにして、スリーブ部46が設けられている。また、パッケージ部材42の格納空間41側の底面中心部には、第2の嵌合結合部45が光ファイバ30の長手方向に垂直に交わる方向に設けられている。この第2の嵌合結合部45の形状は、光ファイバ30の長手方向に沿った断面形状が略長方形状の凸状の突起である。
【0024】
上述した第1の嵌合結合部22と第2の嵌合結合部45の形状は、この例では、第1の嵌合結合部22を略直方体形状の凹状の溝とし、第2の嵌合結合部45を略直方体形状の凸状の突起とする例で説明したが、この発明の目的を損なわない範囲でこれに限られず、互いに良好な嵌合ができるように、例えば三角柱等の任意の形状を選択することができる。また、この発明の目的を損なわない範囲で、この例とは凹凸を逆にして、ファイバ保持部材20の第1の嵌合結合部22を凸状とし、かつパッケージ部材42の第2の結合嵌合部45を凹状としてもよい。
【0025】
さらに、この例では第1及び第2の嵌合結合部22及び45を、膨張率を考慮して、それぞれの部材の底面中心部に設ける例を説明したが、嵌合結合部を一箇所のみとして、その配置位置は適宜設定することができる。1箇所のみであれば、配置位置に関係なく、この嵌合結合部がファイバ保持部材20の膨張又は収縮を妨げることはない。
【0026】
第1の嵌合結合部22と、第2の嵌合結合部45とが互いに嵌合することで、この嵌合結合部一箇所のみでファイバ保持部材20とパッケージ部材42とが互いに固定(固着)される。
【0027】
このようにすれば、ファイバ保持部材20の体積の膨張又は収縮を妨げることなく、グレーティング領域34の温度補償を行うことができる。
【0028】
このパッケージ部材42及び蓋部材44の材料は、この発明の目的を損なわない範囲で特に限定されないが、温度変化による膨張率、コスト、強度等を考慮して、例えばアルミニウム製とするのがよい。この場合には、パッケージ部材42及び蓋部材44の膨張係数は24×10-6/℃である。パッケージ部材42と蓋部材44とは、図示されていない例えばねじ、ボルト及びナット、接着剤等の固着手段により互いに固着されて格納空間41は、ほぼ閉空間とされる。
【0029】
このパッケージ部材42及び蓋部材44により形成される格納空間41の容積は、グレーティング領域41を保持した状態のファイバ保持部材20を格納することが可能な容積であって、かつ格納空間41を含む外部環境の温度変化によるファイバ保持部材20の体積の増大又は減少を妨げない容積とされる。
【0030】
ここで、例えばファイバ保持部材20を負の膨張係数、すなわち−8×10-6/℃の膨張係数を有するセラミックスである日本電気硝子社製のCERSATとし、パッケージ部材42及び蓋部材44を膨張係数が24×10-6/℃であるアルミニウムにより構成した例で説明する。光ファイバ30の長手方向に沿った方向のファイバ保持部材20の長さを約80mmとし、パッケージ部材42の同長手方向の長さを約90mmとする。
【0031】
また、この例ではファイバ保持部材20の側面と、この側面と対向するパッケージ部材42の内壁側面との間の間隙(第1の間隙50)は、室温(20℃)で100μmと設定して説明する。
【0032】
まず、外部環境の温度が、室温(20℃)を基準として、マイナス方向に対するほぼ最大限の温度変化として想定される20℃から−40℃まで変化するものと仮定すると、生じる温度差は60℃であるから、ファイバ保持部材20は約43μm膨張し、パッケージ部材42は約130μm収縮することとなる。従って、ファイバ保持部材20と、パッケージ部材42又は蓋部材44との間に合わせて170μmのサイズ変動が生じる。従って、ファイバ保持部材20とパッケージ部材42との間に、特にファイバ保持部材20の膨張を阻害しないように、このサイズ変動を緩衝するための第1の間隙50を設ける。
【0033】
また、ファイバ保持部材20上にグレーティング領域34に張力を加えた状態で固定するための接着固定材36の上面と、蓋部材44との間にも第2の間隙51を設ける。
【0034】
ファイバ保持部材20は、その大きさが大きいほど、サイズ変動が大きいので、側面側には、室温(20℃)において少なくとも(170/2)μm程度の第1の間隙50を設ければ十分である。
【0035】
また、ファイバ保持部材20の上面側の間隙、すなわちファイバ保持部材20上面の光ファイバ30を固定している接着固定材36の上面から、蓋部材44までの間隙である第2の間隙51については、この場合には、ファイバ保持部材20の長手方向の長さの方が、その厚さよりも大きいので、ファイバ保持部材20の長手方向の膨張に合わせて、例えば室温(20℃)において170μmと設定すればよい。
【0036】
第1の間隙50及び第2の間隙51の大きさは、ファイバ保持部材20の膨張係数と、パッケージ部材42及び蓋部材44との膨張係数を勘案して、外部環境の温度変化によるファイバ保持部材の体積の増大又は減少を妨げないように、適宜決定するのがよい。
【0037】
従って、この例のパッケージでは、ファイバ保持部材20の側面部の第1の間隙50は、上述したように100μmあるので、上述の想定される範囲内の温度変化においては、ファイバ保持部材20の膨張を阻害しないので、所定の温度補償効果を得ることができる。
【0038】
さらにファイバ保持部材20の底面中心部には第1の嵌合結合部22が設けられていて、パッケージ部材42の格納空間41側の底面中心部には、第2の嵌合結合部45が設けられている。そして、これら第1の嵌合結合部22と第2の嵌合結合部45とが互いに嵌合することで固定されている。従って、第1の嵌合結合部22の溝の容積と、第2の嵌合結合部45の突起の体積とは、第2の嵌合結合部45の突起の体積を小さくした相似の形状とするのがよい。
【0039】
第1の嵌合結合部22及び第2の嵌合結合部45の大きさは、格納空間41を含む外部環境の温度変化により変動する。従って、この温度変化による第1の嵌合結合部22と第2の嵌合結合部45の大きさの変動が、ファイバ保持部材20の膨張又は収縮を妨げないように、第1の嵌合結合部22と第2の嵌合結合部45の大きさが設定される。
【0040】
第1の嵌合結合部22と第2の嵌合結合部45を嵌合させた後、特にファイバ保持部材20の温度変化による体積の増大又は減少、すなわちグレーティング領域34の温度補償効果を阻害しないように、第1の嵌合結合部22の溝の側面と、第2の嵌合結合部45の突起の側面との間には、第3の間隙60が設けられている。第1の嵌合結合部22の溝の底面と、第2の嵌合結合部45の突起の上面との間には、第4の間隙61が設けられている。
【0041】
具体的には、上述と同様に例えばファイバ保持部材20を負の膨張係数、すなわち−8×10-6/℃の膨張係数を有するセラミックスである日本電気硝子社製のCERSATとし、パッケージ部材42及び蓋部材44を膨張係数が24×10-6/℃であるアルミニウムにより構成した例で説明する。
【0042】
例えば、凹状の第1の嵌合結合部22の溝の底面の短手方向の長さ及び凸状の第2の嵌合結合部45の突起の上面の短手方向の長さを1mmと設定したものとする。
【0043】
室温(20℃)を基準として、想定されるプラス方向に対するほぼ最大限の温度変化として、20℃から80℃まで変化するものと仮定すると、生じる温度差は60℃であるから、第1の嵌合結合部22の幅は約0.5μm収縮し、第2の嵌合結合部45の幅は約1.4μm膨張することとなる。従って、この例の場合には、室温(20℃)において少なくとも側面側には(1.9/2)μm程度の第3の間隙を設ければよい。ファイバ保持部材20及びパッケージ部材42の厚み方向への膨張は、第2の間隙51について説明したように、長さ方向への膨張に比べて小さいので、室温(20℃)において1.9μm程度の第4の間隙61を設ければ十分である。
【0044】
より具体的には、第3の間隙60及び第4の間隙61は、加工容易性を考慮して、好ましくは、第1の間隙50と等しく100μmの間隙とすることができる。この値は、ファイバ保持部材20のサイズに対しては、十分に小さな値であるので、ファイバ保持部材20とパッケージ部材42との不要な接触等による損傷が生じることはなく、これらを互いに固定することができる。従って、グレーティング領域34の温度補償効果に悪影響を及ぼす恐れはない。
【0045】
より好ましくは、この例での第3の間隙60及び第4の間隙61を、20℃において、5μm〜10μmと等しく設定するのがよい。このようにすれば、グレーティング領域34の温度補償効果を確保しつつ、より強固にファイバ保持部材20をパッケージ部材42に固定させることができる。
【0046】
このように第3の間隙60及び第4の間隙61の大きさは、ファイバ保持部材の膨張係数と、パッケージ部材との膨張係数とを勘案して、温度変化によるファイバ保持部材の体積の増大又は減少を妨げないように、決定するのがよい。
【0047】
この発明の第1の実施の形態のグレーティング型フィルタパッケージの構成によれば、パッケージを形成するパッケージ部材及び蓋部材により画成されるファイバ保持部材を格納するための格納空間の容積は、格納空間の温度の変化によるファイバ保持部材の体積の増大又は減少に影響を与えないように設定されている。
【0048】
また、ファイバ保持部材の第1の嵌合結合部とパッケージ部材の第2の嵌合結合部とが嵌合して、この嵌合部一箇所のみでファイバ保持部材はパッケージ部材に固定され、支持されているので、格納空間の温度の変化によるファイバ保持部材の体積の増大又は減少を阻害することはなくなる。従って、極めて簡易な構成で、ファイバ保持部材をパッケージ部材及び蓋部材により覆うことで外部からの応力等から保護しつつ、温度依存性であるグレーティング領域の回折格子の機能に対する温度補償効果を得ることができる。
【0049】
<第2の実施の形態>
図2を参照して、この発明の第2の実施の形態のファイバグレーティング型フィルタパッケージにつき説明する。
【0050】
図2(A)は、第2の実施の形態のファイバグレーティング型フィルタパッケージの内部の構造が理解できるように蓋部を取り除いた状態を上面からみた概略的な平面図及び図2(B)は、図2(A)のI−I破線で切断した断面を示す概略的な断面図である。
【0051】
ここで、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0052】
この第2の実施の形態のファイバグレーティング型フィルタパッケージ10は、第1の実施の形態のファイバグレーティング型フィルタパッケージの構成要素に加えて、パッケージ部材42とファイバ保持部材20とが、第1の嵌合結合部22と第二の嵌合結合部45とにより、互いに一箇所で固定された状態で、第1の間隙50内に、ファイバ保持部材20の側面部とパッケージ部材42の内側面部とを接着して接続するように、第1の振動吸収性接着材70が設けられている。
【0053】
図においては、ファイバ保持部材20の長手方向の側面の中央部とパッケージ部材42の長手方向の内側面の中央部とを接着して接続してあるが、この発明の目的を損なわない範囲で特に限定されず、その第1の振動吸収性接着材70の配置位置は適宜設定することができる。
【0054】
この第1の振動吸収性接着材70には、硬化後であっても例えばエポキシ系接着剤よりも柔軟で振動吸収性を奏する例えばゲル状の材質からなるものを選択するのがよい。
【0055】
好適に適用される第1の振動吸収性接着材70として、具体的には例えば東レ・ダウコーニング社製のSE9187L等が挙げられる。
【0056】
この第2の実施の形態のグレーティング型フィルタパッケージは、第1の実施の形態で説明した効果に加えて、例えば振動にさらされる場所に適用した場合でも、この第1の振動吸収性接着材70が、柔軟なゲル状の材質から構成されているので、ファイバ保持部材の膨張又は収縮によるグレーティング領域34の温度依存的な光学特性の補償効果に影響を与えることなく、より安定して、ファイバ保持部材20とパッケージ部材42とを固定することができる。
【0057】
さらに、この第2の実施の形態のグレーティング型フィルタパッケージ10はファイバ取り出し孔43近傍にファイバ保持部材20と、パッケージ部材42とを接着する第2の振動吸収性接着材80を設けるのが好適である。すなわちファイバ取り出し孔43中を貫通している光ファイバ30に沿って、パッケージ部材42のファイバ取り出し孔43が設けられている側面部と、この側面部と対向するファイバ保持部材20の上面部と側面部との間に上側から、これら三者を接着して接続するように、第2の振動吸収性接着材80を設けている。
【0058】
この第2の振動吸収性接着材80は、第1の振動吸収性接着材70と同様の性質を奏するものを選択することができる。
【0059】
第2の振動吸収性接着材80を設けることにより、例えば振動等により、ファイバ取り出し孔43近傍の光ファイバ30に予期せずかかる応力を緩和することができるので、光ファイバ30の損傷や、切断の恐れが減少する。
【0060】
【発明の効果】
ファイバ保持部材をパッケージ部材及び蓋部材により覆う構成としても、外部環境の温度の変化によるファイバ保持部材の体積の増大又は減少を阻害することはないので、温度依存性であるグレーティング領域の光学特性に対する温度補償効果を損なうことなく、外部からの応力等から保護することができる。この発明のファイバグレーティング型フィルタパッケージは、極めて簡易な構成であるので、実施が容易である。従って、製造コストを低減することができる。
【0061】
また、この発明のファイバグレーティング型フィルタパッケージの構成によれば、柔軟なゲル状の材質から構成されている第1の振動吸収性接着材を設けることにより、例えばパッケージが振動にさらされる場所に適用される場合でも、より安定して、ファイバ保持部材とパッケージ部材とを固定することができる。
【0062】
さらに第2の振動吸収性接着材を設けることにより、例えば振動等により、ファイバ取り出し孔近傍の光ファイバにかかる応力を緩和することができるので、光ファイバの損傷や、切断の恐れを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は第1の実施の形態のグレーティング型フィルタパッケージの内部の構造が理解できるように蓋部を取り除いた状態を上面からみた概略的な平面図であり、図1(B)は図1(A)のI−I破線で切断した断面を示す概略的な断面図及び図1(C)はパッケージ内部の主要な構造の配置関係を説明するためのの概略的な部分拡大図である。
【図2】図2(A)は第2の実施の形態のグレーティング型フィルタパッケージの内部の構造が理解できるように蓋部を取り除いた状態を上面からみた概略的な平面図であり、図2(B)は、図2(A)のI−I破線で切断した断面を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
10:ファイバグレーティング型フィルタパッケージ
20:ファイバ保持部材
22:第1の嵌合結合部
30:光ファイバ
32:回折格子
34:グレーティング領域
36:接着固定材
40:箱体
41:格納空間
42:パッケージ部材
43:ファイバ取り出し孔
44:蓋部材
45:第2の嵌合結合部
46:スリーブ部
50:第1の間隙
51:第2の間隙
60:第3の間隙
61:第4の間隙
70:第1の振動吸収性接着材
80:第2の振動吸収性接着材
Claims (6)
- グレーティング領域を含む光ファイバを具え、該グレーティング領域の光学特性が温度補償されるファイバグレーティング型フィルタパッケージであって、
前記光ファイバを前記グレーティング領域に張力を加えた状態で、接着固定材により保持する、底面部に第1の嵌合結合部が設けられているファイバ保持部材と、
前記ファイバ保持部材を格納するための格納空間を形成する、上面側が開放されている略直方体状であって、互いに対向する2つの側面部に前記光ファイバを内部から外部へ貫通させて取り出すファイバ取り出し孔を具え、前記格納空間側の底面部には、前記第1の嵌合結合部と嵌合する第2の嵌合結合部が設けられているパッケージ部材と、
前記パッケージ部材の上面側に接して固着されて、前記グレーティング領域及び前記ファイバ保持部材をパッケージとして覆う蓋部材とを具え、
前記パッケージ部材と前記ファイバ保持部材とが、前記第1の嵌合結合部と前記第二の嵌合結合部とにより互いに一箇所で固定された状態で、前記パッケージ部材の側面及び前記ファイバ保持部材の側面の間と、前記蓋部材及び前記接着固定材の間と、嵌合させた前記第1の嵌合結合部及び前記第2の嵌合結合部の間とに、前記ファイバ保持部材の温度変化による膨張又は収縮を妨げないように間隙を設けてあること
を特徴とするファイバグレーティング型フィルタパッケージ。 - グレーティング領域を含む光ファイバを具え、該グレーティング領域の光学特性が温度補償されるファイバグレーティング型フィルタパッケージであって、
前記光ファイバを前記グレーティング領域に張力を加えた状態で、接着固定材により保持する、底面中心部に第1の嵌合結合部が設けられているファイバ保持部材と、
前記ファイバ保持部材を格納するための格納空間を形成する、上面側が開放されている略直方体状であって、互いに対向する2つの側面部に前記光ファイバを内部から外部へ貫通させて取り出すファイバ取り出し孔を具え、前記格納空間側の底面中心部には、前記第1の嵌合結合部と嵌合する第2の嵌合結合部が設けられているパッケージ部材と、
前記パッケージ部材の上面側に接して固着されて、前記グレーティング領域及び前記ファイバ保持部材をパッケージとして覆う蓋部材と、
前記パッケージ部材と前記ファイバ保持部材とが、前記第1の嵌合結合部と前記第二の嵌合結合部とにより、互いに一箇所で固定された状態で、前記ファイバ保持部材の温度変化による膨張又は収縮を妨げないように、前記パッケージ部材の側面及び前記ファイバ保持部材の側面の間に設けられている第1の間隙と、
前記蓋部材及び前記接着固定材の間に設けられている第2の間隙と、
嵌合させた前記第1の嵌合結合部の側面部及び前記第2の嵌合結合部と側面部の間に設けられている第3の間隙と、
前記第1の嵌合結合部の底面部及び前記第2の嵌合結合部の上面部の間に設けられている第4の間隙とを具えていること
を特徴とするファイバグレーティング型フィルタパッケージ。 - 前記第1の嵌合結合部は、前記光ファイバの長手方向に垂直に交わる方向に設けられている、光ファイバの長手方向に沿った断面形状が略長方形状の凹状の溝であり、前記第2の嵌合結合部は前記光ファイバの長手方向に垂直に交わる方向に設けられている、光ファイバの長手方向に沿った断面形状が略長方形状の凸状の突起であることを特徴とする請求項2に記載のファイバグレーティング型フィルタパッケージ。
- 前記第1の間隙内に、ファイバ保持部材の側面部とパッケージ部材の内側面部とを接着して接続するように、第1の振動吸収性接着材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のファイバグレーティング型フィルタパッケージ。
- ファイバ取り出し孔中を貫通している光ファイバに沿って、パッケージ部材のファイバ取り出し孔が設けられている側面部と、この側面部と対向するファイバ保持部材の上面部と、側面部との間に上側から、これら三者を接着して接続するように、第2の振動吸収性接着材がさらに設けられていることを特徴とする請求項4に記載のファイバグレーティング型フィルタパッケージ。
- 前記第1の間隙、第2の間隙、第3の間隙及び第4の間隙の大きさは、前記ファイバ保持部材の膨張係数と、前記パッケージ部材及び前記蓋部材の膨張係数とに基づいて、温度変化による前記ファイバ保持部材の膨張又は収縮を妨げないように、決定されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のファイバグレーティング型フィルタパッケージ。
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