JP3829997B2 - 上下動サーボ型加速度計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下動サーボ型加速度計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、加速度計として、振子の変位量を、直接的にあるいは間接的に何等かの方法で読取ることにより加速度を測定するようにした加速度計が知られていた。この場合、加速度計において使用されているばねの非線形性、ヒステリシスやクリープ等の機械的な欠陥や検出部、増幅器等の作動の非線形性が直接測定精度に影響を与えていたため、測定精度の向上は容易ではなかった。
【0003】
そこで、加速度計本体ケースに対して設定された中立位置を基準位置として同中立位置からの変位が自在に支持された振子質量体の、加速度計本体ケースに加わる加速度による中立位置からの変位に応じて、自動的に振子質量体に加速度に比例した大きさの電磁力による中立位置への復帰力を作用させる駆動コイルに流れる電流に係る出力値を検出することにより加速度の大きさを検出するようにしたサーボ型加速度計が考えられる。このようなサーボ型加速度計によれば、振子の質量、出力抵抗および駆動部の変換定数等の静的に決まる要素だけが測定精度に影響を与えることとなり、高感度、高精度で安定な加速度計を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなサーボ型加速度計の感度は、振子質量体の質量に比例するが、この振子質量体を機械的ばねのばね力のみによって支持するとばねが硬くなり、また、ばね力が弱いばねを使用すると静たわみが大きくなって実用的でなくなってしまう。振子質量体を支持するばねとして非線形ばねを使用することも考えられるが、非線形ばねを使用した場合には、長期的に使用する間にばねのクリープ現象が発生し、加速度計の所期の性能を維持することが難しい。
【0005】
加速度計が、特に上下動サーボ型加速度計の場合、すなわち加速度計本体ケースに対して設定された中立位置を基準位置として上下方向に変位自在に支持された振子質量体の、加速度計本体ケースに加わる加速度による中立位置からの上下方向への変位に応じて、自動的に同振子質量体に加速度に比例した大きさの電磁力による中立位置への復帰力を作用させる駆動コイルに流れる電流に係る出力値を検出することにより加速度の大きさを検出する上下動サーボ型加速計の場合には、振子質量体を機械的ばねのみにより支持すると、ばねが振子質量体のほぼ全重量を支持しなければならないため、振子質量体を支持するばねとして、ばね力の弱いばねを使用することができず、そのために、サーボ型加速度計の感度を十分に高めることができない。
【0006】
以上の実情にかんがみ、本発明は、上下動サーボ型加速度計において、振子質量体を支持する手段に工夫を加えることにより、高感度で加速度を検出することができるようにした上下動サーボ型加速度計を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明の上下動サーボ型加速度計は体ケース内において、ヨーク環状部を有するヨークと環状の永久磁石とからなる振子質量体が、ばねを介して上下方向に揺動自在に弾性支持されるとともに、同振子質量体の直下には、同振子質量体に磁力による浮上力を作用させるための浮上用磁力発生手段がヨーク環状部を有する固定ヨークと環状の永久磁石とを同心状に備えて固定され、上記固定ヨークに絶縁体を介して支持された駆動コイルが、上記振子質量体における上記ヨークの中心部と同ヨークの環状部との間の環状の空隙部において上記振子質量体の磁気回路の磁束を横断するように配設され、上記振子質量体の上部に取付けられたコンデンサ電極と上記本体ケースの上部内側に取付けられたコンデンサ電極とを有するコンデンサピックアップに信号路を介して接続された変位検出器が設けられるとともに、同変位検出器にサーボ増幅器を介して一端を接続された出力抵抗の他端に上記駆動コイルが接続されて、上記出力抵抗の両端の間の電圧により上下方向の加速度の検出が行われるように構成されたことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。図1に、本発明の1実施の形態に係る上下動サーボ型加速度計の縦断面および配線概念図を示す。同図において、加速度計本体ケース1内には、環状の永久磁石8とヨーク6とにより、永久磁石8、ヨーク6の円板部7、ヨーク6の中心部およびヨーク6の環状部9を通る磁気回路が形成された振子質量体Mが、同振子質量体Mの外周部と加速度計本体ケース1の内周面との間に配設された複数枚の平面螺旋ばね10a、10bを介して上下方向に揺動変位自在に弾性支持されている。
【0009】
他方、加速度計本体ケース1内において、振子質量体Mの直下には、振子質量体Mに磁力による浮上力を作用させるための浮上用磁力発生手段Fが、加速度計本体ケース1の底部に固定されている。この浮上用磁力発生手段Fは、環状の永久磁石4とヨーク2とにより、永久磁石4、ヨーク2の円板部3、ヨーク2の中心部およびヨーク2の環状部5を通る磁気回路を形成しており、しかも振子質量体Mの磁気回路の極性とは上下方向に互いに反発し合うような極性を持つように配向されている。
【0010】
ヨーク2には、絶縁体11を介して、フォースコイルすなわち駆動コイル12が、振子質量体Mのヨーク6の中心部およびヨーク6のヨーク環状部9間の環状の空隙部において振子質量体Mの磁気回路の磁束を横断するようにして支持されている。振子質量体Mが、浮上用磁力発生手段Fの反発磁力により上方への浮上力の作用を受けているため、振子質量体Mを支持する支持ばね10a、10bのばね力を、振子質量体Mの全重量を支持ばね10a、10bのみにより支持する場合に必要とされるばね力よりもはるかに弱いばね力とすることができる。その結果、振子質量体Mは上下方向の加速度に対して、より敏感に応動して中立位置を基準位置として上下方向に変位し、それに伴って振子質量体Mの磁束が、駆動コイル12を横断する。
【0011】
振子質量体Mの変位は、振子質量体M側に取付けられたコンデンサ電極13aおよび加速度計本体ケース1側に取付けられたコンデンサ電極13bを有するコンデンサピックアップ13に信号路14を介して接続された変位検出器15により検出され、変位検出器15の検出値を表す検出値信号は、信号路16を介してパワーアンプ等のサーボ増幅器17へ送られる。サーボ増幅器17は、変位検出器15から送られた検出値信号に従って、振子質量体Mの変位量に比例した電流を、途中に抵抗値RLの出力抵抗18を有する電路19を介して駆動コイル12へ送る。振子質量体Mの変位に伴い、振子質量体Mの磁束が、振子質量体Mの変位量に比例した電流が流れている駆動コイル12を横断することによって、振子質量体Mには、振子質量体Mの変位量に比例した大きさで中立位置へ戻そうとする磁力による復帰力が作用する。そのときの出力抵抗18 の両端A,B間の電圧eを測定することにより、振子質量体Mに加わる上下方向の加速度、従って加速度計本体ケース1に加わる上下方向の加速度の大きさを、高い精度で検知することができる。
【0012】
【発明の効果】
本発明の上下動サーボ型加速度計における振子質量体の支持装置によれば、本体ケース(1)内において、ヨーク環状部(9)を有するヨーク(6)と環状の永久磁石(8)とからなる振子質量体(M)が、ばね( 10 a, 10 b)を介して上下方向に揺動自在に弾性支持されるとともに、同振子質量体(M)の直下には、同振子質量体(M)に磁力による浮上力を作用させるための浮上用磁力発生手段(F)がヨーク環状部(5)を有する固定ヨーク(2)と環状の永久磁石(4)とを同心状に備えて固定され、上記固定ヨーク(2)に絶縁体( 11 )を介して支持された駆動コイル( 12 )が、上記振子質量体(M)における上記ヨーク(6)の中心部と同ヨーク(6)の環状部(9)との間の環状の空隙部において上記振子質量体(M)の磁気回路の磁束を横断するように配設され、上記振子質量体(M)の上部に取付けられたコンデンサ電極( 13 a)と上記本体ケース(1)の上部内側に取付けられたコンデンサ電極( 13 b)とを有するコンデンサピックアップ( 13 )に信号路( 14 )を介して接続された変位検出器( 15 )が設けられるとともに、同変位検出器( 15 )にサーボ増幅器( 17 )を介して一端を接続された出力抵抗( 18 )の他端に上記駆動コイル( 12 )が接続されて、上記出力抵抗( 18 )の両端の間の電圧(e)により上下方向の加速度の検出が行われるように構成されるので、上記振子質量体のヨークと永久磁石とが、上記振子質量体の浮上支持とサーボ駆動との両方を実現するための磁気回路を適切に構成して、加速度計本体ケースに加わる上下方向の加速度の大きさを、高い精度で検知できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施の形態に係る上下動サーボ型加速度計の縦断面および配線を示す概念図である。
【符号の説明】
1 加速度計本体ケース
2 ヨーク
3 ヨーク円板部
4 環状永久磁石
5 ヨーク環状部
6 ヨーク
7 ヨーク円板部
8 環状永久磁石
9 ヨーク環状部
10a,10b 平面渦巻き状支持ばね
11 絶縁材
12 駆動コイル
13 コンデンサ・ピックアップ
13a,13b 部材
14,16,19 導線
15 変位検出器
17 サーボ増幅器としてのパワーアンプ
18 出力抵抗
19 電路
A,B 端子
F 浮上用磁力発生手段
M 振子質量体

Claims (1)

  1. 体ケース内において、ヨーク環状部を有するヨークと環状の永久磁石とからなる振子質量体が、ばねを介して上下方向に揺動自在に弾性支持されるとともに、同振子質量体の直下には、同振子質量体に磁力による浮上力を作用させるための浮上用磁力発生手段がヨーク環状部を有する固定ヨークと環状の永久磁石とを同心状に備えて固定され、上記固定ヨークに絶縁体を介して支持された駆動コイルが、上記振子質量体における上記ヨークの中心部と同ヨークの環状部との間の環状の空隙部において上記振子質量体の磁気回路の磁束を横断するように配設され、上記振子質量体の上部に取付けられたコンデンサ電極と上記本体ケースの上部内側に取付けられたコンデンサ電極とを有するコンデンサピックアップに信号路を介して接続された変位検出器が設けられるとともに、同変位検出器にサーボ増幅器を介して一端を接続された出力抵抗の他端に上記駆動コイルが接続されて、上記出力抵抗の両端の間の電圧により上下方向の加速度の検出が行われるように構成されたことを特徴とする、上下動サーボ型加速度
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