JP3818399B2 - 超小型加速度センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、全体としての大きさが1cm角以下程度に微細化され、かつ、振子式のセンサ機構に微小の集積回路をそなえるようにした超小型加速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超小型加速度センサとしては図4〜6に示すようなものがあり、シリコンウエハとしての基板11の一部に、固定コンデンサ極板1がリソグラフィ工法により導電性被膜として形成されている。そして固定コンデンサ極板1に対向するように可動コンデンサ極板5を装着された振子3が、エッチングで作られた板ばね状の振子ばね4を介して基板11に連結されており、可動コンデンサ極板5もリソグラフィ工法により導電性被膜として形成されている。
【0003】
また振子3の変位を検出する変位検出用集積回路2が設けられて、各コンデンサ極板1,5に結線されており、この集積回路2で検出された振子3の変位に基づき加速度が求められるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような従来の超小型加速度センサでは、振子3が実際に大きく動くため、振子ばね4の非線形特性や安定度、ダイナミックレンジに問題があり、振動の有無や一定値以上の加速度の検知などの感震器としての利用価値はあるものの、精密な加速度測定用には適さないという不具合がある。
【0005】
本発明は、振子式の加速度センサにおいて、加速度の検出時に振子の拘束を電磁的に行なえるようにして、その拘束に要する電流値に基づき、振子ばね特性の影響を受けることなく正確に加速度の検出を行なえるようにした超小型加速度センサを提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明の超小型加速度センサは、微小な基板の一部に導電性被膜として形成された固定コンデンサ極板と、同固定コンデンサ極板に対向する可動コンデンサ極板を導電性被膜として表面に形成された振子と、同振子を上記基板に弾性的に連結する振子ばねと、上記の固定コンデンサ極板および可動コンデンサ極板に結線されて上記振子の変位を検出する変位検出用集積回路とをそなえるとともに、上記固定コンデンサ極板の表面に設けられた3個の静磁界発生用コイルと、同静磁界発生用コイルと対向するように上記可動コンデンサ極板の表面に設けられた振子駆動用コイルと、上記変位検出用集積回路で検出された上記振子の変位量に基づき上記振子駆動用コイルに電流を流して上記振子の変位を拘束するためのサーボアンプ集積回路とをそなえ、同サーボアンプ集積回路から上記振子駆動用コイルへ流される電流に基づき加速度が検出されるように構成されており、上記静磁界発生用コイルが、上記固定コンデンサ極板の表面中央に設けられた静磁界発生用中央コイルと、同中央コイルの両側方にそれぞれ配置されて同中央コイルへ磁束を向かわせるように設けられた静磁界発生用側方コイルとをそなえて構成されたことを特徴としている。
【0007】
上述の超小型加速度センサでは、同センサを装着された部材の動きに伴い、上記振子が相対的に動き始めると、同振子の可動コンデンサ極板と上記固定コンデンサ極板との相対的な動きが振子変位量として変位検出用集積回路により検出され、その検出値に応じ上記振子の動きを拘束しようとする電流がサーボアンプ集積回路から上記振子駆動用コイルに流される。そして、この電流値に基づき、振子ばねの機械的影響を受けることなく加速度が正確に求められるようになる。
【0008】
また、上記静磁界発生用コイルが、上記固定コンデンサ極板の表面中央に設けられた静磁界発生用中央コイルと、同中央コイルの両側方にそれぞれ配置されて同中央コイルへ磁束を向かわせるように設けられた静磁界発生用側方コイルとをそなえて構成されたことにより、静磁界発生用コイルが振子の変位方向と直交する方向に磁束を的確に形成するようになり、振子における駆動用コイルとの協働作用によって同振子の動きが十分に拘束されるようになる。
【0009】
さらに、本発明の超小型加速度センサは、上記静磁界発生用コイルが上記固定コンデンサ極板の表面に絶縁被膜を介してリソグラフィ工法により渦巻状に形成され、かつ、上記振子駆動用コイルが上記可動コンデンサ極板の表面に絶縁被膜を介してリソグラフィ工法により渦巻状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
これにより、固定コンデンサ極板上における静磁界発生用コイルの装着や、可動コンデンサ極板上における振子駆動用コイルの装着が、微小の厚さで行なえるようになり、加速度センサ全体としての超小型化が容易になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の一実施形態としての超小型加速度センサについて説明すると、図1はその縦断面図、図2は図1のA−A矢視断面図、図3は図1のB−B矢視断面図である。
【0012】
図1に示すように、1cm角以下程度のシリコンウエハとしての基板11において、その凹所の内壁面に固定コンデンサ極板1がリソグラフィ工法による導電性被膜として形成されるとともに、同固定コンデンサ極板1に対向する可動コンデンサ極板5をリソグラフィ工法による導電性被膜として表面に形成された振子3が設けられており、同振子3はエッチングで作られた板状の振子ばね4で基板11に弾性的に連結されている。
そして、各コンデンサ極板1,5に変位検出用集積回路2が結線されることにより、振子3の動きを検出するコンデンサ変位検出機構が構成されている。
【0013】
本実施形態では、さらに固定コンデンサ極板1の表面に絶縁被膜1aが貼り付けられて、同被膜1a上にリソグラフィ工法によって3個の静磁界発生用コイル6,7,8がそれぞれ渦巻状に形成されている。
すなわち、固定コンデンサ極板1の表面中央に設けられた静磁界発生用中央コイル7と、同中央コイル7の両側方にそれぞれ配置されて同中央コイルへ磁束を向かわせるように設けられた静磁界発生用側方コイル6,8とが、基板11内に設けられた端子12を介して電源に結線されるようになっている。
【0014】
また静磁界発生用コイル6〜8に対向するように、振子駆動用コイル9が振子3上に設けられており、同コイル9は可動コンデンサ極板5の表面に貼り付けられた絶縁被膜5aの表面に、リソグラフィ工法によって渦巻状に形成されている。
【0015】
静磁界発生用コイル6〜8は振子駆動用コイル9に電流が流されたときに振子3に対し駆動力を効率よく発生できるように、振子駆動用コイル9のコイル面に近似的に平行な磁束流を発生し、この磁束流は振子3と一体に動く振子駆動用コイル9の運動方向と直交する静磁界を形成するようになっている。
【0016】
振子駆動用コイル9は、この加速度センサの加速度検出時に、振子3の変位を検出する変位検出用集積回路2に結線されたサーボアンプ集積回路10から振子3の動きを拘束するための電流を受けるように同集積回路10に結線されており、この電流は振子3を動かす加速度に比例するので、この電流を計測することにより加速度が求められる。すなわち、上記電流が加速度検出信号に相当している。
【0017】
このようにして、本実施形態の加速度センサは、力平衡型のIC化サーボ型加速度計を構成することができる。
そして本実施形態では、静磁界を発生させるのに電磁コイルとしての3個のコイル6〜8が、固定コンデンサ極板1に設けられて、絶縁被膜1aを介しリソグラフィ工法により渦巻状に形成されているので、永久磁石を設ける場合と比べて加速度センサ全体の超小型化の点で有利となり、しかも振子3の動きが振子駆動用コイル9への通電により拘束され、その実際の動きは著しく少なくなるので、振子ばね4の機械的影響を受けることなく正確に加速度を検出できるようになる。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の超小型加速度センサによれば次のような効果が得られる。
(1)振子の変位を検出するためのコンデンサ変位検出機構における固定コンデンサ極板に、サーボ型加速度センサを構成するための3個の静磁界発生用コイルとして、中央コイルと同中央コイルの両側方に配置された静磁界発生用側方コイルとが設けられるので、永久磁石を設ける場合に比べて加速度センサ全体としての超小型化が容易になる。また、上記静磁界発生用コイルが、上記固定コンデンサ極板の表面中央に設けられた静磁界発生用中央コイルと、同中央コイルの両側方にそれぞれ配置されて同中央コイルへ磁束を向かわせるように設けられた静磁界発生用側方コイルとをそなえて構成されたことにより、静磁界発生用コイルが振子の変位方向と直交する方向に磁束を的確に形成するようになり、振子における駆動用コイルとの協働作用によって同振子の動きが十分に拘束されるようになる利点が得られる。
(2)上記静磁界発生用コイルや振子上の振子駆動用コイルがリソグラフィ工法により渦巻状に形成されるので、上記各コイルを微小な厚さで設けることができ、加速度センサ全体としての超小型化が一層容易になる。
(3)加速度の検出時に、振子の動きを拘束するように同振子上の振子駆動用コイルに電流が流され、この電流の計測によって加速度が求められるので、振子の実際の動きは著しく減少し、これにより振子ばねの非線形特性などの機械的影響を受けずに正確に加速度を検出できるようになる。
(4)コンデンサ変位検出機構を構成する基板上の固定コンデンサ極板および振子上の可動コンデンサ極板に接続された変位検出用集積回路が設けられるとともに、同集積回路からの変位検出信号に応じ振子の拘束を行うべく振子駆動用コイルへ電流を流すサーボアンプ集積回路が設けられるので、全体としてIC化された性能の高い超小型加速度センサの実現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態としての超小型加速度センサを示す縦断面図である。
【図2】 図1のA−A矢視断面図である。
【図3】 図1のB−B矢視断面図である。
【図4】 従来の超小型加速度センサの一例を示す縦断面図である。
【図5】 図4のA−A矢視断面図である。
【図6】 図4のB−B矢視断面図である。
【符号の説明】
1 固定コンデンサ極板
1a 絶縁被膜
2 変位検出用集積回路
3 振子
4 振子ばね
5 可動コンデンサ極板
6 磁界発生用側方コイル
7 磁界発生用中央コイル
8 磁界発生用側方コイル
9 振子駆動用コイル
10 サーボアンプ集積回路
11 基板
12 端子
Claims (2)
- 微小な基板の一部に導電性被膜として形成された固定コンデンサ極板と、同固定コンデンサ極板に対向する可動コンデンサ極板を導電性被膜として表面に形成された振子と、同振子を上記基板に弾性的に連結する振子ばねと、上記の固定コンデンサ極板および可動コンデンサ極板に結線されて上記振子の変位を検出する変位検出用集積回路とをそなえるとともに、上記固定コンデンサ極板の表面に設けられた3個の静磁界発生用コイルと、同静磁界発生用コイルと対向するように上記可動コンデンサ極板の表面に設けられた振子駆動用コイルと、上記変位検出用集積回路で検出された上記振子の変位量に基づき上記振子駆動用コイルに電流を流して上記振子の変位を拘束するためのサーボアンプ集積回路とをそなえ、同サーボアンプ集積回路から上記振子駆動用コイルへ流される電流に基づき加速度が検出されるように構成されており、上記静磁界発生用コイルが、上記固定コンデンサ極板の表面中央に設けられた静磁界発生用中央コイルと、同中央コイルの両側方にそれぞれ配置されて同中央コイルへ磁束を向かわせるように設けられた静磁界発生用側方コイルとをそなえて構成されたことを特徴とする、超小型加速度センサ。
- 請求項1に記載の超小型加速度センサにおいて、上記静磁界発生用コイルが上記固定コンデンサ極板の表面に絶縁被膜を介してリソグラフィ工法により渦巻状に形成され、かつ、上記振子駆動用コイルが上記可動コンデンサ極板の表面に絶縁被膜を介してリソグラフィ工法により渦巻状に形成されていることを特徴とする、超小型加速度センサ。
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