JP3829728B2 - 刃部交換式切削工具及びこれに装着される刃部 - Google Patents

刃部交換式切削工具及びこれに装着される刃部 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、刃部が着脱可能に工具本体に装着される刃部交換式切削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の刃部交換式切削工具の一例として、少なくとも一つの切刃を備えた切削部を有する刃部の後端側部分と、雄ねじ部を有するボルト部の先端側部分とが着脱可能に連結され、これら連結された刃部及びボルト部が、工具本体に穿設された雌ねじ部を有する取付孔に挿入されているとともに、ボルト部の雄ねじ部が取付孔の雌ねじ部にねじ込まれていることにより、刃部が工具本体の軸線方向の後端側に引き込まれて着脱可能に装着されているものがある。
【0003】
例えば、図22に示すような特許第2656949号公報に開示されている刃部交換式切削工具10があり、これは、刃部20の後端側部分であるテーパ部21の外周面が切り欠かれることにより、横方向に延びて開口する凹溝22と舌部23とからなるフック部24が形成され、ボルト部30の先端側部分であるテーパ部31の外周面が切り欠かれることにより、刃部20のフック部24と対応する形状をなす凹溝32と舌部33とからなるフック部34が形成されていて、これらフック部24,34同士を互いに嵌合させることにより、刃部20とボルト部30とが連結されているものである。
また、刃部20が工具本体11に装着された状態では、刃部20のテーパ部21の外周面が取付孔12のテーパ孔13の内周面を押圧している状態となっている。
【0004】
ところが、このようなフック部24,34同士の嵌合によって刃部20とボルト部30とが連結されていると、ボルト部30の雄ねじ部35が取付孔12の雌ねじ部14にねじ込まれることによってボルト部30のフック部34が刃部20を後端側に引き込む力が、工具本体11の軸線Oに沿わずに、刃部20のテーパ部21におけるフック部24の凹溝22と反対側(図中白抜き矢印方向)に偏り、刃部20が工具本体11の軸線Oに対して偏心してしまうという問題がある。しかも、刃部20のフック部24が、テーパ部21の中に形成されているため、刃部20のテーパ部21の外周面が取付孔12のテーパ孔13の内周面を押圧する力も大きく偏ることとなり、上記の刃部20が偏心する傾向がより顕著になってしまう。
【0005】
このような刃部の偏心を抑制できるものとしては、例えば、図23に示すようなGB−A−2158374に開示されている刃部交換式切削工具40がある。これは、刃部50の後端側部分51に、その後端面52に開口するフック穴54と、このフック穴54の先端側に連なるとともに後端側部分51の外周面53に開口するフック部収納孔55とが形成されており、ボルト部60の先端側部分61に、フック穴54を通過可能でボルト部60の軸線を2回軸とする回転対称な端部62及び略円柱状をなす軸部63からなるフック部64が形成されているものである。
【0006】
刃部50を工具本体41に装着する際には、取付孔42の雌ねじ部43に対してボルト部60の雄ねじ部66を適度にねじ込んでおき、刃部50を取付孔42内に後端側へ向けて挿入することにより、ボルト部60のフック部64における端部62をフック穴54からフック部収納孔55内に挿入する。
次に、刃部50をボルト部60に対してねじ込み回転方向S(ボルト部60の雄ねじ部66を取付孔42の雌ねじ部43にねじ込むときにボルト部60を工具本体40に対して回転させるときの回転方向)の前方側に所定角度相対回転させると、フック部64の端部62に形成された回転力伝達用壁面65がフック部収納孔55の外周面53への開口部の縁56に当接することにより、刃部50から与えられる回転力がボルト部60に伝達されて、ボルト部60の雄ねじ部66が取付孔42の雌ねじ部43にねじ込まれる。
【0007】
そして、ボルト部60が後端側に引き込まれていくと、フック部64の端部62が、フック穴54の周囲の壁面57、すなわち、フック部収納孔55における後端側を向く壁面に当接して係止することにより、刃部50とボルト部60との軸線方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止されて刃部50とボルト部60とが連結され、刃部50が後端側に引き込まれて着脱可能に装着されているのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記のような刃部交換式切削工具40において、刃部50が後端側に引き込まれて工具本体41に装着されている状態では、ボルト部60の雄ねじ部66をねじ込む際に刃部50から与えられる回転力をボルト部60に伝達するため、フック部64の端部62に形成された回転力伝達用壁面65がフック部収納孔55の外周面53への開口部の縁56に当接していなければならない。
すると、フック部64の端部62をフック穴54からフック部収納孔55に挿入してから、刃部50をボルト部60に対してねじ込み回転方向Sの前方側への相対回転させることができる所定角度がわずかな量で制限されてしまい、ボルト部60が後端側に引き込まれたときに、フック穴54の周囲の壁面57とフック部64の端部62とが互いに接触しあう面積を十分に大きく確保することが困難となり、刃部50の装着状態を安定して維持することができなかった。
また、フック部64の軸部63が単なる略円柱状に形成されているために、その剛性を十分に確保できているとは言えず、これによっても安定した刃部50の装着を維持することが困難となっていた。
【0009】
さらに、刃部50を工具本体41から取り外すため、ボルト部60の雄ねじ部66を取付孔42の雌ねじ部43から緩めようとするときには、刃部50をボルト部60に対してねじ込み回転方向Sの前方側に相対回転させた所定角度の分だけ、刃部50をボルト部60に対してねじ込み回転方向Sの後方側へ相対回転させなければ、刃部50から与えられる回転力をボルト部60に伝達することができず、刃部50を取り外す際に手間がかかって操作性が悪いという問題や、刃部50を工具本体41に装着している状態であっても、この刃部50に対してねじ込み回転方向Sの後方側に向かう力が加わった場合には、刃部50がボルト部60から外れてしまうおそれがあった。
【0010】
また、他の従来技術として、例えば、図24に示すようなGB−A−990353に開示されている刃部交換式切削工具70がある。
これは、刃部80の後端側部分に、刃部80の軸線を2回軸とする回転対称な端部81及び略円柱状をなす軸部82からなる側面視略T字型をなすフック部83が形成されており、このフック部83をボルト部90に形成されたフック穴91からフック部収納孔92内に挿入してから、ボルト部90の雄ねじ部92を工具本体71の取付孔72の雌ねじ部73にねじ込むことで、刃部80とボルト部90とが約90゜相対回転した状態に維持するように、ボルト部90が刃部80を後端側に引き込んでいるものである。
【0011】
しかしながら、このような刃部交換式切削工具70では、刃部80とボルト部90との周方向での相対回転が阻止されることがなく、刃部80の装着作業中のみならず、刃部80を工具本体71に装着した後であったも、刃部80に対して周方向の力がかかった場合に、刃部80がボルト部90から容易に外れてしまうおそれがあり、極めて操作性が悪いという問題があった。
また、フック部83の軸部82も単なる略円柱状に形成されているだけであるので、その剛性を十分に確保できないという問題も依然として存在している。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、刃部の偏心が生じず、かつ、刃部の装着状態を安定して維持することができる刃部交換式切削工具及びこれに装着される刃部を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明による刃部交換式切削工具は、少なくとも一つの切刃を備えた切削部を有する刃部の後端側部分と、螺合部(雄ねじ部及び雌ねじ部のうちのいずれか一方)を有する引込部材とが着脱可能に連結され、これら連結された刃部及び引込部材が、工具本体に穿設された被螺合部(雄ねじ部及び雌ねじ部のうちのいずれか他方)を有する取付孔に挿入されているとともに、前記引込部材の螺合部が前記取付孔の被螺合部にねじ込まれていることにより、前記刃部が前記工具本体の軸線方向の後端側に引き込まれて着脱可能に装着されている刃部交換式切削工具であって、前記刃部の後端側部分及び前記引込部材のうちのいずれか一方には、その端面に開口するフック穴が形成されており、他方には、前記フック穴を通過可能な端部及び軸部からなるフック部が形成されているとともに、このフック部の軸部に、前記フック部の端部を前記フック穴に挿入して通過させてから前記刃部を前記引込部材に対して前記螺合部のねじ込み回転方向の前方側に所定角度相対回転させたときに、前記フック穴の内周縁に当接して前記刃部から与えられる回転力を前記引込部材に伝達するための回転力伝達用壁面が形成されており、さらに、前記引込部材の螺合部が前記取付孔の被螺合部にねじ込まれて前記引込部材が軸線方向の後端側に引き込まれていくときに、前記刃部が前記引込部材に対して所定角度相対回転した状態で、前記フック部の端部が前記フック穴の周囲の壁面に当接して係止することにより、前記刃部と前記引込部材との軸線方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止されて前記刃部と前記引込部材とが連結され、前記刃部が軸線方向の後端側に引き込まれることを特徴とするものである。
このような構成とされた本発明の刃部交換式切削工具では、刃部と引込部材との連結が、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させてから刃部と引込部材とを所定角度相対回転させた状態で、フック部の端部をフック穴の周囲の壁面に当接させて係止することによって行われるため、このフック部の端部の形状を軸線をn回軸(n≧2)とする回転対称とすることができ、これにより、引込部材によって刃部を引き込む力が偏ることなく、刃部の偏心を生じさせることがない。(ここで、回転対称とは、1つの軸のまわりにある図形を回転する対称操作が行われるとき、2π/nラジアン(nは正の整数)の回転で同じ図形がくりかえされる性質をいい、その回転軸をn回軸という。)
しかも、刃部から引込部材に与えられる回転力を伝達するための回転力伝達用壁面がフック部の軸部に形成されていることで、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させてから、刃部を引込部材に対してねじ込み回転方向の前方側に相対回転させるときの所定角度が、フック部の端部の形状によって制限されてしまうことがなく、このフック部の端部とフック穴の周囲の壁面とが互いに接触しあう面積を十分に大きく確保することが可能となり、刃部の装着状態を安定して維持することができる。
加えて、フック部の軸部に回転力伝達用壁面が形成されていることで、略円柱状をなす従来の軸部と比較したときには、回転力伝達用壁面が形成されている分だけ、その断面積が大きくなって、この軸部の剛性が高めることができ、これによっても、刃部の装着状態を安定化させることが可能となる。
【0014】
また、前記フック部の軸部には、前記刃部が前記引込部材に対して所定角度相対回転しているとともに前記フック部の端部が前記フック穴の周囲の壁面に当接して係止している状態で、前記刃部が前記引込部材に対して前記螺合部のねじ込み回転方向の後方側に相対回転するのを阻止するために前記フック穴の内周縁に当接する逆回転防止用壁面が形成されていることが好ましい。
このような構成とすると、刃部が引込部材に連結されるとともに工具本体の軸線方向の後端側に引き込まれて装着されている状態において、フック部の軸部に形成された回転力伝達用壁面及び逆回転防止用壁面の両方がフック穴の内周縁に当接することとなるので、これら刃部と引込部材との周方向での相対移動が阻止され、刃部から引込部材に与えられるねじ込み回転方向の前方側及び後方側への回転力が常時伝達される。
それゆえ、刃部を工具本体から取り外すために、刃部を引込部材に対してねじ込み回転方向の後方側に回転させると、刃部から与えられる回転力がロスなく直ちに引込部材に伝達されるのであり、しかも、刃部が工具本体に装着された状態において、この刃部に対してねじ込み回転方向の後方側へ力がかかったとしても、引込部材の螺合部が取付孔の被螺合部から緩まない限り、刃部が引込部材から外れてしまうことがない。
【0015】
また、前記刃部は、少なくとも一つの切刃を備えた切削部とこの切削部の後端側に連なるとともに後端側に向かうにしたがい外径が漸次縮径する略円錐台状のテーパ部とこのテーパ部の後端側に連なる前記後端側部分とを有し、前記取付孔は、後端側に向かうにしたがい内径が漸次縮径する略円錐台孔状のテーパ孔とこのテーパ孔の後端側に位置する被螺合部とを有していて、前記刃部のテーパ部の外周面が前記取付孔のテーパ孔の内周面を押圧して、前記刃部が着脱可能に装着されていることが好ましい。
このような構成とすると、引込部材によって刃部が工具本体の軸線方向の後端側に引き込まれたときに、刃部のテーパ部の外周面が取付孔のテーパ孔の内周面を偏りなく均一に押圧するようにでき、刃部の軸線と工具本体の軸線とを完全に一致させて心出しを行うことが可能となる。
【0016】
また、ワークの切削加工に供されることになる切削部を有する刃部について、その剛性の点を考慮すると、前記刃部の後端側部分に前記フック部が形成されているとともに、前記引込部材に前記フック穴が形成されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明による刃部交換式切削工具は、前記フック部の端部を前記フック穴に挿入して通過させたときに、前記刃部と前記引込部材とを、これらが互いに離間する方向へ押圧する押圧部材が設けられていることを特徴とする。
このような構成とすると、刃部を工具本体に装着する際に、あらかじめ引込部材がねじ込まれた取付孔に対して刃部を後端側に向かって挿入してゆき、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させると、押圧部材によって刃部と引込部材とが軸線方向で互いに離間する方向へ押圧される。すると、刃部を取付孔の後端側へ向かって挿入するのにともなって引込部材が後端側へ押圧され、取付孔の螺合部とこの被螺合部にねじ込まれた引込部材の螺合部との間に軸線方向で適度な大きさの押圧力が発生する。
これにより、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させた状態で、刃部を引込部材に対して螺合部のねじ込み回転方向の前方側に所定角度だけ相対回転させるときには、引込部材が工具本体に対して周方向で相対回転するのを抑制するような摩擦力が働くことになるので、刃部のみを工具本体に対して確実に相対回転させることができ、刃部と引込部材とが一体に連れ回ってしまうのを抑制して、刃部を引込部材に対してねじ込み回転方向の前方側に向けてロスなく確実に所定角度だけ相対回転させることが可能となる。
さらには、刃部を工具本体に装着する際に、あらかじめ引込部材を取付孔にねじ込んでおくのではなく、取付孔から取り外した状態の引込部材と刃部とを用意し、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させてから、刃部を引込部材に対して所定角度だけねじ込み回転方向の前方側に相対回転させた後、フック部の端部をフック穴に挿入している力を緩めると、押圧部材によって刃部と引込部材とが軸線方向で互いに離間する方向に押圧され、自然とフック部の端部がフック穴の周囲の壁面に当接して係止している状態となって、これら刃部と引込部材とを連結できる。そして、これら連結された刃部及び引込部材とを一体に取付孔にねじ込んでいくことによって刃部を工具本体に装着することもできるのである。
このとき、前記押圧部材は前記フック部の端部を押圧する頭部を有していて、前記押圧部材の頭部と前記フック部の端部とが略点接触する、例えば、前記押圧部材の頭部における前記フック部の端部に接触する端面及び前記フック部の端部における前記押圧部材の頭部に接触する端面のうちの少なくとも一方が、略球面状をなしていることが好ましく、このような構成とすると、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させてから、刃部を引込部材に対して螺合部のねじ込み回転方向の前方側に所定角度相対回転させるときに、過大な力が必要となることがない。
【0018】
また、本発明による刃部は、本発明の刃部交換式切削工具に装着される刃部であって、少なくとも一つの切刃を備えた切削部を有し、後端側部分には、前記引込部材の端面に開口するフック穴を通過可能な端部及び軸部からなるフック部が形成されているとともに、このフック部の軸部に、前記フック部の端部を前記フック穴に挿入して通過させてから前記刃部を前記引込部材に対して前記螺合部のねじ込み回転方向の前方側に所定角度相対回転させたときに、前記フック穴の内周縁に当接して前記刃部から与えられる回転力を前記引込部材に伝達するための回転力伝達用壁面が形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明による刃部において、前記フック部の軸部には、前記刃部が前記引込部材に対して所定角度相対回転しているとともに前記フック部の端部が前記フック穴の周囲の壁面に当接して係止している状態で、前記刃部が前記引込部材に対して前記螺合部のねじ込み回転方向の後方側に相対回転するのを阻止するために前記フック穴の内周縁に当接する逆回転防止用壁面が形成されていることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明による刃部は、少なくとも一つの切刃を備えた切削部とこの切削部の後端側に連なるとともに後端側に向かうにしたがい外径が漸次縮径する略円錐台状のテーパ部とこのテーパ部の後端側に連なる前記後端側部分とを有していることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
本第1実施形態による刃部交換式切削工具100は、図1に示すように、軸線O回りに回転させられる工具本体110と、この工具本体110に着脱自在に装着されて固定される刃部120と、刃部120を工具本体110に装着するために用いる引込部材としてのボルト部140とからなるものである。
【0022】
工具本体110は、例えばスチール等によって、軸線Oを中心とする略円柱状に形成されているとともに、その先端面111から後端側に向けて、軸線Oを中心とした取付孔112が穿設されている。
この取付孔112は、工具本体110の先端面111から後端側に向かって内径が一定の勾配で漸次縮径していく略円錐台孔状のテーパ孔113と、このテーパ孔113の後端側に連なるとともに、一定の内径で後端側に向かって延びる略円柱孔状の収納孔114と、この収納孔114の後端側に連なる被螺合部としての雌ねじ部115とから構成されている。
【0023】
また、刃部120は、図2に示すように、例えば超硬合金からなり、少なくとも一つの切刃が最先端に形成された切削部121と、この切削部121の後端側に連なるとともに後端側に向かうにしたがい外径が一定の勾配で漸次縮径していく略円錐台状をなすテーパ部122と、このテーパ部122の後端側に連なる後端側部分123とから構成されて、軸線Oを中心として形成されている。
【0024】
そして、刃部120の後端側部分123は、テーパ部122の後端側に段差部を経て連なる軸部125と、この軸部125の後端側に連なるとともに刃部120の後端部をなす端部126とからなるフック部124とされているのである。フック部124の軸部125は、軸線Oを中心とする略正四角柱状を呈しており、その4つの側面127…同士が交差する角部のうち、軸線Oに関して対向する一対の角部における軸線O方向の先端側(テーパ部122側)がそれぞれ切り欠かれることにより、隣接する2つの側面127,127のそれぞれ周方向中央部に切れ上がる曲面部分128,128が軸部125の先端側部分に形成されている。
【0025】
フック部124の軸部125に形成された一対の曲面部分128,128は、軸線Oに直交する断面で見たとき、図2(b)に示すように、それぞれ軸線Oを中心とする略1/4円弧状をなすように形成されており、これら一対の曲面部分128,128が存在することにより、軸部125における4つの側面127…にはそれぞれ略L字型をなす平坦面が残されている。
【0026】
各曲面部分128のそれぞれがまたがるように形成された周方向で隣接する2つの側面127,127のうち、図中矢印で示すねじ込み回転方向S(これについては後述する。)の後方側に位置する側面127Aに形成された略L字型の平坦面において、曲面部分128よりもねじ込み回転方向Sの後方側に位置して、テーパ部122に連なる部分から端部126に連なる部分まで軸部125における軸線O方向の全長に亘って形成された平坦面が回転力伝達用壁面129とされ、かつ、曲面部分128の軸線O方向の後端側(端部126側)に連なる平坦面が逆回転防止用壁面130とされている。
【0027】
すなわち、上記の側面127Aにおけるねじ込み回転方向Sの後方側半分に位置する平坦面が回転力伝達用壁面129とされているとともに、側面127Aにおけるねじ込み回転方向Sの前方側半分に位置するとともに、回転力伝達用壁面129における軸線O方向の後端側部分のねじ込み回転方向Sの前方側に連なる平坦面が逆回転防止用壁面130とされているのである。
【0028】
また、このフック部124の軸部125の形状を換言するならば、上記の曲面部分128,128を外周面とする仮想の略円柱体に対して、回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130が形成されている分だけ余肉を付けたような形状となっており、軸線Oに直交する断面で見たときにも、曲面部分128,128を円弧とする仮想の円よりも回転力伝達用壁面129や逆回転防止用壁面130が形成されている分だけ断面積が大きくなっている。
なお、これら回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130の働きについては後述する。
【0029】
そして、フック部124の端部126は、その端面131(刃部120における後端面)と対向するようにして軸線O方向の先端側に向かって見たときに、略長方形状をなしていて、この端部126における長辺側の側面132,132は、回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130が形成されていない一対の側面127B,127Bにおける略L字型の平坦面と面一になる平坦面によって構成されており、また、端部126における短辺側の側面133,133は、回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130が形成されている一対の側面127A,127Aから外方に一段突出するとともに、軸線Oを中心とした略円柱体の外周面の一部となるような曲面によって構成されている。
【0030】
ここで、フック部124の端部126における短辺側の側面133,133が、一対の側面127A,127Aから外方に向かって一段突出していることにより、このフック部124の端部126には、一対の側面127A、127Aから屹立してフック部124の端部126における短辺側の側面133,133に交差するとともに軸線O方向の先端側を向く壁面134,134が形成されている。
なお、このフック部124の端部126を含めたフック部124全体が、軸線Oを2回軸とする回転対称となっている。
【0031】
一方、ボルト部140は、図3に示すように、例えばスチールからなり、略円柱状をなす先端側部分141と、この先端側部分141の後端側に連なる螺合部としての雄ねじ部142とから構成されて、軸線Oを中心として形成されている。
ボルト部140の先端側部分141には、その端面143(ボルト部140における先端面)に開口するフック穴144が形成されているとともに、このフック穴144の後端側と連通するように、軸線Oを中心とした一定の内径を有する略円柱孔状をなすフック部収納孔145が形成されている。
【0032】
そして、フック穴144は、先端側部分141の端面143と対向するようにして軸線O方向の後端側に向かって見たときに、略長方形状をなしていて、このフック穴144における軸線O側(径方向内方側)を向く壁面における長辺側の壁面、すなわち、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146は、互いに所定距離を介して離間する一対の平坦面とされており、また、フック穴144の内周縁における短辺側の壁面147,147は、フック部収納孔145の内周面と面一とされて、軸線Oを中心とした略円柱体の外周面の一部となるような曲面によって構成されている。
【0033】
ここで、このフック穴144は、上記のような略長方形状をなしていることによって、刃部120におけるフック部124の端部126と対応した形状をなしており、フック部124の端部126及び軸部125がちょうど通過可能な大きさに設定されている。
【0034】
また、フック穴144の内周縁における短辺側の壁面147,147のみがフック部収納孔145の内周面と面一となるように形成されていることから、フック部収納孔145の内周面から屹立してフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146に交差するとともに軸線O方向の後端側を向く壁面148,148が、このフック穴144の周囲に位置するように形成されている。
なお、このフック穴144及びフック部収納孔145を含めたボルト部140の先端側部分141全体が、軸線Oを2回軸とする回転対称となっている。
【0035】
上記のような構成をなす刃部120が工具本体110に装着されている状態においては、刃部120の後端側部分123をなすフック部124の端部126が、ボルト部140の先端側部分141に形成されたフック穴144に挿入されて通過させられ、このフック穴144の後端側に位置するフック部収納孔145内に収容されている。
【0036】
また、略長方形状をなすフック部124の長手方向と略長方形状をなすフック穴144の長手方向とが約90゜の交差角度で交差している、すなわち、刃部120とボルト部140との位相が約90゜異なっている状態となっている(フック部124の端部126の長手方向とフック穴144の長手方向とが一致している状態にあるときを、刃部120とボルト部140との位相が一致していると考える。)。
【0037】
さらに、フック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134が、フック穴144の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面148と対向するように配置されるとともに互いに当接していることにより、これら刃部120とボルト部140との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止されている。
【0038】
加えて、フック部124の軸部125における後端側部分(端部126側の部分)がフック穴144内に収容され、かつ、この軸部125に形成された回転力伝達用壁面129の後端側部分と逆回転防止用壁面130との両方がフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146に対向するように配置されて互いに当接していることにより、これら刃部120とボルト部140との周方向での相対移動が阻止されている。
【0039】
このようにして軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動及び周方向での相対移動が阻止されて連結状態とされた刃部120及びボルト部140は、工具本体110に穿設された取付112に対し、刃部120の略円錐台状をなすテーパ部122が、取付孔112の略円錐台孔状をなすテーパ孔113内に収容され、刃部120の後端側部分123(フック部124)とボルト部140の先端側部分141とが、取付孔112の略円柱孔状をなす収納孔114内に収容されるように挿入されており、ボルト部140の雄ねじ部142が、取付孔112の雌ねじ部115にねじ込まれている。
【0040】
そして、ボルト部140の雄ねじ部142が取付孔112の雌ねじ部115にねじ込まれていることで、ボルト部140の先端側部分141に連結された後端側部分123を有する刃部120が、取付孔112内で軸線O方向の後端側に引き込まれている。
これにより、刃部120のテーパ部122の外周面の略全面が、取付孔112のテーパ孔113の内周面の略全面を押圧して、刃部120の軸線Oと工具本体110の軸線Oとが一致させられて心出しが行われ、刃部120が工具本体110に着脱自在に装着されて固定されているのである。
【0041】
次に、刃部120を工具本体110に装着する工程を説明する。
まず、図4に示すように、あらかじめ、取付孔112の雌ねじ部115に対して、ボルト部140の雄ねじ部142を所定量ねじ込んでおき、このねじ込まれたボルト部140の略長方形状をなすフック穴144の長手方向と刃部120のフック部124の略長方形状をなす端部126の長手方向とを一致させる(交差角度0゜)、すなわち、刃部120とフック部140との位相を一致させながら、刃部120を取付孔112の後端側へ向かって、刃部120のテーパ部122の外周面が取付孔112のテーパ孔113の内周面に当接するまで挿入していくことにより、刃部120とボルト部140とを軸線O方向で互いに近づけていく。
【0042】
すると、フック部124の端部126がちょうど通過できる大きさに形成されているフック穴144に、フック部124の端部126が挿入されて通過させられる。
その後、フック部124の軸部125の一対の側面127B,127Bにおける略L字型の平坦面をフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146に沿わせながら、刃部120の挿入を続けていくことにより、刃部120とボルト部140との位相が一致させられた状態が維持されつつ、図5に示すように、フック部124の端部126がフック部収納孔145内に位置し、かつ、フック部124の軸部125の先端側部分、すなわち、曲面部分128,128が形成されている部分がフック穴144内に位置した状態となる。
【0043】
このとき、軸部125の側面127B,127Bの略L字型をなす平坦面における先端側部分が、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146と対向して配置されて互いに当接しており、軸部125の側面127A,127Aにおける先端側部分(回転力伝達用壁面129及び曲面部分128)が、フック穴144の内周縁における短辺側の壁面147,147と対向して配置された状態となっている。
なお、この状態では、フック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134と、フック穴144の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面148とが、フック部124における端部126と曲面部分128との間の軸線O方向に沿った距離よりも大きい距離tを介して離間している。
【0044】
ここで、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146に対向する位置に配置された軸部125の一対の側面127B,127Bの先端側部分において、そのねじ込み回転方向Sの後方側半分に曲面部分128,128が存在していることにより、このボルト部140の雄ねじ部142を取付孔112の雌ねじ部115にねじ込むときにボルト部140を工具本体110に対して回転させるときの回転方向、すなわち、雄ねじ部142のねじ込み回転方向Sの前方側へ、刃部120をボルト部140に対して相対回転させることが可能となっている。
【0045】
これにより、図6に示すように、刃部120をボルト部140に対して軸線O回りにねじ込み回転方向Sの前方側に回転させていくと、図7に示すように、この刃部120がボルト部140に対して所定角度(本第1実施形態においては約90゜)だけねじ込み回転方向Sの前方側に相対回転させられたときに、フック部124の軸部125の一対の側面127A,127Aに形成された回転力伝達用壁面129,129における先端側部分がフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146に当接することになる。
【0046】
この回転力伝達用壁面129における先端側部分がフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146に当接している状態について、より詳しく説明すると、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146が対向している一対の側面127A,127Aの先端側部分のそれぞれには、ねじ込み回転方向Sの前方側半分に曲面部分128が位置し、かつ、ねじ込み回転方向Sの後方側半分に回転力伝達用壁面129が存在している状態となっており、この回転力伝達用壁面129がフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146のねじ込み回転方向Sの後方側部分に当接しているのである。
【0047】
また、このように、刃部120がボルト部140に対して、フック部124の端部126をフック穴144に挿入して通過させてから約90゜だけねじ込み回転方向Sの前方側に相対回転させられることにより、フック部124の端部126の長手方向とフック穴144の長手方向との交差角度が約90゜となり、刃部120とボルト部140との位相も約90゜異なる状態となっている。
【0048】
上記のように、フック部124の軸部125に形成された回転力伝達用壁面129が、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146のねじ込み回転方向Sの後方側部分に当接していることによって、刃部120のボルト部140に対するねじ込み回転方向Sの前方側への相対回転が阻止される。
これにより、刃部120をねじ込み回転方向Sの前方側へ回転させ続けていくと、刃部120から与えられる回転力が、回転力伝達用壁面129,129からフック穴144の内周面における長辺側の壁面146,146を介してボルト部140に確実に伝達され、刃部120とボルト部140とが一体に回転させられて、ボルト部140の後端側部分に形成された雄ねじ部142が取付孔112の雌ねじ部115にねじ込まれていく。
【0049】
その後、ボルト部140は、その雄ねじ部142が取付孔112の雌ねじ部115にねじ込まれるのにともない、取付孔112内で軸線O方向の後端側に引き込まれていくが、刃部120は、そのテーパ部122の外周面が取付孔112のテーパ孔の内周面に当接していることで、工具本体110に対し、軸線O方向で同じ位置に維持されたままとなる。
【0050】
このように、刃部120の工具本体110に対して軸線O方向の後端側へ向かう相対移動が阻止されつつ、ボルト部140のみが工具本体110に対して軸線O方向の後端側に向かって相対移動されていくことにより、これら刃部120とボルト部140とが軸線O方向で互いに離間する方向へ相対移動させられる。
【0051】
そして、刃部120とボルト部140との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動にともなって、フック部124の軸部125に形成された回転力伝達用壁面129の先端側部分に当接しているフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146が、回転力伝達用壁面129との当接を維持しながら後端側に向かってこの回転力伝達用壁面120に沿って移動させられていく。
【0052】
すると、回転力伝達用壁面129の後端側部分には、そのねじ込み回転方向Sの前方側に連なって、この回転力伝達用壁面129と面一な逆回転防止用壁面130が形成されていることにより、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146が回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130の両方に対向して配置されて互いに当接した状態となる。
【0053】
それゆえ、回転力伝達用壁面129がフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146のねじ込み回転方向Sの後方側部分と当接することによって、刃部120のボルト部140に対するねじ込み回転方向Sの前方側への相対回転が阻止され、かつ、逆回転防止用壁面130がフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146のねじ込み回転方向Sの前方側部分と当接することによって、刃部120のボルト部140に対するねじ込み回転方向Sの後方側への相対回転が阻止されて、これら刃部120とボルト部140との周方向での相対移動が阻止される。
つまり、刃部120をねじ込み回転方向Sの前方側及び後方側へ回転させたときの回転力がボルト部に対して常時伝達される状態となるのである。
【0054】
また、同じく、刃部120とボルト部140との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動にともなって、フック部収納孔145内に収容されているフック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134と、フック穴144の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面148との間の軸線O方向での距離tが次第に小さくなっていく。
【0055】
引き続き、刃部120をねじ込み回転方向Sの前方側へ回転させていくことにより、ついには、図8に示すように、フック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134とフック穴の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面148とが当接し、これら刃部120とボルト部140との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止されるのである。
【0056】
このようにして、刃部120とボルト部140との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止されることで、ボルト部140の雄ねじ部142が取付孔112の雌ねじ部115にねじ込まれてボルト部140が取付孔112内で軸線O方向の後端側へ引き込まれるのにともない、これと連結された刃部120も軸線O方向の後端側へ引き込まれ、刃部120のテーパ部122の外周面が取付孔112のテーパ孔113の内周面を押圧して、刃部120が工具本体110に対して装着されて固定される。
【0057】
一方、刃部120を工具本体110から取り外す工程としては、まず、刃部120をボルト部140の雄ねじ部142のねじ込み回転方向Sの後方側に向かって軸線O回りに回転させる。
ここで、刃部120がボルト部140と連結されて工具本体110に装着された状態においては、フック部124の軸部125に形成された逆回転防止用壁面130が、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146のねじ込み回転方向Sの前方側部分に当接していることにより、刃部120をねじ込み回転方向Sの後方側へ回転させるときの回転力が直ちにボルト部140に伝達される。
【0058】
そのまま、刃部120をねじ込み回転方向Sの後方側へ回転させていくことによって、この刃部120と連結されたボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの後方側への回転力が伝達され、これにより、刃部120のテーパ部122の外周面による取付孔112のテーパ孔113の内周面に対する押圧が解除されるとともに、ボルト部140の雄ねじ部142が取付孔112の雌ねじ部115から緩んでいく。
【0059】
続いて、刃部120を、そのテーパ部122の外周面が取付孔112のテーパ孔113の内周面と当接する状態を維持しながら、ねじ込み回転方向Sの後方側へ回転させていくと、回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130の両方に対向して配置されて互いに当接した状態となっているフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146を、図7に示すように、フック部124の軸部125の一対の側面127A,127Aの先端側部分と対向する位置まで先端側に向かって回転力伝達用壁面129,129に沿うように移動させることが可能となる。
【0060】
すると、この軸部125の一対の側面127A,127Aの先端側部分には、回転力伝達用壁面129,129のねじ込み回転方向Sの前方側に連なるように一対の曲面部分128,128が形成されていることから、刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの後方側へ相対回転させることが可能となるのである。
【0061】
そして、図6に示すように、刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの後方側へ向かって約90゜相対回転させることにより、フック部124の端部126の長手方向とフック穴144の長手方向とが一致させられて、刃部120とボルト部140との位相が一致させられる。
これにより、刃部120を軸線O方向の先端側へ向かって引き抜くことで、フック部収納孔145に挿入されているフック部124の端部125をフック穴144から先端側へ抜き出すことが可能となり、刃部120を工具本体110から取り外すことができる。
【0062】
このような構成とされた刃部交換式切削工具100においては、工具本体110の後端側が工作機械の回転軸に取り付けられて、軸線O回りに回転させられることにより、刃部120の最先端に位置する切刃によってワークの切削加工が行われる。
【0063】
ここで、ボルト部140の雄ねじ部142を取付孔112の雌ねじ部115に対してねじ込む際にボルト部140を工具本体110に対して回転させるときのねじ込み回転方向Sは、この切削加工の際の工具本体110の軸線O回りの回転方向Tと逆になる、すなわち、ねじ込み回転方向Sの前方側が工具回転方向Tの後方側となるように、これら雄ねじ部142及び雌ねじ部115が形成されている。
つまり、切削加工の際に刃部120の切削部121が受ける切削抵抗によって、ボルト部140の雄ねじ部142が緩むことがないように考慮されているのである。
【0064】
上記のような構成とされた本第1実施形態による刃部交換式切削工具100によれば、刃部120とボルト部140との連結が、フック部124の端部126をフック穴144に挿入して通過させてから刃部120とボルト部140とを約90゜だけ相対回転させた状態で、フック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134,134をフック穴144の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面148,148に当接して係止することによって行われる。
そして、このフック部124の端部126が、軸線Oをn回軸(本第1実施形態では、n=2)とする回転対称とされていることにより、ボルト部140が刃部120を軸線O方向の後端側に引き込むときの力を軸線O方向に沿ったものとすることができ、工具本体110に対する刃部120の偏心を生じさせることがない。
【0065】
とくに、刃部120が工具本体110に装着されている状態においては、刃部120のテーパ部122の外周面が取付孔112のテーパ孔113の内周面を押圧しているため、ボルト部140によって刃部120が軸線O方向の後端側に引き込まれたときに、刃部120のテーパ部122の外周面が取付孔112のテーパ孔113の内周面を押圧する力を偏りなく均一なものとすることができるので、刃部120の軸線Oと工具本体110の軸線Oとを完全に一致させて心出しが行われ、高い精度が必要とされる切削加工においても十分な対応が可能となり、また、良好な動バランスを得ることができる。
【0066】
しかも、刃部120のフック部124が軸線Oを回転軸とする回転対称とされているとともに、ボルト部140の先端側部分141も軸線Oを回転軸とする回転対称とされていることから、刃部交換式切削工具100を構成する部材(工具本体100,刃部120,ボルト部140)のすべてが回転対称となって、それらの重心が軸線Oと一致しているので、工具本体110が軸線O回りに高速回転させられるときでも、遠心力による偏心が生じることがない。
【0067】
さらに、刃部120からボルト部140に与えられる回転力を伝達するための回転力伝達用壁面129がフック部124の軸部125に形成されていることにより、フック部124の端部126をフック穴144からフック部収納孔145内に挿入してから、刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの前方側に相対回転させる所定角度が、フック部120の端部140によって制限されてしまうことがない。
それゆえ、軸線Oをn回軸とする回転対称な端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134が、フック穴144の周囲に位置する軸線O方向の後端側を向く壁面148に当接して互いに接触しあう面積をより大きく設定することができ、刃部120の装着状態を安定して維持することができる。
【0068】
例えば、本第1実施形態においては、フック部124の端部126が、軸線Oを2回軸(n=2)とする回転対称に形成されているため、刃部120をボルト部140に対してねじ込み方向Sの前方側に向かって180゜/n(=90゜)だけ相対回転させたときに、回転力伝達用壁面129,129をフック穴144の内周縁における長辺側の壁面147,147に当接させることで、フック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134と、フック穴144の周囲に位置して軸線O方向の後端側側を向く壁面148との接触面積がより大きくなるように図られているのである。
【0069】
また、フック部124の軸部125の一対の側面127A,127Aにおける軸線O方向の後端側、かつ、ねじ込み回転方向Sの前方側部分に、逆回転防止用壁面130,130が形成されているため、刃部120とボルト部140とが互いに連結されて、この刃部120が軸線O方向の後端側に引き込まれて工具本体110に装着されている状態においては、フック部124の軸部125に形成された回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130の両方がフック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146に当接した状態となり、これら刃部120とボルト部140との周方向での相対移動が抑制されて、刃部120から与えられるねじ込み回転方向Sの前方側及び後方側への回転力(周方向での回転力)が常時ボルト部140に伝達される。
【0070】
それゆえ、刃部120を工具本体110から取り外す際、刃部120をねじ込み回転方向Sの後方側に回転させたときには、刃部120から与えられる回転力がロスなく直ちにボルト部140に伝達されるので、刃部120の装着工程における操作性の向上を図ることができる。
しかも、刃部120が工具本体140に装着されている状態において、刃部120とボルト部140との周方向での相対移動が阻止されていることにより、この工具本体110に装着された刃部120に対し、たとえ、ねじ込み回転方向Sの後方側へ回転させられるような力がかかったとしても、ボルト部140の雄ねじ部142が取付孔112の雌ねじ部115から緩まない限り、刃部120がボルト部140から外れてしまうおそれがない。
【0071】
また、フック部124の軸部126に回転力伝達用壁面129や逆回転防止用壁面が形成されていることで、略円柱状をなす従来形状の軸部と比較した場合に、回転力伝達用壁面129,129や逆回転防止用壁面130,130が形成されている分だけ、その断面積が大きくなって、このフック部124の軸部125の剛性が高められ、これによっても、刃部120の装着状態を安定化させることが可能となる。
【0072】
次に、本発明の第2実施形態を説明するが、上述の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を用いてその説明を省略する。
本第2実施形態による刃部交換式切削工具200は、第1実施形態とほぼ同様の構成をなすものであり、その相違点は、フック部の軸部に逆回転防止用壁面が形成されていないことである。
【0073】
この刃部交換式切削工具200の刃部220は、図9に示すように、その後端側部分123をなすフック部224の軸部225が、軸線Oを中心とする略正四角柱状を呈しており、軸部225の4つの側面227…同士が交差する角部のうち、軸線Oに関して対向する一対の角部の全長がそれぞれ切り欠かれることにより、隣接する2つの側面227,227のそれぞれ周方向中央部に切れ上がる曲面部分228,228が軸線O方向に沿って軸部225の全長に亘って形成されているものである。
【0074】
また、フック部224の軸部225に形成された一対の曲面部分228,228は、軸線Oに直交する断面で見たとき、図9(b)に示すように、それぞれ軸線Oを中心とする略1/4円弧状をなすように形成されており、これら一対の曲面部分228,228が存在することにより、軸部225における4つの側面227…にはそれぞれ軸線O方向に沿って延びる平坦面が残されている。
【0075】
そして、各曲面部分228のそれぞれがまたがるように形成された周方向で隣接する2つの側面227,227のうち、ねじ込み回転方向Sの後方側に位置する側面227Aに形成された平坦面、すなわち、曲面部分128よりもねじ込み回転方向Sの後方側に位置して、テーパ部122に連なる部分から端部126に連なる部分まで軸部125における軸線O方向の全長に亘って形成された平坦面が回転力伝達用壁面129とされているのである。
【0076】
このような軸部225及び端部126からなるフック部224を有する刃部220を工具本体110に装着するには、図10〜図13まで順を追って示されているように、基本的に、上述した第1実施形態の図4〜図8まで順を追って説明したのと同様に行われる。
【0077】
ここで、本第2実施形態による刃部交換式切削工具200では、刃部220のフック部224の軸部225における一対の側面227A,227Aに、逆回転防止用壁面が形成されていないことから、刃部220が工具本体110に装着された状態において、図13(b)に示すように、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146,146が対向している軸部225の一対の側面227A,227Aにおける後端側部分には、そのねじ込み回転方向Sの前方側部分に曲面部分228,228が形成されているとともに、ねじ込み回転方向Sの後方側部分に回転力伝達用壁面129が形成されている。
【0078】
これにより、刃部220を工具本体110に装着した状態であっても、刃部220をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの後方側に向けて所定角度(約90゜)だけ相対回転させることが可能となってしまう。
しかしながら、ねじ込み回転方向Sを、工具本体110の軸線O回りの回転方向Tと逆にする、すなわち、刃部220が受ける切削抵抗によって、刃部220がねじ込み回転方向Sの前方側に向けて回転させられる力を受けるようにすることにより、刃部220がボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの後方側へ相対移動させられるような力が加わることがなく、刃部220がボルト部140から外れてしまうことを防止できるのである。
【0079】
次に、本発明の第3実施形態を説明するが、上述の第1及び第2実施形態と同様の部分には、同一の符号を用いてその説明を省略する。
本第3実施形態による刃部交換式切削工具は、第1及び第2実施形態と同様の構成をなすものであり、その相違点は、フック部における端部及び軸部の形状とフック穴の形状である。
【0080】
この刃部交換式切削工具300の刃部320は、図14に示すように、フック部324の軸部325が、軸線Oを中心とする略正三角柱状を呈しており、軸部325の3つの側面327…同士が交差する角部がそれぞれ切り欠かれることにより、3つの回転力伝達用壁面329…が軸線O方向に沿って軸部325の全長に亘って形成されている。
【0081】
そして、フック部324の端部326は、端面331(刃部320における後端面)と対向するようにして軸線O方向の先端側に向かって見たときに、略三角形状をなしていて、この略三角形状をなす端部326の3つの角部がそれぞれ、軸部325に形成された3つの回転力伝達用壁面229…よりも外方に突出させられ、これにより、端部326に軸線O方向の先端側を向く壁面334が形成されているのである。
なお、このフック部324の端部326も含めたフック部324全体が、軸線Oを3回軸とする回転対称となっている。
【0082】
また、ボルト部340の先端側部分341には、図15に示すように、その端面343に開口するフック穴344が形成されているとともに、このフック穴344の後端側と連通するように、軸線Oを中心とした一定の内径を有する略円柱孔状をなすフック部収納孔345が形成されている。
【0083】
そして、フック穴344は、端面343と対向するようにして軸線O方向の後端側に向かって見たときに、フック部324の端部326と対応して、これがちょうど通過可能な大きさに設定された略三角形状をなしている。
なお、このフック穴344及びフック部収納孔345を含めたボルト部340の先端側部分341全体が、軸線Oを3回軸とする回転対称となっている。
【0084】
このような第3実施形態では、フック部325の端部326が略三角形状をなして、軸線Oを3回軸(n=3)とする回転対称となっていることから、刃部320とボルト部340との連結が、フック部324の端部326をフック穴344に挿入して通過させてから、刃部320をボルト部340に対してねじ込み回転方向Sの前方側に向かって180゜/n(=60゜)だけ相対回転させたときに、フック部324の軸部325に形成された3つの回転力伝達用壁面329…のそれぞれが、フック穴344の内周縁における3つの壁面346…に当接するようになっているのである。
【0085】
なお、この第3実施形態による刃部交換式切削工具の刃部320について、そのフック部324の軸部325に、逆回転防止用壁面が形成されていてもよいことはもちろんである。
【0086】
次に、本発明の第4実施形態を説明するが、上述の第1乃至第3実施形態と同様の部分には、同一の符号を用いてその説明を省略する。
本第4実施形態による刃部交換式切削工具400は、第1乃至第3実施形態と同様の構成をなすものであり、その相違点は、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させたときに、刃部とボルト部とを、これらが互いに離間する方向へ押圧する押圧部材が設けられていることである。
【0087】
この刃部交換式切削工具400は、図16に示すように、そのボルト部140におけるフック部収納孔145の底面149、すなわち、フック部収納孔145における軸線O方向の先端側を向く壁面からボルト部140の後端面150まで貫通形成された押圧部材収納孔470内に押圧部材460が収容されているものである。
【0088】
押圧部材収納孔470は、フック部収納孔145の底面149から一定の内径で軸線O方向の後端側の延びる略円柱孔状をなす頭部収納孔471と、この頭部収納容孔471の後端側に連なり、頭部収納孔471の内径よりも小さい一定の内径で軸線O方向の後端側に延びてボルト部140の後端面150に開口する軸部収納孔472とから構成されて、軸線Oを中心として形成されている。
この押圧部材収納孔470における頭部収納孔471の内径が軸部収納孔472の内径よりも大きく設定されていることにより、これら頭部収納孔471と軸部収納孔472との連結部分には軸線O方向の先端側を向く壁面からなる段差部473が形成されている。
【0089】
一方、押圧部材460は、押圧体461とバネ467とから構成されており、押圧体461は、一定の外径を有する略円柱状をなす頭部462と、この頭部462の後端側に連なり、頭部462の外径よりも小さい一定の外径を有する略円柱状をなす軸部464とから構成されて、軸線Oを中心として形成されている。この押圧体461における頭部462の外径が軸部464の外径よりも大きく設定されていることにより、これら頭部462と軸部464との連結部分に、軸線O方向の後端側を向く壁面からなる段差部465が形成されている。
【0090】
また、押圧体461における頭部462の端面463(先端面)は、軸線O付近が最先端となるように、軸線O方向の先端側に向かって凸となる略球面状をなしている。
さらに、押圧体461における軸部464の後端側部分には、その外周面から径方向外方へ一段突出するような形状となるように略リング型をなす止め輪466が取り付けられている。
【0091】
そして、この押圧部材460は、押圧体461における軸部464が押圧部材収納孔470における軸部収納孔472内に収容されているとともに、押圧体461における頭部462が押圧部材収納孔470における軸部収納孔472内に収容されている。
【0092】
さらに、押圧体461における段差部465(軸線O方向の後端側を向く壁面)と、押圧部材収納孔470における段差部473(軸線O方向の先端側を向く壁面)との間に、押圧体461の軸部464を周回するようにしてバネ467が介在させられていて、これら段差部465,473が軸線O方向で互いに離間する方向へ押圧されている。
すなわち、押圧体451がボルト部140に対して軸線O方向の先端側へ向かって付勢されているのである。
なお、バネ467のバネ定数は、2[N/m]〜20[N/m]の範囲に設定されている。
【0093】
ここで、押圧部材収納孔470における軸部収納孔472に収容されている押圧体461の軸部464は、その後端側部分がボルト部140の後端面150から軸線O方向の後端側へ突出させられているとともに、この突出部分に止め輪466が取り付けられている。
これにより、バネ467によって押圧されてボルト部140に対して軸線O方向の先端側へ向かって付勢されている押圧体461における頭部462の位置が、図16における下半分に示されるように、フック穴144のすぐ後端側のフック部収納孔145内で制限されている。
【0094】
このような構成とされた本第4実施形態による刃部交換式切削工具400では、刃部120を工具本体110に装着する際に、刃部120のフック部124の端部126を、あらかじめ取付孔112にねじ込まれたボルト部140のフック穴144からフック部収納孔145内に挿入すると、このフック部収納孔145内に挿入されたフック部124の端部126の端面131が、押圧部材460における押圧体461の頭部462の端面463と接触する。
【0095】
このとき、フック部124の端部126の端面131は軸線Oに直交する平坦面とされる一方、この端面131と接触している押圧体461の頭部462の端面463が、軸線O付近が最先端となるように軸線O方向の先端側に向かって凸となる略球面状を呈していることから、これら端部126の端面131と頭部462の端面463とが、軸線O付近にて略点接触しているだけの状態となっている。
【0096】
このまま、フック部124の端部126のフック穴144への挿入を続けていくと、図16の上半分に示されるように、このフック部124の端部126によって、軸線O方向の先端側へ付勢されている押圧部材460の押圧体461が軸線O方向の後端側へ押し込まれ、バネ467が縮んでいく。
すると、バネ467自身の復元力により、バネ467の後端が接触している段差部473が形成された押圧部材収納孔470を有するボルト部140と、バネ467の先端が接触している段差部473が形成された押圧体461の頭部462に接触している刃部120とが、軸線O方向で互いに離間する方向へ押圧される。
【0097】
すなわち、刃部120を取付孔112の後端側へ向かって挿入してゆき、フック部124の端部126をフック穴144からフック部収納孔145内に挿入するのにともない、ボルト部140が軸線O方向の後端側に押圧され、このボルト部140の雄ねじ部142と取付孔112の雌ねじ部115との間に軸線O方向で適度な大きさの押圧力が発生することとなる。
【0098】
それゆえ、フック部124の端部126をフック部収納孔145に挿入するとともに、刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの前方側に所定角度だけ相対回転させるときには、ボルト部140が工具本体110に対して周方向で相対回転するのを抑制するような摩擦力が働くのである。
【0099】
このように、ボルト部140と工具本体110との周方向での相対移動を抑制するような摩擦力が雄ねじ部142と雌ねじ部115との間に発生していることから、刃部120のみを工具本体110に対して確実にねじ込み回転方向Sの前方側へ相対回転させることができ、刃部120とボルト部140とが一体に連れ回ってしまうのを抑制できる。
つまり、刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの前方側に確実に所定角度だけ相対回転させることができ、刃部120を工具本体110へ装着する際の操作性を向上させることが可能となる。
【0100】
とくに、押圧部材460の頭部462とフック部124の端部126が軸線O付近で略点接触していることにより、フック部124の端部126をフック穴144よりフック部収納孔145内に挿入してから、刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの前方側に所定角度相対回転させようとするときに、押圧部材460の頭部462の端面463からフック部124の端部126の端面131への回転トルクがほどんど伝達されなくなる。
これにより、刃部120をボルト部140に対して所定角度だけ相対回転させるときに過大な力が必要となることなく、さらなる操作性の向上を図ることができる。
【0101】
なお、この第4実施形態による刃部交換式切削工具400では、フック部124の端部126の端面131が平坦面とされるとともに、押圧部材460の頭部462の端面463が軸線O方向の先端側に凸となる略球面状とされているが、、これに限定されることはなく、端部126の端面131が軸線O方向の後端側に向かって凸となる略球面状とされるとともに、頭部462の端面463が平坦面とされていてもよいし、さらには、端部126の端面131が軸線O方向の後端側に凸となる略球面状とされるとともに、頭部462の端面463が軸線O方向の先端側に凸となる略球面状とされていても構わない。
【0102】
また、刃部120とボルト部140とを軸線O方向で互いに離間する方向へ押圧するために用いられるバネ467のバネ定数が、2[N/m]〜20[N/m]の範囲に設定されていることにより、ボルト部140の雄ねじ部142と取付孔112の雌ねじ部115との間に適度な押圧力が発生させられている。
【0103】
このバネ467のバネ定数が、バネ467のバネ定数が、2[N/m]より小さくなってしまうと、フック部124の端部126をフック穴144よりフック部収納孔145に挿入したときに、ボルト部140を工具本体110に対して軸線O方向の後端側へ押し付けるための十分な押圧力が得られなくなり、ボルト部140の雄ねじ部142と取付孔112の雌ねじ部115との間に生じる摩擦力が不足して、刃部120とボルト部140との連れ回り現象が生じてしまうおそれがある。
【0104】
逆に、バネ467のバネ定数が、20[N/m]より大きくなってしまうと、フック部124の端部126をフック穴144よりフック部収納孔145内に挿入して、刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの前方側に相対回転させることが可能な状態にするまでに、刃部120を取付孔112に挿入するための力が大きくなりすぎ、かえって操作性の低下が生じてしまうおそれがある。
【0105】
なお、上述した刃部120の装着工程では、あらかじめボルト部140の雄ねじ部142を取付孔112の雌ねじ部115にねじ込んでから、このボルト部140のフック穴144に対して、刃部120のフック部124を挿入して通過させているが、本第4実施形態では、押圧部材460がボルト部140に設けられていることによって、取付孔112から取り外した状態のボルト部140と刃部120とを互いに連結してから、これら連結された刃部120及びボルト部140とを一体的に取付孔112にねじ込んでいくことも可能である。
【0106】
つまり、刃部120のフック部124の端部126を、取付孔112から取り外した状態のボルト部140のフック穴144を通過させてフック部収納孔145内に挿入してから、刃部120をボルト部140に対して所定角度だけねじ込み回転方向Sの前方側に相対回転させると、押圧部材460によってこれら刃部120とボルト部140とが軸線O方向で互いに離間する方向へ押圧されていることにより、自然と、フック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134とフック穴144の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面148とを互いに当接させて、これら刃部120とボルト部140との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止された状態とすることができる。
【0107】
そして、これら連結された刃部120及びボルト部140とを取付孔112に挿入するとともに、刃部120をねじ込み回転方向Sの前方側に回転させていくことにより、刃部120とボルト部140とが一体的にねじ込まれ、刃部120を工具本体110に装着することができる。
【0108】
ここで、とくに、フック部124の軸部125に逆回転防止用壁面130が形成されていると、刃部120とボルト部140との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止されて連結された状態では、これら刃部120とボルト部140との周方向での相対移動が阻止されることから、刃部120をボルト部140から取り外すためには、刃部120とボルト部140とを軸線O方向で互いに近づける方向に力を加えるとともに、刃部120をボルト部140のねじ込み回転方向Sの後方側へ所定角度だけ相対回転させなければならない。
【0109】
それゆえ、取付孔112から取り外したボルト部140と刃部120とを連結したとしても、これら刃部120とボルト部140との連結が容易に解除されることをなくすことができる。
また、周方向での相対移動が阻止されていることから、刃部120とボルト部140とを連結した状態のまま、工具本体110の取付孔112から取り外すこともできるのである。
【0110】
次に、本発明の第5実施形態を説明するが、上述の第1乃至第4実施形態と同様の部分には、同一の符号を用いてその説明を省略する。
本第5実施形態による刃部交換式切削工具500は、上述の第1実施形態と同様の構成をなすものであり、その相違点は、ボルト部の形状にある。
【0111】
この刃部交換式切削工具500におけるボルト部540は、図17に示すように、その外周面に雄ねじ部542が形成された略リング型状をなすように軸線Oを中心として形成されたものである。
ボルト部540には、その端面543(先端面)に開口するフック穴544が形成されているとともに、このフック穴544の後端側が、ボルト部540の後端面550に開口させられている。
【0112】
つまり、フック穴544が、ボルト部540の軸線O方向での全長に亘って軸線Oを中心として貫通形成されているのである。
また、フック穴544の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面が、ボルト部540の後端面550をなすことになる。
【0113】
刃部120を工具本体110に装着する際には、フック部124の端部126をフック穴544に挿入して通過させてから、刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの前方側へ所定角度相対回転させた後、続いて刃部120をボルト部140に対してねじ込み回転方向Sの前方側に回転させていくことにより、ボルト部140の雄ねじ部542が取付孔112の雌ねじ部115にねじ込まれてボルト部140が取付孔112内で軸線O方向の後端側に引き込まれていく。
【0114】
すると、刃部120のフック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134が、フック穴544の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面(ボルト部540の後端面550)に当接することにより、刃部120とボルト部540との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止されて、刃部120が工具本体110の後端側に引き込まれて装着されるのである。
【0115】
また、この第5実施形態による刃部交換式切削工具500において、第4実施形態のように、刃部120とボルト部540とを軸線O方向で互いに離間する方向へ押圧する押圧部材を設けたい場合には、例えば、刃部120におけるテーパ部122とフック部124の軸部125との連結部分に形成された軸線O方向の後端側を向く壁面からなる段差部と、ボルト部540における軸線O方向の先端側を向く端面543(先端面)との両方に接触して、これらを軸線O方向で互いに離間する方向へ押圧するように押圧部材を設けることができる。
【0116】
なお、上記の各実施形態においては、フック部の端部が、軸線Oを2回軸あるいは3回軸とする回転対称となっているが、これに限定されることなく、フック部の端部が、軸線Oをn回軸(n≧4)とする回転対称であっても構わない。
しかし、フック部の端部とフック穴の周囲の壁面との接触面積について考慮すると、上記の各実施形態で説明したように、n=3あるいはn=4が適当である。
【0117】
また、上記の各実施形態では、刃部の形状を説明上分かりやすくするために簡略化して記載しているが、例えば、第1実施形態による刃部交換式切削工具100の刃部120の詳細な形状を示すと、図18に示すようになる。
【0118】
すなわち、刃部120の切削部121には、軸線Oに関して互いに反対側に位置するようにして、軸線O方向の後端側に向かうにしたがい工具回転方向Tの後方側に向かってねじれる一対の切屑排出溝121A,121Aが形成されており、これら切屑排出溝121A,121Aにおける工具回転方向Tの前方側を向く壁面の先端側部分がすくい面とされるとともに、このすくい面と先端逃げ面との交差稜線部に、刃部120の最先端をなし、かつ、軸線Oを挟んで互いに反対側に位置して軸線O近傍から外周側へ向かって延びる一対の切刃121B,121Bが形成されている。
【0119】
さらに、この切削部分121において、一対の切屑排出溝121A,121A間に位置する外周面には、軸線Oに関して互いに反対側に位置するとともに互いに平行となるように、一対の平坦面121C,121Cが形成されており、これら一対の平坦面121C,121Cが、刃部120をボルト部140に対して相対回転させるときにスパナをかける部分となっている。
【0120】
また、刃部120のフック部124の端部126について、その軸線O方向の先端側を向く壁面134,134は、軸線Oを中心とし、頂点が軸線O方向の先端側を向く仮想の略円錐体Vの周面の一部をなすような曲面として形成されている。
すなわち、上記の第1実施形態で説明したときに用いた図面では、この軸線O方向の先端側を向く壁面134,134が軸線Oと直交して延在しているように見えるが、実際には、これら軸線O方向の先端側を向く壁面134,134は、径方向外方に向かうにしたがい軸線O方向の後端側へ向かって傾斜しているのである。
【0121】
加えて、これら軸線O方向の先端側を向く壁面134,134は、フック部124の軸部125における一対の側面127A,127Aに対して、断面(側面127Aに直交し、かつ、軸線Oと平行な断面)で見たときに曲率半径が0.02〜0.2mmに設定された円弧状(あるいは楕円弧状)をなす曲面134A,134Aを介して滑らかに接続されている。
【0122】
また、このようなフック部124の端部126の形状に対応するように、ボルト部140の先端側部分141において、そのフック穴144の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面148,148も、軸線Oを中心とし、頂点が軸線O方向の先端側を向く仮想の略円錐体Vの周面の一部をなすような曲面として形成され、径方向外方に向かうにしたがい軸線O方向の後端側へ向かって傾斜している。
【0123】
そして、上記のような構成の刃部120とボルト部140とが互いに連結されて、これら刃部120とボルト部140との軸線O方向で互いに離間する方向への相対移動及び周方向での相対移動が阻止されている状態においては、図19に示すように、軸線Oを中心とし、頂点が軸線O方向の先端側を向く仮想の略円錐体Vの周面の一部となる曲面とされた壁面134,134及び壁面148,148同士が互いに密着させられているのである。
【0124】
上述したように、フック部124の端部126における軸線O方向の先端側を向く壁面134,134と、フック穴144の周囲に位置して軸線O方向の後端側を向く壁面148,148とを、上記の略円錐体Vの周面の一部をなすようにしているのは、これら壁面134,134,148,148を径方向外方に向かうにしたがい軸線O方向の後端側へ向かうように傾斜させることによって、互いの接触面積を、軸線Oに直交して延在する壁面同士を接触させる場合と比較して増大させるためである。
このように、接触面積を増大させることによって面圧が下がり、これら壁面134,134,148,148が形成された部分の塑性変形を防止することができる。
【0125】
また、これら壁面134,134,148,148は仮想の略円錐体Vの周面の一部をなしているために、刃部120とボルト部140との連結状態においては、刃部120とフック部140との位相が正確に90゜異なる状態ではなく、多少位相がずれていたとしても、この連結状態に悪影響を及ぼすことがない。
【0126】
このようにしたのは、刃部120が例えば粉末合金法で製造される場合には、焼結時の変形があるため、刃部120とボルト部140との連結状態において、フック部124における回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130と、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146との間に、実際には、図19に示すような、多少の隙間(クリアランス)が設定されるためである。
つまり、刃部120とボルト部140との位相が90゜から多少ずれていたとしても、これら回転力伝達用壁面129及び逆回転防止用壁面130が、フック穴144の内周縁における長辺側の壁面146と正常に接触することが必要になるからである。
【0127】
さらに、フック部124における軸部125の一対の側面127A,127Aと、端部126の軸線O方向の先端側を向く壁面134,134との連結部分を曲面134A,134Aによって接続するようにしたのは、この連結部分に応力集中が発生しやすいことに起因している。
ここで、曲面134Aについて、断面の円弧(楕円弧)の曲率半径が0.02mmより小さくなると、この連結部分をなす曲面134Aに応力集中を生じさせてしまい、刃部120が超硬合金等の脆性材料で構成されていることから、破損のおそれが生じてしまう。
一方、曲率半径が0.2mmより大きくなっても、軸線O方向の先端側を向く壁面134,134の面積を小さく設定せざるを得なくなり、面圧の増大を招いてしまうおそれが生じる。
【0128】
なお、上述のような刃部120の詳細な形状が、第2乃至第5実施形態についても言えることはもちろんである。
【0129】
また、上記の各実施形態では、工具本体を、その全体がスチールによって構成されたものとして説明しているが、これに限定されることなく、例えば、工具本体の取付孔における少なくとも雌ねじ部を含む一部分をスチールによって構成し、工具本体の他の部分を超硬合金によって構成することも考えられる。
例えば、図20に示す変形例のように、工具本体110を、取付孔112における雌ねじ部115が形成されたスチールからなる第1工具本体部分160と、超硬合金からなる第2工具本体部分170とを互いに接合したものとすることができるのである。
【0130】
第1工具本体部分160はスチールからなる多段略円柱状をなしていて、工具本体110の後端面116をなす後端面164を備えた後端部分161と、この後端部分161の先端側に一段縮径して連なるとともに、その先端面163から後端側に向けて雌ねじ部165が穿設された先端部分162とを有している。
一方、第2工具本体部分170は超硬合金からなる略円筒状をなしていて、工具本体110の先端面111をなす先端面171から後端面172まで貫通する貫通孔173を有している。
【0131】
そして、第1工具本体部分160の先端部分162を、第2工具本体部分170の貫通孔173の後端面172への開口部からこの貫通孔173内に、第2工具本体部分170の後端面172と第1工具本体部分160の後端部分161とが当接するまで挿入した後、これら第1工具本体部分160と第2工具本体部分170とを互いに接合することによって、工具本体110が構成されている。
これにより、第2工具本体部分170の貫通孔173における先端側部分によって取付孔112のテーパ部113及び収納孔114が構成され、第1工具本体160の雌ねじ部165によって取付孔112の雌ねじ部115が構成されているのである。
【0132】
このような工具本体110を用いた刃部交換式切削工具では、超硬合金からなる第1工具本体部分160によって、工具本体110全体の剛性を高めることが可能でありながらも、スチールからなる第2工具本体部分170には、容易に雌ねじ部115を形成できる。
なお、第1工具本体部分160と第2工具本体部分170との接合に関しては、何らその接合手段を問うことはないが、例えば、ロウ付けによって接合することが考えられる。
【0133】
また、上記の各実施形態では、刃部を工具本体の軸線方向の後端側に引き込むための引込部材としてボルト部を用いており、引込部材が螺合部としての雄ねじ部を有しているとともに、この雄ねじ部が、取付孔の被螺合部としての雌ねじ部にねじ込まれていくような構成としているが、これに限定されることなく、引込部材に螺合部としての雌ねじ部を形成するとともに、取付孔に被螺合部としての雄ねじ部を形成しておくことも可能である。
【0134】
例えば、図21に示す変形例のようなものが考えられる(上述の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を用いてその説明を省略する。)。
この変形例においては、刃部120と連結されるとともに刃部120を軸線O方向の後端側に引き込むための引込部材640が略円柱状をなしていて、その先端側部分141に、フック穴144及びフック部収納孔145が形成され、かつ、後端側部分に、フック部収納孔145の底面149から引込部材640の後端面641まで貫通するような螺合部としての雌ねじ部642が形成されている。
【0135】
そして、引込部材640に対応するように、工具本体610には、取付孔112の収納孔114の後端側に連なるとともに工具本体610の後端面611まで貫通する固定ボルト収納孔612が形成されていて、この固定ボルト収納孔612に固定ボルト613が挿入されて固定されているのである。
固定ボルト613は、先端側部分に被螺合部としての雄ねじ部614が形成されていて、また、その後端側に順次連なるように、軸部615,頭部616が形成されている。
【0136】
この固定ボルト613が固定ボルト収納孔612に挿入されている状態においては、固定ボルト613の頭部616が、固定ボルト収納孔612における後端面611への開口部として形成されて一段拡径した段差部617内に収納され、固定ボルト613の軸部615が、固定ボルト収納孔612内に収容され、さらに、固定ボルト613の雄ねじ部614が、軸線O方向の先端側に突出させられるようにして取付孔112の収納孔114内に収容されている。
また、工具本体610の外周面から取付孔112の固定ボルト収納孔612まで貫通形成された孔部に挿入された固定ボルト固定用ねじ618によって、この固定ボルト613の固定ボルト収納孔612内での軸線O方向及び周方向での移動が阻止されている。
【0137】
これにより、取付孔112の収納孔114内に収容された状態となっている固定ボルト613の雄ねじ部614が、取付孔112における被螺合部をなしているのであり、この雄ねじ部614に対して、引込部材640の後端側部分に形成された雌ねじ部642がねじ込まれるのである。
なお、この変形例において、螺合部のねじ込み回転方向Sとは、引込部材640における螺合部としての雌ねじ部642を取付孔112における被螺合部としての雄ねじ部614に対してねじ込むときに、引込部材640を工具本体610に対して軸線O回りに回転させるときの回転方向となる。
【0138】
このような引込部材640及び工具本体610を用いた刃部交換式切削工具では、固定ボルト613をスチールによって構成し、かつ、これを除く工具本体610の他の部分を超硬合金によって構成することで、上述したような図20に示す工具本体の変形例と同様に、工具本体610全体の剛性を高めつつも、被螺合部としての雄ねじ部614を形成することを容易化できる。
【0139】
さらに、上記の各実施形態及び変形例では、刃部の後端側部分に端部及び軸部からなるフック部が形成され、ボルト部(引込部材)の先端側部分にフック部の端部及び軸部が通過可能な大きさのフック穴が形成されているが、これに限定されることなく、刃部の後端側部分に、その端面に開口するフック穴とこの先端側に連通するフック部収納孔を形成し、かつ、ボルト部(引込部材)の先端側部分に、端部及び軸部からなるフック部を形成するようにしてもよい。
【0140】
【発明の効果】
このような構成とされた本発明の刃部交換式切削工具によれば、刃部と引込部材との連結が、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させてから刃部と引込部材とを所定角度相対回転させた状態で、フック部の端部をフック穴の周囲の壁面に当接させて係止することによって行われるため、このフック部の端部の形状を軸線をn回軸(n≧2)とする回転対称とすることにより、引込部材によって刃部を引き込む力に偏りが生じることなく、刃部の偏心を生じさせない。
また、刃部から引込部材に与えられる回転力を伝達するための回転力伝達用壁面がフック部の軸部に形成されていることで、フック部の端部をフック穴に挿入して通過させてから、刃部を引込部材に対してねじ込み回転方向の前方側に相対回転させるときの所定角度が、フック部の端部の形状によって制限されず、これにより、フック部の端部とフック穴の周囲の壁面とが互いに接触しあう面積を十分に大きく確保して、刃部の装着状態を安定して維持することができる。
さらには、フック部の軸部に回転力伝達用壁面が形成されていることで、略円柱状をなす従来の軸部と比較して、回転力伝達用壁面が形成されている分だけ断面積を大きくでき、フック部の軸部の剛性を高めて、刃部の装着状態をより安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による刃部交換式切削工具を示す一部破断斜視図である。
【図2】 (a)は本発明の第1実施形態による刃部交換式切削工具の刃部を示す斜視図、(b)は(a)の部分切断図である。
【図3】 (a)は本発明の第1実施形態による刃部交換式切削工具のボルト部(引込部材)を示す斜視図、(b)は(a)における部分切断図である。
【図4】 (a)は本発明の第1実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す部分切断斜視図、(b)は(a)の状態における刃部交換式切削工具の一部破断断面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
【図5】 (a)は本発明の第1実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す部分切断斜視図、(b)は(a)の状態における刃部交換式切削工具の一部破断断面図、(c)は(b)におけるB−B線断面図、(d)は(b)におけるC−C線断面図である。
【図6】 本発明の第1実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す部分切断斜視図である。
【図7】 (a)は本発明の第1実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す部分切断斜視図、(b)は(a)の状態における刃部交換式切削工具の一部破断断面図、(c)は(b)におけるD−D線断面図、(d)は(b)におけるE−E線断面図である。
【図8】 (a)は本発明の第1実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す部分切断斜視図、(b)は(a)の状態における刃部交換式切削工具の一部破断断面図、(c)は(b)におけるF−F線断面図、(d)は(b)におけるG−G線断面図である。
【図9】 (a)は本発明の第2実施形態による刃部交換式切削工具の刃部を示す斜視図、(b)は(a)の部分切断図である。
【図10】 (a)は本発明の第2実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す一部破断断面図、(b)は(a)におけるH−H線断面図である。
【図11】 (a)は本発明の第2実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す一部破断断面図、(b)は(a)におけるI−I線断面図、(c)は(a)におけるJ−J線断面図である。
【図12】 (a)は本発明の第2実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す一部破断断面図、(b)は(a)におけるK−K線断面図、(c)は(a)におけるL−L線断面図である。
【図13】 (a)は本発明の第2実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の装着工程を示す一部破断断面図、(b)は(a)におけるM−M線断面図、(c)は(a)におけるN−N線断面図である。
【図14】 本発明の第3実施形態による刃部交換式切削工具の刃部を示す斜視図である。
【図15】 (a)は本発明の第3実施形態による刃部交換式切削工具のボルト部(引込部材)を示す斜視図、(b)は(a)における部分切断図である。
【図16】 本発明の第4実施形態による刃部交換式切削工具の刃部を示す一部破断断面図である。
【図17】 本発明の第5実施形態による刃部交換式切削工具を示す一部破断断面図である。
【図18】 本発明の実施形態による刃部交換式切削工具の刃部の詳細な形状を示す斜視図である。
【図19】 本発明の実施形態による刃部交換式切削工具の刃部とボルト部(引込部材)とが連結されたときの詳細な状態を説明するための要部拡大断面図である。
【図20】 本発明の実施形態による刃部交換式切削工具の工具本体の変形例を示す一部破断断面図である。
【図21】 本発明の実施形態による刃部交換式切削工具の工具本体及び引込部材の変形例を示す一部破断断面図である。
【図22】 従来の刃部交換式切削工具の一例を示す断面図である。
【図23】 (a)は従来の刃部交換式切削工具の一例を示す一部破断断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。
【図24】 (a)は従来の刃部交換式切削工具の一例を示す一部破断断面図、(b)は(a)におけるY−Y線断面図である。
【符号の説明】
100,200,300,400,500 刃部交換式切削工具
110 工具本体
112 取付孔
115 雌ねじ部(被螺合部)
120,220,320 刃部
124,224,324 フック部
125,225,325 軸部
126,326 端部
129,329 回転力伝達用壁面
130 逆回転防止用壁面
140,340,540 ボルト部(引込部材)
142,542 雄ねじ部(螺合部)
144,344,544 フック穴
145,345 フック部収納孔
460 押圧部材
462 頭部
O 軸線
S ねじ込み回転方向
T 工具回転方向

Claims (10)

  1. 少なくとも一つの切刃を備えた切削部を有する刃部の後端側部分と、螺合部を有する引込部材とが着脱可能に連結され、これら連結された刃部及び引込部材が、工具本体に穿設された被螺合部を有する取付孔に挿入されているとともに、前記引込部材の螺合部が前記取付孔の被螺合部にねじ込まれていることにより、前記刃部が前記工具本体の軸線方向の後端側に引き込まれて着脱可能に装着されている刃部交換式切削工具であって、
    前記刃部の後端側部分及び前記引込部材のうちのいずれか一方には、その端面に開口するフック穴が形成されており、他方には、前記フック穴を通過可能な端部及び軸部からなるフック部が形成されているとともに、このフック部の軸部に、前記フック部の端部を前記フック穴に挿入して通過させてから前記刃部を前記引込部材に対して前記螺合部のねじ込み回転方向の前方側に所定角度相対回転させたときに、前記フック穴の内周縁に当接して前記刃部から与えられる回転力を前記引込部材に伝達するための回転力伝達用壁面が形成されており、
    さらに、前記引込部材の螺合部が前記取付孔の被螺合部にねじ込まれて前記引込部材が軸線方向の後端側に引き込まれていくときに、前記刃部が前記引込部材に対して所定角度相対回転した状態で、前記フック部の端部が前記フック穴の周囲の壁面に当接して係止することにより、前記刃部と前記引込部材との軸線方向で互いに離間する方向への相対移動が阻止されて前記刃部と前記引込部材とが連結され、前記刃部が軸線方向の後端側に引き込まれることを特徴とする刃部交換式切削工具。
  2. 請求項1に記載の刃部交換式切削工具において、
    前記フック部の軸部には、前記刃部が前記引込部材に対して所定角度相対回転しているとともに前記フック部の端部が前記フック穴の周囲の壁面に当接して係止している状態で、前記刃部が前記引込部材に対して前記螺合部のねじ込み回転方向の後方側に相対回転するのを阻止するために前記フック穴の内周縁に当接する逆回転防止用壁面が形成されていることを特徴とする刃部交換式切削工具。
  3. 請求項1または請求項2に記載の刃部交換式切削工具において、
    前記刃部は、少なくとも一つの切刃を備えた切削部とこの切削部の後端側に連なるとともに後端側に向かうにしたがい外径が漸次縮径する略円錐台状のテーパ部とこのテーパ部の後端側に連なる前記後端側部分とを有し、
    前記取付孔は、後端側に向かうにしたがい内径が漸次縮径する略円錐台孔状のテーパ孔とこのテーパ孔の後端側に位置する被螺合部とを有していて、
    前記刃部のテーパ部の外周面が前記取付孔のテーパ孔の内周面を押圧して、前記刃部が着脱可能に装着されていることを特徴とする刃部交換式切削工具。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の刃部交換式切削工具において、
    前記刃部の後端側部分に前記フック部が形成されているとともに、前記引込部材に前記フック穴が形成されていることを特徴とする刃部交換式切削工具。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の刃部交換式切削工具において、
    前記フック部の端部を前記フック穴に挿入して通過させたときに、
    前記刃部と前記引込部材とを、これらが互いに離間する方向へ押圧する押圧部材が設けられていることを特徴とする刃部交換式切削工具。
  6. 請求項5に記載の刃部交換式切削工具において、
    前記押圧部材は前記フック部の端部を押圧する頭部を有していて、前記押圧部材の頭部と前記フック部の端部とが略点接触することを特徴とする刃部交換式切削工具。
  7. 請求項6に記載の刃部交換式切削工具において、
    前記押圧部材の頭部における前記フック部の端部に接触する端面及び前記フック部の端部における前記押圧部材の頭部に接触する端面のうちの少なくとも一方が、略球面状をなしていることを特徴とする刃部交換式切削工具。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の刃部交換式切削工具に装着される刃部であって、
    少なくとも一つの切刃を備えた切削部を有し、
    後端側部分には、前記引込部材の端面に開口するフック穴を通過可能な端部及び軸部からなるフック部が形成されているとともに、このフック部の軸部に、前記フック部の端部を前記フック穴に挿入して通過させてから前記刃部を前記引込部材に対して前記螺合部のねじ込み回転方向の前方側に所定角度相対回転させたときに、前記フック穴の内周縁に当接して前記刃部から与えられる回転力を前記引込部材に伝達するための回転力伝達用壁面が形成されていることを特徴とする刃部。
  9. 請求項8に記載の刃部において、
    前記フック部の軸部には、前記刃部が前記引込部材に対して所定角度相対回転しているとともに前記フック部の端部が前記フック穴の周囲の壁面に当接して係止している状態で、前記刃部が前記引込部材に対して前記螺合部のねじ込み回転方向の後方側に相対回転するのを阻止するために前記フック穴の内周縁に当接する逆回転防止用壁面が形成されていることを特徴とする刃部。
  10. 請求項8または請求項9に記載の刃部において、
    少なくとも一つの切刃を備えた切削部とこの切削部の後端側に連なるとともに後端側に向かうにしたがい外径が漸次縮径する略円錐台状のテーパ部とこのテーパ部の後端側に連なる前記後端側部分とを有していることを特徴とする刃部。
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