JP3829151B2 - テザーに連結された機器の姿勢制御方式 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テザーに連結された機器の姿勢制御方式に関する。テザーは、軽量であり、かつ収納性に優れているため、宇宙開発や地上における様々な作業への利用が考えられる。例えば、宇宙開発においては、テザーを衛星軌道から低高度へと伸展させることによる低高度の観測や、テザーによって連結された二宇宙機を回転させることによる人工重力の発生、軌道上外力を利用した軌道変換、さらには電導性テザーを利用した磁力による発電などが考えられている。地上においては、人間の操縦するクレーンから吊り下げられたテザーの下端にロボットを吊り下げ、超高層ビルディング、航空機、船舶、宇宙船などの巨大構造物のメンテナンス・建造への利用が考えられている。
本発明は、かかるテザーの先端に連結された機器の姿勢制御方式に関する。
なお、テザーとは、一般的には宇宙空間で用いられるケブラー繊維(du Pont社)によって形成されたひも状の部材を示すが、本明細書では、前述したいわゆるテザーだけでなく、地上で使用される一般的なひもやロープ、ワイヤー等、可撓性を有するひも状の部材を全て含む概念である。
【0002】
【従来の技術】
テザーに連結された機器によって様々な作業を行う場合、その機器は、その姿勢の基準となる物体、例えば宇宙船やクレーン等に対して剛体を介して連結されていないため、テザー自体や機器の姿勢制御が問題となる。
【0003】
宇宙開発で使用されるテザーシステムでは、軌道上の重力傾斜を利用してテザー自体およびテザー先端に連結された機器の姿勢制御が行われている。
【0004】
また、地上におけるクレーンシステムなどでは、地上の重力を利用したり、クレーンアーム側の部材の変更、吊り下げ位置であるクレーンのアーム先端位置の制御、テザーを巻き取る装置のトルク、速度等を制御することによるテザー自体および機器の姿勢制御が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、テザーに吊り下げられた物体の高精度な姿勢制御は、現状の手法である軌道上の重力傾斜、または地上における重力を利用した受動的制御では困難である。
また、噴射装置やリアクションホイールを使用すれば、ある程度は能動的に姿勢制御はできるものの、噴射装置では高精度な姿勢制御が困難であるし、リアクションホイールはホイールに蓄積できる角運動量に限界があるため制御範囲が狭いという問題がある。
したがって、物体の観測や運搬程度の作業は行うことはできても、ロボットを先端機器として使用する場合のように、高精度の姿勢制御が必要とされる作業は現存する技術では困難である。
このような背景を踏まえて、テザー先端に連結された機器を、能動的かつ高精度に制御することができる新しい姿勢制御方法が必要とされている。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑み、テザー先端に連結された機器を能動的に制御でき、かつ連続的な制御方式で高精度な制御が可能であるテザーに連結された機器の姿勢制御方式を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1のテザーに連結された機器の姿勢制御方式は、テザーの先端に連結された複数の部材からなる機器において、該機器が、中間部材と先端部材とを有しており、前記中間部材が、前記テザーの先端と前記先端部材とを連結する連結部材となっており、前記テザーの先端と前記中間部材、および該中間部材と前記先端部材が、互いに揺動自在に連結されており、前記機器が、前記先端部材を前記中間部材に対して相対的に揺動させる揺動手段を備えており、前記先端部材に前記中間部材との連結部分を支点として該先端部材を揺動させる方向に外力が加わっている間は、前記外力によって前記先端部材に発生する回転力と同じ大きさかつ逆向きの回転力を前記先端部材に発生させるように、前記揺動手段によって前記先端部材を前記中間部材に対して揺動させることを特徴とする。
請求項2のテザーに連結された機器の姿勢制御方式は、請求項1記載の発明において、前記外力がなくなると、前記揺動手段によって前記先端部材を前記中間部材に対して揺動自在な状態に解放することを特徴とする。
請求項3のテザーに連結された機器の姿勢制御方式は、請求項1記載の発明において、前記外力がなくなると、前記揺動手段が前記先端部材を前記中間部材に対して揺動させ、前記テザーの張力によって前記中間部材に発生する回転力と同じ大きさかつ逆向きの回転力を前記先端部材に発生させることを特徴とする。
請求項4のテザーに連結された機器の姿勢制御方式は、請求項1記載の発明において、前記中間部材と前記先端部材が、その連結部分において支点軸によって軸着されており、前記揺動手段が、前記先端部材を前記支点軸まわりに回転させることを特徴とする。
請求項5のテザーに連結された機器の姿勢制御方式は、請求項4記載の発明において、前記揺動手段がモータであることを特徴とする。
請求項6のテザーに連結された機器の姿勢制御方式は、請求項4記載の発明において、前記中間部材と前記先端部材が、2自由度を有する回転関節によって連結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、以下のように動作するので、先端部材の姿勢を制御することができる。先端部材に外力が加わると、先端部材が安定状態から姿勢が変化し、先端部材には外力に起因する回転力(以下、外部回転力という)が発生する。すると、揺動手段が、先端部材に外部回転力と同じ大きさかつ逆向きの回転力(以下、内部回転力という)が発生するように先端部材を中間部材に対して揺動させる。このため、先端部材において内部回転力と外部回転力がつりあう、つまり、先端部材に加わる外力と、揺動手段から先端部材に加えられた力が釣り合うので、先端部材は姿勢が変化しない。一方、中間部材には、揺動手段から先端部材に加えられた力の反力が作用するため、中間部材は先端部材に対して揺動する。そして、中間部材が揺動したことによってテザーは引っ張られて、その内部に張力が発生する。つまり、先端部材に外力が加わっても、その外力をテザー内部に引張応力として蓄積することができるから、先端部材の姿勢変化を能動的に防ぎ、先端部材を一定の姿勢に高精度に保つことができる。
請求項2の発明によれば、以下のように動作するので、先端部材に加わる外力がなくなった後の先端部材の姿勢を制御することができる。先端部材に加わる外力がなくなると、揺動手段は先端部材を中間部材に対して揺動自在な状態に解放するので、中間部材に加わる反力もなくなる。すると、テザーを引っ張っていた力がなくなり、その内部に蓄積されていた張力によって中間部材はテザーの軸方向に引っ張られる。このとき、先端部材は中間部材に対して揺動自在な状態となっているため、中間部材に加わるテザーの張力は先端部材には加わらない。このため、中間部材は先端部材との連結部分を支点として揺動するが、先端部材はその姿勢が変化しない。上記のごとく、先端部材を加わる外力無くなったときに、テザーに引張応力として蓄積されていた外力を、中間部材を揺動させることより放出することができる。しかも、外力を放出するときには、先端部材は中間部材に対して揺動自在な状態となっているため、テザーの張力が先端部材に加わることを防ぐことができる。したがって、先端部材の姿勢を自動的かつ連続的に制御でき、先端部材の姿勢が変化することを防ぐことができるので、先端部材を一定の姿勢に高精度に保つことができる。そして、先端部材に加わっていた外力を、先端部材の姿勢を変化させることなく、確実に吸収することができる。
請求項3の発明によれば、以下のように動作するので、先端部材に加わる外力がなくなった後の先端部材の姿勢を制御することができる。先端部材に加わる外力がなくなると、中間部材に加わる反力もなくなる。すると、テザーを引っ張っていた力がなくなり、その内部に蓄積されていた張力によって中間部材はテザーの軸方向に引っ張られる。このとき、中間部材には、テザーの張力に起因する回転力(以下、復帰回転力という)が発生し、中間部材は安定方向に揺動される。一方、先端部材は、中間部材とともに揺動しその姿勢が安定状態から変化するため、揺動手段が、先端部材を中間部材に対して揺動させて、先端部材に復帰回転力と同じ大きさかつ逆向きの回転力(以下、姿勢維持回転力という)を発生させて、先端部材を安定姿勢に復帰させる。すると、中間部材は先端部材に対して、外力が加わっていたときに揺動していた方向と逆向きに揺動する。このとき,先端部材に発生した姿勢維持回転力の反力が中間部材に作用し、中間部材と先端部材のなす角(以下、単に揺動角度という)は、外力が加わっていたときの揺動角度より小さくなる。上記の制御を連続して行うことにより、中間部材も安定状態の姿勢に復帰させることができる。したがって、先端部材を加わる外力が無くなったときに、テザーに引張応力として蓄積されていた外力によって中間部材が揺動されても、揺動手段によって先端部材の姿勢が変動することを防ぐことができる。しかも、中間部材には、復帰回転力と姿勢維持回転力の反力の両方が作用するため、中間部材の揺動を減衰させることができ、中間部材も安定状態に復帰させることができる。よって、先端部材の姿勢を自動的かつ連続的に制御でき、先端部材の姿勢が変化することを防ぐことができるので、先端部材を一定の姿勢に高精度に保つことができる。そして、先端部材に加わっていた外力を、先端部材の姿勢を変化させることなく、確実に吸収することができる。
請求項4の発明によれば、先端部材を支軸まわりに揺動させるだけで、上記の制御を行うことができるので、装置の構成を簡単にすることができる。また、支軸にその回転量を検出するセンサ等を取り付ければ、先端部材の姿勢変化を支軸の回転量として直接検出できるから、制御が容易になる。
請求項5の発明によれば揺動手段がモーターであるから、装置の構成が簡単になるし、その制御も容易になる。
請求項6の発明によれば、2自由度を有する回転関節によって連結されているから、先端部材に対してどの方向から外力が加わっても、確実に姿勢制御を行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明は、テザーの先端に連結された、複数の部材からなる機器の姿勢制御を行う姿勢制御方式である。
【0010】
まず、本発明の姿勢制御方式について説明する前に、本方式が適用される機器(以下、テザー先端機器という)について説明する。
テザー先端機器としては、例えば、(i)衛星捕獲・メンテナンス用ロボット、(ii)宇宙機外観検査用カメラ搭載ロボット、(iii) 衝撃スラスタ(他宇宙機に衝突し他宇宙機の姿勢制御を行う)、(iv)月・惑星着陸機のテザーを用いた姿勢制御、(v)クレーンなどによる荷物の運搬、(vi)水中探査ロボット等が挙げられるが、以下には単純化したモデルとして、テザー先端機器が、中間部材と先端部材の2つの部材から構成された場合を説明する。なお、先端部材の数は2以上でもよく、各先端部材と中間部材とが以下の関係にあれば本方式の採用が可能である。
【0011】
図1はテザー1の先端に取り付けられたテザー先端機器10の挙動を示した概略説明図である。同図において、符号1はテザーを示しており、符号10は、テザー1の先端に連結されたテザー先端機器を示している。
図1に示すように、テザー先端機器10は、一端がテザー1の先端に揺動自在に取り付けられた中間部材11と、この中間部材11の他端に揺動自在に取り付けられた先端部材12を備えている。
また、この先端部材12と中間部材11は、図示しない2自由度を有する回転関節によって連結されている。つまり、先端部材12は、中間部材11とテザー1の先端との連結部分P1と、中間部材11と先端部材12との連結部分、つまり回転関節が設けられた部分P2(以下、単に連結部P2という)とを結ぶ線(以下、軸線L1という)に対して、連結部P2を支点として揺動することができるように連結されているのである。この回転関節の例として、軸線L1に対して直交する2本の支軸を有するものが挙げられるが、特に限定はない。
【0012】
図2(A)は制御部20のブロック図であり、(B)は制御部20の制御装置21において内部回転力を算出する場合に使用される座標系を示した図である。図1および図2に示すように、中間部材11と先端部材12との間には、揺動手段22が設けられている。この揺動手段22は、例えば前記中間部材11に固定されたモータ等のアクチュエータであり、中間部材11に対して連結部P2を支点として先端部材12を揺動させることができるものである。
なお、揺動手段22は、先端部材12に固定してもよい。そして、揺動手段22は、中間部材11と先端部材12を連結部P2を支点として相対的に揺動させることができるものであれば、特に限定はない。
【0013】
図2(A)に示すように、揺動手段22は、その動作を制御する制御装置21に接続されている。また、この制御装置21には、中間部材11に対する先端部材12の揺動量や揺動速度を検出するセンサ23が接続されている。このセンサ23には、回転関節に取り付けられ軸線L1に対する先端部材12の揺動角度や揺動速度を支軸の回転量として検出するエンコーダや、安定状態に対する先端部材12の姿勢変化、例えば任意の座標系に対する先端部材12の絶対角度を検出するジャイロ等があるが、特に限定はない。
【0014】
つぎに、本発明の姿勢制御方式による先端部材12の姿勢制御を行う手順を説明する。
なお、以下では、回転関節が一本の支軸を有する場合、具体的には先端部材12が軸線L1に対して図1の左右方向にのみ揺動可能に連結された場合について説明するが、支軸が2本ある場合には、以下の制御を他の軸についても同様に行ってやればよい。
【0015】
図1(A)に示すように、テザー1、中間部材11および先端部材12が一直線に並んだ状態(以下、安定状態という)から、先端部材12に外力Fが加わると、先端部材12には矢印aで示す方向の回転力(以下、外部回転力という)が発生し、先端部材12が軸線L1に対して揺動する。すると、センサ23によって先端部材12の揺動が検出され、制御装置21に入力される。
【0016】
制御装置21は、センサ23からの入力に基づいて、以下の演算を行う。
まず、z軸が安定状態におけるテザー1の軸方向(図1では上下方向)と一致し、図1の左右方向がy軸と一致する一般座標系Σを設定する(図2(B)参照)。そして、先端部材12に固定された座標系Σを設定し、安定状態において一般座標系Σと座標系Σとが一致するように設定する(図2(B)参照)。なお、一般座標系Σのx軸および座標系Σのxb軸は、いずれも紙面に垂直に設定されるので省略している。
【0017】
すると、先端部材12の揺動、つまり先端部材12の安定状態からの姿勢変動rは、両座標間の回転ベクトル表示により次のように表される。
r=[rΤ
先端部材12は左右方向にのみ揺動可能であるから、先端部材12の姿勢制御を、x軸回りについて簡単なPD制御とすれば、以下の式で表される外部回転力とつりあう回転力τ(以下、内部回転力という)が算出される。
τ=[τx 00]Τ
τx =−kp rx −kd(drx /dt)
【0018】
したがって、制御装置21によって揺動手段22を駆動し、揺動手段22から先端部材12に力を加えて先端部材12を軸線L1に対して揺動させ、先端部材12に上記の内部回転力を発生させれば、揺動手段22から先端部材12に加えられた力と外力がつり合うので、先端部材12を安定状態の姿勢に復帰させることができる。
【0019】
一方、中間部材11には、揺動手段22から先端部材12に加えられた力の反力が作用するため、中間部材11は先端部材12に対して揺動する。そして、中間部材11が揺動したことによってテザー1は引っ張られて、その内部に張力が発生する。つまり、見かけ上は、先端部材12に加わった外力によって、中間部材11が揺動してテザー1が引っ張られた状態となり、先端部材12に加わった外力はテザー1内部に引張応力として蓄積される(図1(B)参照)。
【0020】
つまり、本発明の姿勢制御方法を用いれば、先端部材12に外力が加わっても、その外力をテザー1の内部に引張応力として蓄積することができるから、先端部材12の姿勢変化を能動的に防ぎ、先端部材12を一定の姿勢に高精度に保つことができる。
【0021】
そして、先端部材12に加わる外力がなくなると、以下のように姿勢制御が行われる。
先端部材12に加わる外力がなくなると、中間部材11に加わる反力もなくなるので、テザー1を引っ張っていた力がなくなり、その内部に蓄積されていた張力によって中間部材11がテザー1の軸方向(図1(B)では矢印bの方向)に引っ張られる。
すると、中間部材11には、テザー1の張力に起因する回転力(以下、復帰回転力という)が発生し、中間部材12は安定方向(図1(B)では時計回り)に揺動される。
【0022】
一方、先端部材12は、中間部材11とともに揺動しその姿勢が安定状態から変化するため、揺動手段22が、先端部材12を中間部材11に対して揺動させて、先端部材12に復帰回転力と同じ大きさかつ逆向きの回転力(以下、姿勢維持回転力という)が発生するように先端部材12を中間部材11に対して反時計回りに揺動させる。
なお、姿勢維持回転力は、前記内部回転力と同様に、センサ23からの入力に基づいて制御装置21が算出する。
【0023】
このとき、先端部材12に発生した姿勢維持回転力の反力が中間部材11に作用するから、中間部材11には、姿勢維持回転力の反力と復帰回転力の両方が働き、中間部材11と先端部材12のなす角θ1(以下、単に揺動角度という)が、外力が加わっていたときよりも小さくなる。
【0024】
上記の制御を連続して行うことにより、先端部材12を一定の姿勢に保ったまま、中間部材11も安定状態の姿勢に復帰させることができる。
【0025】
したがって、本発明の姿勢制御方法を用いれば、先端部材12を加わる外力が無くなった後、テザー1に引張応力として蓄積されていた外力によって中間部材11が揺動されても、揺動手段22によって先端部材12の姿勢が変動することを防ぐことができる。しかも、中間部材11には、復帰回転力と姿勢維持回転力の反力の両方が作用するため、中間部材11の揺動を減衰させることができ、中間部材11も安定状態に復帰させることができる。よって、先端部材12の姿勢を自動的かつ連続的に制御でき、先端部材12の姿勢が変化することを防ぐことができるので、先端部材を一定の姿勢に高精度に保つことができる。
そして、先端部材12に加わっていた外力を、先端部材12の姿勢を変化させることなく、確実に吸収することができる。
【0026】
なお、先端部材12に加わる外力がなくなったときに、揺動手段22によって先端部材12を中間部材11に対して揺動自在な状態に解放するようにしてもよい。この場合、中間部材12がテザー1の軸方向に引っ張られても、先端部材12が中間部材11に対して揺動自在な状態となっているから、中間部材11に加わるテザーの張力は先端部材12には加わらない。
このため、図1(B)に示すように、中間部材11は回転関節を支点として揺動するが、先端部材12の姿勢は安定状態に保たれるのである。
しかも、テザー1に引張応力として蓄積されていた外力を、先端部材12の姿勢を変化させることなく、中間部材11を揺動させることより放出することができる。
【0027】
さらになお、本制御方式では、中間部材11とテザー1を連結する位置、および中間部材11と先端部材12を連結する位置は任意に選択できるが、各連結位置の配置を変えることで、安定状態、先端部材12に対して外力が加わっていない状態におけるテザー先端機器10の姿勢を所望の姿勢に変えることができる。
【0028】
さらになお、テザー1の先端に連結したテザー先端機器10によって実際の作業を行う場合には、テザー先端機器10の姿勢だけでなく、その空間における位置等も一定に保持しておかなければならない。
しかし、テザー先端機器10の空間における位置の移動、たとえばテザー1の伸縮によるテザー先端機器10のz軸方向への移動や、テザー1の振り子運動によるテザー先端機器10の揺動等は現在その制御が非常に困難であり、本発明の姿勢制御方式でも制御し、その変動を吸収することができない。
現在、テザー先端機器10の空間における位置等を制御する方式として、テザー長さおよび軌道面内振れ角をフィードバックしてPD制御を行うテザー張力制御(参考文献:P.M.Bainum and V.K.Kumar,”Optimal control of the Shuttle Tethered Subsatellite system,”Acta Astronautica, Vol.7, No.6, pp.1333-1348, 1980.)や、テザー先端機器の移動速度や位置をフィードバックしてテザー基端が支持されたマニピュレータの手先位置やテザー張力を制御する制御方法(参考文献:能見ら”キャスティングによりテザーロボットの宇宙空間移動”日本機械学会論文集(C編)64巻618号(1998.2)pp629-635)が研究されている。これらの手法や他の制御手法が確立されれば、本発明の姿勢制御方法と合わせて用いることによって、テザー1先端に連結したテザー先端機器10の姿勢および空間における位置制御することができ、テザー先端機器10によって実際の作業を行うことができると考えられる。
【0029】
【実施例】
本発明の姿勢制御方式を採用した場合におけるテザー1およびテザー先端機器10の姿勢変動を数値シミュレーションした結果を示す。
図3はシミュレーションモデルの概略説明図である。図3に示すように、本実施例では、平面二次元モデルを用いて計算しており、テザー1は有限要素法により柔軟性を考慮したモデル化を行っている。
【0030】
図4はテザー先端機器10に外力が加わった後におけるテザー1およびテザー先端機器10の時間変動の解析結果であって、姿勢制御を行わない場合における各パラメータの時間変動を示した図である。図5はテザー先端機器10に外力が加わった後におけるテザー1およびテザー先端機器10の時間変動の解析結果であって、本発明の姿勢制御方式を用いた場合における各パラメータの時間変動を示した図である。各図において示す4つのグラフは、上段から順にテザー中間変位w(1/2)、テザー下端横変位w(1)、中間部材11の姿勢角θ、先端部材12の姿勢角θをそれぞれ表している。
なお、姿勢角θとは、XY直交座標系に対する揺動角度を示している。
さらになお、シミュレーションを行った条件は、図3中に記載したとおりである。
【0031】
図4に示すように、姿勢制御を行なわない場合は、全ての値が振動しており、これらにはシステム全体の振り子モード、テザー1のたわみ振動モード、テザー先端機器10の回転運動モードが含まれており、時間が経過してもテザー先端機器の回転運動モードは収束せず、一定の振動を続けている。
一方、図5に示すように、本発明の姿勢制御を行った場合には、テザー1に連結されていない先端部材12の姿勢角θは、振動外乱の入力後短時間で収束して安定状態となることがわかる。つまり、本発明の姿勢制御方式を用いれば、先端部材12の姿勢を安定させることができることが確認される。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、先端部材に加わる外力をテザーに引張応力として蓄積することによって先端部材の姿勢変化を能動的防ぐことができ、先端部材を一定の姿勢に高精度に保つことができる。
請求項2の発明によれば、テザーに引張応力として蓄積されていた外力を、中間部材を揺動させることより放出することができ、テザーの張力が先端部材に加わることを防ぐことができ、先端部材の姿勢を自動的かつ連続的に制御でき、先端部材の姿勢が変化することを防ぐことができ、先端部材を一定の姿勢に高精度に保つことができる。
請求項3の発明によれば、テザーに引張応力として蓄積されていた外力によって中間部材が揺動されても、揺動手段によって先端部材の姿勢が変動することを防ぐことができ、先端部材の姿勢を自動的かつ連続的に制御でき、先端部材の姿勢が変化することを防ぐことができ、先端部材を一定の姿勢に高精度に保つことができる。
請求項4の発明によれば、中間部材を支軸まわりに揺動させるだけで、上記の制御を行うことができるので、装置の構成を簡単にすることができる。また、支軸にその回転量を検出するセンサ等を取り付ければ、先端部材の姿勢変化を支軸の回転量として直接検出できるから、制御が容易になる。
請求項5の発明によれば揺動手段がモーターであるから、装置の構成が簡単になるし、その制御も容易になる。
請求項6の発明によれば、2自由度を有する回転関節によって連結されているから、先端部材に対してどの方向から外力が加わっても、確実に姿勢制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 テザー1の先端に取り付けられたテザー先端機器10の挙動を示した概略説明図である。
【図2】 (A)は制御部20のブロック図であり、(B)は制御部20の制御装置21において内部回転力を算出する場合に使用される座標を示した図である。
【図3】 シミュレーションモデルの概略説明図である。
【図4】 テザー先端機器10に外力が加わった後におけるテザー1およびテザー先端機器10の時間変動の解析結果であって、姿勢制御を行わない場合における各パラメータの時間変動を示した図である。
【図5】 テザー先端機器10に外力が加わった後におけるテザー1およびテザー先端機器10の時間変動の解析結果であって、本発明の姿勢制御方式を用いた場合における各パラメータの時間変動を示した図である。
【符号の説明】
1 テザー
10 テザー先端機器
11 中間部材
12 先端部材
22 揺動手段

Claims (6)

  1. テザーの先端に連結された複数の部材からなる機器において、該機器が、中間部材と先端部材とを有しており、前記中間部材が、前記テザーの先端と前記先端部材とを連結する連結部材となっており、
    前記テザーの先端と前記中間部材、および該中間部材と前記先端部材が、互いに揺動自在に連結されており、
    前記機器が、前記先端部材を前記中間部材に対して相対的に揺動させる揺動手段を備えており、
    前記先端部材に前記中間部材との連結部分を支点として該先端部材を揺動させる方向に外力が加わっている間は、前記外力によって前記先端部材に発生する回転力と同じ大きさかつ逆向きの回転力を前記先端部材に発生させるように、前記揺動手段によって前記先端部材を前記中間部材に対して揺動させる
    ことを特徴とするテザーに連結された機器の姿勢制御方式。
  2. 前記外力がなくなると、前記揺動手段によって前記先端部材を前記中間部材に対して揺動自在な状態に解放する
    ことを特徴とする請求項1記載のテザーに連結された機器の姿勢制御方式。
  3. 前記外力がなくなると、前記揺動手段が前記先端部材を前記中間部材に対して揺動させ、前記テザーの張力によって前記中間部材に発生する回転力と同じ大きさかつ逆向きの回転力を前記先端部材に発生させる
    ことを特徴とする請求項1記載のテザーに連結された機器の姿勢制御方式。
  4. 前記中間部材と前記先端部材が、その連結部分において支軸によって軸着されており、
    前記揺動手段が、前記先端部材を前記支軸を支点として揺動させる
    ことを特徴とする請求項1記載のテザーに連結された機器の姿勢制御方式。
  5. 前記揺動手段がモータである
    ことを特徴とする請求項4記載のテザーに連結された機器の姿勢制御方式。
  6. 前記中間部材と前記先端部材が、2自由度を有する回転関節によって連結されている
    ことを特徴とする請求項4記載のテザーに連結された機器の姿勢制御方式。
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