JP3829069B2 - 橋梁類の塔頂サドル構造および橋梁類の塔頂サドル施工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は橋梁類の塔頂サドル構造および橋梁類の塔頂サドル施工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
吊橋、エクストラローズ橋、斜張橋などの橋梁においては桁などの物体の荷重はケーブルの張力として発生する。この張力を支えるため塔体が立設され、この塔頂にケーブルの張力を塔体に伝達するためにサドルが設けられる。
【0003】
こうしたサドル構造のケーブルとして、従来では一般的にワイヤロープが用いられていた。このようなワイヤロープを使用した塔頂サドルでは金具によってケーブルを支持し、さらに曲げ角度が大きい場合には、適当な曲率を有する金具を用いて曲げや側圧による強度低下を軽減している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ケーブルとしてワイヤロープを使用した場合、ケーブルそれ自体の重量が重く、耐食性や引張り疲労性でも問題がある。この点から、ワイヤロープに代えて高強度繊維複合材でケーブルを構成し、その高強度性、低伸度性の特性と軽量性、高耐食性、高引張り疲労性を活用して寿命の延長、自重の軽減を図らんとする試みがなされている。
【0005】
しかし、高強度繊維複合材ケーブルは、直径方向の局部的なせん断力や表面の傷、微小曲率での曲げ等に弱い特性を有している。このため、ワイヤロープと同じように金具のみでケーブルあるいはケーブル束を支持した場合には、次のような問題が発生する。
▲1▼側圧によりケーブルが径方向への変形やせん断破壊を起し、強度が低下したり破断する。
▲2▼サドル両端の張力差によりケーブルあるいはケーブル束が移動すると、ケーブル表面が金具との接点で損傷し、強度低下を起す。
【0006】
また、高強度繊維複合材ケーブルが高張力を要する橋梁に適用される場合には多くは複数のケーブルあるいはケーブル束により構成されたケーブル体が使用されるが、この場合には前記問題のほかに、ケーブル体の断面形状が大きく変化し、ケーブル体を構成するケーブルおよびケーブル体の長さ、張力管理が困難となる問題や、サドル上でのケーブル体の滑動を止めるために大きな摩擦力が必要になり、この大きな摩擦力を得る手段が未開発である。
【0007】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、直径方向の局部的なせん断力や表面の傷、微小曲率での曲げ等に弱い特性をカバーし、高強度繊維複合材ケーブルの使用による利点を生かした寿命が長く、自重の軽減されたしかもサドル両端の張力差を的確に吸収し得る橋梁類の塔頂サドル構造を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記塔頂サドル構造を比較的容易に形成する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の橋梁類の塔頂サドル構造は、高強度繊維複合材からなるケーブル体と、前記ケーブル体の所要長さごとに取り付けた上下2分割形の複数のクランプ部材と、塔頂サドルの下部コンクリート面上に立設され前記各クランプ部材をはめこんだガイド枠と、前記ガイド枠を囲むように塔頂サドルの下部コンクリート上に配置されたトンネル状覆いと、トンネル状覆い内部に充填され前記クランプ部材とガイド枠およびケーブル体を埋設した定着用膨脹材と、前記トンネル状覆いを埋設するように打設された上部コンクリート層とを有していることを特徴としている。
【0009】
本発明の橋梁類の塔頂サドル施工法は、わん曲状をなした下部コンクリートに所要の間隔でガイド枠を立設する工程と、高強度繊維複合材からなるケーブル体の断面形状に応じた溝を有する上下2分割のクランプ部材を前記ケーブル体の所要長さごとに取り付け、前記クランプ部材をそれぞれ前記ガイド枠にはめこむことにより下部コンクリート上に適度の曲率でケーブル体を配置する工程と、前記ガイド枠およびケーブル体を外囲するように下部コンクリートにトンネル状覆いを配置し、該トンネル状覆いの内部に定着用膨脹材を充填する工程と、ケーブル体への張力導入前に前記トンネル状覆いを埋め込むように下部コンクリートに上部コンクリートを打設する工程とからなっていることを特徴としている。
【0010】
本発明において、「ケーブル体」とは、単一のケーブルまたはケーブル束である場合のほか、複数のケーブルまたはケーブル束で構成されている場合を含んでおり、この場合には前記ガイド枠は対応する個数と配置が選ばれ、クランプ部材はケーブルまたはケーブル束ごとに取り付けられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を添付図面を参照して説明すると、図1ないし図4は本発明による橋梁類の塔頂サドル構造の一例を示している。
図1において、1,1は塔体、2,2は橋台、3は高強度繊維複合材からなるケーブル体であり、前記橋台2,2から塔体1,1の塔頂サドル1a,1aを介して架設されている。4は桁であり、前記ケーブル3に取り付けたバンド6,6を介して連結されたハンガーロープ7,7に吊持されている。
【0012】
図2ないし図4は前記塔頂サドル1a,1aの詳細を示しており、10は下部コンクリートであり、該下部コンクリートの上面100は、図2のように径間方向に所要の曲率でわん曲形成されている。
11,11は前記下部コンクリートの上面100に所定の間隔ごとに設けられた複数のガイド枠であり、各ガイド枠11,11は前記下部コンクリートの曲面状上面100の接線に対して垂直に、しかも、全体として曲面状上面100の曲率に対応する曲率となるように相互に高低を有せしめて立設されている。
【0013】
ケーブル体3は、この例では複数本(図面では4本)の束ケーブル3aを上下に2列、左右に2列配置することにより構成されている。
各束ケーブル3aは、超高分子量ポリエチレン、全芳香族ポリアラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維など強度が20g/d以上、弾性率が500g/d以上の高強度高弾性率繊維を主原料として作られたケーブル30aを複数本たとえば7本平行状に引き揃えあるいは撚り合わせることで構成されている。各ケーブル30aは高強度高弾性率繊維の集合体(ヤーンやフィラメントなど)を複数本たとえば7本撚り合わせたストランド300aからなっている。
【0014】
前記ケーブル体3を構成する各束ケーブル3aには前記ガイド枠11に対応する間隔でクランプ12部材が外嵌している。
各クランプ部材12は上部体12aと下部体12bとからなっており、それらは低摩擦損失材たとえばMCナイロンで代表される硬質合成樹脂によってブロック状ないし盤状に作られている。それら上部体12aと下部体12bは、束ケーブル3aの半断面形状に対応する輪郭の溝120,120を有しており、下部体12bの溝120に束ケーブル3aを嵌め、上部体12aを下部体12bに重ねることにより閉鎖輪郭の孔に束ケーブル3aが挿通された形態となるようにしている。
【0015】
この実施例では束ケーブル3aが4本であるため、クランプ部材12はそれぞれの束ケーブル3aごとに取り付けられており、クランプ部材12は同時にスペーサも兼ねている。上部体12aと下部体12bは必要に応じて分離しないように接着剤などで接合されあるいはボルトナットなど適宜の連結手段で連結される。
【0016】
前記ガイド枠11はクランプ部材12を前後左右に動かないように保持するための手段であり、クランプ部材12の隅角部を含む前後面と左右面に当接ないし接近しうる断面形状を全体として有している。
ガイド枠11は基部が下部コンクリートに埋め込まれるか、あるいは仮想線で示すように基端に設けた座110を下部コンクリートの上面に据え、アンカーボルトなどによって固定される。
【0017】
この実施例においては、ガイド枠11はケーブル体3を構成する4本の束ケーブル3aが上下に2列かつ左右に2列であるため、図3(b)のように、形鋼からなるL状断面の支柱部材11a,11a’を左右および前後に間隔をおいて立設し、中間には形鋼からなる実質的にT状断面の支柱部材11b,11bを配置することにより構成している。T状断面の支柱部材11b,11bはL状断面の形鋼を背中合わせとなるように配置することで構成してもよいし、T状断面の形鋼を使用して得てもよい。
【0018】
前記クランプ部材12を長手方向の所要間隔で取り付けた束ケーブル3aは配置固定されているガイド枠11の上に運ばれ、クランプ部材12が対応するガイド枠11にそれぞれ落し込まれる。これにより、束ケーブル3aは下部コンクリートの上面100から適度の距離をおいてしかも上面100の曲率に対応する曲率を描くように配置されている。
実施例では、2つのクランプ部材12,12は重ね合わされて支柱部材11aと支柱部材11bに嵌め込まれ、残る2つのクランプ部材12,12は支柱部材11a’と支柱部材11bに嵌め込まれている。
【0019】
下部コンクリート上には前記前記ガイド枠11を囲むようにトンネル状覆い13が配置されている。該トンネル状覆い13は、長手方向が下部コンクリートの上面100の曲率に対応する曲率を有し、長手方向と直角の断面はガイド枠11と内面との間に十分な空間が得られるような大きさの割円状をなしている。そして、トンネル状覆い13は下部両端の座部130,130をもって下部コンクリートの上面100に据えられ、アンカーボルトなどによって定着されている。トンネル状覆い13は長手方向両端が下部コンクリートのスパン方向端に達していることが好ましい。
【0020】
前記トンネル状覆い13内には定着用膨脹材14が充填され、これによりガイド枠11、クランプ部材12および束ケーブル3aが埋め込まれている。そして、このように定着用膨脹材14を充填したトンネル状覆い13の外周には、これを埋め込む形で上部コンクリート15が打設されている。
【0021】
定着用膨脹材14は凝固時に膨脹する特性を有する可塑物質であり、代表的なものとしては、数種の膨脹性物質を配合し、粉砕、焼成した膨脹材とセメントとの混合物があげられる。その例としては、セメントー高炉スラグ−ボーキサイト−石膏系、セメント−石灰−石膏系、カルシウムアルミネート−石灰−石膏系などがあげられる。
【0022】
図5(a)(b)は本発明による橋梁類の塔頂サドル構造の第2実施例を示している。
この実施例では、高強度繊維複合材からなるケーブル体3は1本の束ケーブル3aからなっている。束ケーブル3aは前述したように、複数本(図面では7本)のケーブル30aを複数本たとえば7本平行状に引き揃えあるいは撚り合わせることで構成されている。
クランプ部材12は束ケーブル3aの半断面形状に対応する輪郭の溝120,120を有するブロック状ないし盤状の上部体12aと下部体12bとからなっており、下部体12bの溝120に束ケーブル3aを嵌め、上部体12aを下部体12bに重ねることにより閉鎖輪郭の孔に束ケーブル3aが挿通された形態とされる。
前記クランプ部材12は、鋼材からなるL状断面の支柱部材11a,11a’を左右および前後に間隔をおいて立設したガイド枠11に嵌められている。
その他の構成は第1実施例と同様であるから、同じ部分に同じ符号を付し、説明は省略する。
【0023】
図6は高強度繊維複合材からなるケーブル体3が、ケーブル30aからなっている場合を示している。ケーブル30aは高強度高弾性率繊維の集合体(ヤーンやフィラメントなど)を撚り合わせあるいは引き揃えたストランド300aを、複数本たとえば芯に7本、側に12配して撚り合わせあるいは引き揃えているが、これに限られるものではない。
この場合にもクランプ部材12、ガイド枠11など他の構造は第2実施例と同様である。
【0024】
図7と図8は本発明による橋梁類の塔頂サドル構造の施工法の実施例を、前記第1実施例の場合を例にとって示している。
まず、施工に当たっては、図7(a)のように、下部コンクリートの上面100に、該上面に近似する曲率が得られるように高さを設定してガイド枠11を相互に所要の間隔をおいて立設する。
【0025】
ついで図7(b)(c)のように各ガイド枠11にクランプ部材12を取り付け、束ケーブル3aを架設する。この工程は、クランプ部材12にあらかじめ束ケーブル3aを取り付けたアッセンブリの状態で行なってもよいし、ガイド枠11にクランプ部材12を嵌め込みながら、それと併行して束ケーブル3aをクランプ部材12に嵌め込むかたちで行なってもよい。
【0026】
図8(a)はガイド枠11にクランプ部材12の下部体12b,12bを落し込み、それら下部体12b,12bの溝120,120に束ケーブル3aを納め、下部体12b,12bから突出する束ケーブル3aの半断面に溝120,120が容入するように上部体12aを落し込んだ状態を示している。
【0027】
図8(b)は、その後に上段用のクランプ部材12の下部体12b,12bを落し込み、それら下部体12b,12bの溝120,120にケーブルまたはケーブル束3aを納め、下部体12b,12bから突出する束ケーブル3aの半断面に溝120,120が容入するように上部体12aを落し込んだ状態を示している。
【0028】
以上の工程が終わったならば、ケーブル体3を前後方向に動かし、位置調整を行なう。この作業はケーブル体3の長手方向複数箇所がクランプ部材12の溝120,120に保持され、残余は中空状に架設されているため容易である。
次いで、図7(d)のように各ガイド枠11およびケーブル体3を囲むように下部コンクリートの上にトンネル状覆い13を取り付ける。トンネル状覆い13は下部が開口しているので取り付け作業は容易である。
次いで、図7(e)のように、トンネル状覆い13の長手方向両端の開口を口元シール部材131,131によって閉止し、この状態でトンネル状覆い13の一部に設けてある注入部130を通して定着用膨脹材14をトンネル状覆い13に充填する。
【0029】
定着用膨脹材14はたとえば前記したように数種の膨脹性物質を配合し、粉砕、焼成した膨脹材とセメントとの混合物が用いられ、水などの用液と混合されてたとえば水/セメント比20〜30%の液状ないしスラリー状にされ、この状態で注入される。定着用膨脹材14はその流動性によって各ガイド枠11、クランプ部材12の表面を厚く覆い、またケーブルまたはケーブル束3aの表面、ストランドや素線の谷間のすみずみまで覆うる。この状態で養生することにより、定着用膨脹材14は凝固時に膨脹し、それによってトンネル状覆い13内で静水圧的な膨脹圧が発生し、各ガイド枠11、クランプ部材12と束ケーブル3aとが強固に結着される。各ガイド枠11、クランプ部材12は節として機能することになる。
【0030】
以上のように定着用膨脹材14を充填し、養生させたならば、ケーブル体3に張力を導入する前に、トンネル状覆い13の外周に上部コンクリート15を打設する。これで図6(f)のような橋梁類の塔頂サドル構造が完成する。
【0031】
【実施例の作用】
本発明の第1実施例ないし第3実施例においては、低摩擦損失材製のクランプ部材12をケーブル体3の長手方向の複数箇所に取り付けているため、ケーブル体3は施工時に良好な断面形状を保ったまま、下部コンクリートの上面100を滑動することができる。
【0032】
そして、複数のガイド枠11が下部コンクリートの上面100の曲率に対応するように高さを設定しているため、そうしたガイド枠11にクランプ部材12をはめることにより、ケーブル体3を適切な曲率で配置することができ、塔頂での曲げによる損傷を低減することができる。
【0033】
また、ガイド枠11とクランプ部材12を含めてケーブル体3を囲むようにトンネル状覆い13を取り付け、これを型として定着用膨脹材14を充填するので、トンネル状覆い13を上部コンクリート15で埋設した後は、ケーブル体3と定着用膨脹材14との間の摩擦力でサドル両端の張力差を吸収することができる。
【0034】
すなわち、橋梁類の塔頂サドル構造においては、図9のようにケーブル張力の水平方向分力(水平張力)PaとPbが発生する。PaとPbの差が大きいと塔体が左右に傾こうとするため、通常、この水平張力の差がゼロになるように設計する。この水平張力の差がゼロということは、中央径間側と側径間側でケーブルの角度β,αが異なるためサドル両端のケーブルの張力に差があるということになる。サドル両端の張力差とは、このケーブルの張力差を指し、ケーブルを塔頂で滑らそうとする力を意味する。
【0035】
本発明では定着用膨脹材14がケーブル体3を構成する束ケーブル3aや束ケーブル3aを構成するケーブル30aあるいはケーブル30aを構成するストランドなどの谷間を含む表面を覆い、またガイド枠11とクランプ部材12の表面を覆い、クランプ部材12の溝120とケーブル体3とのすき間を埋め、その状態で外周側がトンネル状覆い13と接合される。また、クランプ部材12はガイド枠11にはめこまれることで位置が固定されている。したがって、クランプ部材12とガイド枠11は節として機能する。これらによりケーブルを塔頂で滑らそうとする力に打ち勝つ十分な摩擦力を確保することができる。
【0036】
また、第1実施例においては、複数の束ケーブル3aからなるケーブル体3を使用し、それら複数の束ケーブル3aのそれぞれにクランプ部材12を取り付けてガイド枠11に所要の曲率が得られるように保持させ、この状態でトンネル状覆い13をかぶせてその内部に定着用膨脹材14を充填し、束ケーブル3aの周りを取り囲んでいる。
【0037】
このため、束ケーブル3aに無理のない曲率が与えられるとともに、ケーブル体3の径方向への変形が軽減される。また、束ケーブル3aは長手方向の複数箇所でクランプ部材12によって保持されているため、隣り合う束ケーブル3a,3aとの間にクランプ部材12の大きさに相当する間隔が設定保持される。このため、局部的なせん断力、曲げ、押し付け力などのケーブル強度を低下させる外力が緩和される。それとともに、定着用膨脹材14と束ケーブル3aとの付着面積が広がるため、十分な摩擦力を確保することが可能となる。
なお、図示するものは本発明の数例であり、これに限定されるものではない。たとえば、第1実施例ではケーブル体3は複数の束ケーブル3aで構成されているが、これに代えて、複数のケーブル30aで構成していてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によるときには、高強度繊維複合材からなるケーブル体3と、前記ケーブル体3の所要長さごとに取り付けた上下2分割形の複数のクランプ部材12と、塔頂サドルの下部コンクリート面上に立設され前記各クランプ部材12をはめこんだガイド枠11と、前記ガイド枠11を囲むように塔頂サドルの下部コンクリート上に配置されたトンネル状覆い13と、トンネル状覆い13の内部に充填されクランプ部材12とガイド枠11およびケーブル体3を埋設した定着用膨脹材14と、前記トンネル状覆い13を埋設するように打設された上部コンクリート層15とを有しているので、直径方向の局部的なせん断力や表面の傷、微小曲率での曲げ等に弱い高強度繊維複合材ケーブルの特性をカバーし、高強度繊維複合材ケーブルの使用による利点を生かして寿命が長く、自重の軽減されたしかもサドル両端の張力差を的確に吸収し得る塔頂サドルを提供できるというすぐれた効果が得られる。
【0039】
請求項3によれば、わん曲状をなした下部コンクリート10に所要の間隔でガイド枠11を立設する工程と、高強度繊維複合材からなるケーブル体3の断面形状に応じた溝120を有する上下2分割のクランプ部材12を前記ケーブル体3の所要長さごとに取り付け、前記クランプ部材12をそれぞれ前記ガイド枠11にはめこむことによりサドル上に適度の曲率でケーブル体3を配置する工程と、前記ガイド枠11およびケーブル体3を外囲するように下部コンクリートにトンネル状覆い13を配置し、該トンネル状覆い13の内部に定着用膨脹材14を充填する工程と、ケーブル体3への張力導入前に前記トンネル状覆い13を埋め込むように下部コンクリート10に上部コンクリートを15打設する工程とからなっているので、請求項1の特徴を有する塔頂サドル構造を比較的容易に形成することができるというすぐれた効果が得られる。
【0040】
請求項4によれば、ケーブル体3が複数のケーブルまたは束ケーブル3aから構成されており、それら複数のケーブルまたは束ケーブル3aにそれぞれクランプ部材12が取り付けられるので、クランプ部材12がスペーサとしてとしても機能し、隣り合うケーブルまたは束ケーブル3aとの間に適切な間隔を保持することができ、これにより局部的なせん断力、曲げ、押し付け力などのケーブル強度を低下させる外力が緩和される。それとともに、定着用膨脹材14とケーブルあるいは束ケーブル3aとの付着面積が広がるため、十分な摩擦力を確保することが可能となるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による橋梁類の塔頂サドル構造の適用例を示す概略説明図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す部分拡大断面図である。
【図3】(a)は図2のX−X線に沿う断面図、(b)はその部分的拡大図である。
【図4】図3(b)の部分的平面図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施例を示す断面図、(b)はその平面図である。
【図6】本発明の第3実施例を示す断面図である。
【図7】(a)ないし(f)は本発明による橋梁類の塔頂サドル施工法の一例を段階的に示す説明図である。
【図8】(a)はガイド枠へのクランプ部材の嵌め込み第1段階を示す正面図、(b)は同じくその完了段階を示す正面図である。
【図9】塔頂サドルにおけるケーブルの張力関係を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 塔体
3 ケーブル体
3a 束ケーブル
30a ケーブル
10 下部コンクリート
11 ガイド枠
12 クランプ部材
13 トンネル状覆い
14 定着用膨脹材
15 上部コンクリート層
Claims (4)
- 高強度繊維複合材からなるケーブル体3と、前記ケーブル体の所要長さごとに取り付けた上下2分割形の複数のクランプ部材12と、塔頂サドルの下部コンクリート面上に立設され前記各クランプ部材12をはめこんだガイド枠11と、前記ガイド枠11を囲むように塔頂サドルの下部コンクリート上に配置されたトンネル状覆い13と、トンネル状覆い内部に充填され前記クランプ部材12とガイド枠11およびケーブル体3を埋設した定着用膨脹材14と、前記トンネル状覆い13を埋設するように打設された上部コンクリート層15とを有していることを特徴とする橋梁類の塔頂サドル構造。
- ケーブル体3が複数のケーブルまたはケーブル束から構成されており、隣り合う各ケーブルまたはケーブル束の所要長さごとにそれぞれ上下2分割形の複数のクランプ部材12を取り付けている場合を含む請求項1に記載の橋梁類の塔頂サドル構造。
- わん曲状をなした下部コンクリート10に所要の間隔でガイド枠11を立設する工程と、高強度繊維複合材からなるケーブル体3の断面形状に応じた溝120を有する上下2分割のクランプ部材12を前記ケーブル体3の所要長さごとに取り付け、前記クランプ部材12をそれぞれ前記ガイド枠11にはめこむことにより下部コンクリート上に適度の曲率でケーブル体3を配置する工程と、前記ガイド枠11およびケーブル体3を外囲するように下部コンクリート10にトンネル状覆い13を配置し、該トンネル状覆い13の内部に定着用膨脹材14を充填する工程と、ケーブル体3への張力導入前に前記トンネル状覆い13を埋め込むように下部コンクリートに上部コンクリート15を打設する工程とからなっていることを特徴とする橋梁類の塔頂サドル施工法。
- ケーブル体3が複数のケーブルまたはケーブル束3aから構成されており、隣り合う複数のケーブルまたはケーブル束3aごとにそれぞれクランプ部材12が取り付けられる場合を含む請求項3に記載の橋梁類の塔頂サドル施工法。
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