JP3828527B2 - 電子衝撃加熱装置 - Google Patents

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本発明は、半導体ウエハ等の加熱物を高温に加熱する加熱装置に関し、特に加速した電子を加熱プレートに衝突させて加熱プレートを発熱させる形式の電子衝撃加熱装置に関する。
半導体ウェハ等の処理プロセスにおいて、その半導体ウェハ等の板状部材を加熱するための加熱手段として、加速した電子を加熱プレートの背後に衝突させて加熱プレートを発熱させる形式の電子衝撃加熱装置が使用されている。この電子衝撃加熱装置では、フィラメントに通電することにより発生した熱電子を高電圧で加速し、この熱電子を加熱プレートの背後に衝突させて、加熱プレートを発熱させる。そしてこの加熱プレートの上に載せた板体を加熱する。
図7は、電子衝撃加熱装置の従来例を示すものである。図7では図示して無いが、ステージ部6の上の部分は真空容器の中にあり、加熱プレート2の部分は真空雰囲気におかれる。
ステージ部6の壁には、冷却液通路7が形成され、この冷却液通路7に水等の冷却液を通すことにより、ステージ部6が冷却される。
このステージ部6の上には、シリコンウエハ等の薄形板状の加熱物を載せる平坦な加熱プレート2を有する耐熱性の加熱物支持部材1が設置され、その内部は同加熱物支持部材1により、その外側の空間と気密に仕切られる空間を有する。より具体的には、加熱物支持部材1は、上面側が加熱プレート2により閉じられ、下面側が開口した円筒形状を有している。加熱物支持部材1の下端部は、ステージ部6の上面に当てられて固定されると共に、真空シール材8により気密にシールされている。
このような加熱物支持部材1の材質としては、耐熱性を有するシリコン含浸シリコンカーバイトやアルミナ、窒化珪素等のセラミックが使用される。加熱物支持部材1がこのようなシリコン含浸シリコンカーバイトやセラミックのような絶縁体からなる場合は、その加熱プレート2の内面をメタライズして導体膜を形成し、この導体膜をステージ部6を介して接地する。
ステージ部6には、排気通路4が形成され、この排気通路4に接続された真空ポンプ5により、加熱物支持部材1の内部の空間が排気され、真空にされる。
さらに、この加熱物支持部材1の内部には、フィラメント9が設置されている。フィラメント9は、サポート部材13により支持されて加熱物支持部材1の加熱プレート2の背後に設けられている。このフィラメント9には、フィラメント電極15を介して加熱電源10が接続されている。さらに、このフィラメント9と加熱プレート2との間には、加熱物支持部材1を介して電子加速電源11により加速電圧が印加される。
なお加熱プレート2は接地され、フィラメント9に対して正電位に保持される。他方、リフレクタ3の少なくともフィラメント9と対向した最も上のものは、フィラメント9と同電位にするため、導電線(図7において図示せず)を介して電子加速電源11を接続した側の電極15に接続されている。
このような電子衝撃加熱装置では、フィラメント9と加熱プレート2との間に電子加速電源11により一定の高電圧の加速電圧を印加すると共に、フィラメント加熱電源10によりフィラメント9に通電すると、フィラメント9から熱電子が放出され、この熱電子が前記加速電圧により加速されて加熱プレート2の下面に衝突する。このため、電子衝撃により加熱プレート2が加熱される。
リフレクタ3の少なくともフィラメント9と対向した最も上のものは、フィラメント9と同電位にされているため、電子は飛来せず、従って電子衝撃は受けない。
特開平11−345776号公報 特開平11−354526号公報 特開平11−354527号公報 特開2000−12548号公報 特開2000−12549号公報 特開2000−36370号公報
加熱物支持部材1は、その下端側がステージ部6の冷却液通路7に通す水等の冷却液により、ステージ部6を介して冷却される。他方、加熱物支持部材1の上壁を形成する加熱プレート2は、フィラメント9から放出され、高電圧の電子加速電源11により加速された電子により衝撃され、高温に加熱される。このため、加熱物支持部材1の上壁を形成する加熱プレート2とステージ部6と接する加熱物支持部材1の下端部との間には急勾配の温度勾配が形成される。
このように、繰り返し常温と高温との間で温度を操作し、その度に前述のような温度勾配が形成されると、前記のリフレクタ3を電極15に接続した導電線が繰り返し屈曲され、その屈曲部が疲労して劣化し、早期に破断してしまう。そうすると、リフレクタ3がフィラメント9と同電位に保持されず、リフレクタ3に電子が飛来してその衝撃を受け、リフレクタ3が劣化することになる。リフレクタ3は、本来が加熱プレート2側で発生する熱に対して熱遮断をするのと、電子の飛来を防止するという二つの機能が要求される。しかし、リフレクタ3とフィラメント9側との断線が起こると、リフレクタ3の前記のような機能が失われてしまう。
本発明は、従来の電子衝撃加熱装置におけるこのような課題に鑑み、電子衝撃加熱による加熱を幾度か繰り返しても、リフレクタとフィラメント側とが長期にわたって断線することが無く、同電位に維持され、リフレクタとしての所期の機能を長期にわたって維持することが出来る電子衝撃加熱装置を提供することを目的とする。
本発明では、前記の目的を達成するため、弾性変形可能なバネ状の接続部材18を用いてリフレクタ3をフィラメント9を接続することにより、接続部材18の弾性変形により、加熱、冷却時に発生する接続部分の熱応力を緩和し、その早期の破断を防止するようにしたものである。
すなわち、本発明による電子衝撃加熱装置は、熱電子を発生するフィラメント9と、このフィラメント9で発生した熱電子を加速して加熱プレート2に衝突させる電子加速電源11と、加熱プレート2に対してフィラメント9の背後側に設けられ、加熱プレート2の電子衝撃で発生する熱を反射するリフレクタ3とを有する。そして、フィラメント9とリフレクタ3とを同電位にするため、リフレクタ3をフィラメント9に接続する導体が、温度変化による歪みを吸収するよう弾性変形可能なバネ性を有する接続部材18からなるものである。
例えば弾性変形可能なバネ性を有する接続部材18は、フィラメント9に電源を接続する電極15やフィラメント9を保持するサポート部材13にリフレクタ3を接続し、リフレクタ3をフィラメント9と同電位とする。
このような本発明による電子衝撃加熱装置では、リフレクタ3をフィラメント9と同電位にするため、リフレクタ3をフィラメント9に接続する接続部材18が弾性変形可能なバネ性を有する部材からなるため、加熱、冷却時に発生するリフレクタ3やそれをフィラメント9に接続する接続部材18や電極15等の熱応力が緩和され、それらの早期の破断が防止出来る。従って、リフレクタ3とフィラメント9とが長期にわたって断線することが無く、同電位に維持されることにより、リフレクタ3の電子衝撃による劣化が防止され、リフレクタ3として要求される機能を長期にわたって維持することが出来る。
本発明では、リフレクタ3をフィラメント9に弾性変形可能なバネ状の接続部材18を用いて接続しており、これにより、加熱、冷却時に発生するリフレクタ3とフィラメント9との接続部分の熱応力を緩和し、その早期の破断を防止するものである。
以下、このような本発明の実施例について、図面を参照しながら具体例を挙げて詳細に説明する。
図1は、本発明による電子衝撃加熱装置の一実施例を示すものであり、図7の従来例と同じ部分は同じ符号で示している。図2はその要部拡大図である。
ステージ部6の上の部分は真空容器の中にあり、加熱プレート2の部分は真空雰囲気におかれることは、図7により説明した従来例と同様である。
ステージ部6の壁には、冷却液通路7が形成され、この冷却液通路7に水等の冷却液を通すことにより、ステージ部6が冷却される。
このステージ部6の上には、シリコンウエハ等の薄形板状の加熱物を載せる平坦な加熱プレート2を有する耐熱性の加熱物支持部材1が設置され、その内部は同加熱物支持部材1により、その外側の空間と気密に仕切られる空間を有する。より具体的には、加熱物支持部材1は、上面側が加熱プレート2により閉じられ、下面側が開口した円筒形状を有しており、加熱プレート2の平坦な上面は、シリコンウエハ等の薄形板状の加熱物より広くなっている。加熱物支持部材1の下端部にはフランジが設けられ、このフランジ部分がステージ部6の上面に当てられて固定されると共に、真空シール材8により気密にシールされている。
加熱物支持部材1はその全体または少なくとも加熱プレート2がシリコン含浸シリコンカーバイトやアルミナ、窒化珪素等のセラミックからなる。加熱物支持部材1がセラミックのような絶縁体からなる場合は、その加熱プレート2の内面をメタライズして導体膜を形成し、この導体膜をステージ部6を介して接地する。また、加熱プレート2を形成する材料の中に導体材料を含ませて導電性を持たせることによっても同様の目的を達し得る。
ステージ部6には、排気通路4が形成され、この排気通路4に接続された真空ポンプ5により、加熱物支持部材1の内部の空間が排気され、真空にされる。
さらに、この加熱物支持部材1の内部には、フィラメント9とリフレクタ3が設置されている。
フィラメント9は、加熱物支持部材1の加熱プレート2の背後に設けられ、このフィラメント9には、ステージ部6から起立した柱状の電極15、15を介してフィラメント加熱電源10が接続されている。このフィラメント加熱電源10は、フィラメント9側が高圧、電力調整器17側が低圧になるように絶縁されている。
また、一方の電極15を介してフィラメント9に電子加速電源11の負側の電極が接続されている。他方、加熱プレート2は接地されているが、加熱プレート2には加熱物支持部材1を介して電子加速電源11の正側の電極が接続されている。これにより、フィラメント9と加熱プレート2との間に、フィラメント9側が負になるような直流の加速電圧が印加されると共に、加熱プレート2がフィラメント9に対して正電位に保持される。
リフレクタ3は、加熱物支持部材1の加熱プレート2に対しフィラメント9の背後側に設けられている。このリフレクタ3は、金、銀等の反射率の高い金属、またはモリブデン等の融点の高い金属で形成される。リフレクタ3の加熱物支持部材1の加熱プレート2に対向した面は、鏡面となっており、輻射熱を反射する。
このリフレクタ3はフィラメント9と同電位とされる。このために、フィラメント9に前記電子加速電源11の負側の電極を接続した電極15にリフレクタ3が接続されている。この電極15にリフレクタ3を接続している接続部材18は、図2に示すようにコイルバネ状の弾性部材からなり、弾性変形可能である。このため、電極15とリフレクタ3との相対的な変動に対し、それらの歪みを吸収し、応力の発生を抑える。
リフレクタ3はフィラメント9と同電位とされることにより、リフレクタ3には電子が飛来せず、電子衝撃による加熱は起こらない。このようなリフレクタ3は、多重に配置することができる。リフレクタ3を多重に配置した場合、フィラメント9と対向した最も上のリフレクタ3のみをフィラメント9と同電位とすれば良いが、電子の飛来をより確実にするため、それ以下のリフレクタ3もフィラメント9と同電位とするのがよい。
リフレクタ3の中央部には、円筒状の導体からなるシールド16が起立しており、このシールド16とリフレクタ3とは電気的に導通し、同電位となっている。このシールド16の上端側は加熱物支持部材1の加熱プレート2の下面近くに達し、そのシールド16の上端部から外側にフランジが延設され、このフランジが加熱プレート2の下面と対向している。
前記ステージ部6の中央部から測温素子としてのシース形の熱電対12が垂直に挿入され、この上端側は前記シールド16の中に非接触状態で配置される。この熱電対12の上端は一対の熱電対線を接合した測温点となっており、この接合点が加熱プレート2の下面に接触している。熱電対12は、ステージ部6から真空チャンバの外側に引き出され、その補償導線が零点補償回路を含む温度測定器14に接続される。
このような電子衝撃加熱装置では、フィラメント9と加熱プレート2との間に電子加速電源11により一定の高電圧の加速電圧を印加すると共に、フィラメント加熱電源10によりフィラメント9に通電する。これにより、フィラメント9から熱電子が放出され、この熱電子が前記加速電圧により加速されて加熱プレート2の下面に衝突する。このため、電子衝撃により加熱プレート2が加熱される。このとき、ステージ部6の冷却液通路7に冷却液が通され、加熱物支持部材1が冷却される。
加熱プレート2の温度が、熱電対12により加熱プレート2の温度を測定しながら昇温し、予め定められた温度に加熱プレート2の温度が達すると、フィラメント9に通電するフィラメント加熱電源10の電力が下げられ、加熱プレート2の温度が定められた温度に維持される。そして、予め定められた時間が経過すると、フィラメント9への通電が停止され、加熱プレート2の加熱を停止し、ステージ部6の冷却液通路7に通している冷却液により冷却され、加熱プレート2が降温される。
このようにして、加熱プレート2の加熱時に加熱物支持部材1の下端部は、ステージ部6の壁に設けられた冷却液通路7に通す冷却水により冷却される。このため、加熱物支持部材1の下端部と加熱プレート2との間には大きな温度勾配を生じる。他方、加熱プレート2の加熱前と冷却時は、加熱物支持部材1の下端部と加熱プレート2とは共に常温付近の温度となり、その間に温度勾配は殆ど無い。このように、加熱と降温を繰り返すことにより、加熱物支持部材1の下端部と加熱プレート2との間の温度勾配が繰り返し増減する。
このような温度勾配の変化により、リフレクタ3と電極15とを接続する接続部材18も繰り返し歪みを生じ、応力が生じる。しかし、接続部材18が弾性変形可能なバネ性を有する部材からなるため、リフレクタ3と電極15に発生する歪みが接続部材18の弾性変形により緩和される。これにより、繰り返し加熱と冷却を繰り返しても、早期の破損が起こり難くなる。
図3は、本発明による電子衝撃加熱装置の他の実施例を示すものであり、図1に示した電子衝撃加熱装置の実施例と同じ部分は同じ符号で示している。また、図4は、その要部拡大図である。
図3と図4に示した実施例が前記の実施例と相違しているのは、接続部材18がコイル状ではなく、波形に屈曲した板バネ状の弾性部材からなる点である。それ以外は、図1に示した電子衝撃加熱装置の実施例と全ての部分が共通している。
さらに図5は、本発明による電子衝撃加熱装置の他の実施例を示すものであり、図1に示した電子衝撃加熱装置の実施例と同じ部分は同じ符号で示している。また、図6は、その要部拡大図である。
図5と図6に示した実施例が図1と図2により前述した実施例と相違しているのは、接続部材18が電極15にではなく、フィラメント9を保持するサポート部材13に取り付けられ、リフレクタ3が接続部材18とサポート部材13とを介してフィラメント9に接続されている点である。それ以外は、図1に示した電子衝撃加熱装置の実施例と全ての部分が共通している。この場合、接続部材18をコイルバネ状のものではなく、図3と図4に示したような波形に屈曲した板バネ状の弾性部材に替えることも出来る。
なお、前述の実施例では、何れもフィラメント9の直下で対向する最上段のリフレクタ3のみをフィラメント9に接続し、同電位とした。しかし前述したように、上から2段目以下のリフレクタ3についても、フィラメント9と同電位にすると、リフレクタ3の電子衝撃による劣化を防止出来る点でより好ましい。
本発明による電子衝撃加熱装置の一実施例を示す概略縦断面図である。 電子衝撃加熱装置の同実施例の一部を示す要部側面図である。 本発明による電子衝撃加熱装置の他の実施例を示す概略縦断面図である。 電子衝撃加熱装置の同実施例の一部を示す要部側面図である。 本発明による電子衝撃加熱装置のさらに他の実施例を示す概略縦断面図である。 電子衝撃加熱装置の同実施例の一部を示す要部側面図である。 電子衝撃加熱装置の従来例を示す概略縦断面図である。
符号の説明
2 加熱プレート
3 リフレクタ
9 フィラメント
13 サポート部材
14 温度測定器
15 電極
18 接続部材
19 加速電源

Claims (3)

  1. 熱電子を発生するフィラメント(9)と、このフィラメント(9)で発生した熱電子を加速して加熱プレート(2)に衝突させる熱電子加速電源(11)と、加熱プレート(2)に対してフィラメント(9)の背後側に設けられ、加熱プレート(2)の電子衝撃で発生する熱を反射するリフレクタ(3)とを有する電子衝撃加熱装置であって、フィラメント(9)とリフレクタ(3)とを同電位にするため、リフレクタ(3)をフィラメント(9)に接続する導体が、温度変化による歪みを吸収するよう弾性変形可能なバネ性を有する接続部材(18)からなることを特徴とする電子衝撃加熱装置。
  2. リフレクタ(3)がフィラメント(9)に電源を接続する電極(15)と接続部材(18)とを介してフィラメント(9)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子衝撃加熱装置。
  3. リフレクタ(3)がフィラメント(9)を保持するサポート部材(13)と接続部材(18)とを介してフィラメント(9)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子衝撃加熱装置。
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