JP3828275B2 - 波長変換素子及び波長変換素子の製造方法 - Google Patents

波長変換素子及び波長変換素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光等の光ビームの波長を変換し、例えば、第2次高調波等を得るための波長変換素子及びその製造方法の技術分野に属し、より詳細には、スピネルよりなる基板を有し、KNbO3膜を光導波路として構成されている波長変換素子及びその製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光等を波長変換してより短波長のレーザ光等を得るために、入射したレーザ光等の第2次高調波を出射する波長変換素子がある。
【0003】
そして、当該波長変換素子として一般的に知られているものに、スピネル(より具体的には、例えばMgO・Al23)よりなる基板上にKNbO3膜を光導波路として結晶成長させ、当該成長させたKNbO3膜の表面に薄膜電極と光閉じ込め用の例えばストライプ状のTiO2膜とを形成した構成のものがある。
【0004】
この構成を有する波長変換素子を用いれば、KNbO3膜が、非線形光学定数が大きく且つ光損傷耐性も高いという特性を有することから、高効率で且つ寿命の長い波長変換素子を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の構成を有する従来の波長変換素子においては、光導波路材料としてのKNbO3の格子定数と基板材料としてのスピネルの格子定数との整合が取れない(すなわち、KNbO3の格子定数を自然数倍してもスピネルの格子定数に一致しない)ために、基板上に成長させたKNbO3膜内に内部歪みが生じ、光伝播時に損失が生じるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記各問題点に鑑みて為されたもので、その課題は、基板の格子定数と異なる格子定数を有する光導波膜を有する波長変換素子において、当該導波路膜の内部歪みを低減して波長変換の変換特性が良好な波長変換素子及び当該波長変換素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光が伝播する導波路膜と、前記導波路膜の格子定数と異なる格子定数を有する基板と、前記基板と前記導波路膜との間に形成されていると共に、前記導波路膜の格子定数の値と前記基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜と、を備え、前記導波路膜はK Nb 膜であり、前記基板はスピネル基板であり、前記緩衝膜はK (1−X) Rb Nb 膜である。
【0008】
請求項1に記載の発明の作用によれば、光が伝播する導波路膜としてのK Nb と、 Nb 膜の格子定数と異なる格子定数を有するスピネル基板との間に、 Nb 膜の格子定数の値と基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb が形成されている。
【0009】
よって、間に中間の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb 膜を挟んでスピネル基板上に導波路膜としてのK Nb 膜が形成されているので、当該 Nb 膜の格子定数とスピネル基板の格子定数との間の齟齬が Nb 膜の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該 Nb 膜の結晶性を向上させることができる。
【0011】
また、導波路膜がKNbO膜であり、基板がスピネル基板であり、緩衝膜がK(1−X)RbNbO膜であるので、高効率で波長変換を行うことができる。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明は、請求項に記載の波長変換素子において、前記K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面で4原子%以上6原子%以下であると共に前記KNbO膜に接する面で0%となり、且つ、前記K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面から前記KNbO膜に接する面に向かう方向に漸次減少している。
【0013】
請求項に記載の発明の作用によれば、請求項に記載の発明の作用に加えて、K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面で4原子%以上6原子%以下であると共にKNbO膜に接する面で0%となり、且つ、K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面からKNbO膜に接する面に向かう方向に漸次減少しているので、KNbO膜の結晶性が向上すると共に、KNbO膜とK(1−X)RbNbO膜との間における格子不整合及びK(1−X)RbNbO膜と基板との間における格子不整合が夫々緩和される。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明は、請求項又はに記載の波長変換素子において、前記K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面と前記KNbO膜に接する面との間で連続的に変化している。
【0015】
請求項に記載の発明の作用によれば、請求項又はに記載の発明の作用に加えて、K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面とKNbO膜に接する面との間で連続的に変化しているので、組成がK(1−X)RbNbO膜からKNbO膜に連続的に移行することとなり、基板とKNbO膜との間の格子不整合がより緩和されてKNbO膜における結晶性がより向上する。
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明は、請求項からのいずれか一項に記載の波長変換素子において、前記KNbO膜が、KNbO結晶における(002)面を主面としている。
【0017】
請求項に記載の発明の作用によれば、請求項からのいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、KNbO膜が、KNbO結晶における(002)面を主面としているので、KNbO結晶における大きい非線形光学定数を利用して波長変換することができる。
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明は、請求項からのいずれか一項に記載の波長変換素子において、前記K(1−X)RbNbO膜の厚さが300Å以上500Å以下とされている。
【0019】
請求項に記載の発明の作用によれば、請求項からのいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、K(1−X)RbNbO膜の厚さが300Å以上500Å以下であるので、K(1−X)RbNbO膜の厚さを必要最小限とすることができる。
【0020】
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明は、光が伝播する導波路膜と、前記導波路膜の格子定数と異なる格子定数を有する基板と、前記基板と前記導波路膜との間に形成されていると共に、前記導波路膜の格子定数の値と前記基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜と、を備え、前記導波路膜はKNbO膜であり、前記基板はスピネル基板であり、前記緩衝膜はK(1−X)CsNbO膜である。
【0021】
請求項に記載の発明の作用によれば、光が伝播する導波路膜としてのK Nb 膜と、K Nb 膜の格子定数と異なる格子定数を有するスピネル基板との間に、K Nb 膜の格子定数の値と基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜が形成されている。
よって、間に中間の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜を挟んでスピネル基板上に導波路膜としてのK Nb 膜が形成されているので、当該K Nb 膜の格子定数とスピネル基板の格子定数との間の齟齬がK Nb 膜の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該K Nb 膜の結晶性を向上させることができる。
また、導波路膜がKNbO膜であり、基板がスピネル基板であり、緩衝膜がK(1−X)CsNbO膜であるので、高効率で波長変換を行うことができる。
【0022】
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明は、光が伝播する導波路膜としてのK Nb と、当該 Nb 膜の格子定数と異なる格子定数を有するスピネル基板とを備える波長変換素子の製造方法であって、前記スピネル基板上に、前記導波路膜の格子定数の値と当該スピネル基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb を結晶成長させる第1成長工程と、前記成長された (1−X) Rb Nb 膜の表面に前記 Nb 膜を結晶成長させる第2成長工程と、を備える。
【0023】
請求項に記載の発明の作用によれば、第1成長工程において、スピネル基板上に、導波路膜としてのK Nb の格子定数の値と当該スピネル基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb を結晶成長させる。
【0024】
次に、第2成長工程において、成長された (1−X) Rb Nb 膜の表面に Nb 膜を結晶成長させる。
【0025】
よって、間に中間の格子定数を有する (1−X) Rb Nb 膜を挟んでスピネル基板上に Nb 膜を形成するので、当該 Nb 膜の格子定数とスピネル基板の格子定数との間の齟齬が Nb 膜の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該 Nb 膜の結晶性を向上させた波長変換素子を製造することができる。
【0028】
また、第1成長工程において、基板としてのスピネル基板上に緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb 膜を結晶成長させると共に、第2成長工程において、導波路膜としてK Nb 膜を結晶成長させるので、高効率で波長変換を行うことが可能な波長変換素子を製造することができる。
【0029】
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明は、請求項に記載の製造方法において、前記第1成長工程において、前記K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面で4原子%以上6原子%以下であると共に前記KNbO膜に接する面で0%となり、且つ、前記K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面から前記KNbO膜に接する面に向かう方向に漸次減少するように前記K(1−X)RbNbO膜を結晶成長させる。
【0030】
請求項に記載の発明の作用によれば、請求項に記載の発明の作用に加えて、第1成長工程において、K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面で4原子%以上6原子%以下であると共にKNbO膜に接する面で0%となり、且つ、K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面からKNbO膜に接する面に向かう方向に漸次減少するようにK(1−X)RbNbO膜を結晶成長させる。
【0031】
よって、KNbO3膜の結晶性を向上させることができると共に、KNbO3膜とK(1-X)RbXNbO3膜との間における格子不整合及びK(1-X)RbXNbO3膜と基板との間における格子不整合を夫々緩和することができる。
【0032】
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明は、請求項又はに記載の製造方法において、前記第1成長工程において、前記K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面と前記KNbO膜に接する面との間で連続的に変化するように前記K(1−X)RbNbO膜を結晶成長させる。
【0033】
請求項に記載の発明の作用によれば、請求項又はに記載の発明の作用に加えて、第1成長工程において、K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面とKNbO膜に接する面との間で連続的に変化するようにK(1−X)RbNbO膜を結晶成長させる。
【0034】
よって、組成がK(1-X)RbXNbO3膜からKNbO3膜に連続的に移行することとなり、基板とKNbO3膜との間の格子不整合をより緩和してKNbO3膜における結晶性をより向上させることができる。
【0035】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、請求項からのいずれか一項に記載の製造方法において、前記第2成長工程において、KNbO結晶における(002)面を主面として前記KNbO膜を結晶成長させる。
【0036】
請求項10に記載の発明の作用によれば、請求項からのいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、第2成長工程において、KNbO結晶における(002)面を主面としてKNbO膜を結晶成長させるので、KNbO結晶における大きい非線形光学定数を利用して波長変換可能な波長変換素子を製造できる。
【0037】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、請求項から10のいずれか一項に記載の製造方法において、前記第1成長工程において、前記K(1−X)RbNbO膜の厚さを300Å以上500Å以下とするように当該K(1−X)RbNbO膜を結晶成長させる。
【0038】
請求項11に記載の発明の作用によれば、請求項から10のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、第1成長工程において、K(1−X)RbNbO膜の厚さを300Å以上500Å以下とするように当該K(1−X)RbNbO膜を結晶成長させる。
【0039】
よって、K(1-X)RbXNbO3膜の厚さを必要最小限としてKNbO3膜を結晶成長させることができる。
【0040】
上記の課題を解決するために、請求項12に記載の発明は、光が伝播する導波路膜としてのK Nb 膜と、当該K Nb 膜の格子定数と異なる格子定数を有するスピネル基板とを備える波長変換素子の製造方法であって、前記基板上に、前記導波路膜の格子定数の値と当該基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜を結晶成長させる第1成長工程と、前記成長されたK (1−X) Cs Nb 膜の表面に前記K Nb 膜を結晶成長させる第2成長工程と、を備える。
【0041】
請求項12に記載の発明の作用によれば、第1成長工程において、スピネル基板上に、導波路膜としてのK Nb 膜の格子定数の値と当該スピネル基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜を結晶成長させる。
次に、第2成長工程において、成長されたK (1−X) Cs Nb 膜の表面にK Nb 膜を結晶成長させる。
よって、間に中間の格子定数を有するK (1−X) Cs Nb 膜を挟んでスピネル基板上にK Nb 膜を形成するので、当該K Nb 膜の格子定数とスピネル基板の格子定数との間の齟齬がK Nb 膜の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該K Nb 膜の結晶性を向上させた波長変換素子を製造することができる。
【0042】
また、基板としてのスピネル基板上に緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜を結晶成長させると共に、導波路膜としてK Nb 膜を結晶成長させるので、高効率で波長変換を行うことが可能な波長変換素子を製造することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、入射されるレーザ光を波長変換して第2次高調波を得る、いわゆるチャネル型の波長変換素子であって、スピネル(より具体的にはMgO・Al23)を基板とする波長変換素子に対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0044】
始めに、本発明の波長変換素子において、スピネル基板上に形成され、光学的非線形性を用いて波長変換を行う導波路膜としてのKNbO3膜(以下、単にKN膜と称する。)について、図1を用いて説明する。
【0045】
KN膜は、上述のように光損傷に対する耐性が高い強誘電体であるが、その結晶構造は、二辺の長さが異なる直方体格子の斜方晶系結晶としての構造を有している。そして、その格子定数は、図1に示すようにaが3.9692Å、bが5.6896Å、cが5.7256Åである。
【0046】
また、斜方晶系の分極と非線形感受テンソル及び電界との関係については、下記式1に示される関係となっている。ここで、式(1)においてPは分極成分であり、dは2次非線形光学定数であり、Eは基本波電界成分であり、各添え字のa、b及びcは軸方向を示す。
【0047】
【数1】
Figure 0003828275
従って、当該KN膜をスピネル基板(MgO・Al23基板)上にエピタキシャル成長させ、これを波長変換素子の導波路として利用する場合には、当該KN膜の(002)面すなわち(a−b)面で成長させ、これにより、各非線形光学定数のうち2番目に大きな非線形光学定数d32を利用することとなる。そして、この場合、図1に示すように、a軸方向へ伝播しa−b面内で振動する基本波から、a軸方向へ伝播しa−c面内で振動する第2次高調波が得られる。
【0048】
ここで、KN膜の各非線形光学定数を表1に示す。
【0049】
【表1】
33=−27.4±0.3
32=−18.3±0.3
32=−20.5±0.3(λ=860nm)
31=−15.8±0.3
24=17.1±0.4
16=16.5±0.4
15=16.5±0.4
(単位;pm/V)(基本波波長λ=1.06μm)
次に、実施形態の波長変換素子に用いられている導波路としての上記KN膜及び基板を含む部分の構成について、図2を用いて説明する。
【0050】
実施形態の波長変換素子においては、図2(a)に示すように、基板1上に厚さ500Åの緩衝膜としてのK(1-X)RbXNbO3膜(以下、単にKRN膜と称する)2を挟んで、導波路としての厚さ約9000ÅのKN膜3が形成されている。ここで、当該KRN膜2及びKN膜3は、後述する条件の下、有機金属気相成長法(以下、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法と称する。)により基板1上に夫々結晶成長させられたものである。また、実施形態の基板1は、MgO・Al23(110)よりなる基板を用いている。
【0051】
更に、実施形態のKRN膜2においては、図2(b)に示すように、当該KRN膜2におけるルビジウムRbの混合比Xの値が、当該KRN膜2の基板1に接する面で5原子%であると共にKN膜3に接する面で0原子%となり、且つ、基板1に接する面からKN膜3に接する面に向かう方向に漸次減少して変化するように形成されている。
【0052】
ここで、図3に示すKN膜3の(002)面の格子定数(図3(b)参照)と基板1(MgO・Al23)の(110)面の格子定数(図3(a)参照)とは相互に異なり、例えば図3(c)に示すようにKN膜3の(002)面の結晶11を四つ並べてもその格子定数と基板1の(110)面の結晶10の格子定数とは一致しないわけであるが、上記KRN膜2が基板1とKN膜3との間に介在しており、且つ、そのルビジウムRbの含有率が基板1側の面で5原子%でありそこから漸減してKN膜3側の面で0原子%であることから、基板1とKN膜3との間の格子不整合がKN膜3方向に徐々に緩和されることにより、上記基板1とKN膜3との間の格子定数の齟齬がKN膜3の結晶性に与える影響が緩和され、よって、KN膜3を基板1上に直接成長させた場合に格子定数の差に起因して生じるKN膜3内の内部歪みが極めて小さくなっている。
【0053】
なお、KRN膜2の基板1側の面におけるルビジウムRbの含有率(すなわち、ルビジウムRbの含有率の最大値)については、上述した5原子%の場合を含めて4原子%乃至6原子%の範囲であれば、いずれの場合でも、その上に積層されたKN膜3では(002)面が顕著に多く含まれることとなる。
【0054】
次に、実施形態の波長変換素子を製造するための製造工程について、図4を用いて説明する。なお、図4は、当該波長変換素子が製造される過程を順を追って示す断面図である。
【0055】
図4に示すように、実施形態の波長変換素子を製造する際には、始めに、予め製造されているMgO・Al23(110)面を主面とする基板1(図4(a)参照)上にMOCVD法によりKRN膜3(500Å)とKN膜3(約9000Å)とを夫々気相成長させる(図5(b)参照)。
【0056】
このときの結晶成長条件としては、例えば、KRN膜2については、酸化物CVD装置を用い、温度850℃、圧力5Torr(リアクター圧力)とし、材料ガスとしてジピバロイルメタナトカリウム(K(C11192)。以下、K(DPM)と称する。)、ペンタエトキシニオブ(Nb(OC255)及びペンタエトキシルビジウム(Rb(OC255)を用いる。
【0057】
一方、KN膜3については、同様に、酸化物CVD装置を用い、温度850℃、圧力5Torr(リアクター圧力)とし、材料ガスとしてK(DPM)、ペンタエトキシニオブ(Nb(OC255)を用いる。
【0058】
より具体的に成膜工程を説明すると、MgO・Al23(110)を主面とする基枚1を酸化物CVD装置の反応室に装填し、これを上記設定温度まで昇温し、次に反応室内部を上記設定気圧まで減圧し、出発材料としての上記各材料を酸化物CVD装置の気化器の夫々に装填する。次に、これら出発原料をそれぞれ上記設定温度に保つことにより昇華又は気化させ有機金属化合物ガスとし、これを夫々流量制御されたArキャリアガス及び酸化ガスO2を用いて加熱された基板1が配置された反応室へ層流として導き、基板1上にエピタキシャル層を祈出させる。
【0059】
このとき、KRN膜2の成膜においては、ペンタエトキシルビジウム(Rb(OC255)の流量を当該KRN膜2の成膜当初から漸次減少させ、当該成膜終了時には零として当該KRN膜2におけるルビジウムRbの含有量を基板1側からKN膜3側に向かって連続的に単調減少させる。
【0060】
ここで、出発材料からの各酸化物の生成には酸化反応をともなうため、反応ガスに一定量の酸素を添加してもよい。
【0061】
また、出発材料として、上述したK(DPM)の他に、各金属元素のアルコキシドを用いてもよい。
【0062】
更に、Rb材料としてはK(DPM)と同様のRb(DPM)を用いてもよい。
【0063】
上記KRN膜2及びKN膜3が形成されると、次に、その上に、スパッタ法又は真空蒸着法によりTiO2膜4を形成する(図4(c)参照)。
【0064】
ここで、当該TiO2膜4は、3次元導波路を形成するために空気よりも高屈折率の誘電体膜として形成されるものである。従って、TiO2膜4の膜厚としては、当該TiO2膜4自体がKN膜3よりも高屈折率であるためその膜厚が光導波可能な膜厚となったのではKN膜3内にレーザ光を閉じ込めることができないことから、カットオフ条件を満たすべく、例えば、約800Å(KN膜3をシングルモード導波路とする場合)とされる。
【0065】
なお、レーザ光閉じ込め用としては、上記TiO2膜4の他にSiO2膜を用いることも可能であるが、この場合には、上述の理由からその膜厚は約2乃至3μm必要となる。
【0066】
TiO2膜4が形成されると、次に、フォトリソグラフィー技術を用いて、当該形成されたTiO2膜4をレーザ光が伝播する方向に長い例えば幅4μmのストライプ状にパターニングし、閉じ込め層5を形成する(図4(d)参照)。この時のエッチングには、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法が用いられる。
【0067】
そして、その後、TiO2膜4がエッチングされて除去された領域に、閉じ込め層5と平行に、レーザ光の基本波と第2次高調波との位相整合を取るためのストライプ状の電極6及び7を形成して(図4(e)参照)波長変換素子Sが完成する。なお、電極6及び7の材料としては、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金或いは金又は白金等を用いることができるが、波長変換素子としての動作時に高電界が印加されるため、実際には金又は白金の方が望ましい。
【0068】
更に、上記各工程に加えて、閉じ込め層5の表面の一部に、入射光制御用の回折格子(図5符号8参照)を形成してもよい。
【0069】
なお、ここでは光ビームの閉じ込めをTiO2又はSiO2等の装荷型導波路とした場合について説明したが、この他に、KN膜を上記リアクティブイオンエッチング(RIE)法等で直接ストライプ状に加工してもよい。
【0070】
次に、完成した波長変換素子Sを実際に動作させる場合の構成について、図5を用いて説明する。
【0071】
図5に示すように、波長変換素子Sを動作させる場合には、上述した電極6及び7に対して電源9により電圧を印加して各電極間に電界を発生させ、当該電界によりKN膜3の1次電気光学効果を用いて基本波モードの実行屈折率と第2次高調波モードの実行屈折率との位相整合を取って第2次高調波を発生させる。このとき、基本波は閉じ込め層5の短辺の一端側から入射し、第2次高調波及び基本波が当該短辺の他端側から出射することとなる。
【0072】
【実施例】
次に、具体的な波長変換実験について説明する。
【0073】
上述した製造工程により製造された波長変換素子S(KN層3の膜厚9000Å、KRN層2の膜厚500Å、閉じ込め層5の厚さ800Åで閉じ込め層5の基本波入射側の表面に回折格子8を有している。)を用いて、室温で基本波(λ=860nm)をKN膜3にその断面から導波させることにより、良好な光閉じ込めが達成され、第2次高調波(λ=430nm)が高変換効率で得られた。
【0074】
更に、KN膜3の光損傷耐性の高さに起因して、高い出力まで安定した勤作が得られた。
【0075】
以上説明したように、実施形態の波長変換素子Sによれば、光が伝播するKN膜3と基板1との間にKRN膜2が形成されているので、当該KN膜3の格子定数と基板1の格子定数との間の齟齬がKN膜3の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該KN膜3の結晶性が向上する。
【0076】
よって、高効率で波長変換が可能になる。
【0077】
また、導波路としてKN膜3を用い、基板1としてMgO・Al23基板を用いると共にKRN膜2を間に挟んでいるので、高効率で波長変換を行うことができる。
【0078】
更に、KRN膜2におけるRbの混合比Xの値が、基板1に接する面で5原子%であると共にKN膜3に接する面で0%となり、且つ、基板1に接する面からKN膜3に接する面に向かう方向に漸次減少しているので、KN膜3の結晶性が向上すると共に、KN膜3とKRN膜2との間における格子不整合及びKRN膜2と基板1との間における格子不整合が夫々緩和される。
【0079】
更にまた、KRN膜2におけるRbの混合比Xの値が、基板1に接する面とKN膜3に接する面との間で連続的に変化しているので、組成がKRN膜2からKN膜3に連続的に移行することとなり、基板1とKN膜3との間の格子不整合がより緩和されてKN膜3における結晶性がより向上する。
【0080】
また、KN膜3が、KNbO3結晶における(002)面を主面としているので、KNbO3結晶における大きい非線形光学定数を利用して波長変換することができる。
【0081】
更に、KRN膜2の厚さが500Åであるので、KRN膜2の厚さを必要最小限とすることができる。
【0082】
なお、上述の実施形態では、KN膜3と基板1との間にKRN膜2を挟む構成としたが、これ以外に、KRN膜3に代えてK(1-X)CsXNbO3膜を用い、当該K( 1-X)CsXNbO3膜におけるセシウムCsの含有率Xを基板1側の面からKN膜3側の面まで漸次減少させる構成とすることもできる。
【0083】
この場合には、ルビジウムRbよりもイオン半径の大きいセシウムCsを用いるので、より効果的に基板1とKN膜3との間における格子不整合を緩和することができる。
【0084】
更に、KN膜3と基板1との間にKRN膜2を挟む構成以外に、KN膜3に代えて、LiNbO3膜又はTaNbO3膜を導波路として用いてもよい。この場合には、上記KRN膜2に代えて、緩衝膜としてLiRbNbO3膜又はLiCsNbO3膜(LiNbO3膜を導波路として用いた場合)或いはTaRbNbO3膜又はTaCsNbO3膜(TaNbO3膜を導波路として用いた場合)を用いることとなる。
【0085】
また、KRN膜2の膜厚については、上述の実施形態では500Åとしたが、これ以外に、KRN膜2及びKN膜3の結晶性を向上させることができる膜厚であれば、KRN膜2はなるべく薄くすることが望ましく、この意味で、当該KRN膜2の膜厚は300Å以上500Å以下であることが望ましい。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、光が伝播する導波路膜としてのK Nb と、 Nb 膜の格子定数と異なる格子定数を有するスピネル基板との間に、 Nb 膜の格子定数の値と基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb が形成されているので、間に中間の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb 膜を挟んでスピネル基板上に導波路膜としてのK Nb 膜が形成されていることとなり、当該 Nb 膜の格子定数とスピネル基板の格子定数との間の齟齬が Nb 膜の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該 Nb 膜の結晶性を向上させることができる。
【0087】
従って、高効率で波長変換することができる。
【0088】
また、導波路膜がKNbO膜であり、基板がスピネル基板であり、緩衝膜がK(1−X)RbNbO膜であるので、より高効率で波長変換を行うことができる。
【0089】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の効果に加えて、K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面で4原子%以上6原子%以下であると共にKNbO膜に接する面で0%となり、且つ、K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面からKNbO膜に接する面に向かう方向に漸次減少しているので、KNbO膜の結晶性が向上すると共に、KNbO膜とK(1−X)RbNbO膜との間における格子不整合及びK(1−X)RbNbO膜と基板との間における格子不整合が夫々緩和される。
【0090】
請求項に記載の発明によれば、請求項又はに記載の発明の効果に加えて、K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面とKNbO膜に接する面との間で連続的に変化しているので、組成がK(1−X)RbNbO膜からKNbO膜に連続的に移行することとなり、基板とKNbO膜との間の格子不整合がより緩和されてKNbO膜における結晶性がより向上する。
【0091】
請求項に記載の発明によれば、請求項からのいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、KNbO膜が、KNbO結晶における(002)面を主面としているので、KNbO結晶における大きい非線形光学定数を利用して波長変換することができる。
【0092】
請求項に記載の発明によれば、請求項からのいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、K(1−X)RbNbO膜の厚さが300Å以上500Å以下であるので、K(1−X)RbNbO膜の厚さを必要最小限とすることができる。
【0093】
請求項に記載の発明によれば、光が伝播する導波路膜としてのK Nb 膜と、K Nb 膜の格子定数と異なる格子定数を有するスピネル基板との間に、K Nb 膜の格子定数の値と基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜が形成されているので、間に中間の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜を挟んでスピネル基板上に導波路膜としてのK Nb 膜が形成されていることとなり、当該K Nb 膜の格子定数とスピネル基板の格子定数との間の齟齬がK Nb 膜の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該K Nb 膜の結晶性を向上させることができる。
また、導波路膜がKNbO膜であり、基板がスピネル基板であり、緩衝膜がK(1−X)CsNbO膜であるので、高効率で波長変換を行うことができる。
【0094】
請求項に記載の発明によれば、スピネル基板上に、導波路膜としてのK Nb の格子定数の値と当該スピネル基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb を結晶成長させ、次に、成長された (1−X) Rb Nb 膜の表面に Nb 膜を結晶成長させるので、間に中間の格子定数を有する (1−X) Rb Nb 膜を挟んでスピネル基板上に Nb 膜を形成することとなり、当該 Nb 膜の格子定数とスピネル基板の格子定数との間の齟齬が Nb 膜の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該 Nb 膜の結晶性を向上させた波長変換素子を製造することができる。
【0095】
従って、高効率で波長変換することが可能な波長変換素子を製造することができる。
【0096】
また、基板としてのスピネル基板上に緩衝膜としてのK(1−X)RbNbO膜を結晶成長させると共に、導波路膜としてKNbO膜を結晶成長させるので、より高効率で波長変換を行うことが可能な波長変換素子を製造することができる。
【0097】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の効果に加えて、K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面で4原子%以上6原子%以下であると共にKNbO膜に接する面で0%となり、且つ、K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面からKNbO膜に接する面に向かう方向に漸次減少するようにK(1−X)RbNbO膜を結晶成長させるので、KNbO膜の結晶性を向上させることができると共に、KNbO膜とK(1−X)RbNbO膜との間における格子不整合及びK(1−X)RbNbO膜と基板との間における格子不整合を夫々緩和することができる。
【0098】
請求項に記載の発明によれば、請求項又はに記載の発明の効果に加えて、K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の基板に接する面とKNbO膜に接する面との間で連続的に変化するようにK(1−X)RbNbO膜を結晶成長させるので、組成がK(1−X)RbNbO膜からKNbO膜に連続的に移行することとなり、基板とKNbO膜との間の格子不整合をより緩和してKNbO膜における結晶性をより向上させることができる。
【0099】
請求項10に記載の発明によれば、請求項からのいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、KNbO結晶における(002)面を主面としてKNbO膜を結晶成長させるので、KNbO結晶における大きい非線形光学定数を利用して波長変換可能な波長変換素子を製造できる。
【0100】
請求項11に記載の発明によれば、請求項から10のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、K(1−X)RbNbO膜の厚さを300Å以上500Å以下とするように当該K(1−X)RbNbO膜を結晶成長させるので、K(1−X)RbNbO膜の厚さを必要最小限としてKNbO膜を結晶成長させることができる。
【0101】
請求項12に記載の発明によれば、スピネル基板上に、導波路膜としてのK Nb 膜の格子定数の値と当該スピネル基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜を結晶成長させ、次に、成長されたK (1−X) Cs Nb 膜の表面にK Nb 膜を結晶成長させるので、間に中間の格子定数を有するK (1−X) Cs Nb 膜を挟んでスピネル基板上にK Nb 膜を形成することとなり、当該K Nb 膜の格子定数とスピネル基板の格子定数との間の齟齬がK Nb 膜の結晶性に与える悪影響を緩和でき、当該K Nb 膜の結晶性を向上させた波長変換素子を製造することができる。
また、基板としてのスピネル基板上に緩衝膜としてのK(1−X)CsNbO膜を結晶成長させると共に、第2成長工程において、導波路膜としてKNbO膜を結晶成長させるので、高効率で波長変換を行うことが可能な波長変換素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】KN膜における結晶構造と光ビームの入射方向との関係を示す図である。
【図2】KN膜とKRN膜の構成を示す図であり、(a)は基板を含んだ構造を示す断面図であり、(b)はKRN膜におけるルビジウムの含有率の厚さに対する変化を示す図である。
【図3】KN膜とスピネル基板の結晶構造を示す図であり、(a)はMgO・Al23(110)面の単位結晶の大きさを示す図であり、(b)はKNbO3(002)面の単位結晶の大きさを示す図であり、(c)はMgO・Al23(110)面の単位結晶とKNbO3(002)面の単位結晶の格子不整合を示す図である。
【図4】波長変換素子の製造工程を示す図であり、(a)は基板を示す断面図であり、(b)は基板上に積層されたKN膜及びKRN膜を示す断面図であり、(c)はKN膜上に製膜されたTiO2膜を示す断面図であり、(d)は閉じ込め層を形成した後の波長変換素子を示す断面図であり、(e)は電極を形成した後の波長変換素子を示す断面図である。
【図5】波長変換素子における波長変換動作を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…基板
2…KRN膜
3…KN膜
4…TiO2
5…閉じ込め層
6、7…電極
8…回折格子
9…電源
10、11…結晶
S…波長変換素子

Claims (12)

  1. 光が伝播する導波路膜と、
    前記導波路膜の格子定数と異なる格子定数を有する基板と、
    前記基板と前記導波路膜との間に形成されていると共に、前記導波路膜の格子定数の値と前記基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜と、
    を備え
    前記導波路膜はK Nb 膜であり、
    前記基板はスピネル基板であり、
    前記緩衝膜はK (1−X) Rb Nb 膜であることを特徴とする波長変換素子。
  2. 請求項に記載の波長変換素子において、
    前記K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面で4原子%以上6原子%以下であると共に前記KNbO膜に接する面で0%となり、且つ、前記K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面から前記KNbO膜に接する面に向かう方向に漸次減少していることを特徴とする波長変換素子。
  3. 請求項又はに記載の波長変換素子において、
    前記K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面と前記KNbO膜に接する面との間で連続的に変化していることを特徴とする波長変換素子。
  4. 請求項からのいずれか一項に記載の波長変換素子において、
    前記KNbO膜が、KNbO結晶における(002)面を主面としていることを特徴とする波長変換素子。
  5. 請求項からのいずれか一項に記載の波長変換素子において、
    前記K(1−X)RbNbO膜の厚さが300Å以上500Å以下であることを特徴とする波長変換素子。
  6. 光が伝播する導波路膜と、
    前記導波路膜の格子定数と異なる格子定数を有する基板と、
    前記基板と前記導波路膜との間に形成されていると共に、前記導波路膜の格子定数の値と前記基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜と、
    を備え、
    前記導波路膜はKNbO膜であり、
    前記基板はスピネル基板であり、
    前記緩衝膜はK(1−X)CsNbO膜であることを特徴とする波長変換素子。
  7. 光が伝播する導波路膜としてのK Nb と、当該 Nb 膜の格子定数と異なる格子定数を有するスピネル基板とを備える波長変換素子の製造方法であって、
    前記スピネル基板上に、前記導波路膜の格子定数の値と当該スピネル基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Rb Nb を結晶成長させる第1成長工程と、
    前記成長された (1−X) Rb Nb 膜の表面に前記 Nb 膜を結晶成長させる第2成長工程と、
    を備えることを特徴とする前記波長変換素子の製造方法。
  8. 請求項に記載の製造方法において、
    前記第1成長工程において、前記K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面で4原子%以上6原子%以下であると共に前記KNbO膜に接する面で0%となり、且つ、前記K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面から前記KNbO膜に接する面に向かう方向に漸次減少するように前記K(1−X)RbNbO膜を結晶成長させることを特徴とする製造方法。
  9. 請求項又はに記載の製造方法において、
    前記第1成長工程において、前記K(1−X)RbNbO膜におけるRbの混合比Xの値が、当該K(1−X)RbNbO膜の前記基板に接する面と前記KNbO膜に接する面との間で連続的に変化するように前記K(1−X)RbNbO膜を結晶成長させることを特徴とする製造方法。
  10. 請求項からのいずれか一項に記載の製造方法において、
    前記第2成長工程において、KNbO結晶における(002)面を主面として前記KNbO膜を結晶成長させることを特徴とする製造方法。
  11. 請求項から10のいずれか一項に記載の製造方法において、
    前記第1成長工程において、前記K(1−X)RbNbO膜の厚さを300Å以上500Å以下とするように当該K(1−X)RbNbO膜を結晶成長させることを特徴とする製造方法。
  12. 光が伝播する導波路膜としてのK Nb 膜と、当該K Nb 膜の格子定数と異なる格子定数を有するスピネル基板とを備える波長変換素子の製造方法であって、
    前記スピネル基板上に、前記導波路膜の格子定数の値と当該スピネル基板の格子定数の値との間の値の格子定数を有する緩衝膜としてのK (1−X) Cs Nb 膜を結晶成長させる第1成長工程と、
    前記成長されたK (1−X) Cs Nb 膜の表面に前記K Nb 膜を結晶成長させる第2成長工程と、
    を備えることを特徴とする前記波長変換素子の製造方法。
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