JP3827348B2 - 補修材、補修材の固定構造および管路の補修方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道本管、水道本管から分岐した管、下水管及び/または容易に出入りできない他の形式の導管の内面補修材の改良に関するものである。特に、本発明は、1カ所で、例えば一端部出入りできるものを含む管の内面補修材の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
硬化可能な樹脂を含浸済みで、パイプ内へ裏返してから、樹脂を硬化させることによって硬化させることができる基材を含む補修材を(例えば管の漏れを塞ぐために)管の内側表面に設けることは公知である。これまで知られている提案の欠点は、補修しようとする管を2つの離れた場所で出入りできるようにしなければならないことである。管への第2の出入り口はただ補修材を管の破損部分へ導入するためだけに設けられなければならないので、これは多くの問題を発生し、補修コストを増大させる。そのような提案に用いられる樹脂含浸済み基材は、ソフトライナーとして知られている。ソフトライナーは、適当な樹脂を含浸させた繊維材からなる可撓性管であって、その管をウィンチによるか、裏返しによって破損管内へ導入することができる。挿入した管をそれから(紫外線照射、周囲温度または高温流体との熱交換によって)加熱して樹脂を硬化させ、硬化した補修材の外側が管の内側表面にぴったり沿うようにする。上記の方法は、内側から内張りしようとする管が1カ所で、例えば一端部しか出入りできない多くの場合には用いることができない。これには、各家庭、アパート及び多くの他の施設へ水道水を送ったり、それから排水を引き出す水道本管及び下水管のほとんどの分岐管に当てはまる。さらに、これは閉じた端部を備えたすべての形式の管、配管、本管及び他の導管にわたっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、到達し難い管、特に地下に埋め込まれていたり、家庭や他の建物の壁内に隠ぺいされている管の内側表面を被覆するために使用できる新規な改良補修材を提供することである。
【0004】
本発明の別の目的は、簡単で時間を節約できる方法で到達し難い管内へ導入できる補修材を提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、閉じた端部を有する管の内側表面を被覆できるようにする補修材を提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、上記補修材を操作する新規な改良方法を提供することである。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、新規な改良方法で管内へ挿入できる補修材を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、樹脂の硬化中に基材に損傷が生じる可能性を減少させ、基材を管内へ導入しやすくするための部品から基材をうまく分離できるようにする新規な改良形保護フィルムを補修材に設けることである。
【0009】
本発明の他の目的は、裏返すという簡単な方法で到達し難い管内へ導入できる補修材を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、流体搬送管(例えば水道本管、水道本管から分岐した管、下水管等)の内側表面用の被膜または補修材を具現することである。改良形補修材は、内側被膜または補修材を必要とする管内へ挿入可能な先端部を備えた樹脂含侵済みの硬化可能な裏返し形管状基材と、(基材の裏返し前に)基材の外側表面を包囲している不浸透性の可撓性裏返し形管状フィルムと、(基材の裏返し前に)前記フィルムを包囲してそれに対して移動可能な裏返し形の不浸透性の管反転補助部材としてのサイジング材とを有している。サイジング材は、基材の基端部よりも延出している基端部と、基材の先端部位置の先端部とを備え、管の一端部からだけで補修材を反転挿入して補修が行える補修材であるので、補修材の先端部には、補修材を管内に引き込むための引き込み用帯体は仮止めされていない。
【0011】
改良形補修材はさらに、サイジング材を前記フィルムから分離させる手段(例えばケーブル、コード、ロープ等)を有している。分離手段は、サイジング材の基端部に連結された可撓性部材を有している。
【0012】
サイジング材はポリエステルを含有することもできる。例えば、サイジング材を被覆ポリエスエル繊維で構成することができる。
【0013】
補修材には、管内へ裏返した後の基材の硬化を促進する手段を設けることができる。そのような促進手段は、サイジング材の基端部においてその内部へ加熱気体または液体を搬入するホースまたは他の適当な手段を有することができる。
【0014】
基材及びサイジング材は、一部がサイジング材だけによって囲まれたプレナム室を形成することができる。
【0015】
本発明の特徴とみなされる新規な特徴は、特に添付の請求項に記載されてる。しかし、改良形補修材自体は、その構造及びそれの使用形態の両方について、そのさらなる特徴及び利点と共に、添付の図面を参照した現時点で好適な実施例の以下の説明を読めば、理解されるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
図3は、繊維素材からなる樹脂含浸済みの管状の基材2と、基材2を包囲しているゴムまたはプラスチック材製の不浸透性の管状フィルム3と、不浸透性プラスチックまたは他の適当なプラスチック材製でフィルム3を包囲している管状のサイジング材または不浸透性の可撓性サイジング管4とを有する可撓性補修材または被膜1を示している。基材2の外側表面は、フィルム3の内側表面に付着しているが、フィルム3の外側表面はサイジング材4の内側表面に対して移動可能である。サイジング材4の基端部5は密封閉鎖されて、基材2及びフィルム3の基端部からさらに一定長さ延出している。基材2、フィルム3及びサイジング材4の先端部6で裏返されて(すなわち裏表になって)いるため、フィルム3の先端部が基材2の先端部によって包囲され、サイジング材4の先端部を包囲している。フィルム3は気体及び液体に対して不浸透性である。
【0017】
補修材1は、図4に示されているようにして管またはライン10の一端部10a内へ導入することができる。クランプ装置9を用いて、補修材1の3部材2、3、4の裏返された先端部を一緒に保持し、また基材2の裏返された先端部が端部10a内へ入らないようにしている。クランプ装置9は、補修材1の主要部分を収容している管状裏返し工具8の隣接側の出口端部7から間隔をおいてそれを包囲している。サイジング材4及び工具8によって、工具の内部表面で取り囲まれた細長いプレナム室11が形成されている。オペレータが加圧気体または液体を室11内へ導入することを決定すると、サイジング材の外向きに曲がった先端部がピストンのように作用し、すなわちパイプ10内へ貫入し、また同時に基材部及びフィルム3を裏返すため、基材2の従来の内側表面が外側表面になって、管10の内側表面の外形にぴったり沿う。同時に、フィルムの従来の内側表面が外側表面になって、基材2の内側(従来の外側)表面の外形にぴったり沿う。
【0018】
サイジング材4も裏返されて、フィルム3によって包囲される(図1及び2を参照)。
【0019】
それから、裏返された基材2を硬化させる、すなわち基材の繊維素材に含浸しいている樹脂を硬化させる。これによって基材2は、管10の内側表面にぴったり沿って管10内を搬送される流動性媒体が逃げないようにする自立性の内側補修材になる。そのような密封作用は、硬化基材2の不浸透性及び/または裏返された基材の内側表面に付着したフィルムの不浸透性によるものである。フィルム3は、サイジング材4が基材2に直接的に接触しないようにする、すなわち基材に含浸している樹脂がフィルム及びサイジング材4間の相互可動性に悪影響を与えることがないようにしている。このことは、基材2の硬化後同様に硬化前にも当てはまる。
【0020】
図5及び図6は、本管110に連結されてそれから鋭角で延出している分岐管内へ改良形補修材1を布設できることを示している。図5に示されているように、裏返されたサイジング材4の従来の基端部5が先端部になり、基材2及びフィルム3の従来の基端部が先端部になって、分岐管18から本管110内へ延出している。裏返されたサイジング材4は、分岐管18の開放端部の方へ上向きに引っ張られる(これは、可撓性部材14を、従って部材4の最初に基部であった端部5を矢印Aの方向へ引っ張ることによって行われる)間に、再び裏返される。それから、補修材材除去工具13(すなわちグラインダ)を本管110内へ導入して(図6を参照)、本管110と分岐管18との接続部を通過前進させることによって、硬化した基材2及びフィルム3の余分な部分12を取り除く。引き抜かれた(2度裏返された)サイジング材4は再利用できる状態になっている。
【0021】
図1は、直立ダクト16から分岐して、端部17が閉じている管10の内部に完全に布設された補修材を示している。サイジング材4は細長い可撓性部材14(例えばケーブル、コード、ワイヤ、ロープ等)によって裏返されたフィルム3から引き出される準備ができており、管状の加熱部材15がサイジング材4を内側から加熱する高温または加熱気体または液体を搬送する。部材4及びフィルム3を通して基材2を加熱するため、基材2の繊維素材に含浸している樹脂が硬化して、基材2が、分岐管10の内側表面の外形にぴったり沿った拡張状態に保持される。
【0022】
可撓性部材14は、加熱部材15と共に、サイジング材4の密封閉鎖端部5に取り付けられている。裏返し基材2及びフィルム3の右端部の空間は、ダクト16内の裏返し工具8の隣接端部7によって密封されている。これによって、加熱流体が一度裏返されたサイジング材4の内部から逃げないようにすることができる。加熱部材15は、可撓性部材14及びサイジング材4と一緒に裏返しフィルム3の内部から引き出されるので、これらの部材は別の場所で再利用できる。
【0023】
図2は、管10の閉鎖端部までの全体に渡って補修材を延在させる必要がない、すなわち補修材を管10の内側表面の中間部分に布設することができることを示している。図2に示されている補修材及び部材14、15の構造は、図1のものと同一にすることができる。
【0024】
ここで使用している「樹脂」という表現は、液状または流動可能な状態で基材に含浸させることができ、また常温か高温(及び/または通常圧力か、大気圧以上)で硬化して、埋設されている配管、下水管または上記の状況下の他の場所で必要な硬さを基材2に与えることができる、すべての硬化性物質を包含するものとする。基材2の裏返し前に基材2に含浸させる樹脂の条件は、樹脂が例えば図4を参照しながら説明した方法での裏返しに悪影響を与えないことである。
【0025】
サイジング材4は、繰り返し裏返してもほとんど、またはまったく伸長しない非常に薄い、または極薄プラスチック材製であるのが好ましい。このサイジング材は、フィルム3の隣接表面に付着させる必要がないので、(可撓性部材14及び加熱部材15と共に)再利用することができる。サイジング材4の素材は、フィラメントまたは他の適当な手段で補強して、長手方向の引き伸ばしを最小限に抑えるか、まったく引き伸ばされないようにして裏返し及び再裏返しをおこなうことができるようにしてもよい。例えば、部材4を少なくとも部分的にポリエステル製、例えば適当に被覆されたポリエステルフィラメント製にすることができる。
【0026】
内部空間すなわち室11は、図4に示されているように部材4を裏表に反転させるために液状(例えば水)を収容することができる。あるいは、室11は、サイジング材4を裏返し、それによって基材2及び管状フィルム3を裏返すために可変または一定速度で導入される圧縮気体または液体(例えば空気)を収容することもできる。
【0027】
図1及び2に示されているように、サイジング材4は管10内で基材2及びフィルム3からさらに先へ進ませることができる。このため、図1では、部材4が管10の密封閉鎖端部17まで延在しているが、裏返し基材2は端部17の手前で終了している。図2でも、部材4が裏返し基材2及び裏返しフィルム3からさらに左側に延在している。現時点では、少なくとも3バールの範囲の内圧に耐えることができるようにサイジング材4の特性を選択するのが好ましい。部材4がそれの伸長を阻止できる素材(例えばポリエステル)製であるのが好ましいのは、部材4が基材2で包囲されていない(図1及び2の管10の最左方部分等の)領域で破裂応力に耐えることができなければならないからである。
【0028】
【発明の効果】
改良形補修材の重要な利点は、その単純さである。さらに、この補修材は、到達し難い管、配管及び他の導管内へ導入することができる。さらに、補修材の部材4、14、15は何度でも再利用可能である。基材2及びフィルム3の特徴は、実際に意のままに選択でき、裏返されて拡張して硬化した基材は、改良形補修材を布設する管または他の導管の内側表面の外側にぴったり沿うことができる。
【0029】
さらなる分析を行わなくても、以上の説明から、現在の知識を応用することによって、従来技術の観点から当該分野に貢献する包括的及び特定の特質の本質的な特徴をまさに構成している特性を失うことなく本発明を様々な用例に適用できる本発明の利点が明らかになるであろう。従って、そのような用例は、請求項の範囲内にあると見なされるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】閉鎖端部と、本発明の1例の補修材によって被覆された内側表面とを備えた分岐管の中心縦断面図であり、位置合わせ部材が裏返し基材内のフィルムの内部からコードで引き出されようとしており、位置合わせ部材内へ延在している導管によって供給される流体によって基材内の樹脂材が加熱されている。
【図2】図1に示されている形式の補修材を備えた管の同様な断面図である。
【図3】 裏返されていない補修材の破断中心長手方向断面図である。
【図4】裏返しと同時に管の一端部内へ導入されていく初期段階にある、図3に示された形式の補修材の一部分を示している。
【図5】本管と、本管に接続されてそれに連通している分岐管の断面図であり、補修材が完全に挿入された状態にあり、その基材が分岐管の内側表面に接触しているところを示している。
【図6】図5の構造と、余分な基材を取り除くために本管内へ挿入された工具とを示している。
Claims (6)
- 管の一端部からだけで補修材を反転挿入して補修が行える管状の内側表面用の補修材であって、
硬化性の樹脂が含浸され、管状基材基端部及び管状基材先端部の両方で開放された可撓性の管状基材と、
該管状基材の外側に付着された可撓性かつ不浸透牲の外側被覆層又は外側フィルムと、
該外側被覆層又は外側フィルムの外周に配置された可撓性かつ不浸透性の管状部材であって流体圧の付与により自身が反転されることにより前記管状基材及び前記外側被覆層又はフィルムを反転させる管反転補助部材と、を含んで構成され、
前記管反転補助部材は、開放された管反転部材先端部及び閉じ、封鎖された封鎖基端部を有し、該封鎖基端部は前記管状基材基端部よりも所定の長さだけ延出されていることを特徴とする補修材(ただし、該補修材を管路内に引き込むための引き込み用帯体が仮止めされた補修材を除く。)。 - 前記補修材は、さらに、前記管反転補助部材を前記管状基材から引き抜く引き抜き手段を有していることを特徴とする請求項1記載の補修材。
- 前記管反転補助部材はポリエステルを含有していることを特徴とする請求項1記載の補修材。
- 前記管反転補助部材は被覆ポリエステル繊維を含有していることを特徴とする請求項3記載の補修材。
- 請求項 1 〜4のいずれか 1 項に記載の補修材と、該補修材を反転するための管状の管反転ツールと、前記補修材先端部と管反転ツールの先端部とを固定する固定部材とを含んで構成され、前記管反転ツール先端部の外表面には前記補修材先端部が内側から外側に向けて反転・裏返されて最内層となった管反転補助部材先端部の外表面が配置されて前記固定部材により前記補修材先端部が前記管反転ツール先端部に固定されていることを特徴とする補修材の固定構造。
- 請求項5記載の補修材の固定構造を用いた管路の補修方法であって、
前記管反転補助部材内に加圧流体を搬入させることにより前記管反転補助部材が少なくとも管状基材基端部から現れるまで反転させ、該管反転補助部材が現れた時点でそれ以上の反転を停止させ、前記管内へ前記補修材を貫入させるとともに前記補修材を前記管の内側表面に沿わせる反転貫入工程、前記貫入された補修材の硬化性の樹脂を硬化させる硬化工程、及び前記管反転補助部材を引き抜く引き抜き工程、を含む管路の補修方法。
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