JP3827106B2 - プレス成形性および衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プレス成形性および衝撃特性に優れた熱延鋼板の製造方法に関するものであって、具体的には、引張強さが590N/mm以上、引張強さ(TS)×全伸び(EL)が20000N/mm・%以上で、かつ2mmV切欠きシャルピー衝撃値が25J以上を有する高強度熱延鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車産業では、安全性の追求・向上に加え、燃費向上対策の一環として車体の軽量化が求められており、特に足廻り部位などにおいては、鋼板の薄肉化に伴いさらなる高強度化が要求されている。しかし、高強度化するほど延性は低下しプレス等による成形加工の面が困難となる。
【0003】
さらに、最近の自動車業界においては、安全性の向上もかなり重要な課題として取り上げられている。なかでも、車内の安全性を確保する上で衝突時に鋼材がどれだけの吸収エネルギーを有するのかは重要であり、自動車部品を構成する高強度熱延鋼にも衝撃特性の改善が要求されてきている。
【0004】
これまでに、高延性を有する高強度鋼板として、フェライトとマルテンサイトもしくはフェライトとベイナイトの混合組織を呈する2相鋼板が製造されており、なかでもフェライトとマルテンサイトの混合組織を呈する2相鋼板の機械的性質は降伏比(降伏強度/引張強度)が低く、同等の延性を有する鋼板のなかでも高い強度レベルを有している。しかし、引張強度が780N/mm2 以上の鋼板においては延性の低下が著しいため充分な強度−延性バランスは得られ難いのが現状である。
【0005】
引張強さ(TS)×全伸び(EL)で示される強度−延性バランスを向上する方法としては、鋼板の金属組織をフェライト、ベイナイトおよび残留オーステナイト、もしくは一部マルテンサイトを含む混合組織とした高強度複合組織鋼板が提唱されている。この鋼板は、金属組織中に残存している残留オーステナイトを成形加工時にマルテンサイト変態させて高強度高延性を得る、いわゆる「変態誘起塑性」を利用したものである。残留オーステナイトの量が鋼板の機械的特性を左右するため、同一強度においても延性、特に均一伸びが向上する。
【0006】
こうした中、特開H4−32512号公報には、「変態誘起塑性」を利用した高強度複合組織鋼板の製造方法として、重量%で、0.08〜0.40%のC,0.8〜2.5%のSi,MnとCrの1種以上を合計で0.8〜4.0%,0.001〜0.050%のsol.Al,0.008〜0.025%のNから成る鋼組成の鋼板をAc3 点以上で、かつオーステナイト平均粒径が50μm以下となるように再加熱した後、最終パスの圧下率40%以上、仕上温度Ar3 〜Ar3 +50℃で熱間圧延を終了し、60℃/秒以下の冷却速度にて550〜700℃まで冷却する第一段冷却後、0〜30秒間を0〜5℃/秒の冷却速度で冷却する第二段冷却を施し、さらに30℃/秒以上の冷却速度で300〜450℃まで冷却する第三段冷却後巻取り、体積率でポリゴナルフェライト60%以上と残留オーステナイト10%超の複合組織とする加工用高強度複合組織熱延鋼板が開示されている。熱間圧延加熱温度、加熱時間、加熱速度の制御、あるいはNb,Tiの添加により加熱時のオーステナイト平均粒径を50μm未満と微細化することで、その後の冷却課程においてフェライト生成を促進して、未変態オーステナイトへのCの濃縮を、さらには低Al高N鋼とすることでオーステナイトを安定化させ、充分な残留オーステナイトを得ようとする特徴を持っている。
【0007】
また、特開H4−228538号公報には、所定成分に調整された鋼スラブを熱間圧延し巻取った鋼帯を水中浸漬やミスト噴霧により30℃/時以上の冷却速度で200℃以下まで冷却して体積率が約1〜4%の残留オーステナイトを得ることが開示されている。巻取温度がより低温になれば、マルテンサイトが生成して機械的性質の阻害要因となること、更には過度のベイナイト変態を抑制する目的で巻取後の後処理が施されている。
【0008】
以上のように、引張強さ(TS)×全伸び(EL)の強度−延性バランスを20000N/mm2 ・%以上となる高強度高延性の鋼板を得るためには、熱間圧延後、再度熱処理を施し残留オーステナイトを生成させるか、または熱間圧延終了後にミスト噴霧冷却等の後処理を施すか、もしくはオーステナイト安定化元素としてC、Nを多量に添加することで残留オーステナイトの体積率を10%以上確保していた。また、鋼板の衝撃特性の改善に関しては明らかにされていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、プレス成形性および衝撃吸収特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。具体的には、引張強さが590N/mm以上、引張強さ(TS)×全伸び(EL)が20000N/mm・%以上、−40〜20℃における2mmV切欠きシャルピー衝撃値が25J以上である高強度熱延鋼板の製造方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明、すなわち、重量%で、C:0.10〜0.20%、Si:1.0〜1.4%、Mn:1.8〜2.2%、Cu:0.35%以下、Ni:0.35%以下、Sol.Al:0.005〜0.040%、N:0.0020〜0.0040%、残部がFeおよび不可避的な不純物からなる成分を有する鋼スラブを熱間圧延する際に、熱間圧延機の出側の仕上温度をAr 点−20℃〜Ar 点+50℃、帯状の鋼をコイル状に巻取る際の巻取温度を350〜500℃の範囲とし、かつ仕上温度からフェライト生成開始温度以下、ベイナイト生成開始温度以上の温度までを50〜100℃/秒で冷却した後、50℃/秒以下で3〜15秒間冷却し、その後巻取温度まで50〜100℃/秒で冷却することにより、金属組織がポリゴナルフェライト、下部ベイナイト、体積率で5〜10%の残留オーステナイトの3相からなることを特徴とするプレス成形性および衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法により達成できる。
【0011】
請求項2の発明は、上記鋼スラグの成分に、さらにMo、W、V、Coの内1種もしくは2種以上の元素を合計で2%以下有している請求項1に記載のプレス成形性および衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法である。
【0012】
請求項3の発明は、上記鋼スラグの成分に、さらにCr、Nb、Tiの内1種もしくは2種以上の元素を合計で1%以下有する請求項1または請求項2に記載のプレス成形性および衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、鋼成分、金属組織および熱延等の製造条件と鋼板の引張特性および衝撃特性を詳細に検討してきた。その結果、プレス成形性および衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板が得られることがわかった。
以下、本発明を特定するための事項について説明する。
【0015】
C:0.10〜0.20%
本発明において極めて重要な元素であり、熱間圧延後の冷却過程で残留オーステナイトを含有させるには必要不可欠である。その作用としては、未変態オーステナイト中にCを濃縮させることでオーステナイトを安定化させ、鋼板中に充分な残留オーステナイトを効果的に確保することができる。Cの含有量が0.10%未満では、強度が不足するとともにオーステナイト中へのCの濃縮が不充分となり、結果的に残留オーステナイトが充分満足されずに、高延性を得ることが難しい。また、Cの含有量が0.20%を超えると、残留オーステナイトの生成に関しては問題はないが、加工性および溶接性が著しく劣化するため、問題が生じる。またCの添加により、遷移温度は上昇し、Vノッチシャルピー衝撃試験における切欠き脆性を劣化することも問題の一つである。このためCの含有量は、0.10〜0.20%とする。
【0016】
Si:1.0〜1.4%
本発明において重要な元素であり、その作用としては、フェライトの生成を促進させ、さらにCの未変態オーステナイトでの濃縮を促進させる効果を有する。またSiの添加は、固溶強化元素であるため、強度を確保する上で重要な役割を持ち、機械的性質、特に均一伸びを向上する効果も有する。Siの含有量が1.0%未満においては、この作用は充分発揮されず、結果的に残留オーステナイトが充分に得られない。含有量が1.4%を超えると、前記の作用・効果は飽和状態となること、衝撃値を減少させ遷移温度も上昇させる傾向となる。
【0017】
Mn:1.8〜2.2%
オーステナイト形成元素であり、未変態オーステナイトが延性を阻害するパーライトに変態することの抑制に大きく関与している。この効果は含有量が1.8%未満では十分でなく、また、2.2%を超えると、満足するフェライトを生成することが困難となり、延性の劣化を招く。Mnのフェライトへの固溶限は約3%であるので、大部分はフェライト中に固溶してフェライトのへき開破壊応力を上昇させ、切欠き脆性に対して有効となる。すなわち、衝撃試験による遷移温度を低下させるとともに衝撃値の劣化を抑制する。
【0018】
Cu:0.35%以下
熱延中に生成する酸化スケールと鋼板表面の境界に濃化してスケール剥離性を向上させる。しかし、0.35%を超えると衝撃値が低下する傾向にあること、溶融金属脆化により鋼板表面に微細なクラックが発生しやすくなる。
Ni:0.35%以下
Cuの添加による溶融金属脆化を抑制するためにCuとほぼ同量の添加を必要とするが、Cuが0.20%以下の場合は添加する必要はない。また、Mnの作用と同様に衝撃試験による遷移温度を低下させるとともに衝撃値の劣化を抑制する。
【0019】
Sol.Al:0.005〜0.040%
脱酸を目的として添加されるが、Siと同様にフェライトの生成を促進させ、さらにはCの未変態オーステナイトでの濃縮を促進させる。よって、Siと併用し添加することが望ましいが、0.040%を超えると介在物が増加するため局部伸びを低下させる要因となること、衝撃値を低下させ遷移温度が上昇する傾向にある。
【0020】
N:0.0020〜0.0040%
Cと同様に侵入型固溶元素であり、オーステナイトを安定させ、未変態オーステナイト中のCの濃化を助長させる。さらには、Nの増加に伴い遷移温度の上昇が認められるが、AlN等の処理を確実に行わない場合は、阻害要因にもなり得るため多量添加は適さない。また、Nの添加により、Ms点(マルテンサイト生成温度)を下げ、残留オーステナイトを増加させる効果を有している。しかし、0.0040%以上では加工性や靭性の低下を招く。
【0021】
Mo,W,V,Co:1種または2種以上を合計で2%以下
いずれの元素も衝撃値の遷移温度を低下させる作用を有するので、合計で2%以下で添加することが望ましい。これ以上添加してもそれに見合った作用は得られずコストが高くなる。
Cr,Nb,Ti:1種または2種以上を合計で1%以下
いずれの元素もオーステナイトを安定化させ残留オーステナイト量を確保するため 有効な元素であり、さらに強度の確保や細粒化を目的として1種または2種以上の元素を合計で1%以下添加することが望ましい。これ以上添加してもそれに見合った作用は得られずコストが高くなる。
【0022】
金属組織:ポリゴナルフェライト、下部ベイナイト、残留オーステナイトの3相組織
フェライト中に含有する固溶Cを充分排出した軟質なポリゴナルフェライト、硬質な下部ベイナイト、および残留オーステナイトの混合組織とすることで延性、特に均一伸びを向上させ、かつ降伏比(降伏強度/引張強度)を低下させる。
【0023】
残留オーステナイト量:5〜10%
残留オーステナイトの「変態誘起塑性」効果により高強度高延性を得るもので、残留オーステナイトの体積率が5%未満では充分な延性が得られない。また、残留オーステナイトの体積率が10%を超えると未変態オーステナイト中のC濃化が不足し、オーステナイトが不安定となるため残留オーステナイト量が鋼板内で変動する。
【0024】
次に本発明にかかる熱延鋼板の製造条件について説明する。上記の組成を有する鋼スラブを連続鋳造後ただちに、あるいは再加熱後に熱間圧延を施す。熱間圧延開始までの条件については特に制限するものではないが、仕上温度がAr3 点―20℃〜Ar3 点+50℃と比較的低温であることから、低温加熱と組み合わせることが望ましい。
【0025】
仕上温度: Ar3 点−20℃〜Ar3 点+50℃
Ar3 点−20℃未満では、熱間圧延中に生成した鋼板表層部のフェライ トが加工フェライトとして出現し鋼板の加工性を劣化させる。Ar3 点+50℃を超えると金属組織が粗大化して延性や靱性を劣化させる。また、仕上温度が高すぎると巻取温度の制御が困難となり材質が得られなくなる。
【0026】
巻取温度:350〜500℃
延性阻害要因となるパーライトの生成を防止しつつ、また過度のベイナイト変態の助長を抑制すること、更には残留オーステナイト量を確保するために、捲取温度の上限は500℃とする。また捲取温度が350℃未満ではマルテンサイトが生成するため、延性ならびに成形性を阻害する要因となる。
【0027】
仕上温度〜フェライト生成開始温度までの冷却速度:50〜100℃/秒
Ar点−20℃〜Ar点+50℃で熱間圧延を終了した帯状の鋼を50〜100℃/秒の冷却速度で、フェライト生成開始温度以下、ベイナイト生成開始温度以上の温度まで冷却する。冷却速度が50℃/秒未満では、延性を阻害するパーライトの生成が助長され、未変態オーステナイト中のCの濃化が損なわれる。また、冷却速度が増加すると、組織の細粒化が促進されるが、100℃/秒を超える冷却速度では飽和する。
【0028】
フェライト生成開始温度以下、ベイナイト生成開始温度以上の温度から50℃/秒以下で3〜15秒間冷却
フェライト生成開始温度以下、ベイナイト生成開始温度以上の温度に冷却された鋼板を50℃/秒以下の冷却速度で3〜15秒間冷却する。これにより、微細に生成されたフェライトをポリゴナルフェライトに成長させる。同時にフェライト中に固溶しているCを排出させて未変態オーステナイトへCを凝縮させる。50℃/秒を超える冷却速度では、フェライト中の固溶Cの排出が充分ではなく、アシキュラーフェライトの成長を助長させる。この第2段の徐冷時間が短いと、前記ポリゴナルフェライトの成長が抑制され、Cが濃化したアシキュラーフェライトが生成し易くなる。また、この時間が長ければ、延性を低下させるパーライトもしくは炭化物の多い上部ベイナイトの生成を助長させる。よって、第2段の徐冷時間は、設備制約上も考慮して6〜14秒とすることが望ましい。
【0029】
巻取温度までの冷却速度:50〜100℃/秒
第2段の徐冷を終了した鋼板を50〜100℃/秒の冷却速度で冷却し、350〜500℃の範囲内で巻取りを行う。50℃/秒未満の速度では本発明を満足する下部ベイナイトを得ることはできず、炭化物の多い上部ベイナイトが生成したり、延性を著しく阻害するパーライトが生成するのでこれを下限とする。また、100℃/秒を超える冷却速度では、得られる残留オーステナイトが少なく、材質も安定しないためこれを上限とする。冷却を終了する巻取り温度は、350℃未満においては炭化物を含んだマルテンサイトの生成が増加し、高延性を得るための残留オーステナイトの体積率が減少する。また、500℃を超えるとパーライトの生成が増加するので延性が損なわれる。
【0030】
【実施例】
表1に示す組成を有する鋼種No.1〜9を溶製した後、表2に示す熱延条件および冷却条件にて板厚2.9mmの熱延鋼板を製造した。鋼種No.8〜9については、表2に示すように仕上温度から巻取取温度までの冷却速度を一定にした単純な冷却条件とした。その他の鋼種No.1〜7については、仕上温度から巻取温度までを本発明に従って三段階の冷却速度に設定した。表3には、得られた熱延鋼板の金属組織の主相と主相以外の組織の同定結果、X線による残留オーステナイト体積率(VγR)の測定結果および機械的性質の測定結果を示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003827106
【0032】
【表2】
Figure 0003827106
【0033】
【表3】
Figure 0003827106
【0034】
表3より、比較例による熱延鋼板の金属組織は、主相がアシキュラーフェライトであるのに対し、本発明例の熱延鋼板の金属組織は、主相が軟質なポリゴナルフェライトであった。このような組織の構成の違いにより、本発明例の鋼板においては張り出し成形性の指標となる降伏比(YR)が、60〜80%と比較例より低くなっておりプレス等による成形性には有効な特性を有していることがわかる。
【0035】
さらに、本発明例では、主相以外に4.5〜8.1%の残留オーステナイトを有しているため、引張強さ(TS)×全伸び(EL)で表される強度―延性バランスは20000N/mm2 ・%以上が得られており、加工性に優れた高強度熱延鋼板であることがわかる。
【0036】
表4には、−40〜20℃の温度範囲内における2mmV切欠きシャルピー衝撃試験の結果を示す。材料の変形能を評価する方法としては、静的試験として引張試験等は既知の通りであるが、衝突時に大きな応力波が伝播する場合では歪速度の影響を受けるので静的試験では意味をなさないため、歪速度の大きい動的試験であるV切欠きシャルピー衝撃試験を実施して評価した。試験片はJIS Z2202の4号サブ・サイズ試験片を用いた。試験片は、衝撃方向が熱間圧延方向と直角になる方向の位置で採取して、厚みを2.0±0.05mm、V型切欠深さを2mm、切欠角度を45±2度、切欠先端半径を0.25±0.025mmに調整した。
本発明例では、試験温度が−40℃においても衝撃値が25J以上であり、歪速度の大きい衝撃が加わった際にも室温から−40℃までの範囲において優れた衝撃特性を有していることがわかる。
【0037】
【表4】
Figure 0003827106
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明の製造方法により得られる高強度熱延鋼板は、鋼成分の調整と熱間圧延条件の制御により金属組織がポリゴナルフェライト、5〜10%の残留オーステナイト、下部ベイナイトの混合組織となり高強度熱延鋼板のプレス成形性と衝撃特性を改善することを可能とした。したがって、本発明により製造される高強度熱延鋼板は、部品形状が複雑な自動車部材等の各種機械部品の素材として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 重量%で、C:0.10〜0.20%、Si:1.0〜1.4%、Mn:1.8〜2.2%、Cu:0.35%以下、Ni:0.35%以下、Sol.Al:0.005〜0.040%、N:0.0020〜0.0040%、残部がFeおよび不可避的な不純物からなる成分を有する鋼スラブを熱間圧延する際に、熱間圧延機の出側の仕上温度をAr点−20℃〜Ar点+50℃、帯状の鋼をコイル状に巻取る際の巻取温度を350〜500℃の範囲とし、かつ仕上温度からフェライト生成開始温度以下、ベイナイト生成開始温度以上の温度までを50〜100℃/秒で冷却した後、50℃/秒以下で3〜15秒間冷却し、その後巻取温度まで50〜100℃/秒で冷却することにより、金属組織がポリゴナルフェライト、下部ベイナイト、体積率で5〜10%の残留オーステナイトの3相からなることを特徴とするプレス成形性および衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼スラブの成分が、さらにMo、W、V、Coの内1種もしくは2種以上の元素を合計で2%以下有する請求項1記載のプレス成形性および衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼スラブの成分が、さらにCr、Nb、Tiの内1種もしくは2種以上の元素を合計で1%以下有する請求項1または請求項2に記載のプレス成形性および衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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