JP3826808B2 - Demodulator and receiver - Google Patents
Demodulator and receiverInfo
- Publication number
- JP3826808B2 JP3826808B2 JP2002035699A JP2002035699A JP3826808B2 JP 3826808 B2 JP3826808 B2 JP 3826808B2 JP 2002035699 A JP2002035699 A JP 2002035699A JP 2002035699 A JP2002035699 A JP 2002035699A JP 3826808 B2 JP3826808 B2 JP 3826808B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phase
- signal
- loop circuit
- output
- correlation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Position Fixing By Use Of Radio Waves (AREA)
- Synchronisation In Digital Transmission Systems (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトラム拡散信号を復調する復調装置、及びこの復調装置を適用した受信装置であっていわゆるGNSS(Global Navigation Satellites System)における衛星からの信号を受信して自己の位置及び速度を算出する受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人工衛星を利用して地上における移動体の位置を測定するGNSSシステムが普及しつつある。このGNSSシステムとしては、例えば全地球測位システム(Global Positioning System;以下、GPSという。)がある。このGPSシステムにおいて、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信機は、少なくとも4個以上のGPS衛星からの信号を受信して、その受信信号に基づいて当該GPS受信機の位置を算出し、ユーザに報知することが基本機能である。
【0003】
すなわち、GPS受信機は、各GPS衛星からの信号を復調して各GPS衛星の軌道情報を取得し、各GPS衛星の軌道及び時間情報と受信信号の遅延時間とに基づいて、当該GPS受信機の3次元位置を連立方程式によって導出するものである。なお、GPSシステムにおいて、受信信号を得るGPS衛星が少なくとも4個必要となるのは、GPS受信機が備える時計による内部時間とGPS衛星が備える原子時計による時間との間に誤差があり、その誤差の影響を除去した3次元位置と正確な時刻との4つの未知パラメータを算出するためには、少なくとも4個のGPS衛星からの擬似距離が必要となることによる。
【0004】
GPSシステムにおいては、民生用のGPS受信機を用いる場合には、GPS衛星(Navstar)からのL1帯、C/A(Clear and Acquisition)コードと呼ばれるスペクトラム拡散信号電波を受信して、測位演算を行う。
【0005】
このL1帯、C/Aコードと呼ばれる送信信号は、送信信号速度、すなわち、チップレートが1.023MHzであり、例えばいわゆるGold符号等の符号長が1023の擬似ランダムノイズ(Pseudo-random Noise;PN)系列の拡散符号で、50bpsのデータを直接拡散した信号により、周波数が1575.42MHzの搬送波(以下、キャリアという。)に対して2相位相変調方式(Binary Phase Shift Keying;以下、BPSK変調方式)に基づく変調を施した信号である。この場合、符号長が1023であることから、C/Aコードは、図19中1段目に示すように、拡散符号が1023チップを1周期として、すなわち、1周期=1ミリ秒(msec)として、繰り返すものとなる。
【0006】
このC/Aコードの拡散符号は、GPS衛星毎に異なっているが、どのGPS衛星が、どの拡散符号を用いるかは、予めGPS受信機によって検知できるようになされている。また、GPS受信機は、後述する航法メッセージにより、どのGPS衛星からの信号をその地点及びその時点で受信することができるかが把握できるようになされている。そのため、GPS受信機は、例えば3次元測位であれば、その地点及びその時点で取得することができる少なくとも4個以上のGPS衛星からの電波を受信してスペクトラム逆拡散を施し、測位演算を行うことにより、自己の位置を算出する。
【0007】
また、GPS衛星からの信号データの1ビットは、同図中2段目に示すように、拡散符号の20周期分、すなわち、20ミリ秒単位として伝送される。すなわち、データの伝送速度は、上述したように、50bpsである。さらに、拡散符号の1周期分の1023チップは、ビットが"1"であるときと"0"であるときとでは、反転したものとなる。
【0008】
さらに、GPS衛星からの信号は、同図中3段目に示すように、30ビット、すなわち、600ミリ秒で1ワードを形成する。さらにまた、GPS衛星からの信号は、同図中4段目に示すように、10ワード、すなわち、6秒で1サブフレームを形成する。そして、GPS衛星からの信号には、同図中5段目に示すように、1サブフレームの先頭のワードに、データが更新されたときであっても常に規定のビットパターンとされるプリアンブルが挿入され、このプリアンブルに後続してデータが伝送されてくる。
【0009】
さらにまた、GPS衛星からの信号は、5サブフレーム、すなわち、30秒で1フレームを形成する。そして、GPS衛星からの信号においては、上述した航法メッセージが、この1フレームのデータ単位で伝送されてくる。
【0010】
この1フレームのデータのうちの始めの3個のサブフレームは、エフェメリス(Ephemeris)情報と呼ばれるGPS衛星固有の情報である。このエフェメリス情報には、GPS衛星の軌道を求めるためのパラメータと、GPS衛星からの信号の送出時刻とが含まれる。
【0011】
全てのGPS衛星は、原子時計を備えることによって共通の時刻情報を用いており、エフェメリス情報に含まれるGPS衛星からの信号の送出時刻は、原子時計の1秒単位とされている。また、GPS衛星の拡散符号は、原子時計に同期したものとして生成される。
【0012】
エフェメリス情報に含まれる軌道情報は、数時間毎に更新されるが、その更新が行われるまでは同一の情報となる。そのため、GPS受信機は、エフェメリス情報に含まれる軌道情報をメモリに保持しておくことにより、数時間は同じ軌道情報を精度よく使用することができる。なお、GPS衛星からの信号の送出時刻は、1秒毎に更新される。
【0013】
一方、1フレームのデータのうちの残りの2個のサブフレームの航法メッセージは、アルマナック(Almanac)情報と呼ばれる全てのGPS衛星から共通に送信される情報である。このアルマナック情報は、全情報を取得するために25フレーム分必要となるものであり、各GPS衛星のおおよその位置情報や、どのGPS衛星が使用可能であるのかを示す情報等から構成される。このアルマナック情報は、数か月毎に更新されるが、その更新が行われるまでは同一の情報となる。そのため、GPS受信機は、アルマナック情報をメモリに保持しておくことにより、数か月は同じ情報を精度よく使用することができる。
【0014】
GPS受信機は、GPS衛星からの信号を受信して上述したデータを得るために、まず、キャリアを除去した後、受信しようとするGPS衛星で用いられているC/Aコードと同じ拡散符号を用いて、そのGPS衛星からの信号について、C/Aコードの位相同期をとることによってGPS衛星からの信号を捕捉し、スペクトラム逆拡散を行う。GPS受信機は、C/Aコードとの位相同期をとってスペクトラム逆拡散を行うと、ビットが検出され、GPS衛星からの信号に基づいて時刻情報等を含む航法メッセージを取得することが可能となる。
【0015】
GPS受信機は、GPS衛星からの信号の捕捉をC/Aコードの位相同期探索によって行うが、この位相同期探索として、自己が発生する拡散符号とGPS衛星からの受信信号の拡散符号との相関を検出し、例えば、その相関検出結果の相関値が予め定められた値よりも大きい場合に、両者が同期しているものと判定する。そして、GPS受信機は、同期がとれていないものと判定した場合には、何らかの同期手法を用いて、自己が発生する拡散符号の位相を制御し、受信信号の拡散符号と同期させるようにしている。
【0016】
ところで、GPS衛星からの信号は、上述したように、データを拡散符号で拡散した信号によってキャリアをBPSK変調方式に基づいて変調した信号である。したがって、GPS受信機は、GPS衛星からの信号を受信するには、拡散符号のみならず、キャリア及びデータの同期をとる必要があるが、拡散符号とキャリアの同期を独立に行うことはできない。
【0017】
また、GPS受信機は、通常、受信信号のキャリア周波数を数MHz以内の中間周波数(Intermediate Frequency;以下、IFという。)に変換することによって受信信号をIF信号に変換し、このIF信号で上述した同期検出処理を行う。このIF信号におけるキャリア(以下、IFキャリアという。)には、主に、GPS衛星の移動速度に応じたドップラシフトによる周波数誤差分と、受信信号をIF信号に変換する際にGPS受信機の内部で生成する局部発振器の周波数誤差分とが含まれる。
【0018】
したがって、GPS受信機においては、これらの周波数誤差要因によってIFキャリア周波数が未知であることから、その周波数のサーチが必要となる。また、拡散符号の1周期内での同期点(同期位相)は、GPS受信機とGPS衛星との位置関係に依存することに起因して未知であることから、GPS受信機においては、上述したように、何らかの同期手法が必要となる。
【0019】
従来のGPS受信機では、キャリアについての周波数サーチと、スライディング相関器による同期捕捉、DLL(Delay Locked Loop)及びコスタスループによる同期保持とを組み合わせた同期手法を用いている。以下、この同期手法について説明する。
【0020】
GPS受信機の拡散符号の発生器を駆動するクロックは、当該GPS受信機に用意されている基準周波数発振器を分周したものが一般に用いられる。この基準周波数発振器としては、高精度の水晶発振器が用いられ、GPS受信機は、この基準周波数発振器の出力に基づいて、GPS衛星からの受信信号をIF信号に変換するために用いる局部発振信号を生成する。
【0021】
ここで、周波数サーチについての処理内容を図20に示す。GPS受信機は、拡散符号の発生器を駆動するクロック信号の周波数が、ある周波数f1であるときの拡散符号についての位相同期探索を行う。すなわち、GPS受信機は、拡散符号の位相を1チップずつ順次ずらしていくことによって各チップ位相のときのGPS衛星からの受信信号と拡散符号との相関を検出し、相関のピークを検出することにより、同期がとれる位相を検出する。また、GPS受信機は、クロック信号の周波数がf1であるときにおいて、1023チップ分の位相探索の全てで同期する位相が存在しない場合には、例えば基準周波数発振器に対する分周比を変化させ、クロック信号の周波数を他の周波数f2に変更し、同様に1023チップ分の位相探索を行う。GPS受信機は、このような動作を、クロック信号の周波数をステップ的に変化させて繰り返すことによって周波数サーチを実現する。
【0022】
そして、GPS受信機は、このような周波数サーチを行うことによって同期可能とされるクロック信号の周波数を検出すると、そのクロック信号の周波数で最終的な拡散符号の位相同期を行う。これにより、GPS受信機は、水晶発振器の発振周波数にずれがある場合であっても、GPS衛星からの信号を捕捉することが可能となる。
【0023】
GPS受信機をはじめとするスペクトラム拡散信号の復調器に適用されるコスタスループ及びDLLは、一般的には、図21に示すように構成される。この回路においては、IFキャリアの同期についてはコスタスループ201によって行われ、拡散符号の同期についてはDLL202によって行われる。
【0024】
すなわち、コスタスループ201には、入力されたIF信号に対して図22中2段目に示す後述する拡散符号発生器(PN Generator;以下、PNGという。)228によって発生された位相がP(Prompt)とされる拡散符号が乗算器203によって乗算された信号が入力される。一方、DLL202には、IF信号が入力される。
【0025】
コスタスループ201においては、入力された信号に対して、NCO(Numeric Controlled Oscillator)204によって生成された再生キャリアのうちのサイン成分(同相成分)が乗算器205によって乗算される一方、NCO204によって生成された再生キャリアのうちのコサイン成分(直交成分)が乗算器206によって乗算される。コスタスループ201においては、乗算器205によって得られた同相成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF207によって通過され、この信号が位相検出器210、2値化回路211及び2乗和算出回路212に供給される。一方、コスタスループ201においては、乗算器206によって得られた直交成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF208によって通過され、この信号が位相検出器210及び2乗和算出回路212に供給される。コスタスループ201においては、LPF207,208のそれぞれから出力された信号に基づいて位相検出器210によって検出された位相情報がループフィルタ209を介してNCO204に供給される。また、コスタスループ201においては、LPF207,208のそれぞれから出力された信号が2乗和算出回路212に供給され、算出された2乗和(I2+Q2)が、位相がPとされる拡散符号についての相関値(P)として出力される。さらに、コスタスループ201においては、LPF207から出力された信号が2値化回路211に供給され、2値化されて得られた情報が航法メッセージとして出力される。
【0026】
このように、コスタスループ201においては、PNG228によって発生された3つの位相の拡散符号のうち、同図中2段目に示す位相がPとされる拡散符号が用いられる。コスタスループ201においては、IFキャリアの同期を検出するために、LPF207,208のそれぞれから出力された信号の2乗和(I2+Q2)を相関値(P)として同期判定を行う。
【0027】
一方、DLL202においては、入力されたIF信号に対して、PNG228によって発生された位相がPよりも進んだ同図中1段目に示すE(Early)とされる拡散符号が乗算器213によって乗算されるとともに、PNG228によって発生された位相がPよりも遅れた同図中3段目に示すL(Late)とされる拡散符号が乗算器214によって乗算される。DLL202においては、乗算器213によって得られた信号に対して、コスタスループ201におけるNCO204によって生成された再生キャリアのうちのサイン成分が乗算器215によって乗算されるとともに、NCO204によって生成された再生キャリアのうちのコサイン成分が乗算器216によって乗算される。そして、DLL202においては、乗算器215によって得られた同相成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF217によって通過され、この信号が2乗和算出回路219に供給される。一方、DLL202においては、乗算器216によって得られた直交成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF218によって通過され、この信号が2乗和算出回路219に供給される。また、DLL202においては、乗算器214によって得られた信号に対して、コスタスループ201におけるNCO204によって生成された再生キャリアのうちのサイン成分が乗算器220によって乗算されるとともに、NCO204によって生成された再生キャリアのうちのコサイン成分が乗算器221によって乗算される。そして、DLL202においては、乗算器220によって得られた同相成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF222によって通過され、この信号が2乗和算出回路224に供給される。一方、DLL202においては、乗算器221によって得られた直交成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF223によって通過され、この信号が2乗和算出回路224に供給される。
【0028】
DLL202においては、2乗和算出回路219,224のそれぞれから出力された信号が位相検出器225に供給され、これらの信号に基づいて位相検出器225によって検出された位相情報がループフィルタ226を介してNCO227に供給され、さらに、NCO227によって生成された所定の周波数を有する信号に基づいて、PNG228によって各位相E,P,Lの拡散符号が発生される。さらに、DLL202においては、2乗和算出回路219によって算出された2乗和(I2+Q2)が、位相がEとされる拡散符号についての相関値(E)として出力される一方、2乗和算出回路224によって算出された2乗和(I2+Q2)が、位相がLとされる拡散符号についての相関値(L)として出力される。
【0029】
このように、DLL202においては、PNG228によって発生された3つの位相の拡散符号のうち、同図中1段目及び3段目に示す位相がE,Lとされる2つの位相の拡散符号が用いられる。DLL202においては、拡散符号の同期を検出するために、LPF217,218のそれぞれから出力された信号の2乗和(I2+Q2)を相関値(E)とするとともに、LPF222,223のそれぞれから出力された信号の2乗和(I2+Q2)を相関値(L)として同期判定を行う。これらの相関値(E)及び相関値(L)は、各LPFの積分時間によって値が変化するが、DLL202においては、信号にはデータが反転する点が含まれ、反転する点を挟むとLPFの出力が最小値0まで変動する。そのため、DLL202においては、2乗和(I2+Q2)を相関値とする場合には、LPFの積分時間を拡散符号の1周期分までにしないと安定しない。ここで、GPS受信機においては、拡散符号の周期が1ミリ秒であることから、LPFの積分時間は1ミリ秒であり、帯域幅で換算すると1kHz程度までとなる。
【0030】
しかしながら、このような従来の同期手法は、原理的には高速同期には不向きである。GPS受信機においては、拡散符号及びIFキャリアの同期に時間を要すると反応が遅くなり、使用上において不便を生じる。そのため、実際のGPS受信機においては、この欠点を補うため、多チャンネル化して並列処理によって同期捕捉までの時間を短縮している。
【0031】
一方、上述したスライディング相関を用いた手法に代わってスペクトラム拡散信号の同期捕捉を高速に行う手法としては、マッチドフィルタの利用がある。マッチドフィルタは、いわゆるトランスバーサルフィルタによってディジタル的に実現可能である。また、マッチドフィルタとしては、近年のDSP(Digital Signal Processor)に代表されるハードウェアの能力の向上により、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;以下、FFTという。)を利用したディジタルマッチドフィルタによって拡散符号の同期を高速に行う手法が実現されている。後者は、古くから知られる相関計算の高速化手法に基づくものである。
【0032】
GPS受信機は、これらのマッチドフィルタを用いることにより、相関がある場合には、例えば図23に出力波形の1周期分を示すように、相関のピークを検出する。このピークの位置は、拡散符号の先頭を示すものである。GPS受信機は、このピークを検出することにより、同期を捕捉、すなわち、受信信号における拡散符号の位相を検出することができる。また、GPS受信機は、例えば上述したFFTを利用したディジタルマッチドフィルタを用い、FFTの周波数領域での操作を行うことにより、拡散符号の位相とともにIFキャリア周波数を検出することができる。そして、GPS受信機は、拡散符号の位相を擬似距離に換算し、少なくとも4個のGPS衛星が検出された場合には当該GPS受信機の位置を算出することができ、また、IFキャリア周波数に基づいて当該GPS受信機の速度を算出することができる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したDLL及びコスタスループを用いたGPS受信機においては、高感度化による受信エリアの拡大が期待されるとともに、また、一方では、加速度に対する耐性も要求される。
【0034】
このGPS受信機においては、高感度化を実現するには、相関検出の時間長を長くするため、航法メッセージのビット反転を考慮して拡散符号との相関をとる必要がある。また、GPS受信機においては、信号の帯域幅を狭くし、可能な限りS/N(Signal to Noise ratio)を向上させる必要がある。
【0035】
一方、GPS受信機においては、加速度に対する耐性とは、当該GPS受信機の移動によるドップラ周波数の変化により、キャリア周波数が変化することへの耐性であり、応答速度を速くすることである。したがって、GPS受信機においては、加速度に対する耐性の向上を図ることは、高感度化における狭帯域化とは基本的には相反する。
【0036】
したがって、DLL及びコスタスループにおいては、用途に応じて高感度化と加速度に対する耐性とのいずれか一方を優先させる、又は両者のバランスをとる、或いは受信状況に応じてダイナミックにコントロールする、といったことが設定に応じて対応できることが好ましい。
【0037】
これらの問題は、GPS受信機に限ったものではなく、GPS信号と同様のスペクトラム拡散で直接拡散方式の変調方式を採用する移動体通信全般に共通のものである。
【0038】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、一般的なDLL及びコスタスループよりも受信感度を向上させるとともに、加速度に対する耐性を向上させることができるスペクトラム拡散信号の復調装置を提供することを目的とする。また、本発明は、この復調装置を適用し、GPS衛星からの信号における拡散符号及びキャリアの同期捕捉及び同期保持を容易に行うことができる受信装置を提供することを目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明にかかる復調装置は、スペクトラム拡散信号を復調する復調装置であって、再生キャリアと入力されたスペクトラム拡散信号に含まれるキャリアとの同期を確立する第1のループ回路と、再生符号と入力されたスペクトラム拡散信号に含まれる拡散符号との同期を確立する第2のループ回路とを備え、第1のループ回路及び第2のループ回路は、それぞれ、キャリアと拡散符号と入力されたスペクトラム拡散信号との乗算値のうち所定の周波数帯域成分を通過するフィルタ手段と、データ1ビット長又はデータ1ビット長以下の所定長を単位とし、フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、フィルタ手段を通過した信号のうち入力されたスペクトラム拡散信号における単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを加算する相関加算手段とを有し、この相関加算手段からの出力値に基づいて相関検出及び第2のループ回路の位相制御を行うことを特徴としている。
【0040】
このような本発明にかかる復調装置は、フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、フィルタ手段を通過した信号のうち入力されたスペクトラム拡散信号における単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを相関加算手段によって加算し、得られた出力値に基づいて相関検出及び第2のループ回路の位相制御を行う。
【0041】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる受信装置は、衛星からの信号を受信して自己の位置及び速度を算出する受信装置であって、衛星からの信号を受信する受信手段と、この受信手段によって受信した受信信号の周波数を所定の中間周波数に変換する周波数変換手段と、この周波数変換手段によって得られた中間周波数信号における拡散符号の位相を検出する同期捕捉と中間周波数信号におけるキャリア周波数の検出とを行う同期捕捉手段と、この同期捕捉手段によって検出された拡散符号の位相及び同期捕捉手段によって検出されたキャリア周波数を、複数の衛星に対応して独立に設けられた複数のチャンネルのそれぞれに対して衛星毎に割り当てて設定し、設定した拡散符号の位相及びキャリア周波数を初期値として、拡散符号とキャリアとの同期保持を行うとともに、中間周波数信号に含まれるメッセージの復調を行う同期保持手段とを備え、スペクトラム拡散信号を復調する同期保持手段における複数のチャンネルは、それぞれ、再生キャリアと入力されたスペクトラム拡散信号に含まれるキャリアとの同期を確立する第1のループ回路と、再生符号と入力されたスペクトラム拡散信号に含まれる拡散符号との同期を確立する第2のループ回路とを有し、第1のループ回路及び第2のループ回路は、それぞれ、キャリアと拡散符号と入力されたスペクトラム拡散信号との乗算値のうち所定の周波数帯域成分を通過するフィルタ手段と、データ1ビット長又はデータ1ビット長以下の所定長を単位とし、フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、フィルタ手段を通過した信号のうち入力されたスペクトラム拡散信号における単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを加算する相関加算手段とを有し、複数のチャンネルは、それぞれ、相関加算手段からの出力値に基づいて相関検出及び第2のループ回路の位相制御を行うことを特徴としている。
【0042】
このような本発明にかかる受信装置は、フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、フィルタ手段を通過した信号のうち入力されたスペクトラム拡散信号における単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを相関加算手段によって加算し、得られた出力値に基づいて相関検出及び第2のループ回路の位相制御を行いつつ、拡散符号とキャリアとの同期保持を行う。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0044】
この実施の形態は、人工衛星を利用して地上における移動体の位置を測定するいわゆるGNSS(Global Navigation Satellites System)システムの一種である全地球測位システム(Global Positioning System;以下、GPSという。)を適用したものであり、少なくとも4個以上のGPS衛星からの信号を受信して、その受信信号に基づいて自己の位置を算出するGPS受信機である。このGPS受信機は、L1帯、C/A(Clear and Acquisition)コードと呼ばれるスペクトラム拡散信号電波を受信信号として受信するものであって、スペクトラム拡散信号を復調する復調器として適用される一般的なDLL(Delay Locked Loop)及びコスタスループよりも受信感度を向上させるとともに、加速度に対する耐性を向上させることができるものである。
【0045】
なお、このGPS受信機は、図1に示すように、受信した受信信号を復調する際に、自己が発生する擬似ランダムノイズ(Pseudo-random Noise;PN)系列の拡散符号と受信信号における拡散符号との同期を捕捉する機能と、拡散符号と搬送波(以下、キャリアという。)との同期を保持する機能とを分離することにより、小さい回路規模のもとに、同期捕捉を高速化することができるものである。このGPS受信機10においては、DLL及びコスタスループは、後述するように、同期捕捉を行うものとして動作する必要はなく、拡散符号とキャリアとの同期を保持する同期保持部25として動作できればよい。その代わり、DLL及びコスタスループは、高感度化による受信エリアの拡大が期待されるとともに、また、一方では、加速度に対する耐性も要求される。そこで、GPS受信機10においては、DLL及びコスタスループの受信感度の向上と加速度に対する耐性の向上とを実現させるものである。
【0046】
以下では、まず、同期捕捉の機能と同期保持の機能とを分離したGPS受信機10の全体的な構成について説明した後、同期捕捉部24及び同期保持部25について詳述し、さらにその後、同期保持部25の具体的な構成について詳述するものとする。
【0047】
まず、GPS受信機の全体的な構成について説明する。
【0048】
GPS受信機10は、同図に示すように、所定の発振周波数を有する発振信号D1を生成する水晶発振器(X'tal Oscillator;以下、XOという。)11と、このXO11とは異なる所定の発振周波数FOSCを有する発振信号D2を生成する温度補償型水晶発振器(Temperature Compensated X'tal Oscillator;以下、TCXOという。)12と、このTCXO12から供給される発振信号D2を逓倍(multiply)及び/又は分周(divide)する逓倍/分周器13とを備える。
【0049】
XO11は、例えば32.768kHz程度の所定の発振周波数を有する発振信号D1を生成する。XO11は、生成した発振信号D1を後述するRTC(Real Time Clock)27に供給する。
【0050】
TCXO12は、XO11とは異なる例えば18.414MHz程度の所定の発振周波数FOSCを有する発振信号D2を生成する。TCXO12は、生成した発振信号D2を逓倍/分周器13、及び後述する周波数シンセサイザ18等に供給する。
【0051】
逓倍/分周器13は、後述するCPU(Central Processing Unit)26から供給される制御信号D3に基づいて、TCXO12から供給される発振信号D2を、所定の逓倍率で逓倍し、及び/又は所定の分周比で分周する。逓倍/分周器13は、逓倍及び/又は分周した発振信号D4を後述する同期捕捉部24、後述する同期保持部25、CPU26、後述するタイマ28、及び後述するメモリ29に供給する。
【0052】
また、GPS受信機10は、GPS衛星から送信されてきたRF(Radio Frequency)信号を受信するアンテナ14と、このアンテナ14によって受信された受信RF信号D5を増幅するローノイズ・アンプ(Low Noise Amplifier;以下、LNAという。)15と、このLNA15によって増幅された増幅RF信号D6のうち所定の周波数帯域成分を通過する帯域通過フィルタ(Band Pass Filter;以下、BPFという。)16と、このBPF16によって通過された増幅RF信号D7をさらに増幅する増幅器17と、TCXO12から供給される発振信号D2に基づいて所定の周波数FLOを有する局部発振信号D10を生成する周波数シンセサイザ18と、増幅器17によって増幅された所定の周波数FRFを有する増幅RF信号D8に対して周波数シンセサイザ18から供給された局部発振信号D10を乗算するミキサ19と、このミキサ19によって乗算されることによってダウンコンバートされた所定の周波数FIFを有する中間周波数(Intermediate Frequency;以下、IFという。)信号D11を増幅する増幅器20と、この増幅器20によって増幅された増幅IF信号D12のうち所定の周波数帯域成分を通過する低域通過フィルタ(Low Pass Filter;以下、LPFという。)21と、このLPF21によって通過されたアナログ形式の増幅IF信号D13をディジタル形式の増幅IF信号D14に変換するアナログ/ディジタル変換器(Analog/Digital Converter;以下、A/Dという。)22とを備える。
【0053】
アンテナ14は、GPS衛星から送信されてきた周波数が1575.42MHzのキャリアが拡散されたRF信号を受信する。このアンテナ14によって受信された受信RF信号D5は、LNA15に供給される。
【0054】
LNA15は、アンテナ14によって受信された受信RF信号D5を増幅する。LNA15は、増幅した増幅RF信号D6をBPF16に供給する。
【0055】
BPF16は、いわゆるSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタからなり、LNA15によって増幅された増幅RF信号D6のうち所定の周波数帯域成分を通過する。このBPF16によって通過された増幅RF信号D7は、増幅器17に供給される。
【0056】
増幅器17は、BPF16によって通過された増幅RF信号D7をさらに増幅する。増幅器17は、増幅した所定の周波数FRF、すなわち、1575.42MHzの増幅RF信号D8をミキサ19に供給する。
【0057】
周波数シンセサイザ18は、CPU26から供給される制御信号D9による制御のもとに、TCXO12から供給される発振信号D2に基づいて所定の周波数FLOを有する局部発振信号D10を生成する。周波数シンセサイザ18は、生成した局部発振信号D10をミキサ19に供給する。
【0058】
ミキサ19は、増幅器17によって増幅された所定の周波数FRFを有する増幅RF信号D8に対して周波数シンセサイザ18から供給された局部発振信号D10を乗算することによって増幅RF信号D8をダウンコンバートし、例えば1.023MHz程度の所定の周波数FIFを有するIF信号D11を生成する。このミキサ19によって生成されたIF信号D11は、増幅器20に供給される。
【0059】
増幅器20は、ミキサ19によってダウンコンバートされたIF信号D11を増幅する。増幅器20は、増幅した増幅IF信号D12をLPF21に供給する。
【0060】
LPF21は、増幅器20によって増幅された増幅IF信号D12のうち所定の周波数よりも低帯域成分を通過する。このLPF21によって通過された増幅IF信号D13は、A/D22に供給される。
【0061】
A/D22は、LPF21によって通過されたアナログ形式の増幅IF信号D13をディジタル形式の増幅IF信号D14に変換する。このA/D22によって変換された増幅IF信号D14は、同期捕捉部24及び同期保持部25に供給される。
【0062】
なお、GPS受信機10においては、これらの各部のうち、LNA15、BPF16、増幅器17,20、周波数シンセサイザ18、ミキサ19、LPF21、及びA/D22は、アンテナ14によって受信された1575.42MHzの高い周波数を有する受信RF信号D5を、ディジタル信号処理が施しやすいように、例えば1.023MHz程度の低い周波数FIFを有する増幅IF信号D14にダウンコンバートする周波数変換部23として構成される。
【0063】
さらに、GPS受信機10は、自己が発生する拡散符号とA/D22から供給される増幅IF信号D14における拡散符号との同期捕捉及び増幅IF信号D14におけるキャリア周波数の検出を行う同期捕捉部24と、A/D22から供給される増幅IF信号D14における拡散符号とキャリアとの同期保持及びメッセージの復調を行う同期保持部25と、各部を統括的に制御して各種演算処理を行うCPU26と、XO11から供給される発振信号D1に基づいて時間を計測するRTC27と、CPU26の内部時計としてのタイマ28と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等からなるメモリ29とを備える。
【0064】
同期捕捉部24は、詳細は後述するが、CPU26の制御のもとに、逓倍/分周器13から供給される逓倍及び/又は分周された発振信号D4に基づいて、A/D22から供給される増幅IF信号D14における拡散符号の同期捕捉を行うとともに、増幅IF信号D14におけるキャリア周波数の検出を行う。このとき、同期捕捉部24は、後述するように、粗い精度での同期捕捉を行う。同期捕捉部24は、検出したGPS衛星を識別するための衛星番号、拡散符号の位相、及びキャリア周波数を同期保持部25及びCPU26に供給する。
【0065】
同期保持部25は、詳細は後述するが、CPU26の制御のもとに、逓倍/分周器13から供給される逓倍及び/又は分周された発振信号D4に基づいて、A/D22から供給される増幅IF信号D14における拡散符号とキャリアとの同期保持を行うとともに、増幅IF信号D14に含まれる航法メッセージの復調を行う。このとき、同期保持部25は、後述するように、同期捕捉部24から供給される衛星番号、拡散符号の位相、及びキャリア周波数を初期値として動作を開始する。同期保持部25は、複数のGPS衛星からの増幅IF信号D14についての同期保持を並列的に行い、検出した拡散符号の位相、キャリア周波数、及び航法メッセージをCPU26に供給する。
【0066】
CPU26は、同期保持部25から供給される拡散符号の位相、キャリア周波数、及び航法メッセージを取得し、これらの各種情報に基づいて、当該GPS受信機10の位置及び速度を算出するとともに、航法メッセージから得られるGPS衛星の正確な時間情報に基づいて、当該GPS受信機10の時間情報を補正するといったGPSに関する各種演算処理を行う。また、CPU26は、当該GPS受信機10の各部及び各種ペリフェラル、並びに外部との入出力(Input/Output)に関する制御を統括的に行う。
【0067】
RTC27は、XO11から供給される発振信号D1に基づいて、時間を計測する。このRTC27によって計測される時間情報は、GPS衛星の正確な時間情報が得られるまでの間に代用されるものであって、GPS衛星の正確な時間情報を得たCPU26がXO11を制御することによって適宜補正される。
【0068】
タイマ28は、CPU26の内部時計として機能するものであり、各部の動作に必要となる各種タイミング信号の生成及び時間参照に用いられる。例えば、GPS受信機10においては、同期捕捉部24が同期捕捉した拡散符号の位相に合わせて同期保持部25が後述する拡散符号発生器の動作を開始させるタイミングを、このタイマ28によって参照する。
【0069】
メモリ29は、RAMやROM等からなる。メモリ29においては、CPU26等による各種処理を行う際のワークエリアとしてRAMが用いられるとともに、入力した各種データをバッファリングする際や、演算過程で生成される中間データ及び演算結果データを保持する際にもRAMが用いられる。また、メモリ29においては、各種プログラムや固定データ等を記憶する手段としてROMが用いられる。
【0070】
なお、GPS受信機10においては、これらの同期捕捉部24、同期保持部25、CPU26、RTC27、タイマ28、メモリ29は、ベースバンド処理部として構成される。
【0071】
このような各部を備えるGPS受信機10においては、少なくとも、XO11、TCXO12、アンテナ14、LNA15、及びBPF16を除く各部を、集積回路化した1チップからなる復調回路30として構成することができる。
【0072】
GPS受信機10は、少なくとも4個以上のGPS衛星からのRF信号を受信して、このRF信号を周波数変換部23によってIF信号に変換した後、同期捕捉部24によって拡散符号の同期捕捉及びキャリア周波数の検出を行い、同期保持部25によって拡散符号とキャリアとの同期保持及び航法メッセージの復調を行う。そして、GPS受信機10は、拡散符号の位相、キャリア周波数、及び航法メッセージに基づいて、CPU26によって当該GPS受信機10の位置及び速度を算出する。
【0073】
さて、以下では、このようなGPS受信機10における同期捕捉部24及び同期保持部25について詳述する。GPS受信機10は、上述したように、同期捕捉の機能と同期保持の機能とを、同期捕捉部24及び同期保持部25に分離したものである。ここでは、このように機能を分離した理由についても併せて説明する。
【0074】
同期捕捉部24は、上述したように、IF信号における拡散符号の同期捕捉及びキャリア周波数の検出を高速に行う。同期捕捉部24は、拡散符号の同期捕捉高速に行うためにマッチドフィルタを利用する。具体的には、同期捕捉部24は、マッチドフィルタとして、例えば図2に示すように、いわゆるトランスバーサルフィルタ50を用いることができる。
【0075】
また、同期捕捉部24は、マッチドフィルタとして、例えば図3に示すように、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;以下、FFTという。)を利用したディジタルマッチドフィルタ60を用いることもできる。
【0076】
具体的には、ディジタルマッチドフィルタ60は、同図に示すように、上述したアンテナ14及び周波数変換部23によって得られる増幅IF信号D14に対応するIF信号を、上述したTCXO12によって生成される発振信号D2に基づく所定のサンプリング周波数で入力信号をサンプリングするサンプラ61によってサンプリングした上で入力する。ディジタルマッチドフィルタ60は、サンプラ61によってサンプリングされたIF信号をバッファリングするメモリ62と、このメモリ62によってバッファリングされたIF信号を読み出してFFTを施すFFT処理部63と、このFFT処理部63によってFFT処理が施されて得られた周波数領域信号をバッファリングするメモリ64と、GPS衛星からのRF信号における拡散符号と同じ拡散符号を発生する拡散符号発生器65と、この拡散符号発生器65によって発生された拡散符号に対してFFT処理を施すFFT処理部66と、このFFT処理部66によってFFT処理が施されて得られた周波数領域信号をバッファリングするメモリ67と、メモリ64にバッファリングされている周波数領域信号とメモリ67にバッファリングされている周波数領域信号とを乗算する乗算器68と、この乗算器68によって乗算された周波数領域信号に対して逆FFT(Inversed Fast Fourier Transform;以下、IFFTという。)処理を施すIFFT処理部69と、このIFFT処理部69によってIFFT処理が施されて得られた自己相関関数に基づいてGPS衛星からのRF信号における拡散符号と拡散符号発生器65に発生した拡散符号との相関のピークを検出するピーク検出器70とを有する。
【0077】
このようなディジタルマッチドフィルタ60は、実際には、FFT処理部63,66、拡散符号発生器65、乗算器68、IFFT処理部69、及びピーク検出器70の各部をDSP(Digital Signal Processor)によって実行されるソフトウェアとして実装される。すなわち、ディジタルマッチドフィルタ60を適用した同期捕捉部24は、例えば図4に示すように、上述したサンプラ61に相当するサンプラ81と、上述したメモリ62に相当するRAM82と、上述したメモリ64,67とDSPのプログラム及びワークエリアとを含むRAM/ROM83と、上述したFFT処理部63,66、拡散符号発生器65、乗算器68、IFFT処理部69、及びピーク検出器70の処理を実行するDSP84とから構成される。
【0078】
同期捕捉部24は、同図に示す例では、1.023MHzのIF信号をサンプラ81によって4.096MHzでサンプリングし、DSP84によってディジタルマッチドフィルタ60と等価な演算を行うことにより、拡散符号の同期捕捉、すなわち、IF信号における拡散符号の位相検出を1/4チップの精度で行うことができる。また、この同期捕捉部24は、RAM82の容量を16ミリ秒分であるものとすると、DSP84によってFFTの周波数領域での操作を行うことにより、1/16kHz(±1/32kHz)の精度で、IF信号におけるキャリア(以下、IFキャリアという。)周波数を検出することができる。同期捕捉部24は、RAM82に記憶したIF信号には複数のGPS衛星からの信号が含まれていることから、各GPS衛星の拡散符号との相関を算出することにより、複数のGPS衛星を検出することができる。
【0079】
GPS受信機10は、この同期捕捉部24によって検出した少なくとも4個以上のGPS衛星に対する拡散符号の位相とキャリア周波数とに基づいて、当該GPS受信機10の位置と速度とを算出することができる。
【0080】
ただし、GPS受信機10においては、拡散符号の位相検出精度としての上述した1/4チップ、及びキャリア周波数の検出精度としての1/16kHzのもとに得られる当該GPS受信機10の位置及び速度の算出結果は十分な精度とは言い難いものである。GPS受信機10においては、精度を向上させるためには、サンプラ81によるサンプリング周波数を高くする、IF信号を記憶する時間長を長くする、といった処理が必要となるが、これにともない、RAM82等のメモリの容量が増大し、且つ、拡散符号の位相及びキャリア周波数を検出するまでの処理時間が長くなる事態が想定される。また、GPS受信機10においては、同期捕捉部24が外部から航法メッセージを受け取らないものとすると、少なくとも4個以上のGPS衛星からの航法メッセージを20ミリ秒毎に復調する必要があることから、DSP84は、常に、同期の検出と航法メッセージの復調とを極めて高速に行う必要がある。これらの問題は、ハードウェアのサイズの膨大化によるコストアップと消費電力の増大化を招来する。
【0081】
そこで、GPS受信機10においては、粗い精度での同期捕捉を同期捕捉部24によって行い、複数のGPS衛星の同期保持及び航法メッセージの復調を同期保持部25によって行う。
【0082】
同期捕捉部24は、検出したGPS衛星の衛星番号、その拡散符号の位相、及びキャリア周波数を同期保持部25に供給する。一方、同期保持部25は、同期捕捉部24から供給されるこれらの各種情報を初期値として動作を開始する。同期保持部25は、拡散符号の位相に基づいて、後述するDLLの回路で生成する拡散符号の開始タイミングを合わせる。なお、GPS受信機10は、生成する拡散符号として、検出したGPS衛星の衛星番号に対応するものを設定する。このとき、GPS受信機10においては、ドップラシフト、TCXO12等の発振器によって生成される発振信号の発振周波数の誤差の影響を受けるが、基本的に拡散符号は1ミリ秒の周期で繰り返されるものであることから、DLLの回路で生成する拡散符号の開始タイミングは、1ミリ秒の整数倍ずらしても構わない。
【0083】
なお、IFキャリア周波数は、IF信号を上述したRAM82等のメモリに取り込むためのサンプリングクロックを生成しているTCXO12の誤差を含むことから、上述した分解能の問題を除去したとしても、正確な値、すなわち、キャリア周波数とドップラシフト量との和ではない。しかしながら、GPS受信機10においては、同期捕捉部24と同期保持部25とが同じ発振器、すなわち、TCXO12を発振源とするクロックで動作している場合には、両者で全く同じ周波数誤差を有することから、同期保持部25が同期捕捉部24によって検出されたIFキャリア周波数を初期値として動作を開始することには何らの問題がない。
【0084】
同期保持部25は、複数のGPS衛星の同期保持を並列的に行うことから、例えば図5に示すように、複数個の独立したチャンネル回路911,912,・・・,91Nを有する。チャンネル回路911,912,・・・,91Nは、それぞれ、コントロール・レジスタ92の設定によって同期捕捉部24による個々の検出結果に対して割り当てられる。
【0085】
チャンネル回路911,912,・・・,91Nは、それぞれ、詳細は後述するが、IFキャリア同期用のコスタスループと拡散符号同期用のDLLとを組み合わせた回路によって構成される。
【0086】
IFキャリア同期用のコスタスループと拡散符号同期用のDLLとを組み合わせた回路によって構成されるチャンネル回路911,912,・・・,91Nを有する同期保持部25においては、動作開始前に、GPS衛星の衛星番号、拡散符号の位相、及びキャリア周波数が初期値として設定される。この初期値の設定は、同期捕捉部24との間で直接的に通信を行うか、又は、同期捕捉部24及び当該同期保持部25を制御するCPU26を介して行うことによってなされる。
【0087】
このような同期保持部25は、以下のようにして拡散符号と同期を合わせる。すなわち、図6に示すように、同期捕捉部24がIF信号をRAM82等のメモリに取り込むタイミングでタイマを開始させ、同期捕捉部24がメモリに記憶しているIF信号に対して拡散符号の位相hを検出すると、同期保持部25は、この位相hの値を受け取った後、同じタイマによって1ミリ秒の整数倍からhだけずらした時点においてDLLによって発生する拡散符号を開始させることにより、受信信号の拡散符号に位相を合わせる。なお、同図における"PN"は、PN系列の符号、すなわち、拡散符号を示している。
【0088】
ここで、従来のコスタスループとDLLとを組み合わせた回路においては、受信信号における拡散符号の位相が未知であることから、DLLによって発生するIFキャリア周波数と拡散符号の周期とを少しずらし、IF信号の拡散符号に対して位相をスライドしていく過程で、有意な強度の相関がある位相を検出していた。そのため、従来の回路においては、位相を検出するのに、最悪の場合、数kHzの範囲のキャリア周波数と符号長が1023の拡散符号における全ての位相とに対して検出を行うことから、同期を確立するまでにかなりの時間を要していた。
【0089】
これに対して、GPS受信機10においては、同期保持部25が受け取った拡散符号の位相とIFキャリア周波数との初期値は真値から僅かにしかずれていないことから、有意な強度の相関がある位相は、誤差を含めても初期値の近辺に必ず存在する。したがって、同期保持部25は、従来の回路と同様に、まずコスタスループ及びDLLにおけるループフィルタの制御を止めた状態にして、NCO(Numeric Controlled Oscillator)によって生成する信号を初期値の近辺で変化させながら有意な強度の相関を探索し、相関を検出した後には、ループフィルタからの制御に切り替える。これにより、同期保持部25は、DLLによる拡散符号の位相の同期確立、及びコスタスループによるキャリアの位相の同期確立を極めて短時間に行うことができ、以降、同期を保持し続けることができる。同期保持部25においては、IFキャリア周波数が数十Hzの精度で初期値を設定できることから、各LPF及び各ループフィルタの帯域幅を当初から狭くすることができ、S/N(Signal to Noise ratio)が高い状態で同期を確立することができる。
【0090】
GPS受信機10においては、同期保持部25を例えば1.023MHz×16=16.368MHzのクロックで動作させ、DLLにおいて拡散符号の位相を1/16.368MHzの時間分解能で検出すれば、1/16チップの精度で拡散符号の位相からGPS衛星までの擬似距離を算出することができ、また、コスタスループにおけるNCOを1Hz単位で制御できる構成にすれば、IFキャリア周波数の分解能は1Hzとなり、DLLとコスタスループとによってこれらの精度で同期を保持することができる。
【0091】
以上のように、GPS受信機10においては、同期保持部25によって同期保持が行われると、DLLによって発生する拡散符号の位相に基づいて、当該GPS受信機10の位置を連続的に算出して出力することができるとともに、コスタスループによって得られるIFキャリア周波数に基づいて、当該GPS受信機10の速度を連続的に算出して出力することができる。
【0092】
同期保持部25は、上述したように、同期捕捉部24から受け渡された拡散符号の位相及びIFキャリア周波数を初期値とすることにより、これらの初期値の近辺で有意な強度の相関が得られる位相を探索する。これは、GPS受信機10に搭載されているクロック源の発振器、すなわち、TCXO12が公称周波数に対して誤差を有することが1つの理由である。GPS受信機10においては、先に図3に示したFFTを利用したディジタルマッチドフィルタ60を用いて同期捕捉部24を構成した場合には、IF信号をメモリに記憶した後、DSPの処理時間分遅れて同期保持部25に検出結果が供給されることから、発振器の公称周波数FOSCとの誤差をΔFOSCとし、DSPの処理時間をT秒とすると、同期保持部25に検出結果が供給される時点では、T×ΔFOSC/FOSCの誤差が生じる。例えば、GPS受信機10においては、T=3秒とし、ΔFOSC/FOSCが±3ppmの範囲内とすると、±9マイクロ秒=約±9チップ以内の誤差が生じる。このように、GPS受信機10においては、DSPの処理時間が長くなると、その分誤差が大きくなる。
【0093】
また、GPS受信機10においては、GPS衛星と当該GPS受信機10との移動によって生じるキャリア周波数のドップラシフトも誤差を生じる要因となる。GPS受信機10においては、キャリアの周波数、すなわち、1575.42MHzをFRFとし、受信信号のドップラシフトをΔFDとすると、ドップラシフトによって拡散符号の周期、すなわち、1ミリ秒は、ほぼ(1−ΔFD/FRF)倍となり、例えば、+5〜−5kHzの範囲のドップラシフトが生じている場合には、3秒間で約−9.5〜9.5マイクロ秒=約−9.5〜9.5チップの誤差が生じる。
【0094】
これらの2つの例は、比較的現実に近い値であり、GPS受信機10においては、発振器の誤差とドップラシフトとの両者の要因を併せると、±20チップ程度の範囲内で誤差が生じることから、この範囲だけを探索して相関を検出すればよい。例えば、同期保持部25は、同期捕捉部24から供給される拡散符号の位相よりも20チップ分だけ早くDLLによって発生する拡散符号を開始させ、そのときの拡散符号の周期として、NCOの周波数設定を(1+5/1575.420)ミリ秒よりも長めに設定しておけば、IF信号に含まれるGPS衛星からの信号の拡散符号に対するスライドが+20チップだけずれた時点から開始され、適当な時間の間、拡散符号同士の位相がスライドしている状態で相関の有無を探索することができる。
【0095】
このように、従来においては、DLLとコスタスループとを用いて1023チップの範囲で、且つ、IFキャリア周波数についても発振器の誤差とドップラシフト量との範囲で変化させながら、相関検出を行っていたのに比較して、GPS受信機10においては、初期値のキャリア周波数が僅かな誤差しか有さず、相関を検出する範囲も数十分の1程度で済むことから、同期保持部25による同期確立に要する時間を極めて短時間とすることができる。
【0096】
以上のように、GPS受信機10は、同期捕捉の機能と同期保持の機能とを分離して構成することにより、同期捕捉部24によってIF信号に含まれるGPS衛星からの信号の拡散符号の位相及びIFキャリア周波数を高速に検出することができ、この検出結果に基づいて同期保持部25が速やかに同期保持動作に移行することができる。しかしながら、GPS受信機10においては、IF信号に含まれる微弱なGPS衛星の信号を検出するために処理シーケンスが増える場合、また、電力消費を抑制するために同期捕捉部24を低速のクロックで動作させている場合等には、同期捕捉部24での処理時間が長くなり、これにともない、同期保持部25による同期確立までに探索する範囲が広くなり、好ましくない。
【0097】
一般に、GPS受信機においては、周波数変換部における局部発振器とベースバンド処理部における信号処理のクロックを生成する源発振器として、共通の水晶発振器を用いるが、GPS受信機10においては、これと同様に、先に図1に示したように、周波数変換部23における局部発振器の源発振器と同期捕捉部24及び同期保持部25の動作クロックの源発振器とを、TCXO12に共通化する。そして、同期保持部25は、同期捕捉部24によって検出したIFキャリア周波数とTCXO12の公称値に基づく例えば1.023MHzの中間周波数FIFとの差分をΔFIFとし、1575.42MHzであるGPS衛星からの信号のキャリア周波数をFRFとし、同期捕捉部24がIF信号をメモリに取り込んでから同期捕捉処理に要した時間をT秒とし、拡散符号の位相をhとすると、図7に示すように、拡散符号の位相hをh+Δh(Δh=−T×ΔFIF/ΔRF)のように補正する。例えば、ΔFIF=+3kHz、T=10秒の場合には、Δh=−19マイクロ秒=約−19チップとなる。同期保持部25は、このような補正を行うことにより、TCXO12による発振周波数の誤差とドップラシフトとによって生じる拡散符号の位相のずれを極めて正確に補正することができ、同期捕捉部24による同期捕捉処理に時間を数十秒要した場合であっても、ほぼ1チップ程度の範囲での探索で同期を確立することができる。
【0098】
このような補正が可能な理由は、以下のとおりである。
【0099】
GPS受信機10においては、周波数変換部23によってGPS衛星からの信号の既知であるキャリア周波数FRFを既知である中間周波数FIFに変換するために、公称発振周波数FOSCのTCXO12に基づいて周波数シンセサイザ18によって局部発振周波数FLO=N×FOSC(Nは定数数、N>>1)を生成し、FIF=FRF−FLOとなるようにする。ここで、実際に受信するGPS衛星からの信号には、中間周波数FIFに対してTCXO12による発振周波数の誤差とドップラシフトとによって生じる誤差ΔFIFが加わったものである。すなわち、GPS受信機10においては、ドップラシフト量をΔFDとし、TCXO12による公称発振周波数との誤差をΔFOSCとすると、
FIF+ΔFIF=FRF+ΔFD−FLO=FRF+ΔFD−N×(FOSC+ΔFOSC)
となる。したがって、GPS受信機10においては、同期捕捉部24が検出するIFキャリア周波数は、
FIF+ΔFIF、ΔFIF=ΔFD−N×ΔFOSC
となる。ここで重要なことは、同期捕捉部24が検出することができるものはΔFIFのみであり、ΔFD,ΔFOSCは最初の同期捕捉の段階では未知であるということである。
【0100】
ここで、TCXO12によって拡散符号の1周期長である1ミリ秒を公称発振周波数でタイマがカウントした場合には、誤差ΔFOSCがあるために、実際には、1ミリ秒×FOSC/(FOSC+ΔFOSC)≒(1−ΔFOSC/FOSC)ミリ秒となる。一方、受信信号における拡散符号の1周期長さは、ドップラシフト量ΔFDにより、1ミリ秒×FRF/(FRF+ΔFD)≒(1−ΔFD/FRF)ミリ秒となる。したがって、受信信号における拡散符号の1周期長とTCXO12による公称発振周波数でカウントした1ミリ秒との比は、
(1−ΔFD/FRF)/(1−ΔFOSC/FOSC)≒1−ΔFD/FRF+ΔFOSC/FOSC
となる。さらに、この式における右辺は、変形すると、
1−ΔFIF/FRF+(ΔFOSC/FOSC)×(FIF/(N×FOSC))≒1−ΔFIF/FRF
となる。このように、GPS受信機10においては、同期捕捉部24にとって未知のパラメータであるΔFD,ΔFOSCを含まない形でかなり良好な近似をすることができる。
【0101】
この結果により、GPS受信機10においては、同期捕捉部24がIF信号をメモリに取り込んだ時点から同期捕捉処理を行い、検出した拡散符号の位相hが同期保持部25に供給されるまでの時間にT秒要した場合には、このT秒の間に同期捕捉部24が検出した拡散符号の位相から−T×ΔFIF/FRFだけずれることになる。したがって、同期保持部25は、図7に示したように、同期捕捉部24から供給された拡散符号の位相hに補正値Δh=−T×ΔFIF/FRFを加えたh+ΔhによってDLLによって発生する拡散符号の開始タイミングを合わせることにより、同期捕捉処理時間に生じた拡散符号の位相のずれを補正することができ、これによってほぼ1チップ程度の範囲内において相関を検出することができ、極めて短時間に同期を確立することができる。GPS受信機10においては、補正値を例えばCPU26によって算出し、その算出結果を同期保持部25に供給し、同期保持部25によって位相を補正した後に、同期捕捉部24による同期捕捉処理を開始すればよい。
【0102】
このような拡散符号の位相を補正する手法において必要となる情報は、同期捕捉部24が検出したIFキャリア周波数のみであり、GPS受信機10においては、TCXO12による発振周波数の誤差もドップラシフト量も、情報として不要である。また、GPS受信機10においては、IFキャリア周波数に依存せず、FIF=FRO−FLOとなるように局部発振周波数FLOを設定する場合であっても、ΔFIFの符号を変更するのみで済む。
【0103】
さて、以下では、以上のような同期保持部25の具体的な構成について説明する。
【0104】
同期保持部25におけるチャンネル回路911,912,・・・,91Nは、上述したように、スペクトラム拡散信号を復調する復調器として適用されるIFキャリア同期用のコスタスループと拡散符号同期用のDLLとを組み合わせた回路によって構成することができる。
【0105】
ここで、従来のコスタスループ及びDLLにおいては、同相成分(I)側のLPFからの出力と直交成分(Q)側のLPFからの出力との2乗和を相関値として同期判定を行っていた。
【0106】
これに対して、GPS受信機10においては、受信感度を向上させるとともに、加速度に対する耐性を向上させるために、図8に示すように、コスタスループ101には、新たに相関加算器112,113を設けるとともに、DLL102には、新たに相関加算器121,122,128,129を設け、これらの相関加算器の出力の2乗和を相関値として同期判定を行う。
【0107】
すなわち、チャンネル回路911,912,・・・,91Nにおいては、それぞれ、同図に示すように、コスタスループ101には、上述したアンテナ14及び周波数変換部23によって得られる増幅IF信号D14に対応するIF信号に対して、後述する拡散符号発生器(PN Generator;以下、PNGという。)134によって発生された位相がP(Prompt)とされる拡散符号が乗算器103によって乗算された信号が入力される。一方、チャンネル回路911,912,・・・,91Nにおいては、それぞれ、DLL102には、上述したアンテナ14及び周波数変換部23によって得られる増幅IF信号D14に対応するIF信号が入力される。
【0108】
コスタスループ101においては、入力された信号に対して、NCO104によって生成された再生キャリアのうちのサイン成分(同相成分)が乗算器105によって乗算される一方、NCO104によって生成された再生キャリアのうちのコサイン成分(直交成分)が乗算器106によって乗算される。コスタスループ101においては、乗算器105によって得られた同相成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF107によって通過され、この信号が位相検出器110、2値化回路111及び相関加算器112に供給される。一方、コスタスループ101においては、乗算器106によって得られた直交成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF108によって通過され、この信号が位相検出器110及び相関加算器113に供給される。コスタスループ101においては、LPF107,108のそれぞれから出力された信号に基づいて位相検出器110によって検出された位相情報がループフィルタ109を介してNCO104に供給される。
【0109】
また、コスタスループ101においては、LPF107,108から出力された信号が、それぞれ、相関加算器112,113に供給される。これらの相関加算器112,113は、それぞれ、図9に示すように、データの1ビット長、すなわち、GPS受信機10においては20ミリ秒の信号Aを積分した相関値と、後半を反転させた信号Bを積分した相関値との絶対値加算値を出力する。コスタスループ101においては、これらの相関加算器112,113から出力された信号が、2乗和算出回路114に供給され、この2乗和算出回路114によって算出された2乗和(I2+Q2)が、位相がPとされる拡散符号についての相関値(P)として出力される。さらに、コスタスループ101においては、LPF107から出力された信号が2値化回路111に供給され、2値化されて得られた情報が航法メッセージとして出力される。
【0110】
一方、DLL102においては、入力されたIF信号に対して、PNG134によって発生された位相がPよりも進んだE(Early)とされる拡散符号が乗算器115によって乗算されるとともに、PNG134によって発生された位相がPよりも遅れたL(Late)とされる拡散符号が乗算器116によって乗算される。DLL102においては、乗算器115によって得られた信号に対して、コスタスループ101におけるNCO104によって生成された再生キャリアのうちのサイン成分が乗算器117によって乗算されるとともに、NCO104によって生成された再生キャリアのうちのコサイン成分が乗算器118によって乗算される。そして、DLL102においては、乗算器117によって得られた同相成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF119によって通過され、この信号が相関加算器121に供給される。一方、DLL102においては、乗算器118によって得られた直交成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF120によって通過され、この信号が相関加算器122に供給される。また、DLL102においては、乗算器116によって得られた信号に対して、コスタスループ101におけるNCO104によって生成された再生キャリアのうちのサイン成分が乗算器124によって乗算されるとともに、NCO104によって生成された再生キャリアのうちのコサイン成分が乗算器125によって乗算される。そして、DLL102においては、乗算器124によって得られた同相成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF126によって通過され、この信号が相関加算器128に供給される。一方、DLL102においては、乗算器125によって得られた直交成分の信号のうち所定の周波数帯域成分がLPF127によって通過され、この信号が相関加算器129に供給される。
【0111】
DLL102における相関加算器121,122,128,129は、それぞれ、図9に示した処理と同様の処理を行い、信号Aを積分した相関値と信号Bを積分した相関値との絶対値加算値を出力する。DLL102においては、相関加算器121,122から出力された信号が、2乗和算出回路123に供給され、この2乗和算出回路123によって算出された2乗和(I2+Q2)が、位相がEとされる拡散符号についての相関値(E)として出力される。さらに、DLL102においては、相関加算器128,129ら出力された信号が、2乗和算出回路130に供給され、この2乗和算出回路130によって算出された2乗和(I2+Q2)が、位相がLとされる拡散符号についての相関値(L)として出力される。
【0112】
そして、DLL102においては、2乗和算出回路123,130のそれぞれから出力された信号が位相検出器131に供給され、これらの信号に基づいて位相検出器131によって検出された位相情報がループフィルタ132を介してNCO133に供給され、さらに、NCO133によって生成された所定の周波数を有する信号に基づいて、PNG134によって各位相E,P,Lの拡散符号が発生される。
【0113】
このように、コスタスループ101及びDLL102を有するチャンネル回路91においては、相関加算器112,113,121,122,128,129のそれぞれによって2つの信号の相関値の絶対値加算値の2乗和を相関値とすることにより、積分時間長を長くすることができることから、S/Nを向上させることができ、受信感度を向上させることができる。また、チャンネル回路91においては、LPF107,108,119,120,126,127の帯域幅を狭くし、加算前にノイズを除去することも可能となる。相関加算器112,113,121,122,128,129のそれぞれからの出力は、ノイズがない場合には、データが反転する位置に拘泥せず一定となる。
【0114】
なお、チャンネル回路91においては、本件出願人が先に出願している特願2001−190658号に記載したように、積分時間はデータの1ビット長以下の所定長であってもよい。また、チャンネル回路91においては、相関加算器112,113,121,122,128,129のそれぞれによって例えばデータの1ビット長周期で相関値の絶対値加算値を算出し、その周期毎に、出力を更新するようにしてもよい。その場合、DLL102の位相制御は、データの1ビット長周期で行われることになる。
【0115】
さて、従来のコスタスループ及びDLLによって構成される復調器を含め、図8に示したチャンネル回路91においては、同相成分側の出力と直交成分側の出力との2乗和を相関値としているが、同期が保持されている状態では、直交成分側の出力は殆どノイズに近いものとなる。したがって、コスタスループ及びDLLにおいては、同期保持状態では、同相成分側の出力のみを用いた方が、直交成分側の出力のノイズの影響を受けないことから、S/Nが向上する。また、コスタスループ及びDLLにおいては、周波数のずれは小さいがキャリアの同期が未だとれていない状態、すなわち、位相があっていない状態では、同相成分側の出力と直交成分側の出力とのうち絶対値の大きい方について、その絶対値の2乗は、2乗和に比較して、最小(位相誤差が45°であるとき)で1/2であるが、同相成分側の出力と直交成分側の出力との両者のノイズは加算されず片側のみで済むことから、最小のときでも2乗和とS/Nが同一となる。
【0116】
そこで、GPS受信機10においては、同相成分側の出力と直交成分側の出力との2乗和ではなく、同相成分側の出力と直交成分側の出力との絶対値を相関値として同期判定及びDLLの位相制御を行う。具体的には、GPS受信機10においては、チャンネル回路911,912,・・・,91Nとして、図10に示すチャンネル回路91'を用いる。
【0117】
すなわち、チャンネル回路91'は、同図に示すように、IFキャリア同期用のコスタスループ101を含む回路に、上述した2乗和算出回路114に代えて、相関加算器112,113からの出力を比較して値が大きい方(Max(I,Q))を出力する最大値選択回路141を設ける。また、チャンネル回路91'は、拡散符号同期用のDLL102'に、上述した2乗和算出回路123に代えて、相関加算器121,122からの出力のうちいずれか一方を選択するセレクタ142を設けるとともに、上述した2乗和算出回路130に代えて、相関加算器128,129からの出力のうちいずれか一方を選択するセレクタ143を設ける。ここで、セレクタ142,143は、それぞれ、最大値選択回路141によって同相成分側の相関加算器112からの出力が選択された場合には、同相成分側の相関加算器121,128からの出力を選択し、最大値選択回路141によって直交成分側の相関加算器113からの出力が選択された場合には、直交成分側の相関加算器122,129からの出力を選択する。
【0118】
このように、チャンネル回路91'においては、同相成分側の出力と直交成分側の出力との2乗和ではなく、2値の大小を比較する回路を用いて同相成分側の出力と直交成分側の出力との絶対値を相関値として同期判定及びDLLの位相制御を行ってもS/Nが悪化することはない。また、チャンネル回路91'においては、同相成分側の出力又は直交成分側の出力の絶対値を相関値とすることにより、処理負荷も軽減される。
【0119】
なお、GPS受信機10においては、チャンネル回路91'に代えて、図11に示すように、位相がE,Lの拡散符号の両者とも、ハードウェア的に規模が大きいLPF及び相関加算器を1つにまとめたDLL102''を有するチャンネル回路91''としてもよい。
【0120】
すなわち、チャンネル回路91''においては、位相がEの拡散符号側の構成として、上述した乗算器117,118を1つの乗算器151とし、上述したLPF119,120を1つのLPF152とし、上述した相関加算器121,122を1つの相関加算器153とする。また、チャンネル回路91''においては、位相がLの拡散符号側の構成として、上述した乗算器124,125を1つの乗算器154とし、上述したLPF126,127を1つのLPF155とし、上述した相関加算器128,129を1つの相関加算器156とする。さらに、チャンネル回路91''においては、コスタスループ101におけるNCO104によって生成された再生キャリアにおけるサイン成分とコサイン成分とのうちいずれか一方を選択するセレクタ157を設ける。
【0121】
このようなチャンネル回路91''においては、最大値選択回路141によって同相成分側の相関加算器112からの出力が選択された場合には、NCO104によって生成された再生キャリアのうちのサイン成分がセレクタ157によって選択され、この信号がキャリアとして乗算器151,152に供給される。一方、チャンネル回路91''においては、最大値選択回路141によって直交成分側の相関加算器113からの出力が選択された場合には、NCO104によって生成された再生キャリアのうちのコサイン成分がセレクタ157によって選択され、この信号がキャリアとして乗算器151,152に供給される。
【0122】
このように、チャンネル回路91''は、チャンネル回路91'に比較して、LPF及び相関加算器を2個ずつ削減することができることから、先に図5に示した多チャンネルからなる同期保持部25に適用するにあたって、回路規模の削減に大いに有効である。
【0123】
さらに、GPS受信機10においては、チャンネル回路91''を改良し、図12に示すように、ゲート信号発生器168によって発生したゲート信号に基づいて、位相がE,Lの拡散符号のレートよりも遅く、且つ、LPFの帯域よりも十分に高い周波数で拡散符号の乗算器入力を切り替えることにより、相関値(E)と相関値(L)との差分を求めるタウディザ方式を採用するDLL102'''を有するチャンネル回路91'''とすることもできる。
【0124】
すなわち、チャンネル回路91'''は、ゲート信号発生器168によって一定周期でハイとローとを繰り返すゲート信号を発生する。このゲート信号の周波数は、例えばLPF165のカットオフ周波数が1kHzである場合には、数十kHzとする。チャンネル回路91'''においては、ゲート信号発生器168によって発生されたゲート信号がハイのときには、セレクタ161によって位相がEの拡散符号が選択され、ゲート信号がローのときには、セレクタ161によって位相がLの拡散符号が選択される。そして、チャンネル回路91'''においては、入力されたIF信号に対してセレクタ161によって選択された拡散符号が乗算器162によって乗算され、この信号に対してキャリアが乗算器164によって乗算される。さらに、チャンネル回路91'''においては、最大値選択回路141によって同相成分側の相関加算器112からの出力が選択された場合には、NCO104によって生成された再生キャリアのうちのサイン成分がセレクタ163によって選択され、この信号がキャリアとして乗算器164に供給される。一方、チャンネル回路91'''においては、最大値選択回路141によって直交成分側の相関加算器113からの出力が選択された場合には、NCO104によって生成された再生キャリアのうちのコサイン成分がセレクタ163によって選択され、この信号がキャリアとして乗算器164に供給される。
【0125】
そして、チャンネル回路91'''においては、乗算器164によって得られた信号がLPF165を介して相関加算器166に供給され、この相関加算器166によって相関値の絶対値加算値が算出され、算出結果が乗算器167に供給される。チャンネル回路91'''においては、相関加算器166からの出力とゲート信号発生器168からのゲート信号とが乗算器167によって乗算され、得られた結果がループフィルタ132に供給される。このとき、チャンネル回路91'''においては、乗算器167による乗算の際には、ゲート信号発生器168からのゲート信号がハイのときには"1"とし、ローのときには"0"として演算が行われる。
【0126】
このようなチャンネル回路91'''においては、位相がE,Lの拡散符号についてのLPF及び相関加算器が共通化されることから、チャンネル回路91''に比較して、さらに回路規模の削減を図ることができる。ただし、チャンネル回路91'''においては、タウディザ方式とすることにより、チャンネル回路91''に比較して、S/Nが3dB程度劣化することになる。なお、チャンネル回路91'''においては、相関値(E)と相関値(L)との差分が出力されるが、この差分は位相比較結果として位相制御に利用できるものであることから、チャンネル回路91,91',91''に設けられていた位相検出器は不要である。
【0127】
以下、上述したチャンネル回路91,91',91'',91'''におけるLPF、位相検出器、ループフィルタ、及び相関加算器の特徴について説明する。
【0128】
まず、LPFについて説明する。
【0129】
上述したチャンネル回路91,91',91'',91'''におけるLPFは、入力信号と拡散符号及び再生キャリアを乗算後、データ帯域以外の不要なデータを除去するものである。GPS受信機10においては、可能な限りLPFの帯域を狭くしてS/Nを上げたい場合や、多少感度が悪化しても応答速度を優先したい場合の両ケースがあることから、LPFの帯域幅は可変とするのが好ましい。
【0130】
そこで、GPS受信機10においては、帯域幅を可変とするために、図13に示すようにLPFを構成する。なお、同図においては、入力信号を1ビットであるものとしているが、多ビットであってもよい。GPS受信機10においては、受信信号が熱雑音よりもかなり低いレベルであることから、アナログ/ディジタル変換を2値化で行ったとしても、S/Nの劣化は僅かである。
【0131】
同図(A)に示すLPFは、同図(B)に示すRCフィルタの伝達関数を差分近似した無限インパルス応答(Infinite Impulse Response;IIR)フィルタである。このLPFは、1ビット又は多ビットからなる入力信号X[n]に対して2のべき乗kを乗算する乗算器171と、後述するレジスタ175から供給される信号Y[n−1]と2のべき乗kとを乗算する乗算器172と、レジスタ175から供給される信号Y[n−1]と乗算器172によって得られた信号kY[n−1]との差分をとる差分器173と、乗算器171によって得られた信号kX[n]と差分器173によって得られた信号(1−k)Y[n−1]とを加算する加算器174と、この加算器174によって得られたRCフィルタの差分近似式で表される信号を所定ビット長だけ保持するレジスタ175とからなる。なお、入力信号X[n]及び出力信号Y[n]における"n"は、離散的な時間を表すものである。
【0132】
このようなLPFにおいて、入力信号X[n]と多ビットからなる出力信号Y[n]との関係は、
Y[n]=(1−k)Y[n−1]+kX[n]
となり、加算器174から出力される信号がこの関係を満たすものとなる。このLPFにおいては、サンプリング周波数をfsとすると、時定数tc、カットオフ周波数fcは、それぞれ、
tc=RC=1/(kfs)、
fc=1/(2πRC)=kfs/(2π)、
k=1/(RCfs)
となる。したがって、LPFにおいては、k=2−16とし、サンプリング周波数をfs=18.414MHzとすると、時定数tcは3.56ミリ秒、カットオフ周波数fcは44.7Hzとなる。
【0133】
このようなLPFにおいては、入力信号X[n]は1ビット又は多ビットであり、値が"1"又は"−1"とされるが、入力信号X[n]及び出力信号Y[n]において、レジスタ175をMビット長とし、"1"を"100・・・0"、"−1"を"000・・・0"とみなし、kを2−L(Lは整数)とすれば、kX[n]の演算を行う乗算器171は、(M−L)ビットの左シフトを行うバレルシフタによって実現することができ、kY[n]の演算を行う乗算器172は、Lビットの右シフトを行うバレルシフタによって実現することができる。例えば、レジスタ175を22ビット長とし、k=2−16とすると、乗算器171は、6ビットの左シフトを行うバレルシフタによって実現することができ、乗算器172は、16ビットの右シフトを行うバレルシフタによって実現することができる。したがって、LPFにおいては、Lを外部から設定可能とした場合には、カットオフ周波数fcをオクターブ単位で可変とすることができる。また、LPFにおいては、"0"を"010・・・0"とみなし、この値との大小比較によって出力信号Y[n]の符号判定を行うことができる。さらに、LPFにおいては、レジスタ175に保持されたビット列の最上位ビットを除いた残りのビット列の最上位ビットを反転して出力することにより、出力信号Y[n]の値は、2の補数となる。
【0134】
つぎに、位相検出器について説明する。
【0135】
チャンネル回路91,91',91'',91'''には、コスタスループ101において位相検出器110が設けられるが、この位相検出器110に対する入力は、例えば必要なダイナミックレンジが10ビットであればLPFからの信号の上位10ビットとする。ここで、コスタスループにおける位相検出器110からの出力である位相比較結果出力で最も一般的なものは、同相成分側の出力と直交成分側の出力とを乗算した値I×Qであるが、この値は信号強度に対する依存性があり、好ましくないことから、位相比較結果出力を、直交成分側の出力と同相成分側の出力とを除算した値Q/Iとする変形コスタスループがある。この値Q/Iは、NCO104によって生成した再生キャリアと入力信号に含まれるキャリアとの位相差の正接(tangent)である。
【0136】
この値Q/Iの演算は、除算を含むことから、ハードウェア処理が困難であり、CPUによって算出するのが一般的であるが、複数チャンネルのコスタスループにおける処理は、1つのCPUによって行う場合には負荷が大きい。
【0137】
そこで、GPS受信機10においては、変形コスタスループを適用して値Q/Iの演算を行う場合には、この演算を以下のように近似することにより、ハードウェアによって構成しやすくする。
【0138】
まず、GPS受信機10においては、同相成分側の出力Iと直交成分側の出力Qとを、それぞれ、2の補数とし、両者の最上位ビットから正負を識別するとともに、他のビットから絶対値を検出する。続いて、GPS受信機10においては、絶対値で"1"がたっている最も上位のビット位置Sをチェックする。例えば、GPS受信機10においては、同相成分側の出力Iが"0001011001"である場合には、最下位から7ビット目が絶対値で"1"がたっている最も上位のビットであることから、最下位ビットの位置を"0"としてS=6とする。そして、GPS受信機10においては、直交成分側の出力Qの絶対値をSビットだけ右シフトした結果を、同相成分側の出力Iと直交成分側の出力Qとの符号関係を加味して2の補数に変換し、この値を位相比較結果出力とする。
【0139】
このように、GPS受信機10においては、同相成分側の出力Iを2Sで近似し、Q/Iの演算をシフト演算に置き換えることができることから、ハードウェアでの構成が容易に実現可能となる。なお、正確なQ/Iと近似によるQ/Iとの絶対誤差は、Q/I=0となるコスタスループが位相ロックする付近で小さいことから、この手法は、近似ではあるが同期時の位相誤差を十分小さくすることができる。
【0140】
ただし、位相誤差が90°に近い場合には、直交成分側の出力Qの値が大きくなり、同相成分側の出力Iの値が小さくなることから、値Q/Iは大きな値となり、位相検出器としては好ましくない。そこで、GPS受信機10においては、直交成分側の出力Qの絶対値をSビットだけ右シフトした結果が、所定値、例えば"2"よりも大きい場合には、位相比較結果出力の絶対値を"2"とするように、リミッタを設定する。GPS受信機10においては、リミッタ設定値が"1"である場合には、±90°の範囲においては±45°以内、リミッタ設定値が"2"である場合には、±90°の範囲においては±63.4°以内で位相比較特性が傾きを有する。リミッタ設定値が"2"である場合における位相比較特性は、図14に示すようになる。同図においては、横軸に角度を示し、縦軸に位相比較結果出力を示している。GPS受信機10においては、NCO104による再生キャリアと受信信号に含まれるキャリアとが同期している時点では、位相比較結果出力は、同図中黒丸で示す平衡点近傍の値となる。
【0141】
一方、チャンネル回路91,91',91''には、DLL102,102',102''のそれぞれにおいて位相検出器131が設けられるが、この位相検出器131に対する入力は、例えば必要なダイナミックレンジが10ビットであればLPFからの信号の上位10ビットとする。ここで、DLLにおける位相検出器131からの出力である位相比較結果出力で最も一般的なものは、位相がEとされる拡散符号についての出力と位相がLとされる拡散符号についての出力との差分値E−Lであるが、この値は信号強度に対する依存性があり、好ましくないことから、位相比較結果出力を、(E−L)/(E+L)とするのがよい。
【0142】
GPS受信機10においては、この値(E−L)/(E+L)の演算を行う位相検出器131も、上述したコスタスループにおけるQ/Iの演算を行う位相検出器110と同様に構成することができる。GPS受信機10においては、値(E−L)/(E+L)の演算を行う場合には、この演算を以下のように近似することにより、ハードウェアによって構成しやすくする。
【0143】
まず、GPS受信機10においては、(E−L)の演算と(E+L)の演算とを行う。続いて、GPS受信機10においては、値(E+L)で"1"がたっている最も上位のビット位置Sをチェックする。例えば、GPS受信機10においては、値(E+L)が"0001011001"である場合には、最下位から7ビット目が"1"がたっている最も上位のビットであることから、最下位ビットの位置を"0"としてS=6とする。そして、GPS受信機10においては、値(E−L)をSビットだけ右シフトした結果を、値(E−L)が負値である場合には符号拡張して2の補数に変換し、この値を位相比較結果出力とする。
【0144】
このように、GPS受信機10においては、値(E+L)を2Sで近似し、(E−L)/(E+L)の演算をシフト演算に置き換えることができることから、ハードウェアでの構成が容易に実現可能となる。なお、正確な(E−L)/(E+L)と近似による(E−L)/(E+L)との絶対誤差は、(E−L)/(E+L)=0となるDLLが位相ロックする付近で小さいことから、この手法は、近似ではあるが同期時の位相誤差を十分小さくすることができる。位相がPとされる拡散符号に対する位相がEとされる拡散符号及び位相がLとされる拡散符号のシフト量が±0.5チップである場合における位相比較特性は、図15に示すようになる。同図においては、横軸に単位をチップとした拡散符号の位相差を示し、縦軸に位相比較結果出力を示している。GPS受信機10においては、PNG134による再生符号と受信信号に含まれる拡散符号とが同期している時点では、位相比較結果出力は、同図中黒丸で示す平衡点近傍の値となる。
【0145】
つぎに、ループフィルタについて説明する。
【0146】
チャンネル回路91,91',91'',91'''においては、コスタスループ101におけるループフィルタ109及びDLL102,102',102'',102'''におけるループフィルタ132は、位相検出器によって出力された位相誤差を積分し、その出力によってNCOの位相を制御する。GPS受信機10においては、位相比較は、周波数オフセット、ランダム位相オフセットがある場合に最適フィルタとなる完全積分型のループフィルタによって実現される。
【0147】
図16(A)に示す完全積分型のループフィルタの等価回路を同図(B)に示す。このループフィルタにおける伝達関数F(s)は、
F(s)=(1−sτ2)/(sτ1)、τ1=R1C、τ2=R2C
である。これを差分近似すると、入力信号X[n]と出力信号Y[n]との関係は、
Y[n]=Y[n−1]+a(X[n]−X[n−1])+bX[n]、
a=τ2/τ1、b=T/τ1
となる。ここで、Tはサンプリング周期であり、サンプリング周波数は、LPFのカットオフ周波数よりも十分高くする。上式より、ループフィルタで設定するパラメータは、a,bの2個となる。これらのパラメータa,bを、それぞれ、a=2A、b=2B(A,Bは整数)とすると、上式におけるaX[n]、aX[n−1]、bX[n]は、それぞれ、Aビット又はBビットだけ左シフトすることによって演算することができ、上式に示す演算は、図17に示すループフィルタによって実現することができる。
【0148】
したがって、ループフィルタにおいては、A,Bの値を外部から設定可能とした場合には、受信状況に応じて、当該ループフィルタの帯域幅及び応答速度を可変とすることができる。
【0149】
GPS受信機10においては、ループフィルタからの出力によってNCOの周波数を制御し、位相誤差が正、すなわち、位相が進んでいる場合には、周波数を低くして位相を遅らせ、その逆である場合には、周波数を高くして位相を進める。GPS受信機10においては、加速度に対する耐性を強くする場合には、A,Bの値を大きめに設定し、チャンネル回路の応答速度を上げればよいが、受信信号がある瞬間だけ弱くなり、位相比較結果出力の誤差が大きくなると、ループフィルタのNCOに対する制御量が大きくなり過ぎ、同期が外れる場合が生じる。
【0150】
そこで、GPS受信機10においては、このような同期外れを回避するために、ループフィルタからの出力値の前の出力値に対する変化分の上限値及び下限値を設定可能とし、演算上の変化分a(X[n]−X[n−1])+bX[n]が、設定した上限値又は下限値を超過したした場合には、ループフィルタによって上限値又は下限値を出力させる。GPS受信機10においては、この上限値及び下限値を、DLLについては、ドップラシフト量とTCXO12の精度とから定まる拡散符号のチップレートの変動範囲、コスタスループについては、最大加速度時のNCO制御時間周期内でのキャリア周波数の変化量に基づいて決定する。
【0151】
GPS受信機10においては、このようなリミッタを設定することにより、位相誤差又は位相変化がある範囲内では応答速度が速いが、予測以上の変動に対しては急激に位相が変化せずに済み、受信信号が回復した時点で制御を正常に戻すことができる。
【0152】
つぎに、相関加算器について説明する。
【0153】
GPS受信機10においては、応答速度よりも感度に対する要求が強い場合には、上述した相関加算器112,113,121,122,128,129,166が、それぞれ、データ1ビット長である20ミリ秒毎に出力するとすれば、その出力をさらに連続して複数回にわたって加算することによって相関検出時間が長くなり、S/Nが向上する。
【0154】
そこで、GPS受信機10においては、チャンネル回路911,912,・・・,91Nとして、図18に示すチャンネル回路91''''を用いる。
【0155】
すなわち、チャンネル回路91''''は、先に図10に示したチャンネル回路91'を改良したものであり、同図に示すように、IFキャリア同期用のコスタスループ101を含む回路における上述した最大値選択回路141の後段に複数回加算器181を設ける。また、チャンネル回路91''''は、拡散符号同期用のDLL102''''における上述したセレクタ142の後段に複数回加算器182を設けるとともに、上述したセレクタ143の後段に複数回加算器183を設ける。
【0156】
このように、チャンネル回路91''''においては、データ1ビット長以下である相関加算器からの出力値を連続して複数回加算する複数回加算器181,182,183を設け、複数回加算後の値を各位相E,P,Lの拡散符号についての相関値として出力することにより、相関検出時間を長くすることができ、複数回加算後の位相がE,Lの拡散符号についての相関値で位相検出器131及びループフィルタ132を介してNCP133を制御することにより、S/Nを向上させることができる。GPS受信機10においては、複数回加算器181,182,183における加算回数については外部から設定可能な構成とする。例えば、GPS受信機10においては、加算回数を4回に設定した場合には、加算なしの場合に比較して6dB程度の感度改善が期待できる。
【0157】
なお、GPS受信機10においては、複数回加算を行うことによってDLL102''''の制御時間間隔が長くなる。例えば、GPS受信機10においては、加算なしの場合には、20ミリ秒毎に制御を行っていたのに対して、4回加算の場合には、80ミリ秒毎に制御を行うことになる。したがって、GPS受信機10においては、複数回加算を行うことによってS/Nの向上は図ることができるものの、時間遅れによるDLL102''''の応答劣化が生じることから、これを回避するために、例えば過去5回の値を複数回加算して20ミリ秒毎に出力するようにしてもよい。また、GPS受信機10においては、複数回加算を行う代わりに、移動平均を行うことも可能である。
【0158】
ここで、受信状況は、特にGPS受信機を移動体に適用した場合には、周辺環境に応じて信号強度やキャリア周波数が変化しやすく、また、静止状態にあっても、外来ノイズの影響等によってS/Nが時間的に変化するものである。そのため、GPS受信機においては、チャンネル回路の設定が固定のままでは受信状況の変化に対応することができず、同期を保持することができなくなる事態を招来する。
【0159】
これに対して、GPS受信機10においては、チャンネル回路におけるLPFのカットオフ周波数、コスタスループ及びDLLにおけるループフィルタの係数及びリミッタの範囲、並びに複数回加算器による加算回数を外部から設定可能としている。したがって、GPS受信機10においては、当該GPS受信機10の全体を制御するCPU26によって信号強度や加速度によるキャリア周波数の変化を全てのチャンネル回路について常時検知し、受信状況に応じてチャンネル毎の設定をダイナミックに変化させることにより、受信状況の変化に適切に対応することができる。
【0160】
一般に、GPS受信機においては、受信感度を向上させるためには、相関検出時間長を長くし、LPFの帯域幅も可能な限り狭くして、ノイズに対するコスタスループ及びDLLの応答を鈍らせる必要があるのに対して、加速度に対する耐性を向上させるためには、これとは逆に、ノイズに対するコスタスループ及びDLLの応答を速くする必要があることから、受信感度と加速度に対する耐性とは本質的には互いに両立しないものである。
【0161】
しかしながら、加速度が大きい場合における周波数変化に対して、受信信号が弱くS/Nが低い状態では、コスタスループとDLLとの応答を速くしても追従することはできないことから、GPS受信機10においては、CPU26によって相関加算器又は複数回加算器における信号強度を常時検知し、信号強度が大きい場合には、LPFのカットオフ周波数を上げ、ループフィルタのループ帯域幅が広くなるように係数を設定してコスタスループ及びDLLの応答が速くなるように設定する一方、信号強度が小さい場合には、LPFのカットオフ周波数を下げ、ループフィルタのループ帯域幅が狭くなるように係数を設定してコスタスループ及びDLLの応答をノイズ耐性の強い設定とすることにより、信号強度の大小に応じて優先度を変化させることができる。
【0162】
このとき、GPS受信機10においては、閾値を定めておき、信号強度の大小のみの判定に応じて各種設定を変更してもよいが、信号強度と各種設定値との段階的な組み合わせをテーブルとして予め保持しておくことにより、時々刻々変化する信号強度に対して、CPU26によってさらに柔軟に対応することができる。
【0163】
以上説明したように、GPS受信機10は、相関加算器からの出力値によって相関検出及びDLLの位相制御を行うことにより、相関検出の時間長を長くすることができ、LPFの狭帯域化を図ることができ、さらに、位相検出器及びループフィルタの特性に応じてノイズに対する耐性を向上させることができる。したがって、GPS受信機10は、一般的なコスタスループ及びDLLに比較して、受信感度を向上させることができる。
【0164】
また、GPS受信機10は、同相成分側の出力と直交成分側の出力とのうちいずれか一方のみを相関加算することにより、S/Nを改善することができ、且つ、LPF及び相関加算器の数を削減することができ、回路規模を大幅に削減することができる。
【0165】
さらに、GPS受信機10は、タウディザ方式を採用することにより、S/Nは劣化するものの、さらに相関加算器の数を削減することができる。
【0166】
さらにまた、GPS受信機10は、LPFの帯域幅、ループフィルタのループ帯域幅、及び相関加算時間をダイナミックに可変可能とすることにより、受信状況に応じて受信感度と応答速度とを制御することができる。そして、GPS受信機10は、信号強度に応じてダイナミックに設定を変更することにより、受信感度と加速度に対する耐性とのバランスをよくすることができる。
【0167】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、GPS受信機10におけるチャンネル回路について説明したが、本発明は、スペクトラム拡散信号を復調する復調器であれば、いかなるものでも適用することができる。
【0168】
また、上述した実施の形態では、同期捕捉部24として、先に図2に示したマッチドフィルタ50や先に図3に示したディジタルマッチドフィルタ60を用いるものとして説明したが、本発明は、同期捕捉部24による同期捕捉動作と等価な動作を行うことができるものであれば、いかなるものでも適用することができる。
【0169】
さらに、上述した実施の形態では、GPS受信機10を用いて説明したが、本発明は、衛星を利用した測位システム、すなわち、GNSSシステムを適用した受信機であれば、いかなるものであっても適用することができる。GNSSシステムとしては、米国における上述したGPSシステムの他、旧ソ連邦におけるGLONASS(Global Navigation Satellites System)や、欧州を中心として開発が進められているGALILEO等があるが、本発明は、これら全てのGNSSシステムを適用することができるものである。
【0170】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0171】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明にかかる復調装置は、スペクトラム拡散信号を復調する復調装置であって、再生キャリアと入力されたスペクトラム拡散信号に含まれるキャリアとの同期を確立する第1のループ回路と、再生符号と入力されたスペクトラム拡散信号に含まれる拡散符号との同期を確立する第2のループ回路とを備え、第1のループ回路及び第2のループ回路は、それぞれ、キャリアと拡散符号と入力されたスペクトラム拡散信号との乗算値のうち所定の周波数帯域成分を通過するフィルタ手段と、データ1ビット長又はデータ1ビット長以下の所定長を単位とし、フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、フィルタ手段を通過した信号のうち入力されたスペクトラム拡散信号における単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを加算する相関加算手段とを有し、この相関加算手段からの出力値に基づいて相関検出及び第2のループ回路の位相制御を行う。
【0172】
したがって、本発明にかかる復調装置は、フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、フィルタ手段を通過した信号のうち入力されたスペクトラム拡散信号における単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを相関加算手段によって加算し、得られた出力値に基づいて相関検出及び第2のループ回路の位相制御を行うことにより、受信感度の向上と加速度に対する耐性の向上とを両立させることができる。
【0173】
また、本発明にかかる受信装置は、衛星からの信号を受信して自己の位置及び速度を算出する受信装置であって、衛星からの信号を受信する受信手段と、この受信手段によって受信した受信信号の周波数を所定の中間周波数に変換する周波数変換手段と、この周波数変換手段によって得られた中間周波数信号における拡散符号の位相を検出する同期捕捉と中間周波数信号におけるキャリア周波数の検出とを行う同期捕捉手段と、この同期捕捉手段によって検出された拡散符号の位相及び同期捕捉手段によって検出されたキャリア周波数を、複数の衛星に対応して独立に設けられた複数のチャンネルのそれぞれに対して衛星毎に割り当てて設定し、設定した拡散符号の位相及びキャリア周波数を初期値として、拡散符号とキャリアとの同期保持を行うとともに、中間周波数信号に含まれるメッセージの復調を行う同期保持手段とを備え、スペクトラム拡散信号を復調する同期保持手段における複数のチャンネルは、それぞれ、再生キャリアと入力されたスペクトラム拡散信号に含まれるキャリアとの同期を確立する第1のループ回路と、再生符号と入力されたスペクトラム拡散信号に含まれる拡散符号との同期を確立する第2のループ回路とを有し、第1のループ回路及び第2のループ回路は、それぞれ、キャリアと拡散符号と入力されたスペクトラム拡散信号との乗算値のうち所定の周波数帯域成分を通過するフィルタ手段と、データ1ビット長又はデータ1ビット長以下の所定長を単位とし、フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、フィルタ手段を通過した信号のうち入力されたスペクトラム拡散信号における単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを加算する相関加算手段とを有し、複数のチャンネルは、それぞれ、相関加算手段からの出力値に基づいて相関検出及び第2のループ回路の位相制御を行う。
【0174】
したがって、本発明にかかる受信装置は、フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、フィルタ手段を通過した信号のうち入力されたスペクトラム拡散信号における単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを相関加算手段によって加算し、得られた出力値に基づいて相関検出及び第2のループ回路の位相制御を行いつつ、拡散符号とキャリアとの同期保持を行うことにより、受信感度の向上と加速度に対する耐性の向上とを両立させつつ、衛星からの信号における拡散符号及びキャリアの同期捕捉及び同期保持を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態として示すGPS受信機の構成を説明するブロック図である。
【図2】同GPS受信機が備える同期捕捉部として適用することができるトランスバーサルフィルタによるマッチドフィルタの構成を説明するブロック図である。
【図3】同GPS受信機が備える同期捕捉部として適用することができるFFTを利用したディジタルマッチドフィルタの構成を説明するブロック図である。
【図4】同GPS受信機が備える同期捕捉部として図3に示すディジタルマッチドフィルタを適用した場合における実際の実装例を説明するブロック図である。
【図5】同GPS受信機が備える同期保持部の構成を説明するブロック図である。
【図6】同GPS受信機が備える同期保持部における拡散符号の位相合わせについて説明するための図である。
【図7】同GPS受信機が備える同期保持部における拡散符号の位相補正について説明するための図である。
【図8】同GPS受信機が備える同期保持部が有するチャンネル回路の構成を説明するブロック図であって、相関加算器を設けたチャンネル回路の構成を説明するブロック図である。
【図9】相関加算器における処理を説明する図である。
【図10】同GPS受信機が備える同期保持部が有する他のチャンネル回路の構成を説明するブロック図であって、相関加算器からの出力の大小比較を行うチャンネル回路の構成を説明するブロック図である。
【図11】同GPS受信機が備える同期保持部が有するさらに他のチャンネル回路の構成を説明するブロック図であって、LPF及び相関加算器を1つにまとめたDLLを有するチャンネル回路の構成を説明するブロック図である。
【図12】同GPS受信機が備える同期保持部が有するさらに他のチャンネル回路の構成を説明するブロック図であって、タウディザ方式を採用したチャンネル回路の構成を説明するブロック図である。
【図13】LPFの構成を説明する図であって、(A)は、IIRフィルタの構成を示し、(B)は、RCフィルタの構成を示す図である。
【図14】コスタスループにおける位相比較特性を説明する図である。
【図15】DLLにおける位相比較特性を説明する図である。
【図16】完全積分型のループフィルタの等価回路の構成を説明する図であって、(A)は、ループフィルタの構成を示し、(B)は、(A)に示すループフィルタの等価回路の構成を示す図である。
【図17】完全積分型のループフィルタの構成を説明する図である。
【図18】同GPS受信機が備える同期保持部が有するさらに他のチャンネル回路の構成を説明するブロック図であって、相関検出時間を長くしたチャンネル回路の構成を説明するブロック図である。
【図19】GPS衛星からの信号の構成を説明する図である。
【図20】従来の拡散符号及びキャリアの同期処理を説明するための図であって、周波数サーチを説明するための図である。
【図21】スペクトラム拡散信号の復調器に適用される一般的なコスタスループ及びDLLの構成を説明するブロック図である。
【図22】拡散符号発生器によって発生される3つの位相の拡散符号を説明する図である。
【図23】ディジタルマッチドフィルタを用いて検出した相関値の時間変化を示す出力波形の例を説明する図である。
【符号の説明】
10 GPS受信機、 11 XO、 12 TCXO、 13 逓倍/分周器、 14 アンテナ、 15 LNA、 16 BPF、 17,20 増幅器、 18 周波数シンセサイザ、 19 ミキサ、 21,107,108,119,120,126,127,152,155,165 LPF、 22 A/D、 23 周波数変換部、 24 同期捕捉部、 25 同期保持部、 26 CPU、 27 RTC、 28 タイマ、 29,62,64,67 メモリ、 30 復調回路、 50 マッチドフィルタ、 60 ディジタルマッチドフィルタ、 61,81 サンプラ、 63,66 FFT処理部、 65,134 拡散符号発生器、 68,103,105,106,115,116,117,118,124,125,151,154,162,164,167,171,172 乗算器、 69 IFFT処理部、 70 ピーク検出器、 82 RAM、 83 RAM/ROM、 84 DSP、 91,911,912,・・・,91N,91',91'',91''',91'''' チャンネル回路、 92 コントロール・レジスタ、 101 コスタスループ、 102,102',102'',102''',102'''' DLL、 104,133 NCO、 109,132 ループフィルタ、 110,131 位相検出器、 111 2値化回路、 112,113,121,122,128,129,153,156,166 相関加算器、 114,123,130 2乗和算出回路、 141 最大値選択回路、 142,143,157,161,163 セレクタ、 168 ゲート信号発生器、 173 差分器、 174 加算器、175 レジスタ、 181,182,183 複数回加算器[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention is a demodulator that demodulates a spread spectrum signal, and a receiver to which the demodulator is applied, and receives a signal from a satellite in a so-called GNSS (Global Navigation Satellites System) and calculates its position and velocity. The present invention relates to a receiving device.
[0002]
[Prior art]
In recent years, GNSS systems that measure the position of a moving object on the ground using an artificial satellite are becoming widespread. As this GNSS system, for example, there is a global positioning system (hereinafter referred to as GPS). In this GPS system, a GPS receiver that receives signals from GPS satellites receives signals from at least four GPS satellites, calculates the position of the GPS receiver based on the received signals, and It is a basic function to notify to.
[0003]
In other words, the GPS receiver demodulates the signal from each GPS satellite to obtain the orbit information of each GPS satellite, and based on the orbit and time information of each GPS satellite and the delay time of the received signal, the GPS receiver Is derived by simultaneous equations. In the GPS system, at least four GPS satellites for obtaining received signals are required because there is an error between the internal time due to the clock provided in the GPS receiver and the time due to the atomic clock provided in the GPS satellite. This is because the pseudo distances from at least four GPS satellites are necessary to calculate the four unknown parameters of the three-dimensional position and the accurate time from which the influence of the above is removed.
[0004]
In the GPS system, when a consumer GPS receiver is used, a spread spectrum signal radio wave called a C / A (Clear and Acquisition) code is received from the GPS satellite (Navstar) and positioning calculation is performed. Do.
[0005]
The transmission signal called the L1 band and C / A code has a transmission signal speed, that is, a chip rate of 1.023 MHz, and a pseudo-random noise (PN) having a code length of 1023 such as a so-called Gold code. ) Binary phase shift keying (hereinafter referred to as BPSK modulation method) with respect to a carrier having a frequency of 1575.42 MHz (hereinafter referred to as carrier) using a signal obtained by directly spreading 50 bps data with a sequence spreading code. ). In this case, since the code length is 1023, as shown in the first stage in FIG. 19, the C / A code has a spread code of 1023 chips as one period, that is, one period = 1 millisecond (msec). Will be repeated.
[0006]
The spreading code of this C / A code is different for each GPS satellite, but which GPS satellite uses which spreading code can be detected in advance by a GPS receiver. Further, the GPS receiver can grasp which GPS satellite can receive a signal at that point and at that point by a navigation message described later. Therefore, for example, in the case of three-dimensional positioning, a GPS receiver receives radio waves from at least four or more GPS satellites that can be acquired at that point and at that time, performs spectrum despreading, and performs positioning calculation Thus, the position of itself is calculated.
[0007]
One bit of the signal data from the GPS satellite is transmitted for 20 cycles of the spread code, that is, in units of 20 milliseconds, as shown in the second stage in the figure. That is, the data transmission rate is 50 bps as described above. Further, 1023 chips for one cycle of the spread code are inverted when the bit is “1” and when it is “0”.
[0008]
Further, the signal from the GPS satellite forms one word with 30 bits, that is, 600 milliseconds, as shown in the third row in FIG. Furthermore, the signal from the GPS satellite forms one subframe in 10 words, that is, 6 seconds, as shown in the fourth row in FIG. In the signal from the GPS satellite, as shown in the fifth row in the figure, a preamble that always has a prescribed bit pattern is added to the first word of one subframe even when data is updated. Inserted, and data is transmitted following this preamble.
[0009]
Furthermore, signals from GPS satellites form 5 subframes, ie, 1 frame in 30 seconds. And in the signal from a GPS satellite, the navigation message mentioned above is transmitted in the data unit of this 1 frame.
[0010]
The first three subframes of the data of one frame are information specific to GPS satellites called ephemeris information. The ephemeris information includes a parameter for obtaining the orbit of the GPS satellite and a transmission time of the signal from the GPS satellite.
[0011]
All GPS satellites use the common time information by providing an atomic clock, and the transmission time of the signal from the GPS satellite included in the ephemeris information is in units of one second of the atomic clock. Further, the spread codes of GPS satellites are generated in synchronization with the atomic clock.
[0012]
The trajectory information included in the ephemeris information is updated every few hours, but is the same information until the update is performed. Therefore, the GPS receiver can use the same orbit information accurately for several hours by holding the orbit information included in the ephemeris information in the memory. Note that the signal transmission time from the GPS satellite is updated every second.
[0013]
On the other hand, the navigation messages of the remaining two subframes in one frame of data are information transmitted in common from all GPS satellites called almanac information. This almanac information is required for 25 frames in order to acquire all information, and is composed of approximate position information of each GPS satellite, information indicating which GPS satellite can be used, and the like. This almanac information is updated every several months, but is the same information until the update is performed. Therefore, the GPS receiver can use the same information accurately for several months by holding the almanac information in the memory.
[0014]
In order to receive the signal from the GPS satellite and obtain the above-mentioned data, the GPS receiver first removes the carrier and then uses the same spreading code as the C / A code used by the GPS satellite to be received. Using the signal from the GPS satellite, the signal from the GPS satellite is captured by phase-synchronizing the C / A code and the spectrum is despread. When the GPS receiver performs spectrum despreading in phase synchronization with the C / A code, bits are detected, and a navigation message including time information and the like can be acquired based on a signal from a GPS satellite. Become.
[0015]
The GPS receiver captures a signal from a GPS satellite by a phase-locked search of a C / A code. As this phase-locked search, a correlation between a spread code generated by itself and a spread code of a received signal from a GPS satellite is performed. For example, when the correlation value of the correlation detection result is larger than a predetermined value, it is determined that the two are synchronized. If the GPS receiver determines that synchronization is not achieved, it uses some synchronization technique to control the phase of the spreading code generated by itself and synchronize it with the spreading code of the received signal. Yes.
[0016]
By the way, as described above, the signal from the GPS satellite is a signal obtained by modulating the carrier based on the BPSK modulation method with the signal obtained by spreading the data with the spreading code. Therefore, in order to receive a signal from a GPS satellite, the GPS receiver needs to synchronize not only the spreading code but also the carrier and data, but cannot synchronize the spreading code and the carrier independently.
[0017]
The GPS receiver usually converts the received signal into an IF signal by converting the carrier frequency of the received signal into an intermediate frequency (hereinafter referred to as IF) within several MHz, and the IF signal is used to convert the received signal into the IF signal. Perform the synchronization detection process. The carrier in the IF signal (hereinafter referred to as IF carrier) mainly includes a frequency error due to Doppler shift according to the moving speed of the GPS satellite, and an internal part of the GPS receiver when the received signal is converted into an IF signal. The frequency error of the local oscillator generated by
[0018]
Therefore, in the GPS receiver, since the IF carrier frequency is unknown due to these frequency error factors, it is necessary to search for the frequency. In addition, since the synchronization point (synchronization phase) within one cycle of the spread code is unknown due to dependence on the positional relationship between the GPS receiver and the GPS satellite, the GPS receiver described above Thus, some kind of synchronization method is required.
[0019]
A conventional GPS receiver uses a synchronization method that combines a frequency search for a carrier, synchronization acquisition by a sliding correlator, and synchronization maintenance by a DLL (Delay Locked Loop) and a Costas loop. Hereinafter, this synchronization method will be described.
[0020]
As a clock for driving a spread code generator of a GPS receiver, a clock obtained by dividing a reference frequency oscillator prepared in the GPS receiver is generally used. A high-precision crystal oscillator is used as the reference frequency oscillator, and the GPS receiver uses a local oscillation signal used to convert a received signal from a GPS satellite into an IF signal based on the output of the reference frequency oscillator. Generate.
[0021]
Here, FIG. 20 shows the processing contents for the frequency search. The GPS receiver performs a phase synchronization search for a spread code when the frequency of the clock signal that drives the spread code generator is a certain frequency f1. That is, the GPS receiver detects the correlation between the received signal from the GPS satellite and the spreading code at each chip phase by sequentially shifting the phase of the spreading code by one chip, and detects the correlation peak. Thus, a phase that can be synchronized is detected. In addition, when the frequency of the clock signal is f1, the GPS receiver changes the frequency division ratio with respect to the reference frequency oscillator, for example, if there is no phase that is synchronized in all the phase searches for 1023 chips. The frequency of the signal is changed to another frequency f2, and the phase search for 1023 chips is similarly performed. The GPS receiver implements a frequency search by repeating such an operation by changing the frequency of the clock signal stepwise.
[0022]
When the GPS receiver detects the frequency of the clock signal that can be synchronized by performing such a frequency search, the GPS receiver performs phase synchronization of the final spread code at the frequency of the clock signal. As a result, the GPS receiver can capture a signal from a GPS satellite even when there is a deviation in the oscillation frequency of the crystal oscillator.
[0023]
A Costas loop and DLL applied to a spread spectrum signal demodulator such as a GPS receiver are generally configured as shown in FIG. In this circuit, IF carrier synchronization is performed by the
[0024]
That is, in the
[0025]
In the
[0026]
Thus, in the
[0027]
On the other hand, in the
[0028]
In the
[0029]
As described above, in the
[0030]
However, such a conventional synchronization method is not suitable for high-speed synchronization in principle. In the GPS receiver, if it takes time to synchronize the spread code and the IF carrier, the reaction becomes slow and inconvenience occurs in use. Therefore, in an actual GPS receiver, in order to compensate for this disadvantage, the time until synchronization acquisition is shortened by parallel processing by increasing the number of channels.
[0031]
On the other hand, as a technique for performing high-speed acquisition of a spread spectrum signal instead of the above-described technique using sliding correlation, a matched filter is used. The matched filter can be digitally realized by a so-called transversal filter. In addition, as a matched filter, a spread code is obtained by a digital matched filter using a fast Fourier transform (hereinafter referred to as FFT) due to an improvement in hardware capability represented by a recent DSP (Digital Signal Processor). A technique for performing high-speed synchronization is realized. The latter is based on a correlation calculation speed-up method that has been known for a long time.
[0032]
By using these matched filters, the GPS receiver detects a correlation peak, for example, as shown in FIG. 23 for one period of the output waveform when there is a correlation. The position of this peak indicates the beginning of the spread code. By detecting this peak, the GPS receiver can acquire synchronization, that is, detect the phase of the spread code in the received signal. Further, the GPS receiver can detect the IF carrier frequency together with the phase of the spread code by using the above-described digital matched filter using FFT and performing an operation in the frequency domain of the FFT. Then, the GPS receiver converts the phase of the spread code into a pseudorange, and can calculate the position of the GPS receiver when at least four GPS satellites are detected. Based on this, the speed of the GPS receiver can be calculated.
[0033]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in the GPS receiver using the DLL and the Costas loop described above, it is expected that the reception area is expanded by increasing the sensitivity, and on the other hand, resistance to acceleration is also required.
[0034]
In this GPS receiver, in order to achieve high sensitivity, it is necessary to correlate with the spreading code in consideration of bit inversion of the navigation message in order to increase the time length of correlation detection. In a GPS receiver, it is necessary to reduce the signal bandwidth and improve the signal-to-noise ratio (S / N) as much as possible.
[0035]
On the other hand, in a GPS receiver, resistance to acceleration is resistance to a change in carrier frequency due to a change in Doppler frequency due to movement of the GPS receiver, and is to increase a response speed. Therefore, in a GPS receiver, improving the resistance to acceleration basically contradicts the narrowing of the band for high sensitivity.
[0036]
Therefore, in the DLL and the Costas loop, priority is given to either high sensitivity or resistance to acceleration according to the application, or a balance between the two is given, or dynamic control is performed according to the reception situation. It is preferable that it can respond according to the setting.
[0037]
These problems are not limited to GPS receivers, but are common to all mobile communications employing a spread spectrum and direct spread modulation scheme similar to GPS signals.
[0038]
The present invention has been made in view of such circumstances, and provides a spread spectrum signal demodulator capable of improving the reception sensitivity and improving the resistance to acceleration as compared to general DLL and Costas loop. The purpose is to do. Another object of the present invention is to provide a receiving apparatus that can easily perform synchronization acquisition and synchronization synchronization of spreading codes and carriers in signals from GPS satellites by applying this demodulating apparatus.
[0039]
[Means for Solving the Problems]
A demodulating device according to the present invention that achieves the above-described object is a demodulating device that demodulates a spread spectrum signal, and establishes synchronization between a reproduction carrier and a carrier included in an input spread spectrum signal. And a second loop circuit that establishes synchronization between the reproduction code and the spread code included in the input spread spectrum signal, and the first loop circuit and the second loop circuit are respectively a carrier and a spread code. Integrate the signal that has passed through the filter means with a filter unit that passes a predetermined frequency band component of the multiplication value of the input spectrum spread signal and the
[0040]
Such a demodulator according to the present invention inverts the first correlation value obtained by integrating the signal that has passed through the filter means and the half-length portion of the unit in the input spread spectrum signal among the signals that have passed through the filter means. The second correlation value obtained by integrating the obtained signals is added by the correlation adding means, and correlation detection and phase control of the second loop circuit are performed based on the obtained output value.
[0041]
In addition, a receiving apparatus according to the present invention that achieves the above-described object is a receiving apparatus that receives a signal from a satellite and calculates its position and velocity, and a receiving unit that receives the signal from the satellite; Frequency conversion means for converting the frequency of the received signal received by the reception means to a predetermined intermediate frequency, and synchronization acquisition for detecting the phase of the spread code in the intermediate frequency signal obtained by the frequency conversion means, and carrier frequency in the intermediate frequency signal Synchronization acquisition means for detecting the signal, and the phase of the spread code detected by the synchronization acquisition means and the carrier frequency detected by the synchronization acquisition means for a plurality of channels provided independently for a plurality of satellites. Assigned to each satellite and set for each, spreading code with phase and carrier frequency of the set spreading code as initial values A plurality of channels in the synchronization holding means for demodulating the spread spectrum signal, each of which has been input as a reproduction carrier, and a synchronization holding means for demodulating a message included in the intermediate frequency signal. A first loop circuit that establishes synchronization with the carrier included in the spread spectrum signal, and a second loop circuit that establishes synchronization between the reproduction code and the spread code included in the input spread spectrum signal, Each of the first loop circuit and the second loop circuit includes a filter unit that passes a predetermined frequency band component of a multiplication value of a carrier, a spread code, and an input spread spectrum signal, and a data bit length or data A first correlation value obtained by integrating the signal that has passed through the filter means with a predetermined length of 1 bit or less as a unit, Correlation addition means for adding a second correlation value obtained by integrating a signal obtained by inverting a half length unit of a unit in the input spread spectrum signal among the signals that have passed through the data means, and the plurality of channels are: Each is characterized by performing correlation detection and phase control of the second loop circuit based on the output value from the correlation adding means.
[0042]
Such a receiving apparatus according to the present invention inverts the first correlation value obtained by integrating the signal that has passed through the filter means and the half-length portion of the unit in the input spread spectrum signal among the signals that have passed through the filter means. The second correlation value obtained by integrating the obtained signals is added by the correlation adding means, and the correlation detection and the phase control of the second loop circuit are performed based on the obtained output value, and the synchronization between the spread code and the carrier is maintained. I do.
[0043]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, specific embodiments to which the present invention is applied will be described in detail with reference to the drawings.
[0044]
In this embodiment, a global positioning system (hereinafter referred to as GPS), which is a kind of GNSS (Global Navigation Satellites System) system that measures the position of a moving body on the ground using an artificial satellite. This is a GPS receiver that receives signals from at least four GPS satellites and calculates its position based on the received signals. This GPS receiver receives a spread spectrum signal radio wave called a C1 / A (Clear and Acquisition) code as a reception signal, and is a general demodulator that demodulates a spread spectrum signal. It is possible to improve the reception sensitivity and improve the resistance to acceleration as compared with the DLL (Delay Locked Loop) and the Costas loop.
[0045]
As shown in FIG. 1, the GPS receiver, when demodulating the received signal, spreads a pseudo-random noise (PN) sequence generated by itself and a spreading code in the received signal. By separating the function for capturing synchronization with the function for maintaining the synchronization between the spread code and the carrier wave (hereinafter referred to as carrier), the synchronization acquisition speed can be increased with a small circuit scale. It can be done. In the
[0046]
In the following, first, the overall configuration of the
[0047]
First, the overall configuration of the GPS receiver will be described.
[0048]
As shown in the figure, the
[0049]
The
[0050]
The
[0051]
The multiplier /
[0052]
The
[0053]
The
[0054]
The LNA 15 amplifies the reception RF signal D5 received by the
[0055]
The
[0056]
The
[0057]
The
[0058]
The
[0059]
The
[0060]
The
[0061]
The A / D 22 converts the analog amplified IF signal D13 passed by the
[0062]
In the
[0063]
Further, the
[0064]
Although the details will be described later, the
[0065]
Although the details will be described later, the
[0066]
The
[0067]
The
[0068]
The
[0069]
The
[0070]
In the
[0071]
In the
[0072]
The
[0073]
Now, the
[0074]
As described above, the
[0075]
Further, the
[0076]
Specifically, as shown in the figure, the digital matched
[0077]
In this digital matched
[0078]
In the example shown in the figure, the
[0079]
The
[0080]
However, in the
[0081]
Therefore, in the
[0082]
The
[0083]
The IF carrier frequency includes an error of the
[0084]
Since the
[0085]
[0086]
A
[0087]
Such a
[0088]
Here, in the circuit combining the conventional Costas loop and the DLL, since the phase of the spreading code in the received signal is unknown, the IF carrier frequency generated by the DLL and the period of the spreading code are slightly shifted, and the IF signal In the process of sliding the phase with respect to the spread code, a phase having a significant intensity correlation was detected. Therefore, in the conventional circuit, in the worst case, the detection is performed for the carrier frequency in the range of several kHz and all the phases in the spreading code having a code length of 1023. It took quite a while to establish.
[0089]
On the other hand, in the
[0090]
In the
[0091]
As described above, in the
[0092]
As described above, the
[0093]
In the
[0094]
These two examples are values that are relatively close to reality. In the
[0095]
Thus, in the past, correlation detection was performed using a DLL and a Costas loop while changing the IF carrier frequency in the range of the error of the oscillator and the amount of Doppler shift. In contrast, in the
[0096]
As described above, the
[0097]
In general, in a GPS receiver, a common crystal oscillator is used as a source oscillator that generates a clock for signal processing in a local oscillator and a baseband processing unit in a frequency conversion unit. As previously shown in FIG. 1, the source oscillator of the local oscillator in the
[0098]
The reason why such correction is possible is as follows.
[0099]
In the
FIF+ ΔFIF= FRF+ ΔFD-FLO= FRF+ ΔFD-N × (FOSC+ ΔFOSC)
It becomes. Therefore, in the
FIF+ ΔFIF, ΔFIF= ΔFD-N × ΔFOSC
It becomes. What is important here is that what the
[0100]
Here, if the timer counts 1 millisecond, which is one cycle length of the spread code, at the nominal oscillation frequency by the
(1-ΔFD/ FRF) / (1-ΔFOSC/ FOSC) ≒ 1-ΔFD/ FRF+ ΔFOSC/ FOSC
It becomes. Furthermore, if the right side of this equation is transformed,
1-ΔFIF/ FRF+ (ΔFOSC/ FOSC) X (FIF/ (N × FOSC)) ≒ 1-ΔFIF/ FRF
It becomes. As described above, in the
[0101]
As a result, in the
[0102]
Information necessary for such a method of correcting the phase of the spread code is only the IF carrier frequency detected by the
[0103]
Now, a specific configuration of the
[0104]
[0105]
Here, in the conventional Costas loop and DLL, the synchronization determination is performed using the square sum of the output from the LPF on the in-phase component (I) side and the output from the LPF on the quadrature component (Q) side as a correlation value. .
[0106]
On the other hand, in the
[0107]
That is, the
[0108]
In the
[0109]
In the
[0110]
On the other hand, in the
[0111]
The correlation adders 121, 122, 128, and 129 in the
[0112]
In the
[0113]
Thus, in the
[0114]
In the
[0115]
Now, in the
[0116]
Therefore, in the
[0117]
That is, the
[0118]
In this way, in the
[0119]
In the
[0120]
That is, in the
[0121]
In such a
[0122]
As described above, the
[0123]
Further, in the
[0124]
That is, the
[0125]
In the
[0126]
In such a
[0127]
Hereinafter, characteristics of the LPF, the phase detector, the loop filter, and the correlation adder in the above-described
[0128]
First, the LPF will be described.
[0129]
The LPF in the above-described
[0130]
Therefore, in the
[0131]
The LPF shown in FIG. 6A is an Infinite Impulse Response (IIR) filter that approximates the transfer function of the RC filter shown in FIG. This LPF is composed of a
[0132]
In such an LPF, the relationship between the input signal X [n] and the multi-bit output signal Y [n] is
Y [n] = (1-k) Y [n-1] + kX [n]
Thus, the signal output from the
tc= RC = 1 / (kfs),
fc= 1 / (2πRC) = kfs/ (2π),
k = 1 / (RCfs)
It becomes. Therefore, in LPF, k = 2-16And the sampling frequency is fs= 18.414 MHz, time constant tcIs 3.56 milliseconds, cutoff frequency fcBecomes 44.7 Hz.
[0133]
In such an LPF, the input signal X [n] is 1 bit or multi-bit, and the value is “1” or “−1”, but the input signal X [n] and the output signal Y [n] , The
[0134]
Next, the phase detector will be described.
[0135]
The
[0136]
Since the calculation of the value Q / I includes division, it is difficult to perform hardware processing and is generally calculated by a CPU. However, processing in a multi-channel Costas loop is performed by one CPU. There is a heavy load.
[0137]
Therefore, in the
[0138]
First, in the
[0139]
Thus, in the
[0140]
However, when the phase error is close to 90 °, the value of the output Q on the quadrature component side increases and the value of the output I on the in-phase component side decreases, so the value Q / I becomes a large value, and phase detection It is not preferable as a vessel. Therefore, in the
[0141]
On the other hand, the
[0142]
In the
[0143]
First, in the
[0144]
Thus, in the
[0145]
Next, the loop filter will be described.
[0146]
In the
[0147]
FIG. 16B shows an equivalent circuit of the complete integration type loop filter shown in FIG. The transfer function F (s) in this loop filter is
F (s) = (1−sτ2) / (Sτ1), Τ1= R1C, τ2= R2C
It is. When this is approximated by a difference, the relationship between the input signal X [n] and the output signal Y [n] is
Y [n] = Y [n−1] + a (X [n] −X [n−1]) + bX [n],
a = τ2/ Τ1, B = T / τ1
It becomes. Here, T is a sampling period, and the sampling frequency is sufficiently higher than the cutoff frequency of the LPF. From the above equation, two parameters a and b are set by the loop filter. These parameters a and b are respectively set to a = 2.A, B = 2B(A and B are integers), aX [n], aX [n−1], and bX [n] in the above equation can be calculated by left-shifting by A or B bits, The calculation shown in the above equation can be realized by the loop filter shown in FIG.
[0148]
Therefore, in the loop filter, when the values of A and B can be set from the outside, the bandwidth and response speed of the loop filter can be made variable according to the reception situation.
[0149]
In the
[0150]
Therefore, in order to avoid such a loss of synchronization, the
[0151]
In the
[0152]
Next, the correlation adder will be described.
[0153]
In the
[0154]
Therefore, in the
[0155]
That is, the
[0156]
As described above, the
[0157]
In the
[0158]
Here, especially when the GPS receiver is applied to a moving body, the signal intensity and the carrier frequency are likely to change depending on the surrounding environment, and the reception status is affected by external noise even in a stationary state. The S / N changes with time. Therefore, in the GPS receiver, if the setting of the channel circuit remains fixed, it is not possible to cope with a change in the reception situation, and a situation in which synchronization cannot be maintained is caused.
[0159]
On the other hand, in the
[0160]
In general, in a GPS receiver, in order to improve reception sensitivity, it is necessary to lengthen the correlation detection time length and narrow the LPF bandwidth as much as possible, and to blunt the Costas loop and DLL response to noise. On the other hand, in order to improve the resistance to acceleration, on the contrary, it is necessary to speed up the Costas loop and DLL response to noise. Are incompatible with each other.
[0161]
However, if the received signal is weak and the S / N is low with respect to frequency changes when acceleration is large, the
[0162]
At this time, in the
[0163]
As described above, the
[0164]
Further, the
[0165]
Further, the
[0166]
Furthermore, the
[0167]
The present invention is not limited to the embodiment described above. For example, although the channel circuit in the
[0168]
In the above-described embodiment, the description has been made assuming that the matched
[0169]
Further, although the
[0170]
Thus, it goes without saying that the present invention can be modified as appropriate without departing from the spirit of the present invention.
[0171]
【The invention's effect】
As described above in detail, the demodulating device according to the present invention is a demodulating device that demodulates a spread spectrum signal, and establishes synchronization between a reproduced carrier and a carrier included in an input spread spectrum signal. A loop circuit, and a second loop circuit that establishes synchronization between the reproduction code and the spread code included in the input spread spectrum signal. The first loop circuit and the second loop circuit are respectively a carrier and Filter means that passes a predetermined frequency band component of the multiplication value of the spread code and the input spread spectrum signal, and a signal that has passed through the filter means in units of a predetermined length of
[0172]
Therefore, the demodulating device according to the present invention inverts the first correlation value obtained by integrating the signal that has passed through the filter means and the half-length portion of the unit in the input spread spectrum signal among the signals that have passed through the filter means. The second correlation value obtained by integrating the signal is added by the correlation adding means, and the correlation detection and the phase control of the second loop circuit are performed based on the obtained output value, thereby improving the reception sensitivity and resistance to acceleration. It is possible to achieve both improvement.
[0173]
The receiving apparatus according to the present invention is a receiving apparatus that receives a signal from a satellite and calculates its own position and velocity, a receiving means for receiving a signal from the satellite, and a reception received by the receiving means. Frequency conversion means for converting the frequency of the signal to a predetermined intermediate frequency, and synchronization acquisition for detecting the phase of the spread code in the intermediate frequency signal obtained by the frequency conversion means and detecting the carrier frequency in the intermediate frequency signal The acquisition means, the phase of the spread code detected by the synchronization acquisition means, and the carrier frequency detected by the synchronization acquisition means for each of a plurality of channels provided independently corresponding to the plurality of satellites. Assigning and setting the phase and carrier frequency of the set spreading code as initial values, and maintaining synchronization between the spreading code and the carrier And a synchronization holding means for demodulating the message included in the intermediate frequency signal, and each of the plurality of channels in the synchronization holding means for demodulating the spread spectrum signal is included in the spread spectrum signal input to the reproduction carrier. A first loop circuit that establishes synchronization with the carrier, and a second loop circuit that establishes synchronization between the reproduction code and the spread code included in the input spread spectrum signal, Each of the second loop circuits includes a filter unit that passes a predetermined frequency band component of a multiplication value of a carrier, a spread code, and an input spread spectrum signal, and a predetermined data having a
[0174]
Therefore, the receiving apparatus according to the present invention inverts the first correlation value obtained by integrating the signal that has passed through the filter means and the half-length portion of the unit in the input spread spectrum signal among the signals that have passed through the filter means. The second correlation value obtained by integrating the signal is added by the correlation adding means, and the correlation detection and the phase control of the second loop circuit are performed based on the obtained output value, and the synchronization between the spread code and the carrier is maintained. By doing so, it is possible to easily acquire and maintain synchronization of spreading codes and carriers in a signal from a satellite, while improving both reception sensitivity and resistance to acceleration.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a block diagram illustrating a configuration of a GPS receiver shown as an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a block diagram illustrating a configuration of a matched filter using a transversal filter that can be applied as a synchronization acquisition unit included in the GPS receiver.
FIG. 3 is a block diagram illustrating a configuration of a digital matched filter using FFT that can be applied as a synchronization acquisition unit included in the GPS receiver.
4 is a block diagram for explaining an actual implementation example when the digital matched filter shown in FIG. 3 is applied as a synchronization acquisition unit provided in the GPS receiver. FIG.
FIG. 5 is a block diagram illustrating a configuration of a synchronization holding unit included in the GPS receiver.
FIG. 6 is a diagram for explaining phase alignment of spread codes in a synchronization holding unit provided in the GPS receiver.
FIG. 7 is a diagram for explaining spread code phase correction in a synchronization holding unit included in the GPS receiver;
FIG. 8 is a block diagram illustrating a configuration of a channel circuit included in a synchronization holding unit included in the GPS receiver, and a block diagram illustrating a configuration of a channel circuit provided with a correlation adder.
FIG. 9 is a diagram illustrating processing in a correlation adder.
FIG. 10 is a block diagram illustrating a configuration of another channel circuit included in a synchronization holding unit included in the GPS receiver, and a block diagram illustrating a configuration of a channel circuit that compares the sizes of outputs from a correlation adder. It is.
FIG. 11 is a block diagram for explaining a configuration of still another channel circuit included in the synchronization holding unit included in the GPS receiver, and a configuration of a channel circuit having a DLL in which the LPF and the correlation adder are combined into one; It is a block diagram to explain.
FIG. 12 is a block diagram illustrating the configuration of still another channel circuit included in the synchronization holding unit included in the GPS receiver, and is a block diagram illustrating the configuration of a channel circuit adopting a taudizer system.
13A and 13B are diagrams illustrating the configuration of an LPF, where FIG. 13A shows the configuration of an IIR filter, and FIG. 13B shows the configuration of an RC filter.
FIG. 14 is a diagram illustrating phase comparison characteristics in a Costas loop.
FIG. 15 is a diagram illustrating phase comparison characteristics in DLL.
16A and 16B are diagrams for explaining the configuration of an equivalent circuit of a complete integration type loop filter, in which FIG. 16A shows the configuration of the loop filter, and FIG. 16B shows the equivalent circuit of the loop filter shown in FIG. FIG.
FIG. 17 is a diagram illustrating a configuration of a complete integration type loop filter.
FIG. 18 is a block diagram illustrating the configuration of still another channel circuit included in the synchronization holding unit included in the GPS receiver, and is a block diagram illustrating the configuration of a channel circuit with a long correlation detection time.
FIG. 19 is a diagram illustrating a configuration of a signal from a GPS satellite.
FIG. 20 is a diagram for explaining a conventional spreading code and carrier synchronization process, and a diagram for explaining a frequency search;
FIG. 21 is a block diagram illustrating a general Costas loop and DLL configuration applied to a spread spectrum signal demodulator.
FIG. 22 is a diagram for explaining three phase spread codes generated by a spread code generator;
FIG. 23 is a diagram illustrating an example of an output waveform showing a temporal change in a correlation value detected using a digital matched filter.
[Explanation of symbols]
10 GPS receiver, 11 XO, 12 TCXO, 13 multiplier / divider, 14 antenna, 15 LNA, 16 BPF, 17, 20 amplifier, 18 frequency synthesizer, 19 mixer, 21, 107, 108, 119, 120, 126 , 127, 152, 155, 165 LPF, 22 A / D, 23 Frequency converter, 24 Synchronization acquisition unit, 25 Synchronization holding unit, 26 CPU, 27 RTC, 28 Timer, 29, 62, 64, 67 Memory, 30 Demodulation Circuit, 50 matched filter, 60 digital matched filter, 61, 81 sampler, 63, 66 FFT processing unit, 65, 134 spreading code generator, 68, 103, 105, 106, 115, 116, 117, 118, 124, 125 , 151,154,1 62,164,167,171,172 multiplier, 69 IFFT processing unit, 70 peak detector, 82 RAM, 83 RAM / ROM, 84 DSP, 91, 911, 912, ..., 91N, 91 ′, 91 ″, 91 ′ ″, 91 ″ ″ channel circuit, 92 control register, 101 Costas loop, 102, 102 ′, 102 ″, 102 ′ ″, 102 ″ ″ DLL 104, 133 NCO, 109, 132 loop filter, 110, 131 phase detector, 111 binarization circuit, 112, 113, 121, 122, 128, 129, 153, 156, 166 correlation adder, 114, 123, 130 square sum calculation circuit, 141 maximum value selection circuit, 142, 143, 157, 161, 163 selector, 168 gate signal generator, 173 differentiator, 174 adder, 175 register, 181, 182, 183 multiple adders
Claims (22)
再生キャリアと入力された上記スペクトラム拡散信号に含まれるキャリアとの同期を確立する第1のループ回路と、
再生符号と入力された上記スペクトラム拡散信号に含まれる拡散符号との同期を確立する第2のループ回路とを備え、
上記第1のループ回路及び上記第2のループ回路は、それぞれ、キャリアと拡散符号と入力された上記スペクトラム拡散信号との乗算値のうち所定の周波数帯域成分を通過するフィルタ手段と、
データ1ビット長又はデータ1ビット長以下の所定長を単位とし、上記フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、上記フィルタ手段を通過した信号のうち入力された上記スペクトラム拡散信号における上記単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを絶対値加算する相関加算手段とを有し、
上記相関加算手段からの出力値に基づいて相関検出及び上記第2のループ回路の位相制御を行うことを特徴とする復調装置。A demodulator that demodulates a spread spectrum signal,
A first loop circuit for establishing synchronization between the regenerative carrier and the carrier included in the input spread spectrum signal;
A second loop circuit for establishing synchronization between the reproduction code and the spread code included in the input spread spectrum signal;
Each of the first loop circuit and the second loop circuit includes a filter unit that passes a predetermined frequency band component of a multiplication value of a carrier, a spread code, and the input spread spectrum signal, and
The first correlation value obtained by integrating the signal that has passed through the filter means, with the unit of the data 1 bit length or a predetermined length less than the data 1 bit length, and the spread spectrum signal that has been input among the signals that have passed through the filter means Correlation addition means for adding absolute values to a second correlation value obtained by integrating a signal obtained by inverting the half length part of the unit in
A demodulator that performs correlation detection and phase control of the second loop circuit based on an output value from the correlation adding means.
上記第2のループ回路は、上記第1の位相よりも進んだ第2の位相とされる拡散符号についての上記相関加算手段から出力された同相成分側の出力値と直交成分側の出力値とのうちいずれか一方を選択するとともに、上記第1の位相よりも遅れた第3の位相とされる拡散符号のそれぞれについての上記相関加算手段から出力された同相成分側の出力値と直交成分側の出力値とのうちいずれか一方を選択する選択手段を有し、
上記選択手段は、上記第1の位相とされる拡散符号についての上記相関加算手段から出力された同相成分側の出力値が上記最大値選択手段によって選択された場合には、上記第2の位相とされる拡散符号についての上記相関加算手段から出力された同相成分側の出力値、及び上記第3の位相とされる拡散符号についての上記相関加算手段から出力された同相成分側の出力値を選択する一方、上記第1の位相とされる拡散符号についての上記相関加算手段から出力された直交成分側の出力値が上記最大値選択手段によって選択された場合には、上記第2の位相とされる拡散符号についての上記相関加算手段から出力された直交成分側の出力値、及び上記第3の位相とされる拡散符号についての上記相関加算手段から出力された直交成分側の出力値を選択することを特徴とする請求項1記載の復調装置。The first loop circuit compares the output value on the in-phase component side and the output value on the quadrature component side output from the correlation adding means for the spreading code having the first phase, and determines the larger one. Having a maximum value selection means for output,
The second loop circuit includes an output value on the in-phase component side and an output value on the quadrature component side that are output from the correlation adding means for a spreading code that is a second phase advanced from the first phase. And the output value on the in-phase component side and the quadrature component side output from the correlation adding means for each of the spreading codes that are the third phase delayed from the first phase. Selection means for selecting one of the output values of
The selection means selects the second phase when the output value on the in-phase component side outputted from the correlation addition means for the spreading code having the first phase is selected by the maximum value selection means. And the output value on the in-phase component side output from the correlation adding means for the spreading code and the output value on the in-phase component side output from the correlation adding means for the spreading code on the third phase. On the other hand, when the output value on the orthogonal component side outputted from the correlation adding means for the spreading code to be the first phase is selected by the maximum value selecting means, the second phase and The output value on the orthogonal component side output from the correlation addition means for the spread code to be output, and the output on the orthogonal component side output from the correlation addition means for the spread code to be the third phase Demodulator of claim 1, wherein the selecting.
上記第2のループ回路は、上記相関加算手段から出力された同相成分側の出力値が上記最大値選択手段によって選択された場合には、上記第1のループ回路におけるキャリアのうちの同相成分のキャリアを選択する一方、上記相関加算手段から出力された直交成分側の出力値が上記最大値選択手段によって選択された場合には、上記第1のループ回路におけるキャリアのうちの直交成分のキャリアを選択する選択手段と、
上記選択手段によって選択されたキャリアを上記第1の位相よりも進んだ第2の位相とされる拡散符号及び上記第1の位相よりも遅れた第3の位相とされる拡散符号のそれぞれに対して乗算する乗算手段とを有することを特徴とする請求項1記載の復調装置。The first loop circuit compares the output value on the in-phase component side and the output value on the quadrature component side output from the correlation adding means for the spreading code having the first phase, and determines the larger one. Having a maximum value selection means for output,
When the output value on the in-phase component side output from the correlation adding unit is selected by the maximum value selecting unit, the second loop circuit outputs the in-phase component of the carriers in the first loop circuit. On the other hand, when the output value on the orthogonal component side output from the correlation adding means is selected by the maximum value selecting means, the carrier of the orthogonal component among the carriers in the first loop circuit is selected. A selection means to select;
For the carrier code selected by the selection means for each of a spreading code that is a second phase advanced from the first phase and a spreading code that is a third phase delayed from the first phase 2. A demodulating device according to claim 1, further comprising multiplying means for multiplying.
上記ループフィルタ手段は、アクティブフィルタの伝達関数を差分近似したディジタルフィルタであることを特徴とする請求項1記載の復調装置。The first loop circuit and the second loop circuit each have loop filter means for controlling the phase of the reproduction carrier or the reproduction code by integrating a phase error,
2. A demodulator according to claim 1, wherein said loop filter means is a digital filter obtained by approximating a transfer function of an active filter by a difference.
上記複数回加算手段からの出力値に基づいて相関検出及び上記第2のループ回路の位相制御を行うことを特徴とする請求項1記載の復調装置。Each of the first loop circuit and the second loop circuit has a plurality of addition means for adding the output value from the correlation addition means having a data length of 1 bit or less continuously over a plurality of times,
2. The demodulator according to claim 1, wherein correlation detection and phase control of the second loop circuit are performed based on an output value from the multiple addition means.
上記移動平均手段からの出力値に基づいて相関検出及び上記第2のループ回路の位相制御を行うことを特徴とする請求項1記載の復調装置。Each of the first loop circuit and the second loop circuit has moving average means for moving and averaging the output values from the correlation adding means having a data length of 1 bit or less,
2. The demodulator according to claim 1, wherein correlation detection and phase control of the second loop circuit are performed based on an output value from the moving average means.
上記第1のループ回路及び上記第2のループ回路は、それぞれ、上記スペクトラム拡散信号の受信状況に応じて、上記ループフィルタ手段の係数、及び上記ループフィルタ手段からの出力値に設けられるリミッタの範囲をダイナミックに可変とすることを特徴とする請求項1記載の復調装置。The first loop circuit and the second loop circuit each have loop filter means for controlling the phase of the reproduction carrier or the reproduction code by integrating a phase error,
Each of the first loop circuit and the second loop circuit includes a range of a limiter provided in a coefficient of the loop filter unit and an output value from the loop filter unit according to the reception status of the spread spectrum signal, respectively. The demodulator according to claim 1, wherein is dynamically variable.
上記第1のループ回路及び上記第2のループ回路は、それぞれ、上記スペクトラム拡散信号の受信状況に応じて、上記複数回加算手段の加算回数をダイナミックに可変とすることを特徴とする請求項1記載の復調装置。Each of the first loop circuit and the second loop circuit has a plurality of addition means for adding the output value from the correlation addition means having a data length of 1 bit or less continuously over a plurality of times,
The first loop circuit and the second loop circuit each dynamically change the number of additions of the plurality of addition means according to the reception status of the spread spectrum signal. The demodulator described.
上記第2のループ回路は、ディレイロックループ回路であることを特徴とする請求項1記載の復調装置。The first loop circuit is a Costas loop circuit,
2. The demodulator according to claim 1, wherein the second loop circuit is a delay lock loop circuit.
上記衛星からの信号を受信する受信手段と、
上記受信手段によって受信した受信信号の周波数を所定の中間周波数に変換する周波数変換手段と、
上記周波数変換手段によって得られた中間周波数信号における拡散符号の位相を検出する同期捕捉と上記中間周波数信号におけるキャリア周波数の検出とを行う同期捕捉手段と、
上記同期捕捉手段によって検出された上記拡散符号の位相及び上記同期捕捉手段によって検出された上記キャリア周波数を、複数の上記衛星に対応して独立に設けられた複数のチャンネルのそれぞれに対して上記衛星毎に割り当てて設定し、設定した上記拡散符号の位相及び上記キャリア周波数を初期値として、上記拡散符号とキャリアとの同期保持を行うとともに、上記中間周波数信号に含まれるメッセージの復調を行う同期保持手段とを備え、
スペクトラム拡散信号を復調する上記同期保持手段における複数の上記チャンネルは、それぞれ、
再生キャリアと入力された上記スペクトラム拡散信号に含まれるキャリアとの同期を確立する第1のループ回路と、
再生符号と入力された上記スペクトラム拡散信号に含まれる拡散符号との同期を確立する第2のループ回路とを有し、
上記第1のループ回路及び上記第2のループ回路は、それぞれ、キャリアと拡散符号と入力された上記スペクトラム拡散信号との乗算値のうち所定の周波数帯域成分を通過するフィルタ手段と、
データ1ビット長又はデータ1ビット長以下の所定長を単位とし、上記フィルタ手段を通過した信号を積分した第1の相関値と、上記フィルタ手段を通過した信号のうち入力された上記スペクトラム拡散信号における上記単位の半分長の部分を反転した信号を積分した第2の相関値とを絶対値加算する相関加算手段とを有し、複数の上記チャンネルは、それぞれ、上記相関加算手段からの出力値に基づいて相関検出及び上記第2のループ回路の位相制御を行うことを特徴とする受信装置。A receiving device that receives a signal from a satellite and calculates its position and velocity,
Receiving means for receiving a signal from the satellite;
Frequency converting means for converting the frequency of the received signal received by the receiving means to a predetermined intermediate frequency;
Synchronization acquisition means for detecting the phase of a spread code in the intermediate frequency signal obtained by the frequency conversion means and detecting the carrier frequency in the intermediate frequency signal;
The satellite of the phase of the spreading code detected by the synchronization acquisition means and the carrier frequency detected by the synchronization acquisition means for each of a plurality of channels independently provided corresponding to the plurality of satellites Synchronous holding is performed by allocating and setting each of the spreading codes and the carrier frequency as initial values, and maintaining the synchronization between the spreading code and the carrier and demodulating the message included in the intermediate frequency signal. Means and
The plurality of channels in the synchronization holding means for demodulating the spread spectrum signal are respectively
A first loop circuit for establishing synchronization between the regenerative carrier and the carrier included in the input spread spectrum signal;
A second loop circuit that establishes synchronization between the reproduction code and the spread code included in the input spread spectrum signal;
Each of the first loop circuit and the second loop circuit includes a filter unit that passes a predetermined frequency band component of a multiplication value of a carrier, a spread code, and the input spread spectrum signal, and
The first correlation value obtained by integrating the signal that has passed through the filter means, with the data 1 bit length or a predetermined length less than the data 1 bit length as a unit, and the spread spectrum signal that has been input among the signals that have passed through the filter means Correlation addition means for adding absolute values to a second correlation value obtained by integrating a signal obtained by inverting the half-length portion of the unit in each of the plurality of channels, wherein each of the plurality of channels is an output value from the correlation addition means. And a phase control of the second loop circuit.
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002035699A JP3826808B2 (en) | 2002-02-13 | 2002-02-13 | Demodulator and receiver |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002035699A JP3826808B2 (en) | 2002-02-13 | 2002-02-13 | Demodulator and receiver |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003244024A JP2003244024A (en) | 2003-08-29 |
JP3826808B2 true JP3826808B2 (en) | 2006-09-27 |
Family
ID=27777811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002035699A Expired - Fee Related JP3826808B2 (en) | 2002-02-13 | 2002-02-13 | Demodulator and receiver |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3826808B2 (en) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4588579B2 (en) * | 2005-08-25 | 2010-12-01 | 株式会社日立国際電気 | Synchronous detection device |
US7817750B2 (en) | 2007-05-21 | 2010-10-19 | Seiko Epson Corporation | Radio receiver including a delay-locked loop (DLL) for phase adjustment |
US8036614B2 (en) | 2008-11-13 | 2011-10-11 | Seiko Epson Corporation | Replica DLL for phase resetting |
CN105717521A (en) * | 2014-12-04 | 2016-06-29 | 上海精密计量测试研究所 | Fast acquisition method of high dynamic pseudo satellite signal |
-
2002
- 2002-02-13 JP JP2002035699A patent/JP3826808B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003244024A (en) | 2003-08-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4120237B2 (en) | Demodulator and receiver | |
US8005315B2 (en) | Spectrum spreading signal demodulation method and apparatus | |
US7876811B2 (en) | Method and apparatus for detecting spreading-code synchronization for spectrum spreading signals | |
EP1724602B1 (en) | A system, positioning device and method for acquisition of signals | |
JP4755920B2 (en) | Carrier phase tracking device and pseudo noise code signal tracking device | |
US11121738B2 (en) | Radio receiver | |
US7693211B2 (en) | Fast fourier transform based phase locked loop for navigational receivers | |
JP4154609B2 (en) | Satellite signal reception processing apparatus and satellite signal reception processing method | |
US7053825B2 (en) | Communication device | |
JP4306693B2 (en) | Correlation detection device, correlation detection method, and reception device | |
JP3826808B2 (en) | Demodulator and receiver | |
JP3956722B2 (en) | Matched filter device, correlation detection method, and receiver | |
JP2003255036A (en) | Receiver | |
JP3864807B2 (en) | Correlation detection apparatus, correlation detection method, and reception apparatus | |
JP2005204079A (en) | Receiving method and apparatus | |
JP2003232844A (en) | Receiving device | |
JP2003258681A (en) | Matched filter, correlation detecting method and receiver |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040902 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041020 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050513 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20050513 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20050525 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060209 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060328 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060523 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060613 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060626 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090714 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100714 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100714 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110714 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120714 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130714 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |