JP3826639B2 - 電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリなど、広い分野に適用される電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真装置(例えば、普通紙複写機(PPC)、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶プリンター等)は、回転ドラム型等の感光体に帯電、露光、現像の作像プロセスを適用して像形成し、転写材に転写後定着して複写物を得る。これらに用いられる感光体としては、セレニウム、ヒ素−セレニウム、硫化カドミウム、酸化亜鉛、a−Si等の無機系感光体が用いられているが、製造性コストの点でも優れた有機感光体(OPC)の研究開発も活発化しており、中でも電荷発生層と電荷輸送層を積層した、いわゆる機能分離型積層感光体が、感度、帯電性およびその繰り返し安定性等の電子写真特性の点で優れており種々の提案がなされ、実用化されている。
【0003】
しかしながら、電子写真感光体に要求される耐久性は年々厳しいものとなっており、繰り返し使用による表面層の摩耗および傷、特に接触帯電下の使用で著しく増長される表面層の摩耗および傷、コロナ帯電器から発生するオゾンなどの酸化性ガスによる表面層の酸化劣化、等の問題に対して、耐久性向上に必要な技術の検討が続けられている。
【0004】
最近になり、酸化性ガスの発生が少なくなる、および電源コストが抑えられるなどの理由から、接触帯電方式を用いた複写機やプリンタが増えている。しかし、感光体の帯電電位を安定させるために交流成分を有する印加電圧を用いた場合、感光体表面の摩耗が大きくなってしまうという問題があった。この原因としては、感光体表面と接触帯電器の間に発生する放電により、感光体表面の結着樹脂の結合が切断されて低分子量化すること、などが考えられている。感光体表面の結着樹脂が低分子量化すると、クリーニングブレードなどの機械的クリーニングを行っている場合、摩耗が著しく増大してしまうことがわかっている。
【0005】
感光体の摩耗を低減させる方法として、感光体表面に機械的強度の高い表面保護層を施すというものがある。機械的強度の面からは架橋硬化性樹脂が優れているが、架橋性樹脂のみで構成すると表面保護層は絶縁層となってしまうため、感光体としての光電特性が犠牲になっていた。具体的には、露光時の明部電位が上昇することにより、現像電位マージンが狭くなる問題、および除電後の残留電位が上昇することにより、特に長期の繰り返し印刷を行なった場合に画像濃度が低下する問題、などがあった。
【0006】
また、感光体の光電特性を付与する手法として、導電性の金属酸化物微粒子を抵抗制御材として表面保護層中に分散する方法が報告されている(特開昭57−128344号)。この方法による感光体光電特性の低下は小さく、上記にあげた問題は顕著に改善される。しかし、一般に導電性微粒子として用いる金属酸化物の抵抗値は、環境の湿度に大きく依存するという問題がある。そのため、特に高温高湿下において感光体表面抵抗が低下し、静電潜像がぼやけることによって画像品位が大きく低下してしまうという本質的な問題があった。
【0007】
感光体の光電特性を改良する他の手法として、結着樹脂中に電荷輸送物質を分散し、その後結着樹脂を硬化させて表面保護層を形成するという方法が報告されている(特開平4−15659号)。この方法では感光体表面抵抗が湿度依存を示すことも無く、画像品位上の問題はなかった。しかし、電荷輸送物質という低分子量成分の添加は硬化反応を阻害し、表面保護層の機械的強度を低下させる。よって、単独では機械的強度の高い架橋硬化性樹脂を用いたとしても、光電特性の改良に必須の電荷輸送物質という低分子成分を添加することで表面保護層の機械強度は大きく低下してしまうという問題点があった。
【0008】
このような観点から、官能基を有する電荷輸送物質を用いて、これを熱可塑性の結着樹脂と反応させることにより表面層の機械的強度の向上を計るという報告がされている(特開平6−202354号、特開平5−323630号)。この方法によれば、感光体の光電特性を低下させずに、十分な機械的強度を初期的には得ることができる。しかし、これらの表面層構成では、接触帯電下で長期間使用された場合、機械的強度の急激な低下が起こるという問題点があった。この原因はやはり、接触帯電における交流電圧印加による熱可塑性結着樹脂の結合の切断、といった強い外的ストレスによるものであると考えられており、クリーニングブレードなどの機械的クリーニングを用いていると摩耗が非常に増大してしまう。
【0009】
これらの問題点を解決できるものとして、アルコキシシリル基を有する反応性電荷輸送材料とモノマー化合物とを用いて架橋硬化膜を形成する方法がある。この方法では、電荷輸送材料も含めた3次元架橋構造を取るため優れた機械強度が得られるとともに、電荷輸送材料が含まれているため積層型感光体の電荷輸送層と同様の光電特性を付与することもできる。
【0010】
しかし、このような構成の感光体をスコロトロン帯電方式の画像形成装置で用いる場合、感光体回りのエアフローが不十分であると、スコロトロンから発生するオゾンや窒素酸化物(NOx)により酸化劣化を受け、濃度ムラの発生や解像度などの画質低下を伴う場合があった。また、接触帯電方式を用いる場合でも、印加電圧が交流成分を含み、感光体表面との接触部位近傍で弱い放電が発生する場合では、連続印刷数が増大すると同様にオゾンやNOx発生に起因すると思われる画質低下が見られる場合があった。
【0011】
これらの主たる原因は電荷輸送材料の酸化劣化であるため、架橋硬化膜における電荷輸送材料の添加量を下げることに改善できるが、その分だけ光電特性は低下し、明部電位が上昇するなどの欠点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本発明の目的は、耐環境性、耐久性、光電特性に優れた電子写真感光体、及びそれを備えた画像形成装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。即ち、本発明は、
【0014】
<1>導電性微粒子を含み、且つ少なくとも下記一般式(1)で表される化合物により形成される硬化膜からなる最表面層を有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0016】
【化2】
Figure 0003826639
【0017】
一般式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を表す。Dは、可とう性サブユニットを表す。Aは−Si(R1(3-a)(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表す(ここで、R1は水素、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基を表す。R2は水素、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。aは1〜3の整数を表す。)。bは1〜4の整数を表す。
【0019】
<4>少なくとも電子写真感光体、及びその帯電手段を備える画像形成装置あって、前記電子写真感光体が、前記<1>に記載の電子写真感光体であり、前記帯電手段が、接触帯電方式であることを特徴とする画像形成装置である。
【0020】
本発明の電子写真感光体は、最表面層として、導電性微粒子を含み、且つ少なくとも一般式(1)で表される化合物により形成される硬化膜が形成されているため、耐環境性、耐久性、光電特性に優れる。本発明の電子写真感光体においては、最表面層中に、導電性微粒子を添加することにより反応性電荷輸送材料の添加量を少なくできるため、電荷輸送材料の酸化による劣化を抑えることができ、また、導電性微粒子のみにしてしまうと、光電特性の温湿度依存性が大きくなってしまうが、電荷輸送材料を添加していることにより温湿度変動を最小にすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真感光体は、導電性微粒子を含み、且つ少なくとも反応性電荷輸送性材料により形成される硬化膜からなる最表面層を有する。
【0022】
(最表面層)
前記最表面層は、導電性微粒子を含み、且つ少なくとも反応性電荷輸送性材料により形成される硬化膜からなる。
【0023】
−導電性微粒子−
前記導電性微粒子としては、導電性或いは半導電性を有する金属紛(例えば、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等)、金属酸化物紛(TiO2、SnO2、Sb23、In23、ZnO、MgO等)が挙げられる。また、前記導電性微粒子としては、金属酸化物にドーパンとをドープしたもの(例えば、AlドープZnO(ZnO−Al23)、SnドープSnO2(SnO2−Sb23)、SnドープIn23(In23−SnO2)、等)も用いることができる。
【0024】
前記導電性微粒子としては、表面抵抗の制御が容易であること、透明な膜が得やすいこと等の点から、酸化錫、および酸化錫にアンチモンをドープしたもの(酸化錫と酸化アンチモンが同時に含まれるもの)が特に好ましい。
【0025】
前記導電性微粒子の粒径(1次および2次粒子)は、最表面層における適切な表面抵抗値を保ちつつ表面の平滑性を維持する点から、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.3μmである。また、前記導電性微粒子は、1μm以上のものが1重量%以下含有することが、特に好ましい。
【0026】
前記導電性微粒子の添加量は、微粒子の組成や粒径によって異なるが、最表面層の表面抵抗値が、好ましくは103〜1014Ωcm、より好ましくは105〜1012Ωcm、さらに好ましくは107〜1012Ωcmになるように導電性微粒子を添加することが好ましい。
【0027】
−少なくとも反応性電荷輸送性材料により形成される硬化膜−
前記少なくとも反応性電荷輸送性材料により形成される硬化膜(以下、単に硬化膜ということがある。)としては、少なくとも下記一般式(1)で表される化合物により形成される硬化膜である。
【0028】
少なくとも下記一般式(1)で表される化合物により形成される硬化膜を詳しく説明する。
【0029】
【化3】
Figure 0003826639
【0030】
一般式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を表す。Dは、可とう性サブユニットを表す。Aは−Si(R1(3-a)(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表す(ここで、R1は水素、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基を表す。R2は水素、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。aは1〜3の整数を表す。)。bは1〜4の整数を表す。
【0031】
一般式(I)中、Aは、−Si(R1(3-a)(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表すが、この置換ケイ素基は、Si基により、互いに架橋反応を起こして、3次元的なSi−O−Si結合、即ち無機ガラス質ネットワークを形成する役割を担う構造である。
【0032】
一般式(I)中、Fは、光電特性、具体的には特に光キャリア輸送特性を有するユニットであり、従来、電荷輸送物質として知られている構造をそのまま用いることができる。Fとして具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、などの正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物、などの電子輸送性を有する化合物骨格を用いることができる。
【0033】
一般式(I)中、Dは、可とう性サブユニットを表すが、具体的には、光電特性を付与するためのF部位と、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつくA部位と、を結びつける働きを担い、且つ堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きを担う構造を表す。Dとして具体的には、−Cn2n−、Cn(2n-2)−、−Cn(2n-4)−で表される2価の炭化水素基(ここで、nは1〜15の整数を表す。)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C64−、−N=CH−、−(C64)−(C64)−、及びこれらの組み合わせたものや置換基を導入したものなどが挙げられる。
【0034】
一般式(I)中、bは、2以上であることが好ましい。bは2以上であると、一般式(I)で表される電荷輸送性有機ケイ素化合物中にSi原子を2つ以上含むことになり、無機ガラス質ネットワークを形成し易くなり、機械的強度が向上する。
【0035】
一般式(I)で表される化合物としては、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。下記一般式(II)で表される化合物は、正孔輸送能を有する化合物であり、特に優れた正孔発生能と機械的特性を示すため好ましい。
【0036】
【化4】
Figure 0003826639
【0037】
一般式(II)中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に置換あるいは未置換のアリール基を表す。Ar5は、置換あるいは未置換のアリール基、又はアリーレン基を表す。但し、Ar1〜Ar5のうち1〜4個は、−Y−Si(R4(3-c)(OR5cで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基(ここで、R4は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表す。R5は水素、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。cは1〜3の整数を表す。また、Yは−Cx2x−、Cx'(2x'-2)−、及び−Cx"(2x"-4)−で表される炭化水素基(xは1〜15の整数を表す。x'及びx"はそれぞれ独立に2〜15の整数を表す。)、置換あるいは未置換の2価のアリール基、又は、−CH=N−、−O−、及び−COO−を少なくとも1種以上含有する2価の置換基を表す。)、kは0または1を示す。
【0038】
一般式(II)中、Ar1〜Ar4として具体的には、下記構造群1に示すものが好ましい。
【0039】
【化5】
Figure 0003826639
【0040】
構造群1中、Arは、下記構造群2に示されるものを表す。
【0041】
【化6】
Figure 0003826639
【0042】
構造群1中、Z’は、下記構造群3に示されるものを表す。
【0043】
【化7】
Figure 0003826639
【0044】
構造群1中、Xは−Y−Si(R4(3-c)(OR5cで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基(R4、R5、Y、及びcは、一般式(II)中で示されるR4、R5、Y、及びcと同様である。)を表すが、Yとして具体的には、下記構造群4に示されるものが特に好ましく、その他下記構造群5に示されるものも選択してもよい。
【0045】
【化8】
Figure 0003826639
【0046】
【化9】
Figure 0003826639
【0047】
構造群1〜5中、R6は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基から選択される。R7は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンから選択される。mは0または1を表す。sは0または1を表す。tは1から3の整数を表す。xは1〜10の整数を表す。x’は2〜15の整数を表す。y及びzは、それぞれ1〜5の整数を表す。
【0048】
一般式(II)中、Ar5として具体的には、kが0のとき下記構造群6に示されるものが好ましく、kが1のとき下記構造郡群7に示されるものが好ましい。
【0049】
【化10】
Figure 0003826639
【0050】
【化11】
Figure 0003826639
【0051】
構造群6〜7中、Zは、下記構造群8に示されるものを表す。
【0052】
【化12】
Figure 0003826639
【0053】
構造群8中、Wは、下記構造群9に示されるものを表す。
【0054】
【化13】
Figure 0003826639
【0055】
構造群6〜9中、R8は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを表す。q及びrはそれぞれ1〜10の整数を表す。t’は1または2の整数を表す。s’は0〜3の整数を表す。また、R6、R7
s、tは、構造群1〜5中のR6、R7、s、tと同様である。
【0056】
以下に、一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は、これら具体例に限定されるわけではない。また、下記表における化合物の番号に「II−」を冠した記号を本明細書における例示化合物とする(例えば、化合物の番号が、「12」のものは「例示化合物(II−12)」を示す。)。
【0057】
【表1】
Figure 0003826639
【0058】
【表2】
Figure 0003826639
【0059】
【表3】
Figure 0003826639
【0060】
【表4】
Figure 0003826639
【0061】
【表5】
Figure 0003826639
【0062】
【表6】
Figure 0003826639
【0063】
【表7】
Figure 0003826639
【0064】
【表8】
Figure 0003826639
【0065】
【表9】
Figure 0003826639
【0066】
【表10】
Figure 0003826639
【0067】
【表11】
Figure 0003826639
【0068】
【表12】
Figure 0003826639
【0069】
【表13】
Figure 0003826639
【0070】
【表14】
Figure 0003826639
【0071】
【表15】
Figure 0003826639
【0072】
【表16】
Figure 0003826639
【0073】
【表17】
Figure 0003826639
【0074】
【表18】
Figure 0003826639
【0075】
【表19】
Figure 0003826639
【0076】
【表20】
Figure 0003826639
【0077】
【表21】
Figure 0003826639
【0078】
【表22】
Figure 0003826639
【0079】
【表23】
Figure 0003826639
【0080】
【表24】
Figure 0003826639
【0081】
【表25】
Figure 0003826639
【0082】
【表26】
Figure 0003826639
【0083】
【表27】
Figure 0003826639
【0084】
【表28】
Figure 0003826639
【0085】
【表29】
Figure 0003826639
【0086】
【表30】
Figure 0003826639
【0087】
【表31】
Figure 0003826639
【0088】
【表32】
Figure 0003826639
【0089】
【表33】
Figure 0003826639
【0090】
【表34】
Figure 0003826639
【0091】
【表35】
Figure 0003826639
【0092】
【表36】
Figure 0003826639
【0093】
【表37】
Figure 0003826639
【0094】
【表38】
Figure 0003826639
【0095】
【表39】
Figure 0003826639
【0096】
【表40】
Figure 0003826639
【0097】
【表41】
Figure 0003826639
【0098】
【表42】
Figure 0003826639
【0099】
【表43】
Figure 0003826639
【0100】
【表44】
Figure 0003826639
【0101】
【表45】
Figure 0003826639
【0102】
【表46】
Figure 0003826639
【0103】
【表47】
Figure 0003826639
【0104】
【表48】
Figure 0003826639
【0105】
【表49】
Figure 0003826639
【0106】
【表50】
Figure 0003826639
【0107】
【表51】
Figure 0003826639
【0108】
【表52】
Figure 0003826639
【0109】
【表53】
Figure 0003826639
【0110】
【表54】
Figure 0003826639
【0111】
一般式(I)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0112】
一般式(I)で表される化合物と共に、硬化膜の機械的強度をさらに向上させる目的で、下記一般式(III)で表される化合物を併用してもよい。
【0113】
【化14】
Figure 0003826639
【0114】
一般式(III)中、Aは−Si(R1(3-a)(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基(ここでR1、R2、aは、一般式(I)中のR1、R2、aと同様である。)を表す。Bは枝分かれを含んでもよい2価以上の炭化水素基、2価以上のフェニル基、−NH−、から選ばれる基の少なくとも1つ、或いはこれらの組み合わせから構成される。aは1〜3の整数を表す。nは2以上の整数を表す。
【0115】
一般式(III)で表される化合物は、A部位、即ち−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を2個以上有している化合物である。この一般式(III)で表される化合物は、A部位に含まれるSi基の部分が一般式(I)で表される化合物或いは一般式(III)で表される化合物自身と反応し、Si−O−Si結合となって3次元的な架橋硬化膜を形成して行く。一般式(I)で表される化合物も同様のSi基を有しているので、それのみで硬化膜を形成することも可能であるが、一般式(III)で表される化合物は2個以上のA部位を有しているので硬化膜の架橋構造が3次元的になり、より強い機械強度を有するようになると考えられる。また、一般式(I)で表される化合物におけるD部位と同様、硬化膜に適度な可とう性を与える役割もある。
【0116】
一般式(III)で表される化合物としては、下記構造群10に示されるものが好ましい。
【0117】
【化15】
Figure 0003826639
【0118】
構造群10中、T1、T2はそれぞれ独立に枝分かれしていてもよい2価或いは3価の炭化水素基を表す。Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表す。h、i、jはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、且つ分子内のAの数が2以上となるように選ばれる。
【0119】
以下に、一般式(III)で表される化合物の具体例を、下記構造群11に示すが、本発明は、これら具体例に限定されるわけではない。また、下記構造群11における化合物の番号に「III−」を冠した記号を本明細書における例示化合物とする(例えば、化合物の番号が、「12」のものは「例示化合物(III−12)」を示す。)
【0120】
【化16】
Figure 0003826639
【0121】
一般式(I)で表される化合物と共に、さらに架橋反応可能な他の化合物を併用してもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコン系ハードコート剤を用いることができる。
【0122】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
【0123】
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−41−1007、KNS−5300、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)、などが挙げられる。
【0155】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)における電荷輸送物材料の含有率は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜50重量%、さらに好ましくは20〜40重量%が好適である。含有率が、60重量%を超えると、連続印刷時において電荷輸送物質の酸化劣化に起因すると考えられる濃度ムラや解像度低下等の画質劣化が発生する場合がある。また、含有率が10重量%未満であると、光電特性が低下し、明部電位の上昇するなどの問題が生じてしまう場合がある。
【0156】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素原子含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、感光体表面に対するトナーや紙粉などの付着を防止する効果も有し、感光体の寿命向上に役立つ。
【0157】
前記フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、一般式(I)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成するのが好ましい。そのようなフッ素原子含有化合物の例として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、などが挙げられる。
【0158】
前記フッ素原子含有化合物の添加量としては、20重量%以下とすることが好ましい。これを越えると、硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
【0159】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)は、前述したように十分な耐酸化性を有しているが、さらに強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては15重量%以下が好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。
【0160】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、などが挙げられる。
【0161】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、1種以上の電子受容性物質を含有させることができる。このような電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0162】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)には公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、など公知のものを用いることができる。
【0163】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)を形成するためには、前述の各種材料、および各種添加剤の混合物を感光層の上に塗布し、加熱処理する。これにより、3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜を形成する。
【0164】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)には、塗布を容易にするため、必要に応じて溶剤を添加してもよい。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル、等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0165】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)の形成において、導電性微粒子を均一に分散するためには、公知の手段を用いることができ、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ダイノーミル等の分散手段を用いることができる。
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)の形成において、塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。架橋硬化膜の膜厚は、1〜15とするのが好ましいが、3〜10μm程度とするのがさらに好ましい。
【0166】
前記最表面層(前記導電性微粒子を含む硬化膜)の形成において、架橋硬化反応を行う際には無触媒で行なってもよいが、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられる。また、硬化反応の際の温度は、下地感光層に影響しなければ特に制限はないが、室温〜150度に設定するのが好ましい。
【0167】
(その他の構成)
本発明の電子写真感光体は、前記最表面層以外の構成は、如何なる構成でもよく、例えば、導電性支持体上に、感光層、前記最表面層を順次形成した構成が挙げられる。感光層は、単層型感光層、電荷発生層、及び電荷輸送層等からなる機能分離型感光層のいずれの構成でもよいが、機能分離型の構成の方が、光電特性および材料選択の広さの面から好ましい。また、導電性支持体と感光層との間には、下引き層を設けてもよい。
【0168】
前記導電性支持体としては、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及び、アルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルムなど、又は、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。これらの導電性支持体は、ドラム状、シート状、プレート状など適宜の形状のものとして使用されるが、これらに限定されるものではない。さらに必要に応じて、導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の酸化処理、薬品処理、着色処理等や、砂目立てなどの乱反射処理等を行うことができる。
【0169】
前記下引き層は、積層構造からなる感光層の帯電時において導電性支持体から感光層への電荷の注入を阻止するとともに、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持させる接着層として作用し、場合によっては導電性支持体の光の反射防止作用をする。
【0170】
前記下引き層に用いる結着樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができ、これらの材料は単独又は2種以上を混合して用いることができる。さらに、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、シリコーン樹脂等の微粒子と混合して用いることができる。
【0171】
前記下引き層の厚みは0.01〜10μm、好ましくは0.05〜2μmの範囲が適当である。塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0172】
機能分離型感光層(電荷発生層、電荷輸送層)について説明する。
まず、電荷発生層について説明する。
電荷発生層は、少なくとも電荷発生材料および結着樹脂を含有する。
前記電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他セレン化合物およびセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電性材料、フタロシアニン系、スクアリリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の有機顔料、及び染料が挙げられる。
【0173】
前記フタロシアニン系化合物は、光感度や安定性の面で望ましく、無金属フタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニン、ハロゲン化ガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ハロゲン化錫フタロシアニンが特に好ましい。これらの中でも、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つ特定の結晶形を有するクロロガリウムフタロシアニン、あるいはX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強い回折ピークを持つ特定の結晶形を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンは、可視光から近赤外光の広い領域の光に対して高い電荷発生効率を有しており、特に好ましい。
【0174】
前記電荷発生層における結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、フェノール樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、こららに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0175】
電荷発生層を塗布形成する際に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0176】
前記電荷発生材料と前記結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。また、電荷発生層の膜厚は、一般的には、0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2.0μmである。
【0177】
電荷輸送層について説明する。
前記電荷輸送層は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材料を含有して形成される。
【0178】
前記電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は単独または2種以上混合して用いることができる。
【0179】
前記電荷輸送材料としては、下記一般式(IV)で表されるトリフェニルアミン系化合物、および下記一般式(V)で表されるベンジジン系化合物は、高い電荷(正孔)輸送能と優れた安定性を有しているため、特に好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0180】
【化17】
Figure 0003826639
【0181】
一般式(IV)中、R14は、水素原子またはメチル基を示す。また、nは1又は2を意味する。Ar6及びAr7はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を表し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アミノ基を表す。
【0182】
【化18】
Figure 0003826639
【0183】
一般式(V)中、R15、R15'はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を表わす。R16、R16'、R17、R17'はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基を表す。mおよびnはそれぞれ独立に0、1、又は2を表す。
【0184】
以下に、一般式(IV)で表わされるトリフェニルアミン系化合物の具体例を示すが、本発明は、これら具体例に限定されるわけではない。また、下記表における化合物の番号に「IV−」を冠した記号を本明細書における例示化合物とする(例えば、化合物の番号が、「12」のものは「例示化合物(IV−12)」を示す。)。
【0185】
【表55】
Figure 0003826639
【0186】
【表56】
Figure 0003826639
【0187】
【表57】
Figure 0003826639
【0188】
以下に、一般式(V)で表わされるベンジジン系化合物の具体例を示すが、本発明は、これら具体例に限定されるわけではない。また、下記表における化合物の番号に「V−」を冠した記号を本明細書における例示化合物とする(例えば、化合物の番号が、「12」のものは「例示化合物(V−12)」を示す。)。
【0189】
【表58】
Figure 0003826639
【0190】
【表59】
Figure 0003826639
【0191】
【表60】
Figure 0003826639
【0192】
前記電荷輸送層における結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの公知の樹脂が挙げられる。
【0193】
前記電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。
【0194】
前記高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが挙げられる。前記高分子電荷輸送材としては、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材料が、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましい。前記高分子電荷輸送材料はそれだけでも成膜可能であるが、上記電荷輸送層における結着樹脂と混合して成膜してもよい。また、上記の低分子電荷輸送材料を添加してもよい。
【0195】
電荷輸送層を設ける際に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等の環状もしくは直鎖状のエーテル類、等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0196】
電荷輸送層の塗布方法は、表面保護層や電荷発生層であげたものと同じ公知の方法を用いることができる。電荷輸送層の好ましい膜厚は5〜50μmであり、さらに好ましくは10〜40μmである。
【0197】
単層型感光層について説明する。
前記単層型感光層は、前記電荷発生材料と結着樹脂を含有して形成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生材の含有量は、10から85重量%程度が好ましく、より好ましくは20から50重量%とする。
【0198】
前記単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送材料や高分子電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は5〜50重量%とすることが好ましい。塗布に用いる溶剤や塗布方法は、電荷発生層や電荷輸送層のところで述べたものと同様のものを用いることができる。前記単層型感光層の膜厚は5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとするのがさらに好ましい。
【0199】
本発明の電子写真感光体において、前記各層(電荷輸送層、電荷輸送層、単層型感光層)には、帯電器で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。たとえ前記最表面層があったとしても、酸化性ガスが表面保護層を透過して電荷輸送層まで浸入するこがあり、これによる酸化劣化を防止するためのものである。酸化防止剤としては、前記最表面層に用いるものと同様のものを用いることができる。酸化防止剤の添加量としては電荷輸送層の15重量%以下が望ましく、10重量%以下がさらに望ましい。
【0200】
本発明の電子写真感光体において、前記各層(電荷輸送層、電荷輸送層、単層型感光層)には、公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、など公知のものを添加できる。
【0201】
以下に、本発明の電子写真感光体の具体例を、図1〜図3に示す。
図1〜図3は、本発明の電子写真用感光体の一例を示す拡大断面図であり、図1〜図2は、感光層が積層構造(機能分離型)のものを示し、図3は、単層構造のものを示す。
【0202】
図1においては、導電性支持体4上に、電荷発生層2、電荷輸送層3、最表面層4が順次設けられている。
図2においては、導電性支持体4上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、最表面層4が順次設けられている。
図3においては、導電性支持体4上に、単層型感光層5、最表面層4が順次設けられている。
【0203】
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置は、前記本発明の電子写真感光体を有する電子写真方式の画像形成装置であり、帯電手段、レーザー光学系やLEDアレイなどの露光手段、トナーなどを用いて像を形成する現像手段、トナー像を紙などの媒体に写し取る転写手段、トナー像を紙などの媒体に定着させる定着手段、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去するクリーニング手段、感光体表面に残留している静電潜像を除去する除電手段、など必要に応じて公知の方法で備える。
【0204】
前記帯電方式は、従来から公知のコロトロン、スコロトロンによる非接触方式を好ましく採用することができる。しかし、前記本発明の電子写真感光体が、強い機械的強度を有しているため、感光体へのストレスが大きい接触帯電方式を用いた場合、特に優れた耐久性を示す。
【0205】
前記接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラー状等何れでもよいが、特にローラー状部材が好ましい。通常、ローラー状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
【0206】
前記ローラー状部材は、感光体に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、ローラー部材に何らかの駆動手段を取り付け、感光体とは異なる周速度あるいは方向で回転させても良い。
【0207】
前記芯材の材質としては導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。またその他導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
【0208】
前記弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、一般にはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものである。
【0209】
前記ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。
【0210】
前記導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb23、In23、ZnO、MgO等の金属酸化物が用いることができ、これらの材料は単独あるいは2種以上混合して用いても良い。
【0211】
前記抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したもので、抵抗率としては103〜1014Ωcm、好ましくは105〜1012Ωcm、さらに好ましくは107〜1012Ωcmがよい。また膜厚としては0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.5〜100μmがよい。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。
また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。
【0212】
前記抵抗層および保護層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0213】
前記導電性部材を用いて感光体を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加するが、印加電圧は、直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものいずれでもよい。
【0214】
印加する電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vが好ましく、特に100〜1500Vが好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400〜2500V、好ましくは800〜2000V、さらに好ましくは1200〜2000Vが好ましい。交流電圧の周波数は50〜20,000Hz、好ましくは100〜5,000Hzである。
【0215】
図4は、前記本発明の電子写真感光体を適用した本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。本発明の電子写真感光体である感光体10、接触帯電方式の帯電手段である帯電ロール12、レーザー露光光学系14、粉体トナーを用いた現像器16、転写用ロール18、機械的なクリーニング手段であるクリーニングブレード20、定着ロール22を有している。
【0216】
【実施例】
(ベース感光体の作製)
ホーニング処理を施した外径30mmのアルミ基材上に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガノチックスZC540、マツモト製薬社製)20部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)2.5部及びポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)とブタノール 45部からなる溶液を浸漬コーティング法で塗布し、150℃において10分間加熱乾燥し膜厚1.0μmの下引層を形成した。
【0217】
X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強い回折ピークを持つ特定の結晶形を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンの1部をポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学)1部、および酢酸n−ブチル100部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を前記下引き層上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0218】
例示化合物(V−27)のベンジジン化合物2部、下記基本単位1で示される高分子化合物(粘度平均分子量39,000)3部をクロロベンゼン20部に溶解させた塗布液を前記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃、40分の加熱を行なって膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
ここまでの構成をベース感光体とする。
【0219】
【化19】
Figure 0003826639
【0220】
[実施例1]
例示化合物(II−3)10部、硬化性シロキサン樹脂(信越シリコン、X−40−2239)18部、アンチモンをドープした酸化錫微粒子(T−1、三菱金属社製、1次粒径0.01μm)8部の混合物をペイントシェーカーで5時間分散した後、酢酸7部、1N塩酸0.001部を加えて得られた塗布液を、前記ベース感光体上に浸漬塗布し、30分の指触乾燥の後、120℃、2時間の加熱処理を行ない、膜厚約5μmの最表面層(表面保護層)を形成した。こうして実施例1の電子写真感光体を得た。
【0221】
[比較例1]
実施例1の感光体において、最表面層(表面保護層)を形成しないもの、即ちベース感光体を比較例1の電子写真感光体とする。
【0222】
[比較例2]
硬化性シロキサン樹脂(信越シリコン、X−40−2239)18部、アンチモンをドープした酸化錫微粒子(T−1、三菱金属社製、1次粒径0.01μm)8部の混合物をペイントシェーカーで5時間分散して得られた塗布液を、前記ベース感光体上に浸漬塗布し、30分の指触乾燥の後、120℃、2時間の加熱処理を行ない、膜厚約5μmの最表面層(表面保護層)を形成した。こうして比較例2の電子写真感光体を得た。
【0223】
得られた実施例1、及び比較例1〜2の電子写真感光体を富士ゼロックス製LaserPress 4160IIに装着し、耐刷性テストを行なった。耐刷性の評価として、5万枚の間欠印刷前後における画質評価、および摩耗による感光体の膜厚減少量の評価を行なった。用紙としては富士ゼロックス製PPC用紙(L、A4)を用いた。画質評価は専用の評価機を用い、常温常湿(25℃/50%)、および高温高湿(28℃/85%)環境下で256階調および400線解像度評価を行なった。結果を表61に示す。
【0224】
【表61】
Figure 0003826639
【0225】
表61より、実施例1の電子写真感光体は耐刷試験前後のいづれの環境でも良好な画質を維持していた。比較例1の電子写真感光体は摩耗による膜厚減少が大きいため、印字濃度低下による画質低下と部分的な放電破壊を起こしていた。比較例2の電子写真感光体では、初期高温高湿環境下(28℃/85%)で画像ボケ、解像度低下を起こしていた。また2万枚を越えたあたりで表面保護層が摩滅したため評価を中止した。
【0226】
[実施例2〜6]
実施例1の最表面層(表面保護層)の形成において、例示化合物(II−3)の代わりに、それぞれ、(II−13)、(II−31)、(II−145)、(II−249)、(II−276)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6の電子写真感光体を作製し、同様の評価を行なった。結果を表62に示す。
【0227】
【表62】
Figure 0003826639
【0228】
[実施例7]
ホーニング処理を施した外径30mmのアルミ基材上に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガノチックスZC540、マツモト製薬社製)20部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)2.5部及びポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)とブタノール 45部からなる溶液を浸漬コーティング法で塗布し、150℃において10分間加熱乾燥し膜厚1.0μmの下引層を形成した。
【0229】
X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニンの1部をポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学) 1部、および酢酸n−ブチル100部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を前記下引き層上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0230】
例示化合物(V−27)2部、例示化合物(IV−28)1部、前記ベース感光体おける電荷輸送層の形成に用いたのと同じ高分子化合物(粘度平均分子量39,000)3部をクロロベンゼン24部に溶解させた塗布液を前記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃、40分の加熱を行なって膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0231】
実施例1の最表面層(表面保護層)の形成において、例示化合物(II−3)の代わりに、例示化合物(II−270)を用いた以外は、実施例1と同様にして膜厚約5μmの最表面層(表面保護層)を形成し、実施例7の電子写真感光体とした。
【0232】
得られた実施例7の電子写真感光体について、実施例1と同じ実験を行なったところ、摩耗量が2.8μmであり、印刷試験前後の画質にも問題はなかった。
【0233】
[実施例8]
実施例7における電荷輸送層の形成において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(スミライザー、MDP−S)0.3部を添加したこと以外は同様にして電荷輸送層まで形成した。
【0234】
例示化合物(II−270)10部、硬化性シロキサン樹脂(信越シリコン、X−40−2239)18部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(スミライザー、MDP−S)0.5部、アンチモンをドープした酸化錫微粒子(T−1、三菱金属社製、1次粒径0.01μm)8部の混合物をペイントシェーカーで5時間分散した後、酢酸7部、1N塩酸0.001部を加えて得られた塗布液を、前記電荷輸送層上に浸漬塗布し、30分の指触乾燥の後、120℃、2時間の加熱処理を行ない、膜厚約5μmの最表面層(表面保護層)を形成した。こうして、実施例8の電子写真感光体を得た。
【0235】
得られた実施例8の電子写真感光体について、実施例1と同じ実験を行なったところ、摩耗量が3μmであり、印刷試験前後の画質にも問題はなかった。
【0236】
[実施例9]
実施例8の電子写真感光体と同様にして実施例9の電子写真感光体を得た。
【0237】
得られた実施例9の電子写真感光体を、富士ゼロックス製Able1450に装着して画質評価を行なったところ、階調性、解像度とも問題なかった。5万枚印刷後の摩耗量は4.5μmであり、画質に異常はなかった。
【0238】
[実施例10]
実施例8の電子写真感光体において、基材の外径を60mmにした以外は同様にして実施例10の電子写真感光体を得た。
【0239】
得られた実施例10の電子写真感光体を、富士ゼロックス製Able936に装着し、画質評価を行なったところ、常温常湿、高温高湿ともにカラー階調性、400線解像度ともに良好であった。1万枚のカラー印刷を行なった後、同様の評価を行なったところ問題の発生は無かった。このようにAble936の帯電方式は、接触帯電方式ではなくスコロトロン帯電方式であるが、まったく問題なく使用できた。
【0240】
[実施例11]
実施例1の電子写真感光体を、富士ゼロックス製LaserPress 4160II改造機に装着し、本発明の画像形成装置として耐刷性テストを行なった。この改造機は、ロール状帯電部材に外部電源(Trek製高圧電源610C、Wavetek製波形発生器) を接続した物であり、直流−600Vを印加して印刷試験を行なった。事前に測定した印加電圧−表面電位の測定結果から、この印加電圧において放電は発生していなかった。
【0241】
耐刷性の評価として、5万枚の間欠印刷前後における画質評価、および摩耗による感光体の膜厚減少量の評価を行なった。用紙としては富士ゼロックス製PPC用紙(L、A4)を用いた。画質評価は専用の評価機を用い、常温常湿(25℃/50%)、および高温高湿(28℃/85%)環境下で256階調性および400線解像度評価を行なった。結果を表63に示す。
【0242】
[比較例3]
比較例1の電子写真感光体を用いて、実施例11と同様にして評価した。結果を表63に示す。
【0243】
【表63】
Figure 0003826639
【0244】
表63により、実施例11では、耐刷試験前後のいづれの環境でも良好な画質を維持していた。比較例3では、感光体が導電性微粒子を含む最表面層(表面保護層)を表面に有していないため、直流のみの帯電が不安定であり、初期から良好な画質を得ることができなかった。
【0245】
[実施例12〜16]
実施例2〜6の電子写真感光体を用いて、それぞれ実施例11と同様にして評価した。結果を表64に示す。
【0246】
【表64】
Figure 0003826639
【0247】
[実施例17]
実施例7の電子写真感光体を用いて、実施例11と同様にして評価したところ、摩耗量が1.8μmであり、印刷試験前後の画質にも問題はなかった。
【0248】
[実施例18]
実施例8の電子写真感光体を用いて、実施例11と同様にして評価したところ、摩耗量が2.2μmであり、印刷試験前後の画質にも問題はなかった。
【0273】
実施例、及び比較例により、本発明の電子写真感光体は、光電特性を有する一般式(I)で表される化合物、3次元的に架橋硬化した膜構造を有しており、さらに導電性微粒子が分散された構成を有しているため、光電特性を有しながら強い機械強度を実現している。そのため、電子写真方式の画像形成装置として用いた場合に高い耐久性を有しており、印刷のランニングコストを抑える効果がある。特に、感光体に対するストレスの大きい接触帯電方式、なかでも交流成分を有する接触帯電方式を採用した電子写真画像形成装置とともに用いた場合、その効果は大きいものとなる。
【0274】
【発明の効果】
以上により、本発明は、耐環境性、耐久性、光電特性に優れた電子写真感光体、及びそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真用感光体の一例を示す拡大断面図である。
【図2】 本発明の電子写真用感光体の一例を示す拡大断面図である。
【図3】 本発明の電子写真用感光体の一例を示す拡大断面図である。
【図4】 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 感光体
12 帯電ロール
14 レーザー露光光学系
16 現像器
18 転写用ロール
20 クリーニングブレード
22 定着ロール

Claims (2)

  1. 導電性微粒子を含み、且つ少なくとも下記一般式(1)で表される化合物により形成される硬化膜からなる最表面層を有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0003826639
    一般式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を表す。Dは、可とう性サブユニットを表す。Aは−Si(R1(3-a)(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表す(ここで、R1は水素、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基を表す。R2は水素、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。aは1〜3の整数を表す。)。bは1〜4の整数を表す。
  2. 少なくとも電子写真感光体、及びその帯電手段を備える画像形成装置あって、前記電子写真感光体が、請求項1に記載の電子写真感光体であり、前記帯電手段が、接触帯電方式であることを特徴とする画像形成装置。
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