JP3825830B2 - 軌条加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌条、特に軌条の分岐部分が積雪等によって凍結するのを防止するため、渦電流によって軌条を加熱する軌条加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、渦電流によって軌条を加熱する軌条加熱装置としては実開平1−150601号に開示されるものがある。
この軌条加熱装置50の構成の概要について、図1を用いて説明する。
軌条加熱装置50は、コア52とコイル54とからなる誘導装置56と、この誘導装置56に交流電流を印加する電源58とから構成される。
誘導装置56は、断面がE字状に形成されたコア52の真ん中の突起部分にコイル54が巻回されてなるものであり、このコイル54に交流電流が印加されることによってコア52内に交番磁界が発生する。
従って、この誘導装置56が軌条60の側面に、コア52の開口側が軌条60の側面に向くように設置された場合には、この交番磁界が導体である軌条60にも伝わり、この交番磁界によって軌条60内部に渦電流が発生する。そしてこの渦電流のオーム損失による発熱が軌条60内に起こり、軌条60の温度が上昇し、凍結を防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の軌条加熱装置には次の様な課題が有る。
一つの誘導装置56によって軌条60内に発生する渦電流は、交番磁界の強さにもよるが、長い軌条60の全体には行き渡らず、従って発熱もきわめて局部的なものである。
よって、軌条60全体を加熱する必要がある場合には、図4のように、複数の誘導装置56を軌条60の長さ方向に沿って間隔を開けて設置し、これら各誘導装置56を電源58にそれぞれ専用の接続ケーブル62によって接続する必要がある。
【0004】
このため、接続ケーブル62の本数が多くなり、設置の際の工事に時間がかかる。また、接続ケーブル62の本数が多くなることから、接続ケーブル62の重量も増し、引回しに際して大型の固定金具が必要となり、コストがアップする。また本数が多いため、配線の接続箇所が増えると共に、一般に配線の引回しも複雑になることから故障の原因にもなりやすいという課題がある。
特に、軌条の分岐部分では軌条60が可動式に構成されており、配線の引回しが複雑だと接続ケーブル62が固定金具から外れて軌条60と床板との間に挟まれて被覆が破れ、ショートする等の故障が発生しやすい。
【0005】
従って、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、接続ケーブルを削減でき、設置が容易に行える軌条加熱装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため次の構成を備える。
即ち、軌条に、コアとコイルとからなる誘導装置を設け、該誘導装置に交流電流を印加して前記軌条を渦電流により加熱させる軌条加熱装置において、前記誘導装置のコイルは、前記軌条の側面にクランプ材により固定され、該軌条の長手方向に沿って長尺な一つの環状に電線を巻回して形成され2本の接続ケーブルで電源部と接続されており、前記誘導装置のコアは断面E字状若しくはU字状に形成され、前記軌条の側面に固定された前記コイルをコア脚部が跨いで開口端を軌条側面に当接して設置されて当該コアと軌条によって閉鎖磁気回路が形成されるようになっており、前記コアが軌条の長手方向に沿って間隔を開けて複数箇所に設置されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る軌条加熱装置の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
まず、軌条加熱装置10の構成を図1〜図3を用いて説明する。なお、従来例と同様の構成については同じ符号を付し、説明は省略する。
軌条加熱装置10の基本構成は、従来例と同様に、コア52とコイル12とからなる誘導装置14と、この誘導装置14に交流電流を印加する電源58とから構成されるが、この誘導装置14の構成が異なっている。
【0008】
次の、誘導装置14の構造を詳細に説明する。
コイル12は、図1と図2に示されるように軌条60の側面に、軌条60の長手方向に沿って長尺な一つの環状に電線を巻回して形成されている。電線の固定方法は、例えばクランプ材を軌条60の側面に接着し、このクランプ材を用いて軌条60の側面に固定すればよい。また軌条60は分岐部分に用いられる可動式の軌条60に限定されることなく、一般の固定式の軌条60であってもよい。
【0009】
このコイル12は基本的には1本の電線を巻回して形成されるため、電源58との間には2本の接続ケーブル62を設けるだけでよい。なお、コイル12に大きな磁界を発生させるためには、大電流を流す必要があるが、この場合には1本の電線の許容電流値を越える恐れがあるため、複数の電線をまとめて環状に巻回してコイル12を形成するようにすれば良い。この場合でも、電源58とコイル12との間は2本の接続ケーブル62を設けるだけで足りる。
コイル12には、この接続ケーブル62を介して電源58から交流電流が供給される。
【0010】
コア52は本実施形態では、従来例と同様に断面がE字状に形成されたものが使用される。そしてこのコア52は軌条60の側面に、図3に示すようにコア52の2つの間隙16a、16b間を環状に形成されたコイル12の各対向辺12a、12bがそれぞれ通過するように取り付けられる。また、長い軌条60を効率よく全体的に加熱するため、コア52は軌条60の長手方向に沿って間隔をあけて複数設置される(図1、図2参照)。
つまり、各コア52は、1つの環状に形成されたコイル12を共有する構造となるのである。
なお、本実施の形態では、コイル12に生じた磁束を効率よく軌条側に伝達することができるように断面E字状のコア52が使用されるが、他にU字状のコア52を使用して、環状に形成されたコイル12のいずれか一方の対向辺12a、12bのみを跨ぐように軌条60の側面に取り付ける構造としても良い。
【0011】
次に、動作について説明する。
電源58から交流電流をコイル12に印加すると、コイル12を構成する電線に交流電流が流れるため、コイル12にはには交番磁界が発生する。この磁界は軌条60に作用し、軌条60内に渦電流を発生させる。
軌条60内に渦電流が生ずると、従来例で説明したように、軌条60内でオーム損失が発生して軌条60の温度が上昇する。よって、軌条60の凍結を防止することが可能となる。
【0012】
また、本実施の形態では、コイル12を空芯状態として使用するのではなく、コイル12に所定の間隔でコア52を、その開口側が軌条60の側面に向くように設置している。
このため、コア52が取り付けられた部分ではコイル12がコア52で覆われると共に、コア52と軌条60とによって磁気回路が閉路に形成されるため、コイル12に生じた磁界を効率よく軌条60側に伝達させることができ、よって軌条60内に生ずる渦電流の大きさも空芯状態より大きくなるので、特にコイル12を設置した箇所の温度が集中的に上昇することになる。
従って、軌条60の側面に取り付けられた長尺なコイル12に、複数のコア52を適宜、間隔をあけて配置することによって、軌条60全体を効率よく加熱することが可能となる。
【0013】
以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、本発明は上述する実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係る軌条加熱装置を用いると、従来と比べて軌条に設置するコイルと当該コイルに交流電流を供給する電源との間の接続ケーブルの本数を最小の2本に抑えることが可能となり、配線の接続箇所の数が減少することから設置が短時間で容易に行える。また、接続ケーブルの本数が少ないために配線の引回しも整然と行えることから、作業ミスも発生しにくいという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軌条加熱装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】軌条に取り付けられたコイルとコアとの位置関係を示す図2のA−A断面図である。
【図4】従来の軌条加熱装置の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
10 軌条加熱装置
12 コイル
14 誘導装置
52 コア
58 電源
60 軌条

Claims (1)

  1. 軌条に、コアとコイルとからなる誘導装置を設け、該誘導装置に交流電流を印加して前記軌条を渦電流により加熱る軌条加熱装置において、
    前記誘導装置のコイルは、前記軌条の側面にクランプ材により固定され、該軌条の長手方向に沿って長尺な一つの環状に電線を巻回して形成され2本の接続ケーブルで電源部と接続されており、前記誘導装置のコアは断面E字状若しくはU字状に形成され、前記軌条の側面に固定された前記コイルをコア脚部が跨いで開口端を軌条側面に当接して設置されて当該コアと軌条によって閉鎖磁気回路が形成されるようになっており、前記コアが軌条の長手方向に沿って間隔を開けて複数箇所に設置されていることを特徴とする軌条加熱装置。
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