JP3824669B2 - 液体身体洗浄剤組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、高級脂肪酸のカリウム塩を主成分とし、豊かでクリーミーな泡を与え、しかも低温安定性に優れた液体身体洗浄剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、高級脂肪酸のナトリウム塩、いわゆるナトリウム石鹸は、その優れた固形物性、耐水性から広く固形洗浄剤として用いられている。しかし、ナトリウム石鹸は一般にクラフト点が高いため、液体洗浄剤とするには不向きであり、液体洗浄剤とする場合には高級脂肪酸のカリウム塩（カリ石鹸）が用いられている。すなわち、ラウリン酸カリウムやオレイン酸カリウム等のクラフト点の低いカリ石鹸を主成分とした液体洗浄剤とするのが一般的である（例えば特開昭６０−１７７１００号公報、特開昭６１−３００号公報、特開平３−１７９０９８号公報、特開昭６１−７３９９号公報、特開平２−１４２９００号公報、特開昭６０−１３０６９９号公報、特開昭５７−１０９９００号公報、特開昭５２−７６３０７号公報、特開昭５７−１１５５００号公報、特開昭５６−４３３９９号公報、特開平５−２６２６３９号公報、特開平４−１７３７２９号公報等）。
【０００３】
しかしながら、ラウリン酸カリウムやオレイン酸カリウムを主体とするカリ石鹸を基剤とした液体洗浄剤組成物は、低温安定性は良好であるものの、一般に、キメの粗い泡しか得られないという欠点がある。キメの細かな泡を得るためには、カリ石鹸の脂肪酸組成を、ラウリン酸やオレイン酸よりも高融点の脂肪酸をより多く含むものにしたり、カリ石鹸を完全中和品でなく、一部未中和として遊離脂肪酸を含むようにする等の方法が考えられるが、いずれも低温で結晶化したり、ゲル化するなどの問題があった。
【０００４】
従って、本発明の目的はカリウム石鹸を主成分とするにもかかわらず、豊かでクリーミーな泡を与え、しかも低温安定性に優れた液体身体洗浄剤組成物を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定の脂肪酸組成を有するカリ石鹸と遊離脂肪酸を特定の割合で併用すれば、豊かな泡立ちでクリーミーな泡を与え、しかも低温安定性に優れた液体身体洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【０００６】
すなわち、本発明は、高級脂肪酸及びそのカリウム塩を合計で１０〜４０重量％含有する液体身体洗浄剤組成物であって、その脂肪酸組成が、ラウリン酸３０〜６０重量％、ミリスチン酸１０〜６０重量％、パルミチン酸１０〜３０重量％、ステアリン酸０〜３重量％及びオレイン酸０〜６重量％であり、高級脂肪酸：高級脂肪酸のカリウム塩の重量比が１５：８５〜１：９９であることを特徴とする液体身体洗浄剤組成物を提供するものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる高級脂肪酸及びそのカリウム塩は、その脂肪酸組成がラウリン酸３０〜６０重量％、ミリスチン酸１０〜６０重量％、パルミチン酸１０〜３０重量％、ステアリン酸０〜３重量％及びオレイン酸０〜６重量％であることが必要であり、特にラウリン酸４０〜５５重量％、ミリスチン酸２５〜４５重量％、パルミチン酸１５〜２５重量％、ステアリン酸０〜２重量％及びオレイン酸０〜３重量％であるのが好ましい。これらの脂肪酸は、それぞれ高純度の脂肪酸を前記のような脂肪酸組成となるよう混合して用いてもよく、あるいはヤシ油脂肪酸のような混合脂肪酸を用い、これに適宜構成脂肪酸を加えて前記の脂肪酸組成となるようにしてもよい。混合脂肪酸を用いた場合、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、アラキン酸、ヘキサデセン酸、リノール酸等が少量混ざってくることがあるが、本発明の効果を損わない範囲であるならば構わない。
【０００８】
本発明の液体身体洗浄剤組成物には、前記の脂肪酸組成を有する高級脂肪酸及びそのカリウム塩を合計で１０〜４０重量％、好ましくは２５〜３５重量％配合する。また、高級脂肪酸：高級脂肪酸のカリウム塩の重量比は１５：８５〜１：９９であり、好ましくは１０：９０〜３：９７である。これらの範囲外では、豊かでクリーミーな泡立ちと優れた低温安定性を得ることはできない。
【０００９】
本発明の液体身体洗浄剤組成物は、前記の組成となる脂肪酸及びそのカリウム塩をそれぞれ配合することにより製造することもできるが、典型的には、３０〜９０℃程度に加温した水酸化カリウムを含む水溶液に、３０〜９０℃程度に加温融解した過剰量の脂肪酸を含む油相を攪拌しつつ加え、一定量の遊離脂肪酸を残存させるようにして製造することができる。
【００１０】
本発明の液体身体洗浄剤組成物には、通常液体身体洗浄剤組成物に用いられる各種の成分、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン界面活性剤；イミダゾリン系、ベタイン系等の両性界面活性剤；アルキルグルコシド、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルジメチルアミンオキサイド等の非イオン界面活性剤；プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のポリオール類；塩類、エタノール、水溶性高分子等の粘度調整剤；カチオンポリマー等の感触向上剤；２−エチルヘキサン酸トリグリセリド等の油剤；パラベン、ＥＤＴＡ、ＢＨＴ等の保存剤；エチレングリコールジステアレート等のパール化剤；トリクロサン等のデオドラント剤；架橋ポリアクリル酸ナトリウム等のスクラブ剤；その他色素、香料等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【００１１】
本発明の液体身体洗浄剤組成物は、２５℃における５％水溶液のpHが９〜１１、特に９．５〜１０．５になるよう調整するのが好ましい。
また、本発明において「液体」とは、ポンプ容器から排出可能なことをいい、好ましくは３０℃における粘度（ＢＭ型粘度計、ローターＮｏ．２、３０rpmで測定）が１０，０００cP以下、特に２，０００cP以下であるのが好ましい。
【００１２】
【発明の効果】
本発明の液体身体洗浄剤組成物は、カリウム石鹸を主成分とするにもかかわらず、豊かな泡立ちでクリーミーな泡を与え、しかも低温安定性に優れたものである。
【００１３】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【００１４】
実施例１
表１に示す組成の液体身体洗浄剤組成物を製造し、泡立ち、泡質及び低温安定性について評価した。結果を表１に示す。
【００１５】
（製造方法）
約７０℃に加熱した精製水に水酸化カリウムを加え、更にこれと同温度に加温融解した脂肪酸を加え、均一に混合して液体身体洗浄剤組成物を得た。
【００１６】
（評価方法）
（１）泡立ち：
各洗浄剤組成物について、１０倍希釈水溶液を調製し、この水溶液１００ml（液温４０℃）を目盛付きシリンダーに注入した。次いで、水溶液中に攪拌羽根を設置して羽根を回転させ、攪拌開始から３０秒後において生じた泡の体積（ml）を測定して泡立ち量とし、下記基準で評価した。なお、攪拌羽根の回転数は１，０００rpm であり、５秒毎に反転させた。
◎；泡立ち量 ２００ml以上。
○；泡立ち量 １６０ml以上２００ml未満。
△；泡立ち量 １２０ml以上１６０ml未満。
×；泡立ち量 １２０ml未満。
【００１７】
（２）泡質：
各液体洗浄剤組成物について、１０名の専門パネラーが手洗い試験を行い、下記基準により泡質を評価した。
５；非常にクリーミーな泡である。
４；クリーミーな泡である。
３；普通の泡である。
２；やや粗い泡である。
１；粗い泡である。
これらの評価の平均値を算出し、以下の基準で判定した。
◎；平均値が４．５以上。
○；平均値が３．５〜４．４。
△；平均値が２．５〜３．４。
×；平均値が２．４以下。
【００１８】
（３）保存安定性：
各洗浄剤組成物５０mlをガラス製スクリュー管に充填して密閉し、５℃の恒温室中で１ケ月保存した。１ケ月後、その内容物の液の状態を目視観察し、下記基準で評価した。
○；均一な透明液体である。
×；結晶が析出、又は白濁している。
【００１９】
【表１】

【００２０】
実施例２
以下に示す組成の液体身体洗浄剤組成物を実施例１と同様にして製造した。
得られた洗浄剤組成物は、豊かでクリーミーな泡であり、しかも低温安定性も優れたものであった。
【００２１】
【表２】

Claims (2)

1. 高級脂肪酸及びそのカリウム塩を合計で１０〜４０重量％含有する液体身体洗浄剤組成物であって、その脂肪酸組成が、ラウリン酸３０〜６０重量％、ミリスチン酸１０〜６０重量％、パルミチン酸１０〜３０重量％、ステアリン酸０〜３重量％及びオレイン酸０〜６重量％であり、高級脂肪酸：高級脂肪酸のカリウム塩の重量比が１５：８５〜１：９９であることを特徴とする液体身体洗浄剤組成物。
2. 高級脂肪酸：高級脂肪酸のカリウム塩の重量比が１０：９０〜３：９７である請求項１記載の液体身体洗浄剤組成物。