(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態にかかる画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる画像処理システムは、印刷ジョブ送信装置としてのコンピュータ端末(以下、「PC」と称する)1と、画像形成装置としてのプリンタ2とを備える。PC1とプリンタ2とは、ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク3は、たとえば、イーサネット(登録商標)、トークンリング、およびFDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN、またはLAN同士を専用線で接続したWAN等の各種のネットワークからなる。
なお、ネットワーク3に接続される機器の種類および台数は、図1に示される例に限定されない。また、PC1とプリンタ2とは、ネットワーク3を介することなく直接的に機器間で接続(ローカル接続)されていてもよい。
本実施の形態では、プリンタ2を制御するための制御プログラムとして、プリンタドライバがPC1にインストールされている。具体的には、プリンタドライバは、プリンタ2が解釈可能な言語で記述されたプリントデータへと文書ファイルを変換するための制御プログラムである。また、プリンタドライバは、プリンタ2による処理機能を選択し、その処理機能が適用される用紙上の位置を決定するためにも用いられる。なお、プリンタ2による処理機能には、大別して、印刷機能と、印刷後の後処理機能とが含まれる。また、各印刷ジョブ毎に、適用される処理機能を選択することができる。本実施の形態では、後述するように、このプリンタドライバを用いて、処理機能を選択し、処理機能が適用される用紙上の位置を決定する際の処理に特徴を有する。
図2は、図1のPC1の構成を示すブロック図である。PC1は、CPU(central processing unit)11、ROM(read only memory)12、RAM(random access memory)13、ハードディスク14、ディスプレイ15、入力装置16、およびネットワークインタフェース17を備えている。これらの各部11〜17は信号をやり取りするためのバス18を介して相互に接続されている。
CPU11は、プログラムにしたがって、上記各部11〜17の制御および各種の演算処理を実行する。ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する。ハードディスク14は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムおよび各種データを格納する。このハードディスク14には、たとえば、文書ファイルを作成するためのアプリケーションと、上述したプリンタドライバとがインストールされる。
ディスプレイ15は、各種の情報を表示する。特に、ディスプレイ15は、プリンタ2による処理機能を各印刷ジョブ毎に選択するための操作画面を表示する。
入力装置16は、ポインティングデバイスおよびキーボードであり、各種の入力を行うために使用される。本実施の形態では、後述するように、ポインティングデバイスによるドラッグ&ドロップと呼ばれる操作法を用いて処理がなされるため、特に、ポインティングデバイスが重要な役割を担う。ここで、「ドラッグ&ドロップ」とは、操作画面上で、カーソル(マウスカーソルなど)がアイコンなどのシンボルに重なった状態で入力装置16のボタンを押し、ボタンを押したままの状態でカーソルを移動(ドラッグ)させ、別の場所でマウスのボタンを離す(ドロップする)といった操作法である。本実施の形態では、ポインティングデバイスとして、マウスが用いられる。しかしながら、本実施の形態と異なり、ポインティングデバイスとして、トラックボール、トラックパッド、タブレット、およびスタイラスペンなどの各種デバイスを用いることもできる。
ネットワークインタフェース17は、ネットワーク3を介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、またはFDDI等の規格が用いられる。
図3は、図1に示されるプリンタ2の構成を示すブロック図である。プリンタ2は、プリンタ本体20と、後処理装置(フィニッシャー)30とを含む。
プリンタ本体20は、CPU21、ROM22、RAM23、ハードディスク24、操作パネル部25、印刷部26、およびネットワークインタフェース27を含み、これらの各部は信号をやり取りするためのバス28を介して相互に接続されている。また、後処理装置30は、ステープル処理部31、パンチ孔処理部32、および紙折り加工部33を含む。なお、プリンタ2の上記各部のうち、PC1の上記各部と同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるためその説明を省略する。
操作パネル部25は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、およびストップボタン等の要素を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部26は、電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、各種データを用紙などの記録材上に印刷する。
後処理装置30におけるステープル処理部31は、用紙をステープル留めする。パンチ孔処理部32は、用紙にパンチ孔を開ける。紙折り加工部33は、用紙に折り加工を施す。
なお、PC1およびプリンタ2は、それぞれ、上記した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
次に、以上のように構成される本実施の形態における画像処理システムの動作について説明する。
図4および図5は、本実施の形態におけるPC1による処理手順を示すフローチャートであり、具体的には、プリンタ2を制御するための制御方法を示すフローチャートである。なお、図4および図5のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、PC1のハードディスク14などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU11によって実行される。
まず、PC1は、利用者の操作に基づく印刷の指示があるまで待機する(ステップS101:NO)。印刷は、たとえば、アプリケーションにより作成された文書ファイルに対して指示される。印刷の指示があった場合(ステップS101:YES)、ディスプレイ15の操作画面上に、印刷用紙に対応する図(以下、「用紙対応図」と称する)が表示されるとともに(ステップS102)、それぞれがプリンタ2による処理機能に関係づけられた複数のアイコンが表示される(ステップS103)。また、複数種類の用紙サイズおよび/または向きに対応する複数の参照図が操作画面上に表示される(ステップS104)。この参照図は、後述する用紙の設定処理において使用される。
図6は、操作画面の一例を示す。図6に示されるとおり、操作画面上には、用紙対応図41が表示されるとともに、複数のアイコン42a〜42j(以下、「アイコン42」と総称する場合がある)が表示されている。各アイコン42は、プリンタ2による処理機能に関係づけられている。なお、図6に示される操作画面では、説明の簡便のために、用紙の設定処理に関係する部分の表示、特に、参照図の表示を省略している。用紙の設定処理に関係する部分については、後述する。
アイコン42aおよび42bは、それぞれ一つのステープル、および二つのステープルを用いて用紙を綴じる各ステープル留め処理機能に関係づけられている。アイコン42c、42d、および42eは、用紙に対して、それぞれ2孔、3孔、および4孔を開ける各パンチ孔処理機能に対応する。アイコン42fおよび42gは、それぞれZ折りおよび中折りと呼ばれる各紙折り処理機能に対応している。ここで、Z折りは、一の方向に用紙を折り、さらに、反対方向に折り返す紙折り処理機能である。中折りは、用紙の中央部で折る紙折り処理機能である。
また、アイコン42hは、中綴じと呼ばれる処理機能に対応する。中綴じは、中折りに加えて、折り目部分をステープルを用いて綴じる処理機能に対応する。アイコン42iは、紙挿入機能に対応する。紙挿入機能は、所定の連続する頁の用紙間に、サイズ、向き、または色などの異なる挿入紙を挿入する処理機能である。アイコン42jは、ウォータマーク印刷処理機能である。ウォータマーク印刷処理機能は、印刷指示された画像とともに、「社外秘」、「秘」、「ドラフト」、および「confidential」などの付加画像を同時に印刷する印刷処理機能である。なお、アイコン42jを押すことで、「社外秘」、「秘」、「ドラフト」、および「confidential」などの各付加画像のウォータマーク印刷処理機能に対応した各アイコンが表示されるように構成することもできる。
カーソル43は、コンピュータの操作画面上に表示される、矢印などの形をした指示部である。カーソル43は、好ましくは、マウスカーソルであり、マウスポインタとも呼ばれる。利用者が入力装置16を操作することで、カーソル43は、操作画面内を自由に移動する。たとえば入力装置16がマウスである場合、面上においてマウスを前後左右に滑らせることによって、操作画面上のカーソル43が移動する。
また、選択される処理機能によっては、頁の指定が必要となる場合がある。したがって、頁の指定のために頁指定部66が操作画面上に表示される。たとえば、頁指定部66は、紙挿入機能が選択される際に、挿入紙の挿入位置を指定するために用いられる。
さらに、図4のフローチャートにおいて、用紙の設定処理が実行される(ステップS105)。用紙の設定処理は、用紙のサイズおよび/または向きを設定する処理である。用紙の設定処理の内容は、後述する。
次いで、カーソル43がアイコン42に重なった状態で入力装置16のボタンが押されたか否かが判断される(ステップS106)。カーソル43がアイコン42に重なっている状態で入力装置16のボタンが押されたと判断されない場合には(ステップS106:NO)、ステップS107〜ステップS118の処理がスキップされて、ステップS119に進む。一方、カーソル43がアイコン42に重なっている状態で入力装置16のボタンが押されたと判断される場合には(ステップS106:YES)、ボタンが押された時点でカーソル43が重なっているアイコン42に対応した処理機能が選択される(ステップS107)。たとえば、上記の図6において、カーソル43がアイコン42bに重なっている状態で入力装置16のボタンが押される場合には、アイコン42bに対応した処理機能、すなわち、二つのステープルを用いて用紙を綴じる処理機能が選択される。これらステップS106およびステップS107の処理は、複数のアイコン42のうちからアイコン(たとえば、アイコン42b)の指定を受けて、指定された処理機能を選択する処理に対応する。
処理機能が選択されると、選択された処理機能の内容に応じて、用紙対応図41上での位置の指定が可能な一または複数の領域(以下、「位置指定可能領域」と称する)が設定される(ステップS108)。位置指定可能領域は、事前にROM12またはハードディスク14に記憶されている第1テーブルを参照することによって、設定される。
図7は、位置指定可能領域を設定するために用いられる第1テーブルの一例を模式的に示している。第1テーブルは、各処理機能と位置指定可能領域とを対応づけている。なお、実際には、位置指定可能領域は、座標値で示されていることが望ましい。CPU11は、第1テーブルを参照することによって、選択された処理機能の内容に応じた位置指定可能領域を設定することができる。
図8は、位置指定可能領域44a,44b,および44cが設定された場合の操作画面の一例を示している。図8では、二つのステープルを用いて用紙を綴じる処理機能が選択された場合を示している。CPU11は、図7に示される第1テーブルを参照することによって、用紙対応図41の右辺中央、左辺中央、および上辺中央の各領域44a,44b,および44cを位置指定可能領域として設定する。
次いで、既に適用される位置が決定されている処理機能があるか否かが判断される(ステップS109)。初めの段階では、既に適用される位置が決定されている処理機能がないので(ステップS109:NO)、ステップS110の処理をスキップして、図5のステップS111に進む。ステップS111では、位置指定可能領域44a〜44cが用紙対応図41上に表示される。たとえば、図9に示されるとおり、用紙対応図41の色または明暗などの状態を部分的に変えることによって、位置指定可能領域44a〜44cが用紙対応図41上に表示される。この結果、利用者は、位置指定可能領域44a〜44cを視認しつつ、作業することができる。
次いで、入力装置16のボタンが離されたか否かが判断される(ステップS112)。ボタンが離されていない状態では(ステップS112:NO)、カーソル43の移動に伴って操作画面上でアイコン42を移動させる(ステップS113)。すなわち、ステップS113の処理は、カーソル43によりアイコン42をドラッグする処理に対応する。そして、入力装置16のボタンが離されるのを待って(ステップS112:YES)、ボタンが離された時点でのカーソル43の位置が位置指定可能領域44a〜44c内にあるか否かが判断される(ステップS114)。このようにカーソル43の位置が所定の領域内にある状態でボタンが離される処理は、ドロップと呼ばれるカーソル操作に対応する。
ボタンが離された時点でのカーソル43の位置が位置指定可能領域44a〜44c内にない場合には(ステップS114:NO)、利用者が位置指定の設定を取りやめたものと判断される。したがって、アイコン42を初期位置に戻した後(ステップS115)、何らの処理機能を設定することなく、ステップS106の処理に戻る。一方、カーソル43の位置が位置指定可能領域44a〜44c内にある場合には(ステップS114:YES)、このカーソル43による用紙対応図41上での位置の指定を受けて、処理機能が用紙に対して適用される位置が決定される(ステップS116)。
上記ステップS112〜ステップS116の処理は、用紙対応図41上での位置の指定を受けて、ステップS107で選択された処理機能が用紙に対して適用される位置を決定する処理に対応する。特に、本実施の形態では、用紙対応図41上での位置は、アイコン42を位置指定可能領域44a〜44c内に操作画面上で移動することによって指定される。具体的には、アイコン42の指定は、カーソル43がアイコン42に重なった状態で入力装置16のボタンが押されることによってなされ、用紙対応図41上での位置の指定は、入力装置16のボタンが押されたままの状態でカーソル43が移動されて、位置指定可能領域44a〜44c内にカーソル43が存在する状態で入力装置16のボタンが離されることによってなされる。
図10は、カーソル43の位置が用紙対応図41の左辺中央の領域44b上にある状態を示した図である。図10に示される状態で、入力装置16のボタンが離されることによって、アイコン42bに対応する処理機能、すなわち、二つのステープルを用いて用紙を綴じる処理機能が適用される用紙上の位置が決定される。図10に示される例では、実際の用紙の左辺中央部においてステープル留め処理が実行されることが決定される。
次いで、適用される位置が決定された処理機能の内容が用紙対応図41上に反映される(ステップS117)。換言すれば、適用される位置が決定された処理機能の内容および適用される位置に応じて、用紙対応図41の表示が変更される。好ましくは、適用される位置が決定された処理機能の内容を用紙対応図41上に示す機能反映アイコンが表示される。
図11は、処理機能の内容が用紙対応図41上に反映された状態を示す図である。図11では、用紙対応図41の左辺中央部にステープルが模式的に図示される。好ましくは、ステープル処理機能に対応した機能反映アイコン48が用紙対応図41上に表示される。この結果、実際の用紙の左辺中央においてステープル留め処理機能が適用されることが視覚的に表示される。
好ましくは、機能反映アイコン48は、適用される位置が決定された処理機能を取り消す場合に用いることができる。たとえば、利用者は、取り消したい処理機能に対応する機能反映アイコン48を指定し、機能反映アイコン48を取り消し用領域49上までドラッグ&ドロップすることによって、適用される位置が決定された処理機能を取り消すことができる。具体的には、利用者は、カーソル43が機能反映アイコン48に重なった状態で入力装置16のボタンを押し、ボタンを押したままの状態でカーソル43を移動させ(ドラッグさせ)、取り消し用領域49上で入力装置16ボタンを離す(ドロップする)ことにより、処理機能を取り消すことができる。
次いで、適用される位置が決定された処理機能の内容に応じて、アイコン42の表示が変更される(ステップS118)。好ましくは、既に適用される位置が決定された処理機能の内容に応じて、新たに指定できなくなったアイコン42の表示が変更される。すなわち、この処理は、既に適用される位置が決定された処理機能の内容に応じて、新たに選択できなくなった処理機能が生じることに対応する。アイコン42の表示の変更内容は、事前にROM12またはハードディスク14に記憶されている第2テーブルを参照することによって決定される。
図12は、第2テーブルの一例を模式的に示している。第2テーブルは、一の処理機能の内容および適用される位置と、他の処理機能の内容および適用される位置とが同時選択可能か否かを示ステープルである。図12に示される第2テーブル中、記号「○」は、同時選択可能な組合せを示しており、記号「×」は、同時選択不可能(排他的)である組合せを示している。さらに、記号「□」は、利用者の指示に応じて同時選択可能に設定することもでき、同時選択不可能に設定することもできる組合せ、すなわち、排他的設定可能な組合せを示している。本実施の形態では、記号「□」で示される組み合わせが、同時選択不可能に設定されている場合を例にとって説明する。
CPU11は、既に適用される位置が決定された処理機能の内容、およびその適用される位置を第2テーブルにおいて特定し、同時選択不可能な処理機能を抽出する。本ステップでは、どのような位置指定可能領域44a〜44cを指定した場合であっても、一切、同時選択不可能な処理機能についてのみ、抽出することが望ましい。言い換えれば、位置指定可能領域44a〜44cの指定内容によっては同時選択可能な処理機能については抽出しないことが望ましい。次いで、抽出された同時選択不可能な処理機能に関係づけられたアイコン42の色および/または明暗が変更されて表示される。また、この表示が変更されたアイコン42については、指定することができなくなる。
上述した図11を用いて、具体的に説明する。図11では、二つのステープルを用いて用紙を綴じる処理機能が用紙の左辺中央の位置に適用されることが決定されている。CPU11は、図12の第2テーブルにおいて、この処理機能(第2テーブル中「ステープル2箇所・左辺中央」と表示)を特定し、同時選択不可能な処理(「×」および「□」)を抽出する。この例では、一つのステープルおよび二つのステープルを用いて用紙を綴じる各ステープル留め処理機能、中折りの処理機能、および中綴じの処理機能が同時選択不可能な処理として抽出される。この結果、図11に模式的に示されるとおり、各ステープル留め処理機能に対応するアイコン42a,42b、中折り処理機能に対応するアイコン42g、および中綴じ処理機能に対応するアイコン42hの表示が変更される。さらに、これらアイコン42a,42b、42g、アイコン42hを指定することができないように設定される。
次いで、図5において、印刷実行指示があるか否かが判断される(ステップS119)。印刷実行指示は、たとえば、操作画面上の印刷ボタン45の上にカーソル43がある状態で、利用者によって入力装置16のボタンが押されることによってなされる。印刷実行指示がない場合には(ステップS119:NO)、処理の終了が指示されたか否かが判断される(ステップS120)。処理の終了は、たとえば、操作画面上のキャンセルボタン46上またはダイアログボックスの閉ボタン47上にカーソル43が存在する状態で、入力装置16のボタンが押されることによって指示される。処理の終了が指示された場合には(ステップS120:YES)、そのまま処理が終了する。一方、処理の終了が指示されなければ(ステップS120:NO)、図4のステップS106の処理に戻り、ステップS106以下の処理が引き続き実行される。
ステップS106以下の処理では、カーソル43がアイコン42に重なった状態で入力装置16のボタンが押されることによって(ステップS106:YES)、新たに処理機能が選択され(ステップS107)、位置指定可能領域44a〜44cが設定される(ステップS108)。
そして、既に適用される位置が決定されている処理機能が存在するので(ステップS109:YES)、既に適用される位置が決定された処理機能の内容および適用される位置に応じて、新たに選択された処理機能についての位置指定可能領域44a〜44cが変更される(ステップS110)。位置指定可能領域44a〜44cは、たとえば、上述した図12に示される第2テーブルを参照することによって、変更される。
CPU11は、既に適用される位置が決定された処理機能の内容、およびその適用される位置を第2テーブルにおいて特定し、さらにステップS107において新たに選択された処理機能を特定する。この結果、新たに選択された処理機能について、同時選択可能な位置指定可能領域が抽出される。
図13および図14は、2孔を開けるパンチ穴処理機能についての位置指定可能領域を示す図である。図13は、適用される位置が決定された処理機能が存在しない場合を示しており、図14は、二つのステープルを用いて用紙を綴じる処理機能が用紙の左辺中央の位置に適用されることが既に決定されている場合を示している。図14に示される状態では、CPU11は、図12の第2テーブルにおいて、既に適用される位置が決定された処理機能(第2テーブル中「ステープル2箇所・左辺中央」と表示)を特定し、パンチ孔処理機能についての位置指定可能領域を抽出する。その結果、用紙の右辺中央、左辺中央、および上辺中央の各領域44a,44b,および44cのうち、用紙の左辺中央の領域44bのみが位置指定可能領域として抽出される。したがって、CPU11は、図14に示されるとおり、用紙の左辺中央の領域44bのみを位置指定可能領域として設定する。言い換えれば、CPU11は、既に適用される位置が決定された処理機能に応じて、図13の状態から図14の状態へと位置指定可能領域を変更する。
以上のように、種々の処理機能の選択、および処理機能の適用される位置の決定が終了した後、印刷実行指示がされるのを待って(図5のステップS119:YES)、選択された処理機能、および処理機能が適用される位置の指示を含むプリントデータが作成される(ステップS121)。次いで、作成されたプリントデータが、プリンタ2に送信される(ステップS122)。この結果、プリンタ2は、受信したプリントデータにしたがって、各種の処理を実行することができる。なお、プリントデータのデータ形式の詳細は、従来の場合と同様なので、詳しい説明を省略する。
以上のように、図4および図5に示されるプリンタの制御方法によれば、アイコン42の指定を受けて処理機能が選択され、用紙対応図41上での位置の指定を受けて、処理機能が適用される位置が決定される。したがって、処理機能が適用される用紙上の位置を視覚的に認識しつつ指定することが容易である。特に、指定したアイコン42を用紙対応図41上の位置指定可能領域44a〜44cに移動することによって、処理機能が適用される位置の指定が可能であるので、処理機能に対応するアイコン42と、処理機能が適用される用紙上の位置との関係を利用者が容易に把握することができる。
また、アイコン42の指定は、カーソル43がアイコン42に重なった状態で入力装置16のボタンが押されることによってなされ、用紙対応図41上での位置の指定は、入力装置16のボタンが押されたままの状態でカーソル43が移動されて、位置指定可能領域44a〜44c内にカーソル43が存在する状態で入力装置16のボタンが離されることによってなされるので、入力装置16の一つのボタン操作およびカーソル43の移動のみにより、処理機能の選択、および適用される位置の決定が可能となる。
また、選択された処理機能の内容に応じて、位置指定可能領域44a〜44cが設定されるので、選択された処理機能に応じて適合した位置の指定が可能である。このとき、位置指定可能領域44a〜44cが用紙対応図41上に表示されるので、利用者は、処理機能が適用される用紙上の位置を視覚的に認識した上で、希望する位置を指定することができる。
さらに、既に適用される位置が決定された処理機能の内容に応じて、逐次に、アイコン42の表示を変更し、新たに指定できなくなったアイコンの表示を変更するので、同時選択不可能な処理機能を誤って選択してしまうことを事前に防止することができる。同様に、既に適用される位置が決定された処理機能の内容に応じて、新たに選択される処理機能についての位置指定可能領域44a〜44cを変更するので、同時選択不可能な状態の発生を事前に防止することができる。
なお、上記の図4および図5に示される処理手順は、適宜に変更することができる。たとえば、ステップS102とステップS103の処理は、その順序を入れ替えることができる。また、実際には、用紙の設定処理の指示(ステップS105)、印刷実行指示(ステップS119)、および処理の終了の指示(ステップS120)は、割り込み処理として実行されることが望ましい。
また、上記の説明では、カーソル43がアイコン42に重なった状態で入力装置16のボタンを押すことによって、アイコンが指定される一方、入力装置16のボタンを押したままの状態でカーソル43を移動させ、位置の指定が可能な領域内にカーソル43がある状態で入力装置16のボタンを離すことによって、用紙対応図41上での位置が指定される場合を説明した。しかしながら、他の方法によって、アイコン42の指定、および紙対応図上での位置の指定をすることもできる。
たとえば、カーソル43がアイコン42に重なった状態で入力装置16のボタンをクリックすることによってアイコン42が指定され、次に、指定が可能な領域内にカーソル43がある状態で入力装置16のボタンを再度クリックすることによって、用紙対応図41上での位置が指定されてもよい。ここで、クリックとは、入力装置16のボタンを押して離す動作である。
(用紙の設定処理)
次に、図4のステップS105で示される用紙の設定処理について説明する。図15は、用紙の設定処理の手順を示すフローチャートである。図15は、図4のステップS105の内容を示すサブルーチンに対応する。したがって、用紙の設定処理の前提として、用紙対応図41を操作画面上に表示する処理(ステップS102)、および複数種類の用紙サイズおよび/または向きに対応する複数の参照図を操作画面上に表示する処理(ステップS104)が実行されている。
まず、表示された用紙対応図41において、所定の変形開始領域(「リサイズハンドル」とも呼ばれる)にカーソル43が重なっている状態で入力装置16のボタンが押されたか否かが判断される(ステップS201)。変形開始領域とは、用紙対応図41を変形可能な状態とする指示を受け付けるための領域であり、好ましくは、用紙対応図41の枠部(特に角部)に設けられる。このように、カーソル43が用紙対応図41に重なっている状態で入力装置16のボタンが押されることによって、用紙対応図41を変形可能な状態となる。
用紙対応図41の変形開始領域上にカーソル43が重なっている状態で入力装置16のボタンが押さなければ(ステップS201:NO)、そのままリターンして、図4のフローチャートに戻る。一方、用紙対応図41の変形開始領域51上にカーソル43が重なっている状態で入力装置16のボタンが押されることによって(ステップS201:YES)、ステップS202以下に示される処理に進む。
図16は、操作画面の一例を示している。図16に示される操作画面は、図6と同様であるが、図16では、用紙の設定処理に関係した部分(特に、各参照図)についても省略せずに示している。図16に示される操作画面上には、一例としてA4判縦型の用紙に対応した用紙対応図41が表示されている。また、用紙対応図41とは異なる用紙のサイズおよび/または向きに対応した参照図61〜65が表示されている。具体的には、各参照図61〜65は、それぞれA3判縦型、B4判縦型、B5判縦型、A4判横型、およびB5判横型の用紙に対応している。参照図61〜65は、用紙対応図41を変形して用紙のサイズおよび/または向きを設定する際に参照される。
図16に示される例では、用紙対応図41の一つの頂点が基準点53とされ、この基準点53の対角に位置する用紙対応図41の角部に変形開始領域51が設けられている。この変形開始領域51上にカーソル43が重なった状態で、入力装置16のボタンが押されることによって、用紙対応図41が変形可能な状態となる。なお、この際に、変形開始領域51上にカーソル43が重なっていることを表示するために、カーソル43の形状が変更されてもよい。
次に、ステップS202以下の処理について説明する。ステップS202〜ステップS207の処理は、操作画面上での変形位置の指定を受けて、用紙対応図41を変形位置に応じて変形する処理に対応する。
まず、カーソル43の位置が検出されて(ステップS202)、入力装置16のボタンが押されている限り(ステップS203:NO)、カーソル43の移動(ドラッグ)に応じて用紙対応図41が順次に変形される(ステップS204)。具体的には、カーソル43の位置を新たな角部とする用紙対応図41が表示される。換言すれば、上記の基準点53とカーソル43の位置とを結ぶ線を対角線とするように用紙対応図41が変形される。ただし、ステップS204の処理を実行している時点では、用紙対応図41の変形は確定したものではない。したがって、変形が確定していないことを示すために、変形された用紙対応図41の色または明暗を変化させて表示することが望ましい。
次いで、入力装置16のボタンが離されるのを待って(ステップS203:YES)、ボタンが離された時点でのカーソル43の位置が変形可能領域内か否かが判断される(ステップS205)。上記の図16に示されるとおり、参照図61〜65の枠部(特に、角部)には、それぞれ変形可能領域52a〜52eが設けられている。したがって、入力装置16のボタンが離された時点でのカーソル43の位置が、これら変形可能領域52a〜52eのいずれか一つに重なっているかが判断される。このようにカーソル43の位置が所定の領域にある状態でボタンが離される処理は、ドロップと呼ばれるカーソル操作に対応する。
入力装置16のボタンが離された時点でのカーソル43の位置が、変形可能領域内52a〜52eにない場合には(ステップS205:NO)、利用者が用紙の設定処理を取りやめたものと判断される。したがって、用紙対応図41の変形が解除された後(ステップS206)、そのままリターンして、図4のフローチャートに戻る。一方、入力装置16のボタンが離された時点でのカーソル43の位置が変形可能領域52a〜52e内にある場合には(ステップS205:YES)、カーソル43が位置する変形可能領域が設けられている参照図と同じサイズおよび向きとなるように、用紙対応図41の変形が確定される(ステップS207)。
次いで、変形された用紙対応図41にしたがって、用紙のサイズおよび/または向きが決定される(ステップS208)。具体的には、変形の確定した用紙対応図41に対応して用紙のサイズおよび/または向きが決定される。
次に、変形の確定によって用紙対応図41のサイズおよび/または向きが更新されるのにともなって、新たな用紙対応図41と異なる用紙のサイズおよび/または向きに対応するように、各参照図が更新され、用紙対応図41上の変形開始領域51および参照図上の変形可能領域も更新される(ステップS209)。すなわち、ステップS209の処理は、新たに変形可能領域を設定する処理に対応する。
図17は、変形可能領域52b上にカーソル43が重なっている状態を示している。ここで、変形可能領域52bは、B4判縦型の用紙に対応した参照図62の角部に設けられている。したがって、図17に示される状態で、入力装置16のボタンが離されると、図18に示されるように、用紙対応図41は、B4判縦型の用紙に対応した41´に変形される。そして、参照図が、A3判縦型、A4判縦型、B5判縦型、A4判横型、およびB5判横型の用紙にそれぞれ対応した参照図61´〜65´に更新される。そして、変更後の用紙対応図41´の枠部には、新たな変形開始領域51´が設けられる一方、各参照図61´〜65´の枠部には、新たな変形可能領域52a´〜52e´が設けられる。すなわち、用紙対応図41の変形に伴って、変形開始領域51´および変形可能領域52a´〜52e´も、適宜に更新される。図18のように用紙対応図41´が変形されることによって、実際のB4判縦型の用紙が設定される。
図17および図18では、用紙対応図41の変形に応じて、用紙のサイズを設定する場合を説明したが、図19に示されるとおり、用紙対応図41の変形に応じて、用紙の向きを設定してもよく、図20に示されるとおり、用紙対応図41の変形に応じて、用紙のサイズと向きの双方を設定してもよい。
図15に示されるプリンタの制御方法によれば、カーソル43の移動に伴って用紙対応図41を変形し、変形された用紙対応図41にしたがって、用紙のサイズおよび/または向きが決定されるので、利用者は、用紙のサイズおよび/または向きの内容を十分に視認しつつ、設定することができる。
なお、通常のCAD(Computer aided design system)で用いられている図形の編集処理では、一般的に、操作画面上で、どのような位置を指定した場合であっても、その指定された位置を頂点とするように図形の変形が確定してしまう。しかしながら、本実施の形態では、用紙のサイズおよび/または向きに対応した変形可能領域52a〜52eが設定され、この変形可能領域52a〜52e内に位置が指定された場合に限って、用紙対応図41の変形が確定し、変形可能領域52a〜52e外に位置が指定された場合には、用紙対応図41の変形が解除される。
また、一の変形可能領域(たとえば、52b)内に位置が指定された場合には、その変形可能領域52b内の位置によらず、予め定められた参照図(この場合は、参照図62)のサイズおよび/または向きとなるように用紙対応図41の変形が確定する。したがって、選択不可能な用紙のサイズおよび/または向きが決定されることを事前に防止することができる。
なお、上記の図15に示される処理手順は、適宜に変更することができる。たとえば、カーソル43が用紙対応図41に重なった状態で入力装置16のボタンをクリックすることによって紙対応図41の変形が可能な状態となり、次に、変形可能領域内にカーソル43がある状態で入力装置16のボタンを再度クリックすることによって、変形位置が指定されてもよい。
また、上記の説明では、変形可能領域52a〜52eは、参照図61〜65の枠部上(特に角部)に設けられていたが、本発明は、この場合に限られず、変形可能領域52a〜52eのサイズ、位置、および形状は、適宜に定めることができる。
なお、用紙対応図41上にサムネールを表示してもよい。ここで、サムネールとは、たとえば、所定の頁(たとえば、最初の頁)のプリントデータに対応する画像を縮小して示した縮小画像である。プリントデータからサムネールへの変更手法自体は、従来と同様であるので、詳しい説明を省略する。
(複数頁分の用紙対応図を表示する場合)
次に、複数頁分の用紙対応図を表示する場合を説明する。たとえば、上述した紙挿入機能では、所定の頁の用紙間(たとえば、20頁と21頁の間)に、サイズ、向き、または色などの異なる用紙が挿入される。しかしながら、単に頁番号を指示するのみでは、その指示された頁番号の手前側に挿入紙が挿入されるのか、頁番号の後側に挿入紙が挿入されるのかが、各プリンタメーカーのプリンタドライバの仕様によっても異なり、利用者の意図と異なる挿入位置が決定されてしまう場合もあった。
本実施の形態では、複数頁分の用紙対応図を表示し、用紙対応図上での位置の指定を受けて、挿入紙の挿入位置を決定できるようにすることによって、挿入位置を視覚的に認識しつつ、決定することが可能となる。
図21および図22は、挿入紙の挿入位置の設定処理の手順を示すフローチャートである。図21および図22のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、PC1のハードディスク14などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU11によって実行される。
まず、PC1は、挿入紙を挿入する際の基準となる頁の指定を受け付けて(ステップS301)、頁の指定内容をRAM13またはハードディスク14に記憶する(ステップS302)。たとえば、上記の図6に示される頁指定部66において、利用者が具体的な頁番号nを入力することによって、頁の指定が受け付けられ、頁番号が記憶される。上述した図6に示される場合では、頁番号20が入力されている。また、指定された頁を基準として、所定の複数頁(挿入間隔)ごとに挿入紙が繰り返し挿入される挿入リピート機能が指示されてもよい。この場合、頁指定部66において利用者が具体的な頁番号nを入力するとともに、挿入間隔に対応した頁の値も入力される。
次いで、紙挿入機能に対応するアイコン42i(図6参照)がクリックされたか否かが判断される(ステップS303)。アイコン42iがクリックされていなければ(ステップS303:NO)、紙挿入機能が選択されない場合であるので、そのまま図22のステップS317に進む。一方、アイコン42iがクリックされた場合には(ステップS303:YES)、ステップS304以下に示される処理に進む。
まず、連続する複数頁分(ここでは、2枚分)の用紙対応図41a,41bが表示される(S304)。たとえば、ステップS301で指定された頁(第n頁)を含む複数頁の用紙対応図が操作画面上に表示される。すなわち、ステップS301で入力された頁番号nを基準として、連続する第n頁と第n+1頁の2つの用紙対応図が表示される。各用紙対応図には、それぞれの頁番号(第n頁および第n+1頁)が表示されていることが望ましい。また、複数頁分の用紙対応図が表示されるとともに、挿入紙に対応する図(以下「挿入紙対応図」と称する)が表示される(ステップS305)。この結果、操作画面上には、複数頁分の用紙対応図と、挿入紙対応図とが共に表示された状態となる。
図23は、2頁分の用紙対応図41a,41bと挿入紙対応図67とが表示された状態を示す図である。ここで、挿入紙対応図67は、ドラッグ&ドロップの対象となる。言い換えれば、挿入紙対応図67が、図4および図5で説明したアイコン42の一種として機能する。すなわち、利用者は、カーソル43が挿入紙対応図67に重なった状態で入力装置16のボタンを押し、ボタンを押したままの状態でカーソル43を移動(ドラッグ)させ、別の場所で入力装置16のボタンを離す(ドロップする)ことによって、挿入紙対応図67を、操作画面上で移動することができる。このように、アイコン42iのクリックといったトリガとなる操作をすることで、ドラッグ&ドロップの対象となる新たなアイコン(この場合は、挿入紙対応図67)が操作画面上に表示されるように構成することができる。
次いで、用紙対応図41a,41bにおいて、挿入紙の挿入に関して位置の指定が可能な領域(挿入指定可能領域と称する)が設定される(ステップS306)。たとえば、図23に示されるとおり、第n頁側(第20頁側)領域68a、第n+1側(第21頁側)領域68b、および第n頁と第n+1頁との間の領域(第20頁と第21頁との間の領域)68cの各挿入指定可能領域が設定される。
そして、必要に応じて、挿入指定可能領域68a,68b,68cが用紙対応図41a,41bにおいて表示される(ステップS307)。たとえば、図9と同様に、用紙対応図41a,41bの色または明暗などの状態を部分的に変えることによって、挿入指定可能領域68a,68b,68cが用紙対応図41a,41b上およびその周辺に表示される。
次いで、カーソル43が挿入紙対応図67に重なった状態で入力装置16のボタンが押されたか否かが判断される(ステップS308)。カーソル43が挿入紙対応図67に重なった状態で入力装置16のボタンが押されたと判断されない場合には(ステップS308:NO)、挿入位置の設定処理の終了が指示されたか否かが判断される(ステップS309)。挿入位置の設定処理の終了は、たとえば、操作画面上のキャンセルボタン46上にカーソル43が存在する状態で、入力装置16のボタンが押されることによって指示される。挿入位置の設定処理の終了が指示された場合には(ステップS309:YES)、操作画面の表示が初期状態に戻された後(ステップS310)、図22のステップS317に進む。挿入位置の設定処理の終了が指示されない場合は(ステップS309:NO)、入力装置16のボタンが押されるまで待機する(ステップS308)。
一方、カーソル43が挿入紙対応図67に重なった状態で入力装置16のボタンが押されたと判断されると(ステップS308:YES)、図22のステップS311以下の処理に進む。
まず、入力装置16のボタンが離されたか否かが判断される(ステップ311)。ボタンが離されていない状態では(ステップS311:NO)、カーソル43の移動に伴って、挿入紙対応図67を移動させる(ステップ312)。すなわち、ステップS312の処理は、カーソル43により挿入紙対応図67をドラッグする処理に対応する。そして、入力装置16のボタンが離されるのを待って(ステップS311:YES)、ボタンが離された時点でのカーソル43の位置が挿入指定可能領域内か否かが判断される(ステップS313)。このようにカーソル43の位置が所定の領域にある状態でボタンが離される処理は、ドロップと呼ばれるカーソル操作に対応する。
カーソル43の位置が挿入指定可能領域内にない場合には(ステップS313:NO)、挿入紙対応図67を初期位置に戻し(ステップS314)、ステップS308の処理に戻る。一方、カーソル43の位置が挿入指定可能領域内にある場合には(ステップS313:YES)、このカーソル43による用紙対応図41a,41b上での位置の指定を受けて、挿入紙の挿入位置が決定される(ステップS315)。以上のように、用紙対応図41a,41b上での位置の指定は、操作画面上において、挿入紙対応図67を挿入指定可能領域内に移動することによってなされる。
好ましくは、カーソル43が挿入紙対応図67に重なった状態で入力装置16のボタンが押されることによって、挿入紙対応図67を操作画面上で移動可能な状態となる。入力装置16のボタンが押されたままの状態でカーソル43が移動されて、挿入指定可能領域内にカーソル43が存在する状態で入力装置16が離されることによって、用紙対応図41a,41b上での位置が指定される。そして、位置の指定を受けて、挿入紙の挿入位置が決定される。
たとえば、上述した図23において、第n頁側領域(第20頁側領域)68a内の位置が指定された場合には、第n−1頁と第n頁との間(第19頁と第20頁との間)に挿入紙が挿入されるように、挿入位置が決定される。第n+1側領域(第21頁側領域)68b内の位置が指定された場合には、第n+1頁と第n+2頁(第21頁と第22頁との間)に挿入紙が挿入されるように、挿入位置が決定される。第n頁と第n+1頁との間の領域68c内の位置が指定された場合には、第n頁と第n+1頁(第20頁と第21頁との間)に挿入紙が挿入されるように、挿入位置が決定される。なお、挿入リピートが指示されている場合には、決定された挿入位置を基準として、所定の複数頁ごとに挿入紙が繰り返し挿入されることとなる。
次いで、図22において、紙挿入機能の内容、すなわち用紙が挿入された状態が、用紙対応図41a,41b上に反映される(ステップS316)。たとえば、決定された挿入位置に応じて、用紙対応図41a,41bと挿入紙対応図67との配置関係が図示される。
図24は、紙挿入機能の内容が用紙対応図41a,41b上に反映された状態を示す図である。図24に示される場合では、第n頁と第n+1頁との間の領域68cが指定されることによって、第n頁と第n+1頁(第20頁と第21頁との間)に用紙が挿入されている状態が示される。この結果、実際の挿入位置が視覚的に表示される。
なお、挿入紙対応図67は、挿入位置が決定された処理機能を取り消す場合にも用いられる。たとえば、利用者は、取り消したい紙挿入機能に対応する挿入紙対応図67を取り消し用領域49上までドラッグ&ドロップすることによって、紙挿入機能を取り消すことができる。たとえば、利用者は、カーソル43が挿入紙対応図67に重なった状態で入力装置16のボタンを押し、ボタンを押したままの状態でカーソル43を移動させ(ドラッグし)、取り消し用領域49上で入力装置16ボタンを離すことにより、紙挿入機能を取り消すことができる。
次いで、印刷実行指示があるか否かが判断される(ステップS317)。ステップS317〜ステップS318の処理は、図5のステップS119〜S121に示される処理と同様であるので、説明を省略する。
以上のように、図21および図22に示されるプリンタの制御方法によれば、頁の指定を受け付けて頁番号を記憶した後(ステップS301,ステップS302)、紙挿入機能に対応するアイコン42i(図6参照)がクリックされる(ステップS303)場合が示された。しかしながら、最初に、紙挿入機能に対応するアイコン42iがクリックされた後に、頁番号の指定を受け付けるように構成することもできる。
また、上記の説明では、カーソル43が挿入紙対応図に重なった状態で入力装置16のボタンが押されることによって、挿入紙対応図を操作画面上で移動可能な状態となり、用紙対応図41a,41b上での位置の指定は、入力装置16のボタンが押されたままの状態でカーソル43が移動されて、挿入指定可能領域内にカーソル43が存在する状態で入力装置16のボタンが離されることによってなされる場合を説明した。しかしながら、他の方法によって、用紙対応図41a,41b上での位置を指定してもよい。たとえば、カーソル43が挿入紙対応図に重なった状態で入力装置16のボタンをクリックすることによって位置の指定が可能な状態となり、次に、挿入指定可能領域内にカーソル43がある状態で入力装置16のボタンを再度クリックすることによって、用紙対応図41a,41b上での位置が指定されてもよい。さらに、カーソル43の実際の位置により直接的に挿入位置が指定される場合と異なり、カーソル43によって移動される挿入対象図67の所定エッジ(本例では左エッジ)が挿入指定可能領域内に存在する状態で入力装置16のボタンが離されることによって挿入位置を指定するようにしてもよい。
また、上記の説明では、用紙対応図41a,41b上に頁番号が表示される場合を説明したが、頁番号とともに、あるいは頁番号に代えて、用紙対応図41a,41b上にサムネールを表示してもよい。ここで、サムネールとは、該当頁のプリントデータに対応する画像を縮小して示した縮小画像である。プリントデータからサムネールへの変更手法自体は、従来と同様であるので、詳しい説明を省略する。
以上のように、本発明の第1の実施の形態の構成について説明したが、本発明は、上記の場合に限られるものではなく、種々の変形が可能である。上記の説明では、プリントデータ送信装置としてPCが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば携帯端末などの他の印刷ジョブ送信装置が使用されてもよい。
(第2の実施の形態)
以上のように、第1の実施の形態では、PC1において制御プログラムであるプリンタドライバを実行し、処理する場合を説明したが、本発明はこの場合に限られない。すなわち、複写機、複合機、およびMPF(多機能周辺機器:Multi−Function Peripheral)などの画像形成装置において、タッチパネルなどを用いて、処理機能の選択、および選択された処理機能の適用される位置を決定する際にも、本発明を適用することができる。
以下に、本発明の第2実施の形態として、画像形成装置について説明する。なお、以下、画像形成装置としてMFPを例にとって説明する。
図25は、本実施の形態のMFP4の構成を示している。MFP4の構成は、MFP本体70と、後処理装置(フィニッシャー)80とを含む。
MFP本体70は、CPU71、ROM72、RAM73、ハードディスク74、操作パネル部75、印刷部76、およびネットワークインタフェース77を含み、これらの各部は信号をやり取りするためのバス78を介して相互に接続されている。なお、これらの各部の機能は、図3に示されるプリンタ2の場合と同様である。したがって、詳しい説明を省略する。MFP本体70は、さらに、画像読み取り部(イメージスキャナ)79を含む。画像読み取り部79によって原稿を読み取ることによって得られた画像が印刷部76によって用紙上に印刷される。
後処理装置80は、ステープル処理部81、パンチ孔処理部82、および紙折り加工部83を含む。これらの各部は、図3に示されるプリンタ2の場合と同様である。したがって、詳しい説明を省略する。
次に、本実施の形態の画像形成装置であるMFP4の動作について説明する。
図26および図27は、MFP4の処理手順を示すフローチャートである。これらのフローチャートにより示されるアルゴリズムは、MFP4のハードディスク74などの記憶部に制御プログラムとして記憶されており、CPU71によって実行される。
図26および図27に示されるフローチャートに示される処理手順は、画像形成装置としてのMFP4により実行される点と、ステップS422において、プリントデータを送信する代わりに、自らコピージョブを実行する点と、ステップS401およびステップS419において、印刷の指示および印刷実行指示に代えて複写指示および複写実行指示がなされる点と、ステップS402およびステップS403において、用紙対応図41およびアイコン42が、タッチパネルである操作パネル部75の操作画面上に表示される点と、ステップS406、ステップS412、およびステップS413において入力装置16のボタン操作およびカーソル操作に代えて利用者の指による操作が用いられる点と、を除いて、図4および図5に示される処理手順と同様である。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置であるMFP4は、用紙対応図41と、それぞれがMFP4による処理機能に関係づけられた複数のアイコン42とを操作画面上に表示する表示手段と、複数のアイコン42のうちからアイコンの指定を受けて、指定されたアイコンに対応する処理機能を選択する選択手段と、用紙対応図上での位置の指定を受けて、選択された処理機能が用紙に対して適用される位置を決定する決定手段と、を有する。
図28は、MFP4による用紙の設定処理の手順を示すフローチャートであり、図26のステップS105の内容を示すサブルーチンに対応する。
図28に示されるフローチャートに示される処理手順は、画像形成装置としてのMFP4により実行される点と、ステップS501〜ステップS505において、入力装置16のボタン操作およびカーソル操作に代えて利用者の指による操作が用いられる点と、を除いて、図15に示される処理手順と同様である。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置であるMFP4は、用紙対応図41を操作画面上に表示する表示手段と、操作画面上での変形位置の指定を受けて、用紙対応図41を変形位置に応じて変形する変形手段と、変形された用紙対応図41にしたがって、用紙のサイズおよび/または向きを決定する決定手段と、を有する。
図29および図30は、MFP4による挿入紙の挿入位置の設定処理の手順を示すフローチャートである。これらのフローチャートにより示されるアルゴリズムは、MFP4のハードディスク74などの記憶部に制御プログラムとして記憶されており、CPU71によって実行される。
図29および図30に示されるフローチャートに示される処理手順は、画像形成装置としてのMFP4により実行される点と、ステップS620において、プリントデータを送信する代わりに、自らコピージョブを実行する点と、ステップS617において、印刷実行指示に代えて複写実行指示がなされる点と、ステップS604およびステップS605ににおいて、複数頁分の用紙対応図41a,41bおよび挿入紙対応図67が、タッチパネルである操作パネル部75の操作画面上に表示される点と、ステップS603、ステップS608、およびステップS611〜ステップS613において入力装置16のボタン操作およびカーソル操作に代えて利用者の指による操作が用いられる点と、を除いて、図21および図22に示される処理手順と同様である。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置であるMFP4は、連続する複数頁分の用紙対応図41a,41bと、挿入紙対応図67とを操作画面上に表示する表示手段と、用紙対応図41a,41b上での位置の指定を受けて、挿入紙の挿入位置を決定する決定手段と、を有する。
なお、本実施の形態においても、CPU71がMFP4のハードディスク74などの記憶部に記憶された制御プログラムを実行することで、各手段として機能する。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置であるMFPを説明したが、本発明は、上記の場合に限られるものではなく、種々の変形が可能である。
たとえば、上記の説明では、指がアイコン42に重なった状態で押圧することによって、アイコン42が指定されるとともに、押圧したままの状態で指を移動させ、位置指定可能領域44a〜44c内に指がある状態で指を操作パネル部75から離すことによって、用紙対応図41上での位置が指定される場合を説明した。しかしながら、他の方法によって、アイコン42の指定、および紙対応図上での位置の指定をすることもできる。たとえば、指がアイコン42に重なった状態で押圧して離すことによってアイコン42が指定され、次に、指定が可能な領域内に指がある状態で押圧して離すことによって、用紙対応図41上での位置が指定されてもよい。すなわち、用紙対応図を操作画面上に表示するとともに、それぞれが画像形成装置による処理機能に関係づけられた複数のアイコン42を操作画面上に表示し、アイコン42の指定を受けて、指定されたアイコンに対応する処理機能を選択し、用紙対応図41上での位置の指定を受けて、前記選択された処理機能が用紙に対して適用される位置を決定するものである限り、いかなる画像形成装置も採用することができる。また、指による操作に代えて、スタイラスペンなどを用いた操作を採用することもできる。
また、上記実施の形態において、画像形成装置としてMFPが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複写機および複合機などの他の画像形成装置が使用されてもよい。
以上のように、本発明の好適な実施の形態について説明したが、種々の変形が可能である。
本実施の形態にかかる画像処理システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。