JP3823248B2 - 交流モータのステータ回転故障検出器およびその検出システムおよびその方法 - Google Patents

交流モータのステータ回転故障検出器およびその検出システムおよびその方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気モータ監視システムに関し、特に、交流モータにおけるステータの回転故障を検出するための装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
三相交流モータ等の電気モータは、商業的および産業的環境において多岐にわたり使用されている。冷蔵システム、プリントプレス、アセンブリライン、および種々の応用において、このようなモータが用いられる。この利用に関係なく、モータの故障を迅速に検出することは、非常に重要である。
【0003】
一般的に、モータ故障は、電気モータが完全にブレークダウンするまで検出されない。これにより、不当な費用を招き、修理における電気モータの停止時間の遅延、および起こりうる危険状態を作り出す。その結果、電気モータの完全なブレークダウンの前にモータの故障、特に、ステータ回転故障を効果的にかつ有益に検出することが必要である。
【0004】
電気モータに対する従来の監視技術は、ステータ回転故障をブレークダウンの前に検出するには不十分である。一般的に、電気モータ監視装置は、ロータにおける欠陥から生じるモータ故障を検出する。これらの欠陥は、ロータの回転中にのみ検出することができる。
【0005】
これらの既知のシステムは、回転中にロータにより発生したスペクトルの調波における変化を判断する。しかし、電気モータのステータは、固定部材であり、それゆえ、欠点は、付加的な調波を生じないことである。
このような従来技術を利用する場合、電気モータにおけるステータの巻線のブレークダウンまたは故障から生じるモータ故障を検出するので、この方法は有効ではない。
【0006】
従来のステータ回転故障システムは、また厄介な問題を有している。これら既知のステータ回転故障システムは、効率的でなくかつ時間を浪費する。多くの方法が、理想的でかつバランスの取れたモータの形式を使用するが、実際の機械は理想的でないので失敗する。
1つの方法は、電気モータの過度の作動状態に対するデータを含む参照用テーブルを導き出すことが必要である。この参照用テーブルを有効にするための十分なデータを蓄積するために、種々の作動状態下で、多数のサイクル介して電気モータを回転させることが必要である。
【0007】
ステータの回転故障があるかどうかを判断するために、電気モータの正常作動中においてある瞬時の時間で集められた作動データと、類似の作動パラメータでの電気モータに対する参照用テーブルのデータとが比較される。回転故障を判断するための有効性は、この参照用テーブルの範囲および程度による。参照用テーブルの範囲と程度が大きければ、それだけ、費用がかかる。こうして、既知のステータ回転故障における検出機構の利用は、かなり制限を受けるとともに多くの費用がかかる。それゆえ、この参照用テーブルは、全ての作動状態に対するデータを含むことはできない。
【0008】
さらに、従来のこれらのステータ故障検出システムは、重み付けされたファーストフーリエ変換(WFFT)を用いる。このWFFTは、変換を実行するために所定の時間にわたっていくつかの組のデータを必要とする。
【0009】
考えられるすべての各作動状態を記憶するための参照テーブルを不要にするとともに、電気モータのステータに関連するモータ故障を検出するステータ回転故障装置およびその方法を設計することが望ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、モータ故障を検出するための作動パラメータ基準テーブルを不要とし、かつ上述の問題を克服するオンザフライ(on-the-fly)式のコンピュータネットワークを使用できる交流モータのステータ回転故障検出器およびその検出システムおよびその方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、各請求項に記載の構成を有する。本発明は、フィードフォワード・ニューラルネットワークを用いることによって、上述の参照用テーブル、及びモータの全ての作動パラメータを推定しまたは発生させなければならないことに代わる方法を提供する。
【0012】
本発明は、既知の良好な作動状態下にある電気モータの電圧データおよび電流データを獲得する工程を含む。存在する電圧および電流のデータを変換するためにコンピュータプログラムが与えられ、その特性データは、容易に得られかつ後の使用のために保存される。
このシステムは、また、実際の作動状態下にある電気モータから瞬時データを得るための手段を有する。この瞬時のデータは、フィードフォワード・ニューラルネットワークによって発生する推定されたデータと比較される。上述のデータの比較に基づいて、電気モータにおける一組のステータ回転故障値が正確に識別される。
【0013】
それゆえ、本発明のある構成によれば、電気モータ用のステータ回転故障検出器が開示されている。この検出器は、電気モータに供給される電流および電圧の信号を得るために複数のセンサを有する。この電流データおよび電圧データにおける各シーケンス成分は、フィードフォワード・ニューラルネットワークに接続されるとともに複数のセンサに接続されたプロセッサによって計算される。フィードフォワード・ニューラルネットワークは、電流値および電圧値、または、その少なくとも一部分を受け取り、比較器に出力される推定値を計算する。この推定値および瞬時値の分析に基づいてステータ回転故障の兆候が判断される。
【0014】
本発明の別の構成によれば、ステータ回転故障検出システムが開示され、このシステムは、マイクロプロセッサとコンピュータ用読出し可能記憶媒体を有する。コンピュータ用の読出し可能記憶媒体上に記憶されたコンピュータプログラムによって命令されると、マイクロプロセッサは、少なくとも1つの入力を介して基本周波数データを受け取る。このデータは、電気モータに供給する、ライン電圧の正および負のシーケンス成分と、ライン電流の正のシーケンス成分を有する。コンピュータプログラムによって命令されるとき、マイクロプロセッサは、フィードフォワード・ニューラルネットワークを初期化し、上述のデータに基づいて、推定したライン電流の負のシーケンス成分を決定する。本発明は、また、ライン電流の推定された負のシーケンス成分を出力するための少なくとも1つの出力を有する。
【0015】
本発明の更に他の構成によれば、電気モータにおけるステータ回転故障を検出するための装置は、正しく作動する既知の電気モータからのライン電圧信号およびライン電流信号を受け取るための手段を有している。時間に対して連続的な電圧信号および電流信号の少なくとも一部分のシーケンス成分を決定するための変換手段が設けられている。本発明は、さらに、上述のシーケンス成分に基づく推定された電流値を出力するための手段を有している。この推定した電流値は、順次、比較手段を介して、リアルタイムで得られる瞬時に獲得された電流値と比較される。
【0016】
本発明の別の構成によれば、コンピュータプログラムは、電気モータにおけるステータ回転故障を検出するために設けられている。このプログラムが実行されると、コンピュータは、良好な作動手順の作動中、電気モータの基本周波数データを得る。このコンピュータプログラムは、さらに、基本周波数データの少なくとも一部分が、複数のウエイトを有するフィードフォワード・ニューラルネットワークに入力される。コンピュータは、フィードフォワード・ニューラルネットワークをトレーニングして、各ウエイトをある値に収束し、この値をメモリに記憶する。コンピュータは、瞬時作動中、電気モータから基本周波数データを得る。この瞬時の基本周波数パラメータは、フィードフォワード・ニューラルネットワークに入力される。コンピュータは、次に、モータの瞬時作動における推定した基本周波数パラメータを獲得して、このパラメータと瞬時の基本周波数パラメータと比較し、交流モータにおける回転故障を判断する。
【0017】
更に本発明の別の構成によれば、交流モータにおけるステータ回転故障を検出するための装置が開示される。この装置は、少なくとも2つの交流モータの電流信号を得るために少なくとも2つの電流センサと、少なくとも2つの交流モータの電圧信号を得るために少なくとも2つの電圧センサを有している。この交流モータの電流信号と電圧信号は、アナログ/デジタル変換器に入力され、デジタル電流信号とデジタル電圧信号を生じる。本発明において、マイクロプロセッサは、デジタル信号を解読して交流モータ作動の基本周波数シーケンスパラメータを計算する。交流モータの作動における推定した基本周波数パラメータは、フィードフォワード・ニューラルネットワークによって決定される。
【0018】
更に、本発明の別の構成によれば、電気モータにおけるステータの回転故障があるかどうかを検出するための方法が開示されている。この方法は、電気モータの良好な作動状態中、電気モータから基本周波数トレーニングパラメータを獲得する工程を有する。このステータの回転故障を検出する方法は、電気モータの正常状態の推定した基本周波数値を決定するために、基本周波数トレーニングパラメータからシーケンスフェーザー(phasor;位相)を決定すること、およびこれらの推定した基本周波数値(推定値)を決定することを含んでいる。好ましくは、この方法は、さらに、電気モータの使用時に電気モータから瞬時の基本周波数値(瞬時値)を獲得する工程をさらに含んでいる。この方法は、次に、この瞬時の基本周波数値と作動の推定した基本周波数値を比較して、故障値を決定し、さらに、この比較に基づく故障値を指示する。この故障値は、電気モータ内に、ステータ回転故障があるかを表示している。
【0019】
さらに、本発明の別な構成によれば、交流モータにおけるステータ回転故障存在するか判断するための方法は、フィードフォワード・ニューラルネットワークのシーケンスパラメータを選択し、さらに、良好な作動状態下で、交流モータの形式を学習するために、フィードフォワード・ニューラルネットワークをトレーニングする各ステップを含んでいる。また、この方法は、モータの使用時に交流モータの測定された値を獲得し、使用中の電気モータから取られた測定値を交流モータ作動の推定値と比較する各ステップを含んでいる。この方法は、ビジランス値(vigilance value)を越える回転故障値が検出されるまで、上述のステップを繰り返す。このような回転故障値が検出されるとき、この方法は、交流モータにおけるステータ回転故障の存在を使用者に指示する。
【0020】
本発明の種々の他の特徴、目的、および利点は、以下で説明する詳細な記述と図面に基づいて明らかになるであろう。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の作動環境は、図1に示すような三相交流誘導モータに関して記述される。しかし、本発明は、電気モータの他の形式と同様に、単一レイヤーまたは他の多相交流モータに使用することができる。
【0022】
図1において、回転故障検出器が示されており、この検出器は、図2において説明される回転故障検出方式を包含している。ステータ回転故障システム10は、伝送ライン16a、16b、16cを介して電気モータ14に接続した電源12を含んでいる。このステータ回転故障システム10は、さらに、伝送ライン16a、16b、16cを通って電気モータ14に伝達される電流および電圧を監視するためにアナログ−デジタル変換器(AD変換器)20を有する汎用コンピュータ18を含む。電流センサ22a、22bは、モータ14に流れる電流の波形を得て、この波形を伝送ライン24a、24bを介してA/D変換器20に伝送する。電圧センサ26a、26bは、モータ14に供給される電圧の波形を得て、この波形を伝送ライン28a、28bを介してA/D変換器20に伝送する。A/D変換器20は、この電流波形と電圧波形を受け取り、この波形の測定値が容易に得られるように各波形をデジタル化する。コンピュータ18は、A/D変換器20からのデジタル化された信号を受け取るマイクロプロセッサ30を有し、図3〜図10に従って論じるようにマイクロプロセッサ30がデジタル化信号を分析するコンピュータプログラムを実行する。
【0023】
コンピュータ18は、マイクロプロセッサ30に接続されたオーバーライド端子32を有し、作動時に交流誘導モータ14の使用者がマイクロプロセッサ30の出力オーバーライドできるようにする。このようなオーバーライドは、モータ故障にかかわらずプロセスを続行する重要なアプリケーションにおいて、シャットダウンを遅らせるのに役立つ。マイクロプロセッサ30は、出力端子34を介してモータ14の使用者にデータを出力する。
【0024】
図2は、システムのブロック図であり、このシステムは、マイクロプロセッサ30によって実行されるコンピュータプログラムを含んでいる。デジタル化した波形の電圧および電流データ(基本周波数データ、基本周波数シーケンスパラメータまたは入力レイヤーともいう。)36は、このデータを処理するフィードフォワード ネットワーク38に入力され、実際の作動における電気モータ14における電流の負シーンス成分のリアル部分40aとイマジナリー部分40bに対する推定値を出力する。比較器42は、この推定データ40a、40bを受け取り、推定データ40a、40bと実際のデータ成分とを比較する。この推定データ40a、40bは、推定された基本周波数値、推定された基本周波数パラメータまたは出力レイヤーともいう。実際の動作中に得られる電気モータ14の負シーンス電流のリアル成分44aとイマジナリー成分44bを含む。これら測定値の成分44a、44bは、瞬時の基本周波数値または瞬時の基本周波数パラメータともいう。比較器42は、一般的に加算器、減算器、または合算器を含み、以後、一般的に比較器として言及する。故障指示器46は、比較器42から出力値を受け取り、電気モータ14の故障状態48の存在を示す。
【0025】
本発明は、種々の故障指示器46を想定しており、電気モータ14の更なる作動を防止するセルフオーガナイジング フィーチャ マップ(SOFM)46aに制限されることなく、ホーン音を出力したり、針の振幅を用いて故障を示したり、および/またはフラッシュ光を出力したり、その他色々の方法が考えられる。SOFM46aは、電気モータ14の作動状態を図式化するニューラルネットワークである。電気モータ14の作動状態を適切に示すために、SOFM46aは、入力として、負シーケンス電圧50の出力値48および振幅を受け取る。
【0026】
本発明は、代わりのものとして、第2故障指示器46bを用いることも想定している。第2指示器46bは、メータ、一組の故障ライト、あるいは、ここで言及された故障指示器のいかなる組み合わせも含むことができる。ステータ回転故障を検出する技術の熟練者であれば、本発明の実行において、SOFM46aに限って使用されるものではなく、代わりに他の特定の故障指示器を使用できることが理解できるであろう。
【0027】
図3は、A/D変換器20からマイクロプロセッサ30によって受け取られるデジタル化した電流波形および電圧波形の変換を示している。この変換は、一般的に、シンクロナス リファレンス フレーム(SRF)変換と呼ばれ、良く知られている。SRFは、デジタルデータを変換するための技術であり、ファースト フーリエ変換(FFT)と違って、データの連続的な変換を可能にする。SRF変換と異なるFFTが、使用できる結果が得られる前に、デジタルデータに基づいて実行される前に、データを集計するいくつかのサイクルが必要である。
【0028】
好ましくは、SRF変換100は、図2において、上述した方法で、2つのライン電流および2つのライン電圧を最初に得る。2つのライン電圧Vab、Vbcが静止基準フレーム110に変換され、各々真数(real number)である静止電圧Vs qs、Vs dsのd軸およびq軸をそれぞれ計算する。静止電圧Vs qs、Vs dsは、同期基準フレーム120に変換される。静止電圧Vs qs、Vs dsを同期基準フレーム120に変換するために、変換角度eが、同期基準フレーム120に入力されなければならない。同期基準フレーム120の出力Ve dsは、加算器122に入力される。加算器122の出力は、デジタルPIコントローラ124に入力され、d軸電圧をゼロに調整する。閉ループにおいて、周波数sを調整し、さらに積分器を使用することによって、変換角度eの値は、d軸電圧Ve dsがゼロに向かうように収束される。そして、q軸の同期電圧Ve qsが低域フィルタ128を通過し、そのRMS値130に変換してライン間電圧VLspの正シーケンス成分の振幅を生じる。このRMS値の電圧VLspは、ライン−ニューラル位相計算器(phasor calculation)148に出力される。
【0029】
ライン間電圧VLsp、およびarg(VLsn)のそれぞれの負シーケンス成分の振幅および位相を決定するために、静止q軸電圧Vs qs、静止d軸電圧Vs ds、および収束した変換角度eは、同期基準フレーム132に入力される。この同期基準出力Ve qs、Ve dsは、VLsnおよびarg(VLsn)を計算する前に低域フィルタ134a、134bを通過する。VLsnおよびarg(VLsn)を計算136は、以下のように設定される。
【0030】
【数1】
Figure 0003823248
計算されるライン間電圧の負シーケンス成分の振幅および位相は、ライン−ニューラル位相計算器148に出力される。
【0031】
電流波形の正および負のシーケンス成分における両方の振幅および位相に関する計算は、ライン間電圧の振幅および位相の両方における負のシーケンス成分の計算と非常に類似する。しかしながら、変換角度eは、負でなければ同期基準フレーム138への変換に入力され、ライン電流の正のシーケンス成分に対する振幅および位相を計算する。
【0032】
ライン電流の正のシーケンス成分の計算は、次の通りである。
【数2】
Figure 0003823248
ライン電流の負シーケンス成分を計算するために、変換角度eは、修正されて−1140.eだけ乗算され、isqsおよびisdsが同期基準フレーム142に入力される。142における結果は、2つの値i.e qsおよびi.e dsであり、この値は低域フィルタを通過した後、ライン間電流の負シーケンス成分を与える計算146に使用される。
【0033】
ライン電流の負シーケンス成分を計算するための式は、次の通りである。
【数3】
Figure 0003823248
正および負のシーケンス成分は、148において、位相計算のために出力される振幅および位相を有する。
【0034】
位相計算148は、図2のフィードフォワード・ニューラルネットワーク38の入力データを計算するのに必要である。フィードフォワード・ニューラルネットワーク38への入力データ36であるVsp、Vsn_real、Vsn_imag 、Isp_real、およびIVsp_imag が次の通り計算される。
【0035】
【数4】
Figure 0003823248
ライン電流の負シーケンス成分の位相計算148は、実数と虚数のIsp_real、およびIVsp_imag が、図2において論じられたようにフィードフォワード・ニューラルネットワーク38によって発生した推定の負シーケンス成分40a、40bと比較される。
【0036】
本発明により考えられるフィードフォワード・ニューラルネットワーク38は、2つの明確な作動段階、即ち、トレーニング段階とテスト段階を有する。図4は、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38の最も一般的なトレーニング方法のフローチャート図である。フィードフォワード・ニューラルネットワーク38のトレーニングは、5×1の入力ベクトルpの形式でネットワーク38の隠れたレイヤーに入力データ36を入力160することから始まる。隠れたレイヤーは、隠れたレイヤーの多数のニューロン52、Mhidと、5×Mhidの次元を有するウエイトマトリックスWhidを形成するウエイト54とからなる。このウエイトは、予め決められた値に設定され、入力データ36における変化に応答して変化する。
【0037】
一般的に、各ウエイトは、ゼロ値に予め設定される。隠れたレイヤーのニューロン52は、入力データ36上で実行される特定の算術的機能に対応する。隠れたレイヤーの出力を決めるために、一般的に表示されたステップ162では、隠れたレイヤーのウエイトマトリックスの転置Whid Tとベクトルpの積にbhidが加えられる。このバイアスベクトルは、Mhid×1として次元付けられた隠れたレイヤーのニューロンに対するベクトルである。双曲線タンジェントは、式(12)に示すように隠れたレイヤーの出力yhidを決定するために合算される。
hid =tanh(Whid Tp+bhid) (12)
【0038】
この隠れたレイヤー162の出力yhidを決定した後、ニューラルネットワークの出力youtは、164で示す出力レイヤーにおいて計算される。一般的に、この出力レイヤーは、多数のニューロンとウエイト(図示略)からなる。以下に示す式(13)を解くことにより積youtが与えられる。Wout Tは、Woutの転置マトリックスを表し、boutは、出力レイヤーのニューロンに対する2×1バイアスベクトルを表す。Woutは、Mhid×2として次元付けられた出力レイヤーのウエイトマトリックスである。
out =Wout Thid +bout (13)
【0039】
フィードフォワード・ニューラルネットワーク38の出力yout は、電気モータ14の連続するトレーニング作業の測定値ydesから式(14)に従って減算され、予測166における誤差を計算する。同様に、yout 、ydesは、電気モータ14のライン電流における振幅および位相を有する負シーケンス成分の2×1ベクトルである。
e =ydes−yout (14)
【0040】
式(14)により生じるように、ydesとyoutの差eは、電気モータ14の作動の実際値とフィードフォワード・ニューラルネットワーク38によって生じた推定値との差を示し、予測における誤差として一般的に言及される。電気モータ14または計測器における不均衡な電源または固有の歪がないならば、eの値は、ゼロとなるであろう。しかし、電源または計測器において、固有の歪がない正確な均衡は、起こりそうにない。その結果、eは、わずかではあるがいくらかの正の値を有することになる。
【0041】
ステップ166での(e)の計算の後、ウエイトマトリックスの値は、既知の「デルタ規則」に従ってステップ168で更新される。このデルタ規則は、ニューラルネットワークのウエイトマトリックスを更新するための手段であり、サイモン ハイキンによる「ニューラルネットワーク”ア コンプリヘンシブ ファウンデイション(プレンティス ホール出版、1999年)」において一般的に知られており、そこに開示されている。ステップ168でウエイトマトリックスを更新した後、学習比率および他のトレーニングパラメータがステップ170で更新される。
【0042】
ステップ168でウエイトマトリックスを更新され、また、ステップ170で学習比率および他のトレーニングパラメータが更新された後、eのノルムが、ステップ172で推定され、その値が与えられたトレーニング入力36より十分に小さいかどうかを決定する。eのノルムが十分に小さくなければ、新しいデータ36が得られステップ162で隠れたレイヤーに入力され、eは、隠れたレイヤーのウエイトに対する値を用いて再計算され、出力レイヤーが変えられる。予測における誤差は、隠れたレイヤーと出力レイヤーに対するウエイトが適当な値に変換されて始めて十分に小さくなる。予測の誤差がゼロまたは検出システム10の使用者によって受け入れられると考えられる値に等しいときにウエイトの変換が生じる。マイクロプロセッサ20は、メモリにおけるフィードフォワード・ニューラルネットワーク38の試験段階中に使用のために、収束でのウエイト値をメモリにストアする。
【0043】
eのノルムが十分に小さいとき、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38のトレーニング段階は、完了する。eのノルムが十分に小さいかどうかの決定は、予め決められたスレッショルド値に従う。電気モータ14の作動状態および使用目的に従って、10%の予測誤差は、十分に小さいものであり、一方、他の応用では、より低い予測誤差を必要とする。
【0044】
図5は、一般的にグローバルミニマムトレーニング(GMT)と呼ばれている。フィードフォワード・ニューラルネットワーク38を作動させるための既知例の1つである。ニューラルネットワークのGMTは、図4に示すニューラルネットワーク38の一般的なトレーニングに非常に類似している。しかし、GMTを用いて、モータが動作中、ウエイトマトリックスが更新されず、また学習比率およびトレーニングパラメータもない。GMTを取り入れるには、異なる電流および電圧状態に対応するデータが、トレーニングに先立って利用可能になることであり、即ち、ある時間間隔で蓄積されなければならい。
【0045】
その結果、電気モータ14は、十分なトレーニングデータが得られるように、いくつかの作動サイクルの間、回転される。最も正確なグローバルミニマムを達成するために、主要データメモリにさらに大きなデータ組が必要とされ、この大きなデータ組は、長いトレーニング時間を必要とする。トレーニングポイントの数は、機能的な概算値の正確さを向上させ、グローバルミニマムが改善される。要約して説明したように、他のトレーニングと比較して、グローバルミニマムトレーニングは、最もコストが掛かりかつ非効率であると現在では考えられている。
【0046】
図6は、隠れたレイヤーおよび出力レイヤーのウエイトが、図4の一般的トレーニングを伴う図5のGMT処理を用いて収束された、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38の試験を示すものである。ライン電圧およびライン電流のシーケンス成分は、ステップ174でニューラルネットワーク38に入力され、そして、隠れたレイヤーおよびニューラルネットワークの出力は、図4において説明したように、ステップ162,166で計算される。このとき、トレーニング段階ではないが、誤差がステップ176で計算され、予測における誤差は、ウエイトの不正確な支持によるものではなく、むしろ電気モータ14における回転ステータの回転故障の始まりを示すものである。動作中の電気モータ14から集められたデータに基づいてフィードフォワード・ニューラルネットワーク38のトレーニング中に、ウエイトが収束されるので、不均衡な電圧と同様に、計測器および電気モータにおける不均衡も考慮に入れる。本質的に、トレーニング段階中、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38は、現在理想的でない状態の電気モータ14の作動状態を学習する。
【0047】
フィードフォワード・ニューラルネットワーク38の試験により、予測における誤差の正規化された値とステップ178でのビジランス(警戒)値とを比較する。このビジランス値は、電気モータ14がブレークダウンする許容限界を使用者に指示するためのユーザ決定値である。高いビジランス値は、予測におけるより高い誤差を発生し、電気モータ14において、ステップ180で回転故障があるという信号を送る。一方、低いビジランス値は、eのより低い値を指令する。eの正規化が、ステップ178でのビジランス値よりも大きい場合、ステップ180で回転故障があるという信号を送る。そうでなければ、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38ステップ174でシーケンス成分を再度必要とし、試験段階を繰り返す。eのノルムがビジランス値を越えない限り、ステップ174で始まるループが続行される。
【0048】
図7は、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38のトレーニングおよび試験が行われる別の実施形態を示し、これは、コンティニュアル−オンライン トレーニング(Continual-online Training [COT])と呼ばれる。COTは、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38をトレーニングするための既知の方法であるが、COTは、ステータ回転検出方式において利用されてこなかった。このCOTにおいて、シーケンス成分は、前に論じられたように得ることができる。COTを用いる場合、T秒毎に多数の試験スロットおよび1つのトレーニングスロットがある。それゆえ、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38のウエイトは、シーケンス成分における変化に応答して擬似的な連続性を持って更新される。一般的に、5つのスロット毎に1つのトレーニングスロットがあり、このスロット中にシーケンス成分データがウエイトマトリックスを更新するために用いられる。4つの残りのスロットは、データを試験するために取って置かれ、ステータの回転故障が電気モータ14において現在発生しているかどうかを判断するために使用される。トレーニングスロットにおいて、予測における誤差(ステップ184)は、式(14)を解くことによって決定される。予測における誤差が、ステップ185において十分大きい場合、ステップ190で電気モータ14の使用者に故障信号が送られる。予測における誤差が十分大きくない場合、そのとき、ウエイトマトリックスがステップ186で更新され、新しいシーケンス成分データがステップ188で得られる。トレーニングスロット182,183において、シーケンス成分は、一時的なトレーニング評価192を受ける。この一時的なトレーニング評価192は、COTが一時的なトレーニング中にあるかどうかを判断する。一時的なトレーニングが発生していると、そのとき、新しいシーケンス成分がステップ188で得られ、トレーニングが新しく始まる。一時的なトレーニングが存在しない場合、そのときネットワーク誤差eは、図4で論じたようにステップ194において計算される。ネットワーク誤差eは、このとき、ステップ196でビジランス値と比較され、電気モータ14の使用者に回転故障であるという故障信号を送るどうかを判断する(ステップ190)。
【0049】
図8において、擬似グローバルミニマムトレーニング(Quasi-global Minimum training [QGM])が示され、これはフィードフォワード・ニューラルネットワーク38をトレーニングするための別の実施形態である。QGMトレーニングは、データベースの大きさが制限される点を除いて図5のグローバルミニマムトレーニングと非常に類似している。
【0050】
一般的に、データベースは、1日コースにおいて見られる異なる作動状態の数に対応して十分に大きい。このデータベースは、ある時間間隔で更新され、新しい入力がデータベース全体に得られたとき、残りのデータがフィードフォワード・ニューラルネットワーク38に設定される最も可能性のあるトレーニングを与えるように現在ある入力を放棄する。その結果、新しい入力がデータベースに加えられるときに、ウエイトだけが更新される。従って、図7のCOT方式と比較されるQGM方式では、ほどんど計算を必要としない。
【0051】
擬似グローバルミニマムトレーニングを用いて、隠れたレイヤーのニューロンMhidの数が、新しい入力を得るステップ198の前に初期化される。この隠れたレイヤーのニューロンが初期化された後、データベース200にストアされたシーケンス成分は、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38の隠れたレイヤーに入力し、予め設定されたように、予測における誤差eが得られる。予測における誤差がステップ202で計算された後、ウエイトマトリックスおよび学習パラメータが、図4において論じられたように、ステップ204で更新される。予測における誤差のノルムが、十分に小さい場合(ステップ206,207)、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38のトレーニングは終了する。
【0052】
もしステップ206,209でない場合は、隠れたレイヤーのニューロンの数が1つだけ増分され(ステップ211)、そして、ウエイトマトリックスがステップ208で再度初期化される。トレーニング誤差を予め定めたスレッショルド値に制限するために、データベースの大きさが増加するに従って隠れたレイヤーのニューロンの数を増加しなければならない。新しい入力がデータベースに蓄積されたシーケンス成分からかなり異なる場合、そのとき、フィードフォワード・ニューラルネットワークのウエイト54が収束しなくなり、予測における誤差が高い値にとどまることになる。その結果、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38の試験は、ウエイト54が収束できるように、十分な入力をデータベースに加えるまで中断されなければならない。
【0053】
COTアルゴリズムは、入力データ36を蓄積するためのデータベースを有しておらず、また、QGMアルゴリズムは、かなり異なる入力がデータベースから得られる場合、ウエイトを収束することができないので、本発明は、各アルゴリズムの組み合せを考慮する。COT−QGMの組み合せにより、2組のウエイトが故障診断に用いられる。1組は、COTアルゴリズムによって加えられ、また他の1組は、QGM方式によって加えられる。1つの方式のみでは、所定の時間でアクティブにされるので、計算の複雑性は増加しない。
【0054】
図9は、COT−QGMモードに対するトレーニングアルゴリズムを表している。ライン電流およびライン電圧のシーケンス成分の入力データ36が得られる前に、このデータ36が、ステップ210で最後のQGMのウエイトが更新されてから付加されるかどうかを判断する決定がなされる。データ36が付加された場合、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38のウエイトがステップ212において、図4において論じられたように、GMTアルゴリズムに従って加えられる。予測における誤差eのノルムが低い場合、QGMアルゴリズムがステップ216において初期化される。予測における誤差eのノルムが低くない場合、そのとき、COTアルゴリズムがステップ218において実行される。どのモードが実行されようとも、COT−QGMアルゴリズムは、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38への入力に対するシーケンス成分をステップ220において与えられる。
【0055】
ステップ222において、COT−QGMアルゴリズムは、擬似グローバルミニマムデータベースに入力を加えるべきか判断する。COTのウエイト54は、図8に従ってQGMにおける作動中でさえも、ステップ224において更新される。これは、COTのウエイト54が、予め決められたスレッショルド値よりも少ない予測における誤差を伴って収束するように、かなり長い時間をかけて、QGMモードからCOTモードへの切換えが、起こらないようにすることを確実にする。
【0056】
更に、図10において、完全なCOT−QGMの試験アルゴリズムによって、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38が一時的なトレーニング中であるかどうかを判断する決定がなされる。もしそうであるならば、COT−QGM方式の試験モードは、ステップ228で終了する。もしそうでないならば、COT−QGMアルゴリズムは、ステップ230において、最後の擬似グローバルミニマムウエイトが更新されるので、データ36が付加されたかどうかを判断する。データが付加されたのであれば、COT−QGMアルゴリズムの試験モードは、ステップ228で終了する。そうでない場合、図3で論じたように、入力データ(ライン電流とライン電圧のシーケンス成分)がステップ232で得られる。この入力が新しいものであるなら(234,235)、そのとき、COT−QGMアルゴリズムは、ステップ228で終了する。そうでなければ、図4で論じた方法で、ステップ236において、予測における誤差eが計算される。予測における誤差の正規化がビジランス値(ステップ238,239)よりも小さい場合、新しいシーケンス成分が、ステップ232で得られ、そして、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38に入力される。ステップ238において、予測における誤差のノルムがビジランス値より大きい場合、ステップ240において、電気モータ14の使用者に回転故障信号が送られる。
【0057】
いくつかのトレーニングアルゴリズムとこれに対応する試験アルゴリズムが本発明において具体化されてきたが、特定のトレーニングおよび試験アルゴリズムの選択は、設計上の選択であり、ステータ回転故障検出器の意図した使用および利用に基づく。ステータ回転故障検出システム10の機能は、いかなる特定の試験および/またはトレーニングアルゴリズムに制限されないことが理解できるであろう。
【0058】
本発明は、電気モータおよびさらに特定すれば交流モータ14と共に使用するためのステータ回転故障検出器の使用を意図している。交流誘導モータ14を伴うステータ回転故障検出器10の1つの利用が、図1に示されている。このステータ回転故障検出器10は、交流誘導モータ14から電流値および電圧値を得るために複数のセンサ22a、22b、26a、26bを含み、さらに、電流値のシーケンス成分と電圧値のシーケンス成分とを計算するためのプロセッサ30を含んでいる。このプロセッサ30に接続されたフィードフォワード・ニューラルネットワーク38は、シーケンス成分を受け取り、そして、交流誘導モータ14の負シーケンス電流の推定値を示す出力値を決定する。さらに、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38の出力値を交流誘導モータ14からの一組の実際の電流値と比較して故障値を決定するために比較器42が設けられている。プロセッサ30は、電圧値および電流値に同期基準フレーム変換を適用して、フィードフォワード・ニューラルネットワーク38によって使用される対応するシーケンス成分を決定する。フィードフォワード・ニューラルネットワーク38は、入力レイヤーと隠れたレイヤーを含み、入力レイヤーは、入力されるシーケンス成分の数に相当する多数の入力36を有し、隠れたレイヤーは、少なくとも1つのニューロン52および多数のウエイト54を有する。ニューロン52の数と複数のウエイト54の各値は、ウエイトが収束するときに、ライン電流の負シーケンス成分を推定する値が定められるように決定される。ウエイト54の数とニューロン52の正しい数のそれぞれに対する適正値が決定されるとき、ニューラルネットワーク38は、電気モータ14におけるステータ回転故障の検出するためにトレーニングされかつ準備される。
【0059】
本発明は、好ましい実施形態について説明してきたが、本発明は、ここに記載した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更及び修正を含み、添付された特許請求の範囲またはその技術的思想から逸脱しない上述の記載を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の回転故障検出器を概略的に示す図である。
【図2】 図1に示した回転故障検出器に使用される回転故障検出器のブロック図である。
【図3】 図1に示した電気モータのライン電流およびライン電圧のシーンス構成部品を決定するために使用される、本発明の実施形態を説明するためのブロック図である。
【図4】 図1に示した装置に使用するためのフィードフォワード・ニューラルネットワークの一般的なトレーニングを示すフローチャート図である。
【図5】 図1に示した装置に使用するためのフィードフォワード・ニューラルネットワークを作動ための1つの実施形態を示すフローチャート図である。
【図6】 図5においてトレーニングしたような図1に示す装置のフィードフォワード・ニューラルネットワークをテストするための1つの実施形態を説明するためのフローチャート図である。
【図7】 図1に示した装置を用いてフィードフォワード・ニューラルネットワークをトレーニングおよびテストするための別の実施形態を説明するためのフローチャート図である。
【図8】 図1に示した装置のフィードフォワード・ニューラルネットワークをトレーニングするための別つの実施形態を説明するためのフローチャート図である。
【図9】 図1に示した本発明のフィードフォワード・ニューラルネットワークをトレーニングするためのさらに別の実施形態を説明するためのフローチャート図である。
【図10】 図8に従ってトレーニングされた図1に示すような、フィードフォワード・ニューラルネットワークの試験を説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
10 ステータ回転故障システム
14 電気モータ
22a、22b 電流センサ
26a、26b 電圧センサ
30 マイクロプロセッサ
34 出力端子
36 電圧および電流データ
38 フィードフォワード・ニューラルネットワーク
40a、40b 推定データ(推定された基本周波数値)
42 比較器
44a、44b 瞬時データ(瞬時の基本周波数値)
46 故障指示器
52 ニューロン
54 ウエイト

Claims (20)

  1. 交流モータ(14)のためのステータ回転故障検出器(10)であって、
    前記交流モータ(14)から一組の電流値および一組の電圧値(36)を得るための複数のセンサ(22a,22b,26a,26b)と、
    前記電流値および電圧値(36)の各組からシーケンス成分を計算するためのプロセッサ(30)と、
    入力列としての前記電流値および電圧値(36)の各組から前記シーケンス成分の少なくとも一部を受け取るために接続され、かつ少なくとも2つのシーケンスフェーザー用の推定値を与えるための出力(48)を有するフィードフォワード・ニューラルネットワーク(FFNN)(38)と、
    前記フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)の出力に接続され、推定値と瞬時値を比較し、この比較がビジランス値を越える場合、故障信号を出力してステータ回転故障を指示する比較器(42)と、
    を有することを特徴とするステータ回転故障検出器。
  2. 前記プロセッサ(30)は、同期基準フレーム変換を適用して、前記電流値および電圧値(36)の各組からシーケンス成分を計算することを特徴とする請求項1記載のステータ回転故障検出器。
  3. 前記電流値および電圧値(36)の各組は、正常状態にある前記交流モータ(14)の作動値に対応し、かつ前記フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)における一組のウエイト(54)に対する値を計算することによって前記フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)をトレーニングするために、初期的に使用されることを特徴とする請求項1記載のステータ回転故障検出器。
  4. トレーニング用に用いられる前記シーケンス成分は、正の電流シーケンス成分、正の電圧シーケンス成分、および負の電圧シーケンス成分を含んでいることを特徴とする請求項3記載のステータ回転故障検出器。
  5. 前記プロセッサ(30)は、推定値と比較される瞬時値として、負の電流シーケンス成分をさらに計算することを特徴とする請求項1記載のステータ回転故障検出器。
  6. 前記フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)は、複数のウエイト(54)と複数のニューロン(52)とを有する隠れたレイヤーを含み、前記複数のウエイト(54)は、トレーニングモード中、調整され、かつランモード中、一定で留まることを特徴とする請求項1記載のステータ回転故障検出器。
  7. 交流モータ(14)におけるステータの回転故障を検出するためのシステム(10)であって、
    交流モータ(14)からの基本周波数データをマイクロプロセッサ(30)に入力し、前記基本周波数データがライン電圧の正および負の電圧シーケンス成分と、ライン電流の正の電流シーケンス成分とを含んでいる、少なくとも1つの入力(24a,24b,28a,28b)と、
    内部にコンピュータプログラムを有し、このプログラムの実行時に、フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)を初期化して、基本周波数データに基づく推定された負の電流シーケンス成分を計算するために前記マイクロプロセッサ(30)に接続されるコンピュータ用の読出し可能記憶媒体と、
    前記推定された負のシーケンス成分を出力するための少なくとも1つの出力(34)と、を有することを特徴とするシステム。
  8. フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)は、前記少なくとも1つの入力を介して入力する多数のシーケンス成分に対応する数の複数の入力ベクトルを有する入力レイヤー(36)と、
    少なくとも1つのニューロン(52)と少なくとも1つのウエイト(54)を有し、前記ウエイト(54)は、トレーニングモード中、調整され、かつランモード中、一定で留まる、隠れたレイヤーと、
    推定された負のシーケンス成分を有する、少なくとも1つの出力ベクトル(48)を決定する出力レイヤーと、
    を含んでいることを特徴とする請求項7記載のシステム。
  9. コンピュータプログラムは、その実行時、さらに、前記プロセッサが、推定された負のシーケンス成分に基づいて、交流モータ(14)の使用者に回転故障値(46)を知らせるようにすることを特徴とする請求項7記載のシステム。
  10. 前記コンピュータプログラムは、その実行時、前記マイクロプロセッサ(30)が、さらに、
    既知の通常動作中に、前記交流モータ(14)から基本周波数データ(36)を獲得し、
    複数のウエイト(54)を有するフィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)に前記基本周波数データ(36)の少なくとも一部を入力し、
    前記複数のウエイト(54)の各々に対する収束値を決定するためにフィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)をトレーニングし、
    前記収束値をメモリに記憶し、
    瞬時の基本周波数パラメータ(44a、44b)をフィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)に入力し、
    前記交流モータ(14)の瞬時作動における推定された基本周波数パラメータ(40a、40b)を得て、
    前記推定された基本周波数パラメータ(40a、40b)を前記瞬時の基本周波数パラメータ(44a、44b)と比較して、交流モータ(14)におけるステータ回転故障を決定することを特徴とする請求項7記載のシステム。
  11. コンピュータ用の読出し可能記憶媒体のコンピュータプログラムは、さらに、故障値がビジランス値(178)を越えるとき、マイクロプロセッサ(30)がステータ回転故障を示す故障値(180)を出力させることを特徴とする請求項10記載のシステム。
  12. 少なくとも2つの交流モータ(14)の電流信号を得るための少なくとも2つの電流センサ(22a、22b)と、
    少なくとも2つの交流モータ(14)の電圧信号を得るための少なくとも2つの電圧センサ(26a、26b)と、
    前記少なくとも2つの交流電流信号をデジタル電流信号に変換し、かつ前記少なくとも2つの交流電圧信号をデジタル電流信号に変換するためのアナログ/デジタル変換器(20)とをさらに含み、
    マイクロプロセッサ(30)は、前記デジタル信号を受け取り、交流モータ(14)の基本周波数シーケンスパラメータ(36)を計算し、また、フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)が前記交流モータ(14)の推定された基本周波数シーケンスパラメータを決定することを特徴とする請求項7記載のシステム。
  13. 前記交流モータ(14)の基本周波数シーケンスパラメータ(36)の計算は、さらに、前記デジタル電流信号および前記デジタル電圧信号に、同期基準フレーム変換(120、132、142)を適用するように定められていることを特徴とする請求項12記載のシステム。
  14. フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)は、さらに、
    基本周波数シーケンスパラメータを得るための複数の入力レイヤー(36)と、
    既知の良い作業モード中に処理された複数のウエイトを有する隠れたレイヤーと、
    作動状態中、交流モータ(14)の推定された基本周波数シーケンスパラメータを生じるための出力レイヤー(40a、40b)と、
    を含むことを特徴とする請求項13記載のシステム。
  15. モータ(14)におけるステータの回転故障を検出するための方法であって、
    前記モータ(14)における既知の良好状態中に、複数のセンサ( 22a,22b,26a,26b) によって前記モータから一組の電流値および一組の電圧値からなるトレーニングパラメータ(36)を獲得し、
    プロセッサ( 30 )を用いて前記電流値及び前記電圧値のシーケンス成分を計算し、前記プロセッサ( 30 )に接続されたフィードフォワードニューラルネットワーク( 38 )に前記シーケンス成分を入力して、前記モータ(14)からのステータ回転故障を示す、前記シーケンス成分の振幅および位相に基づく推定値(40a、40b)を決定し、
    前記モータ(14)が回転中かどうかにかかわらず前記モータ(14)の使用時に、前記モータ(14)から瞬時値(44a、44b)を獲得し、
    ステータ回転故障を判断するために、前記瞬時値(44a、44b)を前記推定値(40a、40b)と比較(42)し
    前記比較(42)に基づいてステータ回転故障(46)があることを指示する、
    工程を有することを特徴とする方法。
  16. フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)をトレーニングする工程は、
    前記瞬時値を入力レイヤーに入力し、
    隠れたレイヤーにおける複数のウエイト(54)を定常状態に収束させ、
    前記推定値(40a、40b)を出力レイヤーに出力する、
    各ステップを含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
  17. 前記瞬時値(44a、44b)と前記推定値(40a、40b)の差(42)を計算するステップをさらに含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
  18. (a) フィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)のためのシーケンスパラメータを選択し、
    (b) 良好な作動状態下で交流モータ(14)のモデルを学習させるためにフィードフォワード・ニューラルネットワーク(38)をトレーニングし、
    (c) 交流モータ(14)の使用中に、この交流モータの測定された瞬時値(44a、44b)を獲得し、
    (d) 良好な作動状態中の前記交流モータ作動の推定値(40a、40b)と前記交流モータ作動の前記瞬時値(44a、44b)を比較(42)し、
    (e) 前記ステップ(c)および(d)を周期的に繰り返し、
    (f) 前記比較(42)のステップにおいて、ビジランススレッショルド値を越える故障値が生じる場合、前記交流モータ(12)のステータ回転故障を指示する、各ステップをさらに含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
  19. 定常作業状態を得るために複数のウエイト(54)を収束するために前記ステップ(a)および(b)を繰り返すことを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
  20. 一組の電流値および一組の電圧値(36)を得ることを含んでいるトレーニング工程は、
    ライン電圧の正のシーケンス成分における振幅を獲得し、
    ライン電圧の負のシーケンス成分における振幅と位相を獲得し、
    ライン電流の正のシーケンス成分における振幅と位相を獲得する、
    各ステップを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
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