JP3823051B2 - 磁性薄膜およびその熱処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の合金を用いて磁性薄膜構造とすることで強磁性を有する磁性薄膜に関するものである。また、その磁性薄膜の製造に不可欠な熱処理条件を規定した磁性薄膜の熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バルク材料のNi−Mnを主体とする合金においては、原子%で50%Mn近傍のNi−Mn合金は反強磁性を示し、原子%で20at%から40at%のMnを有するNi3Mn系合金は強磁性を示すことがBozorth等に報告されている。このNi3Mn系合金では、面心立方体のNi中にMnが配列し、350℃から550℃の間の温度で熱処理を加えることにより、規則正しいスピン配列が乱されるため、磁気特性や抵抗値、キュリー点が変化することが知られていた。前記公知文献ではこのバルク材料は熱処理温度が高いほど強磁性の特性が劣化する(磁化等の低下)ことが記載されている。しかしながら、Ni−Mnを主体とする合金を用いた磁性薄膜に対しては報告されておらず、バルク材料の使用について詳細な検討はされていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は上記のように、バルク材料では公知であるNi−Mn系合金を用いながら、所定の薄膜の多層構造で強磁性となる磁性薄膜、およびその熱処理条件との関係を明らかにして提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、基板上に下地膜を形成した後、Ni−Mn系合金の磁性膜を形成し、真空中または非酸化性雰囲気中で熱処理を行なうことにより解決できることを見出した。
【0005】
即ち、本発明の磁性薄膜は基板と、前記基板上に形成された下地膜と、前記下地膜上に形成された強磁性膜を備える磁性薄膜であって、前記強磁性膜はマンガン量が15at%以上且つ40at%以下で残部ニッケルおよび不可避不純物を有するNi−Mn系合金であり、前記下地膜は、タンタル、チタン、ニオブのいずれか一種以上で構成されることを特徴とする。好ましくは、前記強磁性膜はマンガン量が15〜40at%で残部ニッケルおよび不可避不純物からなるNi−Mn系合金とする。これにより優れた強磁性特性を持つ磁性薄膜が実現される。マンガン量のさらに好ましい範囲は17at%以上且つ30at%以内、さらには18at%以上且つ22at%以内とする。バルク材ではマンガン量が約22%の時に最も高い強磁性を示すが、本発明のように磁性薄膜にするとそのマンガン量(Mn量)の最適値は若干低くなる。また、強磁性膜は5nm以上且つ500nm以下の厚さで形成されていることが好ましい。あまりに薄いと磁性薄膜として強磁性の特性が不足する。また厚さが500nmを超えても同様である。好ましくは10nm以上且つ300nm以下、さらに好ましくは15nm以上且つ150nm以下の厚さとすることで飽和磁化の向上が可能である。また、下地膜は厚いほど飽和磁化が低下する傾向にあるため、目安として0.1nm以上且つ100nm以下の範囲とすることが好ましい。
【0006】
また、本発明の磁性薄膜は、下地膜にタンタル(Ta)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)のいずれか一種以上を用いる。この下地膜構成とNi−Mn系合金の強磁性膜からなる薄膜層により結晶配向性や膜質が改善され、優れた強磁性特性が実現される。
【0007】
ここで、“基板”とは下地膜や磁性膜を被着させるための部材であり、単に板状やウェハー形状のものに限らず、電気機器、電子機器、電気部品もしくは電子部品の基板や筐体や基体等を含む。要は、下地膜と磁性膜を支持して所要の磁気特性を得られるものが基板に相当する。“磁性薄膜”は非磁性膜と強磁性膜を有する多層膜を含む。また、下地膜を備えるとともに高い飽和磁化(例えば100mT以上)を有する場合、NiMn系合金はNiとMnを主としたものに第3の元素を添加させたものであっても良く、本発明の一部と言える。但し、発明者の実験に依るとNiとMnから成る組成が最も良い。
【0008】
また、本発明の磁性薄膜は、基板上に、タンタル、チタン、ニオブのいずれか一種以上で構成された下地膜を形成し、前記下地膜上にマンガン量が15〜40at%で残部ニッケルおよび不可避不純物からなるNi−Mn系合金の強磁性膜を形成し、その後真空中または非酸化性雰囲気中で400〜700℃の熱処理を施すことが好ましい。大気中の熱処理では酸化されてしまうため好ましくない。真空中で行うことにより、Ni−Mn磁性膜の規則正しいスピン配列が乱されることにより、優れた磁性薄膜が実現される。さらにマンガン量(Mn量)が17〜30at%の強磁性膜においては熱処理温度により2つの顕著な強磁性(飽和磁化)特性ピークが発現する。このピークを発現させる好ましい熱処理温度範囲は400〜480℃および550〜680℃である。従来のバルク材では行なわない550〜680℃の熱処理温度の方がさらに強磁性特性が高い傾向にある。
【0009】
また、前記Ni−Mn系合金の結晶方位の[220]面と[111]面の比([220]/[111]X線強度比)が熱処理前で0.2以上0.6以下であり、熱処理後は0.5以上であることが好ましい。Mn量が多い場合と少ない場合を比較すると、Mn量の少ない方が飽和磁気を大きくなる傾向がある。X線強度比についても低Mn化により、大きくなり熱処理前より低下する度合いが改善される傾向にある。そこで、本発明の他の磁性薄膜として、熱処理後に[220]/[111]X線強度比が0.5以上であるものを挙げる。
【0010】
本発明では基板上に下地膜、強磁性膜を一層ずつ形成しているが、下地膜と強磁性膜を交互に複数層重ねるようにしても良い。また、本発明の磁性薄膜は図2、3に示すように熱処理温度により強磁性が発現したり減衰したりするのでスイッチング用の素子としての用途の適用も考えられる。基板は少なくとも片面が表面研磨されたもの、あるいは、さらに約1μmの酸化膜層を付加したものがよい。基板組成は実施例においてはSi基板を用いているが熱膨張係数などを考慮の上、公知のものであれば適宜使用可能である。
【0011】
本発明の下地膜、強磁性膜の作製には既知の成膜方法を採用できる。例えば、通常のマグネトロンスパッタ法、対向ターゲットスパッタ法等を用いることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の磁性薄膜を実施例によって具体的に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
片面が研磨され、表面に1μm厚の酸化処理を施したSiウエハを基板に用い、スパッタ装置内に設置し、下地膜用にTaターゲットを、磁性膜用に80at%Ni−20at%Mn、75at%Ni−25at%Mn、60at%Ni−40at%Mnターゲットをそれぞれスパッタ装置内に設置した。装置内を3×10-5Pa以下まで排気した後、Arガスを100ml/sec流し、装置内の圧力を0.45Paに保ち、放電出力200Wで放電させて基板洗浄(基板表面のクリーニング)を60sec行った。放電出力150Wに設定し、下地膜に用いるTaターゲットに放電させて基板上にTa下地膜を50nm成膜した。その後、80at%Ni−20at%Mnターゲットに放電させ、磁性膜を300nm形成し、本発明の磁性薄膜(発明品1−1)を得た。また、磁性膜のMn量による影響を比較するため、75at%Ni-25at%Mn組成の磁性膜を有する磁性薄膜(発明品1−2)、60at%Ni−40at%Mn組成の磁性膜を有する磁性薄膜(発明品1−3)をそれぞれ製造した。なお、本明細書では、80at%Ni−20at%Mnターゲットとは、磁性膜の組成を80at%Ni−20at%Mnにするターゲット材を表している。従って、実際のターゲットのMn組成は20at%超で用意した。成膜条件にもよるが、ターゲットの組成に比べて磁性膜の組成ではMnが減少するためである。
また、熱処理温度による影響を調査するため、各々の磁性薄膜に対して、真空熱処理炉を用いて熱処理温度を100℃〜700℃の所定の温度で各々実験を行なった。熱処理時間3hrで、試料の酸化防止のため、6.7×10- 3Pa以下の真空中で熱処理を行い、特性を評価した。図2に熱処理温度と飽和磁化との関係を示す。横軸は熱処理温度(℃)であり、縦軸は飽和磁化Bs(mT)である。
【0013】
(比較例1)
Mn量による影響を比較するため、比較実験を行なった。実施例1と同様のSi基板を用い、スパッタ装置内に設置し、下地膜用にTaターゲットを、磁性膜用に50at%Ni−50at%Mnターゲットをそれぞれスパッタ装置内に設置した。装置内を3×10-5Pa以下まで排気した後、Arガスを100ml/sec流し、装置内の圧力を0.45Paに保ち、放電出力200Wで放電させ基板洗浄を60sec行った。放電出力150Wに設定し、下地膜に用いるTaターゲットに放電させて基板上にTa下地膜を50nm成膜した。その後、50at%Ni−50at%Mnターゲットに放電させ、磁性膜を300nm形成し、比較用の磁性薄膜(比較品1)を得た。
また、熱処理温度による影響を調査するため、比較品1の磁性薄膜に対して、真空熱処理炉を用いて熱処理温度を100℃〜700℃の所定の温度で各々実験を行なった。熱処理時間3hrで、試料の酸化防止のため、6.7×10- 3Pa以下の真空中で熱処理を行い、特性を評価した。図2に熱処理温度と飽和磁化との関係を示す。
【0014】
発明品1−1は420〜480℃および560〜680℃で熱処理を行なうことにより、飽和磁化が210mT以上得られた。さらに580〜660℃では300mT以上、590〜640℃では400mT以上が得られた。また、発明品1−2では430〜370℃および560〜680℃で熱処理を行なうことにより、飽和磁化が210mT以上得られた。さらに580〜650℃では300mT以上が得られた。対して比較品1は100から700℃の温度範囲内で熱処理を加えても飽和磁化の向上が見られず、発明品より劣ることがわかる。
【0015】
また、発明品1−1および1−2と比較品1について、磁気特性をVSM(試料振動型磁力計)を用いて評価した。評価条件は印加磁界800kA/mである。X線回折により結晶配向性を測定した。図4に熱処理温度とX線回折による磁性膜を構成するNi−Mnを主体とする合金(磁性膜)の結晶方位の[220]面と[111]面の比、[220]/[111]X線強度比の関係を示す。
発明品1−1、1−2は熱処理温度により[220]/[111]X線強度比が流動的に変化する。特に300℃から500℃までは[220]/[111]X線強度比が0.2以上と急激に増加する。 比較品1は100℃から700℃の温度で熱処理を加えてもX線強度比に変化が見られない。
【0016】
(実施例2)
実施例1と同様のSi基板を用い、スパッタ装置内に設置し、下地膜用にTiターゲットを、磁性膜用に75at%Ni−25at%Mnターゲットをそれぞれスパッタ装置内に設置した。装置内を3×10-5Pa以下まで排気した後、Arガスを100ml/sec流し、装置内の圧力を0.45Paに保ち、放電出力200Wで放電させて基板洗浄を60sec行った。放電出力150Wに設定し、下地膜に用いるTiターゲットに放電させ基板上にTi下地膜を50nm成膜した。その後、75at%Ni−25at%Mnターゲットに放電させ、磁性膜を300nm形成し、本発明の磁性薄膜(発明品2)を得た。
また、熱処理温度による影響を調査するため、発明品2の磁性薄膜に対して、真空熱処理炉を用いて熱処理温度を100℃〜700℃の所定の温度で各々実験を行なった。熱処理時間3hrで、試料の酸化防止のため、6.7×10- 3Pa以下の真空中で熱処理を行い、特性を評価した。図3に熱処理温度と飽和磁化との関係を示す。
【0017】
(実施例3)
実施例1と同様のSi基板を用い、スパッタ装置内に設置し、下地膜用にNbターゲットを、磁性膜用に75at%Ni−25at%Mnターゲットをそれぞれスパッタ装置内に設置した。装置内を3×10-5Pa以下まで排気した後、Arガスを100ml/sec流し、装置内の圧力を0.45Paに保ち、放電出力200Wで放電させて基板洗浄を60sec行った。放電出力150Wに設定し、下地膜に用いるNbターゲットに放電させ基板上にNb下地膜を50nm成膜した。その後、75at%Ni−25at%Mnターゲットに放電させ、磁性膜を300nm形成し、本発明の磁性薄膜(発明品3)を得た。
また、熱処理温度による影響を調査するため、発明品3の磁性薄膜に対して、真空熱処理炉を用いて熱処理温度を100℃〜700℃の所定の温度で各々実験を行なった。熱処理時間3hrで、試料の酸化防止のため、6.7×10- 3Pa以下の真空中で熱処理を行い、特性を評価した。図3に熱処理温度と飽和磁化との関係を示す。
【0018】
(比較例2)
比較のため、下地膜を形成しないで基板に直接磁性膜を形成した。実施例1と同様のSi基板を用い、スパッタ装置内に設置し、磁性膜用に75at%Ni−25at%Mnターゲットをスパッタ装置内に設置した。装置内を3×10-5Pa以下まで排気した後、Arガスを100ml/sec流し、装置内の圧力を0.45Paに保ち、放電出力200Wで放電させて基板洗浄を60sec行った。放電出力150Wに設定し、磁性膜に用いる75at%Ni-25at%Mnターゲットに放電させ、磁性膜を300nm形成し、比較用の磁性薄膜(比較品2)を得た。
また、熱処理温度による影響を調査するため、比較品2の磁性薄膜に対して、真空熱処理炉を用いて熱処理温度を100℃〜700℃の所定の温度で各々実験を行なった。熱処理時間3hrで、試料の酸化防止のため、6.7×10- 3Pa以下の真空中で熱処理を行い、特性を評価した。図3に熱処理温度と飽和磁化との関係を示す。
【0019】
図3において、発明品1−2では430〜370℃および560〜680℃で熱処理を行なうことにより、飽和磁化が210mT以上得られた。さらに580〜650℃では300mT以上が得られた。発明品2は430〜370℃および560〜680℃で熱処理を行なうことにより、飽和磁化が210mT以上得られた。さらに580〜650℃では300mT以上が得られた。また、発明品3では550〜640℃で熱処理を行うことで飽和磁化が100mT以上得られ、さらに570〜630℃では300mT以上、580〜620℃では400mT以上が得られた。対して比較品2は450℃で熱処理を行った時に飽和磁化が最も高くなるが200mTに止まり、発明品より劣ることがわかる。
【0020】
(実施例4)
実施例1と同様のSi基板を用い、スパッタ装置内に設置し、下地膜用にTaターゲットを、磁性膜用に75at%Ni−25at%Mnターゲットをそれぞれスパッタ装置内に設置した。装置内を3×10-5Pa以下まで排気した後、Arガスを100ml/sec流し、装置内の圧力を0.45Paに保ち、放電出力200Wで放電させて基板洗浄を60sec行った。下地膜の厚さによる影響を見るため、放電出力150Wに設定し、下地膜に用いるTaターゲットに放電させ、基板上にTa下地膜を10nmから500nmまでの所定の膜厚で各々基板に成膜した後、75at%Ni-25at%Mn磁性膜を300nm成膜し複数の磁性薄膜(発明品4)を得た。その後、真空熱処理炉を用いて、熱処理温度450℃、熱処理時間3hrで、試料の酸化防止のため、6.7×10- 3Pa以下の真空中で熱処理を行い特性を評価した。図5に下地膜の厚さと飽和磁化との関係を示す。
【0021】
Ta下地膜の厚みを変えた発明品4は、下地膜が厚くなるにしたがい、飽和磁化が低下する。ただし下地膜厚が0nm(下地膜厚無し)では図3に示すように十分な磁気特性が得られない。
【0022】
(実施例5)
実施例1と同様のSi基板を用い、スパッタ装置内に設置し、下地膜用にTaターゲットを、磁性膜用に75at%Ni−25at%Mnターゲットをそれぞれスパッタ装置内に設置した。装置内を3×10-5Pa以下まで排気した後、Arガスを100ml/sec流し、装置内の圧力を0.45Paに保ち、放電出力200Wで放電させて基板洗浄を60sec行った。放電出力150Wに設定し、下地膜に用いるTaターゲットに放電させ、基板上にTa下地膜を300nm形成した。次に、磁性膜の厚さによる影響を見るため、75at%Ni-25at%Mnターゲットに放電し、10nmから500nmまでの所定の膜厚で各々基板に磁性膜を成膜し、複数の磁性薄膜(発明品5)を得た。その後、真空熱処理炉を用いて、熱処理温度450℃、熱処理時間3hrで、試料の酸化防止のため、6.7×10- 3Pa以下の真空中で熱処理を行い特性を評価した。図6に磁性膜の厚さと飽和磁化との関係を示す。
【0023】
磁性膜の厚みを変えた発明品5は、磁性膜厚がある程度まで増加すると、飽和磁化が若干減少する傾向を示すが、少なくとも磁性膜の厚さが300nmまでは高い飽和磁化が得られる。膜厚を厚くしても500nmまでは飽和磁化130mT程度が得られる。図示を省略したが、さらに膜厚を厚くしていくと飽和磁化がより急激に低下し、膜剥離や製造コストが高くなるという問題も生じるため、最大膜厚を500nmとすることが実用的である。
膜厚を10nmまで薄くしても高い飽和磁化を得ることができる。ただし、膜厚を薄くし過ぎると、膜厚の均一性を制御することが困難になり、強磁性の効果が期待できなくなる。均一性を制御するには厚さを5nm以上にするとよい。
即ち、厚さ5nmから500nmの磁性膜とすることで磁気特性を得ると共に膜厚均一性もしくは製造コスト抑制に優れた磁性薄膜を実現することができる。さらに、より好ましくは厚さ10nmから300nmとすることで特に磁気特性に優れた磁性薄膜を実現することができる。
【0024】
(実施例6)
実施例1と同様の条件で、磁性膜用に85at%Ni−15at%Mnターゲットを用い、本願に係る磁性薄膜を形成したところ、発明品1−2や発明品1−3に比べて高い飽和磁化を得ることができた。
【0025】
【発明の効果】
上述のように、本発明の磁性薄膜によれば、Ni−Mn系合金を所定の構成で磁性薄膜にして、所定の温度で熱処理することにより強磁性特性を有する優れた磁性薄膜を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性薄膜を説明するための要部断面図である。
【図2】磁性薄膜の磁性膜Mn量による飽和磁化の熱処理温度依存性を示したグラフである。
【図3】磁性薄膜の下地膜の材質別による飽和磁化の熱処理温度依存性を示したグラフである。
【図4】Ni-Mn磁性膜のX線強度比([220]/[111])の熱処理温度依存性を示したグラフである。
【図5】Ta/Ni−Mn系の磁性薄膜の下地膜の厚さによる飽和磁化を示したグラフである。
【図6】Ta/Ni−Mn系の磁性薄膜の磁性膜の厚さによる飽和磁化を示したグラフである。
【符号の説明】
1 基板、
2 下地膜、
3 Ni-Mn系合金の磁性膜。
Claims (4)
- 基板と、前記基板上に形成された下地膜と、前記下地膜上に形成された強磁性膜を備える磁性薄膜であって、前記強磁性膜はマンガン量が15at%以上且つ40at%以下で残部ニッケルおよび不可避不純物を有するNi−Mn系合金であり、前記下地膜は、タンタル、チタン、ニオブのいずれか一種以上で構成されることを特徴とする磁性薄膜。
- 前記強磁性膜は5nm以上且つ500nm以下の厚さで形成されている請求項1に記載の磁性薄膜。
- 前記Ni−Mn系合金の結晶方位の[220]面と[111]面の比([220]/[111]X線強度比)が熱処理前で0.2以上0.6以下であり、熱処理後は0.5以上である請求項1または2に記載の磁性薄膜。
- 基板上に、タンタル、チタン、ニオブのいずれか一種以上で構成された下地膜を形成し、前記下地膜上にマンガン量が15〜40at%で残部Niおよび不可避不純物を有するNi−Mn系合金の強磁性膜を形成し、その後真空中または非酸化性雰囲気中で400〜700℃の範囲内で熱処理を施すことを特徴とする磁性薄膜の熱処理方法。
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