JP3821755B2 - 無線通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動局に信号を送出する無線通信装置に係わり、詳細には送出前の信号に帯域制限を行うフィルタを備えた無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信は、通信を行う装置間でケーブル等の固定された線を必要としないため、携帯電話機等のような位置が変化する通信機器で広く用いられている。このような無線通信では、それぞれの相手先に対して周波数を割り当てて送信を行うようになっており、そのためにフィルタを使用している。
【0003】
一例として基地局から携帯電話機に信号を送出する場合を考える。基地局はそれぞれの携帯電話機の位置に応じて送信電力を必要最小限の値に調整して送出している。また、隣接する周波数に対する影響を最小限とするために、基地局から送出する送信電力が最大のときであっても、隣接周波数帯域に影響を与えないようなフィルタ設計を行っている。このようなフィルタをディジタルフィルタで構成する場合には、満足できる特性を実現するようなタップ数を設定することになる。タップ数は、ディジタルフィルタで信号を加算する回路の数に対応しており、多いほど動作する回路規模が大きくなるようになっている。また、タップ数はたとえば3つの信号を入力信号に加算する場合には、3段と数えられるようになっている。送信電力が最大の場合についてフィルタを設計すると、送信電力がこれよりも小さい場合には隣接周波数帯域に与える影響は小さくなりこの点での問題は生じない。
【0004】
ところが、基地局がそれぞれの携帯電話機に対して周波数を割り当てて、これらの携帯電話機と通信を行う場合に、通信対象となる携帯電話機が増加すると共に基地局には次のような問題が発生した。すなわち、周波数帯域ごとに割り振られた送信部の数が増加すると共に、送信部全体の消費電力が増加してこれらの温度が上昇することになった。特に送信部を構成するデバイスの発熱によって、これらのデバイス自体に負担がかかることになった。これにより、デバイスの寿命を縮めて送信部の信頼性を低下させることになった。
【0005】
図17は、従来の無線通信装置の送信部の構成の一例を表わしたものである。特開2001−308650号公報に開示されたこの無線通信装置で送信部11は、それぞれ図示しない携帯電話機へ送出するキャリアが入力される第1〜第Mの入力端子121〜12Mを備えている。また、入力されたキャリアをディジタル変調する第1〜第Mのディジタル変調器131〜13Mと、ディジタル変調されたキャリアの送信電力を増幅する第1〜第Mの電力増幅器141〜14Mを備えている。更に、送信電力が増幅されたキャリアの帯域を割り当てる第1〜第Mのフィルタ151〜15Mと、帯域が割り当てられたキャリアを出力する出力端子16を備えている。第1〜第Mのフィルタ151〜15Mの前段にはそれぞれ第1〜第Mの電力増幅器141〜14Mへの信号の逆流を阻止する第1〜第Mのアイソレータ171〜17Mが備えられている。この図17に示された技術では、第1〜第Mのフィルタ151〜15Mが、第1〜第Mの電力増幅器141〜14Mによって送信電力が増幅されたキャリアの歪みによる隣接周波数帯への影響を小さくするようになっている。これにより、一般的に、増幅器の後段に備えられる増幅後の歪みを抑えるための回路をフィルタ以外に必要としない構成となる。したがって、隣接周波数帯への影響を抑えながら送信部11全体の消費電力の低減とそれに伴う発熱の抑圧を図ることができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の技術で、フィルタは信号の送信電力が最大の場合に隣接周波数帯域に与える影響を小さくするように設計されている。したがって、フィルタ自体の電力消費および発熱について何ら改良されておらず、先に説明したように送信部の数が増加すればフィルタの増加によって発熱が増大し、デバイスへの負担の増大と送信部の信頼性の低下という問題が生じることになる。
【0007】
そこで本発明の目的は、隣接周波数帯域に与える影響を抑えながらフィルタの消費電力の低減を図ることのできる無線通信装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、(イ)移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるようにこれら移動局に対して送出される送信信号の通過帯域をそれぞれ制限するフィルタと、(ロ)これら各移動局の現在位置に応じて対応する送信信号の送信電力を変化させる送信電力制御手段と、(ハ)移動局に送出する送信電力に応じて送信電力が大きいほど高精度の帯域特性となるようにフィルタの特性の実現のための回路条件を設定する回路条件設定手段とを無線通信装置に具備させる。
【0009】
すなわち請求項1記載の発明では、フィルタは移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるように、それぞれに送出する送信信号の通過帯域を制限するようになっている。送信電力制御手段は、これら各移動局の現在位置に応じて、対応する送信信号の送信電力を変化させるようになっている。送信電力は送信信号を受信する移動局の受信レベルに応じて変化するようになっており、たとえば移動局との位置が離れるほど大きく、近くなるほど小さくなるように制御される。回路条件設定手段は、送信電力制御手段により制御される送信電力に応じて、送信電力が大きいほど、フィルタの回路条件を高精度に設定するようになっている。これは、隣接周波数帯に漏洩する信号成分をできるだけ精度良く低下させるためである。したがって、送信電力が小さいほど、フィルタの回路条件を高精度に設定する必要がない。このように請求項1記載の発明では、送信電力に応じてそれぞれのフィルタの回路条件を制御することにしたので、送信電力が最大ではない場合におけるフィルタの消費電力を軽減させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明では、(イ)移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるようにこれら移動局に対して送出される送信信号の通過帯域をそれぞれ制限するフィルタと、(ロ)これら各移動局の現在位置に応じて対応する送信信号の送信電力を変化させる送信電力制御手段と、(ハ)送信信号の送出されるそれぞれの移動局ごとに割り当てられた周波数帯に隣接する周波数帯が同時に他の移動局用に使用されるか否かを判別する隣接周波数帯使用有無判別手段と、(ニ)移動局に送出する送信電力と隣接周波数帯使用有無判別手段の判別結果に応じて送信電力が大きく、隣接周波数帯が使用されているときほど高精度の帯域特性となるようにフィルタの特性の実現のための回路条件を設定する回路条件設定手段とを無線通信装置に具備させる。
【0011】
すなわち請求項2記載の発明では、フィルタは移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるように、それぞれに送出する送信信号の通過帯域を制限するようになっている。また、送信電力制御手段は、これら各移動局の現在位置に応じて、対応する送信信号の送信電力を変化させるようになっている。隣接周波数帯使用有無判別手段は、割り当てられた周波数帯に隣接する周波数帯が同時に他の移動局用に使用されるか否かを判別するようになっている。これは、隣接する周波数帯が他の移動局で使用されている場合にはその隣接する周波数帯への信号の漏洩の程度をフィルタの回路条件を設定する際に考慮する必要があるが、そうでない場合にはこのような考慮を特にする必要がないからである。このように、本発明の場合は移動局に送出する送信電力の大きさだけでなく隣接周波数帯使用有無判別手段の判別結果を考慮してフィルタの特性の実現のための回路条件の設定を行うようにしたので、フィルタの使用実態に応じてその消費電力を請求項1記載の発明よりもきめ細かに制御し電力の一層の低減を図ることができる。
【0012】
請求項3記載の発明では、(イ)移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるようにこれら移動局に対して送出される送信信号の通過帯域をそれぞれ制限するフィルタと、(ロ)これらフィルタを通過した後の各送信信号に対してそれぞれ隣接した周波数帯に漏洩した送信信号の信号レベルを検出する検出手段と、(ハ)送信信号に対してこの検出手段によって検出された信号レベルが高いほど、高精度の帯域特性となるようにフィルタの特性の実現のための回路条件を設定する回路条件設定手段とを無線通信装置に具備させる。
【0013】
すなわち請求項3記載の発明では、フィルタは移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるように、それぞれに送出する送信信号の通過帯域を制限するようになっている。検出手段は、フィルタ通過後の各送信信号が隣接した周波数帯に漏洩している信号レベルを実際に検出するようになっている。そして、その信号レベルが高いときには高精度の帯域特性となるようにフィルタの特性の実現のための回路条件を設定するが、低い場合にはこれに応じて回路条件を緩和し、フィルタを実現するための消費電力の軽減を図るようにしている。
【0014】
請求項4記載の発明では、請求項1〜請求項3いずれかに記載の無線通信装置で、フィルタはディジタルフィルタであり、回路条件設定手段はフィルタの精度が高いほどフィルタの送信信号を通過させる演算回路の数を示すタップ数を多く設定することを特徴している。
【0015】
すなわち請求項4記載の発明では、フィルタがディジタルフィルタで構成される場合を示している。ディジタルフィルタの場合には、フィルタの精度が高いほど送信信号が通過する演算回路の数を示すタップ数を多く必要とする。したがって、低精度のフィルタで特性が満足される場合には、演算回路の数も減少するため、フィルタの消費電力とそれに伴う発熱の低減を図ることができる。
【0016】
請求項5記載の発明では、請求項1記載の無線通信装置で、回路条件設定手段は隣接した周波数帯に漏洩する送信信号の信号レベルが送信電力が最大のときと同一かこれ以下となるように送信電力に応じて回路条件を設定することを特徴としている。
【0017】
すなわち請求項5記載の発明では、回路条件設定手段は隣接した周波数帯に漏洩する送信信号の信号レベルが送信電力が最大のときと同一かこれ以下となるように、送信電力に応じて回路条件を設定する。一般的に送信電力が最大よりも小さい場合には隣接した周波数帯に漏洩する送信信号の信号レベルも小さくなり、比較的低精度のフィルタを構成するように回路条件を設定することができる。したがって、回路条件を送信電力が最大のときの隣接した周波数帯に漏洩する送信信号の信号レベルと同一かこれ以下となるように送信電力に応じて設定するようにすれば、隣接周波数帯に今までよりも悪い影響を与えることなくフィルタの消費電力の軽減を図ることができる。
【0018】
請求項6記載の発明では、請求項2記載の無線通信装置で、隣接周波数帯使用有無判別手段は自装置が隣接する周波数帯を同時に他の移動局用に使用しているか否かを判別することを特徴としている。
【0019】
すなわち請求項6記載の発明では、隣接周波数帯を使用しているか否かを隣接周波数帯使用有無判別手段が判別する際の具体的な一例を示したものである。これにより、たとえば他装置からの情報を得ることなく隣接周波数帯の使用状況を判別し、これに応じたフィルタの消費電力の軽減を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
【0021】
【実施例】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0022】
第1の実施例
【0023】
図1は本発明の第1の実施例における無線通信装置の一例としての基地局装置(BTS:Base Transfer Station)の構成の要部を表わしたものである。第1の送信部101は、この図で破線で示した移動局100に対して割り当てられた周波数帯を使用して信号を送信するようになっている。基地局装置は、この図1に示した第1の送信部101と同一構成の送信部(第2〜第4の送信部)を他に3つ備えているが、ここではこれらの図示を省略する。第1の送信部101は、ベースバンド信号102と送信信号情報103を出力するベースバンド信号処理部104と、ディジタルフィルタ制御信号105に基づいてベースバンド信号102を遅延、乗算および累積することで帯域制限したベースバンド信号106を出力するディジタルフィルタ107を備えている。また、ベースバンド信号106を直交変調してディジタル変調信号108として出力する変調器109と、ディジタル変調信号108をD/A(ディジタル−アナログ)変換してIF(中間周波数)信号110を出力するD/Aコンバータ(D/A)111を備えている。更に、IF信号110をアップコンバートしたRF(無線周波数)信号112を出力する周波数変換回路113と、送信電力制御信号114に従ってRF信号112の利得を可変させた送信信号115を出力する可変利得増幅器116と、送信信号115を移動局100に送信するアンテナ117を備えている。
【0024】
第1の送信部101では、送信電力値等の送信信号115が隣接周波数帯へ与える影響の大きさに関連する情報を示す送信信号情報103がベースバンド信号処理部104からCPU(中央演算処理装置)118に入力されるようになっている。CPU118は、ディジタルフィルタ107を制御するパラメータを取得するための比較データ信号119を入出力する比較テーブル120と接続されている。また、第1の送信部101は、各回路に電力を供給する電源121と、内部を冷却する冷却器122を備えている。CPU118は、図示しない記憶媒体に格納されているプログラムに従って第1の送信部101内の各種の制御を行うようになっている。また、CPU118は、送信信号情報103を基にしてディジタルフィルタ107を制御するためのディジタルフィルタ制御信号105を出力する。更に、CPU118は、送信信号情報103を基にして可変利得増幅器116の利得を制御するための送信電力制御信号114を出力する。冷却器122は、第1の送信部101内を一定の温度以下に保つように熱設計されている。
【0025】
CPU118は、前記した制御の一部としてディジタルフィルタ107に対してその実現するフィルタ特性を示した回路条件を含むディジタルフィルタ制御信号105を出力するようになっている。ディジタルフィルタ107は、このディジタルフィルタ制御信号105に従ってフィルタの精度を変化させ、送信信号115のスプリアス輻射量が規格値以下となるように抑圧する。ここでスプリアスは割り当てられた周波数帯以外に漏出した信号であり、スプリアス輻射量はスプリアスの信号レベルである。
【0026】
図2は、基地局装置内部に複数の送信部が配置されている様子を表わしたものである。基地局装置125は、第1の送信部101と、第1の送信部101と同一構成である第2〜第4の送信部126〜128と、これらに無線通信を行うための周波数帯を割り当てる周波数割当部129を備えている。基地局装置125は、これら第1の送信部101および第2〜第4の送信部126〜128を備えた4RF構成となっており、1RF運用から4RF運用まで作動させる数を変更することで、トラフィックの変化に対応できるようになっている。第1の実施例では、第1の送信部101のみで運用する、RF数が1RF固定である場合について説明を行う。
【0027】
図3は、図1で示したディジタルフィルタの回路構成を詳細に表わしたものである。ディジタルフィルタ107は、ベースバンド信号102を入力とする直列接続された第1〜第Nの遅延器1311〜131Nと、ベースバンド信号102を入力とする第1の乗算器1321を備えている。また、第1〜第(N−1)の遅延器1311〜131(N-1)に対応して第2〜第Nの乗算器1322〜132Nが設けられており、それぞれの出力側に入力側を接続している。第(N+1)の乗算器132N+1は第Nの遅延器131Nの出力側に入力側を接続している。これら第1〜第(N+1)の乗算器1321〜132N+1の出力側には累積加算器133の入力側が接続されており、これらの加算をとって帯域制限されたベースバンド信号106を出力するようになっている。
【0028】
第1の乗算器1321にはベースバンド信号102が入力され、第2〜第(N+1)の乗算器1322〜132N+1には、それぞれ前段の第1〜第Nの遅延器1311〜131Nから出力される第1〜第Nの遅延信号1351〜135Nが入力されるようになっている。これら第1〜第(N+1)の乗算器1321〜132N+1は、それぞれ入力される信号にタップ係数に基づいた乗算を行う。第1の乗算器1321は演算後のベースバンド信号102Aを出力し、第2〜第(N+1)の乗算器1322〜132N+1は、第1〜第Nの演算後の遅延信号135A1〜135ANをそれぞれ出力する。動作する遅延器131および乗算器132の数を示す値“N”は、ディジタルフィルタ107に設定されるタップ数に応じて変化するようになっている。
【0029】
図4は第1の送信部を冷却する冷却器の処理の流れを表わしたものである。本実施例で冷却器122は、空気を送るファンの回転数によって冷却能力を増減する空冷式のものである。冷却器122を制御する図示しない制御回路は、第1の送信部101の現在の温度t1を取得する(ステップS201)。この取得した温度t1が基準温度t0以上であるか否かを判別(ステップS202)し、基準温度t0以上である場合(Y)にはファンの回転数を増加させ(ステップS203)、その後先頭に戻って処理を繰り返す(リターン)。また、取得した温度t1が基準温度t0以上ではない場合には(ステップS202:N)、ファンの回転数を減少させ(ステップS204)、その後先頭に戻って処理を繰り返す(リターン)。本実施例で基準温度t0は摂氏65度に設定されている。
【0030】
次に第1の実施例の無線通信装置の動作を説明する。図1に示したベースバンド信号処理部104から出力されたベースバンド信号102は、ディジタルフィルタ107を通過して割り当てられた周波数帯域となるような所望の送信信号波形が得られる。ディジタルフィルタ107を通過したベースバンド信号106は変調器109によりディジタル変調され、D/Aコンバータ111にてディジタル信号からアナログ信号であるIF信号110へと変換される。変換されたIF信号110は周波数変換回路113によってRF信号112にアップコンバートされ、これが可変利得増幅器116にて所定の送信電力となるように増幅された後、送信信号115としてアンテナ117から移動局100へ送信される。
【0031】
ところでベースバンド信号処理部104は、送信信号115の受信を希望する移動局100の位置等から送信電力を決定する。本実施例では、図示しない受信アンテナで移動局100から送信信号115の受信レベルを通知する信号を受信して、この受信レベルが一定以上となるように送信電力を決定する。また、送信信号115に複数の信号を多重する場合にはその多重数を判別する。
【0032】
CPU118は、ベースバンド信号処理部104からの送信信号情報103を入力することで既に説明した送信電力の値、送信信号115への信号の多重数および他の送受信部(TRX)の隣接チャネルの使用状況を示す情報を得る。これにより、CPU118は送信信号115の増幅率あるいは減衰率を示す利得を指示するための送信電力制御信号114を可変利得増幅器116に送出して、要求された所定の送信電力となるように制御する。また、CPU118は比較テーブル120を参照して、送信信号115のピーク値により発生するひずみの影響をSEM(Spectrum Emission Mask)の規格を満足するように抑制するためのフィルタ特性を実現するフィルタ構成パラメータを取得する。SEMの規格は、割り当てられた周波数帯以外に漏出した送信信号115の許容値について規定したものである。このSEMの規格は、3GPP(第三世代移動体通信システムの標準化プロジェクト)の発行するTS(Technical Specification group radio access network)ドキュメントの“25.104”に記載されている。フィルタ構成パラメータには、このSEMの規格を満たすフィルタ特性を実現するために必要なタップ数と、各タップでの重み付けを行うタップ係数が含まれている。タップ数は、ディジタルフィルタ107の動作させる遅延器数あるいは乗算器数に対応している。また、タップ係数は動作させる第1〜第(N+1)の乗算器1321〜132N+1それぞれで行う乗算の係数をそれぞれ示したものである。これらのフィルタ構成パラメータは、ディジタルフィルタ107に対する回路条件であり、ディジタルフィルタ制御信号105としてディジタルフィルタ107に送出される。
【0033】
ディジタルフィルタ107(図3)は、CPU118から指定されるタップ数に応じて有効とする遅延器131および乗算器132の数を決定し、かつ乗算器132に対しタップ係数を設定する。そして、有効と決定した遅延器131および乗算器132のみを動作させる。これにより、送信電力値および送信信号115の多重数により変化するピーク値に応じたロールオフ率一定の所望のフィルタ特性を持つディジタルフィルタ107を構成することができる。ここでロールオフ率一定のフィルタ特性とは、隣接周波数帯に漏出する信号を所望する信号レベル以下に抑える周波数特性を示している。
【0034】
図5はディジタルフィルタの制御を行うCPUの処理の流れを表わしたものである。CPU118は、送信信号情報103より送信電力値、送信信号115の多重数の情報を取得する(ステップS211)。次に、これらの情報を基にして比較テーブル120と比較データ信号119をやり取りすることで、タップ数およびタップ係数を取得する(ステップS212)。この取得したタップ数およびタップ係数からディジタルフィルタ107に設定するタップ数およびタップ係数に変更が必要であるか判別する(ステップS213)。この取得したタップ数あるいはタップ係数がディジタルフィルタ107に設定されている値と異なる場合には、変更が必要であると判別する。タップ数およびタップ係数に変更が必要と判別した場合(Y)、ステップS212で取得したタップ数およびタップ係数を回路条件として含むディジタルフィルタ制御信号105をディジタルフィルタ107に送出する(ステップS214)。この後あるいはステップS213で変更が必要ないと判別された場合(N)には先頭に戻って処理を繰り返す(リターン)。
【0035】
図6は、図1に示した比較テーブルに格納された比較情報の一例を表わしたものである。比較情報220は送信電力値と送信信号の多重数とフィルタ構成パラメータの対応を示している。比較情報220は、送信電力が39dBm(ディビィエム)以上43dBm未満と43dBm以上47dBm未満の2つの場合に分け、更にこれらを送信信号の多重数“10”を基準としてそれぞれ2つの場合に分けて、計4つの場合について示している。ここでdBmは電力の単位である。一般的に、送信電力が大きく、多重数が多くなるほど送信信号115のSEM帯域のひずみは大きくなるようになっている。したがって、送信電力が大きく、多重数が多くなるほど、送信信号115のSEM帯域のひずみを抑えるために指定されるタップ数を増加するようにしている。ここで、C(N)、D(N)、E(N)およびF(N)は、ディジタルフィルタ107内の対応する乗算器の演算で使用するタップ係数を表わしたものである。また、図示していないがディジタルフィルタ107の消費電力はタップ数が32段の場合を100%とすると、タップ数が24段の場合には70%、タップ数が16段の場合には50%となるようになっている。このように、タップ数が減少するほど動作させる遅延器131および乗算器132の数が減少し、これに応じてディジタルフィルタ107の消費電力は減少するようになっている。
【0036】
図7は送信信号への信号の多重数とピーク電力の発生確率の関係についてシミュレーション値を表わしたものである。この図で縦軸は“1”を上限としたピークの発生確率を表わしており、横軸はピーク電力値を表わしている。曲線221〜223は、送信信号115の多重数がそれぞれ2多重、16多重、32多重の場合を示したものである。この図は、信号の多重数が多くなるほどピーク電力値が大きくなることを示している。また、ピーク電力値が高いほど、SEM帯域のひずみは大きくなるようになっている。本実施例では、各多重数ごとのピーク電力値が最大の場合に、これを減衰することができるタップ係数を図6に示した比較情報220に設定するようになっている。
【0037】
図8はSEMの規格値の一部を表わしたものである。この図では、送信信号115のキャリア周波数から2.515MHz以上4MHz未満の帯域でのSEMの規格値231を示している。この図の縦軸は送信電力値を規定バンド幅で除算した値を表わしているが、この規定バンド幅は4MHz未満では30KHzである。この図は、キャリア周波数から2.515MHz以上3.515MHz未満の帯域では−14dBm以下に漏出する電力を抑えるように規定されていることを示している。また、同様に3.515MHz以上4MHz未満の帯域では−26dBm以下に、漏出する電力を抑えるように規定されていることを示している。
【0038】
図9はSEMの規格値の他の一部を表わしたものである。この図では、送信信号115のキャリア周波数から4MHz以上8MHz未満の帯域でのSEMの規格値231を示している。この図の縦軸は送信電力値を規定バンド幅で除算した値を表わしているが、この規定バンド幅は4MHz以上では1MHzである。この図は、送信信号115のキャリア周波数から4MHz以上8MHz未満の帯域では−13dBm以下に漏出する電力を抑えるように規定されていることを示している。
【0039】
図10は、送信信号波形の一例とSEMの規格値をそれぞれ周波数分布で表わしたものである。この図で、送信信号波形232A〜232Cは図6で示した送信電力値と多重数の組み合わせに対応した送信信号115の波形の周波数分布の一部をそれぞれ表わしている。また、縦軸は送信電力値を規定バンド幅で除算した値を表わしているが、この規定バンド幅は4MHz未満では30KHz、4MHz以上では1MHzである。更に、この図で下側の周波数帯については、図示している上側の周波数帯の説明と同様であるため図示および説明を省略している。この図で、送信信号波形232Aは、送信電力が43dBm以上47dBm未満かつ多重数が10以上である送信信号115の波形の一例を表わしている。また、送信信号波形232Bは、送信電力が43dBm以上47dBm未満かつ多重数が10未満あるいは送信電力が39dBm以上43dBm未満かつ多重数が10以上である送信信号115の波形の一例を表わしている。更に、送信信号波形232Cは、送信電力が39dBm以上43dBm未満かつ多重数が10未満である送信信号115の波形の一例を表わしている。これら、送信信号波形232A〜232Cは、割り当てられた周波数帯域以外への影響を最小限に抑えるためにそれぞれSEMの規格値231以下の送信電力に抑えた波形にする必要がある。この図でSEMの規格値231から離れているほどSEM帯域でのひずみが大きいことを表わしており、ひずみが大きいほど急峻な特性を実現するフィルタを構成するようになっている。ここでSEM帯域は、キャリア周波数から2.515MHz以上離れた周波数帯を指している。
【0040】
図11は、図10に示した送信信号波形にそれぞれ対応したフィルタ特性の一部を周波数分布で表わしたものである。この図で縦軸は、フィルタ特性241A〜241Cは、図10に示した送信信号波形232A〜232Cそれぞれに対応してこれらをSEMの規格値231に沿ってこれ以下に抑圧するためのフィルタ減衰量の大きさを示している。この図で、たとえばフィルタ特性241Aは送信信号波形232AをSEMの規格値231以下に抑圧するためのものであり、SEM帯域でのひずみが大きい波形ほどフィルタ減衰量も大きくなることを示している。これらフィルタ特性241A〜241Cをディジタルフィルタ107で実現するためのタップ数およびタップ係数が、比較情報220(図6)として比較テーブル120に記憶されるようになっている。
【0041】
次に一例として、第1の送信部101から多重数が “16”および送信電力が43dBmの送信信号115が送信される場合について説明する。
【0042】
ベースバンド信号処理部104から送信信号情報103がCPU118に入力されると、CPU118は比較テーブル120を参照する。CPU118は送信信号情報103から、送信信号115の送信電力値と多重数を取得する。また比較テーブル120には送信電力値と送信信号の多重数に対応したタップ数およびタップ係数が比較情報220として、記憶されている。送信電力が43dBmで多重数が“16”のとき、図6に示したフィルタ構成パラメータとの対応により、タップ数32段、タップ係数C(N)(Nは1以上、33以下の整数。)となる。これらと、現在ディジタルフィルタ107に設定されているタップ数あるいはタップ係数が異なる場合は、この設定をディジタルフィルタ制御信号105のフィルタ構成パラメータとしてディジタルフィルタ107に送出する。このようなディジタルフィルタ制御信号105が入力されたディジタルフィルタ107は、これに従って有効遅延器数、有効乗算器数およびタップ係数を設定する。これにより、図11に示した所望するフィルタ特性241Aを持ったディジタルフィルタ107を構成することができるようになっている。
【0043】
また、送信電力が39dBm以上43dBm未満で多重数が10以上および送信電力が43dBm以上47dBm未満で多重数が10未満の送信信号115の送信信号波形は、図8に示した送信信号波形232Bである。このような送信信号115が送信される場合、図6に示したフィルタ構成パラメータとの対応により、前者の場合はタップ数24段、タップ係数D(N)(Nは1以上、25以下の整数。)となる。また、後者の場合には、ディジタルフィルタ107の設定はタップ数24段、タップ係数E(N)(Nは1以上、25以下の整数。)となる。このようなフィルタ構成パラメータに従って有効遅延器数、有効乗算器数およびタップ係数が設定されたディジタルフィルタ107は、図11に示したフィルタ特性241Bを実現することができる。この場合、必要となるフィルタ特性の急峻さは同程度であるため、タップ数は変わらずタップ係数だけが異なっている。
【0044】
更に、送信電力が39dBm以上43dBm未満で多重数が10未満の送信信号115の送信信号波形は、図8の送信信号波形232Cで示されるものである。このような送信信号115が送信される場合、図6に示したフィルタ構成パラメータとの対応により、ディジタルフィルタ107の設定はタップ数16段、タップ係数F(N)(Nは1以上、17以下の整数。)となる。このようなフィルタ構成パラメータに従って有効遅延器数、有効乗算器数およびタップ係数が設定されたディジタルフィルタ107は、図11に示したフィルタ特性241Cを実現することができる。
【0045】
図12は、運用中のディジタルフィルタの消費電力の変化の一例について表わしたものである。消費電力251は、時系列上の区間252〜254それぞれでディジタルフィルタ107が消費する電力を、区間252を基準として示している。区間252では、送信電力が45dBm、信号の多重数が“16”の状態で送信信号115が移動局100へ送信されている。この場合には、比較情報220(図6)より、ディジタルフィルタ107のタップ数は32段となる。この後の区間253で移動局100が近づき送信する信号量が減ったことにより、送信電力が40dBm、信号の多重数が“2”に変更されると、比較情報220より、ディジタルフィルタ107のタップ数は16段となる。この場合、タップ数の変更が必要なので、ディジタルフィルタ107の設定が変更される。この区間253では、タップ数の減少によりディジタルフィルタ107は区間252と比較して50%の電力を消費するようになる。その後の区間254で送信する信号の多重数は変わらず移動局100が遠ざかることによって、送信信号115の送信電力が45dBmに戻されると、比較情報220より、ディジタルフィルタ107のタップ数は24段となる。これによりディジタルフィルタ107の設定が変更され、この区間254では、ディジタルフィルタ107は区間252と比較して70%の電力を消費するようになる。このように、第1の送信部101の運用中に送信電力と信号の多重数に応じてタップ数を変更することで、ディジタルフィルタ107の消費電力の低減を図ることができる。
【0046】
以上説明したように、第1の実施例ではディジタルフィルタ107構成時に、送信信号115の送信電力に応じたフィルタ減衰量を得るために必要な最小の有効タップ数を作動させるように設定するようになっている。これにより、最大の演算量に固定されたディジタルフィルタと比較して、ディジタルフィルタ107の消費電力とそれに伴う発熱量の低減を図ることができる。また、基地局装置125は4つ備えられた同一構成の第1〜第4の送信部101、126〜128それぞれについて、ディジタルフィルタ107の消費電力の低減を図ることができる。
【0047】
第2の実施例
【0048】
図13は本発明の第2の実施例における無線通信装置の一例として隣接チャネルの使用状況に応じて動作を変化させるフィルタを備えた基地局装置の送信部の構成の要部を表わしたものである。図13で図1と同一の部分には同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。また、本実施例でも第1の実施例の図2を適宜使用するが、第1の実施例における第1の送信部101は第1の送信部101Aと読みかえて使用する。同様に第2〜第4の送信部126〜128はそれぞれ第2〜第4の送信部126A〜128Aと読みかえて使用する。第1の送信部101Aは、第1および第2のディジタルフィルタ107A1、107A2と、第2のディジタルフィルタ107A2をスルーさせるための迂回経路301と、この迂回経路301と第2のディジタルフィルタ107A2とを切り替えるスイッチ3021、3022を備えている。第1のディジタルフィルタ107A1から出力されたベースバンド信号106A1は、迂回経路301あるいは第2のディジタルフィルタ107A2を通過した後、ベースバンド信号106A2として、変調器109に入力される。CPU118からは、これらスイッチ3021、3022を切り替えるためのスイッチ切り替え信号303と、第2のディジタルフィルタ107A2への電力の供給を制御する電力供給制御信号304が送出されるようになっている。また、CPU118は第1あるいは第2のディジタルフィルタ107A1、107A2をそれぞれ対応した第1あるいは第2のディジタルフィルタ制御信号105A1、105A2を使用して制御するようになっている。比較テーブル120には、第1あるいは第2のディジタルフィルタ107A1、107A2にそれぞれ対応した比較情報220(図6)が格納されている。第2の実施例で、ベースバンド信号処理部104は、基地局装置125(図2)が直接隣接する周波数帯を第2〜第4の送信部126A〜128Aに割り当てて使用しているか否かを示す情報を周波数割当部129(同図)から取得するようになっている。したがって、ベースバンド信号処理部104が送出する送信信号情報103には、基地局装置125(図2)が直接隣接する周波数帯を第2〜第4の送信部126A〜128Aに割り当てて使用しているか否かを示す情報が含まれている。CPU118は、図示しない記憶媒体に格納されているプログラムに従って第1の送信部101A内の各種の制御を行うようになっている。CPU118は、第1のディジタルフィルタ107A1に対して、第1の実施例で説明したディジタルフィルタ107へと同様の制御を行うようになっている。また、第2のディジタルフィルタ107A2、スイッチ3021、3022あるいは電源121に対して、送信信号情報103を基にして制御を行うようになっている。これらへの制御については後で詳細に説明を行う。
【0049】
第1のディジタルフィルタ107A1は、第1の実施例で説明したSEMの規格を満たすためのフィルタである。第2のディジタルフィルタ107A2は、送信信号115の周波数帯に隣接するチャネルが使用されている場合に、ノイズとなる周波数成分を規定値以下まで減衰する隣接チャネル用のフィルタである。第1あるいは第2のディジタルフィルタ107A1、107A2の回路構成は、それぞれディジタルフィルタ107(図3)と同様である。一般に隣接するチャネルが使用されている場合の方が減衰に関する規定が厳しくなっており、第2の実施例では隣接チャネルの帯域に漏出する信号レベルを−50dBm以下に減衰するように規定されている。
【0050】
図14は、この第1の送信部から送信する送信信号のキャリアとこれに隣接するチャネルを表わしたものである。この図は、第1の送信部101Aから送信される送信信号115のキャリア311に対して、第2〜第4の送信部126A〜128Aのいずれかに割り当てられた隣接チャネル312、313を示している。第2の実施例では、一例として基地局から移動局へのキャリアは5MHzごとに設けられるようになっている。隣接チャネル312、313に、キャリア311が与える影響は隣接チャネル漏洩電力減衰比(ACLR:Adjacent Channel Leakage power Ratio)と呼ばれている。また、隣接する周波数帯域はACLR帯域、ACLR帯域に漏出する信号レベルはACLR劣化量とそれぞれ呼ばれている。隣接チャネル312、313を使用して信号が送信されている場合、送信信号115はこれらへの影響を抑える必要がある。次に第2の実施例の動作について説明する。
【0051】
図15は、第2の実施例で送信信号情報を受け取ったCPUの処理の流れを表わしたものである。この図では、第2のディジタルフィルタ107A2、スイッチ3021、3022あるいは電源121の制御に注目して処理の流れを表わしている。CPU118は、ベースバンド信号処理部104からの送信信号情報103により、キャリア311に対する下側および上側の周波数の隣接チャネル312、313を基地局装置125の第2〜第4の送信部126A〜128Aのいずれかが使用しているか否かを判別する(ステップS321)。4RF構成のTRX内における第2〜第4の送信部126A〜128Aのいずれかがこれら隣接チャネル312、313のいずれかあるいは双方を使用している場合(Y)には、第2のディジタルフィルタ107A2に対して隣接チャネルに影響を及ぼさないようなフィルタ特性を持たせるためのタップ数およびタップ係数を設定する(ステップS322)。ただし、第1の実施例で示したのと同様に、既に設定されているタップ数およびタップ係数から変更しない場合には、設定を行わない。その後第2のディジタルフィルタ107A2へ電力供給中であるか否かを判別し(ステップS323)、停止している場合(N)には電力供給の開始を指示する電力供給制御信号304を電源121へ送出する(ステップS324)。この後、またはステップS323で電力供給中であった場合(Y)、CPU118はスイッチ3021、3022へ第2のディジタルフィルタ107A2へ切り替えるように指示するスイッチ切り替え信号303を送出(ステップS325)して処理を終了する(エンド)。これにより、送信信号115の隣接チャネル漏洩電力減衰比を隣接チャネル312、313に対して影響を及ぼさないレベルとすることができる。
【0052】
また、ステップS321でCPU118が送信信号情報103から基地局装置125の第2〜第4の送信部126A〜128Aが隣接チャネル312、313の双方が使用していないと判別した場合(ステップS321:N)には、CPU118は、スイッチ3021、3022へ迂回経路301に切り替えるように指示するスイッチ切り替え信号303を送出する(ステップS326)。この後、第2のディジタルフィルタ107A2への電力供給の停止を指示する電力供給制御信号304を電源121へ送出(ステップS327)して処理を終了する(エンド)。
【0053】
このように第2の実施例では、隣接チャネル312、313が共に使用されていない場合には、第2のディジタルフィルタ107A2を使用しないことで演算量を減らすことができる。また、第2のディジタルフィルタ107A2を使用しないときに電源供給を停止することで、第1の送信部101Aの消費電力を抑えることができる。また、第1の実施例で示したSEMの規格を満たすための第1のディジタルフィルタ107A1による消費電力の低減効果を加えることで、更に消費電力の低減を図ることができる。
【0054】
第2の実施例の変形例
【0055】
図16は本発明の第2の実施例の変形例における無線通信装置の一例としての基地局装置の第1の送信部の構成を表わしたものである。図16で図13と同一の部分には同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。第1の送信部101Bは、RF信号112から隣接チャネル312、313(図14)の帯域に相当する周波数成分である隣接チャネル漏洩無線周波数信号401のみを通過させるバンドパスフィルタ402を備えている。また、隣接チャネル漏洩無線周波数信号401を入力してこれを検波した結果を隣接チャネル漏洩電力減衰比情報信号403としてCPU118に送出する検波器404を備えている。第1のディジタルフィルタ107A1から出力されたベースバンド信号106A1は、第2のディジタルフィルタ107A2を通過した後、ベースバンド信号106A2として、変調器109に入力される。比較テーブル120には、隣接チャネル漏洩電力減衰比情報信号403に対応したタップ数およびタップ係数が予め記憶されている。
【0056】
この変形例では、第2の実施例と異なり、検波器404で検波した結果を基にして、第2のディジタルフィルタ107A2にこれを抑圧するためのフィルタ特性を実現させる。CPU118は検波器404から送出された隣接チャネル漏洩電力減衰比情報信号403を基にして、これに対応したタップ数およびタップ係数を含んだ第2のディジタルフィルタ制御信号105A2を第2のディジタルフィルタ107A2に送出する。第2のディジタルフィルタ107A2は、これに応じた遅延器および乗算器を動作させてフィルタ特性を実現するようになっている。
【0057】
このように、隣接チャネル312、313の帯域へ漏出する信号レベルに応じて第2のディジタルフィルタ107A2のフィルタ特性が変化するようになっている。したがって第2のディジタルフィルタ107A2は、隣接チャネル312、313に漏出する信号レベルに応じてフィルタ特性を変化させることで、消費電力の低減を図ることができる。また、第1の送信部101B内のデバイスの経年変化による劣化等によって、隣接チャネル312、313の帯域へ漏出する信号レベルが変化した場合でもこれを抑圧するようにフィルタ特性を変更することができる。
【0058】
以上説明した第1、第2の実施例あるいは第2の実施例の変形例では、ディジタルフィルタ107、107A1、107A2の消費電力とそれに伴う発熱量の低減を図ることができる。これにより基地局装置125の消費電力に基づくランニングコストの低減を図ることができる。更に、デバイスの発熱量が処理速度に影響を及ぼす場合には、処理速度への影響の低減を図ることができる。更に、ディジタルフィルタ107、107A1、107A2を複数使用する場合、それぞれについて同様の効果を得ることが期待できる。
【0059】
また第1、第2の実施例あるいは第2の実施例の変形例で、CPU118はディジタルフィルタ107、107A1、107A2へのディジタルフィルタ制御信号105、105A1、105A2を送出するようになっている。このCPU118は、図示しない記憶媒体に格納されたプログラムに従って制御を行い、入力される送信信号情報103に応じてディジタルフィルタ107、107A1、107A2を自動的に制御することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1〜請求項6記載の発明によれば、フィルタの回路条件を変化させる回路条件設定手段を具備することで、消費電力とそれに伴う発熱量の低減を図ることができるようになっている。これにより、発熱による無線送信装置のデバイスへの負担を低減させることができる。また、これらのデバイスを冷却するような装置を備える場合には、発熱量に応じてこの装置の負荷を変化させることで更に消費電力の低減を図ることができる。また、発熱による影響を低減させることによりデバイスを長寿命化させ、装置の信頼性を高めることが期待できる。
【0061】
また、請求項3記載の発明によれば、隣接周波数帯域に漏出する信号レベルに応じてフィルタの回路条件を変更させることができるようになっている。これにより、送信電力の変化だけではなく送信信号が送出されるまでの間に通過するデバイスによって隣接周波数帯域へ漏出する場合にも対応することができる。
【0062】
更に、請求項4記載の発明によれば、フィルタはディジタルフィルタであり、回路条件であるタップ数によって、通過する演算回路を変化させる回路条件設定手段を具備している。通過しない演算回路は電力を消費しないため、タップ数が減少するほどフィルタの消費電力とそれに伴う発熱量の低減を図ることができる。これにより、無線通信装置の消費電力に基づくランニングコストの低減を図ることができる。また、発熱量による処理速度への影響の低減を図ることができる。更に無線通信装置がこのようなディジタルフィルタを複数使用する場合、それぞれについて同様の効果を得ることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における無線通信装置の一例としての基地局装置の送信部を示したブロック図である。
【図2】複数の送信部が配置された基地局装置の構成を示したブロック図である。
【図3】第1の実施例の送信部に備えられたディジタルフィルタの構成を示したブロック図である。
【図4】冷却器の処理の概要を示した流れ図である。
【図5】ディジタルフィルタの制御に関連してCPUが行う処理の流れを示した流れ図である。
【図6】比較テーブルに格納される比較情報の一例を示した説明図である。
【図7】送信信号の多重数とピーク電力の発生確率との関係についてのシミュレーション値を示した説明図である。
【図8】SEMの規格値の一部を示した説明図である。
【図9】SEMの規格値の他の一部を示した説明図である。
【図10】SEMの規格値と送信信号の波形を示した説明図である。
【図11】図10で示した送信信号それぞれに対応したフィルタ特性を示した説明図である。
【図12】運用中のディジタルフィルタの消費電力の変化の一例について示した説明図である。
【図13】第2の実施例における無線通信装置の一例として隣接チャネルの使用状況に応じて動作を変化させるフィルタを備えた基地局装置の送信部を示したブロック図である。
【図14】周波数帯域でキャリアと隣接チャネルとの関連を単純化して示した説明図である。
【図15】第2の実施例で第2のディジタルフィルタの制御に関連してCPUが行う処理の流れを示した流れ図である。
【図16】第2の実施例の変形例における基地局装置の送信部を示したブロック図である。
【図17】従来の無線通信装置の送信部を示したブロック図である。
【符号の説明】
101、101A、101B 第1の送信部
106 ベースバンド信号処理部
107 ディジタルフィルタ
107A1 第1のディジタルフィルタ
107A2 第2のディジタルフィルタ
109 変調器
111 D/Aコンバータ
113 周波数変換回路
116 可変利得増幅器
117 送信アンテナ
118 CPU
120 比較テーブル
121 電源
122 冷却器
125 基地局装置
129 周波数割当部
1311〜131N 第1〜第Nの遅延器
1321〜132N+1 第1〜第(N+1)の乗算器
133 累積加算器
301 迂回経路
3021、3022 スイッチ
402 バンドパスフィルタ
404 検波器

Claims (6)

  1. 移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるようにこれら移動局に対して送出される送信信号の通過帯域をそれぞれ制限するフィルタと、
    これら各移動局の現在位置に応じて対応する送信信号の送信電力を変化させる送信電力制御手段と、
    移動局に送出する送信電力に応じて送信電力が大きいほど高精度の帯域特性となるように前記フィルタの特性の実現のための回路条件を設定する回路条件設定手段
    とを具備することを特徴とする無線通信装置。
  2. 移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるようにこれら移動局に対して送出される送信信号の通過帯域をそれぞれ制限するフィルタと、
    これら各移動局の現在位置に応じて対応する送信信号の送信電力を変化させる送信電力制御手段と、
    前記送信信号の送出されるそれぞれの移動局ごとに割り当てられた周波数帯に隣接する周波数帯が同時に他の移動局用に使用されるか否かを判別する隣接周波数帯使用有無判別手段と、
    移動局に送出する送信電力と隣接周波数帯使用有無判別手段の判別結果に応じて送信電力が大きく、隣接周波数帯が使用されているときほど高精度の帯域特性となるように前記フィルタの特性の実現のための回路条件を設定する回路条件設定手段
    とを具備することを特徴とする無線通信装置。
  3. 移動局ごとに割り当てられた周波数帯で送信が行われるようにこれら移動局に対して送出される送信信号の通過帯域をそれぞれ制限するフィルタと、
    これらフィルタを通過した後の各送信信号に対してそれぞれ隣接した周波数帯に漏洩した送信信号の信号レベルを検出する検出手段と、
    前記送信信号に対してこの検出手段によって検出された信号レベルが所定の値以下となるように前記フィルタの特性の実現のための回路条件を設定する回路条件設定手段
    とを具備することを特徴とする無線通信装置。
  4. 前記フィルタはディジタルフィルタであり、前記回路条件設定手段はフィルタの精度が高いほどフィルタの送信信号を通過させる演算回路の数を示すタップ数を多く設定することを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の無線通信装置。
  5. 前記回路条件設定手段は隣接した周波数帯に漏洩する送信信号の信号レベルが送信電力が最大のときと同一かこれ以下となるように送信電力に応じて回路条件を設定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  6. 前記隣接周波数帯使用有無判別手段は自装置が隣接する周波数帯を同時に他の移動局用に使用しているか否かを判別することを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
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