JP3821602B2 - 電動送風機 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機軸に固定されて外気を電動機ケース内に吸い込んで中心側から外側に向かって放出する遠心形のインぺラと、該インペラから放出された外気の整流方向を制御するディフューザとを備えた電動送風機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、電気掃除機等には、塵埃等を吸い込むために外気を吸引すると共に、その吸引した外気を利用して電動機を冷却する電動送風機を内蔵したものが知られている。
【０００３】
図５は、一部を省略すると共に軸線を中心として半分を破断した状態の電動送風機１を示す。
【０００４】
図５及び図６において、電動送風機１は、図示上下で分割されたカバー２ａ及びケース２ｂを有する電動機ケース２と、電動機ケース２の中心で回転可能に保持された電動機軸３と、電動機軸３に固定された回転子４と、回転子４に対向するように電動機ケース２に固定された固定子５と、電動機軸３の下端に位置するように電動機ケース２に保持されたブラシユニット６と、電動機軸３の上端に固定されて電動機ケース２の上面中心に形成された開口２ｃから外気を吸引する遠心形のインペラ７と、インペラ７の外側に位置するディフューザ８と、電動機軸３の上端寄りを回転可能に支持すると共にディフューザ８によって整流方向（整流）制御された外気を回転子４に案内するフレーム９とを備えている。
【０００５】
ディフューザ８は、図７に示すように、円盤状の本体８ａの表面から立ち上げられた複数の円弧状のフィン８ｂと、本体８ａの裏面から立ち上げられた複数の円弧状の戻りフィン８ｃとを備えている。
【０００６】
尚、フィン８ｂ及び戻りフィン８ｃは、互いに隣接するもの同士で一部が離間状態で重なっている。また、フィン８ｂは、先端をカバー２ａの裏面に当接させることによって整流方向と交差する断面を隔絶した風路１０ａを形成している。さらに、戻りフィン８ｃは、互いに隣接するもの同士で風路１０ｂを形成している。
【０００７】
風路１０ａはインペラ７によって放出された外気を中心側から外側へと向けて整流し、風路１０ｂは風路１０ａによって案内された外気を外側から中心側へと向けて整流し、この風路１０ｂによって中心側へと整流された外気によって回転子４が冷却される。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィン８ｂを本体８ａの表面から直角に立ち上げた場合、本体８ａとフィン８ｂとで形成される整流方向と交差する角部に滞留が発生し易いものであった。このような滞留は風量や整流の損失となり、吸気効率が低下してしまうという問題が生じていた。
【０００９】
そこで、図５に示すように、フィン８ｂと本体８ａとで形成される整流方向と交差する角部に曲面部８ｄを形成し、風路１０内での整流損失を軽減することが考えられる（特開平７−２３５４４号公報参照）。
【００１０】
しかしながら、このような構成としても、本体８ａの表面側の整流損失は解消されるものの、フィン８ｂの先端とカバー２ａの裏面とで形成される角部は依然として直角であるため、整流損失の解消には至っていなかった。
【００１１】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、外気を案内する際の風路の整流損失を減少して、吸込効率を向上させることができる電動送風機を提供することを目的とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
その目的を達成するため請求項１に記載の発明では、電動機軸に固定されて外気を電動機ケース内に吸い込んで中心側から外側に向かって放出する遠心形インペラと、該インペラから放出された外気の整流方向を複数のフィン体に囲まれた風路によって制御するディフューザとを備えた電動送風機であって、前記フィン体は、前記風路の整流方向と交差する断面四隅のそれぞれに曲面部が形成されると共に、前記電動機軸の軸線方向に沿って分割されたことを要旨とする。
【００１４】
さらに、請求項２に記載の発明では、前記フィン体は、分割された端面同士を凹凸結合としたことを要旨とする。
【００１５】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の電動送風機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【００１６】
図１及び図２において、電動送風機１１は、電動機ケース１２と、電動機ケース１２の中心に位置する電動機軸１３と、電動機軸１３に固定された回転子１４と、回転子１４の外側に位置する固定子１５と、電動機軸１３の一端１３ａ寄りに位置するブラシユニット１６と、電動機軸１３の他端１３ｂ寄りに固定された遠心形のインペラ１７と、インペラ１７の外側に位置するディフューザ１８と、ディフューザ１８を支持するフレーム１９とを備えている。
【００１７】
電動機ケース１２は、図の上下に分割されており、固定子１５の外方に位置する略有底円筒形状のケース１２ａと、インペラ１７及びディフューザ１８を覆うカバー１２ｂとを備えている。ケース１２ａの底部中心には凸部１２ｃが形成されている。また、カバー１２ｂの中心には外気取り入れ用の開口１２ｄが形成されている。
【００１８】
電動機軸１３は、一端１３ａがケース１２ａに軸受２０を介して回転可能に保持されており、他端１３ｂ寄りがフレーム１９に軸受２１を介して回転可能に保持されている。また、一端１３ａの先端は凸部１２ｃに設けられた軸受キャップ２２を介してスラストワッシャ２３に当接している。
【００１９】
回転子１４は、電動機軸１３に固定された鉄心１４ａと、鉄心１４ａに巻設されたコイル１４ｂと、電動機軸１３の他端１３ｂ寄りに固定された整流子１４ｃとを備えている。
【００２０】
固定子１５は、略矩形の固定子鉄心１５ａと、固定子鉄心１５ａ内に保持されたコイルホルダ１５ｂと、コイルホルダ１５ｂに巻設されたコイル１５ｃと、コイル１５ｃに電源を供給するためのコネクタ１５ｄと、ケース１２ａに固定子鉄心１５ａを固定するための脚部１５ｅとを備えている。
【００２１】
ブラシユニット１６は、ネジ２４を介してケース１２ａに固定されたブラケット１６ａと、ブラケット１６ａに装着されたブラシホルダ１６ｂと、ブラシホルダ１６ｂに保持されたカーボンブラシ１６ｃと、カーボンブラシ１６ｃを整流子１４ｃに圧接するコイルスプリング１６ｄと、ブラケット１６ａに外部コネクタ（図示せず）を挿入することによってコネクタ１５ｄとの電気接続を可能とする接点１６ｅとを備えている。
【００２２】
インペラ１７は、開口１２ｄと対向する逆漏斗状の吸込開口１７ａを有する吸込円板１７ｂと、吸込円板１７ｂと対向する固定円板１７ｃと、各円板１７ｂ，１７ｃ間に設けられた複数の円弧状の吸込フィン１７ｄとを備え、一端１３ａに螺合されるナット２５並びに一対のワッシャー２６，２７を介して一端１３ａ固定される。尚、軸受２１とワッシャー２７との間にはスリーブ２８が介在されている。また、フィン１７ｃは、電動機軸１３の回転方向に応じて開口１２ｄ，吸込開口１７を経由して外気を吸い込むと共に吸い込んだ外気を中心側から外側へと案内する。
【００２３】
ディフューザ１８は、図３に示すように、電動機軸１３の軸線方向に沿って２分割されており、ネジ２８によってフレーム１９に固定されたベース１８ａと、ベース１８ａに保持されるリング１８ｂとを備えている。
【００２４】
ベース１８ａは、本体１８ｃと、円盤状の本体１８ｃの表面側周縁部から立ち上げられた複数の円弧状のフィン１８ｄと、本体１８ｃの裏面側周縁部から立ち上げられた複数の円弧状の戻りフィン１８ｅとを備えている。
【００２５】
リング１８ｂは、フィン１８ｄと対を成すように裏面から立ち上げられた複数の円弧状のフィン１８ｆとを備えている。
【００２６】
フィン１８ｄとフィン１８ｆは互いに隣接するもの同士で一部が離間状態で重なっている。また、図４に示すように、フィン１８ｄとフィン１８ｆの端面同士を互いに突き当てることによって、ベース１８ｃの一部とリング１８ｂとで外気の整流方向と交差する断面方向を隔絶した風路２９を形成する。この際、フィン１８ｄとフィン１８ｆの各端面に、互いに係合する凸部１８ｇと凹部１８ｈとを形成することによって、端面同士の突き当ての位置決め並びに整流方向と交差する断面方向に関する風路２９の密閉度を確保することができる。風路２９の整流方向と交差する断面四隅、即ち、フィン１８ｄと本体１８ａ並びにフィン１８ｆとリング１８ｂとで形成される整流方向と交差する各角部には、曲面部１８ｉが形成されている。尚、風路２９を囲む本体１８ａの一部，フィン１８ｄ，フィン１８ｆ，リング１８ｂはフィン体Ｆを構成している。
【００２７】
戻りフィン１８ｆは、互いに隣接するもの同士で一部が離間状態で重なっており、これにより戻り風路３０を形成している。
【００２８】
フィン１８ｄ，１８ｆ並びに戻りフィン１８ｅは、風路２９，３０を中心側から外方に向けて拡開させているが、その整流方向は逆に設定されている。即ち、風路２９はインペラ１７によって放出された外気を中心側から外側へと向けて整流し、風路３０は風路２９によって案内された外気を外側から中心側へと向けて整流する。
【００２９】
フレーム１９は、ネジ３１を介してケース１２ａに固定されており、風路３０に導かれた外気を回転子１４側に導く開口１９ａが形成されている。
【００３０】
上記の構成において、接点１６ｅに接続されたコネクタから電源が供給されると、回転子１４と一体にインペラ１７が回転する。
【００３１】
インペラ１７は、その回転に伴って開口１２ｄから外気を吸い込むと同時に吸込フィン１７ｄの間を経由して放射状に放出する。
【００３２】
インペラ１７に放出された外気は、その放出力によってインペラ１７の外側に位置する風路２９に整流されつつ通過した後、風路３０を経由して回転子１４のコイル１４ｂを冷却する。
【００３３】
この際、風路２９には、整流方向と交差する風路断面４角に曲面部１８ｉが形成されているため、風路２９内を通過する外気の一部によって滞留が発生することが防止され、効率よく整流される。
【００３４】
従って、風路２９内を通過する際の外気に余分な抵抗が発生しないことから、コイル１４ｂの冷却効率並びに開口１２ｄからの吸込効率を向上させることができる。
【００３５】
【発明の効果】
以上説明したように請求項１に記載の電動送風機にあっては、電動機軸に固定されて外気を電動機ケース内に吸い込んで中心側から外側に向かって放出する遠心形インペラと、該インペラから放出された外気の整流方向を複数のフィン体に囲まれた風路によって制御するディフューザとを備えた電動送風機であって、前記フィン体は、前記風路の整流方向と交差する断面四隅のそれぞれに曲面部が形成されると共に、前記電動機軸の軸線方向に沿って分割されたことにより、外気を案内する際の風路の整流損失を減少して、吸込効率を向上させることができる。また、ディフューザの成形を容易に行うことができる。
【００３７】
さらに、請求項２に記載の発明にあっては、前記フィン体は、分割された端面同士を凹凸結合としたことにより、分割した結合部分の外気漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態に係わる電動送風機を示し、一部を省略すると共に軸線を中心として半分を破断した状態の電動送風機の正面図である。
【図２】同じく、電動送風機の分解斜視図である。
【図３】同じく、ディフューザの拡大分解斜視図である。
【図４】同じく、要部の拡大断面図である。
【図５】従来の電動送風機を示し、一部を省略すると共に軸線を中心として半分を破断した状態の電動送風機の正面図である。
【図６】同じく、電動送風機の分解斜視図である。
【図７】同じく、ディフューザの拡大分解斜視図である。
【符号の説明】
１１…電動送風機
１２…電動機ケース
１３…電動機軸
１７…インぺラ
１８…ディフューザ
１８’…フィン体
１８ｉ…曲面部

Claims (2)

1. 電動機軸に固定されて外気を電動機ケース内に吸い込んで中心側から外側に向かって放出する遠心形インペラと、該インペラから放出された外気の整流方向を複数のフィン体に囲まれた風路によって制御するディフューザとを備えた電動送風機であって、
   前記フィン体は、前記風路の整流方向と交差する断面四隅のそれぞれに曲面部が形成されると共に、前記電動機軸の軸線方向に沿って分割されたことを特徴とする電動送風機。
2. 前記フィン体は、分割された端面同士を凹凸結合としたことを特徴とする請求項１に記載の電動送風機。

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