以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1に示すように、本実施形態1に係る冷凍装置(1)は、コンビニエンスストアに設けられ、冷蔵ショーケースおよび冷凍ショーケースの冷却と店内の冷暖房とを行うためのものである。
上記冷凍装置(1)は、室外ユニット(1A)、室内ユニット(1B)、冷蔵ユニット(1C)および冷凍ユニット(1D)を有し、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(1E)を備えている。この冷媒回路(1E)は、室内ユニット(1B)により構成される空調系統と、冷蔵ユニット(1C)および冷凍ユニット(1D)により構成される冷却系統とを備えている。そして、上記冷媒回路(1E)は、冷房サイクルと暖房サイクルとに切り換わるように構成されている。
上記室内ユニット(1B)は、例えば売場などに設置されて店内の冷暖房を行う。また、上記冷蔵ユニット(1C)は、冷蔵用のショーケースに設置されて該ショーケースの庫内空気を冷却する。上記冷凍ユニット(1D)は、冷凍用のショーケースに設置されて該ショーケースの庫内空気を冷却する。
〈室外ユニット〉
上記室外ユニット(1A)は、圧縮機構である3台の圧縮機(2A,2B,2C)と、流路切換手段である3つの四路切換弁(3A,3B,3C)と、熱源側熱交換器である室外熱交換器(4)とを備えている。
上記3台の圧縮機(2A,2B,2C)は、第1圧縮機としてのインバータ圧縮機(2A)と、第2圧縮機としての第1ノンインバータ圧縮機(2B)と、第3圧縮機としての第2ノンインバータ圧縮機(2C)であり、何れも、密閉型の高圧ドーム型スクロール圧縮機で構成されている。上記インバータ圧縮機(2A)は、電動機がインバータ制御されて容量が段階的又は連続的に可変となる可変容量圧縮機である。上記第1ノンインバータ圧縮機(2B)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)は、電動機が常に一定回転数で駆動する定容量圧縮機である。
上記インバータ圧縮機(2A)、第1ノンインバータ圧縮機(2B)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)の各吐出管(5a,5b,5c)は、1つの高圧ガス管(8)に接続され、該高圧ガス管(8)が第1四路切換弁(3A)の第1ポートに接続されている。上記第1ノンインバータ圧縮機(2B)の吐出管(5b)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)の吐出管(5c)には、それぞれ逆止弁(7)が設けられている。なお、上記高圧ガス管(8)には、オイルセパレータ(30)が設けられている。
上記室外熱交換器(4)は、一端であるガス側端部が室外ガス管(9)によって第1四路切換弁(3A)の第3ポートに接続され、他端である液側端部が液ラインである室外液管(10)の一端に接続されている。上記室外液管(10)は、途中に液冷媒を貯留するレシーバ(14)が設けられ、他端が閉鎖弁(20)を介して室外ユニット(1A)の外部に配設された連絡液配管(11)に接続されている。なお、上記室外液管(10)には、レシーバ(14)の上流に該レシーバ(14)へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁(7)が設けられると共に、レシーバ(14)の下流に該レシーバ(14)から閉鎖弁(40)へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁(7)が設けられている。
上記室外熱交換器(4)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成されている。そして、この室外熱交換器(4)には、熱源ファンである2つの室外ファン(F1,F2)が近接して配置されている。
上記第1四路切換弁(3A)の第4ポートは、室外ユニット(1A)の外部に配設された第1連絡ガス配管(17)が閉鎖弁(20)を介して接続され、第2ポートは、接続管(18)によって第2四路切換弁(3B)の第4ポートに接続されている。この第2四路切換弁(3B)の第1ポートは、補助ガス管(19)によって第2ノンインバータ圧縮機(2C)の吐出管(5c)に接続されている。また、上記第2四路切換弁(3B)の第2ポートには、第2ノンインバータ圧縮機(2C)の吸入管(6c)が接続されている。なお、上記第2四路切換弁(3B)の第3ポートは、閉塞された閉塞ポートとなっている。つまり、この第2四路切換弁(3B)は、3つのポートを備えた三路切換弁であってもよい。
上記第1四路切換弁(3A)は、高圧ガス管(8)と室外ガス管(9)とが連通し且つ接続管(18)と第1連絡ガス配管(17)とが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、高圧ガス管(8)と第1連絡ガス配管(17)とが連通し且つ接続管(18)と室外ガス管(9)とが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。また、上記第2四路切換弁(3B)は、補助ガス管(19)と閉鎖ポートとが連通し且つ接続管(18)と第2ノンインバータ圧縮機(2C)の吸入管(6c)とが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、補助ガス管(19)と接続管(18)とが連通し且つ吸入管(6c)と閉鎖ポートとが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。
上記インバータ圧縮機(2A)の吸入管(6a)は、閉鎖弁(20)を介して室外ユニット(1A)の外部に配設された第2連絡ガス配管(15)に接続されている。また、上記第1ノンインバータ圧縮機(2B)の吸入管(6b)は、第3四路切換弁(3C)に接続され、インバータ圧縮機(2A)の吸入管(6a)または第2ノンインバータ圧縮機(2C)の吸入管(6c)に連通するように構成されている。
具体的には、上記インバータ圧縮機(2A)の吸入管(6a)は、分岐管(6d)を介して第3四路切換弁(3C)の第1ポートに接続されている。上記第1ノンインバータ圧縮機(2B)の吸入管(6b)は、第3四路切換弁(3C)の第2ポート(P2)に接続されている。上記第2ノンインバータ圧縮機(2C)の吸入管(6c)は、分岐管(6e)を介して第3四路切換弁(3C)の第3ポート(P3)に接続されている。また、上記第3四路切換弁(3C)の第4ポートは、後述するレシーバ(14)からのガス抜き管(28)の分岐管(28a)が接続されている。そして、上記分岐管(6d,6e)は、逆止弁(7)が1つずつ設けられ、何れも第3四路切換弁(3C)へ向かう冷媒の流れのみを許容する。
上記第3四路切換弁(3C)は、インバータ圧縮機(2A)の吸入管(6a)と第1ノンインバータ圧縮機(2B)の吸入管(6b)とが連通し且つ第2ノンインバータ圧縮機(2C)の吸入管(6c)とガス抜き管(28)とが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、インバータ圧縮機(2A)の吸入管(6a)とガス抜き管(28)とが連通し且つノンインバータ圧縮機(2B,2C)の吸入管(6b,6c)同士が連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。
上記室外液管(10)には、レシーバ(14)とその上流側の逆止弁(7)とをバイパスする補助液管(25)が接続されている。この補助液管(25)に膨張機構である室外膨張弁(26)が設けられている。また、上記室外液管(10)には、逆止弁(7)を有する液分岐管(36)が接続されている。この液分岐管(36)は、一端がレシーバ(14)とその上流側の逆止弁(7)との間に接続され、他端がレシーバ(14)の下流側の逆止弁(7)と閉鎖弁(20)との間に接続されている。そして、上記液分岐管(36)の逆止弁(7)は、レシーバ(14)へ向かう冷媒流れのみを許容するものである。
上記補助液管(25)とインバータ圧縮機(2A)の吸入管(6a)との間には、膨張機構である電子膨張弁(29)を有するリキッドインジェクション管(27)が接続されている。また、上記レシーバ(14)の上部とインバータ圧縮機(2A)の吐出管(5a)との間には、逆止弁(7)を有するガス抜き管(28)が接続されている。このガス抜き管(28)の逆止弁(7)は、分岐管(28a)の接続点とレシーバ(14)との間に設けられ、レシーバ(14)から吐出管(5a)へ向かう冷媒流れのみを許容するものである。
なお、この室外ユニット(1A)において、3台の圧縮機(2A,2B,2C)、2台の室外ファン(F1,F2)、3つの四路切換弁(3A,3B,3C)や室外膨張弁(26)等は、冷凍機器を構成している。
〈室内ユニット〉
上記室内ユニット(1B)は、利用側熱交換器である室内熱交換器(41)と膨張機構である室内膨張弁(42)とを備えている。上記室内熱交換器(41)は、一端であるガス側端部が第1連絡ガス配管(17)に接続され、他端である液側端部が室内膨張弁(42)を介して連絡液配管(11)に接続されている。なお、上記室内熱交換器(41)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、利用側ファンである室内ファン(43)が近接して配置されている。また、上記室内膨張弁(42)は、電動膨張弁により構成されている。また、この室内ユニット(1B)において、室内膨張弁(42)や室内ファン(43)は、冷凍機器を構成している。
〈冷蔵ユニット〉
上記冷蔵ユニット(1C)は、利用側熱交換器である冷蔵熱交換器(45)と、膨張機構である冷蔵膨張弁(46)とを備えている。上記冷蔵熱交換器(45)は、一端である液側端部が冷蔵膨張弁(46)および電磁弁(7a)を順に介して連絡液配管(11)より分岐した第1分岐液配管(12)に接続され、他端であるガス側端部が第2連絡ガス配管(15)に接続されている。上記電磁弁(7a)は、サーモオフ(休止)運転時に冷媒の流れを遮断するために用いられるものである。
上記冷蔵熱交換器(45)は、冷媒の蒸発圧力が室内熱交換器(41)における冷媒の蒸発圧力より低くなる。この結果、上記冷蔵熱交換器(45)の冷媒蒸発温度は例えば−10℃に設定され、室内熱交換器(41)の冷媒蒸発温度は例えば+5℃に設定され、冷媒回路(1E)が異温度蒸発の回路を構成している。
なお、上記冷蔵膨張弁(46)は、感温式膨張弁であって、感温筒が冷蔵熱交換器(45)のガス側に取り付けられている。したがって、この冷蔵膨張弁(46)は、冷蔵熱交換器(45)の出口側の冷媒温度に基づいて開度が調整される。上記冷蔵熱交換器(45)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、利用側ファンである冷蔵ファン(47)が近接して配置されている。また、この冷蔵ユニット(1C)において、冷蔵膨張弁(46)や冷蔵ファン(47)は、冷凍機器を構成している。
〈冷凍ユニット〉
上記冷凍ユニット(1D)は、利用側熱交換器である冷凍熱交換器(51)と膨張機構である冷凍膨張弁(52)と冷凍圧縮機であるブースタ圧縮機(53)とを備えている。上記冷凍熱交換器(51)は、一端である液側端部が冷凍膨張弁(52)および電磁弁(7b)を順に介して第1分岐液配管(12)より分岐した第2分岐液配管(13)に接続され、他端であるガス側端部が接続ガス管(54)を介してブースタ圧縮機(53)の吸込側に接続されている。このブースタ圧縮機(53)の吐出側には、第2連絡ガス配管(15)より分岐した分岐ガス配管(16)が接続されている。この分岐ガス配管(16)には、ブースタ圧縮機(53)側から順にオイルセパレータ(55)および逆止弁(7)が設けられている。この逆止弁(7)は、ブースタ圧縮機(53)から第2連絡ガス配管(15)へ向かう冷媒流れのみを許容するものである。上記オイルセパレータ(55)と接続ガス管(54)との間には、キャピラリチューブ(56)を有する油戻し管(57)が接続されている。
上記ブースタ圧縮機(53)は、冷凍熱交換器(51)の冷媒蒸発温度が冷蔵熱交換器(45)の冷媒蒸発温度より低くなるように室外ユニット(1A)の圧縮機(2A,2B,2C)との間で冷媒を2段圧縮している。上記冷凍熱交換器(51)の冷媒蒸発温度は、例えば−35℃に設定されている。
なお、上記冷凍膨張弁(52)は、感温式膨張弁であって、感温筒が冷凍熱交換器(51)のガス側に取り付けられている。上記冷凍熱交換器(51)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、利用側ファンである冷凍ファン(58)が近接して配置されている。
また、上記接続ガス管(54)と分岐ガス配管(16)における逆止弁(7)の下流側との間には、逆止弁(7)を有するバイパス管(59)が接続されている。このバイパス管(59)は、ブースタ圧縮機(53)の故障等の停止時に冷媒がブースタ圧縮機(53)をバイパスして分岐ガス配管(16)へ向かって流れるように構成されている。上記冷凍ユニット(1D)において、冷凍膨張弁(52)、冷凍ファン(58)やブースタ圧縮機(53)は、冷凍機器を構成している。
〈制御系統〉
上記冷媒回路(1E)には、各種センサおよび各種スイッチが設けられている。上記室外ユニット(1A)の高圧ガス管(8)には、冷媒の高圧圧力を検出する圧力検出手段でる高圧圧力センサ(61)と、冷媒の吐出温度を検出する温度検出手段である吐出温度センサ(62)とが設けられている。上記第2ノンインバータ圧縮機(2C)の吐出管(5c)には、高冷媒の吐出温度を検出する温度検出手段である吐出温度センサ(63)が設けられている。また、上記インバータ圧縮機(2A)、第1ノンインバータ圧縮機(2B)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)の各吐出管(5a,5b,5c)には、冷媒の高圧圧力が所定値になると開く圧力スイッチ(64)が設けられている。
上記インバータ圧縮機(2A)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)の各吸入管(6a,6c)には、冷媒の低圧圧力を検出する圧力検出手段である低圧圧力センサ(65,66)と、冷媒の吸入温度を検出する温度検出手段である吸入温度センサ(67,68)とが設けられている。
上記室外熱交換器(4)には、冷媒の蒸発温度又は凝縮温度を検出する温度検出手段である室外熱交換センサ(69)が設けられている。また、上記室外ユニット(1A)には、外気温度を検出する温度検出手段である外気温センサ(70)が設けられている。
上記室内熱交換器(41)には、冷媒の凝縮温度又は蒸発温度を検出する温度検出手段である室内熱交換センサ(71)が設けられると共に、ガス側にガス冷媒温度を検出する温度検出手段であるガス温センサ(72)が設けられている。また、上記室内ユニット(1B)には、室内空気温度を検出する温度検出手段である室温センサ(73)が設けられている。
上記冷蔵ユニット(1C)には、冷蔵用のショーケース内の庫内温度を検出する温度検出手段である冷蔵温度センサ(74)が設けられている。上記冷凍ユニット(1D)には、冷凍用のショーケース内の庫内温度を検出する温度検出手段である冷凍温度センサ(75)が設けられている。また、ブースタ圧縮機(53)の吐出側には、冷媒の吐出圧力が所定値になると開く圧力スイッチ(64)が設けられている。
上記冷凍装置(1)は、コントローラ(90)を備えている。このコントローラ(90)は、室外膨張弁(26)や室内膨張弁(42)の開度制御を行うと共に、各四路切換弁(3A,3B,3C)の切り換えなどを行うように構成されている。
また、上記コントローラ(80)は、本発明の特徴として、冷凍機器の電源回路(80)を制御するように構成されている。図2に示すように、上記電源回路(80)は、各冷凍機器の電気系統に電力供給するものである。具体的に、電源がブレーカ(遮断器)(81)を介してインバータ圧縮機(2A)や第1室外ファン(F1)などの各冷凍機器の電気系統に接続されている。また、図示しないが、室外膨張弁(26)や各四路切換弁(3A,3B,3C)など他の冷凍機器の電気系統にも電源がブレーカ(遮断器)(81)を介して接続されている。そして、この各電気系統は、それぞれに対応する継電器(82〜86)の閉動作によって通電される。上記ブレーカ(81)は、運転中に各冷凍機器の電気系統に異常が生じると、遮断するように構成されている。
上記コントローラ(90)は、順次起動部(91)と異常処理部(92)と運転移行部(93)とを備え、電気系統の異常によって運転が停止した後の再起動の制御を行う。
上記順次起動部(91)は、電気系統の異常によってブレーカ(81)が遮断した後の再起動時に、各種冷凍機器のうち予め設定した対象の冷凍機器(2A,2B,・・・)を順次起動させる順次起動手段を構成している。つまり、この順次起動部(91)は、対象の冷凍機器(2A,2B,・・・)に対応するそれぞれの継電器(82〜86)を順次閉じて電力供給する。そして、本実施形態では、各種冷凍機器のうち、インバータ圧縮機(2A)、第1ノンインバータ圧縮機(2B)、第2ノンインバータ圧縮機(2C)、第1室外ファン(F1)および第2室外ファン(F2)の5つが対象の冷凍機器(以下、対象機器という。)として設定されている。
上記異常処理部(92)は、順次起動部(91)による順次起動時に電気系統の異常によってブレーカ(81)が遮断すると、異常直前に電力供給した対象機器を順次起動部(91)の対象外とする異常処理手段を構成している。つまり、上記異常処理部(92)は、順次起動時にブレーカ(81)が遮断すると、その遮断する直前に起動させようとした対象機器を故障機器として判別し、順次起動部(91)がその故障機器として判別された対象機器を除いた他の対象機器を再び順次起動させる。
上記運転移行部(93)は、順次起動部(91)の対象機器(2A,2B,・・・)が全て正常に起動すると、異常処理部(92)によって対象外とした対象機器、すなわち故障機器として判別された対象機器を停止させたまま通常運転に移行させる移行手段を構成している。つまり、上記運転移行部(93)は、故障機器として判別された対象機器を除く正常な対象機器(2A,2B,・・・)を起動させることにより運転を再開させる。
−運転動作−
次に、上記冷凍装置(1)の運転動作について説明する。本実施形態では、室内ユニット(1B)の冷房と冷蔵ユニット(1C)および冷凍ユニット(1D)の冷却とを同時に行う「冷房冷凍運転」と、室内ユニット(1B)の暖房と冷蔵ユニット(1C)および冷凍ユニット(1D)の冷却とを同時に行う「暖房冷凍運転」とに切換可能に構成されている。
〈冷房冷凍運転〉
この冷房冷凍運転は、図3に示すように、インバータ圧縮機(2A)、第1ノンインバータ圧縮機(2B)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)を駆動すると共に、ブースタ圧縮機(53)を駆動する。
また、上記第1四路切換弁(3A)、第2四路切換弁(3B)および第3四路切換弁(3C)は、それぞれ第1状態に切り換わる。さらに、上記冷蔵ユニット(1C)および冷凍ユニット(1D)の各電磁弁(7a,7b)が開状態に設定される一方、室外膨張弁(26)は閉状態に設定される。また、上記リキッドインジェクション管(27)の電子膨張弁(29)は、インバータ圧縮機(2A)および第1ノンインバータ圧縮機(2B)の吸入側に所定流量の液冷媒を供給するように開度調節される。
この状態において、インバータ圧縮機(2A)と第1ノンインバータ圧縮機(2B)と第2ノンインバータ圧縮機(2C)から吐出した冷媒は、高圧ガス管(8)で合流し、第1四路切換弁(3A)から室外ガス管(9)を経て室外熱交換器(4)で凝縮する。この凝縮した液冷媒は、室外液管(10)を流れ、レシーバ(14)を経て連絡液配管(11)に流れる。
上記連絡液配管(11)の液冷媒は、一部が第1分岐液配管(12)に分流し、残りが室内ユニット(1B)に流れる。この室内ユニット(1B)では、液冷媒が室内膨張弁(42)を経て室内熱交換器(41)で蒸発し、店内が冷房される。この蒸発したガス冷媒は、第1連絡ガス配管(17)を通って室外ユニット(1A)に流れ、第1四路切換弁(3A)および第2四路切換弁(3B)を経て吸入管(6c)より第2ノンインバータ圧縮機(2C)に戻る。
一方、上記第1分岐液配管(12)に流れた液冷媒は、一部が第2分岐液配管(13)に分流して冷凍ユニット(1D)に流れ、残りが冷蔵ユニット(1C)に流れる。この冷蔵ユニット(1C)では、液冷媒が冷蔵膨張弁(46)を経て冷蔵熱交換器(45)で蒸発し、冷蔵用ショーケースの庫内が冷却される。その後、蒸発したガス冷媒は、第2連絡ガス配管(15)に流れる。上記冷凍ユニット(1D)では、液冷媒が冷凍膨張弁(52)を経て冷凍熱交換器(51)で蒸発し、冷凍用ショーケースの庫内が冷却される。この蒸発したガス冷媒は、ブースタ圧縮機(53)で圧縮された後、分岐ガス配管(16)を通って第2連絡ガス配管(15)で冷蔵ユニット(1C)からのガス冷媒と合流する。上記第2連絡ガス配管(15)で合流したガス冷媒は、室外ユニット(1A)に流れて吸入管(6a,6b)よりインバータ圧縮機(2A)と第1ノンインバータ圧縮機(2B)に戻る。
〈暖房冷凍運転〉
この暖房冷凍運転は、図4に示すように、インバータ圧縮機(2A)、第1ノンインバータ圧縮機(2B)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)を駆動すると共に、ブースタ圧縮機(53)を駆動する。
また、上記第1四路切換弁(3A)は第2状態に切り換わり、第2四路切換弁(3B)および第3四路切換弁(3C)は第1状態に切り換わる。さらに、上記冷蔵ユニット(1C)および冷凍ユニット(1D)の各電磁弁(7a,7b)が開状態に設定される一方、室内膨張弁(42)が全開状態に設定されている。なお、上記リキッドインジェクション管(27)の電子膨張弁(29)は所定開度に制御され、冷媒流量を調整している。
この状態において、インバータ圧縮機(2A)と第1ノンインバータ圧縮機(2B)と第2ノンインバータ圧縮機(2C)から吐出した冷媒は、第1四路切換弁(3A)から第1連絡ガス配管(17)を通って室内ユニット(1B)に流れる。この室内ユニット(1B)では、液冷媒が室内熱交換器(41)で凝縮し、店内が暖房される。この凝縮した液冷媒は、連絡液配管(11)に流れ、一部が第1分岐液配管(12)に分流し、残りが室外ユニット(1A)に流れる。この室内ユニット(1B)に流れた液冷媒は、液分岐管(36)を流れてレシーバ(14)に流入した後、室外膨張弁(26)を経て室外熱交換器(4)で蒸発する。この蒸発したガス冷媒は、室外ガス管(9)を流れ、第1四路切換弁(3A)および第2四路切換弁(3B)を経て吸入管(6c)より第2ノンインバータ圧縮機(2C)に戻る。
一方、上記第1分岐液配管(12)に流れた液冷媒は、一部が第2分岐液配管(13)より冷凍ユニット(1D)に流れ、残りが冷蔵ユニット(1C)に流れる。上記冷蔵ユニット(1C)では、液冷媒が冷蔵熱交換器(45)で蒸発し、冷蔵用ショーケースの庫内が冷却される。上記冷凍ユニット(1D)では、液冷媒が冷凍熱交換器(51)で蒸発して冷凍用ショーケースの庫内が冷却され、蒸発したガス冷媒がブースタ圧縮機(53)で圧縮される。そして、上記冷蔵ユニット(1C)および冷凍ユニット(1D)で蒸発したガス冷媒は、第2連絡ガス配管(15)で合流して室外ユニット(1A)に流れ、インバータ圧縮機(2A)および第1ノンインバータ圧縮機(2B)に戻る。
〈運転再開時の制御〉
次に、上述した運転中に、対象機器(2A,2B,・・・)の電気系統に漏電や短絡などの異常が発生することによりブレーカ(81)が遮断し、運転が異常停止した場合の運転再開時の制御について説明する。上記ブレーカ(81)が遮断して運転停止になると、図5に示すように、コントローラ(90)の制御がスタートする。なお、上記ブレーカ(81)が遮断すると、対象機器(2A,2B,・・・)に対応する全ての継電器(82〜86)が開く。
先ず、ステップST1において、作業者等によって電源回路(80)のブレーカ(81)がONされて通電状態になると、ステップST2へ移行する。このステップST2では、コントローラ(90)の順次起動部(91)によって対象機器(2A,2B,・・・)の台数が認定される。つまり、上記インバータ圧縮機(2A)、第1ノンインバータ圧縮機(2B)、第2ノンインバータ圧縮機(2C)、第1室外ファン(F1)および第2室外ファン(F2)の5台が対象機器の台数(N=5)として認定される。
上記ステップST3では、順次起動部(91)がインバータ圧縮機(2A)の起動指示を出す。つまり、本実施形態では、順次起動部(91)がインバータ圧縮機(2A)を1番目(n=1)として、第1ノンインバータ圧縮機(2B)を2番目(n=2)として、第2ノンインバータ圧縮機(2C)を3番目(n=3)として、第1室外ファン(F1)を4番目(n=4)として、第2室外ファン(F2)を5番目(n=5)として、その順番に起動指示を出すように予め設定されている。そして、このステップST3では、インバータ圧縮機(2A)の起動指示が出ると、所定時間T1(例えば、0.3秒)の間に「故障フラグ」がONする。
次に、上記ステップST4では、ステップST3においてインバータ圧縮機(2A)の起動指示が出てから所定時間T2(例えば、1.0秒)が経過すると、順次起動部(91)によって電源回路(80)の第1継電器(82)を閉じてインバータ圧縮機(2A)への通電が開始され、ステップST5へ移行する。
上記ステップST5では、インバータ圧縮機(2A)が正常に起動したか否かが判定される。具体的には、図6に示すように、インバータ圧縮機(2A)が通電開始から所定時間T3(例えば、10.0秒)の間連続して駆動すると、正常に起動したと判定されてステップST7へ移行する。なお、この場合、通電開始から所定時間T3が経過すると、順次起動部(91)により第1継電器(82)が開いて通電が停止される。一方、例えば、図7に示すように、インバータ圧縮機(2A)が通電開始後一旦起動するが電気系統の異常によりブレーカ(81)が再び遮断して所定時間T3が経過するまでに停止すると、正常に起動していないと判定され、ステップST6へ移行する。なお、このステップST5では、上記図7に示した場合だけでなく、通電開始から所定時間T3の間に亘って停止した場合、または所定時間T3の途中に一旦起動して停止した場合も正常に起動していないと判定される。すなわち、上記ステップST5では、通電開始から所定時間T3の間に一時でも停止すれば、正常に起動していないと判定される。
上記ステップST6では、異常処理部(92)がインバータ圧縮機(2A)を順次起動部(91)の対象外とし、その「故障フラグ」がONのまま残る。すなわち、このステップST6において、インバータ圧縮機(2A)が故障機器として判別される。このインバータ圧縮機(2A)が故障機器として判別されると、ステップST1へ戻り、ブレーカ(81)が再びONされる。そして、ステップST2において、対象機器の台数が4台(N=5−1)と再認定される。つまり、このステップST2では、インバータ圧縮機(2A)に代えて第1ノンインバータ圧縮機(2B)が1番目(n=1)として再設定され、ステップST3へ移行する。
上記ステップST3では、順次起動部(91)が再び対象機器へ順次起動指示を出す。具体的に、上記順次起動部(91)は、対象外となったインバータ圧縮機(2A)を省いて、1番目(n=1)である第1ノンインバータ圧縮機(2B)の起動指示を出す。その後は、上述と同様にステップST4以降へ順次移行する。
一方、上記ステップST5からステップST7へ移行すると、インバータ圧縮機(2A)が正常な機器として判別され、その「故障フラグ」がOFFし、ステップST8へ移行する。このステップST8では、インバータ圧縮機(2A)が最終番の対象機器(2A,2B,・・・)であるか否かが、つまり、この場合、5番目(n=N)であるか否かが判定される。そして、最終番でないと判定されると、ステップST3へ戻り、最終番であると判定されると、ステップST9へ移行する。
上記ステップST3では、順次起動部(91)が2番目(n=2)である第1ノンインバータ圧縮機(2B)の起動指示を出し、第1ノンインバータ圧縮機(2B)の「故障フラグ」がONする。その後は、上述と同様にステップST4以降へ順次移行する。
このように、本発明の制御では、対象機器(2A,2B,・・・)を順次起動させて故障機器であるか否かを順に判別し、一旦故障機器を判別すると、その故障機器を除いた他の対象機器(2A,2B,・・・)を再び順次起動させる。ここで、例えば、インバータ圧縮機(2A)が正常な機器として、次に第1ノンインバータ圧縮機(2B)が故障機器として、次に第2ノンインバータ圧縮機(2C)が正常な機器として、次に第1室外ファン(F1)が故障機器として順次判別された場合を考える。
この場合、ステップST6において、第1室外ファン(F1)が順次起動部(91)の対象外とされて「故障フラグ」がONのまま残り、ステップST1へ戻ってブレーカ(81)が再びONされる。次に、ステップST2において、対象機器の台数がN=4−1=3台(インバータ圧縮機(2A)、第2ノンインバータ圧縮機(2C)および第2室外ファン(F2))と再認定される。そして、ステップST3において、順次起動部(91)が再認定した3台の対象機器に対して起動指示を順次出す。
つまり、先ず、上記順次起動部(91)が1番目(n=1)であるインバータ圧縮機(2A)の起動指示を出すと、ステップST4以降へ順次移行し、ステップST8において、インバータ圧縮機(2A)は最終番(n=1≠N)でないと判定され、ステップST3へ戻る。このステップST3では、順次起動部(91)が対象外の第1ノンインバータ圧縮機(2B)を省いて、2番目(n=2)である第2ノンインバータ圧縮機(2C)の起動指示を出す。その後、ステップST4以降へ順次移行し、ステップST8において、第2ノンインバータ圧縮機(2C)は最終番(n=2≠N)でないと判定され、ステップST3へ戻る。次に、このステップST3では、順次起動部(91)が対象外の第1室外ファン(F1)を省いて、3番目(n=3)である第2室外ファン(F2)の起動指示を出す。その後、ステップST5およびステップST7へと移行して第2室外ファン(F2)が正常な機器として判別されると、ステップST8へ移行する。そして、このステップST8において、第2室外ファン(F2)は最終番(n=N=3)であると判定されると、運転移行部(93)によってステップST9へ移行する。
なお、上記第2室外ファン(F2)がステップST5およびステップST6へと移行して故障機器と判別された場合は、ステップST1へ戻り、インバータ圧縮機(2A)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)の2台が順次起動部(91)の対象として順次起動され、最終的にステップST9へ移行することになる。
上記第2室外ファン(F2)が最終番であると判定されてステップST9へ移行すると、運転移行部(93)によって通常運転が再開される。具体的に、ブレーカ(81)が再びONされると、「故障フラグ」がONのまま残った第1ノンインバータ圧縮機(2B)および第1室外ファン(F1)を除く、インバータ圧縮機(2A)、第2ノンインバータ圧縮機(2C)および第2室外ファン(F2)が運転移行部(93)によって順次起動されて、通常運転が再開される。
例えば、上記冷房冷凍運転が再開された場合、第1ノンインバータ圧縮機(2B)が停止しているので、冷蔵ユニット(1C)および冷凍ユニット(1D)の冷却能力が低下し、さらに第1室外ファン(F1)が停止しているので、室外熱交換器(4)における熱交換量が低下することになるが、少なくとも確実に運転を再開(再起動)させることができる。
−実施形態の効果−
以上説明したように、本実施形態によれば、冷凍機器における電気系統の異常によりブレーカ(81)が遮断して運転が異常停止すると、予め対象機器として設定した各圧縮機(2A,2B,2C)および各室外ファン(F1,F2)に順次起動させ、この起動時に再び電気系統の異常によりブレーカ(81)が遮断すると、その遮断直前に電力供給した対象機器を起動させないようにしたため、対象機器(2A,2B,・・・)の中から電気系統に異常が生じた故障機器を確実に判別することができる。
さらに、順次起動させた対象機器(2A,2B,・・・)が全て正常に起動すると、故障機器として判別された機器を停止させたまま通常運転に移行させるようにしたので、再び電気系統の異常によりブレーカ(81)が遮断して通常運転が異常停止するのを回避することができる。したがって、故障機器に対応する各種能力が発揮されなくなるが、少なくとも買う実に運転を再開(再起動)させることができる。
また、故障機器として判別されると、その故障機器に対応する「故障フラグ」をONさせたまま維持するようにしたので、その故障機器を対象機器(2A,2B,・・・)から確実に除外するすることができる。したがって、通常運転への移行を確実に行うことができる。
また、上記対象機器(2A,2B,・・・)として、3台の圧縮機(2A,2B,2C)と2台の室外ファン(F1,F2)を設定するようにしたので、そのうちの幾つかが電気系統の異常により起動不能になっても、少なくとも正常な圧縮機(2A,2B,2C)や室外ファン(F1,F2)を起動させることができるので、確実に運転を再開させることができる。
《発明の実施形態2》
本実施形態2に係る冷凍装置(1)は、通常運転の開始時に常に対象機器(2A,2B,・・・)の故障を判別しながら起動させるようにしたものである。つまり、上記実施形態1では、漏電等の電気系統の異常によって運転が停止した際の再起動時に対象機器(2A,2B,・・・)の故障を判別し、その故障機器を除いて通常運転を再開させるようにした。これに対し、本実施形態は、通常運転の開始時に、対象機器(2A,2B,・・・)の故障を判別するが、正常であると判別された対象機器(2A,2B,・・・)が必要台数に達した時点で故障判別を終了し、そのまま通常運転へ移行する起動制御を行うようにしたものである。
具体的には、通常運転の開始時に、圧縮機(2A,2B,2C)の起動制御とファン(F1,F2)の起動制御とがほぼ同じタイミングで個別に行われる。なお、圧縮機(2A,2B,2C)とファン(F1,F2)の起動制御が同様であるため、主として圧縮機(2A,2B,2C)の起動制御について説明する。
図8に示すように、先ず、ステップST11において、作業者等が電源回路(80)のブレーカ(81)をONすると通電状態になり、ステップST12へ移行する。このステップST12では、コントローラ(90)の順次起動部(91)によって対象機器である圧縮機(2A,2B,2C)の台数がN=3台と認定される。なお、ファン(F1,F2)の起動制御の場合、対象機器であるファン(F1,F2)の台数がN=2台と認定される。
続いて、ステップST13では、この通常運転における圧縮機(2A,2B,2C)の必要台数C台が認定され、ステップST14へ移行する。この必要台数は、運転条件に応じて定められるもので、本実施形態ではC=2台と仮定する。なお、ファン(F1,F2)の起動制御の場合、ステップST13においてファン(F1,F2)の必要台数F台(例えば、F=1台)が認定される。
次に、ステップST14からステップST16へは、上記実施形態1におけるステップST3からステップST5と同様の処理がされて移行する。すなわち、ステップST14では、順次起動部(91)によって1番目(n=1)であるインバータ圧縮機(2A)へ起動指示が出され、「故障フラグ」がONする。なお、本実施形態においても、インバータ圧縮機(2A)、第1ノンインバータ圧縮機(2B)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)の順に起動指示が出るように予め設定されている。ステップST15では、順次起動部(91)によって電源回路(80)の第1継電器(82)が閉じられてインバータ圧縮機(2A)への通電が開始される。そして、ステップST16において、ブレーカ(81)が遮断してインバータ圧縮機(2A)が正常に起動していないと判定されると、ステップST17へ移行し、インバータ圧縮機(2A)が正常に起動したと判定されると、ステップST18へ移行する。
上記ステップST17では、上記実施形態1と同様に、異常処理部(92)がインバータ圧縮機(2A)を故障機器として判別して順次起動部(91)の対象外とし、その「故障フラグ」がONのまま残る。このインバータ圧縮機(2A)が故障機器として判別されると、ステップST11へ戻り、ブレーカ(81)が再びONされる。そして、ステップST12において、圧縮機(2A,2B,2C)の対象台数が2台(N=3−1)と再認定される。つまり、このステップST12では、インバータ圧縮機(2A)に代えて第1ノンインバータ圧縮機(2B)が1番目(n=1)として再設定され、ステップST13へ移行する。このステップST13では、圧縮機(2A,2B,2C)の必要台数(C=2台)が変更されていないことを確認してステップST14へ移行する。
このステップST14では、順次起動部(91)が再び対象となる圧縮機(2A,2B,2C)へ順次起動指示を出す。具体的に、上記順次起動部(91)は、対象外となったインバータ圧縮機(2A)を省いて、1番目(n=1)である第1ノンインバータ圧縮機(2B)の起動指示を出す。その後は、上述と同様にステップST15以降へ順次移行する。
一方、上記ステップST16からステップST18へ移行すると、インバータ圧縮機(2A)が正常な機器として判別されて、そのままインバータ圧縮機(2A)の運転が継続され、ステップST19へ移行する。その際、インバータ圧縮機(2A)の「故障フラグ」がOFFする。つまり、本実施形態では、上記実施形態1とは異なり、正常であると判別された対象機器について通電を停止せずに継続して運転させる。
上記ステップST19では、現時点において起動している圧縮機(2A,2B,2C)の台数がステップST13で認定された必要台数(C=2台)に達したか否かが判定される。そして、圧縮機(2A,2B,2C)の起動台数が必要台数に未達であると判定されると、ステップST14へ戻り、圧縮機(2A,2B,2C)の起動台数が必要台数に達したと判定されると、圧縮機(2A,2B,2C)の起動制御が終了する。上記の場合、インバータ圧縮機(2A)の1台のみが起動しているので、圧縮機(2A,2B,2C)の起動台数が必要台数の2台に未達であると判定され、ステップST14へ戻ることになる。なお、ファン(F1,F2)の起動制御の場合、ステップST19では、現時点において起動しているファン(F1,F2)の台数がステップST13で認定された必要台数(例えば、F=1台)に達したか否かが判定される。そして、起動台数が必要台数に達すれば、ファン(F1,F2)の起動制御が終了する。
続いて、上記ステップST14では、順次起動部(91)が2番目(n=2)である第1ノンインバータ圧縮機(2B)の起動指示を出し、その後、上述と同様にステップST15以降へ順次移行する。そして、ステップST18において、第1ノンインバータ圧縮機(2B)が正常であると判別されて運転し続けた場合、この時点で、インバータ圧縮機(2A)および第1ノンインバータ圧縮機(2B)の2台が起動していることになる。したがって、ステップST19において、圧縮機(2A,2B,2C)の起動台数が必要台数の2台に達したと判定されて、圧縮機(2A,2B,2C)の起動制御が終了する。
また、上記とは異なり、ステップST17において第1ノンインバータ圧縮機(2B)が故障機器として順次起動部(91)の対象外となった場合、ステップST11へ戻ってブレーカ(81)が再びONされ、ステップST12でにおいて圧縮機(2A,2B,2C)の対象台数が2台(N=3−1)と再認定される。つまり、このステップST12では、第1ノンインバータ圧縮機(2B)に代えて第2ノンインバータ圧縮機(2C)が2番目(n=2)として再設定される。そして、ステップST13で圧縮機(2A,2B,2C)の必要台数(C=2台)が再確認される。続いて、ステップST14において、順次起動部(91)が再び1番目(n=1)であるインバータ圧縮機(2A)の起動指示を出し、ステップST15以降へ移行する。このインバータ圧縮機(2A)は正常に起動し続けるが、ステップST19で圧縮機(2A,2B,2C)の起動台数が必要台数の2台に未達であると判定され、ステップST14へ戻る。ステップST14では、順次起動部(91)が2番目(n=2)である第2ノンインバータ圧縮機(2C)の起動指示を出し、ステップST15以降へ移行する。そして、ステップST18において、第2ノンインバータ圧縮機(2C)が正常であると判別されて運転し続けた場合、この時点で、インバータ圧縮機(2A)および第2ノンインバータ圧縮機(2C)の2台が起動していることになる。したがって、ステップST19において、圧縮機(2A,2B,2C)の起動台数が必要台数の2台に達したと判定されて、圧縮機(2A,2B,2C)の起動制御が終了する。
この実施形態2では、圧縮機(2A,2B,2C)の起動制御およびファン(F1,F2)の起動制御の双方が終了すると、運転移行部(93)によって通常運転がそのまま継続される。
以上のように、本実施形態によれば、上記実施形態1と同様に、対象機器である各圧縮機(2A,2B,2C)や各室外ファン(F1,F2)を順次起動させ、この起動時に再び電気系統の異常によりブレーカ(81)が遮断すると、その遮断直前に電力供給した対象機器を起動させないようにしたため、対象機器(2A,2B,・・・)の中から電気系統に異常が生じた故障機器を確実に判別することができる。
また、本実施形態によれば、上記実施形態1のように常に圧縮機(2A,2B,2C)およびファン(F1,F2)の全台数について故障判定を行うのではなく、正常な機器が必要台数に達したと判定された時点で故障判定を止める。これにより、必要冷凍能力に応じた台数の冷凍機器だけを確実に起動させることができる。したがって、運転に不要な機器まで故障判定を行わなくてもすむので、通常運転の開始時間を短縮することができる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
《その他の実施形態》
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記各実施形態では、順次起動部(91)の対象機器として、各圧縮機(2A,2B,2C)および各室外ファン(F1,F2)を設定したが、これらにブースタ圧縮機(53)や各四路切換弁(3A,3B,3C)などを加えるようにしてもよいし、各圧縮機(2A,2B,2C)または各室外ファン(F1,F2)のみを対象機器としてしてもよい。
また、上記室内ファン(43)や冷蔵ファン(47)などの利用側ファンを複数設けて、これら利用側ファンを順次起動部(91)の対象機器として設定するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、室外ユニット(1A)に3台の圧縮機(2A,2B,2C)を設けるようにしたが、何れか1台を省略してもよいことは勿論である。
また、上記各実施形態は、各ユニット(1B,1C,1D)を1台ずつ設けるようにしたが、本発明は、それぞれのユニット(1B,1C,1D)を複数台設けるようにしてもよいことは勿論である。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。