冷凍サイクル装置の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
(1)全体構成
冷凍サイクル装置の第1実施形態に係る空調装置1Aの全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、空調装置1Aの概略構成図である。
空調装置1Aは、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを利用して、空調対象空間の、冷房及び暖房を行う装置である。ただし、本開示の冷凍サイクル装置は、空調装置に限定されない。本開示の冷凍サイクル装置は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを利用し、第1運転と、第2運転とを切り換えて実行可能な装置であればよい。第1運転は、冷媒回路10を後述する正サイクル状態として行う運転であり、利用熱交換器31を凝縮器(放熱器)として用いる運転である。第2運転は、冷媒回路10を後述する逆サイクル状態として行う運転であり、利用熱交換器31を蒸発器として用いる運転である。
限定するものではないが、本実施形態では、空調装置1Aが利用する冷媒は、例えばR32等のフルオロカーボン系の冷媒である。
空調装置1Aは、図1のように、熱源ユニット2と、利用ユニット3と、冷媒連絡管41,42と、を主に有する。本実施形態では、空調装置1Aは、利用ユニット3を1台だけ有する。空調装置1Aは、互いに並列に接続される複数の利用ユニット3を有してもよい。
冷媒連絡管41,42は、熱源ユニット2と利用ユニット3とを接続する配管である。冷媒連絡管41,42は、液冷媒連絡管41と、ガス冷媒連絡管42と、を含む。冷媒連絡管41,42は、空調装置1Aの設置の際に、設置現場で施工される配管である。熱源ユニット2と利用ユニット3とが、液冷媒連絡管41及びガス冷媒連絡管42を介して接続されることで、空調装置1Aの冷媒回路10が構成される。冷媒回路10は、熱源ユニット2の圧縮機21、切換機構22、熱源熱交換器23、及び膨張弁24と、利用ユニット3の利用熱交換器31と、を主に含む。
熱源ユニット2は、圧縮機21の吸入側に接続される吸入配管10aと、圧縮機21の吐出側に接続される吐出配管10bと、を接続するバイパス路80を備える。バイパス路80は、冷媒回路10とは別の経路で、吸入配管10aと吐出配管10bとを接続する。具体的には、バイパス路80は、熱源熱交換器23、膨張弁24及び利用熱交換器31を介さず、吸入配管10aと吐出配管10bとを接続する。また、熱源ユニット2は、バイパス路80に配置される開閉弁82を備える。
空調装置1Aは、少なくとも冷房運転と、暖房運転と、デフロスト運転と、油戻し運転と、を実行可能である。冷房運転は、空調対象空間の空気を冷却する運転である。暖房運転は、空調対象空間の空気を加熱する運転である。デフロスト運転は、暖房運転の際に熱源熱交換器23に付着した霜の除去を主目的とする運転である。デフロスト運転は、暖房運転を中断し、一時的に冷媒回路10における冷媒の流れ方向を暖房運転の際と逆方向に変更して行う運転である。油戻し運転は、圧縮機21から冷媒回路10に流出した潤滑油を、圧縮機21へと戻すために行われる運転である。暖房運転の際に行われる油戻し運転は、暖房運転を中断し、一時的に冷媒回路10における冷媒の流れ方向を暖房運転の際と逆方向に変更して行う運転である。
(2)詳細構成
空調装置1Aの詳細構成について、図1に加え、図2を更に参照しながら説明する。図2は、空調装置1Aの制御ブロック図である。
(2-1)利用ユニット
利用ユニット3は、例えば、空調対象空間内に設置されている。例えば、利用ユニット3は、空調対象空間の天井に設置される天井埋込型のユニットである。利用ユニット3のタイプは、天井埋込型に限定されるものではなく、天井吊下型、壁掛型、床置型のユニットであってもよい。また、利用ユニット3は、空調対象空間とは異なる空間に配置されてもよく、利用ユニット3で冷却又は加熱された空気がダクト等で空調対象空間に供給されてもよい。
利用ユニット3は、図1のように、利用熱交換器31と、第1ファン32と、第1制御部62と、を主に有する。利用ユニット3は、図1のように、利用熱交換器31の液側端と液冷媒連絡管41とを接続する液冷媒配管33と、利用熱交換器31のガス側端とガス冷媒連絡管42とを接続するガス冷媒配管34と、を有する。
利用熱交換器31は、構造を限定するものではないが、例えば、伝熱管(図示省略)と多数のフィン(図示省略)とにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。利用熱交換器31では、利用熱交換器31を流れる冷媒と空調対象空間の空気との間で熱交換が行われる。
利用熱交換器31は、冷房運転の際には蒸発器として機能する。利用熱交換器31は、暖房運転の際には凝縮器として機能する。利用熱交換器31には、利用熱交換器31を流れる冷媒の温度を測定する利用熱交温度センサ75が設けられている。利用熱交温度センサ75は、例えばサーミスタである。
第1ファン32は、利用ユニット3内に空気を吸入して利用熱交換器31に供給し、利用熱交換器31において冷媒と熱交換した空気を空調対象空間へと供給する。第1ファン32は、例えばターボファンやシロッコファン等の遠心ファンである。ただし、第1ファン32のタイプは、遠心ファンに限定されるものではなく、適宜選択されればよい。第1ファン32は、ファンモータ32aによって駆動される。ファンモータ32aの回転数は、インバータにより制御可能である。
第1制御部62は、利用ユニット3を構成する各部の動作を制御する。
第1制御部62は、利用ユニット3の有するファンモータ32a等の機器に電気的に接続されている。また、第1制御部62は、利用ユニット3に設けられている各種センサと、通信可能に接続されている。利用ユニット3に設けられている各種センサには、利用熱交換器の温度を計測する利用熱交温度センサ75や、空調対象空間の温度を計測する温度センサ(図示省略)を含む。第1制御部62は、CPUやメモリを含むマイクロコンピュータや、入出力装置等を有する(図示省略)。第1制御部62は、CPUが、メモリに記憶されているプログラムを実行することで、利用ユニット3を構成する各部の動作を制御する。なお、第1制御部62は、全ての制御をソフトウェアで実現する必要はなく、一部又は全部の制御を各種の制御回路を用いてハードウェアにより実現してもよい。
第1制御部62は、図示しない空調装置1Aの操作用のリモコンから送信される、空調装置1Aの運転信号、停止信号、運転モードの変更信号を含む各種制御信号を受信可能に構成されている。また、第1制御部62は、通信回線を介し、熱源ユニット2の第2制御部61との間で各種信号等のやりとりを行う。第1制御部62及び第2制御部61は、協働してコントローラ60として機能する。コントローラ60の機能については後述する。
(2-2)熱源ユニット
熱源ユニット2は、設置場所を限定するものではないが、例えば、空調装置1Aの設置される建物の屋上や機械室、建物の周辺等に設置される。
熱源ユニット2は、図1のように、圧縮機21、切換機構22、熱源熱交換器23、膨張弁24、アキュムレータ25、第2ファン26、液閉鎖弁27、ガス閉鎖弁28、開閉弁82、逆止弁84、及び第2制御部61を主に含む。また、熱源ユニット2は、吸入温度センサ71、吐出温度センサ72、熱源熱交温度センサ73、及び液管温度センサ74を含む各種センサを有する。
熱源ユニット2は、図1のように、吸入配管10aと、吐出配管10bと、第1ガス冷媒配管10cと、液冷媒配管10dと、第2ガス冷媒配管10eと、バイパス路80と、を含む。吸入配管10aは、切換機構22と圧縮機21の吸入端とを接続する。吸入配管10aには、圧縮機に吸入される冷媒の温度を測定する吸入温度センサ71が設けられている。吐出配管10bは、圧縮機21の吐出端と切換機構22とを接続する。吐出配管10bには、圧縮機から吐出される冷媒の温度を測定する吐出温度センサ72が設けられている。また、吐出配管10bには、逆止弁84が設けられている。第1ガス冷媒配管10cは、切換機構22と熱源熱交換器23のガス側端とを接続する。液冷媒配管10dは、熱源熱交換器23の液側端と液冷媒連絡管41とを接続する。液冷媒配管10dの液冷媒連絡管41との接続部には、液閉鎖弁27が設けられている。液冷媒配管10dには、膨張弁24が設けられている。液冷媒配管10dの、膨張弁24と液閉鎖弁27との間には、液管温度センサ74が設けられている。第2ガス冷媒配管10eは、切換機構22とガス冷媒連絡管42とを接続する。第2ガス冷媒配管10eのガス冷媒連絡管42との接続部には、ガス閉鎖弁28が設けられている。液閉鎖弁27及びガス閉鎖弁28は、手動で開閉される弁である。空調装置1Aの運転時には、液閉鎖弁27及びガス閉鎖弁28は開けられている。バイパス路80は、吸入配管10aと吐出配管10bとを接続する。より具体的には、バイパス路80は、吸入配管10aの第1部分10aaと、吐出配管10bの第1部分10baと、を接続する。吸入配管10aの第1部分10aaは、吸入配管10aの切換機構22とアキュムレータ25とを接続する部分である。吐出配管10bの第1部分10baは、吐出配管10bの圧縮機21と逆止弁84とを接続する部分である。バイパス路80には、開閉弁82が設けられている。また、バイパス路80には、好ましくはキャピラリ81が設けられている。
以下に、熱源ユニット2の構成について更に説明する。
(2-2-1)圧縮機
圧縮機21は、圧縮機構21aで冷媒を圧縮して吐出する機器である。圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を、圧縮機構21aで冷凍サイクルにおける高圧にまで加圧する。圧縮機21は、タイプを限定するものではないが、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積圧縮機である。圧縮機21の圧縮機構21aは、圧縮機モータ21bにより駆動される(図1参照)。圧縮機モータ21bの回転数は、インバータにより制御可能である。なお、圧縮機21の圧縮機構21aは、モータ以外の原動機(例えば内燃機関)で駆動されてもよい。
(2-2-2)切換機構
切換機構22は、圧縮機21が吐出する冷媒の流向を切り換えて、冷媒回路10における冷媒の流れ方向を切り換える機構である。本実施形態では、切換機構22は四路切換弁である。
空調装置1Aは、切換機構22により冷媒の流向を切り換えて、冷媒回路10における冷媒の流れ状態を、正サイクル状態と、逆サイクル状態と、の間で切り換える。正サイクル状態は、冷媒が、冷媒回路10を、圧縮機21、利用熱交換器31、膨張弁24、熱源熱交換器23の順に流れる状態である。逆サイクル状態は、冷媒が、冷媒回路10を、圧縮機21、熱源熱交換器23、膨張弁24、利用熱交換器31の順に流れる状態である。暖房運転の際には、正サイクル状態で空調装置1Aが運転される。冷房運転、デフロスト運転、及び暖房運転中の油戻し運転の際には、逆サイクル状態で空調装置1Aが運転される。暖房運転は、第1運転の例である。また、冷房運転、デフロスト運転、暖房運転中の油戻し運転は、第2運転の例である。
切換機構22は、冷媒回路10における冷媒の流れ状態を逆サイクル状態に変更する際には、図1中の切換機構22内の実線のように、吸入配管10aを第2ガス冷媒配管10eと連通させ、吐出配管10bを第1ガス冷媒配管10cと連通させる。切換機構22がこのように冷媒配管を接続する結果、圧縮機21が吐出する冷媒は、冷媒回路10内を、熱源熱交換器23、膨張弁24、利用熱交換器31、の順に流れ、圧縮機21の吸入端へと戻る。冷媒回路10における冷媒の流れ状態が逆サイクル状態にある時には、熱源熱交換器23は凝縮器として機能し、利用熱交換器31は蒸発器として機能する。
切換機構22は、冷媒回路10における冷媒の流れ状態を正サイクル状態に変更する際には、図1中の切換機構22内の破線のように、吸入配管10aを第1ガス冷媒配管10cと連通させ、吐出配管10bを第2ガス冷媒配管10eと連通させる。切換機構22がこのように冷媒配管を接続する結果、圧縮機21が吐出する冷媒は、冷媒回路10内を、利用熱交換器31、膨張弁24、熱源熱交換器23、の順に流れ、圧縮機21の吸入端へと戻る。冷媒回路10における冷媒の流れ状態が正サイクル状態にある時には、利用熱交換器31は凝縮器として機能し、熱源熱交換器23は蒸発器として機能する。
本実施形態では、切換機構22は、暖房通電、冷房非通電で用いられる。
なお、切換機構22に対する通電、具体的には切換機構22としての四路切換弁のバルブスライド(図示省略)を駆動するアクチュエータ(図示省略)に対する通電には、弁体の位置の切り換えのための電力供給と、弁体の位置の保持のための電力供給と、がある。弁体の位置の切り換えの際にアクチュエータに印加する切換用電圧と、弁体の位置の切り換え後に弁体の位置を保持する際にアクチュエータに印加する保持用電圧と、は異なる電圧である。切換用電圧は、保持用電圧より大きな電圧である。本明細書で説明する通電は、保持用電圧の印加のことを意味する。
暖房通電及び冷房非通電について、具体的に説明する。本空調装置1Aでは、冷媒回路10の冷媒流れ状態を正サイクル状態として空調装置1Aを運転する際(第1運転の際)、切換機構22の四路切換弁のバルブスライドを駆動するアクチュエータに電力が供給される(暖房通電)。一方、冷媒回路10の冷媒流れ状態を逆サイクル状態として空調装置1Aを運転する際(第2運転の際)、切換機構22のアクチュエータに電力が供給されない(冷房非通電)。
そのため以下のような状況が起こり得る。空調装置1Aの運転停止時に冷媒回路10の冷媒流れ状態が正サイクル状態にあり、かつ低圧流路と高圧流路との間に所定の圧力差が存在する場合、切換機構22に何らかの原因で電力が供給されなくなると、冷媒回路10の冷媒流れ状態は、正サイクル状態から逆サイクル状態に切り換わる。一方、空調装置1Aの運転停止時に冷媒回路10の冷媒流れ状態が逆サイクル状態にあり、かつ低圧流路と高圧流路との間に所定の圧力差が存在する場合、切換機構22への電力供給が遮断されたとしても、冷媒回路10の冷媒流れ状態は逆サイクル状態から正サイクル状態へ切り換わらない。なお、ここで低圧流路とは、圧縮機21の吸入側とつながる切換機構22の流路を意味する。また、高圧流路とは、圧縮機21の吐出側とつながる切換機構22の流路を意味する。
本実施形態では、切換機構22が冷房非通電で利用されることで、以下の利点がある。
空調装置1Aの熱源ユニット2と利用ユニット3とが設置される際、熱源ユニット2は、液閉鎖弁27及びガス閉鎖弁28が閉鎖された状態で設置場所に搬入される。熱源ユニット2と利用ユニット3との設置後に、熱源ユニット2と利用ユニット3との間が冷媒連絡管41,42で接続された後、液閉鎖弁27及びガス閉鎖弁28が開かれて、空調装置1Aが試運転モードで運転される。試運転モードは、閉鎖弁27,28を開く等の施工作業が適切に行われていることや、空調装置1Aが適切に動作すること等を確認するために、空調装置1Aの設置時等に実行される運転モードである。
しかし、空調装置1Aの設置作業者が、試運転の際に、液閉鎖弁27やガス閉鎖弁28を開け忘れる可能性がある。
ここでは切換機構22は冷房非通電で用いられるため、試運転のために空調装置1Aを起動するとき、冷媒回路10における冷媒の流れ状態は、切換機構22により逆サイクル状態に切り換えられている。言い換えれば、吐出配管10bは、第1ガス冷媒配管10cと接続されている。また、空調装置1Aの試運転モードは、通常、冷媒回路10における冷媒の流れ状態を逆サイクル状態として行われる運転モードである。圧縮機21と液閉鎖弁27との間には、熱源熱交換器23が存在するため、圧縮機21と液閉鎖弁27との間の冷媒の流れる空間の容量は比較的大きい。そのため、空調装置1Aの試運転時に、仮に、液閉鎖弁27が誤って閉められた状態にあったとしても、圧縮機21の吐出側の圧力が異常上昇して圧縮機21が損傷する不具合、が発生しにくい。
(2-2-3)熱源熱交換器
熱源熱交換器23は、構造を限定するものではないが、例えば、伝熱管(図示省略)と多数のフィン(図示省略)とにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。熱源熱交換器23では、熱源熱交換器23を流れる冷媒と熱源空気との間で熱交換が行われる。
熱源熱交換器23は、冷房運転の際には凝縮器として機能する。熱源熱交換器23は、暖房運転の際には蒸発器として機能する。
(2-2-4)膨張弁
膨張弁24は、冷媒の流量の調節等に用いられる開度調節が可能な電子膨張弁である。
膨張弁24は、液冷媒配管10dに設けられている。膨張弁24は、熱源熱交換器23から利用熱交換器31に向かって流れる冷媒、又は、利用熱交換器31から熱源熱交換器23に向かって流れる冷媒を減圧する。
また、膨張弁24は、後述するように、冷媒回路10内に存在する圧力差の低減する際にも用いられる。
(2-2-5)アキュムレータ
アキュムレータ25は、流入する冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分ける気液分離機能を有する容器である。アキュムレータ25は、図1のように、吸入配管10aに設けられる。言い換えれば、アキュムレータ25は、図1のように、冷媒の流れ方向における圧縮機21の上流側に配置される。アキュムレータ25に流入する冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とに分かれ、上部空間に集まるガス冷媒が圧縮機21へと流入する。
(2-2-6)第2ファン
第2ファン26は、熱源ユニット2内に熱源空気を吸入して熱源熱交換器23に供給し、熱源熱交換器23において冷媒と熱交換した空気を熱源ユニット2外に排出するファンである。
第2ファン26は、例えばプロペラファン等の軸流ファンである。ただし、第2ファン26のタイプは、軸流ファンに限定されるものではなく、適宜選択されればよい。第2ファン26は、ファンモータ26aによって駆動される。ファンモータ26aの回転数は、インバータにより制御可能である。
(2-2-7)開閉弁
開閉弁82は、バイパス路80に設けられている。開閉弁82は、開状態と閉状態と切換可能な電磁弁である。ただし、これに限定されるものではなく、開閉弁82は、開度調整が可能な弁であってもよい。
開閉弁82は、主に冷媒回路10内の圧力差を低減する際に利用される。具体的には、開閉弁82は、圧縮機21の吸入側と圧縮機21の吐出側との圧力差を低減する際に用いられる。
(2-2-8)逆止弁
冷媒回路10には、逆止弁84が含まれる。逆止弁84は、吐出配管10bに配置される。逆止弁84は、吐出配管10bを、切換機構22から圧縮機21へと向かう冷媒の流れを妨げる。一方、逆止弁84は、吐出配管10bを、圧縮機21から切換機構22へと向かう冷媒の流れは許容する。
(2-2-9)センサ
熱源ユニット2は、吸入温度センサ71,吐出温度センサ72、熱源熱交温度センサ73、及び液管温度センサ74を含む各種センサを有する。吸入温度センサ71,吐出温度センサ72、熱源熱交温度センサ73、及び液管温度センサ74は、例えばサーミスタである。吸入温度センサ71は、圧縮機21に吸入される冷媒の温度(吸入温度)を測定する。吐出温度センサ72は、圧縮機21が吐出する冷媒の温度(吐出温度)を測定する。熱源熱交温度センサ73は、熱源熱交換器23を流れる冷媒の温度を測定する。液管温度センサ74は、液冷媒配管10dを流れる冷媒の温度を計測する。
(2-2-10)第2制御部
第2制御部61は、熱源ユニット2を構成する各部の動作を制御する。
第2制御部61は、圧縮機モータ21b、切換機構22、膨張弁24、開閉弁82、及びファンモータ26aを含む、熱源ユニット2の有する各種機器に電気的に接続されている。また、第2制御部61は、熱源ユニット2に設けられている各種センサと、通信可能に接続されている。熱源ユニット2に設けられている各種センサには、温度センサ71~74を含む。第2制御部61は、CPUやメモリを含むマイクロコンピュータや、入出力装置等を有する(図示省略)。第2制御部61は、CPUが、メモリに記憶されているプログラムを実行することで、熱源ユニット2を構成する各部の動作を制御する。なお、第2制御部61は、全ての制御をソフトウェアで実現する必要はなく、一部又は全部の制御を各種の制御回路を用いてハードウェアにより実現してもよい。
第2制御部61は、通信回線を介し、利用ユニット3の第1制御部62との間で各種信号等のやりとりを行う。第2制御部61及び第1制御部62は、協働してコントローラ60として機能する。コントローラ60の機能については後述する。
(2-3)コントローラ
本実施形態では、熱源ユニット2の第2制御部61と、利用ユニット3の第1制御部62と、が協働することで、空調装置1Aの動作を制御するコントローラ60として機能する。例えば、第2制御部61のCPUが空調装置1Aの制御用のプログラムを実行し、第1制御部62のCPUが空調装置1Aの制御用のプログラムを実行することで、コントローラ60は空調装置1Aの動作を制御する。ただし、コントローラ60としての一部又は全部の機能は、制御回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
なお、空調装置1Aは、第2制御部61及び第1制御部62に加えて、以下で説明する機能の一部又は全部を実現する、図示しない制御装置を有してもよい。また、空調装置1Aは、第2制御部61及び第1制御部62に代えて、以下で説明する機能の全部を実現する、図示しない制御装置を有してもよい。ここでの制御装置は、熱源ユニット2及び利用ユニット3とは別に設けられる装置を意味する。
コントローラ60は、図2に示されているように、吸入温度センサ71、吐出温度センサ72、熱源熱交温度センサ73、液管温度センサ74、及び利用熱交温度センサ75と通信可能に接続されている。コントローラ60は、これらの温度センサ71~75の送信する計測信号を受信する。コントローラ60は、圧縮機モータ21b、切換機構22、膨張弁24、ファンモータ26a、及びファンモータ32aと電気的に接続されている。コントローラ60は、空調装置1Aの制御用リモコンが送信する制御信号や、温度センサ71~75を含むセンサの計測信号に基づき、圧縮機モータ21b、切換機構22、膨張弁24、開閉弁82、ファンモータ26a、及びファンモータ32aを含む空調装置1Aの機器の動作を制御する。
コントローラ60は、空調装置1Aの各種機器を制御して、空調装置1Aに冷房運転、暖房運転、デフロスト運転、油戻し運転等を実行させる。
(3)空調装置の運転
空調装置1Aの冷房運転の際の動作、暖房運転の際の動作、デフロスト運転の際の動作について説明する。デフロスト運転の際の動作については、暖房運転を中断しデフロスト運転を開始する際の空調装置1Aの動作、デフロスト運転を終了し暖房運転を再開する際の空調装置1Aの動作についても合わせて説明する。
なお、運転目的は異なるが、暖房運転中の油戻し運転の際の空調装置1Aの動作は、暖房運転中のデフロスト運転の際の空調装置1Aの動作と同様である。ここでは暖房運転中の油戻し運転の際の空調装置1Aの動作については説明を省略する。
(3-1)冷房運転
空調装置1Aのリモコンからの指示等によって冷房運転の開始の指示がなされると、コントローラ60は、切換機構22が図1の実線で示された状態になるように切換機構22を制御する。本実施形態では、上記のように切換機構22が冷房非通電で用いられる。そのため、冷房運転の際には、切換機構22のアクチュエータに電力が供給されない。
空調装置1Aが冷房運転を開始する際、バイパス路80に設けられている開閉弁82は閉じられている。
コントローラ60は、冷房運転を開始する際、初めに起動制御を行う。起動制御として、コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を、所定の最低回転数から開始し目標回転数へと段階的に上昇させる。また、起動制御として、コントローラ60は、圧縮機モータ21bの回転数の上昇に応じて、膨張弁24の開度を次第に大きくする。
空調装置1Aの運転開始前に、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が正サイクル状態である場合、圧縮機21の吐出側と吸入側との圧力差が所定値以上となると、切換機構22内のバルブスライド(図示せず)が駆動され、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が逆サイクル状態に切り換わる。一方、空調装置1Aの運転開始前に、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が逆サイクル状態である場合には、特に切換機構22は動作しない。
コントローラ60は、起動制御の終了後、通常制御を開始する。コントローラ60は、空調負荷に応じ、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を所定の回転数に制御する。また、コントローラ60は、各種センサの計測値や、空調装置1Aのリモコンからの指示等に基づいて、ファンモータ26a、ファンモータ32a、膨張弁24等の動作を制御する。
冷房運転の際の冷媒回路10内の冷媒の流れを説明する。
冷房運転の際には、冷媒回路10内の低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮され、高圧のガス冷媒となる。圧縮機21で圧縮されたガス冷媒は、切換機構22を通じて熱源熱交換器23に送られる。熱源熱交換器23に送られた高圧のガス冷媒は、凝縮器として機能する熱源熱交換器23において、第2ファン26によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されて凝縮し、高圧の液冷媒となる。熱源熱交換器23で凝縮した液冷媒は、膨張弁24で減圧されて膨張し、液閉鎖弁27及び液冷媒連絡管41を通じて、利用ユニット3に送られる。利用ユニット3に送られた冷媒は、利用熱交換器31に送られる。利用熱交換器31に送られた冷媒は、蒸発器として機能する利用熱交換器31において、第1ファン32によって供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発し、低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管42を通じ、利用ユニット3から熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた低圧のガス冷媒は、ガス閉鎖弁28及び切換機構22を通じて、圧縮機21に再び吸入される。
次に、冷房運転の停止の際の、空調装置1Aの動作について、図3を参照しながら説明する。図3は、空調装置1Aの冷房運転及び暖房運転の停止時の圧縮機21、膨張弁24及び開閉弁82の動作のタイミングチャートの例である。なお、図3は、空調装置1Aの冷房運転及び暖房運転の停止時の、圧縮機21、膨張弁24、及び開閉弁82の動作の概略を説明することを意図したものである。特記無き場合、図3に描画されている、時間の長さの割合や、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数変更の態様や、膨張弁24の開度変更の態様は、本開示を限定するものではない。
リモコンから冷房運転の停止が指示されたり、空調対象空間の温度が目標に達して冷房運転が不要になったりすると、コントローラ60は、冷房運転の通常制御を中止し、冷房運転の停止制御を行う。具体的には、コントローラ60は、圧縮機モータ21bの回転数を次第に低減し、最終的には圧縮機モータ21bを停止する(図3参照)。また、コントローラ60は、圧縮機モータ21bの回転数の低下に合わせて膨張弁24の開度を小さくする。好ましくは、コントローラ60は、最終的に膨張弁24を閉じる(図3参照)。コントローラ60は、圧縮機21の運転を停止し、膨張弁24を閉じると、または開度を所定開度まで下げると、閉じていた開閉弁82を開く第1制御を行う(図3参照)。開閉弁82が開かれることで、吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとが連通し、吐出配管10bから吸入配管10aへとバイパス路80を通過して冷媒が流れ、吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとの圧力差が小さくなる。この際、好ましくは、吐出配管10bの第1部分10baの圧力と吸入配管10aの圧力とが等しくなるよう、吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとの均圧が図られる。その後、所定のタイミングで開閉弁82は閉じられる。
このように吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとの圧力差の低減が図られることで、吸入側と吐出側との間に大きな圧力差がある状態で圧縮機21が起動されることに伴う、圧縮機21の起動不良等の不具合が抑制されやすい。
なお、冷房運転の停止の際、膨張弁24の開度は所定開度に低減されている。好ましくは、冷房運転の停止の際、膨張弁24は閉じられている。そのため、冷房運転の停止の際に、液冷媒連絡管41を通って熱源ユニット2に向かう液冷媒の流れが抑制される。その結果、冷房運転を再開するために空調装置1Aを再起動する際の、圧縮機21への液冷媒の流入が抑制されやすい。
(3-2)暖房運転
空調装置1Aのリモコンからの指示等によって暖房運転の開始の指示がなされると、コントローラ60は、切換機構22が図1の破線で示された状態になるように切換機構22を制御する。本実施形態では、上記のように切換機構22が暖房通電で用いられる。そのため、暖房運転の際には、切換機構22のアクチュエータに電力が供給される。
空調装置1Aが暖房運転を開始する際、バイパス路80に設けられている開閉弁82は閉じられている。
コントローラ60は、暖房運転を開始する際、初めに起動制御を行う。起動制御として、コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を、所定の最低回転数から開始し目標回転数へと段階的に上昇させる。また、起動制御として、コントローラ60は、圧縮機モータ21bの回転数の上昇に合わせ、膨張弁24の開度を次第に大きくする。
空調装置1Aの運転開始前に、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が逆サイクル状態である場合、圧縮機21の吐出側と吸入側との圧力差が所定値以上となると、切換機構22内のバルブスライド(図示せず)が駆動され、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が正サイクル状態に切り換わる。一方、空調装置1Aの運転開始前に、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が正サイクル状態である場合には、特に切換機構22は動作しない。
コントローラ60は、起動制御の終了後、通常制御を開始する。コントローラ60は、空調負荷に応じ、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を所定の回転数に制御する。また、コントローラ60は、各種センサの計測値や、空調装置1Aのリモコンからの指示等に基づいて、ファンモータ26a、ファンモータ32a、膨張弁24等の動作を制御する。
暖房運転の際の冷媒回路10内の冷媒の流れを説明する。
暖房運転の際には、冷媒回路10内の低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮され、高圧のガス冷媒となる。圧縮機21で圧縮されたガス冷媒は、切換機構22、ガス閉鎖弁28及びガス冷媒連絡管42を通じて、熱源ユニット2から利用ユニット3に送られる。利用ユニット3に送られた高圧のガス冷媒は、利用熱交換器31に送られる。利用熱交換器31に送られた高圧のガス冷媒は、凝縮器として機能する利用熱交換器31において、第1ファン32によって供給される室内空気と熱交換を行って冷却されて凝縮し、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管41を通じて、利用ユニット3から熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた冷媒は、膨張弁24に送られ、膨張弁24によって減圧されて、熱源熱交換器23に送られる。熱源熱交換器23に送られた冷媒は、蒸発器として機能する熱源熱交換器23において、第2ファン26によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発して、低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、切換機構22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
次に、暖房運転の停止の際の、空調装置1Aの動作について、図3を参照しながら説明する。
リモコンから暖房運転の停止が指示されたり、空調対象空間の温度が目標に達して暖房運転が不要になったりすると、コントローラ60は、暖房運転の通常制御を中止し、暖房運転の停止制御を行う。具体的には、コントローラ60は、圧縮機モータ21bの回転数を次第に低減し、最終的には圧縮機モータ21bを停止する(図3参照)。また、コントローラ60は、圧縮機モータ21bの回転数の低下に合わせて膨張弁24の開度を小さくする。好ましくは、コントローラ60は、最終的に膨張弁24を閉じる(図3参照)。コントローラ60は、圧縮機21の運転を停止し、膨張弁24を閉じると、または開度を所定開度まで下げると、閉じていた開閉弁82を開く第1制御を行う(図3参照)。開閉弁82が開かれることで、吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとが連通し、吐出配管10bから吸入配管10aへとバイパス路80を通過して冷媒が流れ、吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとの圧力差の低減が図られる。この際、好ましくは、吐出配管10bの第1部分10baにおける圧力と吸入配管10aにおける圧力とが等しくなるよう、吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとの均圧が図られる。その後、所定のタイミングで開閉弁82は閉じられる。
このように吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとの圧力差の低減が図られることで、吸入側と吐出側との間に大きな圧力差がある状態で圧縮機21が起動されることに伴う、圧縮機21の起動不良等の不具合が抑制されやすい。
仮に、開閉弁82を利用せずに、膨張弁24の開度を最大開度OPmaxや最大開度OPmaxに近い開度として冷媒回路10内の圧力差の低減を行ったとすれば、利用ユニット3側から熱源ユニット2側へと液冷媒連絡管41を通って冷媒が流れる。暖房運転は、通常、気温が低い場合に行われる。そのため、主に膨張弁24を開くことで冷媒回路10内の圧力差の低減を行う場合、利用ユニット3側から流れてくる冷媒は、低気温の影響で、空調装置1Aの停止中に、室内空間より気温が低い室外空間に設置される、熱源熱交換器23や第1ガス冷媒配管10c、液冷媒配管10d等に液冷媒として溜まりやすい。この状態で、空調装置1Aが暖房運転を再開すると、圧縮機21に液冷媒が流入するおそれがある。
しかし、本空調装置1Aでは、暖房運転の停止の際、膨張弁24の開度は所定開度に低減されている。好ましくは、暖房運転の停止の際、膨張弁24は閉じられている。そして、本空調装置1Aでは、暖房運転の停止の際、主にバイパス路80で圧力差の低減が行われる。そのため、暖房運転の停止の際に液冷媒連絡管41を通って熱源ユニット2に向かう液冷媒の流れが抑制される。その結果、暖房運転を再開するために空調装置1Aを再起動する際の、圧縮機21への液冷媒の流入が抑制されやすい。
(3-3)デフロスト運転
コントローラ60は、暖房運転の際にデフロスト開始条件が成立したと判断すると、暖房運転を中断してデフロスト運転を開始し、その後にデフロスト終了条件が成立したと判断すると、デフロスト運転を終了して暖房運転に復帰する。具体的には、コントローラ60は、暖房運転の際にデフロスト開始条件が成立したと判断すると、暖房運転を中断し、切換機構22を制御して冷媒回路10の冷媒流れ状態を正サイクル状態から逆サイクル状態に切り換えてデフロスト運転を開始する。また、コントローラ60は、デフロスト運転の際にデフロスト終了条件が成立したと判断すると、デフロスト運転を終了し、切換機構22を制御して冷媒回路10の冷媒流れ状態を逆サイクル状態から正サイクル状態に切り換えて暖房運転を行う。要するに、コントローラ60は、暖房運転の際にデフロスト開始条件が成立したと判断すると第1運転を第2運転に切り換えるように切換機構22を制御する。そして、コントローラ60は、デフロスト運転の際にデフロスト終了条件が成立したと判断すると第2運転を第1運転に切り換えるように切換機構22を制御する。
なお、ここでのデフロスト開始条件は、例えば熱源熱交温度センサ73の計測する温度が所定のデフロスト開始温度以下になることや、暖房運転の継続時間が所定時間を経過することである。また、ここでのデフロスト終了条件は、例えば熱源熱交温度センサ73の計測する温度が所定のデフロスト終了温度以上になることや、デフロスト運転の継続時間が所定時間を経過することである。
コントローラ60によるデフロスト運転時及びその前後の空調装置1Aの動作の制御について、図4のタイムチャートを参照しながら説明する。図4は、空調装置1Aのデフロスト運転時の圧縮機21、膨張弁24、開閉弁82、及び切換機構22の動作のタイミングチャートの例である。なお、図4は、デフロスト運転中及びその前後の、圧縮機21、膨張弁24、開閉弁82及び切換機構22の動作の概略を説明することを意図したものである。特記無き場合、図4に描画されている、時間の長さの割合や、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数変更の態様や、膨張弁24の開度変更の態様は、本開示を限定するものではない。
コントローラ60は、暖房運転時にデフロスト開始条件が成立したと判断すると、空調装置1Aの各種機器の暖房運転用の制御を中断し、各種機器にデフロスト運転の準備のための動作を実行させる(図4中のデフロスト前制御参照)。例えば、コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を所定の回転数まで段階的に低減する。コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を段階的に低減し、最終的に圧縮機21を一旦停止してもよい。また、コントローラ60は、膨張弁24の開度を所定の態様で制御する。例えば、コントローラ60は、圧縮機モータ21bの回転数の低減に合わせて、膨張弁24の開度を小さくする。コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を所定の回転数まで低減した後、または、圧縮機21を停止した後、冷媒回路10内の圧力差の低減を図るため、膨張弁24の開度を所定の開度に開く(図3中のT1参照)。圧力差の低減が図られることで、切換機構22の作動に伴う騒音を低減できる。好ましくは、コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を所定の回転数まで低減した後、または、圧縮機21を停止した後、冷媒回路10内の膨張弁24の開度を最大開度OPmaxに開く。最大開度OPmaxは、膨張弁24が取り得る最大の開度である。ただし、コントローラ60は、冷媒回路10内の膨張弁24の開度を最大開度OPmaxより小さな所定の開度に調節してもよい。
その後、コントローラ60は、所定のタイミングで、切換機構22を制御して、冷媒回路10の冷媒の流れ状態を正サイクル状態から逆サイクル状態に切り換える。言い換えれば、コントローラ60は、切換機構22を制御して、空調装置1Aの運転モードを第1運転から第2運転に切り換える。
デフロスト運転の際、コントローラ60は、圧縮機21が所定の回転数で運転され、膨張弁24が所定の開度に調節されるように、圧縮機21及び膨張弁24を制御する(図4中のデフロスト運転を参照)。例えば、コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を最大回転数に制御し、その後次第に低減する。また、コントローラ60は、膨張弁24の開度を、例えば最大開度OPmaxに調節する。コントローラ60は、デフロスト運転の際、膨張弁24の開度を最大開度OPmaxに調節した後、そのまま最大開度OPmaxで維持してもよいし、図4のように、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数の低減に合わせて次第に開度を低減してもよい。
そして、コントローラ60は、デフロスト終了条件が成立すると、デフロスト運転の終了を決定する。そして、コントローラ60は、デフロスト運転の終了を決定すると、圧縮機21の回転数を所定の回転数まで減少させる。好ましくは、コントローラ60は、デフロスト運転の終了を決定すると、暖房運転を再開する前に圧縮機21を一旦停止させる(図4中のデフロスト後制御参照)。コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を所定の回転数まで低減した後、または、圧縮機21を停止した後、冷媒回路10内の圧力差の低減を図るため、膨張弁24の開度を所定の開度に開く(図4中のT2参照)。圧力差の低減が図られることで、切換機構22の作動に伴う騒音を低減できる。好ましくは、コントローラ60は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を所定の回転数まで低減した後、または、圧縮機21を停止した後、冷媒回路10内の膨張弁24の開度を最大開度OPmaxに開く。デフロスト運転中、膨張弁24の開度が最大開度OPmaxで維持されている場合、膨張弁24の開度はそのまま最大開度OPmaxで維持されればよい。また、コントローラ60は、冷媒回路10内の膨張弁24の開度を、最大開度OPmaxより小さな所定の開度に調節してもよい。
その後、コントローラ60は、所定のタイミングで、切換機構22を制御して、冷媒回路10の冷媒の流れ状態を逆サイクル状態から正サイクル状態に切り換える。言い換えれば、コントローラ60は、切換機構22を制御して、空調装置1Aの運転モード第2運転から第1運転に切り換える。
その後、コントローラ60は、暖房運転の開始の際と同様の制御を行う。要するに、コントローラ60は、前述の暖房運転の際の起動制御を行い、その後に暖房運転の際の通常制御を行う。暖房運転の起動制御及び通常制御については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
以上説明したように、本空調装置1Aでは、デフロスト運転や、暖房運転中の油戻し運転の際、第1運転から第2運転に切り換える際に、また、第2運転から第1運転に切り換える際に、膨張弁24を開いて圧縮機21の吸入側と吐出側との圧力差の低減を行う。そのため、本空調装置1Aでは、デフロスト運転や、暖房運転の油戻し運転の際、特に圧縮機21を一旦停止する場合に、第1運転と第2運転との切り換えを比較的短時間で実行できる。具体的には、例えば、バイパス路80を用いて(膨張弁24を開かずに)圧力差の低減を図る場合には圧力差の低減に要する時間が2~3分程度要するのに対し、膨張弁24を開いて圧力差の低減を図る場合には圧力差の低減に要する時間を数十秒程度とすることができる。そのため、本空調装置1Aでは、暖房運転の中断時間を短縮することが可能である。
また、本空調装置1Aでは、デフロスト運転や、暖房運転中の油戻し運転の際に、膨張弁24を開くことで圧縮機21の吸入側と吐出側との圧力差が低減されるため、切換機構22の作動時の騒音の発生が抑制される。
(4)空調装置の特徴
空調装置1Aの特徴について説明する。
(4-1)
本実施形態の空調装置1Aは、冷媒回路10と、バイパス路80と、開閉弁82と、コントローラ60と、を備える。冷媒回路10は、圧縮機21、熱源熱交換器23、膨張弁24、利用熱交換器31、及び切換機構22を含む。バイパス路80は、圧縮機21の吸入側に接続される吸入配管10aと、圧縮機21の吐出側に接続される吐出配管10bとを、熱源熱交換器23、膨張弁24及び利用熱交換器31を介さずに接続する。開閉弁82は、バイパス路80に配置される。コントローラ60は、圧縮機21、膨張弁24、切換機構22、及び開閉弁82の動作を制御する。切換機構22は、正サイクル状態と、逆サイクル状態と、を切り換える。正サイクル状態は、冷媒が、冷媒回路10を、圧縮機21、利用熱交換器31、膨張弁24、熱源熱交換器23の順に流れる状態である。逆サイクル状態は、冷媒が、冷媒回路10を、圧縮機21、熱源熱交換器23、膨張弁24、利用熱交換器31の順に流れる状態である。空調装置1Aは、運転モードとして、正サイクル状態で行う第1運転と、逆サイクル状態で行う第2運転と、を含む。コントローラ60は、第1運転の停止の際に、開閉弁82を開く第1制御を行う。コントローラ60は、切換機構22が第1運転と第2運転とを切り換える際に、膨張弁24を所定開度に開く第2制御を行う。
具体的には、空調装置1Aでは、コントローラ60は、第1運転の例としての暖房運転の停止の際に、開閉弁82を開く第1制御を行う。また、コントローラ60は、デフロスト運転や、暖房運転の際の油戻し運転の際、切換機構22が第1運転と第2運転とを切り換える場合に、膨張弁24を所定開度に開く第2制御を行う。
本空調装置1Aは、第1運転の停止の際にバイパス路80を用いて圧縮機21の吸入側と吐出側との圧力差の低減を行う。そのため、本空調装置1Aでは、膨張弁24を開いて圧力差の低減を行う場合とは違い、第1運転時に凝縮器として機能する利用熱交換器31と蒸発器として機能する熱源熱交換器23とを接続する液側冷媒配管を通り熱源熱交換器23に液冷媒が流入することが抑制される。したがって、本空調装置1Aでは、第1運転を再開する際の圧縮機21への液冷媒の流入が抑制される。
一方で、本空調装置1Aでは、第1運転と第2運転との切り換えの際に膨張弁24を開いて圧縮機21の吸入側と吐出側との圧力差の低減を行うため、第1運転と第2運転との切り換えを比較的短時間で実行できる。また、本空調装置1Aでは、第1運転と第2運転との切り換えの際に膨張弁24を開いて圧縮機21の吸入側と吐出側との圧力差の低減を行うため、切換機構22の作動時に騒音が発生するのが抑制される。
(4-2)
本空調装置1Aでは、コントローラ60は、第2運転を終了して第1運転を開始する際に、圧縮機21を停止して第2制御を行う。
具体的には、コントローラ60は、第2運転の例としてのデフロスト運転や油戻し運転を終了して第1運転の例としての暖房運転を開始する際に、圧縮機21を停止して第2制御を行う。
本空調装置1Aでは、第2運転後に第1運転を開始する際に、圧縮機21を停止して膨張弁24を開いて圧縮機21の吸入側と吐出側との圧力差の低減を行うため、第2運転後に比較的短時間で第1運転を開始できる。
(4-3)
本空調装置1Aでは、コントローラ60は、第2運転の停止の際に第1制御を行う。
具体的には、コントローラ60は、第2運転の例としての冷房運転の停止の際に第1制御を行う。
本空調装置1Aでは、第2運転中に凝縮器として機能する熱源熱交換器23の側から蒸発器として機能する利用熱交換器31の側への液冷媒の流れが抑制される。そのため、第2運転を再開する際の、圧縮機21への液冷媒の流入が抑制される。
(4-4)
本空調装置1Aは、冷媒回路10は、逆止弁84を含む。逆止弁84は、吐出配管10bに配置され、圧縮機21から切換機構22への冷媒の流れを許容し、切換機構22から圧縮機21への冷媒の流れを妨げる。バイパス路80は、圧縮機21と逆止弁84とを接続する吐出配管10bの第1部分10baと、吸入配管10aとを接続する。
本空調装置1Aでは、逆止弁84が存在することで、圧縮機21の吐出側の配管容量が限定的になり、圧縮機21の吐出側と吸入側との圧力差を比較的短時間で低減できる。
(4-5)
本空調装置1Aでは、第1制御では、膨張弁24が閉じられる。
このため、本空調装置1Aでは、第1制御後に、第1運転の例としての暖房運転や、第2運転の例としての冷房運転を再開する際の圧縮機21への液冷媒の流入を抑制できる。
<第2実施形態>
冷凍サイクル装置の第2実施形態に係る空調装置1Bの全体構成について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、空調装置1Bの概略構成図である。図6は、空調装置1Bの制御ブロック図である。
なお、以下で説明する第2実施形態の空調装置1Bの構成は、互いに矛盾しない範囲で第1実施形態の空調装置1Aに適用されてもよい。
空調装置1Bは、切換機構122が、空調装置1Aの切換機構22とは異なり暖房非通電、冷房通電で用いられることと、コントローラ160の制御の一部が、コントローラ60の制御と異なることと、を除き、第1実施形態の空調装置1Aと同様である。ここでは空調装置1Bと空調装置1Aとの相違点について主に説明し、必要のない限り空調装置1Bと空調装置1Aとの共通点についての説明は省略する。
(1)切換機構の詳細
切換機構122の構造は、切換機構22の構造と同一である。また、切換機構122の動作は、第1実施形態の切換機構22の動作と同一である。
切換機構122は、暖房非通電、冷房通電で用いられる点が、暖房通電、冷房非通電で用いられる切換機構22と異なる。なお、ここで説明する通電は、前述のように保持用電圧の印加のことを意味する。
暖房非通電及び冷房通電について、具体的に説明する。本空調装置1Bでは、冷媒回路10の冷媒流れ状態を逆サイクル状態として空調装置1Bを運転する際(第2運転の際)、切換機構122の四路切換弁のバルブスライド(図示省略)を駆動するアクチュエータ(図示省略)には電力が供給される(冷房通電)。一方、冷媒回路10の冷媒流れ状態を正サイクル状態として空調装置1Bを運転する際(第1運転の際)、切換機構122のアクチュエータには電力が供給されない(暖房非通電)。
そのため以下のような状況が起こり得る。空調装置1Bの運転停止時に冷媒回路10の冷媒流れ状態が逆サイクル状態にあり、かつ低圧流路と高圧流路との間に所定の圧力差が存在する場合、切換機構122に何らかの原因で電力が供給されなくなると、冷媒回路10の冷媒流れ状態は、逆サイクル状態から正サイクル状態に切り換わる。一方、空調装置1Bの運転停止時に冷媒回路10の冷媒流れ状態が正サイクル状態にあり、かつ低圧流路と高圧流路との間に所定の圧力差が存在する場合、切換機構122への電力供給が遮断されたとしても、冷媒回路10の冷媒流れ状態は正サイクル状態から逆サイクル状態へ切り換わらない。
なお、切換機構122が暖房非通電であることで、以下の利点がある。
暖房運転後に空調装置1Bが停止される際、空調装置1Bに電力を供給する分電盤のブレーカが落とされる等を原因として、空調装置1Bに電力が供給されなくなる状態を想定する。空調装置1Bでは、空調装置1Aと同様に、膨張弁24は基本的に開かれず、暖房運転後にはバイパス路80を用いて、吐出配管10bの第1部分10baと吸入配管10aとの圧力差の低減が図られる。したがって、暖房運転後に、切換機構122周りに圧力差が残っている状態にある。
これらの条件の下、第1実施形態のように切換機構122が冷房非通電で用いられる場合、暖房運転後に切換機構122に電力が供給されなくなると、切換機構122が作動し、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が、正サイクル状態から逆サイクル状態に切り換わるおそれがある。言い換えれば、切換機構122が冷房非通電で用いられる場合、暖房運転後に切換機構122に電力が供給されなくなることで、切換機構122により、第2ガス冷媒配管10eと吸入配管10aとが接続される可能性がある。
さて、暖房運転は、通常、気温が低い時に行われる運転である。そのため、ガス冷媒連絡管42には、低気温によって凝縮した液冷媒が溜まっているおそれがある。そのため、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が逆サイクル状態に切り換わり、かつ、ガス冷媒連絡管42に液冷媒が溜まっている場合には、空調装置1Bの暖房運転の開始の際、ガス冷媒連絡管42から吸入配管10aに流入した液冷媒が、アキュムレータ25でオーバーフローし、圧縮機21に吸入されるおそれがある。
一方で、第2実施形態のように、切換機構122が暖房非通電で用いられる場合、暖房運転後に空調装置1Bに電力が供給されなくても、切換機構122は作動せず、冷媒回路10における冷媒の流れ状態は正サイクル状態のままである。言い換えれば、切換機構122が暖房非通電で用いられる場合、暖房運転後に切換機構122に電力が供給されなくても、第2ガス冷媒配管10eと吸入配管10aとは接続されない。そのため、暖房通電の切換機構22を使用する場合について説明した、上記の不具合の発生は抑制される。
(2)空調装置の運転
空調装置1Bの冷房運転の際の動作、暖房運転の際の動作、デフロスト運転の際の動作、試運転モードについて説明する。
なお、運転目的は異なるが、暖房運転中の油戻し運転の際の空調装置1Bの動作は、暖房運転中のデフロスト運転の際の空調装置1Bの動作と同様である。ここでは暖房運転中の油戻し運転の際の空調装置1Bの動作については説明を省略する。
(2-1)冷房運転
空調装置1Bのリモコンからの指示等によって冷房運転の開始の指示がなされると、コントローラ160は、切換機構122が図1の実線で示された状態になるように切換機構122を制御する。本実施形態では、上記のように切換機構122が冷房通電で用いられる。そのため、冷房運転の際には、切換機構122のアクチュエータに電力が供給される。
空調装置1Bが冷房運転を開始する際、バイパス路80に設けられている開閉弁82は閉じられている。
コントローラ160は、冷房運転を開始する際、初めに起動制御を行う。起動制御として、コントローラ160は、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を、所定の最低回転数から開始し目標回転数へと段階的に上昇させる。また、起動制御として、コントローラ160は、圧縮機モータ21bの回転数の上昇に応じて、膨張弁24の開度を次第に大きくする。
空調装置1Bの運転開始前に、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が正サイクル状態である場合、圧縮機21の吐出側と吸入側との圧力差が所定値以上となると、切換機構122内のバルブスライド(図示せず)が駆動され、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が逆サイクル状態に切り換わる。一方、空調装置1Bの運転開始前に、冷媒回路10における冷媒の流れ状態が逆サイクル状態である場合には、特に切換機構122は動作しない。
コントローラ160は、起動制御の終了後、通常制御を開始する。コントローラ160は、空調負荷に応じ、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数を所定の回転数に制御する。また、コントローラ160は、各種センサの計測値や、空調装置1Bのリモコンからの指示等に基づいて、ファンモータ26a、ファンモータ32a、膨張弁24等の動作を制御する。
冷房運転の際の冷媒回路10内の冷媒の流れについては、第1実施形態の空調装置1Aと同様であるため、ここでは説明を省略する。
次に、冷房運転の停止の際の、空調装置1Bの動作について、図7を参照しながら説明する。図7は、空調装置1Bの冷房運転の停止時の圧縮機21、膨張弁24及び開閉弁82の動作のタイミングチャートの例である。なお、図7は、空調装置1Bの冷房運転の停止時の、圧縮機21、膨張弁24、及び開閉弁82の動作の概略を説明することを意図したものである。特記無き場合、図7に描画されている、時間の長さの割合や、圧縮機21の圧縮機モータ21bの回転数変更の態様や、膨張弁24の開度変更の態様は、本開示を限定するものではない。
リモコンから冷房運転の停止が指示されたり、空調対象空間の温度が目標に達して冷房運転が不要になったりすると、コントローラ160は、冷房運転の通常制御を中止し、冷房運転の停止制御を行う。具体的には、コントローラ160は、圧縮機モータ21bの回転数を次第に低減し、最終的に圧縮機モータ21bを停止する(図7参照)。また、コントローラ160は、圧縮機モータ21bの回転数の低下に合わせて膨張弁24の開度を小さくする。コントローラ160は、圧縮機21の運転が停止されると、冷媒回路10内の圧力差の低減を図るため、膨張弁24の開度を所定の開度に開く。例えば、コントローラ160は、圧縮機21を停止した後、冷媒回路10内の膨張弁24の開度を最大開度OPmaxに開く(図7参照)。ただし、コントローラ160は、冷媒回路10内の膨張弁24の開度を最大開度OPmaxより小さな所定の開度に調節してもよい。その後、コントローラ160は、膨張弁24を閉じる(図7参照)。
第2運転の例としての冷房運転は、熱源熱交換器23を凝縮器として、利用熱交換器31を蒸発器として用いる運転である。一般に、冷房運転の際に蒸発器として機能する利用熱交換器31において冷媒が熱交換する空調対象空間の空気の温度は、暖房運転の際に蒸発器として機能する熱源熱交換器23において冷媒が熱交換する熱源空気の温度に比べて低温になりにくい。そのため、冷房運転の停止の際に、膨張弁24を開く第2制御を行ったとしても、利用熱交換器31や、利用熱交換器31と圧縮機21とを接続する冷媒配管に液冷媒が溜まりにくい。そのため、第1運転の停止の際に膨張弁24を開いて圧縮機21の吸入側と吐出側との圧力差低減を行う場合に比べ、圧縮機21への液冷媒の流入が発生しにくい。
したがって、空調装置1Bでは、圧縮機21への液冷媒の流入の可能性は抑制しつつ、冷房運転の停止時に比較的短期間で圧力差低減を行うことができる。
(2-2)暖房運転及びデフロスト運転
空調装置1Bの暖房運転及びデフロスト運転の際の動作は、それぞれ、空調装置1Aの暖房運転及びデフロスト運転の際の動作と同様である。したがって、暖房運転及びデフロスト運転の際のコントローラ160の空調装置1Bの制御の態様も、切換機構122のアクチュエータに対する電力の供給/非供給が第1実施形態とは逆転することを除き、第1実施形態のコントローラ60の空調装置1Aの制御の態様と同様である。そのため、ここでは詳細な説明は省略する。
(2-3)試運転モード
空調装置1Bの試運転モードでの運転について説明する。試運転モードは、第1実施形態と同様に、閉鎖弁27,28を開く等の施工作業が適切に行われていること、空調装置1Bが適切に動作すること等を確認するために、空調装置1Bの設置時等に実行される運転モードである。
試運転モードでは、冷媒回路10における冷媒の流れ状態を逆サイクル状態として空調装置1Bが行われる。そして、空調装置1Bが試運転モードで運転される際、コントローラ160は、切換機構122のアクチュエータに電力を供給している状態で、圧縮機21を起動する。
空調装置1Bでは、切換機構22に電力を供給した状態で圧縮機21を起動するため、試運転の際、圧縮機21の起動により切換機構22の作動に必要な差圧が確保された段階で、すぐに冷媒回路10の冷媒の流れ状態を逆サイクル状態に切り換えることができる。
(3)空調装置の特徴
空調装置1Bの特徴について説明する。空調装置1Bも、第1実施形態の空調装置1Aの特徴(4-1)、(4-2)、(4-4)、(4-5)と同様の特徴を有する。また、空調装置1Bは以下の特徴を有する。
(3-1)
本空調装置1Bでは、コントローラ160は、第2運転の例としての冷房運転の停止の際に第2制御を行う。
本空調装置1Bでは、膨張弁24を開いて圧力差の低減を行うため、比較的短期間で冷媒回路10における圧力差の低減を行うことができる。
(3-2)
本空調装置1Bでは、冷房運転の際には切換機構122に電力が供給され、第1運転の例である暖房運転の際には切換機構122に電力が供給されない。
ここでは、暖房運転の際に切換機構に電力が供給されないため、暖房運転を停止した際に空調装置1Bに電力供給が停止されても、切換機構122が逆サイクル状態に切り換わらない。そのため、暖房運転を停止した際に空調装置1Bに電力が供給されない状態となっても、暖房運転を再開する際に利用熱交換器31と切換機構122とを接続するガス冷媒連絡管42に溜まった液冷媒が圧縮機21に流入することが抑制される。
また、本空調装置1Bでは、冷房通電の切換機構122が用いられるため、切換機構122周りに圧力差が存在する場合、冷房運転の停止時に空調装置1Bに対して電力が供給されなくなると、冷媒回路10の冷媒の流れ状態が、逆サイクル状態から正サイクル状態に切り換わる可能性がある。しかし、本実施形態の空調装置1Bでは、上述のように膨張弁24を開いて冷媒回路10の圧力差の低減が行われるため、冷媒回路10が均圧した状態が実現されやすく、切換機構122が意図せず逆サイクル状態から正サイクル状態に切り換わりにくい。
(3-3)
本実施形態の空調装置1Bは、運転モードとして、試運転モードを有する。試運転モードの際、コントローラ160は、切換機構122に電力が供給された状態で圧縮機21を起動する。
空調装置1Bでは、切換機構122に電力を供給した状態で圧縮機21を起動するため、圧縮機21の起動により切換機構122の作動に必要な差圧が確保された段階で直ちに冷媒回路10の冷媒の流れ状態を、試運転を行う際の逆サイクル状態に切り換えることができる。
<付記>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。