JP3819984B2 - ボール配列基板及び配列ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子又は基板等の電極部に対し、多数の微小導電性ボールからバンプを形成するための微小導電性ボールの配列基板及び配列用ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程において、半導体素子の電極部(電極パッド)と、プリント配線板等の電極部或いはTABテープのインナーリード等とを接続するための方法として、微小導電性ボールで形成されたバンプを介して両者を接合する方法が知られている(所謂ボールバンプ法)。このバンプを形成する際に、半導体素子の電極部に対応する多数の配列孔を有し、各配列孔に微小導電性ボールを列設配置するようにした配列用基板が使用される。
【0003】
このバンプ形成において、例えば半導体素子の電極パッドにバンプを形成する場合、真空吸引等の方法により配列基板を下側にしてその配列孔に微小導電性ボールを吸引させて保持し、その状態でバンプ接合用ステージまで搬送する。その後、接合用ステージにて電極パッドに微小導電性ボールを熱圧着させることによってバンプを形成する。或いはまた、プリント配線板等の電極部に低融点金属から成るバンプを形成する場合は、電極部に予めフラックスを供給しておき、微小導電性ボールを電極部に配列した後リフローする方法が一般的である。
【0004】
従来の配列用基板では、例えば、特開平4−250643号公報に記載されているようにステンレス等の金属或いはセラミック等を材料とし、各配列孔が精密放電加工、レーザー照射、エレクトロフォーミング、エッチング等によって加工形成されるというものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、配列基板がステンレス等の金属である場合、Siとの大きな熱膨張係数差に起因して、接合時の熱による配列基板の熱膨張によってボール配列時に電極と配列孔の位置ずれが生じるという問題があった。
また、レーザー照射、放電加工による孔開け法では、配列孔周辺の肉が盛り上がり、吸引ボールの高さのバラツキや吸引性能の低下等が発生するという問題があった。
【0006】
さらに、従来の配列孔開け加工では孔径100μm以下の場合、汎用装置での精密な加工が困難であり、それ以下の孔径が必要な場合、孔開け加工後メッキによって孔径を窄める方法がとられており、製造工程が増える上に孔径が不均一になる等の問題があった。また、孔形状も真円形に揃わないためにボールの配列位置が微妙にずれ、バンプ形成対象(半導体素子やTABのインナーリード、プリント配線板等)が微細ピッチとなった場合に、ボールの搭載位置精度が悪くなる等の問題があった。
【0007】
本発明の目的は、バンプ形成位置精度を向上させ、従来よりも確実にボールバンプを形成し得るボール配列基板及び配列ヘッドを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のボール配列基板は、半導体素子または基板の電極に対応する位置に微小導電性ボールを配列するために、前記微小導電性ボールの径よりも小さい径の配列孔を設けたガラスより成る配列基板であって、前記配列孔の前記微小導電性ボールを配列する側の配列孔の径が前記微小導電性ボールの径に比較して
1/3≦(配列孔の径/微小導電性ボールの径)≦4/5
なる条件を満足し、かつ前記配列基板の厚みが
0.3mm≦配列基板の厚み≦1.0mm
を満足するガラス配列基板である。
【0009】
また、本発明のボール配列基板において、前記ガラス製の配列基板が感光性ガラスを用いて作製されたことを特徴とするガラス配列基板である。
【0010】
或いはまた、本発明の配列ヘッドは、前記配列基板の下側に前記微小導電性ボールを配列保持する前記微小導電性ボール配列手段と、前記配列基板を保持する手段であって、前記配列基板における前記微小導電性ボールを保持する面とは反対側に減圧空間を設けた配列基板保持手段と、を含んでいる。
【0011】
本発明によれば、配列基板の材質をガラスにし、ボールを吸引保持する配列孔の開孔位置と孔形状の精度を上げることで、ボール配列位置精度を格段に向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明によるボール配列基板及び配列ヘッドの好適な実施の形態を説明する。
【0013】
本発明の微小導電性ボールの配列基板は、例えば図1に示されるように半導体素子や基板の電極部に対応するように形成された複数の配列孔を有し、半導体素子等の電極部に形成されるべき微小導電性ボールを、配列孔に吸引等により保持し得るようになっている。特に、基板材質としてステンレス等の金属に比べ熱膨張率が低く、Siの熱膨張係数に近いガラスを用いることにより、高温の熱圧着に際しても微小導電性ボールと電極部の位置ずれを低減させることができる。
【0014】
ガラスより成る配列基板を用いると、例えば加圧転写する際に圧力をかけ過ぎて配列基板の開孔部にボールが食い込んだ場合に、酸あるいはアルカリ等の金属を溶解する溶液に浸すことにより容易にその食い込んだ微小金属ボールを除去することができる。金属製の配列基板の場合は配列基板自身が金属であるため、溶解液に溶けてしまい食い込んだ微小ボールを完全に除去するのは困難である。
【0015】
本発明のガラス配列基板の熱膨張係数は1〜100(×10-7/℃)の範囲、望ましくはSiの熱膨張係数(約40×10-7/℃)程度からその2倍程度までの熱膨張係数の値20〜90(×10-7/℃)であれば、金属製の配列基板に比べ配列時の位置ずれをかなり小さくすることができる。また、ガラスのうちでも特に感光性ガラスを用いることにより、孔形状の良い微細配列孔を位置精度よく開孔させ、ボールバンプを微細ピッチ(300μm以下、特に100μm以下のピッチ)においても位置ずれなく形成することができる。
【0016】
さらに、感光性ガラスを用いると、後述するようにマスクを用いて露光するため、一括して孔を形成することができるので配列基板のコストを極めて安くすることができる。この効果は100ピン以上(特に300ピン以上)の配列基板の作製で顕著になる。すなわち、放電加工等で1個ずつ開孔を形成する場合は1つでも失敗すると最初からやり直しとなり、基板作製の歩留まりが低下してしまう。また、本発明の配列基板にはアライメントマークを容易に任意の場所で、しかも任意の個数で形成することができ、バンプを形成させる電極部との位置合わせに利用することができる。
【0017】
本発明の感光性ガラスは、例えばSiO2 - Al23 - LiO系ガラスをベースにして、感光性金属してAg,Au,Cu等を含むガラスから成る。また、必要に応じて光増感剤であるCeO2 等を添加してもよい。この感光性ガラスの両面を研磨し、所望の(半導体素子等の電極位置に対応した)位置に配列孔開孔パターンを描いたマスクを、研磨したガラス面の一方の面に載せる。その後マスク上から紫外線を照射し、開孔部分のガラスを感光させる。そのマスクを除去し、感光した部分を結晶化させるために適度な熱処理をする。結晶化した部分を酸で溶解し、配列孔を形成する。
【0018】
開孔位置を±5μm以内(望ましくは±3μm以内)の精度で加工した本発明の配列基板を使用することにより、配列孔の中心とそれに対応する半導体素子上のAl電極パッド等の中心から±5μm以内(望ましくは±3μm以内)の位置精度でバンプを形成することが可能である。
【0019】
上記方法では、感光した部分が酸によってエッチングされ易くなることで開口を形成するものであるが、感光ガラスの種類を選ぶことによって、感光することにより開孔部以外を酸等によってエッチングされ難くすることによっても同様の開口部を形成することができる。
【0020】
本発明の配列基板は、ボール配列時に圧力或いは熱を印加し得るヘッドに付設して使用することもできる。この場合、配列基板には接合時の圧力に耐え得る強度を持たせるために、ある程度の厚みが必要である。なお、この厚みが厚過ぎると酸等による溶解が困難になる。本発明者等は種々の厚みの配列基板を用いて検討した結果、開孔が不均一にならないためには0.1〜1.0mmの厚さが適当であることを見出した。
【0021】
ガラス基板の厚みには前述したように制限がある。例えばその厚みが0.25mm未満の場合に配列基板を5kgの力が加圧すると、加圧力に耐えられず配列基板の割れの現象が加圧回数に対して10%程度の割合で発生した。厚みを0.3mmに設定すると1万回の加圧においても、配列基板の破損が見られず生産に使用することができる。一方、その厚みが1mm以上に場合は、ガラスをエッチング等で溶解して開口する場合、エッチング時間が長時間になり、また孔径の精度も時間がかかると多くの孔数で一様に揃えるのが困難であった。従って、ガラス配列基板の厚みは好ましくは0.3mm≦配列基板の厚み≦1.0mmであることが必要であることが本発明により明らかになった。
【0022】
微細ボールを配列基板に適用する際にその厚みのみならず、吸引保持に必要な開孔径を種々の実験を通して最適化する必要があった。配列孔の径は単に微小導電性ボールの径に比べて小さいだけでは、吸引による配列成功率は確保することができない。配列孔の径と微小導電性ボールの径の比は、1/3未満であると吸引効率が低下する。本発明の検討では、例えば80μmφの半田ボールを500個吸引保持する場合、配列基板の孔径が20μm以下では吸引保持成功率が80〜87%であり、孔径を25μm以上に設定すると95%以上の吸引保持成功率を確保することができた。
【0023】
また、配列孔の径と微小導電性ボールの径の比が4/5を越えると、微小ボールを電極に転写する際にかかる圧力によってボールが孔の中へ食い込んでしまうことが詳細な実験により判明した。例えば40μm径の金ボールを孔径34μmの配列基板で保持し、ボール1個あたり20gの力で電極上で加圧すると300個中52個のボールが配列基板の孔に食い込み、電極へのボール接合不良が発生した。孔径を32μmに設定すると食い込みは全く発生しなかった。従って、孔径は1/3≦(配列孔の径/微小導電性ボールの径)≦4/5なる条件を満足する必要があることが本発明で始めて明らかになった。ステンレス等の金属製の配列基板に放電加工で孔を形成する場合、開孔のまわりに肉の盛り上がりが発生するため明確にはこのような傾向は現れない。
【0024】
本発明の配列基板における配列孔形状の幾つかの例を図2に示す。ボールを配列させる側の面を表面とする。図2において、配列孔の表、裏面の孔径が等しいものを(A)、表面の孔径が裏面の孔径に比べて小さいものが(B)、(B)のものとは逆に表面の孔径が裏面に比べて大きいものが(C)としている。また、(A)に示されるタイプのものを加工し、表面の孔径を大きくし、表面開孔部エッジを落としたものを(D)、(D)に示されるタイプの表面の加工を同様に裏面にも加えたものを(E)、(B)のタイプと(C)のタイプを混合した形状であって、表、裏面の開孔部の孔径が広く、配列基板内部に向かって孔径が小さくなっていくものを(F)としている。
【0025】
ここで、(B)のタイプはボール吸着面よりも反対側の減圧側の径が大きく、配列基板を保持する配列ヘッドのボールを吸引するために吸引系統の作製が容易である(配列ヘッドの配列基板を保持する部分には、例えば配列基板の孔に対応して真空を供給するための溝パターンを作製する必要があり、孔径や孔のピッチが狭いとその形成は困難になってくる)。
【0026】
上記図2(D)、(E)及び(F)のタイプのものにおいて、配列孔の加工は酸によるエッチッグ法、機械的研磨のどちらでも良い。その際、直線的なテーパーではなく、なめらかな曲線でもかまわない。また、図2(E)、(F)タイプにおいては配列基板の表、裏面どちらの孔径が大きくても、等しくても良いが、裏面のボールを吸引保持させる最小孔径部分の孔径はボール径の1/3〜4/5が望ましい。
【0027】
なお、本発明による配列基板は以下の実施例に述べる金ボールのチップへの配列の他に、TAB等のフィルムキャリアの電極への金や半田ボールの配列、或いはプリント配線板の電極への金や半田ボールの配列等にも適用できる。半田ボールでバンプを形成する際は、予め電極部にフラックスを供給しておいてもよい。本発明によるガラス基板から成る配列基板と、その配列基板と微小導電性ボールをそれぞれ保持するための減圧空間を、ボールを保持する面とは反対側に設けた保持手段と、を含むヘッドと併用すると極めて高精度でボールバンプを形成することができる。
【0028】
【実施例】
図3は、本発明による配列基板を用いた微小導電性ボールバンプの製造法を示している。以下に図面を参照しながら詳細に説明する。
図3(A)において、図2(B)のタイプの配列基板1がステンレス製の配列基板固定治具9に配列基板吸引用減圧空間8を減圧することにより固定されている。直径60μmのAuを主成分とする微小なボール3を配列基板固定治具9のボール吸引用減圧空間7を減圧することにより一括吸引して保持する。
【0029】
配列基板1にはボール径の1/2の30μm径の配列孔2が開けてある。ボール3は配列基板1の背面から配列基板固定治具9のボール吸引用減圧空間7の減圧により吸引することによってこの配列孔2に保持されている。
【0030】
図3(B)において、配列基板1を半導体素子5上に移動し、ボール3と電極パッド4の位置を合わせる。ここで、配列基板に形成したアライメントマークを用いると迅速な位置合わせが可能である。
【0031】
図3(C)において、保持したボール3を支持台6の上に置かれた半導体素子電極パッド4に向かって下降させる。そして、ボール1ケ当たり10〜30gの荷重で加圧する。
【0032】
図3(D)において、ボール3を一括接合し、ボール吸引用減圧空間7を大気圧にし、配列基板1を上昇させる。
【0033】
この例では上記のように、この配列基板1は配列基板吸引用減圧空間8を減圧することによって吸着されるが、配列基板吸引用減圧空間8を無くした配列基板固定治具9に配列基板1を固定した一体型のボール吸引、転写用ヘッドを使用しても良い。
また、本発明の配列基板固定治具9は加熱機構を備えており、ボールの温度を上げて接合することもできる。
【0034】
上記実施例において、微小導電性ボール3を吸引保持する際に、吸引もれ(抜け)、或いは孔形状不良によるエアーもれ等による余剰ボールの吸着は全くなかった。半導体素子支持台6に設置した半導体素子5は、300〜500℃に加熱してある。バンプは電極材のAlとAl−Au系合金を形成して接合しており欠落はない。本発明の配列基板の熱影響によるバンプ形成時の位置ずれは±3μm以内であった。バンプ高さのバラツキは±2μm以内であった。また、このようなバンプ付き半導体素子を搬送してもバンプの脱落はなかった。更に、このバンプを用いて半導体素子をフィルムキャリアのインナーリードに接合したところ、リードの流れ落ちが全くないことも確認している。
【0035】
上述の接合条件と同一条件で、放電加工によって配列孔を形成させたステンレスの配列基板を用いてボールバンプを形成させたところ、±10μm以上の位置ずれが生じた。また、±7μmのバンプ高さのバラツキが生じた。
配列基板固定治具に設けるボール吸引用減圧空間が大きく、配列孔周辺の配列基板固定治具との接触面積が著しく小さいと接合時の圧力に配列基板が耐えられなくなる恐れがある。配列基板の破壊を防ぐためボール吸引用減圧空間は配列孔の直径の10〜100倍の溝状であることが望ましい。
【0036】
しかし、格子状にボールを吸引して面配列させる場合、図4(A),(B)に示すように配列基板1に格子状に配列孔2を設けるが、その際、図5に示すようにボール吸引用減圧空間7aに柱状突起10を設け、配列基板固定治具9と配列基板1の接触面積を増やす必要がある。前記接触面積を増やす方法としては、その他に例えばボール吸引用減圧空間7aに多孔質材を使用しても良いし、配列基板固定治具9自体に多孔質材を使用しても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、微小導電性ボール配列基板或いはそれを用いた配列用ヘッドにより、配列基板の材質をガラスにし、ボールを吸引保持する配列孔の開孔位置と孔形状の精度を上げたので、ボール配列位置精度が格段に向上し、半導体チップ、フィルムキャリア及びプリント配線板等の電極に高精度で微小導電性バンプを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による配列基板の実施形態における外観斜視図である。
【図2】本発明の配列基板における配列孔の形状例をそれぞれ示す断面図である。
【図3】本発明の配列基板を用いた微小導電性ボールバンプ形成法の例を工程順に示す図である。
【図4】本発明における(A)は微小導電性ボールの格子状配列孔の例を示す配列基板の外観斜視図、(B)は該配列基板とその配列基板固定治具を示す図である。
【図5】本発明における(A)は微小導電性ボールの格子状配列孔の例を示す配列基板の断面図、(B)は(A)のP矢視図である。
【符号の説明】
1 微小導電性ボール配列基板
2 配列孔
3 微小導電性ボール
4 電極パッド
5 半導体素子
6 支持台
7,7a ボール吸引用減圧空間
8 配列基板吸引用減圧空間
9 配列基板固定治具
10 柱状突起

Claims (3)

  1. 半導体素子または基板の電極に対応する位置に微小導電性ボールを配列するために、前記微小導電性ボールの径よりも小さい径の配列孔を設けたガラスより成る配列基板であって、
    前記配列孔の前記微小導電性ボールを配列する側の配列孔の径が前記微小導電性ボールの径に比較して
    1/3≦(配列孔の径/微小導電性ボールの径)≦4/5
    なる条件を満足し、かつ前記配列基板の厚みが
    0.3mm≦配列基板の厚み≦1.0mm
    を満足することを特徴とする微小導電性ボールの配列基板。
  2. 前記ガラス製の配列基板が感光性ガラスを用いて作製されたことを特徴とする請求項1に記載の微小導電性ボールの配列基板。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の配列基板と、
    前記配列基板の下側に前記微小導電性ボールを配列保持する前記微小導電性ボール配列手段と、
    前記配列基板を保持する手段であって、前記配列基板における前記微小導電性ボールを保持する面とは反対側に減圧空間を設けた配列基板保持手段と、
    を含むことを特徴とする微小導電性ボール配列ヘッド。
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