JP3819777B2 - 表示装置用電磁波シールドフィルタ、プラズマディスプレイパネル用フィルタおよぴプラズマディスプレイパネル表示装置 - Google Patents

表示装置用電磁波シールドフィルタ、プラズマディスプレイパネル用フィルタおよぴプラズマディスプレイパネル表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置用電磁波シールドフィルタと、これを適用したプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)用フィルタと、このフィルタを用いたPDP表示装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PDP、CRT、フィールドエミッションディスプレイをはじめとするディスプレイ表示装置は、その動作原理より、それぞれ大小はあるが、不要電磁波が放射され、周辺機器の誤動作やノイズ源となるばかりか、人体への影響も懸念される。このため、なんらかの電磁波シールドフィルタを設けて、それらをカットする必要がある。
【0003】
通常の機器の電磁波シールドは、導体でそれらを囲むなどして達成されるが、ディスプレイの場合は、透明性と導電性を兼ね合わせた電磁波シールドフィルタでなければならない。たとえば、透明導電膜である酸化インジウム錫薄膜などはその一例であるが、表面抵抗がせいぜい数十Ω/□程度であり、PDPなどから放射される強度の電磁波をシールドするには不十分である。
【0004】
このような機器から放射される電磁波については、VCCI(Voluntaly Control Council for Interference by data processing equipment electronic office machine)や、FCC(Federal Communication Commission)による規制が設けられている。これらの規制で対象とされる放射電磁波の周波数範囲は30MHz〜1GHzであるが、より低周波領域の電磁波に関しても家庭用ビデオのノイズ源になるなどの問題が発生しており、より広範囲な周波数帯域において、電磁波シールド性にすぐれたフィルタが要求されている。
【0005】
このような要求に対して、すぐれた電磁波シールド性、とくに低周波における磁界シールド性が良好であり、しかも、透明性を確保するため、導電性メッシュ状のフィルタが採用されている。すなわち、導電性メッシュは、導電層の厚みがμmオーダーと厚いため、とくに低周波領域の電磁波シールド性が良好であり、容易に1Ω/□以下、とくに0.1Ω/□以下というような低抵抗な電磁波シールドフィルタが実現できる。
【0006】
しかしながら、メッシュフィルタの場合、ディスプレイ前面に配置してその視認性を損なわないようなものとするには、メッシュの線径をできるだけ細くする必要がある。また、ディスプレイの画素との間でモアレが発生し、視認性を著しく低下させる場合がある。たとえば、ポリエステル繊維に金属をメッキした繊維タイプのメッシュは、安価でかつ電磁波シールド性は良好であるが、線径の細線化に限界があり、ディスプレイの視認性を著しく低下させる。このため、たとえば、半導体製造技術を応用したホトリソグラフイー技術などを駆使して、極めてファインなメッシュを、しかも大面積で製造する必要があり、極めて高価な電磁波シールドフィルタとならざるを得ない。
【0007】
また、上記のメッシュフィルタは、基本的に、銅などの金属メッシュを用いるため、金属光沢による外光反射が著しく、室内照明の映り込みによる視認性の低下が著しく、細線化するだけではそれを低減できない。したがって、さらに表面上に黒化処理を施す必要があり、製造コストが一段と高くなる。また、このような処理により、外光反射をある程度は抑えることができるが、さらに高い明室コントラストを実現するのは容易なことではない。
【0008】
また、メッシュフィルタとは別に、電磁波シールド性を付与する手段として、金属薄膜を用いる方法がある。通常、金属は可視光線に対して透過性がなく、ディスプレイ用途には用いることができないが、膜厚が数十nm以下である場合、可視光線を透過する。なかでも、銀は金属の中で最も電気伝導度が高いばかりか、可視光線透過性に極めてすぐれた材料であり、透明性と導電性を同時に満足できる。しかしながら、数十nm以下の薄膜でも、金属反射により可視光線反射率が高くなり、ディスプレイ用途に対し好適に用いることができない。このため、銀薄膜の反射防止も考慮に入れた光学設計が必要となる。
【0009】
上記の問題を解決する方法として、たとえば、特開2000−98131号公報に開示されているように、高屈折率薄膜と銀薄膜とを交互に積層する方法が提案されている。各層の屈折率、膜厚、構成、繰り返し積層数などを適宜選んだ光学設計を行うことにより、電気伝導性、可視光線透過性、可視光線低反射性を同時に満足させることができる。光学設計は、古典的な光学設計手法をもとにした、市販の光学設計ソフトなどを用いて容易に行うことができる。
【0010】
しかしながら、特許第3004222号に記載されているように、媒質が空気(屈折率=1.0)である場合の可視光線反射率が低くても、その上に屈折率の異なる隣接層が形成されると、可視光線反射率は変化する。また、ディスプレイ用フィルタとする場合、最表面に反射防止層や反射防止フィルムなどを貼り合わせて表面の反射を抑える手段がとられているが、たとえ表面反射を低減しても、電磁波シールド層と隣接層との界面反射が大きいと、結局、反射率は高くなり、視認性の著しく悪いフィルタとなる。
【0011】
また、表面抵抗などの値も、可視光線反射率を低減する光学設計を行うため、おのずとその設計自由度が制限される。−般的にこのような界面反射を抑制するような光学設計を行う場合、銀薄膜の膜厚を薄くしたり、もしくは繰り返し積層数を増やす必要がある。前者の場合、簡潔な構成で十分な電磁波シールド性を実現するのは難しく、後者の場合、製造コストが著しく高くなるばかりか、厳密な光学設計とそれを再現するための高精度な製造プロセスが要求される。
【0012】
上述のように、従来の技術では、電磁波シールド性にすぐれており、しかも、透明性および可視光線低反射性にもすぐれた電磁波シールドフィルタを、安価に提供することは、非常に難しかった。
一方、表示装置用フィルタの外光反射を低減する方法として、最表面に反射防止層やアンチグレア層を形成したり、別途用意したそれらの機能を有するフィルムを貼り合わせる方法が一般的に採用されている。しかしながら、このような方法により、最表面の反射を低減できたとしても、電磁波シールド材とその隣接層との界面反射を低減することはできなかった。
【0013】
また、表示装置の内部や各層での界面反射を防止する方法として、最表面に吸収型円偏光板を設置する方法が提案されており、たとえば、特開平7−142170号公報にその適用例が示され、特開平11−242933号公報にはPDPに適用する提案もなされている。この提案では、吸収型円偏光板の作用により、それより内部で発生する外光反射はすべて吸収できるが、原理的に表示装置自体からの発光光の約50%が吸収型円偏光板により吸収され、表示装置の輝度が半減する問題がある。しかし、吸収型円偏光板による外光反射の防止と、これによるコントラスト向上効果が極めて大きいため、発光光の約50%を損失することは承知の上で、この方式が採用される場合も少なくない。
【0014】
液晶ディスプレイでは、特開平10−301097号公報に示されているように、コレステリツク液晶層や1/4波長位相差板を用い、通常半分は直線偏光子により吸収されるバックライトの光を、再度、直線偏光板の吸収軸に直交する直線偏光に変換し、輝度を向上させる技術も提案されている。液晶ディスプレイの場合、原理的に直線偏光板が液晶セルを挟んでクロスニコルの状態で放置されているため、装置内部での反射光は問題とならない。よって、上記のような技術を利用してディスプレイの輝度を向上させることが可能である。
さらに、特開2001−215886号公報には、PDPに吸収型偏光子と反射型偏光子とを組み合わせる提案などもなされている。
【0015】
しかしながら、これらの提案は、いずれの場合も、表示装置内部の外光反射の低減についてなされた発明であり、電磁波シールド材での反射防止に関しては、なんら言及されていない。
また、PDPは、発光原理から、不要電磁波のほかに、800〜1,100nmの波長範囲の近赤外線も同時に放射される。近赤外線は人体に悪影響はなく、とくに規制はないが、この波長範囲の近赤外線は、家庭用機器のリモートコントローラに用いられているため、家電機器の誤動作を引き起こしやすい。したがって、可視光線は透過し、近赤外線はカットする機能も付与しなければならない。また、放電ガスにNeを用いているため、波長585nm付近に原理的にそれに起因したオレンジ色の発光光が生じ、PDPの赤色発光の色純度を著しく低下させる問題もあり、それらもカットするフィルタが望ましい。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このように、各種の表示装置に要求される高い電磁波シールド性、発光光の高透過性、外光の低反射性、さらにPDPでは、近赤外線カット性、色純度の向上を同時に満足するような表示装置用電磁波シールドフィルタを簡単な構成でかつ安価に提供する手段は提案されていないのが現状である。
【0017】
本発明は、上記の事情に照らし、ディスプレイをはじめとする表示装置に用いられる電磁波シールドフィルタにおいて、すぐれた電磁波シールド性を示し、発光光の高透過性、外光の低反射性を実現できる表示装置用電磁波シールドフィルタを安価かつ比較的簡潔な構成でもって提供することを目的としている。また、PDP表示装置に用いられるフイルタとして最適な機能を有するPDP用フィルタと、さらにPDP表示装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、(1)表示装置の観察者側から順に、吸収型円偏光板と、電磁波シールド材と、上記の吸収型円偏光板の吸収する円偏光光と同方向の円偏光光を反射し、それとは逆方向の円偏光光は透過する選択反射型円偏光板を具備する構成とすることで、電磁波シールド材による界面反射をほぼ完全に低減でき、しかも表示装置から発光する光はその損失を最小限にとどめて効率よく観察者側に放射させうる表示装置用電磁波シールドフィルタが得られることを知り、本発明を完成した。
【0019】
また、上記の表示装置用電磁波シールドフィルタにおいて、(2)選択反射型円偏光板として円偏光二色性を示すコレステリツク液晶層を具備する構成とすることにより、より簡潔な構成で上記効果を発現できることがわかった。さらに、(3)電磁波シールド材が導電性メッシュからなり、その線幅が20μm以上、開口率が85%以下である構成とすることにより、安価で、通常は視認性の悪い電磁波シールドメッシュを好適に利用できることがわかった。また、(4)電磁波シールド材が1層以上の銀系透明導電体薄膜層を含み、その電磁波シールド材とその面上に形成される隣接層の界面反射率が0.5〜30%である構成とすることにより、銀系透明導電体薄膜をはじめとする多層膜の構成を簡略化でき、またその光学設計の自由度が大幅に広くなり、しかも電磁波シールド性に非常にすぐれたものとなることがわかった。
【0020】
また、本発明者らは、(5)上記各構成の電磁波シールドフィルタを具備したPDP用フィルタを提供でき、その際、(6)吸収型円偏光板と表示装置との間に波長850〜1,000nmの近赤外線をカットする層を挿入する構成とすることにより、近赤外線カット性を容易に付与できること、(7)選択反射型円偏光板を、波長580〜590nmの範囲には選択反射性を持たないものとすることにより、Ne発光に起因した585nm付近のオレンジ色発光光の光線透過率を半減でき、赤色発光の色純度を向上させうることがわかった。
【0021】
さらに、本発明者らは、(8)PDPの前面に、空気層を介して設置される透明成形体に上記各構成のPDP用フィルタを付設したPDP用前面フィルタを装着した構成とすることにより、また、(9)PDP本体の前面表示ガラス部に、透明粘着剤ないし透明接着剤を介して、上記各構成のPDP用フィルタが直接貼り合わされている構成とすることにより、上記PDP用フィルタを備えたPDP表示装置を提供できるものであることがわかった。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図1および図2を用いて、説明する。
図1は、表示装置に対して、本発明の表示装置用電磁波シールドフィルタを、装着した基本構成を示す概略図である。
図1において、表示装置用電磁波シールドフィルタAは、表示装置4の観測者側から、吸収型円偏光板1、電磁波シールド材2、選択反射型円偏光板3とが、この順に配置されている。上記の円偏光板1,3は、それぞれ、完全な円偏光板であることが好ましいが、完全な円偏光板から多少なりとも楕円偏光板にずれていても、好適に使用できる。つまり、上記の円偏光板1,3には、それぞれ、完全な円偏光板のほかに、楕円偏光板を含むものである。
【0023】
吸収型円偏光板1は、吸収型直線偏光板11と複屈折光の位相差が1/4波長である位相差板12とを積層したものである。この吸収型円偏光板1は、吸収型直線偏光板11の透過軸に対し、上記位相差板12の光軸を45度または135度の角度で交差させることにより、形成され、その角度により、右円偏光または左円偏光のいずれを吸収するかが決まるものである。
また、選択反射型円偏光板3は、上記の吸収型円偏光板1が吸収する円偏光光と同方向の円偏光光を選択反射し、それとは逆方向の円偏光光は透過する特性を備えてなるものである。さらに、電磁波シールド材2は、上記の吸収型円偏光板1と上記の選択反射型円偏光板3との間に配置される。
【0024】
上記構成の電磁波シールドフィルタAの作用について、図2を用いて、以下に詳しく説明する。なお、ここでは、吸収型円偏光板1に左円偏光光を吸収する円偏光板を採用し、したがって選択反射型円偏光板3に左円偏光光を選択反射し、右円偏光光を透過する円偏光板を採用した例を示している。
これとは逆に、吸収型円偏光板1に右円偏光光を吸収する円偏光板を採用し、したがって選択反射型円偏光板3に右円偏光光を選択反射し、左円偏光光を透過する円偏光板を採用してもよい。この場合も、右円偏光光と左円偏光光とが逆となる以外は、以下の説明と全く同じである。
【0025】
まず、外光の反射過程について、説明する。
ランダム偏光の自然光が表示装置に向けて入射すると、まず、直線偏光板11により偏光分離され、そのうちの一方は吸収、他方は位相差板12に透過する。この時点で外光の約50%は吸収され、反射光として観測者には見えなくなる。透過した半分の直線偏光光は、位相差板12により右円偏光光に変換される。位相差板12から出た右円偏光光12が、電磁波シールド材2に入射すると、位相差板12またはそれらを貼り合わせるための透明粘着剤層の屈折率よりも高い屈折率を有する各界面で正反射した円偏光光は、位相が180度反転し、入射した右円偏光光と逆回りの左円偏光光として反射される。
このため、たとえば、導電性メッシュであれば、金属線で反射された右円偏光光は、再び位相差板12により直線偏光板11の吸収軸に平行な直線偏光に変換され、直線偏光板11に吸収される。つまり、円偏光板1を配置することにより、電磁波シールド材2で反射される外光は、その反射率の大小に関係なく、すべて円偏光板1で吸収され、観測者には見えなくなる。
【0026】
電磁波シールド材2で反射されずに透過した右円偏光光は、選択反射型円偏光板3に入射するが、この円偏光板3は右円偏光光を透過するものであるため、光は表示装置4内部に到達する。仮に、表示装置4内部の平滑性が良好で、きれいに正反射するような構造のものであれば、反射された右円偏光光は上記説明したのと同じ原理で左円偏光光に変換される。反射された左円偏光光が選択反射型円偏光板3に入射すると、今度は反射され、左円偏光光のままで表示装置4内部に返される。同様に、表示装置4内部で正反射した左円偏光光はさらに再び右円偏光光に位相反転し、今度は選択反射型円偏光板3を透過し、一部、電磁波シールド材2で反射されながら、吸収型円偏光板1に入射する。
右円偏光は吸収型円偏光板1を透過し、外光反射として一部が観測者の目に入ることになるが、この場合、外光反射が問題となる電磁波シールド材2での反射は完全に低減されており、観測者に入る反射光は大きく低減される。
【0027】
また、実際の表示装置4は、その表面状態や構造は複雑である。たとえばPDPであれば、隔壁が形成されたり、蛍光体が塗られたりしている。したがって、上記のようにきれいな正反射は起こらず、拡散反射してしまったり、内部で吸収してしまったり、また反射される光も、散乱により偏光解消され、ランダム偏光に近い状態になっている場合が多い。この場合、図2に模式的に描いたように、観測者側に戻される反射光はさらに少なくなり、表示装置の黒表示がより引き締まった、明室コントラストの高い表示装置とすることができる。
【0028】
つぎに、表示装置からの発光光について、その過程を説明する。
表示装置4から発する発光光は通常ランダムな自然光である。放射した光は、まず、選択反射型円偏光板3に入る。その際、この円偏光板3により偏光分離され、右円偏光は電磁波シールド材2に入り、一部反射され、残りの大部分は右円偏光のまま吸収型円偏光板1に入る。この場合、右円偏光はそのまま透過でき、発光光の約50%が観測者の目に入る。一方、上記円偏光板3で選択反射された左円偏光光は表示装置4内部で正反射され、右円偏光に変換される。その後は、上記同様に吸収型円偏光板1を透過し、観測者の目に入る。
【0029】
したがって、一部、電磁波シールド材2でのロスなどはあるものの、大部分の発光光を観測者まで届けることができる。しかしながら、先の説明と同様、実際の表示装置では、散乱反射などによる偏光解消が生じる。たとえば、完全に偏光解消されたとしても、その半分は選択反射型円偏光板3を透過できる。さらに、反射されたうちの半分は上記同様の過程を繰り返し、たとえ偏光解消されても、ある程度発光光を戻すことができる。また、偏光解消されていても、ある程度偏光度を維持しておれば、その分、透過できる光は多くなる。
【0030】
このように、通常の吸収型円偏光板のみを設置する従来の方式では、外光はすべて低減できるが、発光光も約半分吸収されてしまい、反射防止効果は得られるものの、輝度が低下するという問題があった。これに対し、上記の本発明では、最も視認性の低下につながりやすい電磁波シールド材の反射光は完全に低減し、また表示装置内部での反射光も少なくとも半分以上は低減でき、さらに発光光の吸収を極力回避し、その大部分を観測者側まで導くことができる。仮に表示装置自体が偏光発光するものであれば、本発明の効果がさらに発揮される。
【0031】
つぎに、上記電磁波シールドフィルタの材料構成について、説明する。
本発明の電磁波シールドフィルタにおいて、各部材は、実際には、透明粘着剤や透明接着剤を介して貼り合わせて構成される。また、それら材料を各部材の偏光特性や電磁波シールド性を損なわないように融着してもよく、空気層を隔てて設置してもよく、その方法は任意である。さらに、色調整層や近赤外線カット層、バリア層などを任意の層に付加してもよい。
【0032】
本発明において重要なことは、これらの粘着剤層や別の層には光学的異方性が小さいもの、理想的にはないものを用いることである。仮に、挿入した層に光学的異方性があると、光の偏光状態が変化し、本発明の前記効果が阻害されることになる。一般的な粘着剤や接着剤には光学的異方性がないため、その接合強度や透明性にすぐれるものであれば、好適に使用できる.
また、電磁波シールド材2や選択反射型円偏光板3などを、基材上に形成する場合は、たとえば、ガラス板、エポキシ樹脂基板、三酢酸セルロースフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルムや、その他、市販の光学異方性のないフィルムなどを好適に使用することができる。
さらに、最表面の吸収型円偏光板1の表面に反射防止層を形成したり、別途用意した反射防止フィルムやアンチグレアフィルムを貼り合わすなどしてもよい。この場合、反射防止フィルムに光学的異方性があっても、本発明の効果になんら影響がないことは、図2を用いた前記の説明から、明らかである。
【0033】
吸収型円偏光板1において、吸収型直線偏光板11としては、適宜な偏光板を用いることができ、とくに限定はない。一般には、ポリビニルアルコールのような親水性高分子からなるフィルムに二色性染料やヨウ素を染色して、ホウ酸水溶液中で2〜10倍程度延伸した偏光子が用いられる。たとえば、日東電工社製の「NPF」が挙げられる.また、2色性染料を含有する液晶や液晶ポリマーを配向することにより得られるものを、使用してもよい。
上記の液晶や液晶ポリマーには限定はなく、ネマチック型、スメクチック型、コレステリツク型、ディスコチック型、これらの正の材料や負の材料が用いられる。オプティバ社製の「リオトロピック液晶」などを利用して、基材フィルム上に塗布することで得られる偏光素子を用いてもよい。
【0034】
また、入/4波長位相差板12としては、可視光波長の1/4波長の位相差遅れを有する複屈折フィルムで、可視光領域において広く1/4波長の位相差を有する広帯域λ/4板を用いてもよい。広帯域λ/4板は一般には異なる位相差値を有する複屈折フィルムの組み合せで実現できる。また、位相差フィルムには高分子フィルムを延伸、配向したものが挙げられる。
上記の位相差フィルムに用いる高分子フィルムは、とくに限定はないが、光学的に透明で配向ムラの少ないものが、好適に用いられる。たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ノルボルネン系、アクリル系、ポリスチレン系、セルロース系が挙げられる。液晶組成物を高分子フィルムにコーティングまたは含浸したものであってもよい。
【0035】
電磁波シールド材2は、表示装置4の放射電磁波を十分にシールドできるものであればよく、なかでも、金属製の導電性メッシュか、あるいは銀系透明導電体薄膜を含んだ多層膜タイプのものが好ましい。
【0036】
導電性メッシュでは、本発明の特徴を最大限に生かすため、線幅が20μm以上、とくに40μm以上、開口率が85%以下、とくに70%以下であり、表面黒化処理が施されていない、それ自体の反射率が高い金属光沢を呈するような安価な導電性メッシュが好ましい。具体的には、ポリエステル繊維に金属メッキを施した繊維メッシュや、スクリーン印刷によりロール・トウ・ロール方式で安価に製造されたものなどが挙げられるが、とくに限定されない。
このような視認性の悪い安価なメッシュを用いても、本発明の構成とすることにより反射光はすべて偏光板により吸収される。したがって、製造コストの高いフォトリソグラフイー技術を適用したり、表面黒化処理を行う必要は全くない。このような高価で視認性の良い導電性メッシュは、本発明を適用しなくても比較的視認性の良い電磁波シールドフィルタが得られる。
【0037】
銀系透明導電体薄膜の含んだ多層膜タイプのものでは、表示装置の放射電磁波を十分にシールドできるものであればよく、具体的な構成としては、銀系透明導電体薄膜層/透明薄膜層、透明薄膜層/銀系透明導電体薄膜層/透明薄膜層または銀系透明導電体薄膜層/透明薄膜層/銀系透明導電体薄膜層の構成、あるいはこれらをさらに繰り返した構成が挙げられる。これらの銀系透明導電体薄膜層および透明薄膜層は、各々、すべて同じ組成もしくは材料であっても、異なるものであってもよい。これらの銀系透明導電体薄膜層および透明薄膜層は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの真空プロセスや湿式法などの公知の薄膜成膜技術により、形成することができる。
【0038】
このような多層膜タイプのものは、この電磁波シールド材とその面上に形成される隣接層との界面反射率が0.5〜30%となるように、光学設計されているのが望ましい。上記の界面反射率が0.5%より小さいと、本発明を応用しなくても視認性の良い電磁波シールドフィルタが得られるが、銀系透明導電体薄膜の膜厚を薄くしたり、その繰り返し層数を増やしなどして、精度の高い光学設計や成膜技術が要求され、安価な電磁波シールドフィルタを提供しにくい。また、上記の界面反射率が30%より大きくなると、外光に対する反射は低減できるが、表示装置からの発光光も反射されるため、発光強度が低下する。
【0039】
なお、本発明にいう反射率は、JIS R3106で定められた、明所での平均視感度反射率である。また、本発明にいう電磁波シールド層とその面に形成される隣接層との界面反射率とは、厳密には、隣接層の光学アドミタンスと電磁波シールド材の光学アドミタンスの差により生じる反射である。
しかし、電磁波シールド材のような多層膜の光学アドミタンスは、各層の光学定数を知り、その値から計算上算出されるものであるため、実測できない。このため、上記界面反射率は、以下のように測定されるものとする。まず、隣接層単体の反射率R0 をその裏面を黒塗りした状態で測定する。つぎに、電磁波シールド材の面上にその隣接層を形成し、同様に裏面を黒塗りしてその反射率R1 を測定する。R1 −R0 を本発明にいう上記界面反射率と定義する。
【0040】
銀系透明導電体薄膜層の材料には、80重量%以上の銀と、金、銅、パラジウム、白金、マンガン、カドニウムから選択された1つまたは2つ以上の元素により構成されたものが用いられる。銀は、金属材料の中で、最も電気導電率が高いばかりか、光吸収が小さく、光学的な透明性にもすぐれている。しかしながら、空気中の湿気、硫黄、塩素などに劣化しやすい。このため、電気伝導性、光学的透明性、耐劣化性の観点から、90〜99重量%の銀と上記金属1〜10重量%を固溶させた材料が好ましい。銀中に1〜10重量%の金を固溶させたものは、銀の劣化防止の観点から、とくに好ましい。金を10重量%以上混入させると、着色のため、透明性が損なわれやすく、電気伝導率の低下も大きい。また、金の混入量が1重量%未満では、銀の劣化が起こりやすい。
【0041】
透明薄膜層の材料には、光学的な透明性を有するものであれば使用できる。薄膜層の屈折率は、光学設計において所望の光学特性を達成しやすいものを選べばよく、各層の材料や屈折率がそれぞれ異なっていてもよい。単一の材料でも複数材料を焼結した材料を用いてもよい。銀系透明導電体薄膜層のマイグレーション防止効果や水、酸素のバリア効果がある材料なら、さらによい。
【0042】
好適な材料には、酸化インジウム、酸化錫、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、五酸化ニオブ、二酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、二酸化シリコン、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる1または2以上の化合物が挙げられる。酸化インジウムを主成分とし、二酸化チタンや酸化錫、酸化セリウムを少量含有させたものは、金属薄膜層の劣化防止効果があり、また電気導電性を有するため、金属薄膜層との聞の電気的導通が取りやすいため、好ましい。これら透明薄膜層の形成には、膜厚の制御性、均一性の点から、スパッタリング法を採用するのが好ましい。
【0043】
選択反射型円偏光板3は、必要な波長域に円偏光二色性を示す偏光子であればとくに制限なく用いることができる。たとえば、光学異方性の異なるフィルムを多数積層して、この偏光子を形成してもよいが、コレステリック液晶層を用いると、このような偏光子がより簡単に形成できる。
コレステリック液晶層としては、コレステリック液晶性を示す各種化合物を、とくに制限なく使用できる。たとえば、コレステリック液晶層は、コレステリック性の液晶配向を示す主鎖型、側鎖型またはこれらの複合型の各種骨格の液晶ポリマーにより形成される。
【0044】
主鎖型の液晶ポリマーとしては、芳香族単位などからなるメソゲン基を結合した構造を有する縮合系のポリマー、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリエステルイミド系などのポリマーが挙げられる。メソゲン基となる前記芳香族単位としては、フェニル系、ビフェニル系、ナフタレン系のものが挙げられ、これら芳香族単位は、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基などの置換基を有していてもよい。
【0045】
側鎖型の液晶ポリマーとしては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリシロキサン系、ポリマロネート系の主鎖を骨格とし、側鎖に環状単位などからなるメソゲン基を有するものが挙げられる。メソゲン基となる前記環状単位としては、たとえば、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、フェニルシクロヘキサン系、アゾキシベンゼン系、アゾメチン系、アゾベンゼン系、フェニルピリミジン系、ジフェニルアセチレン系、ジフェニルベンゾエート系、ビシクロヘキサン系、シクロヘキシルベンゼン系、ターフェニル系などが挙げられる。なお、これら環状単位の末端は、たとえば、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基などの置換基を有していてもよい。
【0046】
また、上記いずれの液晶ポリマーのメソゲン基も屈曲性を付与するスペーサー部を介して結合していてもよい。スペーサー部としては、ポリメチレン鎖、ポリオキシメチレン鎖などが挙げられる.スペーサー部を形成する構造単位の繰り返し数は、メソゲン部の化学構造により適宜に決定されるが、ポリメチレン鎖の繰り返し単位は0〜20、好ましくは2〜12、ポリオキシメチレン鎖の繰り返し単位は0〜10、好ましくは1〜3である。なお、コレステリック系液晶ポリマーは、ネマチック系液晶ポリマーに低分子カイラル剤を含有させたり、ポリマー成分中にキラル成分を導入することにより、調製することができる。
【0047】
液晶ポリマーの分子量は、とくに制限されないが、重量平均分子量に基づき、2千〜10万程度のものが好ましい。液晶ポリマーの重量平均分子量が大きくなりすぎると、液晶としての配向性、とくにラビング配向膜などを介した場合におけるモノドメイン化に乏しくなって、液晶ポリマーが均一な配向状態を形成しにくくなる傾向があるため、液晶ポリマーの重量平均分子量は、5万以下とするのがより好ましい。また、液晶ポリマーの重量平均分子量が小さくなりすぎると、非流動層としての成膜性に乏しくなる傾向があるため、液晶ポリマーの重量平均分子量は、2.5千以上とするのがより好ましい。
【0048】
液晶ポリマーのガラス転移温度は、用途目的により適宜決定されるが、基材の耐熱性の点より、通常50〜150℃程度であるのがよい。コレステリック液晶層の形成は、コレステリック液晶ポリマーの溶液を塗布、乾燥したり、重合性のコレステリック液晶モノマーを熱や光によって重合することにより、行われる。コレステリック液晶層において、コレステリック性を示すキラル成分は、コレステリック液晶ポリマーの調製段階やコレステリック液晶モノマーの重合段階において、所望の選択反射帯域に応じて、適宜に調製される.コレステリック液晶層の厚みは、1〜20μmが望ましく、2〜10μmがより望ましい。
【0049】
なお、コレステリック液晶層を形成するにあたっては、コレステリック液晶を配向させるため、配向膜を設ける。配向膜としては、従来知られている各種のものを使用でき、たとえば、透明な基材上にポリイミドやポリビニルアルコールなどからなる薄膜を形成してそれをラビングする方法により形成したもの、透明なフィルムを延伸処理した延伸フィルム、シンナメート骨格やアゾベンゼン骨格を有するポリマーまたはポリイミドに偏光紫外線を照射したものなど、コレステリック液晶を配向させうる各種のものを使用できる。
【0050】
上記のように、コレステリック液晶を用いると、円偏光二色性が発現する選択反射波長域をある程度任意に設計できる。たとえば、選択反射波長域の異なるコレステリック液晶層を多層に積層すれば、380〜780nmの全可視域で円偏光二色性が発現するような選択反射型円偏光板を作製できる。
【0051】
電磁波シールド材2での外光反射は、前記の図2の説明から明らかなように、選択反射型円偏光板3には関係なく低減される。したがって、選択反射型円偏光板3の選択反射波長域は、基本的には表示装置4の発光スペクトルのピーク位置にのみあれば、本発明の効果は十分に発揮できる。すなわち、発光ピークのない波長域には、むしろ選択反射性を持たない方が好ましい。
なぜなら、表示装置内部で反射される外光のうち、選択反射型円偏光板3の選択反射波長域から外れる反射光は、電磁波シールド材2での反射光と同じ原理で低減され、観測者に入る光をさらに低減できる。この場合、赤色、緑色、青色の各発光スペクトルピークの波長域に選択反射が発現するコレステリック液晶層を重ねて形成すれば、容易に実現できる。また、表示装置の画素ごとに、これらコレステリック液晶層をパターニング形成してもよい。この場合、視感度の高い緑色の面積を約1/3に減らせるので、外光反射をさらに低減できる。
【0052】
このように、本発明では、表示装置4の発光波長域に円偏光二色性が発現する選択反射型円偏光板3が設置されていることが肝要であり、それ以外の波長域に関しては、適宜、目的に応じて設計すればよく、とくに限定されない。
【0053】
本発明の表示装置用電磁波シールドフィルタは、電磁波シールド性が要求される表示装置であれば、どのような用途にも、好ましく利用することができるが、とくに、強度の電磁波が放射されるPDPに好適に利用できる。すなわち、本発明においては、上記構成の電磁波シールドフィルタを具備したPDP用フィルタを提供することができる。PDPは通常の表示装置に要求される機能のほかに、近赤外線カット性とNe発光カット性がさらに要求される。
【0054】
電磁波シールド材2として、銀系透明導電体薄膜層と透明薄膜層との多層膜タイプものを使用すると、電磁波シールド性と近赤外線カット性を同時に満足することができる。一方、導電性メッシュを使用する場合や、銀系透明導電体薄膜ではその効果が不十分である場合、吸収型円偏光板1と表示装置4との間の任意の位置に、波長850〜1,000nmの近赤外線をカットする層を、適宜、挿入すればよい。近赤外線カット層はフタロシアニン系の吸収材料を用いたものでもよいし、近赤外線波長域に円偏光二色性を示すコレステリック液晶層2枚を1/2波長位相差板で貼り合せたり、お互いに振れ方向の直行したコレステリック液晶層同士を貼り合わせるなどしても好適に用いられる。
【0055】
また、選択反射型円偏光板3として、波長580〜590nmの範囲には選択反射性を持たないもの、つまりNe発光波長域に円偏光二色性を示さないものを用いれば、この波長域の発光光は、図2の説明より、約半分が吸収型直線円偏光板11で吸収されるため、Ne発光カット性を約2倍に向上できる。Ne発光は通常585nm付近にあり、その帯域幅は10nm程度であるが、コレステリック液晶層の選択反射波長域を適宜に選び、複合することにより、上記カット性を実現できる。こうすることにより、Ne発光に起因したオレンジ色発光光の光線透過率を半減することができ、赤色発光の色純度を向上できる。
【0056】
本発明においては、このように構成されるPDP用フィルタを、別途用意した透明成型体上に付設して(上記フィルタを形成/または貼り合わせて)、PDP用全面フィルタを作製し、これをPDPの前面に空気層を介して装着することにより、PDP表示装置とすることができる。
また、別の形態として、PDP本体の前面表示ガラス部に、透明粘着剤ないし透明接着剤を介して、上記構成のPDP用フィルタを直接貼り合わせることで、本発明の特徴をより生かしたPDP表示装置としてもよい。この場合、前面表示ガラス部破損時の飛散防止効果も同時に得られる。その際、前面表ガラス部の強度不足を補うため、衝撃緩和層を付加して貼り合わせるなどしてもよい。
【0057】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、既述のとおり、円偏光とは完全な円偏光に近い楕円偏光も含めて表現されている。さらに、以下の実施例および比較例での評価項目およぴ評価方法は、下記のとおりである。
【0058】
<表面抵抗値>
電磁波シールド材について、三菱油化社製の「Lorester SP」を用い、四探針法にて、表面抵抗値を測定した。
【0059】
<平均視感度反射率>
大塚電子社製の瞬間マルチ測光システム「MCPD3000」を用い、反射スペクトルを波長380〜780nmの範囲で10nmおきに測定した。そのデータを元に、JIS R3106にしたがって、平均視感度反射率を算出した。
【0060】
<界面反射率>
アクリル系粘着剤の片面を黒塗りし、平均視感度反射率を測定した。つぎに、アクリル系粘着剤を電磁波シールド材の表面に貼り合わせ、電磁波シールド材の裏面を黒塗りした状態で、平均視感度反射率を測定した。電磁波シールド材貼り合わせ後の平均視感度反射率の増加分を、界面反射率とした。
【0061】
<フィルタの反射率>
PDP表示装置について、PDPの表示を全面黒表示とし、その際の平均視感度反射率を測定した。
【0062】
<発光強度比>
大塚電子社製の瞬間マルチ測光システム「MCPD3000」を用い、PDPの表示を全面白表示とし、フィルタを貼り付けていない場合の緑発光のピーク強度を測定し、それを1とした.同様の条件で、フィルタを設置した場合の強度を測定し、フィルタなしとの比を求めた。この比は、おおよそフィルタの透過率に相当する。
【0063】
<近赤外線カット率>
大塚電子社製の瞬間マルチ測光システム「MCPD3000」を使用し、波長900nmの透過率を測定し、この測定値を100%から引き算して、近赤外線カット率とした。
【0064】
実施例1
<吸収型円偏光板の作製>
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを5重量%瑚酸水溶液(30℃)中で300%延伸処理してなる複屈折性フィルムと、厚さ50μmのポリカーボネートフィルムを160℃で35%延伸処理してなる複屈折性フィルムを、それらの光軸が直交するように、透明なアクリル系粘着剤を介して積層し、1/4波長位相差板を得た。さらに、透明なアクリル系粘着剤を介して、上記構成の位相差板をそのポリビニルアルコールフィルムの光軸が透過軸に対し45度の角度で交差するように偏光フィルム(日東電工社製の「NPF−G1225DU」)と積層し、右円偏光を透過する吸収型円偏光板を作製した。
【0065】
<電磁波シールド材の作製>
厚さ50μmの透明なアクリル系粘着剤を2枚用意し、線径50μm、ピッチ190μm、開口率63%、表面抵抗値0.1Ω/□の繊維メッシュを、上記のアクリル系粘着剤でサンドイッチして貼り合わせ、オートクレープで脱泡処理することにより、導電性メッシュからなる電磁波シールド材を作製した。
【0066】
<選択反射型円偏光板の作製>
(1) 光学的異方性を示さない厚さ50μmの三酢酸セルロースフィルムの上に厚さ0.1μmのポリビニルアルコール層を設けてレーヨン布でラビング処理して配向膜を形成し、その配向膜上にアクリル系サーモトロピックコレステリック液晶ポリマーの20重量%テトラヒドロフラン溶液をワイヤバーにて塗工して乾燥させたのち、150±2℃で5分間、加熱配向処理後、室温で放冷して、厚さ1μmのコレステリック液晶ポリマー層を形成する方式にて、円偏光二色性を示す波長域が(A)350〜450nm、(B)450〜550nm、(C)600〜700nm、(D)750〜850nmで、左円偏光を反射する4種のコレステリック液晶ポリマー層を得た。
(2) つぎに、上記の(A)と(B)のコレステリック液晶ポリマ一層をその液晶面同士を密着させて150±2℃で2分間、加熱圧着処理後、その(B)側の三酢酸セルロースフィルムを剥離し、その液晶ポリマー層の露出面に(C)のコレステリック液晶ポリマー層をその液晶面同士を密着させて、150±2℃で2分間加熱圧着処理したのち、上記に準じ、(D)のコレステリック液晶ポリマー層も加熱圧着処理して、厚さ方向に螺旋ピッチが変化して円偏光二色性を示す波長域が400〜800nmの選択反射型円偏光板を作製した。
【0067】
<電磁波シールドフィルタの作製>
上記の吸収型円偏光板の位相差板の面と、上記の導電性メッシュからなる電磁波シールド材を貼り合わせ、さらにこの電磁波シールド材の逆面と上記の選択反射型円偏光板のコレステリック液晶層の面を貼り合わせた。その後、吸収型円偏光板の直線偏光板の表面に、反射率が1.0%の市販の反射防止フィルム(日本油脂社製の商品名「リアルック2200」)を、透明なアクリル系粘着剤を介して貼り合わせて、電磁波シールドフィルタを作製した。
【0068】
<PDP表示装置の作製>
上記の電磁波シールドフィルタをPDP用フィルタとし、これを10cm×10cmのサイズに切り出し、その選択反射型円偏光板側を、PDP表示装置(パイオニア社製の型名「PDP−502HP」)に設置されている前面板フィルタを取り外して、その本体表示パネルの前面ガラス部に、透明なアクリル系粘着剤を介して直接貼り合わせ、PDP表示装置を作製した。
【0069】
比較例1
選択反射型円偏光板を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0070】
比較例2
吸収型円偏光板と選択反射型円偏光板をともに用いず、導電性メッシュからなる電磁波シールド材の片面に反射防止フィルムを貼り合わせるようにした以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0071】
比較例3
実施例1において、位相差板を光軸が透過軸に対し135度の角度で交差するように偏光フィルムと積層し、左円偏光を透過する吸収型円偏光板を作製した。これを使用した以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0072】
比較例4
実施例1において、フォトリソグラフィー法にて作製した、線径15μm、ピッチ170μm、開口率87%、表面抵抗値0.8Ω/□の黒化処理済みのメッシュを用いて、導電性メッシュからなる電磁波シールド材を作製した。これを使用した以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0073】
比較例5
吸収型円偏光板と選択反射型円偏光板をともに用いず、導電性メッシュからなる電磁波シールド材の片面に反射防止フィルムを貼り合わせるようにした以外は、比較例4と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0074】
上記の実施例1および比較例1〜5のPDP表示装置について、電磁波シールド材の表面抵抗値、発光強度比およびフィルタの反射率を調べた。これらの結果を、メッシュフィルタの低コスト性の評価とともに、表1に示した。上記の低コスト性は、黒化処理およびフォトリソ工程が不要で低コストであるものを○、黒化処理およびフォトリソ工程が必要で高コストであるものを×、と評価した。
【0075】
Figure 0003819777
【0076】
上記の表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1では、電磁波シールド材として安価でかつ線径の太い導電性メッシュを用いているにもかかわらず、発光強度比が高く、黒表示時のフィルタの反射率も低く抑えられ、画像の引き締まった、明室コントラストの高いPDP表示装置とすることができた。しかも、電磁波シールド性は、0.1Ω/□という表面抵抗値から、PDPから発生する電磁波を十分にシールドできるものであった。
【0077】
これに対し、選択反射型円偏光板を用いなかった比較例1では、反射率こそ低い値が得られるが、発光強度比は0.30に低下し、暗いPDP表示装置となった。導電性メッシュだけを実装した比較例2では、発光強度比は高く明るいが、反射率が15.9%となり、明室コントラストが極端に低くなった。吸収型円偏光板の吸収する円偏光光と逆方向の円偏光を反射する関係にした比較例3では、PDPからの発光光のほぼすべてが、吸収型円偏光板に吸収され、発光強度比が0.01%にまで低下し、PDPの表示はほとんど見えなくなった。
【0078】
また、導電性メッシュにフォトリソグラフイーを駆使して作製した、ファインなものを用いた比較例4では、その開口率が高い分、発光強度比は増加したが、表面抵抗値が0.8Ω/□となり、電磁波シールド性に劣り、また非常にコストが高くなり、実施例1と比べて、優位性はみられなかった。さらに、上記ファインな導電性メッシュだけを実装した比較例5では、外光が強くなるとメッシュの反射が気になり、PDP自体は明るいが、明室コントラストが低かった。
【0079】
実施例2
電磁波シールド材として、銀系透明導電体薄膜層を含む多層膜タイプのものを以下のようにして作製した。
すなわち、厚さ75μmのノルボルネン系樹脂フィルム(JSR社製の商品名「アートン」)の片面に、DCマグネトロンスパッタ法により、高屈折率透明薄膜、銀系透明導電体薄膜、高屈折率透明薄膜の順序を繰り返して薄膜形成する手法により、電磁波シールド材を作製した。
高屈折率透明薄膜を形成するターゲット材料には、In2 3 −12.6重量%TiO2 (以下、ITOという)を使用し、銀系透明導電体薄膜を形成するターゲット材料には、Ag−5重量%Au(以下、単にAgという)を使用した。膜厚の制御は、厚膜に付けた膜の表面粗さ計(「DEKTAK3」)による膜厚の測定から得られた、成膜速度の検量線を用いて行った。
【0080】
このように作製した電磁波シールド材は、下記の構成を有するものであった。ただし、括弧内は膜厚(nm)を示している。
アートンフィルム/ITO(40)/Ag(20)/ITO(40)
この電磁波シールド材を用い、その多層膜側が吸収型円偏光板の位相差板側になるように、透明なアクリル系粘着剤を介して貼り合わせるようにした以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0081】
実施例3
電磁波シールド材の構成を、
アートンフィルム/ITO(35)/Ag(13)/ITO(70)/Ag(13)/ITO(70)/Ag(13)/ITO(35)
とした以外は、実施例2と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製した。ただし、上記の括弧内は膜厚(nm)を示している。また、この電磁波シールドフィルタを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0082】
比較例6
選択反射型円偏光板を用いなかった以外は、実施例2と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0083】
比較例7
吸収型円偏光板と選択反射型円偏光板をともに用いず、銀系透明導電体薄膜層を含む多層膜タイプからなる電磁波シールド材の片面に反射防止フィルムを貼り合わせるようにした以外は、実施例2と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0084】
比較例8
選択反射型円偏光板として、実施例2とは配向の振れ方向が逆のコレステリック液晶を用い、右円偏光を反射し、左円偏光を透過する選択反射型円偏光板を使用した以外は、実施例2と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0085】
比較例9
電磁波シールド材の構成を、
アートンフィルム/ITO(44)/Ag(6.5)/ITO(44)
とした以外は、実施例2と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製した。ただし、上記の括弧内は膜厚(nm)を示している。また、この電磁波シールドフィルタを用いて、PDP表示装置を作製した。
なお、上記フィルタは、界面反射率を最小にするために、アクリル系粘着剤の光学アドミタンスと電磁波シールド材の光学アドミタンスを一致させるように光学設計し、Ag層の厚さを6.5nmに選んだものである。
【0086】
上記の実施例2,3および比較例6〜9のPDP表示装置について、電磁波シールド材とその面上に形成される隣接層であるアクリル系粘着剤との界面反射率を調べた。結果は、下記の表2に示されるとおりであった。
【0087】
Figure 0003819777
【0088】
つぎに、上記の実施例2,3および比較例6〜9のPDP表示装置について、電磁波シールド材の表面抵抗値、フィルタの反射率、発光強度比および近赤外線カット率を調べた。結果は、下記の表3に示されるとおりであった。
【0089】
Figure 0003819777
【0090】
上記の表2および表3の結果から明らかなように、実施例2では、Agが1層の簡単な構成でその膜厚を20nmと厚くしたため、比較的低い表面抵抗が得られたが、この電磁波シールド材と隣接層であるアクリル系粘着剤との光学アドミタンスを一致させるような光学設計としていないため、界面反射率が22.4%と大きくなった。しかし、本発明の構成とすることにより、フィルタの反射率は1.7%まで低減され、しかも高い発光強度比を達成できた。同様に、実施例3では、電磁波シールド材をさらに多層構成としたことにより、より低い表面抵抗とすぐれた近赤外線カット性を両立することができた。
【0091】
これに対して、比較例6〜8では、表1の結果に類似し、いずれも、表示装置用電磁波シールドフィルタとして好適なものではなかった。また、電磁波シールド材とアクリル系粘着剤との光学アドミタンスを一致させるように光学設計した比較例9では、簡単なAg1層構成ではその膜厚を6.5nmと薄くせざるを得ず、この場合、界面反射率は0.2%に抑えることができ、本発明の2種の円偏光板を用いなくても低反射率と高い発光強度比を実現できたが、表面抵抗値が30.3Ω/□と急上昇し、電磁波シールド性が極端に低下した。
【0092】
実施例4
吸収型円偏光板と導電性メッシュからなる電磁波シールド材との間に、下記の近赤外線カットフィルムを挿入した以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0093】
<近赤外線カットフィルム>
(1) 光学的異方性を示さない厚さ50μmの三酢酸セルロースフィルムの上に、厚さ0.1μmのポリビニルアルコール層を設けてレーヨン布でラビング処理して配向膜を形成し、その配向膜上にアクリル系サーモトロピックコレステリック液晶ポリマーの20重量%テトラヒドロフラン溶液をワイヤバーにて塗工して乾燥させたのち、150±2℃で5分間、加熱配向処理後、室温で放冷して、厚さ1μmのコレステリック液晶ポリマー層を形成する方式にて、円偏光二色性を示す波長域が(A)800〜900nm、(B)900〜1,000nm、(C)1,000〜1,100nmで、左円偏光を反射する3種のコレステリック液晶ポリマー層を得た。
(2) 上記(A)と(B)のコレステリック液晶ポリマー層をその液晶面同士を密着させ、150±2℃で2分間、加熱圧着処理したのち、その(B)側の三酢酸セルロースフィルムを剥離し、その液晶ポリマー層の露出面に上記(C)のコレステリック液晶ポリマー層をその液晶面同士を密着させ、150±2℃で2分間、加熱圧着処理し、厚さ方向に螺族ピッチが変化して円偏光二色性を示す波長域が800〜1,100nmの選択反射型円偏光板を作製した。
(3) 上記と同様の方法で、螺族ピッチが逆振れで、右円偏光を反射する選択反射型円偏光板を作製した。これら2つの選択反射型円偏光板を、透明なアクリル系粘着剤を介して貼り合わせ、波長800〜1,100nmの近赤外線を全反射する近赤外線カットフィルムを作製した。図3は、この近赤外線カットフィルムの透過スペクトルを示したものである。
【0094】
実施例1では、電磁波シールド材に導電性メッシュを用いているため、PDP用フィルタとして必要な機能である近赤外線カット性は得られなかった。しかし、上記の実施例4では、近赤外線カットフィルムを挿入することにより、電磁波シールド性、可視光線低反射性、可視光線高透過性などの機能を維持したまま、近赤外線カット性を容易に付与することができた。
【0095】
実施例5
選択反射型円偏光板として、下記の方法で作製した選択反射型円偏光板を使用した以外は、実施例4と同様にして、電磁波シールドフィルタを作製し、またこれを用いて、PDP表示装置を作製した。
【0096】
<選択反射型円偏光板の作製>
(1) 光学的異方性を示さない厚さ50μmの三酢酸セルロースフィルムの上に、厚さ0.1μmのポリビニルアルコール層を設けてレーヨン布でラビング処理して配向膜を形成し、その配向膜上にアクリル系サーモトロピックコレステリック液晶ポリマーの20重量%テトラヒドロフラン溶液をワイヤバーにて塗工して乾燥させたのち、150±2℃で5分間、加熱配向処理後、室温で放冷し、厚さ1μmのコレステリック液晶ポリマー層を形成する方式にて、円偏光二色性を示す波長域が(A)400〜500nm、(B)460〜560nm、(C)600〜700nmで、左円偏光を反射する3種のコレステリック液晶ポリマー層を得た。
(2) つぎに、上記(A),(B),(C)のフィルムを、それぞれアクリル系粘着剤を介して貼り合わせて、選択反射型円偏光板を作製した。
図4は、このように作製した選択反射型円偏光板の透過スペクトル(曲線−a)と、本実施例5で作製したPDP表示装置の白色発光時の発光スペクトル(曲線−b)とを、合わせて示したものである。
【0097】
この実施例5で用いた選択反射型円偏光板は、図4に示すように、波長580〜590nmに現れるNe発光波長域には選択反射を示さないように設計されている。ここで、Ne発光色はオレンジ色の発光であり、PDP表示装置の赤色の色純度を低下させるため、カットするのが望ましい。
本発明の原理から、上記波長範囲の光は選択反射型円偏光板の作用を受けず、そのまま自然光として吸収型円偏光板に入射し、その少なくとも50%は上記円偏光板に吸収される。つまり、必要な発光色は、本発明の選択反射型円偏光板の作用で、吸収型円偏光板に吸収されないように働き、不要なNe光は半減させることができる。その結果、他の発光ピークに対するNe光のピーク強度が下がり、PDPの色再現性、色純度を向上できる。もちろん、電磁波シールド性やその他の光学特性にはなんら影響がなく、好適に使用できた。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、従来、外光反射は低減できてもその発光強度も半減させてしまう問題があった円偏光フィルタ方式において、それに伴う発光強度の低下を最小限に留めることができる。しかも、選択反射型円偏光板を付与するだけで電磁波シールド性にすぐれ、表示装置の発光輝度を極力損なわず、外光反射が少ない、視認性のすぐれた、明室コントラストの高い表示装置の製造を可能とする電磁波シールドフィルタを1枚の複合フィルムとして提供できる。また、このフィルタを用いることで、外部周辺機器に対するノイズ源になることなく、しかも視認性にすぐれるPDP表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置用電磁波シールドフィルタの基本構成を示す概略図である。
【図2】上記電磁波シールドフィルタの作用の説明図である。
【図3】実施例4で用いた近赤外線カットフィルムの透過スペクトルを示す図である。
【図4】実施例5で用いた選択反射型円偏光板の透過スペクトルと、実施例5で作製したPDP表示装置の白色発光時の発光スペクトルとを示す図である。
【符号の説明】
A 表示装置用電磁波シールドフィルタ
1 吸収型円偏光板
11 吸収型直線偏光板
12 1/4波長位相差板
2 電磁波シールド材
3 選択反射型円偏光板
4 表示装置

Claims (9)

  1. 表示装置の観察者側から順に、吸収型円偏光板と、電磁波シールド材と、上記の吸収型円偏光板の吸収する円偏光光と同方向の円偏光光を反射し、それとは逆方向の円偏光光を透過する選択反射型円偏光板を具備してなることを特徴とする表示装置用電磁波シールドフィルタ。
  2. 選択反射型円偏光板は、円偏光二色性を示すコレステリツク液晶層を具備する請求項1に記載の表示装置用電磁波シールドフィルタ。
  3. 電磁波シールド材は、導電性メッシュからなり、その線幅が20μm以上、開口率が85%以下である請求項1または2に記載の表示装置用電磁波シールドフィルタ。
  4. 電磁波シールド材は、1層以上の銀系透明導電体薄膜層を含み、電磁波シールド材とその面上に形成される隣接層との界面反射率が0.5〜30%である請求項1または2に記載の表示装置用電磁波シールドフィルタ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波シールドフィルタを具備することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用フィルタ。
  6. 吸収型円偏光板と表示装置との間に波長850〜1,000nmの近赤外線をカットする層が挿入されている請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルタ。
  7. 選択反射型円偏光板は、波長580〜590nmの範囲には選択反射性を持たない請求項5または6に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルタ。
  8. プラズマディスプレイパネルの前面に、空気層を介して設置される透明成型体に請求項5〜7のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用フィルタを付設したプラズマディスプレイパネル用前面フィルタを装着したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル表示装置。
  9. プラズマディスプレイパネル本体の前面表示ガラス部に、透明粘着剤ないし透明接着剤を介して、請求項5〜7のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用フィルタが直接貼り合わされていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル表示装置。
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