JP3819627B2 - 電気推進装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば船舶を高速、低速で運転するに適用される電気推進装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7はかかる電気推進装置の構成図である。
【0003】
ディーゼル又はガスタービンなどの動力装置(Eng)1には、発電機(Ge)2が接続されている。この発電機2の出力端には、遮断器3を介して主電源母線4が接続され、発電機2の出力(電力)が遮断器3を介して主電源母線4に供給されている。
【0004】
この主電源母線4には、複数の半導体電力変換装置、ここでは半導体電力変換装置5,6がそれぞれ各遮断器7,8を介して接続されている。これら半導体電力変換装置5,6は、それぞれインバータ又はサイクロコンバータ等から構成されるもので、発電機2からの電力の供給を受けてそれぞれ推進電動機(Mo )9,10を駆動する。なお、各推進電動機9,10には、それぞれプロペラ11,12が接続されている。
【0005】
これら半導体電力変換装置5,6の効率は、一般に図8の効率曲線Qに示すように定格出力P1で最高の効率が得られ、出力が低下するにつれて効率は低下する特性を示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような効率特性を有する半導体電力変換装置5,6で推進電動機9,10を駆動すると、図8に示すように定格出力P1の例えば10〜30%という低い出力の範囲では、効率の悪い状態で運転することになる。
【0007】
一方、推進装置の回転数・出力特性は、図9の出力曲線Rに示すように速力が2分の1になると出力は約8分の1になる特性がある。
【0008】
このため、特殊用途の船舶によっては、中速以下の出力で運転時間の長いものもある。このような船舶では低速域で長時間運転するようになるために、図8及び図9に示す例えば出力P2以下の低速側の効率特性となり、効率の悪い領域で運転することとなって燃費が多嵩む。
【0009】
そこで本発明は、低出力側での効率を向上させることができる電気推進装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の観点に従った電気推進装置は、推進力を得るための推進電動機と、前記推進電動機を所定出力以上の出力で運転するときに前記推進電動機を駆動する第1の半導体電力変換手段と、前記所定出力より低い出力時の効率が前記第1の半導体電力変換手段より優れ、前記推進電動機を所定出力より低い出力で運転するときに前記推進電動機を駆動する第2の半導体電力変換手段と、を備えている。
【0011】
【発明の実施の形態】
(1)以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図7と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0012】
図1は船舶に適用される電気推進装置の構成図である。
【0013】
上記各半導体電力変換装置5,6は、所定出力以上すなわち大出力用の各半導体電力変換装置5,6として用いられる。これら半導体電力変換装置5,6は、例えば3000kW、5000kW又は8000kW〜等の大出力用で、例えばサイクロコンバータ、負荷転流型インバータ又はGTOインバータから構成されている。図2にはこれら半導体電力変換装置5,6の効率曲線Qaが示されており、出力が大きい程効率が高くなっていることが分かる。
【0014】
これら半導体電力変換装置5,6には、それぞれ小出力用の各半導体電力変換装置20,21が並列接続されている。これら半導体電力変換装置20,21は、低出力用としてトランジスタ又はIGBTインバータから構成されている。図2にはこれら半導体電力変換装置20,21の効率曲線Qbが示されており、出力が小さい領域において効率が高くなっていることが分かる。
【0015】
なお、各推進電動機9,10は、それぞれ例えば図3(a)(b)に示すように大出力用巻線22と小出力用巻線23とを備えたものとなっている。
【0016】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
【0017】
動力装置1の駆動によって発電機2で電力が発生すると、この発電機2の電力は、遮断器3を通して主電源母線4に供給され、さらに各遮断器7,8を通して大出力用の各半導体電力変換装置5,6及び低出力用の各半導体電力変換装置20,21に供給される。
【0018】
ここで、各推進電動機9,10を大出力で駆動する場合には、大出力用の各半導体電力変換装置5,6によって電力を各推進電動機9,10に供給する。
【0019】
又、各推進電動機9,10を低出力で駆動する場合には、低出力用の各半導体電力変換装置20,21によって電力を各推進電動機9,10に供給する。
【0020】
従って、船舶を目的地まで早く到達するために高速で運転する場合には、大出力用の各半導体電力変換装置5,6を使用して各推進電動機9,10に電力を供給して運転する。又、高速で運転する場合には、大出力用及び低出力用の各半導体電力変換装置5,6,20,21を使用して各推進電動機9,10に電力を供給して運転する。
【0021】
そして、船舶が目的地へ到着してから仕事を低速で処理する場合には、低出力の各半導体電力変換装置20,21のみを使用して各推進電動機9,10に電力を供給して運転する。
【0022】
このように上記第1の実施の形態においては、大出力用の各半導体電力変換装置5,6に加えて、低出力用の各半導体電力変換装置20,21を備えたので、船舶を高速で運転する場合は大出力の半導体電力変換装置5,6で運転し、低速の低出力で運転する場合は低出力の半導体電力変換装置20,21で運転するようになり、大出力から低出力の範囲で効率の良い運転ができ、燃費の節約となる。
【0023】
又、低速側は、IGBTインバータなどの半導体電力変換装置20,21を用いているので、IGBTインバータによる高周波でのスイッチングによって、出力波形は滑らかとなり、推進電動機9,10を低振動、低騒音で駆動でき、目的地での例えば音響測定などの作業をするときに優位になる。
【0024】
さらに、半導体電力変換装置が2系統あるので、一方の系統で不具合が発生しても残りの系統で運転することができ、信頼性が向上する。
【0025】
(2)次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0026】
図4は電気推進装置の構成図である。
【0027】
この装置は、大出力用推進電動機(Mo1)24a,24bと低出力用推進電動機(Mo2)25a,25bとを設け、大出力用の半導体電力変換装置5,6により大出力用推進電動機24a,24bを駆動し、低出力用の半導体電力変換装置20,21により低出力用推進電動機25a,25bを駆動するものとなっている。
【0028】
この場合、大出力用及び低出力用の各推進電動機24a,24b,25a,25bは、図5に示すように推進軸上にタンデムに取り付けた例と、図6に示すように一体的に構成した例とがある。
【0029】
このような構成であれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することは言うまでもなく、低出力で運転しているときに大出力側の推進電動機24a,24bは慣性の役割を果たすものとなり、速度の変化が少ない安定した運転ができる。
【0030】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、低出力側での効率を向上させることができる電気推進装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気推進装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】同装置の効率曲線を示す図。
【図3】同装置に用いられる推進電動機の構成図。
【図4】本発明に係る電気推進装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図5】同装置に用いられる推進電動機の構成図。
【図6】同装置に用いられる推進電動機の構成図。
【図7】従来装置の構成図。
【図8】同装置の効率曲線を示す図。
【図9】同装置の回転数対出力の関係を示す図。
【符号の説明】
1:動力装置、
2:発電機、
3,7,8:遮断器、
4:主電源母線、
5,6:大出力用の半導体電力変換装置、
9,10:推進電動機、
11,12:プロペラ、
20,21:低出力用の半導体電力変換装置、
24a,24b:大出力用の推進電動機、
25a,25b:低出力用の推進電動機。

Claims (2)

  1. 推進力を得るための推進電動機と、
    前記推進電動機を所定出力以上の出力で運転するときに前記推進電動機を駆動する第1の半導体電力変換手段と、
    前記所定出力より低い出力時の効率が前記第1の半導体電力変換手段より優れ、前記推進電動機を所定出力より低い出力で運転するときに前記推進電動機を駆動する第2の半導体電力変換手段と、
    を具備したことを特徴とする電気推進装置。
  2. 所定出力以上の出力で駆動し、推進力を得るための第1の推進電動機と、
    前記第1の推進電動機を駆動する第1の半導体電力変換手段と、
    前記所定出力より低い出力時の効率が前記第1の推進電動機より優れ、前記所定出力より低い出力で駆動し、推進力を得るための第2の推進電動機と、
    前記第2の推進電動機を駆動する前記所定出力より低い出力時の効率が前記第1の半導体電力変換手段より優れた第2の半導体電力変換手段と、
    を具備したことを特徴とする電気推進装置。
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