JP3819354B2 - 無停電電源装置、並びに、無停電電源装置を利用したコンピュータシステムおよびコンピュータの起動段階監視方法 - Google Patents

無停電電源装置、並びに、無停電電源装置を利用したコンピュータシステムおよびコンピュータの起動段階監視方法 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータなどの負荷機器へ給電する無停電電源装置に関する。また、本発明は、無停電電源装置を利用したコンピュータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンビニエンスストアなどの店舗にコンピュータを設置するとともに、このコンピュータと監視センタに設置される監視装置とをネットワークで接続するコンピュータシステムが利用されている。また、このコンピュータシステムでは、ATMサービス用のサービスプログラムなどが実行され、これにより、24時間体制でATMサービスを提供している。このような目的に利用することができるコンピュータシステムは、たとえば特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示されているコンピュータシステムでは、現金自動機に対応して設けられた監視コンピュータと、監視センタ用コンピュータとがネットワークを介して情報を送受する。そして、現金自動機における異常及び性能や稼働状況等を、離れた監視センタで、迅速かつ的確に把握することができる。
【0004】
なお、非特許文献1は、ウィンドウズ(登録商標)と呼ばれるオペレーティングシステムに搭載されるプラグアンドプレイ機能に関する仕様書である。この仕様書には、たとえば、RS232(Recommended Standard232)Cを使用してコンピュータに接続されている周辺機器が、プラグアンドプレイ機能に基づいて検出されるために実行する、通信方式が規定されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−008110号公報
【非特許文献1】
「プラグアンドプレイ、外部汎用コミュニケーションデバイス スペシフィケーション(Plug and Play External COM Device Specification)」,[online],Version 1.00,Microsoft Corporation & Hayes Microcomputer Products, Inc.,1995年2月28日
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように店舗に設置されるコンピュータは、必ずしも24時間連続運転されるものではない。24時間連続運転されないコンピュータは、毎日停止され、そして起動される。また、24時間連続運転されるコンピュータであったとしても、停電などの異常があった場合には、再度コンピュータを起動しなければならないこともある。
【0007】
そして、コンピュータを起動した場合に、コンピュータに何らかの異常が発生し、正常にコンピュータを起動することができないこともある。コンピュータを正常に起動することができないと、以下のような問題が生じる。
【0008】
コンピュータが正常に起動されなかった場合、コンピュータは監視装置へその異常を通知することができない。
【0009】
したがって、コンピュータが正常にできなかったことを、店舗の店員が確認し、その旨を電話などで監視センタに通知するまで、監視センタではコンピュータが正常に起動されなかったことを把握することができない。コンビニエンスストアなどの店員は、コンピュータにつきっきりにはなることができないので、コンピュータの異常をすばやく発見することはできない。このため、起動されなかったコンピュータを復旧するまでの時間が長くなってしまう。
【0010】
また、コンピュータから異常の原因が通知されないので、監視センタでは、コンピュータがどのような状態で起動ができなかったのかを把握することができない。
【0011】
したがって、監視センタのシステム管理者は、通常の修理ルーチンに従って保守サービス担当者を派遣することとなる。一方、ネットワークを使用したコンピュータシステムは、非常に多種多様な技術が組み合わされている。したがって、派遣された保守サービス担当者によっては、その故障原因となっている技術にあまり詳しくないこともある。そして、保守サービス担当者が不慣れである場合には、なかなか故障原因を特定することができず、コンピュータを復旧するまでの時間がさらに長くなってしまう。
【0012】
また、保守サービス担当者は、あらゆる故障原因にすばやく対応するためには、店舗に設置されているコンピュータの全ての部品と、全てのソフトウェアとを持参する必要がある。しかしながら、これは現実的ではない。したがって、最初に派遣される保守サービス担当者は、おおよその故障原因を把握し、その旨を監視センタに連絡するのみとなる。その後、その判明した故障原因に対応することができる他の保守サービス担当者が、必要な部品を持参して本来の修理をすることになる。その結果、コンピュータを復旧するまでの時間がさらに長くなってしまう。
【0013】
このように従来のコンピュータシステムでは、コンピュータを正常に起動することができなかった場合、その復旧までには非常に長い時間がかかってしまっている。特に、コンピュータの起動スケジュールは、サービスを行う全てのコンビニエンスストアでほぼ同じ時刻となる。したがって、多数のコンビニエンスストアで同時にコンピュータを正常に起動することができない場合、保守サービス担当者が不足し、その全てを完全に普及するまでには非常に長い時間がかかってしまうことになる。
【0014】
そこで、コンピュータの起動時の異常を、監視センタで把握するためには、コンピュータとは別体の監視装置を設け、その監視装置から監視センタへ起動異常を通知することが考えられる。しかしながら、このような監視装置を新たに追加した場合、各店舗に設置するコンピュータなどの装置のトータルの価格が上昇し、コンピュータシステム全体としては莫大なコストアップとなってしまう。そのため、実際には、コンピュータの起動を監視するための別体の監視装置が、コンピュータとともに各店舗に設置されるようにはなっていない。
【0015】
そこで、発明者らは、このようなコンピュータシステムの問題点について鋭意研究を重ね、その結果、このような目的で使用されるコンピュータシステムでは、コンピュータの動作安定性などを確保するために、無停電電源装置が接続されており、且つ、このような目的で使用される無停電電源装置と負荷機器とは互いに通信ができるようになっていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明は、コンピュータなどの負荷機器へ給電を開始した後に、負荷機器の起動段階を判定することができる無停電電源装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、このような無停電電源装置を利用して、特別な装置をわざわざ新たに設けることなく、コンピュータなどの負荷機器の起動段階を判定することができる、無停電電源装置を利用したコンピュータシステムを提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る無停電電源装置は、オペレーティングシステムプログラムおよびアプリケーションプログラムが自動的に実行されるコンピュータへ給電するとともに、そのコンピュータとの間で通信を行う通信部材を備える無停電電源装置であって、コンピュータへ正常な電力を給電していることを検出するセルフ検出手段と、コンピュータへの給電開始後に、通信部材に接続されている通信ケーブルの電圧を検出する電圧検出手段と、負荷機器への給電開始後に、通信ケーブルからのオペレーティングシステムプログラムによる信号を受信するOS信号検出手段と、負荷機器への給電開始後に、通信ケーブルからのアプリケーションプログラムによる信号を受信するAP信号検出手段と、セルフ検出手段が正常な電力を検出している状況下で、電圧検出手段が所定の電圧を検出しない場合には、コンピュータのハードウェアの故障と判定し、OS信号検出手段が信号を受信しない場合には、コンピュータのオペレーティングシステムプログラムを含む異常と判定し、AP信号検出手段が信号を受信しない場合には、コンピュータのアプリケーションプログラムの異常と判定する判定手段と、を備えるものである。
【0025】
この構成を採用すれば、無停電電源装置の異常と、コンピュータの異常とを判定することができる。また、コンピュータの異常として、ハードウェアの故障と、オペレーティングシステムプログラムを含む異常と、アプリケーションプログラムの異常とを判定することができる。その結果、それぞれの技術分野に詳しい保守サービス担当者に修理に当たらせることで、より短時間で且つより確実にコンピュータを復旧させることができる。
【0026】
本発明に係る他の無停電電源装置は、BIOSプログラム、オペレーティングシステムプログラムおよびアプリケーションプログラムが自動的に実行されるコンピュータへ給電するとともに、そのコンピュータとの間でSCSIケーブルあるいはUSBケーブルを介して通信を行う通信部材を備える無停電電源装置であって、コンピュータへ正常な電力を給電していることを検出するセルフ検出手段と、負荷機器への給電開始後に、通信部材に接続されている通信ケーブルの電圧を検出する電圧検出手段と、負荷機器への給電開始後に、通信ケーブルからのBIOSプログラムによる信号を受信するBIOS信号検出手段と、負荷機器への給電開始後に、通信ケーブルからのオペレーティングシステムプログラムによる信号を受信するOS信号検出手段と、負荷機器への給電開始後に、通信ケーブルからのアプリケーションプログラムによる信号を受信するAP信号検出手段と、セルフ検出手段が正常な電力を検出している状況下で、電圧検出手段が所定の電圧を検出しない場合には、コンピュータの電源ユニットを含めたハードウェアの故障と判定し、BIOS信号検出手段が信号を受信しない場合には、コンピュータの電源ユニット以外のハードウェア故障と判定し、OS信号検出手段が信号を受信しない場合には、コンピュータのオペレーティングシステムプログラムを含む異常と判定し、AP信号検出手段が信号を受信しない場合には、コンピュータのアプリケーションプログラムの異常と判定する判定手段と、を備えるものである。
【0027】
この構成を採用すれば、無停電電源装置の異常と、コンピュータの異常とを判定することができる。また、コンピュータの異常として、電源ユニットを含めたハードウェアの故障と、電源ユニット以外のハードウェアの故障と、オペレーティングシステムプログラムを含む異常と、アプリケーションプログラムの異常とを判定することができる。その結果、それぞれの技術分野に詳しい保守サービス担当者に修理に当たらせることで、より短時間で且つより確実にコンピュータを復旧させることができる。
【0028】
本発明に係る無停電電源装置を利用したコンピュータシステムは、コンピュータと、コンピュータとネットワークを介して接続される監視装置と、コンピュータに給電するとともに、ネットワークに接続される上述する無停電電源装置と、コンピュータと無停電電源装置とを接続する通信ケーブルと、を備え、無停電電源装置は、ネットワーク送信部材から監視装置へコンピュータの起動段階の判定結果を送信し、監視装置は、コンピュータの起動段階に関する判定結果を表示するものである。
【0029】
この構成を採用すれば、負荷機器がその起動途中において通信ケーブルへ送信する信号あるいは電圧を複数の検出手段で検出し、この複数の検出手段による検出結果に基づいて判定手段が負荷機器の起動段階を判定することができる。また、起動段階の判定結果は、コンピュータのネットワーク通信部材から監視装置へ送信されて、監視装置に表示される。したがって、このネットワーク通信部材から送信される起動段階の判定結果に基づいて、負荷機器がどの段階まで起動できたのか、あるいは、負荷機器がどの段階で起動できなくなっているのかを、監視装置において把握することができる。また、負荷機器がどの段階まで起動できたのか、あるいは、負荷機器がどの段階で起動できなくなっているのかを、監視装置において把握するために、特別な装置をわざわざ新たに設ける必要もない。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る無停電電源装置、並びに、無停電電源装置を利用したコンピュータシステムを、図面に基づいて説明する
【0033】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る無停電電源装置を利用したコンピュータシステムを示すシステム構成図である。
【0034】
無停電電源装置を利用したコンピュータシステムは、コンビニエンスストアなどの店舗に設置されるコンピュータ1と、コンピュータ1とともに店舗に設置される無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)2と、監視センタに設置される監視装置3と、を備える。
【0035】
無停電電源装置2とコンピュータ1とは、配電線4で接続されている。無停電電源装置2には、図示外の商用交流電源が、配電線4に相当する他の配電線(図示省略)を介して接続されている。無停電電源装置2は、通常は、商用交流電源から供給される交流電力を、負荷機器としてのコンピュータ1へ供給する。
【0036】
また、無停電電源装置2とコンピュータ1とは、通信ケーブルとなるRS−232用シリアルケーブル5で接続されている。
【0037】
RS−232用シリアルケーブル5は、9本の信号線で構成されている。RS−232規格では、この9本の信号線を用いて、CD(Carrier Detect)信号、RD(Receive Data)信号、TD(Transmit Data)信号、DTR(Data Terminal Ready)信号、SG(Signal Ground)信号、DSR(Data Set Ready)信号、RTS(Request to Send)信号、CTS(Clear to Send)信号およびRI(Ring Indicator(Open))信号を送受信する。
【0038】
コンピュータ1と監視装置3とは、ネットワーク6で接続されている。無停電電源装置2も、このネットワーク6に接続されている。ネットワーク6としては、たとえば、イントラネット、インターネット、ATM(Asynchronous Transfer Mode)交換網などがある。イントラネットやインターネットでは、イーサネット(登録商標)ケーブルが汎用されている。ATM交換網では、電話線が汎用されている。
【0039】
図2は、図1中のコンピュータ1の内部構成を示す装置構成図である。
【0040】
コンピュータ1は、マザーボードユニット11と、スイッチング電源12と、を備える。
【0041】
マザーボードユニット11は、プリント基板13を備える。このプリント基板13上には、プログラムを実行する中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)14と、中央処理装置14がプログラム実行の際に作業領域などとして利用するRAM(Random Access Memory)15と、が実装される。また、これら中央処理装置14およびRAM15は、プリント基板13に形成されるシステムバス16で互いに接続されている。
【0042】
また、このシステムバス16には、その他の機器として、プログラムやデータを記憶するハードディスクデバイスなどの記憶部材17と、RS−232用シリアルケーブル5が接続される通信部材としてのシリアル通信部材18と、ネットワーク6に接続するためのネットワーク通信部材19と、モニタ20と、キーボード21と、が接続されている。
【0043】
スイッチング電源12には、配電線4が接続される。この配電線4は、無停電電源装置2に接続されている。そして、スイッチング電源12は、この配電線4を介して無停電電源装置2から供給されてくる交流電力を、直流電力に変換する。この直流電力が、マザーボードユニット11およびその他の機器へ供給される。マザーボードユニット11の中央処理装置14、RAM15、その他の機器である記憶部材17、シリアル通信部材18、ネットワーク通信部材19、モニタ20およびキーボード21は、このスイッチング電源12からの直流電力が供給されると、その直流電力を使用して、それぞれの初期設定動作を自動的に開始する。
【0044】
シリアル通信部材18は、その初期設定動作を開始すると、RS−232規格に従って、DTR信号用の信号線を、0Vから所定の電圧(+3V以上の電圧あるいは−3V以下の電圧)へ変化させる。
【0045】
また、シリアル通信部材18は、システムバス16から通信データが入力されると、この通信データをRS−232規格に従って送信する。この通信データの送信にはTD信号用の信号線を使用する。シリアル通信部材18は、RD信号用の信号線から通信データを受信すると、この通信データをシステムバス16へ出力する。
【0046】
ネットワーク通信部材19は、ネットワーク6から受信した通信データをシステムバス16へ出力する。ネットワーク通信部材19は、システムバス16から入力される通信データをネットワーク6へ送信する。
【0047】
なお、たとえば上述するネットワーク6がTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に従って通信データを送受信する場合には、ネットワーク通信部材19は、送信データと、システムバス16から入力される送信先のIPアドレスとを、まとめた信号であるパケット化されたデータを送信する。また、ネットワーク通信部材19は、自身のIPアドレスを含むパケット化されたデータを受信し、そのパケットに含まれる通信データをシステムバス16へ出力する。
【0048】
記憶部材17には、オペレーティングシステムプログラム(OSプログラム)22と、UPS管理プログラム23と、サービスプログラム24と、が記憶されている。UPS管理プログラム23と、サービスプログラム24は共に、アプリケーションプログラム(APプログラム)であり、この実施の形態1では、OSプログラム22の起動が完了すると、これらのAPプログラムが自動的に起動される。
【0049】
中央処理装置14は、直流電力が供給されると、OSプログラム22を記憶部材17から読み込んで実行する。これにより、OS手段が実現される。OS手段は、起動されると、その初期設定動作において、システムバス16に接続されているその他の機器およびさらにその他の機器に接続されている機器を検索するための周辺機器検出信号を出力する。
【0050】
周辺機器検出信号は、システムバス16を介してその他の機器の各々へ送信される。その他の機器の各々は、この周辺機器検出信号に応じてそれぞれの周辺機器データを応答送信する。
【0051】
システムバス16を介して中央処理装置14へ周辺機器データが入力されると、OS手段は、その周辺機器データを記憶部材17に記憶させる。また、OS手段は、その周辺機器データに対応するソフトウェアインターフェースを構築する。具体的には、OS手段は、たとえば、周辺機器データを受信したその他の機器それぞれに、互いに異なるRAM15の記憶領域を割り当て、その記憶領域に書き込まれたデータを、該その他の機器へ出力する。また、OS手段は、その他の機器から入力されるデータを、所定のプログラムへ受け渡す処理を行う。
【0052】
なお、シリアル通信部材18は、上述する周辺機器検出信号がシステムバス16から入力されると、RS−232用シリアルケーブル5のDTR信号用の信号線から無停電電源装置2などへ送信する。その後、RS−232用シリアルケーブル5のDTR信号用の信号線から、周辺機器検出信号に応じた無停電電源装置2などからの周辺機器データを受信すると、シリアル通信部材18は、この受信した周辺機器データを、システムバス16へ送信する。これらRS−232用シリアルケーブル5に接続されている無停電電源装置2などの周辺機器も、その他の機器として記憶部材17に記憶される。
【0053】
このように初期設定動作において周辺機器検出信号を出力するOS手段としては、たとえば、ウィンドウズ(登録商標)やリナックスなどと呼ばれているOSプログラム22がある。これらのOSプログラム22は、それらの起動時にプラグアンドプレイ仕様に基づく周辺機器検出信号をシステムバス16へ出力する。このプラグアンドプレイ仕様に基づく周辺機器検出信号は、周辺機器を検出するために、予め定められた所定のデータパターンの信号になっている。
【0054】
次に、OS手段は、UPS管理プログラム23などの、自動起動が設定されているAPプログラムを順次、中央処理装置14に実行させる。また、キーボード21で指定されたAPプログラムを中央処理装置14に実行させる。
【0055】
UPS管理プログラム23は、中央処理装置14に実行される。これにより、UPS管理手段が実現される。
【0056】
UPS管理手段は、起動されると、シリアル通信部材18用のソフトウェアインターフェースへ、設定データや動作データなどの送信リクエストを出力する。この送信リクエストは、シリアル通信部材18用のソフトウェアインターフェースからシリアル通信部材18へ出力され、シリアル通信部材18からRS−232用シリアルケーブル5のTD信号用の信号線を介して、無停電電源装置2へ送信される。
【0057】
無停電電源装置2は、後述するように、送信リクエストを受信すると、送信リクエストに係る設定データや動作データを、応答送信する。この設定データや動作データは、RS−232用シリアルケーブル5を介してシリアル通信部材18に受信され、さらに、シリアル通信部材18用のソフトウェアインターフェースを介してUPS管理手段に入力される。UPS管理手段は、設定データや動作データを記憶部材17に記憶させる。
【0058】
また、UPS管理手段は、必要に応じて、モニタ20にUPS管理画面を表示し、このUPS管理画面に、記憶部材17に記憶しているデータを表示する。そして、キーボード21からの操作などによって、UPS管理画面に表示されているデータが変更されると、UPS管理手段は、この変更されたデータをシリアル通信部材18に送信させる。無停電電源装置2は、そのシリアル通信部材18から送信されてくるデータで、設定データや動作データを更新する。これにより、無停電電源装置2は、コンピュータ1によって設定された設定データや動作データに基づいて電源を監視し、コンピュータ1への給電を制御することになる。
【0059】
なお、設定データとしては、たとえば、無停電電源装置2に入力される商用交流電力の電圧異常判定用の閾値データや、無停電電源装置2から電力を出力する時間帯を指定するスケジュールデータなどがある。動作データとしては、無停電電源装置2の運転モードを強制的に切り替えたり、強制的に停止させたりする制御データなどがある。
【0060】
サービスプログラム24は、中央処理装置14に実行される。これにより、サービス手段が実現される。サービス手段は、起動されると、モニタ20に所定のサービス画面を表示するとともに、キーボード21からの入力データに応じて所定のサービスを実行する。また、サービス手段は、必要に応じてネットワーク通信部材19から監視装置3へデータやリクエストを送信したりする。
【0061】
また、サービス手段は、たとえば実行エラーなどが生じたりすると、ネットワーク通信部材19から監視装置3へその旨を通知するための通信データを送信する。逆に、サービス手段は、ネットワーク通信部材19が監視装置3から受信した通信データを利用して、サービスを実行する。
【0062】
なお、このようなサービス手段を備えるコンピュータ1によって実現することができるサービスとしては、たとえば、CD(キャッシュディスペンサー)サービス、ATM(オートマチックテラーマシーン)サービス、ローンサービス、航空券や興行などのチケット予約サービス、本などを販売する仮想店舗サービス、電子メール利用サービス、インターネット利用サービス、DPEサービス、コピーサービスなどがある。
【0063】
図3は、図1中の無停電電源装置2の内部構成を示す装置構成図である。
【0064】
無停電電源装置2は、配電線を介して商用交流電源が接続される入力端子31と、配電線4を介して負荷機器としてのコンピュータ1が接続される出力端子32と、入力端子31に接続されるコンバータ33と、出力端子32に接続されるインバータ34と、コンバータ33とインバータ34との間に接続されるバッテリ35と、を備える。
【0065】
コンバータ33は、入力端子31から入力される交流電力を直流電力へ変換する。この直流電力は、バッテリ35およびインバータ34に供給される。バッテリ35は、直流電力で充電される。インバータ34は、直流電力を交流電力へ変換する。このインバータ34が生成した交流電力が出力端子32からコンピュータ1へ出力される。
【0066】
コンバータ33とインバータ34とは、マイクロコンピュータ36にて制御される。マイクロコンピュータ36は、コンバータ33やインバータ34との間で制御信号を入出力するI/Oポート(Input/Output Port)37と、プログラムやデータを記憶する記憶部材38と、プログラムを実行する中央処理装置39と、中央処理装置39がプログラム実行の際に作業領域などとして利用するRAM40と、これらを相互に接続するシステムバス41と、を備える。
【0067】
記憶部材38には、電源監視プログラム42が記憶されている。この電源監視プログラム42は、無停電電源装置2が起動されると、中央処理装置39によって実行される。これにより、セルフ検出手段および検出手段としての電源監視手段が実現される。また、記憶部材38には、設定データ、動作データ、警報データなどの装置データ43が記憶される。
【0068】
電源監視手段は、起動されると、入力端子31に入力される交流電力を監視する。実際には、入力電圧や入力電流を検出する図示外の検出部材からの検出信号をI/Oポート37に入力させ、このI/Oポート37に入力される検出信号を監視する。この検出信号などは、動作データとして記憶部材38に記憶される。
【0069】
そして、たとえば入力電圧範囲などの設定データに基づいてI/Oポート37に入力される検出信号が正常であると判断できる場合、電源監視手段は、コンバータ33およびインバータ34を動作させる。これにより、無停電電源装置2は、入力端子31から入力される正常な交流電力を、出力端子32から出力することができる。また、無停電電源装置2は、入力端子31から入力される正常な交流電力で、バッテリ35を充電することができる。
【0070】
停電などに起因して、このI/Oポート37に入力される検出信号が正常でなくなると、電源監視手段は、コンバータ33を停止させる。これにより、バッテリ35に蓄電されている直流電力が、インバータ34を介してバックアップ電力として、出力端子32から出力される。また、電源監視手段は、バックアップ電力を供給している状態を示す警報データを記憶部材38に記憶させる。
【0071】
このように無停電電源装置2は、入力端子31に入力される交流電力に異常が生じたとしても、電力の供給源をバッテリ35に切り替えて、出力端子32から正常な交流電力を供給しつづけることができる。その結果、出力端子32に接続されるコンピュータ1(負荷機器)は、入力端子31に入力される交流電力が異常な状態になっているのにもかかわらず、無停電電源装置2から供給されるバックアップ電力によって、正常に動作し続けることができる。
【0072】
また、電源監視手段は、インバータ34から正常な電力が出力されると、記憶部材38に給電開始フラグを記憶させる。なお、インバータ34から正常な電力が出力されているか否かの判断は、たとえば図示外の電圧検出器で出力電圧を検出し、その出力電圧が所定の電圧範囲内に入っているか否かを判断すればよい。
【0073】
また、この実施の形態1に係る無停電電源装置2には、RS−232用シリアルケーブル5が接続される通信部材としてのシリアル通信部材44と、ネットワーク6に接続されるネットワーク通信部材45と、表示部材46と、を備える。これらシリアル通信部材44、ネットワーク通信部材45および表示部材46は、I/Oポート37に接続される。
【0074】
なお、シリアル通信部材44と、ネットワーク通信部材45とは、図2のコンピュータ1中の同名のものと同様に動作するものであり、説明を省略する。
【0075】
そして、電源監視手段は、バックアップ電力の供給を開始すると、このシリアル通信部材44に停止信号を送信させる。この停止信号は、RS−232用シリアルケーブル5およびコンピュータ1のシリアル通信部材18を介してUPS管理手段に受信される。UPS管理手段は、この停止信号に基づいてコンピュータ1の停止処理を実行する。停止信号を送信してから所定の時間が経過すると、電源監視手段は、インバータ34を停止させる。これにより、バッテリ35の蓄電電力が尽きてしまう前に、コンピュータ1を正常に停止させることができる。また、コンピュータ1は、正常に停止されるので、コンピュータ1の処理中のデータが消失してしまうこともない。
【0076】
電源監視手段は、このようにコンバータ33を停止させ且つ停止信号を出力した後に、引き続き入力端子31に入力される交流電力を監視し続けてもよい。そして、この交流電力が正常な状態に復帰したら、電源監視手段は、再びコンバータ33およびインバータ34を動作させる。これにより、商用交流電源が復帰すると直ちに、コンピュータ1を再起動することができる。
【0077】
なお、この実施の形態1にかかるコンピュータ1では、スイッチング電源12からの直流電力が供給されると、マザーボードユニット11およびその他の機器はそれぞれの初期設定動作を自動的に開始する。これに対して、スイッチング電源12からの直流電力が供給されたとしても、自動的に初期設定動作を開始しないようにコンピュータ1を構成することができる。このように電力供給に応じて自動的に初期設定動作を開始しないように構成したコンピュータ1が負荷機器として接続されている場合には、電源監視手段は、再びコンバータ33およびインバータ34を動作させた後に、シリアル通信部材44からコンピュータ1へ起動信号を送信すればよい。この起動信号によって、スイッチング電源12からの直流電力の供給によっては自動的に初期設定動作を開始しないように構成されたコンピュータ1は、起動する。
【0078】
表示部材46は、図示外の3つの赤色LED(Light EmittingDiode)と、1つの青色LEDと、を備える。3つの赤色LEDにはそれぞれ、後述する障害レベル0、障害レベル1および障害レベル2の各表示が割り当てられている。青色LEDには、正常動作レベルの表示が割り当てられている。
【0079】
さらに、この実施の形態1に係る無停電電源装置2の記憶部材38には、電圧検出プログラム47と、OS信号検出プログラム48と、ローカル通信プログラム49と、判定プログラム50と、ネットワーク通信プログラム51と、LED制御プログラム52と、が記憶されている。これらのプログラム47〜52は、無停電電源装置2が起動されると、電源監視プログラム42とともに、中央処理装置39によって実行される。
【0080】
電圧検出プログラム47が中央処理装置39によって実行されると、電圧検出手段および検出手段としての電圧検出手段が実現される。電圧検出手段は、シリアル通信部材44に接続されているDTR信号用の信号線を監視し、その信号線の電圧レベルを検出する。そして、RS−232用シリアルケーブル5のDTR信号用の信号線の電圧レベルが、プラスマイナス3V以上になっている場合には、電圧検出手段は、電圧を検出したことを示す電圧検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0081】
OS信号検出プログラム48が中央処理装置39によって実行されると、OS信号検出手段、信号検出手段および検出手段としてのOS信号検出手段が実現される。OS信号検出手段は、RS−232用シリアルケーブル5のDTR信号用の信号線を監視し、周辺機器検出信号を検出する。そして、周辺機器検出信号を検出した場合には、OS信号検出手段は、周辺機器検出信号を検出したことを示すOS検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0082】
なお、DTR信号用の信号線からの信号が、周辺機器検出信号であるか否かは、たとえば予め周辺機器検出信号のパターンを記憶部材38に記憶させておき、この記憶部材38に記憶されているパターンと、DTR信号用の信号線からの信号のパターンとが一致するか否かを判定すればよい。
【0083】
ローカル通信プログラム49が中央処理装置39によって実行されると、AP信号検出手段、信号検出手段および検出手段としてのローカル通信手段が実現される。ローカル通信手段は、RS−232用シリアルケーブル5のTD信号用の信号線を監視し、この信号線からの信号を検出して記憶部材38に記憶させる。ローカル通信手段は、設定データ、動作データおよび警報データを、シリアル通信部材44に、RS−232用シリアルケーブル5のRD信号用の信号線から送信させる。
【0084】
また、ローカル通信手段は、RS−232用シリアルケーブル5のTD信号用の信号線において、最初の信号を検出すると、信号を検出したことを示すAP検出フラグを記憶部材38に記憶させる。なお、この実施の形態1では、コンピュータ1のUPS管理手段は、起動されると最初に、送信リクエストをTD信号用の信号線へ送信する。したがって、この実施の形態1では、ローカル通信手段は、この送信リクエストを検出すると、信号を検出したことを示すAP検出フラグを記憶部材38に記憶させることになる。
【0085】
この他にもたとえば、コンピュータ1のUPS管理手段は、起動されると、コンピュータ1の図示外の内蔵タイマの時刻データを送信してもよい。この場合、無停電電源装置2のローカル通信手段は、受信した時刻データを記憶部材38に蓄積するとよい。これにより、無停電電源装置2の記憶部材38には、UPS管理手段の起動ログ、すなわちコンピュータ1が正常に起動したログが蓄積されることになる。その結果、このログ内の最後の時刻を確認することで、停止しているコンピュータ1に異常が発生した時間帯を推定することができる。
【0086】
判定プログラム50が中央処理装置39によって実行されると、判定手段が実現される。判定手段は、記憶部材38に、給電開始フラグ、電圧検出フラグ、OS検出フラグおよびAP検出フラグの4つのフラグが記憶されているか否かを監視する。
【0087】
給電開始フラグのみが記憶されている場合には、判定手段は、障害レベル0と判定する。給電開始フラグおよび電圧検出フラグが記憶されている場合には、判定手段は、障害レベル1と判定する。給電開始フラグ、電圧検出フラグおよびOS検出フラグが記憶されている場合には、判定手段は、障害レベル2と判定する。給電開始フラグ、電圧検出フラグ、OS検出フラグおよびAP検出フラグが記憶されている場合には、判定手段は、正常動作と判定する。
【0088】
なお、判定手段は、AP検出フラグが記憶されている場合には正常動作と判定し、AP検出フラグが無く且つOS検出フラグが記憶されている場合には障害レベル2と判定し、AP検出フラグおよびOS検出フラグが無く且つ電圧検出フラグが記憶されている場合には障害レベル1と判定し、さらに、給電開始フラグのみが記憶されている場合には、判定手段は、障害レベル0と判定してもよい。
【0089】
この変形例の場合、たとえば通信障害などでOS信号検出手段が周辺機器検出信号を受信することができないまま、ローカル通信手段が最初の信号を検出したような場合であっても、判定手段は、コンピュータ1が正常に動作していると正しく判定することができる。
【0090】
そして、判定手段は、これら4つのフラグに基づいて判定した判定結果を記憶部材38に記憶させる。
【0091】
LED制御プログラム52が中央処理装置39によって実行されると、LED制御手段が実現される。LED制御手段は、記憶部材38に判定結果として記憶されているレベルに対応するLED点灯信号をI/Oポート37へ出力する。LED点灯信号は、I/Oポート37を介して表示部材46に入力される。表示部材46は、LED点灯信号で指定されるレベルのLEDを択一的に点灯する。これにより、表示部材46で点灯しているLEDを確認することで、コンピュータ1がどのレベルまで起動しているのかを把握することができる。
【0092】
なお、表示部材46は、それが起動してからこのLED点灯信号が入力されるまでの期間は、全てのLEDを消灯するとよい。したがって、全てのLEDが消灯している場合には、無停電電源装置2から正常な電力が出力されていないと判断することができる。
【0093】
ネットワーク通信プログラム51が中央処理装置39によって実行されると、ネットワーク通信手段が実現される。この無停電電源装置2のネットワーク通信手段は、通常は通信データを送受信しない。ネットワーク通信手段は、記憶部材38に記憶されている判定結果が障害レベル0〜2である場合には、起動エラーを示す通信データをネットワーク通信部材45によって監視装置3へ送信させる。なお、ネットワーク通信手段は、無停電電源装置2から正常な電力が出力されていない状態が長く続いた場合にも、起動エラーを示す通信データをネットワーク通信部材45によって監視装置3へ送信してもよい。このとき、ネットワーク通信手段は、送信先として上述したように監視装置3を指定する。ネットワーク通信部材45は、指定された監視装置3を送信先に指定して、起動エラーを示す通信データを、ネットワーク6へ送信する。
【0094】
図4は、図1中の監視装置3の内部構成を示す装置構成図である。
【0095】
監視装置3は、プログラムを実行する中央処理装置61と、中央処理装置61がプログラム実行の際に作業領域などとして利用するRAM62と、プログラムやデータを記憶する記憶部材63と、ネットワーク6が接続されるネットワーク通信部材64と、モニタ65と、キーボード66と、これらを接続するシステムバス67と、を備える。これらの監視装置3の各構成要素は、図2に示すコンピュータ1の同名の構成要素と同じ機能を果たすものであり、説明を省略または簡略化すると共に異なる部分についてのみ説明する。
【0096】
記憶部材63には、システム監視プログラム68が記憶されている。システム監視プログラム68は、監視装置3が起動されると、中央処理装置61にて実行される。これにより、システム監視手段が実現される。
【0097】
システム監視手段は、ネットワーク通信部材64がネットワーク6から受信する通信データを記憶部材63に記憶させる。システム監視手段は、記憶部材63に記憶されているデータをモニタ65に表示させる。システム監視手段は、キーボード66から入力される入力データに基づいて通信データを生成し、この通信データをネットワーク通信部材64から送信させる。
【0098】
次に、このように構成される無停電電源装置を利用したコンピュータシステムの全体の動作について説明する。
【0099】
無停電電源装置2は、監視装置3からの起動指令信号、あるいは、予め設定されている起動スケジュールに従って起動する。無停電電源装置2が起動されると、無停電電源装置2の中央処理装置39は、電源監視プログラム42、電圧検出プログラム47、OS信号検出プログラム48、ローカル通信プログラム49、判定プログラム50、ネットワーク通信プログラム51およびLED制御プログラム52を自動的に実行する。
【0100】
無停電電源装置2に入力される商用交流電力に異常が無い場合、電源監視手段は、コンバータ33およびインバータ34を動作させる。これにより、商用交流電力に基づく電力が出力端子32から出力される。無停電電源装置2の出力端子32から出力される電力は、配電線4を介して、負荷機器としてのコンピュータ1のスイッチング電源12へ供給される。また、電源監視手段は、インバータ34から正常な電圧が出力されると、記憶部材38に給電開始フラグを記憶させる。
【0101】
コンピュータ1のスイッチング電源12は、供給された交流電力を直流電力へ変換し、マザーボードユニット11およびその他の機器へ直流電力を供給する。これにより、コンピュータ1を構成している、中央処理装置14、RAM15、記憶部材17、シリアル通信部材18、ネットワーク通信部材19、モニタ20およびキーボード21は、その直流電力を使用して、それぞれの初期設定動作を自動的に開始する。
【0102】
そして、まず、コンピュータ1のシリアル通信部材18は、その初期設定動作において、DTR信号用の信号線を、0Vから所定の電圧(+3V以上の電圧あるいは−3V以下の電圧)へ変化させる。これに応じて、無停電電源装置2の電圧検出手段は、電圧を検出したことを示す電圧検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0103】
コンピュータ1の中央処理装置14は、起動されると、OSプログラム22を読み込んで実行する。これにより実現されるOS手段は、周辺機器検出信号を出力する。コンピュータ1のシリアル通信部材18は、この周辺機器検出信号を、RS−232用シリアルケーブル5のDTR信号用の信号線から出力する。これに応じて、無停電電源装置2のOS信号検出手段は、周辺機器検出信号を検出したことを示すOS検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0104】
なお、無停電電源装置2のローカル通信手段は、周辺機器検出信号に応じて、シリアル通信部材44に周辺機器データを送信させる。周辺機器データは、コンピュータ1のシリアル通信部材18に受信され、記憶部材17に記憶される。また、OS手段は、無停電電源装置2へのソフトウェアインターフェースを構築する。
【0105】
次に、コンピュータ1の中央処理装置14は、UPS管理プログラム23と、サービスプログラム24とを実行する。UPS管理手段は、起動されると、ソフトウェアインターフェースを利用して、無停電電源装置2への送信リクエストを送信する。これに応じて、無停電電源装置2のローカル通信手段は、信号を検出したことを示すAP検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0106】
また、無停電電源装置2のローカル通信手段は、この送信リクエストに応じて、設定データ、動作データおよび警報データを、シリアル通信部材44に応答送信させる。この設定データ、動作データおよび警報データは、コンピュータ1の記憶部材17に記憶されるとともに、必要に応じてモニタ20に表示される。
【0107】
無停電電源装置2の判定手段は、記憶部材38に、給電開始フラグ、電圧検出フラグ、OS検出フラグおよびAP検出フラグの4つのフラグが記憶されているか否かを監視する。正常にコンピュータ1の起動が完了すると、記憶部材38にはこの4つのフラグが記憶されているので、判定手段は、正常動作と判定する。LED制御手段は、青色LEDを点灯させる。
【0108】
4つのフラグの全てが記憶部材38に記憶されていない場合には、判定手段は、障害レベル0〜2の中のいずれかを判定する。そして、LED制御手段は、その判定に対応する赤色LEDを択一的に点灯させる。
【0109】
なお、この判定手段は、無停電電源装置2の起動時から所定の時間が経過したタイミングで4つのフラグを判定すればよいが、起動時から周期的に繰り返し判定する方が好ましい。これにより、たとえば、無停電電源装置2からコンピュータ1への給電を開始することで、障害レベル0に対応する赤色LEDを点灯させ、コンピュータ1が起動されて所定の電圧を検出することで、障害レベル1に対応する赤色LEDを点灯させ、コンピュータ1が起動されて周辺機器検出信号を検出することで、障害レベル2に対応する赤色LEDを点灯させ、更に、コンピュータ1からの送信リクエストを検出することで、正常運転に対応する青色LEDを点灯させることができる。したがって、点灯するLEDがコンピュータ1の起動段階に応じて変化するので、点灯しているLEDを観察するだけで、コンピュータ1がどこまで起動しているのかを簡単に把握することができる。
【0110】
また、記憶部材38に記憶されている判定結果が障害レベル0〜2である場合には、ネットワーク通信手段は、送信先として監視装置3を指定して、起動エラーを示す通信データをネットワーク通信部材45に送信させる。起動エラーを示す通信データは、ネットワーク6を介して監視装置3のネットワーク通信部材64に受信され、監視装置3の記憶部材63に記憶される。また、システム監視手段は、起動エラーに基づいて、コンピュータ1の起動に失敗したこと、および、障害レベルをモニタ65に表示する。
【0111】
これにより、コンピュータ1および無停電電源装置2から離れている監視センタのシステム管理者は、監視装置3のモニタ65の表示に基づいて、コンピュータ1が正常に起動できなかったこと、および、どの起動段階で起動できなくなったのかを把握することができる。なお、ネットワーク6に障害が発生している場合であっても、無停電電源装置2の表示部材46において点灯しているLEDを、コンビニエンスストアの店員が監視センタへ電話連絡することでも、システム管理者はコンピュータ1の障害状態を把握することができる。
【0112】
具体的には、たとえば、判定結果が障害レベル0である場合には、無停電電源装置2はコンピュータ1に電力を供給しているにもかかわらず、コンピュータ1のシリアル通信部材18がTD信号用の信号線をプラスマイナス3V以上に制御できなかった場合である。したがって、システム管理者は、主な障害原因として、スイッチング電源12のハードウェア障害と考えることができる。
【0113】
判断結果が障害レベル1である場合には、コンピュータ1のシリアル通信部材18がTD信号用の信号線をプラスマイナス3V以上に制御したにもかかわらず、OS手段からの周辺機器検出信号が無停電電源装置2に検出されなかった場合である。したがって、システム管理者は、主な障害原因として、コンピュータ1のマザーボードユニット11やその他の機器のハードウェア障害、あるいは、OSプログラム22に関するソフトウェア障害であると考えることができる。
【0114】
判断結果が障害レベル2である場合には、コンピュータ1のOS手段からの周辺機器検出信号が検出されているにもかかわらず、コンピュータ1からの送信リクエストが無停電電源装置2に検出されなかった場合である。したがって、システム管理者は、主な障害原因として、コンピュータ1のUPS管理プログラム23に関するソフトウェア障害であると考えることができる。
【0115】
その結果、システム管理者は、障害レベル0であるならば、スイッチング電源12に詳しい保守サービス担当者に連絡し、現地に向かわせることができる。また、障害レベル1であるならば、コンピュータ1に詳しい保守サービス担当者に連絡し、現地に向かわせることができる。さらに、障害レベル2であるならば、UPS管理プログラム23に詳しいソフトウェアの保守サービス担当者に連絡し、現地に向かわせることができる。
【0116】
なお、これらの起動エラーが通知されないにもかかわらず、サービスを利用することができないとの電話連絡などを受けた場合には、サービスプログラム24の異常と考えることができる。したがって、システム管理者は、サービスプログラム24に詳しい保守サービス担当者に連絡し、現地に向かわせることができる。
【0117】
以上のように、この実施の形態1にかかる無停電電源装置を利用したコンピュータシステムを使用すれば、負荷機器としてのコンピュータ1がその起動時に出力する電圧や信号を無停電電源装置2で検出し、無停電電源装置2が負荷機器の起動障害レベルを判定する。したがって、無停電電源装置を利用したこのコンピュータシステムが多種多様な技術によって構築されているにもかかわらず、無停電電源装置2が判定した障害レベルの情報に基づいて、それぞれの技術に詳しい適切な保守サービス担当者を現地に派遣することができる。その結果、適切な保守サービス担当者によって、コンピュータ1および無停電電源装置2の的確な修理を短時間に行わせることができる。また、修理時間が短くなる分、コンピュータ1の稼働率を向上させることができる。さらに、各保守サービス担当者は、コンピュータ1および無停電電源装置2を構成する全ての交換部品や全てのソフトウェアを現地へ持参する必要はなくなる。
【0118】
また、コンピュータ1のシリアル通信部材18および無停電電源装置2のシリアル通信部材44は、元来、無停電電源装置2をコンピュータ1で管理するために設けられているものである。したがって、この実施の形態1のように無停電電源装置2でコンピュータ1の起動段階を監視することで、無停電電源装置2やコンピュータ1に新たなハードウェアを追加することなく、コンピュータ1の起動段階を監視することができる。それゆえ、たとえば、コンピュータ1の起動段階を監視するための装置を新たに設ける場合に比べて、最小限の構成で格段に安価に、コンピュータ1の起動段階を監視することが可能となる。その結果、安価で信頼性の高いコンピュータシステムを提供することができる。また、そのような新たな装置を設ける必要が無いので、コンピュータ1と無停電電源装置2の設置スペースも従来どおりで良いものとなる。さらに、無停電電源装置2で監視しているので、コンピュータ1自体に監視機能を持たせる場合のように、コンピュータ1自体の処理負荷を増加させてしまうことはなく、サービスプログラム24の実行の障害となってしまう恐れも全くない。
【0119】
なお、この実施の形態1では、無停電電源装置2とコンピュータ1とは、RS−232用シリアルケーブル5で接続されている。この他にもたとえば、無停電電源装置2とコンピュータ1とは、SCSI(Small Computer System Interface)ケーブル、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、イーサネット(登録商標)ケーブル、他のシリアルケーブル、パラレルケーブルなどで接続されていてもよい。そして、それらのケーブルの出入り口にシリアル通信部材18,44に相当する通信部材を設け、そのケーブルでやり取りする信号を監視するようにしてもよい。
【0120】
また、この実施の形態1では、無停電電源装置2のシリアル通信部材44と、コンピュータ1のシリアル通信部材18とは、ケーブルで接続されている。この他にもたとえば、無停電電源装置2およびコンピュータ1に、無線通信方式のシリアル通信部材を設け、これらシリアル通信部材の間でデータを無線送受信させてもよい。
【0121】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る無停電電源装置を利用したコンピュータシステムを示すシステム構成図である。なお、実施の形態1と同一部材には、同一符号を付してその説明を省略または簡略化することとする。
【0122】
この実施の形態2に係る無停電電源装置を利用したコンピュータシステムでは、無停電電源装置2とコンピュータ1とは、通信ケーブルとしてのSCSIケーブル71で接続されている。
【0123】
図6は、図5中のコンピュータ1の内部構成を示す装置構成図である。
【0124】
コンピュータ1は、通信部材としてのSCSI通信部材72を備える。SCSI通信部材72は、SCSIケーブル71が接続されるコネクタ73と、このコネクタ73に接続されるSCSIコントローラ74と、を備える。
【0125】
SCSIコントローラ74は、スイッチング電源12からの直流電力が供給されると、その内部に記憶されているSCSI用のBIOS(Basic Input Output System)プログラムを自動的に実行する。そして、SCSIコントローラ74は、ターミネーションパワー信号用の信号線に所定の電圧を出力する。
【0126】
SCSIコントローラ74は、その起動設定動作において、引き続き、SCSIケーブル71に接続されている周辺機器へ、SDTR(Synchronous Data Transfer Request)信号を送信する。各周辺機器は、このSDTR信号を受信して、コンピュータ1のSCSI通信部材72と通信するための転送モードなどを把握することができる。
【0127】
そして、コンピュータ1のSCSIコントローラ74は、たとえばOS手段からの周辺機器検出信号や、UPS管理手段からの送信リクエストなどのデータがシステムバス16から入力されると、これを通信データとしてコネクタ73から出力する。また、コネクタ73から通信データが入力されると、これをデータとしてシステムバス16へ出力する。
【0128】
図7は、図5中の無停電電源装置2の内部構成を示す装置構成図である。なお、実施の形態1と同一の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化することにする。
【0129】
無停電電源装置2は、通信部材としてのSCSI通信部材75と、表示部材76と、を備える。
【0130】
この無停電電源装置2のSCSI通信部材75は、I/Oポート37から入力されるデータを通信データとしてSCSIケーブル71へ送信する。また、SCSI通信部材75は、SCSIケーブル71から受信したデータをI/Oポート37へ出力する。
【0131】
表示部材76は、4つの赤色LEDと、1つの青色LEDと、を備えるものである。4つの赤色LEDはそれぞれ、後述する障害レベル0、障害レベル1、障害レベル2および障害レベル3の各表示が割り当てられている。青色LEDは、正常動作の表示が割り当てられている。表示部材76は、LED点灯信号で指定されるレベルのLEDを選択し、択一的に点灯させる。
【0132】
無停電電源装置2の記憶部材38には、OS信号検出プログラム48、ローカル通信プログラム49、ネットワーク通信プログラム51、LED制御プログラム52、電圧検出プログラム(実施の形態1の電圧検出プログラム47に相当)77、BIOS信号検出プログラム78、判定プログラム79などが記憶されている。これらのプログラム48,49,51,52,77,78,79は、無停電電源装置2が起動されると、中央処理装置39に自動的に実行される。
【0133】
電圧検出プログラム77が中央処理装置39によって実行されると、電圧検出手段および検出手段としての電圧検出手段が実現される。電圧検出手段は、SCSI通信部材75に接続されているターミネーションパワー信号用の信号線を監視し、その信号線の電圧レベルを検出する。そして、ターミネーションパワー信号用の信号線に所定の電圧が印加されていることを検出すると、電圧検出手段は、電圧を検出したことを示す電圧検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0134】
BIOS信号検出プログラム78が中央処理装置39によって実行されると、BIOS信号検出手段、信号検出手段および検出手段としてのBIOS信号検出手段が実現される。BIOS信号検出手段は、SCSIケーブル71を監視し、SDTR信号を検出する。そして、BIOS信号検出手段は、SCSIコントローラ74からのSDTR信号を検出した場合には、SCSIコントローラ74からのSDTR信号を検出したことを示すBIOS検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0135】
判定プログラム79が中央処理装置39によって実行されることで実現される判定手段は、記憶部材38に、給電開始フラグ、電圧検出フラグ、BIOS検出フラグ、OS検出フラグおよびAP検出フラグの5つのフラグが記憶されているか否かを監視する。
【0136】
給電開始フラグのみが記憶されている場合には、判定手段は、障害レベル0と判定する。給電開始フラグおよび電圧検出フラグが記憶されている場合には、判定手段は、障害レベル1と判定する。給電開始フラグ、電圧検出フラグおよびBIOS検出フラグが記憶されている場合には、判定手段は、障害レベル2と判定する。給電開始フラグ、電圧検出フラグ、BIOS検出フラグおよびOS検出フラグが記憶されている場合には、判定手段は、障害レベル3と判定する。給電開始フラグ、電圧検出フラグ、BIOS検出フラグ、OS検出フラグおよびAP検出フラグが記憶されている場合には、判定手段は、正常動作と判定する。
【0137】
上述したように、これ以外の構成要素は、実施の形態1で説明した同名の構成要素と同一であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0138】
次に、このように構成される無停電電源装置を利用したコンピュータシステムの全体の動作について説明する。
【0139】
無停電電源装置2は、起動されると、コンバータ33およびインバータ34を動作させ、記憶部材38に給電開始フラグを記憶させる。
【0140】
無停電電源装置2からコンピュータ1へ給電される電力は、コンピュータ1のスイッチング電源12で直流電力に変換され、この直流電力でマザーボードユニット11およびその他の機器がそれぞれの動作を自動的に開始する。
【0141】
そして、コンピュータ1のSCSI通信部材72は、それの起動設定動作において、ターミネーションパワー信号用の信号線に所定の電圧を出力する。無停電電源装置2の電圧検出手段は、このターミネーションパワー信号用の信号線の電圧を検出して、電圧を検出したことを示す電圧検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0142】
コンピュータ1のSCSI通信部材72は、その初期設定動作において引き続き、SDTR信号を送信する。無停電電源装置2のBIOS信号検出手段は、このSDTR信号を検出して、SDTR信号を検出したことを示すBIOS検出フラグを記憶部材38に記憶させる。
【0143】
同様に、コンピュータ1から周辺機器検出信号が送信されると、無停電電源装置2の記憶部材38には、周辺機器検出信号を検出したことを示すOS検出フラグが記憶される。コンピュータ1から送信リクエストが送信されると、無停電電源装置2の記憶部材38には、信号を検出したことを示すAP検出フラグが記憶される。
【0144】
無停電電源装置2の判定手段は、記憶部材38に、給電開始フラグ、電圧検出フラグ、BIOS検出フラグ、OS検出フラグおよびAP検出フラグの5つのフラグが記憶されているか否かを監視する。コンピュータ1が正常に起動した場合には、記憶部材38にはこの5つのフラグが記憶されているので、判定手段は、正常動作と判定する。LED制御手段は、表示部材76の青色LEDを点灯させる。
【0145】
なお、5つのフラグが全て記憶部材38に記憶されていない場合には、判定手段は、障害レベル0〜3の中のいずれかを判定する。そして、LED制御手段は、その判定に対応する赤色LEDを択一的に点灯させる。また、記憶部材38に記憶されている判定結果が障害レベル0〜3である場合には、ネットワーク通信手段は、送信先として監視装置3を指定して、起動エラーを示す通信データをネットワーク通信部材45から監視装置3へ送信させる。監視装置3のモニタ65には、この障害レベルが表示される。
【0146】
これにより、コンピュータ1および無停電電源装置2から離れている監視センタのシステム管理者は、監視装置3のモニタ65の表示に基づいて、コンピュータ1が正常に起動できなかったことだけでなく、どの起動段階において起動できなくなってしまったのかを把握することができる。なお、ネットワーク6に障害が発生している場合であっても、無停電電源装置2の表示部材76において点灯しているLEDを、コンビニエンスストアの店員が監視センタへ電話連絡することでも、システム管理者はコンピュータ1の障害状態を把握することができる。
【0147】
たとえば、障害レベル0である場合には、無停電電源装置2はコンピュータ1に電力を供給しているはずにもかかわらず、コンピュータ1のSCSI通信部材72がターミネーションパワー信号用の信号線を所定の電圧に制御できなかった場合である。したがって、システム管理者は、主な障害原因として、コンピュータ1のスイッチング電源12に関するハードウェア障害と考えることができる。
【0148】
障害レベル1である場合には、コンピュータ1のSCSI通信部材72がターミネーションパワー信号用の信号線を所定の電圧に制御できているにもかかわらず、SDTR信号が無停電電源装置2に受信されなかった場合である。したがって、システム管理者は、主な障害原因として、コンピュータ1のSCSI通信部材72などのハードウェア障害であると考えることができる。
【0149】
障害レベル2である場合には、SDTRが無停電電源装置2に受信されているにもかかわらず、コンピュータ1からの周辺機器検出信号が無停電電源装置2に検出されなかった場合である。したがって、システム管理者は、主な障害原因として、コンピュータ1のマザーボードユニット11やその他の機器のハードウェア障害、あるいは、OSプログラム22に関するソフトウェア障害であると考えることができる。
【0150】
障害レベル3である場合には、コンピュータ1のOS手段からの周辺機器検出信号が無停電電源装置2において検出されているにもかかわらず、コンピュータ1からの送信リクエストが無停電電源装置2に検出されなかった場合である。したがって、システム管理者は、主な障害原因として、コンピュータ1のUPS管理プログラム23に関するソフトウェア障害であると考えることができる。
【0151】
その結果、システム管理者は、障害レベル0であるならば、スイッチング電源12に詳しいハードウェアの保守サービス担当者に連絡し、現地に向かわせることができる。また、障害レベル1であるならば、SCSI機器に詳しいハードウェアの保守サービス担当者に連絡し、現地に向かわせることができる。障害レベル2であるならば、コンピュータ1に詳しい保守サービス担当者に連絡し、現地に向かわせることができる。さらに、障害レベル3であるならば、UPS管理プログラム23に詳しいソフトウェアの保守サービス担当者に連絡し、現地に向かわせることができる。
【0152】
これ以外の動作は、実施の形態1で説明した動作と同一であり、説明を省略する。
【0153】
以上のように、この実施の形態2にかかる無停電電源装置を利用したコンピュータシステムを使用すれば、負荷機器としてのコンピュータ1がその起動時に出力する電圧や信号を無停電電源装置2で検出し、無停電電源装置2が負荷機器としてのコンピュータ1の起動障害のレベルを5つに分類して判定することができる。したがって、コンピュータシステムが多種多様な技術によって構築されているにもかかわらず、その無停電電源装置2が判定した障害レベルの情報に基づいて、それぞれの技術に詳しい適切な保守サービス担当者を現地に派遣することができる。その結果、適切な保守サービス担当者によって、コンピュータ1および無停電電源装置2の的確な修理を短時間に行わせることができる。また、修理時間が短くなる分、コンピュータ1の稼働率を向上させることができる。さらに、各保守サービス担当者は、コンピュータ1および無停電電源装置2を構成する全ての交換部品や全てのソフトウェアなどを持参する必要はなくなる。
【0154】
具体的には、たとえば、スイッチング電源12に関するハードウェア障害が発生している場合には、障害レベル0の判定結果に基づいて、スイッチング電源12に詳しい保守サービス担当者によって効率よく短時間で復旧させることができる。
【0155】
他にも、マザーボードユニット11やSCSI通信部材72のBIOSプログラムの実行の障害などが発生している場合には、障害レベル1の判定結果に基づいて、それらに詳しい保守サービス担当者によって効率よく短時間で復旧させることができる。
【0156】
比較的よくある例としては、コンピュータ1の図示外のフロッピー(登録商標)ディスクデバイスやCD−ROMデバイスがブートセクタとして定義されているとともに、これらのデバイスに空のディスクや他の目的のために利用するディスクが挿入されている場合がある。この場合、コンピュータ1は、OSプログラムを実行することができない。そして、無停電電源装置2の判定手段は、コンピュータ1が故障していないにもかかわらず、障害レベル2と判定する。そして、システム管理者は、コンピュータ1に詳しい保守サービス担当者によって効率よく短時間で復旧させることができる。あるいは、システム管理者は、コンピュータ1のある店舗へ電話連絡し、店員に、フロッピー(登録商標)ディスクデバイスやCD−ROMデバイスの状況を確認させることもできる。店員がフロッピー(登録商標)ディスクデバイスやCD−ROMデバイスからディスクを抜いて、コンピュータ1を再起動することで、保守サービス担当者によらずともコンピュータ1に発生している障害を無くし、短時間でコンピュータ1を復旧することができる。
【0157】
コンピュータ1の記憶部材17のハードウェア障害発生している場合には、障害レベル2の判定結果に基づいて、それらに詳しい保守サービス担当者によって効率よく短時間で復旧させることができる。
【0158】
さらに、コンピュータ1のネットワーク通信部材19が故障している場合には、監視装置3からそのコンピュータ1へ通信することができないことを確認したシステム管理者が店舗へ電話連絡し、店員に表示部材46の青色LEDが点灯していることを確認してもらうことで、ネットワーク6に詳しい保守サービス担当者によって効率よく短時間で復旧させることができる。なお、コンピュータ1が正常運転した場合であっても、無停電電源装置2は、コンピュータ1が正常に起動したことを知らせる信号を監視装置3へ送信してもよい。
【0159】
コンピュータ1のSCSI通信部材72および無停電電源装置2のSCSI通信部材75は、元来、無停電電源装置2をコンピュータ1で管理するために、コンピュータ1および無停電電源装置2に設けられているものである。それゆえ、コンピュータ1の起動段階を監視するための装置を新たに設ける場合に比べて、最小限の構成で格段に安価に、コンピュータ1の起動段階を監視することが可能となる。また、そのような新たな装置を設ける必要が無いので、コンピュータ1や無停電電源装置2の設置スペースも従来どおりでよくなる。さらに、無停電電源装置2で監視しているので、コンピュータ1自体に監視機能を持たせた場合のように、コンピュータ1自体の負荷を増加させてしまうことはなく、サービスプログラム24の実行の障害となってしまう恐れもない。
【0160】
なお、この実施の形態2では、無停電電源装置2とコンピュータ1とをSCSIケーブル71で接続し、これにより5つの起動段階を判定している。この他にもたとえば、無停電電源装置2とコンピュータ1とをUSBケーブルで接続しても、コンピュータ1の起動段階として5つの段階を判定することができる。
【0161】
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0162】
たとえば、実施の形態1では、無停電電源装置2による給電の開始と、信号線の電圧と、OSプログラム22の起動と、UPS管理プログラム23(APプログラム)の起動とを監視し、これら4つの監視結果に基づいて、負荷機器としてのコンピュータ1の起動段階を4段階に判定している。また、実施の形態2では、さらに、SCSI通信部材72のBIOSプログラムの起動を監視し、5つの起動段階を判定している。
【0163】
この他にもたとえば、信号線の電圧と、APプログラム(UPS管理プログラム23など)の起動とを監視して、単にコンピュータ1のハードウェア障害であるか、あるいは、ソフトウェア障害であるかだけを判定するようにしてもよい。監視項目に、無停電電源装置2による給電の開始を加えて、ハードウェア障害が、無停電電源装置2にあるのか、あるいは、コンピュータ1にあるのかを判定するようにしてもよい。また、監視項目にAPプログラムの起動を加えて、ソフトウェア障害が、OSプログラム22にあるのか、あるいは、APプログラム(UPS管理プログラム23など)にあるのかを判定するようにしてもよい。
【0164】
上述した各実施の形態では、コンピュータ1および無停電電源装置2はコンビニエンスストアなどの店舗に設置されている。この他にもたとえば、コンピュータ1および無停電電源装置2は、工場、危険地域、ビル、その他の施設に設置されていてもよい。
【0165】
上述した実施の形態1では、無停電電源装置2には、電圧検出手段、OS信号検出手段の一部、AP信号検出手段を設けている。上述した実施の形態2では、無停電電源装置2には、電圧検出手段、BIOS信号検出手段の一部、OS信号検出手段の一部、AP信号検出手段を設けている。つまり、上述した各実施の形態では、無停電電源装置2に複数の検出手段を設け、この複数の検出手段による複数の検出結果を判定手段で判定するしている。この他にもたとえば、無停電電源装置には、1つの検出手段を設け、この1つの検出手段による判定結果に基づいて、負荷機器としてのコンピュータ1がどこまで起動しているのか否かを判定するようにしてもよい。
【0166】
上述した各実施の形態では、表示部材46,76には、判定されたレベルを表示させている。この他にもたとえば、無停電電源装置の故障とか、コンピュータのハードウェア故障とか、OSソフトウェアの不具合とか、APプログラムの不具合といった、具体的な推定の故障個所を表示するようにしてもよい。これにより、店員などは直接、故障個所に応じたサービスへ連絡することができる。
【0167】
【発明の効果】
本発明に係る無停電電源装置では、コンピュータなどの負荷機器へ給電を開始した後に、負荷機器の起動段階を判定することができる。また、本発明に係るコンピュータシステムでは、このような無停電電源装置を利用して、特別な装置をわざわざ新たに設けることなく、コンピュータなどの負荷機器の起動段階を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る無停電電源装置を利用したコンピュータシステムを示すシステム構成図である。
【図2】 図1中のコンピュータの内部構成を示す装置構成図である。
【図3】 図1中の無停電電源装置の内部構成を示す装置構成図である。
【図4】 図1中の監視装置の内部構成を示す装置構成図である。
【図5】 本発明の実施の形態2に係る無停電電源装置を利用したコンピュータシステムを示すシステム構成図である。
【図6】 図5中のコンピュータの内部構成を示す装置構成図である。
【図7】 図5中の無停電電源装置の内部構成を示す装置構成図である。
【符号の説明】
1 コンピュータ(負荷機器)
2 無停電電源装置
3 監視装置
4 配電線
5 RS−232用シリアルケーブル(通信ケーブル)
6 ネットワーク
18,44 シリアル通信部材(通信部材)
19,45,64 ネットワーク送信部材
39 中央処理装置(セルフ検出手段の一部、電圧検出手段の一部、BIOS信号検出手段の一部、OS信号検出手段の一部、AP信号検出手段の一部、信号検出手段の一部、検出手段の一部、判定手段の一部)
42 電源監視プログラム(セルフ検出手段の一部、検出手段の一部)
46,76 表示部材
47,77 電圧検出プログラム(電圧検出手段の一部、検出手段の一部)
48 OS信号検出プログラム(OS信号検出手段の一部、信号検出手段の一部、検出手段の一部)
49 ローカル通信プログラム(AP信号検出手段の一部、信号検出手段の一部、検出手段の一部)
50,79 判定プログラム(判定手段の一部)
71 SCSIケーブル(通信ケーブル)
72,75 SCSI通信部材(通信部材)
78 BIOS信号検出プログラム(BIOS信号検出手段の一部、信号検出手段の一部、検出手段の一部)

Claims (3)

  1. オペレーティングシステムプログラムおよびアプリケーションプログラムが自動的に実行されるコンピュータへ給電するとともに、そのコンピュータとの間で通信を行う通信部材を備える無停電電源装置であって、
    上記コンピュータへ正常な電力を給電していることを検出するセルフ検出手段と、
    上記コンピュータへの給電開始後に、上記通信部材に接続されている通信ケーブルの電圧を検出する電圧検出手段と、
    上記負荷機器への給電開始後に、上記通信ケーブルからの上記オペレーティングシステムプログラムによる信号を受信するOS信号検出手段と、
    上記負荷機器への給電開始後に、上記通信ケーブルからの上記アプリケーションプログラムによる信号を受信するAP信号検出手段と、
    上記セルフ検出手段が正常な電力を検出している状況下で、上記電圧検出手段が所定の電圧を検出しない場合には、上記コンピュータのハードウェアの故障と判定し、上記OS信号検出手段が信号を上記受信しない場合には、上記コンピュータのオペレーティングシステムプログラムを含む異常と判定し、上記AP信号検出手段が上記信号を受信しない場合には、上記コンピュータのアプリケーションプログラムの異常と判定する判定手段と、を備えることを特徴とする無停電電源装置。
  2. BIOSプログラム、オペレーティングシステムプログラムおよびアプリケーションプログラムが自動的に実行されるコンピュータへ給電するとともに、そのコンピュータとの間でSCSIケーブルあるいはUSBケーブルを介して通信を行う通信部材を備える無停電電源装置であって、
    上記コンピュータへ正常な電力を給電していることを検出するセルフ検出手段と、
    上記負荷機器への給電開始後に、上記通信部材に接続されている通信ケーブルの電圧を検出する電圧検出手段と、
    上記負荷機器への給電開始後に、上記通信ケーブルからの上記BIOSプログラムによる信号を受信するBIOS信号検出手段と、
    上記負荷機器への給電開始後に、上記通信ケーブルからの上記オペレーティングシステムプログラムによる信号を受信するOS信号検出手段と、
    上記負荷機器への給電開始後に、上記通信ケーブルからの上記アプリケーションプログラムによる信号を受信するAP信号検出手段と、
    上記セルフ検出手段が正常な電力を検出している状況下で、上記電圧検出手段が所定の電圧を検出しない場合には、上記コンピュータの電源ユニットを含めたハードウェアの故障と判定し、上記BIOS信号検出手段が上記信号を受信しない場合には、上記コンピュータの電源ユニット以外のハードウェア故障と判定し、上記OS信号検出手段が上記信号を受信しない場合には、上記コンピュータのオペレーティングシステムプログラムを含む異常と判定し、上記AP信号検出手段が上記信号を受信しない場合には、上記コンピュータのアプリケーションプログラムの異常と判定する判定手段と、を備えることを特徴とする無停電電源装置。
  3. コンピュータと、
    上記コンピュータとネットワークを介して接続される監視装置と、
    上記コンピュータに給電するとともに、上記ネットワークに接続される請求項1または2記載の無停電電源装置と、
    上記コンピュータと上記無停電電源装置とを接続する通信ケーブルと、を備え、
    上記無停電電源装置は、ネットワーク送信部材から上記監視装置へ上記コンピュータの起動段階の判定結果を送信し、
    上記監視装置は、上記コンピュータの起動段階に関する判定結果を表示することを特徴とする無停電電源装置を利用したコンピュータシステム。
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