JP3818788B2 - プレス機のスライド制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス機のスライド制御装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近年、プレス機において、従前からのクランクプレス、リンクプレス等機械式プレス機とはスライドの駆動機構が全く異り、リニアモータを利用してスライドを往復駆動させるリニアモータプレス機の開発が進められている。
【0003】
本発明者らは、リニアモータプレス機の試作機を用いて各種試験を行なったところ、スライドの挙動の最適パターンに応じた指令値によりリニアモータを制御するようにした場合、特に打ち抜き加工時に、実挙動パターンにたわみやオーバーシュートが発生し、スライドの下死点位置からのオーバーシュートによって金型が破損等するおそれがあることが判明した。
【0004】
また、プレス機にサーボモータを組み込みスライドを駆動するサーボモータプレス機が知られているが、このサーボモータプレス機においても上記リニアモータプレス機と同様の問題があることが判明した。
【0005】
本発明は、上記の問題点にかんがみ、リニアモータプレス機及びサーボモータプレス機のスライド制御に学習制御を取り入れ、スライドの実挙動パターンを最適パターンに収束させることにより金型の破損等を防止するとともに、さらに、学習制御後に加工エラーの発生を検出し歩留の向上、金型の破損防止等を図ることを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるプレス機のスライド制御装置は、スライドを往復駆動するためのモータと、前記スライドの位置を検出するための位置検出器と、前記スライドの挙動の最適パターン指令値を予め固定して記憶しておくとともに、スライド駆動開始から前記スライドの実際の挙動が最適パターンに収束するまでの所定期間の間、前記位置検出器からの実位置データと前記最適パターンの固定指令値との誤差を算出し、当該誤差を無くすために、出力すべき指令値を補正し、該補正後の指令値を出力して前記モータを制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記所定期間経過後、前記実位置データと前記最適パターンの固定指令値との誤差が加工エラーに基づく許容値を超えたとき、前記モータを停止させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明によるプレス機のスライド制御装置は、スライドを往復駆動するためのモータと、前記スライドの位置を検出するための位置検出器と、前記スライドの挙動の最適パターン指令値を予め固定して記憶しておくとともに、スライド駆動開始から前記スライドの実際の挙動が最適パターンに収束するまでの所定期間の間、前記位置検出器からの実位置データと前記最適パターンの固定指令値との誤差を算出し、当該誤差を無くすために、出力すべき指令値を補正し、該補正後の指令値を出力して前記モータを制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記所定期間内に補正後の指令値又は誤差を記憶することを特徴とする。
【0009】
前記モータはリニアモータ又はサーボモータである。
【0010】
また、前記記憶した補正後の指令値又は誤差を別のプレス機のスライド制御に利用することができる
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1はリニアモータプレス機の斜視図を示し、図2はその縦断面図を、図3はその平面図を示している。
【0014】
図1〜図3において、1はリニアモータプレス機の本体フレームであり、本体フレーム1内底部に4個のスラスト軸受6が、さらに上部にも4個のスラスト軸受7が設けられ、そこに4本のガイドポスト3が上下動可能に支持される。4本のガイドポスト3は各々本体フレーム1内で上下動フレーム5に固定される。
【0015】
本体フレーム1の上部にボルスタ2が固定され、本体フレーム1とボルスタ2より上方に突出した4本のガイドポスト3の先端にはスライド4が水平に固定される。本体フレーム1内には、上下動フレーム5とガイドポスト3とスライド4とを昇降駆動するために4台のリニアモータ8〜11が配設される。通常のプレス機と同様、図示しない下型がボルスタ2上に固定され、上型はスライド4の下面に固定される。
【0016】
4台のリニアモータ8〜11は、各々本体フレーム1の内側において上下動フレーム5の側部に縦方向に配置され、各リニアモータ8〜11のコイルスライド(本実施形態では固定子となる。)8a〜11aが本体フレーム1側に固定され、各リニアモータ8〜11の磁石板(本実施形態では移動子となる。)8b〜11bが上下動フレーム5側に固定される。さらに、各リニアモータ8〜11に対応して、4台のリニアスケール(位置検出器)12〜15がスライド4の側部のガイドポスト3の近傍に配設される。リニアスケール12〜15の固定子12a〜15aはブラケットを介して本体フレーム1上部に取り付けられ、その移動子12b〜15bはスライド4の側部のガイドポスト3の近傍に取り付けられる。リニアスケール12〜15には例えばアブソリュート式のものが使用され、絶対値の位置データが出力される。
【0017】
このような構造のリニアモータプレス機は、リニアモータ8〜11の往復動によって、上下動フレーム5、ガイドポスト3、及びスライド4が、制御された速度とストロークで一体となって上下動し、リニアスケール12〜15から出力される移動位置のデータに基づき、スライド4の移動が高精度に制御される。
【0018】
図4はリニアモータプレス機の制御盤(制御回路)20とそこに接続されるリニアモータ等の接続状態を示している。
【0019】
制御回路20は、CPU21を主要部にして構成され、予め固定メモリに記憶されたプログラムデータに基づき、プレス機の運転を制御する。制御回路20には随時読み出し書き込み可能な一時メモリ22、ディスプレー23、各種設定値の入力用或は操作用のスイッチ類24が設けられる。メモリ22には、予め登録されたプレス運転パターンプログラムデータ、設定入力されたストローク長、SPM値(毎分当りのストローク数)、ダイハイト設定値、プレス設定回数などを記憶するためのメモリ領域が設けられる。設定されたストローク長、SPM値、ダイハイト設定値、プレス設定回数などは、設定画面を表示するディスプレー23に表示される。
【0020】
上記リニアスケール12〜15は、制御回路20内のインターフェース回路に接続され、各々のリニアスケール12〜15の読み、つまりスライド4の位置検出データ(実位置データ)を制御回路20に送る。4台のリニアモータ8〜11には各々ドライバ16〜19が接続され、各ドライバ16〜19は制御回路20内のインターフェース回路に接続される。運転時、リニアモータ8〜11には例えば、推力の大きいACサーボモータ(三相同期モータ)方式のものが使用され、ドライバ16〜19は、例えばサーボアンプを有し、制御回路20から出力された指令値に応じてリニアモータ8〜11を駆動する。
【0021】
次に、上記制御回路20において実行される本発明に係る処理を図5に示したフローチャートに基づいて説明する。
【0022】
制御回路20は、スライド4を駆動開始すると、リニアスケール12〜15から実位置データを取り込む(ステップ101)。
【0023】
次に、予め固定記憶されているスライド4の挙動の最適パターンから次に出力すべき指令値を読み出し、この最適パターンの固定指令値と実位置データとの誤差を算出する(ステップ102)。
【0024】
次に、スライド4の駆動開始から所定期間が経過したか否かを判断する(ステップ103)。ここで、所定期間は、当該学習制御の実行によりスライド4の実際の挙動が最適パターンに収束するまでの時間に設定してある。
【0025】
スライド4の駆動開始直後にはステップ103の判定結果が「YES」となり、次に、誤差が無いか否かを判断する(ステップ104)。
【0026】
誤差が有ると判定した場合、誤差を無くすように最適パターンの固定指令値に誤差分を加算して出力すべき指令値を補正し(ステップ105)、この補正後の指令値をドライバ16〜19に出力する(ステップ106)。例えば、図6に実線で示した打ち抜き加工時のスライド4の挙動の最適パターンに対し、スライド4の実挙動パターンが図示破線で示すようにたわみやオーバーシュートを有するものとなる場合、制御回路20からは、図示一点鎖線で示す補正後のパターンに対応する指令値が出力される。
【0027】
このような出力すべき指令値の補正は繰り返し行なわれ、その結果としてスライド4の挙動は最適パターンに近づいてゆく。そして、スライド4の挙動が最適パターンと一致するようになると、誤差が無くなるためステップ104の判定結果が「YES」に反転し、最適パターンの固定指令値が出力指令値として出力されるようになる(ステップ107)。
【0028】
その後、スライド4の駆動開始から所定期間が経過すると、ステップ103の判定結果が「YES」に反転し、誤差が許容値を超えているかどうか判断される(ステップ108)。ここで、許容値は、加工エラー例えば、金型破損、カス上り、金型寿命、二度打ちなどの発生により生じる誤差に基づいて設定されている。
【0029】
そして、誤差が許容値を超えていると判定した場合、実位置データに基づく実挙動パターンと、各エラー毎に予め固定して記憶されている各エラー毎の挙動パターンとを比較し、一致する挙動パターンに該当するエラーの種類をディスプレー23に表示し(ステップ109)、リニアモータ8〜11を駆動停止する(ステップ110)。
【0030】
また、制御回路20は、上記所定期間内における学習制御の結果、換言すると、補正後の指令値又は誤差を記憶する。この記憶された補正後の指令値又は誤差は、当該リニアモータプレス機のスライドの挙動の最適パターンと同一の最適パターンによってスライドを挙動させる別のリニアモータプレス機のスライド制御に利用することができる。この場合、特に、後述するように、リニアスケールを具備していないリニアモータプレス機(仮に、通常のリニアモータプレス機という。)のスライド制御に有効なものとなる。
【0031】
図7は、通常のリニアモータプレス機のスライド制御装置、すなわち、図1図示のリニアスケール付きリニアモータプレス機自体からリニアスケールを取り除いて構成される通常のリニアモータプレス機のスライド制御装置、あるいは、図1図示のリニアスケール付きリニアモータプレス機と同一機種のリニアモータプレス機であってリニアスケールを有していない通常のリニアモータプレス機のスライド制御装置、の処理内容を説明するためのフローチャートを示す。
【0032】
この通常のリニアモータプレス機のスライド制御装置は、上記リニアスケール付きリニアモータプレス機のスライド制御装置によって得られた学習結果、すなわち、所定期間内における補正後の指令値又は誤差を利用することにより、リニアスケールを設けなくてもスライドの挙動を最適パターンに一致させることができるよう制御するものである。
【0033】
すなわち、図7に示すように、通常のリニアモータプレス機のスライド制御装置は、上述したリニアスケール付きリニアモータプレス機のスライド制御装置を用いて学習制御した結果である学習データをリニアスケール付きリニアモータプレス機のスライド制御装置のメモリから当該制御装置に取り込み(ステップ201)、この学習データの指令値又は誤差を当該制御装置のメモリに書き込む(ステップ202)。その後、当該スライドを作動させる際、メモリから指令値又は誤差を読み出し、読み出された指令値、又は、読み出された誤差から算出された指令値を出力する(ステップ203)。
【0034】
図8は、従来からのリンクプレス機に代わるサーボモータプレス機の概略構成図を示す。
【0035】
図8において、サーボモータ51は、本体フレーム1に対し、出力軸51aの軸線が鉛直面上を点Fを揺動中心として僅かではあるが揺動し得るよう配設されている。サーボモータ51の出力軸51aには、カップリング52を介してボールねじ53の雄ねじ部53aが接続されている。ボールねじ53の雌ねじ部53bには、本体フレーム1に一端がピン結合された第1レバー54の他端がピン結合されている。また、雌ねじ部53bには、各ガイドポスト3に固着された連結部材56に一端がピン結合された第2レバー55の他端がピン結合されている。
【0036】
サーボモータ51の正逆回転運動は、カップリング52及び雄ねじ部53aを介して雌ねじ部53bの直線往復運動に変換される。この雌ねじ部53bの直線往復運動は、雌ねじ部53bに第1レバー54が接続されており、雌ねじ部53bの運動に伴い第1レバー54が点Aを揺動中心として揺動することから、厳密には点Aを揺動中心とする揺動運動といえる。この雌ねじ部53bの揺動運動により、第2レバー55の点Cは上下往復運動をし、連結部材56及びガイドポスト3を介してスライド4が昇降する。
【0037】
また、本体フレーム1とスライド4との間には、スライド4の上下方向の実位置を検出するための、上述したリニアスケール12〜15と同様な構成のリニアスケール57が配設されている。なお、符号2はボルスタ、58はスラスト軸受を表している。
【0038】
このサーボモータプレス機においては、サーボモータ51が正逆交互に回転すると、上述したように、カップリング52、ボールねじ53、第2レバー55、連結部材56及びガイドポスト3を介してスライド4が上下方向に往復動される。そして、スライド4の実位置がリニアスケール57によって検出され、この検出信号は、図示しない制御回路に入力される。
【0039】
図示しない制御回路においては、上述した図4図示の制御回路20と同様な処理(図5)が実行される。すなわち、制御回路は、▲1▼スライド4の挙動の最適パターン指令値を予め固定して記憶しておくとともに、スライド駆動開始から所定期間の間、位置検出器(リニアスケール57)からの実位置データと最適パターンの固定指令値との誤差を算出し、当該誤差を無くすために、出力すべき指令値を補正し、該補正後の指令値を出力してサーボモータ51を制御する、▲2▼所定期間経過後、実位置データと最適パターンの固定指令値との誤差が加工エラーに基づく許容値を超えたとき、サーボモータを停止させる、▲3▼所定期間内に補正後の指令値又は誤差を記憶する。
【0040】
また、リニアスケールを具備していないサーボモータプレス機(仮に、通常のサーボモータプレス機という。)、すなわち、図8図示のリニアスケール付きサーボモータプレス機自体からリニアスケールを取り除いて構成される通常のサーボモータプレス機のスライド制御装置、あるいは、図8図示のリニアスケール付きサーボモータプレス機と同一機種のサーボモータプレス機であってリニアスケールを有していない通常のサーボモータプレス機のスライド制御装置においては、上述したリニアモータ付きサーボモータプレス機のスライド制御装置によって得られた学習結果、すなわち、所定期間内における補正後の指令値又は誤差を利用することにより、リニアスケールを設けなくてもスライドの挙動を最適パターンに一致させることができる。なお、サーボモータプレス機は、図8に示した従来のリンクプレス機の動力源としてサーボモータを用いたものに限定されるものではなく、他に、クランク式、カム式プレス機等にも適用可能である。
【0041】
図9は、クランク式のサーボモータプレス機の機械的構造図を示す。
【0042】
図9において、サーボプレス機は、本体フレーム1を備える。ボルスタ2は本体フレーム1の上部に設けられる。スライド4はボルスタ2の上方に配される。複数のガイドポスト3はスライド4の下面側に延設される。複数のガイドポスト3は本体フレーム1に上下動可能に配設され、スライド4は複数のガイドポスト3と共に上下動可能である。
【0043】
サーボモータ51は本体フレーム1の下部側に設けられる。サーボモータ51の出力軸51aは鉛直面上を回転可能とされる。サーボモータ51は、図示しない制御回路から指令を受け正転及び逆転されるものである。
【0044】
駆動プーリー61はサーボモータ51の出力軸51aに固着される。タイミングベルト62は駆動プーリー61と従動プーリー63とに掛けられる。従動プーリー63はクランクシャフト64のセンター軸部64aに固着される。クランクシャフト64は、本体フレーム1に配設される図示しない軸受手段によって回転可能に軸支される。クランクシャフト64は、回転角360°以下の範囲で正転及び逆転されるものである。ここで、このクランクシャフト64の回転角度範囲は、駆動プーリー61と従動プーリー63とのプーリー比を予め考慮して設定されたサーボモータ51の出力軸51aの回転角度範囲に応じて決まる。
【0045】
コネクティングロッド65の一端部65aはクランクピン64bに回転可能に連結される。コネクティングロッド65は水平方向に配される。コネクティングロッド65の他端部65bは、水平な連結ピン66に回転可能に連結される。第1レバー54の一端部54aは連結ピン66に回転可能に連結される。第1レバー54の他端部54bは、本体フレーム1に延設されたボルスタ側保持部材67のボルスタピン68に回転可能に連結される。第2レバー55の一端部55aは連結ピン66に回動可能に連結される。第2レバー55の他端部55bは、複数のガイドポスト3の下端部間に連結されたスライド側保持部材(連結部材)56のスライドピン69に回転可能に連結される。
【0046】
上記のように構成されるサーボプレス機において、サーボモータ51が正転及び逆転すると、駆動プーリー61、タイミングベルト62、従動プーリー63を介してクランクシャフト64が、予め定められた回転角360°以下の範囲で正転及び逆転し、クランクピン64bがクランクセンター9cを中心として正転及び逆転することにより、コネクティングロッド65が略水平方向かつクランクシャフト64に対し略垂直方向に往復運動をする。このコネクティングロッド65の往復運動により、第1レバー54及び第2レバー55は、ボルスタピン68の位置を固定位置としかつ連結ピン66を枢軸とする屈伸運動をする。また、この第1レバー54及び第2レバー55の屈伸運動により、スライドピン69及びスライド側保持部材16を介してスライド4及び複数のガイドポスト3が上下運動をする。なお、図中、実線で示した第1レバー54及び第2レバー55は、クランクピン64bが図示実線で示した状態にあるとき、換言すると、クランクピン64bが図面において右端位置にあるときの状態に対応しており、この状態のとき、スライド4は上死点位置にある。また、二点鎖線で示した第1レバー54及び第2レバー55は、クランクピン64bが図示しない左端位置にあるときの状態に対応しており、この状態のとき、スライド4は調整可能な下死点位置にある。また、符号mはクランクシャフト64の偏心量、nはスライド4のストローク長さを表している。
【0047】
制御回路は、プレス機の各サイクル毎、スライド4が下死点位置にある状態からクランクシャフト64を正転方向へ回転開始させ、スライド4が上死点位置を通過する時点ではクランクシャフト64を継続回転させ、スライド4が下死点位置に戻った時点でクランクシャフト64を停止させると同時にクランクシャフト64を逆転方向へ回転開始させ、スライド4が上死点位置を通過する時点ではクランクシャフト64を継続回転させ、スライド4が下死点位置に戻った時点でクランクシャフト64を停止させると同時にクランクシャフト64を正転方向へ回転開始させる。
【0048】
図示しない制御回路は、上記のような制御中、図8に示したサーボプレス機の場合と同様、▲1▼スライド4の挙動の最適パターン指令値を予め固定して記憶しておくとともに、スライド駆動開始から所定期間の間、位置検出器(リニアスケール57)からの実位置データと最適パターンの固定指令値との誤差を算出し、当該誤差を無くすために、出力すべき指令値を補正し、該補正後の指令値を出力してサーボモータ51を制御する、▲2▼所定期間経過後、実位置データと最適パターンの固定指令値との誤差が加工エラーに基づく許容値を超えたとき、サーボモータを停止させる、▲3▼所定期間内に補正後の指令値又は誤差を記憶する。
【0049】
また、リニアスケールを具備していないサーボモータプレス機(仮に、通常のサーボモータプレス機という。)、すなわち、図9図示のリニアスケール付きサーボモータプレス機自体からリニアスケールを取り除いて構成される通常のサーボモータプレス機のスライド制御装置、あるいは、図9図示のリニアスケール付きサーボモータプレス機と同一機種のサーボモータプレス機であってリニアスケールを有していない通常のサーボモータプレス機のスライド制御装置においては、上述したリニアモータ付きサーボモータプレス機のスライド制御装置によって得られた学習結果、すなわち、所定期間内における補正後の指令値又は誤差を利用することにより、リニアスケールを設けなくてもスライドの挙動を最適パターンに一致させることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によると、リニアモータプレス機又はサーボモータプレス機のスライド制御に学習制御を取り入れ、スライドの実挙動パターンを最適パターンに収束させることにより金型の破損等を防止することができ、さらに、学習制御後に加工エラーの発生を検出しリニアモータ又はサーボモータを駆動停止させることにより歩留の向上、金型破損の防止等を図ることができる。
【0051】
また、本発明によると、学習制御の結果を記憶しておくことにより、この制御結果を別の通常のリニアモータプレス機又は通常のサーボモータプレス機のスライド制御に利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るスライド制御装置が適用されるリニアモータプレス機の斜視図である。
【図2】その縦断面図である。
【図3】その平面図である。
【図4】リニアモータプレス機の電気系統のブロック図である。
【図5】制御回路の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】スライドの挙動パターン図である。
【図7】リニアスケールを具備していないリニアモータプレス機のスライド制御装置の処理内容を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態に係るスライド制御装置が適用されるサーボモータプレス機の概略構成図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態に係るスライド制御装置が適用されるサーボモータプレス機の概略構成図である。
【符号の説明】
4 スライド
8〜11 リニアモータ
12〜15 リニアスケール(位置検出器)
20 制御盤(制御回路)
51 サーボモータ
57 リニアスケール(位置検出器)

Claims (5)

  1. スライドを往復駆動するためのモータと、前記スライドの位置を検出するための位置検出器と、前記スライドの挙動の最適パターン指令値を予め固定して記憶しておくとともに、スライド駆動開始から前記スライドの実際の挙動が最適パターンに収束するまでの所定期間の間、前記位置検出器からの実位置データと前記最適パターンの固定指令値との誤差を算出し、当該誤差を無くすために、出力すべき指令値を補正し、該補正後の指令値を出力して前記モータを制御する制御回路とを備え
    前記制御回路は、前記所定期間経過後、前記実位置データと前記最適パターンの固定指令値との誤差が加工エラーに基づく許容値を超えたとき、前記モータを停止させることを特徴とするプレス機のスライド制御装置。
  2. スライドを往復駆動するためのモータと、前記スライドの位置を検出するための位置検出器と、前記スライドの挙動の最適パターン指令値を予め固定して記憶しておくとともに、スライド駆動開始から前記スライドの実際の挙動が最適パターンに収束するまでの所定期間の間、前記位置検出器からの実位置データと前記最適パターンの固定指令値との誤差を算出し、当該誤差を無くすために、出力すべき指令値を補正し、該補正後の指令値を出力して前記モータを制御する制御回路とを備え、
    前記制御回路は、前記所定期間内に補正後の指令値又は誤差を記憶することを特徴とするプレス機のスライド制御装置。
  3. 請求項1又は2において、前記モータはリニアモータであることを特徴とするプレス機のスライド制御装置。
  4. 請求項1又は2において、前記モータはサーボモータであることを特徴とするプレス機のスライド制御装置。
  5. 請求項2〜4のいずれかの請求項において、前記記憶した補正後の指令値又は誤差を別のプレス機のスライド制御に利用することを特徴とするプレス機のスライド制御装置。
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