JP3817821B2 - 過給機付筒内噴射型エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を直接燃焼室内に噴射するインジェクタを備えた筒内噴射型エンジンにおいて、特に、過給機を備えた筒内噴射型エンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料を直接燃焼室に噴射するインジェクタを備え、低負荷時に、上記インジェクタから圧縮行程後期に燃料を噴射することで点火プラグまわりに混合気が偏在する状態として成層燃焼を行い、これにより燃焼安定性を確保しつつ空燃比をリーンにして燃焼改善を図るとともに、高負荷時には、吸気行程で燃料を噴射することで燃料を拡散させて均一燃焼を行い、これにより空燃比をリッチにして高いエンジン出力を発生するようにした筒内噴射型エンジンは一般に知られている。また、この種のエンジンに過給機を搭載し、吸気の過給を行うことによりエンジンのトルクアップを図ることも行われている。
【0003】
この種のエンジンでは、燃料系で燃料を一定の圧力に加圧し、図8に示すようにECUからの開弁時間信号(パルス信号)に応じてインジェクタを作動させる、つまり、インジェクタ内のニードルをパルス幅に応じた時間だけリフトさせることにより燃料をインジェクタから噴射するようになっている。燃料の圧力(燃圧)は、圧縮行程後期の燃焼室内の圧力より高い圧力に設定され、これにより圧縮行程後期に燃焼室内に燃料を噴射できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなエンジンにおいて、特に、過給機を備えてトルクアップを図るようにしたエンジンでは、過給機駆動状態の高負荷域において短時間に多くの燃料を噴射することが要求されるため、例えば、ノズル口径が大きく設定される等、高燃圧のもとで所要量の燃料を所定期間内に噴射できるようにインジェクタが構成されている。
【0005】
ところが、このようなエンジンでは、高負荷域での燃料噴射は良好に行われるものの、アイドル運転時等、極少量の燃料を噴射する必要がある極低負荷の運転域では、インジェクタの作動時間が極めて短くなり、例えば図8に破線で示すような特定量Q以下の極少量の燃料を噴射する運転域では、インジェクタの作動誤差による噴射量のバラツキが大きくなる傾向にある。この際、噴射量が要求噴射量より多い場合には特に問題となることはないが、逆に少ない場合には空燃比が大きくリーンサイドに偏って失火限界を越えてしまう虞れがある。従ってこれを解決することが望まれる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、過給機を備えた筒内噴射型エンジンにおいて、過給機駆動の高負荷域での燃料要求に適切に対応しながら、極低負荷域において空燃比が失火限界を越えるのを効果的に防止することができる過給機付筒内噴射型エンジンを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の過給機付筒内噴射型エンジンは、 過給機を備えるとともに、燃料を燃焼室内に直接噴射するインジェクタを備え、低負荷時に空燃比が理論空燃比よりも大きい状態でインジェクタから圧縮行程で燃料を噴射して成層燃焼を行わせるとともに、全負荷時に過給状態で、かつ空燃比が理論空燃比若しくはそれ以下の状態で均一燃焼を行わせるようにした過給機付筒内噴射型エンジンにおいて、機械式の上記過給機と、この過給機を駆動制御する過給機制御手段と、吸気時期を可変とする動弁可変手段と、これを制御する吸気時期制御手段とを備え、前記過給機制御手段は、エンジンの低速・低負荷側運転域で前記過給機の駆動を停止させる一方、エンジンの低速・高負荷側運転域で前記過給機を駆動させ、前記吸気時期制御手段は、少なくとも過給機駆動の運転域で、有効圧縮比が有効膨張比に近づくように吸気弁の閉時期を制御するとともに過給機駆動による全負荷の運転域で、ピストンが上死点に達する前の吸排気のオーバーラップが上死点に達した後のオーバーラップよりも大きくなるように吸気時期を制御する一方、成層燃焼を行わせる運転域のうち極低負荷側の運転域では、吸気弁の閉時期を有効圧縮比が有効膨張比よりも小さくなる早閉じ又は遅閉じとすることにより吸気の充填を成層燃焼状態に比べて抑えるようにしたものである(請求項1)。
【0008】
このエンジンによれば、過給 機駆動による全負荷域で掃気性能を高めてノッキングを効果的に防止することができるとともに新気充填効率をアップすることができる。また、過給機の負荷を軽減して燃費を向上させることが可能となる。しかも、噴射燃料が極めて少ない極低負荷域において噴射量にバラツキが生じて噴射量が要求噴射量に満たないような場合でも、吸気の充填が抑えられているために空燃比が大きくリーンサイドに偏ることがない。しかも、吸気弁を早閉じ又は遅閉じするためポンピングロスを伴うことなく吸気の充填が抑えられる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0010】
図1は本発明に係る過給機付筒内噴射型エンジンの一例を示す模式図、図2は同エンジンの要部構成を示す概略図である。この図において、エンジンは、エンジン本体10と、このエンジン本体10に接続される吸気通路12及び排気通路13等で構成されている。
【0011】
上記吸気通路12には、上流側から順にエアクリーナ14、エアフローメータ15、スロットル弁16,過給機17、インタークーラ18及びサージタンク19等が配設されている。
【0012】
上記過給機17は、図外のエンジン出力軸により機械的に駆動されて吸気の過給を行う機械式過給機で、例えば、一対のロータを有したリショルム型の過給機からなり、ベルト伝動機構によるエンジンの回転力伝達に応じて各ロータを回転させて吸入空気を圧縮して吐出するように構成されている。また、過給機17には、上記回転力を断続するための電磁クラッチ20が設けられおり、この電磁クラッチ20がオンとなったときに回転力が伝達されて過給機17が駆動状態となり、電磁クラッチ20がオフとなったときに回転力の伝達が遮断されて過給機17が停止状態になるように構成されている。
【0013】
吸気通路12には、さらに上記過給機17をバイパスする過給バイパス通路21が設けられるとともに、この過給バイパス通路21に制御弁22が設けられており、運転状態に応じた制御弁22の開閉に応じて吸気をバイパスさせるようになっている。
【0014】
上記排気通路13には、上流側から順にO2センサ23、触媒装置24及びサイレンサ25等が配設されている。触媒装置24は、例えば三元触媒を備えており、排ガス中のHC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)等を吸収して排ガスを浄化するように構成されている。
【0015】
上記エンジン本体10は、シリンダブロックとその上部に設置されるシリンダヘッドとから構成されている。シリンダブロックのシリンダ27内にはピストン28が配設され、このピストン28の上面とシリンダヘッドの下面との間に燃焼室29を形成している。
【0016】
また、エンジン本体10には、燃焼室29に開口する吸気ポート及び排気ポートが形成され、例えば、各気筒毎に2個の吸気ポート30と2個の排気ポート31とが形成されている。そして、各吸気ポート30に上記吸気通路12を構成する吸気マニホールドがそれぞれ接続される一方、各排気ポート31に上記排気通路13を構成する排気マニホールドがそれぞれ接続されている。
【0017】
各吸気ポート30にはそれぞれ吸気弁32が装備され、各排気ポート31には それぞれ排気弁33が装備されており、各弁32,33用のカムシャフトのカム(図示省略)により各弁32,33が駆動されるようになっている。特に、吸気弁32を駆動するカムシャフトには、カムで吸気弁34を作動させながらこのカムの位相を変える動弁可変装置34(図1に示す)が組み込まれており、これにより吸気弁32による吸気時期が可変となっている。
【0018】
エンジン本体10には、さらに、図2に示すように燃焼室29内に直接燃料を噴射するインジェクタ35と、点火プラグ36とが設けられており、インジェクタ35の先端が燃焼室29の略周縁部に配置され、点火プラグ36の先端が燃焼室29の天井部の略中央に配置されている。
【0019】
上記インジェクタ35は、リターンスプリングにより閉弁方向に付勢されるニードルと、これをリフトさせるための電磁コイルとを備えており、電磁コイルの励磁によりニードルをリフトさせることによって後記燃料系で加圧された燃料を先端のノズルから噴射するように構成されている。
【0020】
インジェクタ35は、同図に示すように燃焼室29の一側方において吸気ポート30が配設された部分の下方に配設されているとともに、インジェクタ配置部分に対向する燃焼室周縁付近に向かう斜め下方に向かって燃料を噴射するようにエンジン本体10に傾斜した状態で取付けられている。このようにインジェクタ35及び点火プラグ36が配置されることにより、運転時には、図2中に符号Fで示すように点火プラグ36の先端近傍に燃料が噴射されるようになっている。
【0021】
図3は、上記エンジンの燃料系の構成の一例を示している。この図において、40は、燃料タンクであり、この燃料タンク40と上記インジェクタ35との間に燃料供給通路41及び燃料リターン通路42が接続されている。
【0022】
燃料供給通路41には、燃料タンク40側から順に低圧燃料ポンプ43、フィルター44及びエンジン駆動の高圧燃料ポンプ45が設けられ、燃料リターン通路42には、高圧レギュレータ46と、その下流側に位置する低圧レギュレータ47が設けられている。さらに、高圧燃料ポンプ45をバイパスする通路48が設けられ、この通路48にチェックバルブ48aが設けられるとともに、高圧レギュレータ46をバイパスする通路49が設けられ、この通路49にソレノイドバルブ49aが設けられている。
【0023】
そして、通常は、上記ソレノイドバルブ49aが閉じられた状態で、高圧燃料ポンプ45が作動され、かつ、高圧レギュレータ46が機能することによりインジェクタ35に作用する供給燃料圧力(燃圧という)が圧縮行程後記の噴射が可能な程度の高圧に調整される。また、高圧燃料ポンプ45が充分に作動されないエンジン始動時には、低圧燃料ポンプ43が駆動されるとともに、上記ソレノイドバルブ49aが開かれて高圧レギュレータ46がバイパスされることで低圧レギュレータ47が機能し、これによりインジェクタ35に作用する燃圧が、吸気行程噴射が可能な程度の低圧に調整されるようになっている。
【0024】
図1において50は、エンジン制御用のECU(コントロールユニット)であり、このECU50には、アクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)を検出するアクセルセンサ37、吸入空気量を検出するエアフローメータ38、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ39、上記O2センサ23及び図外のクランク角センサ等からの信号が入力されている。
【0025】
このECU50は、運転状態に応じて上記電磁クラッチ20を制御する過給機制御手段51と、上記動弁可変装置34を制御することにより吸気時期を変動させる吸気時期制御手段52と、インジェクタ駆動回路55を介して燃料の噴射時期及び噴射量を制御する燃料噴射制御手段53とを含んでいる。
【0026】
上記ECU50の過給機制御手段51による運転状態に応じた電磁クラッチ20の制御を図4に基づいて説明する。
【0027】
同図は、エンジンの運転状態において過給機17が停止される運転領域である過給機停止領域Aと、過給機17が駆動される運転領域である過給機駆動領域Bとを示しており、過給機停止領域Aでは電磁クラッチ20がオフとされ、過給機駆動領域Bでは電磁クラッチ20がオンとされる。また、同図中のラインIは、過給機下流の吸気圧が大気圧となるときのトルク、つまり無過給時の全トルクに相当するものであり、またラインIIは、過給機17による吸気の過給が行われた場合の全開トルクに相当するものである。
【0028】
同図に示すように、予め設定された所定のエンジン回転数N1より低速側においては、ラインIを若干越えるラインを境に低負荷側と高負荷側とで過給機17が停止状態と駆動状態とに切替えられる。設定回転数N1は、ラインIIのピーク、つまり過給機17による吸気の過給が行われた場合の最高トルクとなるエンジンの回転数近傍の回転数に設定されている。一方、設定回転数N1より高速側では、低負荷側から高負荷側にわたって過給機17が駆動状態とされる。つまり、過給機停止領域Aは、設定回転数N1より低速側における低負荷の領域とされ、また過給機駆動領域Bは、設定回転数N1より低速側の高負荷側の領域および設定回転数N1より高速側の低負荷側から高負荷側にわたる領域とされている。
【0029】
また、ECU50の燃料噴射制御手段53による燃料の噴射時期及び噴射量の制御は図5に示すように行われる。
【0030】
すなわち、上記過給機駆動領域Bでは吸気行程中に燃料を噴射し、上記過給機停止領域Aでは圧縮行程後期に燃料を噴射するようにインジェクタ35が制御される。但し、過給機停止領域Aのうち、特定回転数N2よりも低回転側で、かつ上記ラインIとラインIIとのほぼ中間のラインより低負荷側の領域では、全燃料噴射量の一部を圧縮行程後期に噴射する、つまり、燃料の分割噴射を行うようにインジェクタ35が制御される。なお、設定回転数N2は、上記設定回転数N1より高回転で過給機17による吸気の過給が行われた場合の最高トルクとなるエンジンの回転数近傍の回転数に設定されている。
【0031】
燃料噴射量は、インジェクタ駆動回路55から出力される開弁時間信号(パルス信号)のパルス幅に応じてインジェクタ35の電磁コイルが励磁されることにより制御されるようになっている。そして、運転状態に応じて要求噴射量が演算されるとともに、この要求噴射量と燃圧とに基づいてパルス幅が求められ、このパルス幅のパルス信号がインジェクタ35に出力されることにより所要量の燃料が噴射されるようになっている。
【0032】
さらに、ECU50の吸気時期制御手段52による吸気時期の制御は以下のように行われる。
【0033】
基本的には、図6(a)に示すようにピストンが上死点(TDC)に達するよりも充分早い位置から吸気弁32を開いて下死点(BDC)より若干遅い位置で吸気弁32を閉じ、これによって有効圧縮比が有効膨張比に近づくようにするとともに、吸排気のオーバーラップを大きく設け、かつ上死点(TDC)前のオーバーラップを上死点(TDC)後のオーバーラップよりも大きくするように吸気時期が設定されている(通常タイミング)。そして、このオーバーラップ状態を保ちながらエンジンの回転数に応じてカムの位相を変えることにより、例えば特定回転数N1より低回転側では図6(a)に示すタイミングで吸気を行う一方、回転数N1より高回転側では図6(b)に示すように吸気弁32の閉時期が多少遅くなる方向に吸気時期を変動させ、これによってエンジン回転数に応じた最適な吸気充填効率を得るように吸気時期が制御されるようになっている。
【0034】
但し、上記過給機停止領域Aのうち、アイドル運転時等、少量の燃料を噴射する極低負荷の特定運転域αでは、図6(c)に示すようにピストンが上死点(TDC)に達する若干早い位置から吸気弁32を開いて下死点(BDC)より充分に遅い位置で吸気弁32を閉じる、つまり、吸気弁32を遅閉じすることによって有効圧縮比を有効膨張比よりも小さくする(吸気の充填を抑える)ように吸気時期が制御されるようになっている(遅閉じタイミング)。なお、このときには吸排気のオーバーラップは極小さくなる。
【0035】
以上のような当実施形態の過給機付筒内噴射型エンジンの作用効果を次に説明する。
【0036】
上述のようなエンジンによれば、上記インジェクタ35の作動時間、つまり電磁コイルの励磁時間が制御されることにより運転状態に応じた所要量の燃料が噴射される。そして、過給機停止領域Aでは、圧縮行程後期に燃料が噴射されることで点火プラグ36まわりに混合気が偏在させられて成層燃焼が行われ、これにより空燃比が理論空燃比よりもリーンな状態で安定燃焼が行われて燃費の節約が図られ、また、過給機駆動領域Bの大部分の運転域では、吸気行程中に燃料が噴射されることにより、燃料の拡散が促進されて均一燃焼が行われてエンジン出力が高められる。そして、このような過給機停止領域Aから過給機駆動領域Bへの過渡領域において上述のように燃料の分割噴射が行われることにより、燃焼状態がスムーズに切替えられる。
【0037】
しかも、過給機停止領域Aのうち極低負荷の特定運転域αにおいては、吸気時期が上記遅閉じタイミングとされることにより、噴射量にバラツキが生じ易いこの運転域αでの安定燃焼性が確保される。
【0038】
すなわち、このエンジンでは、上述のように吸気時期が遅閉じタイミングとされて吸気の充填が抑制されることにより、特定運転域αでの吸気充填量が成層燃焼状態に比べて少なくなっている。そのため、噴射燃料が要求噴射量に満たないよう場合でも、空燃比が大きくリーンサイドに偏って失火限界を越えるようなことがない。従って、過給機を備えたこの種のエンジンにおいて生じる可能性の高い、極低負荷域での噴射燃料のバラツキに起因した失火が効果的に回避され、これによって安定燃焼性が好適に確保される。
【0039】
なお、上記のエンジンにおいては、特定運転域α以外の運転域では、上死点(TDC)前のオーバーラップが上死点(TDC)後のオーバーラップよりも大きくなるように吸気時期を設定しているため、過給機駆動による全負荷運転域での掃気性が充分に高められる。そのため、この運転域において高温の残留ガスを排出することで燃焼温度上昇を抑制してノッキングの発生を効果的に抑えることができ、また、残留ガス排出分だけ新規充填効率をアップすることができるという利点もある。
【0040】
このように当実施形態のエンジンによれば、過給機を備えた従来のこの種の筒内噴射式エンジンと比較すると、アイドル運転時等の極低負荷域から過給機駆動による全負荷域にわたって安定燃焼性を確保することができる。
【0041】
ところで、上述のエンジンは本発明に係る過給機付筒内噴射型のエンジンの一例であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0042】
例えば、上記エンジンでは、特定運転域αで吸気弁32を遅閉じすることで吸気の充填を抑え、これによって特定運転域αでの空燃比が失火限界を越えないようにしているが、逆に、ピストンが下死点(BDC)に達する前に吸気弁32を閉じ、これによって吸気の充填を抑えるようにしてもよい。この場合にも、上記エンジンの特定運転域αでの失火を防止することができる。なお、吸気の充填を抑える方法としては、このように吸気弁32による吸気時期を制御する以外に、例えば、スロットル弁の開度を調整することも考えられるが、この場合には、ポンピングロスを伴うこととなるため、この点、吸気時期を制御するようにする方が有利である。
【0043】
また、上記実施形態のエンジンでは、動弁可変装置34として、単一のカムで吸気弁を作動させながらこのカムの位相を変動させることによって吸気時期を切替える装置を用いているが、例えば、2種類のカムと、これらのカムのいずれか一方のカムで吸気弁を作動させるように切替える切替機構とを具備した動弁可変装置を用いるようにしてもよい。
【0044】
なお、吸気の充填量は専ら吸気弁の閉時期による影響が大きいため、例えば、2つの吸気ポートにおける吸気弁の閉じタイミングを予め異ならせておき、選択的に一方のポートへの吸気通路を遮断したり、あるいは選択的に一方のポートにおける吸気弁32を停止させることにより、結果的に吸気弁の閉時期を可変とするようにしてもよい。この場合には、当実施形態のエンジンのようにオーバーラップを大きく設けることなく、例えば、上死点(TDC)より若干早い位置から吸気を開始し、図7に示すようなタイミングで吸気弁を閉じるように吸気弁の閉時期を変動させるようにしてもよい。すなわち、燃焼噴射量の極めて少ない極低負荷域および過給機駆動による全負荷域で吸気弁の閉時期を遅くして吸気の充填を抑えるようにしてもよい。このようにすれば、極低負荷域では空燃比のリーン化を抑えて失火を防止することができ、過給機駆動による全負荷域では有効圧縮比を減少させて燃焼温度の低温化を図り、これにより排気温度を下げることができるとともにノッキングの発生を防止することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の過給機付筒内噴射型エンジンは、燃料を燃焼室内に直接噴射するインジェクタを備え過給機付筒内噴射型エンジンにおいて、機械式の上記過給機と、この過給機を駆動制御する過給機制御手段と、吸気時期を可変とする動弁可変手段と、これを制御する吸気時期制御手段とを設け、少なくとも過給機駆動の運転域で、有効圧縮比が有効膨張比に近づくように吸気弁の閉時期を制御するとともに過給機駆動による全負荷の運転域で、ピストンが上死点に達する前の吸排気のオーバーラップが上死点に達した後のオーバーラップよりも大きくなるように吸気時期を制御する一方、成層燃焼を行わせる運転域のうち極低負荷側の運転域で、吸気弁の閉時期を有効圧縮比が有効膨張比よりも小さくなる早閉じ又は遅閉じとすることにより吸気の充填を成層燃焼状態に比べて抑えるようにしたので、過給機駆動による全負荷域で掃気性能を高めてノッキングを効果的に防止することができるとともに新気充填効率をアップすることができ、また、噴射燃料が極めて少ない極低負荷域において、噴射量にバラツキが生じて噴射量が要求噴射量に満たないような場合でも、空燃比が大きくリーンサイドに偏って失火限界を越えるのを効果的に防止することができる。従って、過給機駆動による全負荷運転域で要求される燃料を適切に噴射するようにしながらも、極低負荷域での失火の発生を回避して安定燃料性を適切に確保することができる。しかも、吸気弁を早閉じ又は遅閉じすることにより吸気の充填を抑えるので、ポンピングロスを伴うことなく失火の発生を回避することができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る過給機付筒内噴射型エンジンの一例を示す模式図である。
【図2】 上記エンジン本体の燃焼室及びその付近を示す平面概略図である。
【図3】 上記エンジンの燃料系を示す構成図である。
【図4】 過給機の駆動領域を説明する図である。
【図5】 燃料の噴射時期を説明する図である。
【図6】 (a)〜(c)は吸気時期を説明する図で、(a)及び(b)は通常タイミング、(c)は遅閉じタイミングを示す図である。
【図7】 吸気の停止時期のみを変動させる場合の、吸気時期の制御の一例を示す図である。
【図8】 従来装置における燃料の噴射量と噴射時間(パルス幅)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジン本体
12 吸気通路
13 排気通路
17 過給機
35 インジェクタ
40 燃料タンク
41 燃料供給通路
42 燃料リターン通路
43 低圧燃料ポンプ
45 高圧燃料ポンプ
50 ECU
51 過給機制御手段
52 吸気時期制御手段
53 燃料噴射制御手段
Claims (1)
- 過給機を備えるとともに、燃料を燃焼室内に直接噴射するインジェクタを備え、低負荷時に空燃比が理論空燃比よりも大きい状態でインジェクタから圧縮行程で燃料を噴射して成層燃焼を行わせるとともに、全負荷時に過給状態で、かつ空燃比が理論空燃比若しくはそれ以下の状態で均一燃焼を行わせるようにした過給機付筒内噴射型エンジンにおいて、
機械式の上記過給機と、この過給機を駆動制御する過給機制御手段と、吸気時期を可変とする動弁可変手段と、これを制御する吸気時期制御手段とを備え、
前記過給機制御手段は、エンジンの低速・低負荷側運転域で前記過給機の駆動を停止させる一方、エンジンの低速・高負荷側運転域で前記過給機を駆動させ、
前記吸気時期制御手段は、少なくとも過給機駆動の運転域で、有効圧縮比が有効膨張比に近づくように吸気弁の閉時期を制御するとともに過給機駆動による全負荷の運転域で、ピストンが上死点に達する前の吸排気のオーバーラップが上死点に達した後のオーバーラップよりも大きくなるように吸気時期を制御する一方、成層燃焼を行わせる運転域のうち極低負荷側の運転域では、吸気弁の閉時期を有効圧縮比が有効膨張比よりも小さくなる早閉じ又は遅閉じとすることにより吸気の充填を成層燃焼状態に比べて抑えることを特徴とする過給機付筒内噴射型エンジン。
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