JP3817578B2 - 刈払機用の災害防止バンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、林業等に使用される股ベルト、より詳しくは、刈払機用の災害防止バンドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、刈払機の使用は林業に止まらず、広く造園工事、建設工事、土木工事等の分野でも見受けられるが、刈払機1の作業は図11に示すように、依然として立ち姿勢や歩行、機械の運搬を伴う作業であり、重労働が解消されず、労働災害の発生率の高い作業の一つとなっている。特に、林業の下刈作業に刈払機1を使用すると、作業者20の転倒により刈払機1の刈刃3が作業者20の足首(特に、足甲部付近)に接触し、切創を招くという災害が多く発生している(図12、図13参照)。
この点に鑑み、従来においては、刈払機1の刈刃下方に、保護盤を取り付けて切創事故を防止軽減する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実開平7‐28318号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の刈払機1は、以上のように刈刃3の下方に、保護盤を取り付けて安全を強化するようにしているが、係る保護盤を取り付けると、構造の複雑化やコストアップを招くこととなる。また、保護盤を取り付けても、刈刃3を完全に隠蔽被覆することは機能上困難である。
したがって、例えば傾斜地で作業に従事する作業者20が転倒すると、刈払機1が肩掛けバンド30と共に作業者20の身体上方にずり上がり、露出した刈刃3が作業者20の足首を切創するのを有効に防ぐことができない(図13参照)。この問題は、切創予測個所に対するすね当て等の装着によっても、解消することは困難である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、構造の複雑化やコストアップを防ぎ、作業者の姿勢が崩れた場合に、刈払機が作業者の身体上方にずり上がり、作業者の身体を傷付けるのを抑制防止することのできる刈払機用の災害防止バンドを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上記課題を達成するため、刈払機を取り扱う作業者の姿勢が崩れた場合に、刈払機がずり上がってその刈刃が作業者に接触するのを災害防止バンドにより防ぐものであって、
災害防止バンドを、作業者の片足大腿部にリング状に取り付けられるずり上がり規制バンドと、このずり上がり規制バンドと肩掛式刈払機の肩掛けバンドとを着脱自在に連結する連結具とから構成し、
連結具を片側にバネ式ゲートを備えたD型あるいはO型の形状に形成したことを特徴としている。
【0008】
ここで特許請求の範囲における刈払機には、肩掛式刈払機(エンジン部と刈刃とを連結した操作桿を肩掛けバンドに吊るし、操作桿のグリップを持って作業する刈払機)と、背負式刈払機(エンジン部を背中に背負い、操作桿のグリップとハンドルを持って作業する刈払機)とが含まれる。この刈払機には、Uグリップ、ツーグリップ、ループハンドル、Cハンドル等のタイプがあるが、いずれのタイプでも良い。また、肩掛けバンドは、簡易タイプ、腰バンド付きの簡易タイプ、汎用タイプ、十文字タイプ、腰バンド付きの十文字タイプ、バックル付きの十文字タイプ等があるが、いずれでも良い。
【0009】
作業者の姿勢が崩れた場合とは、少なくとも作業者が何らかの原因(例えば、斜面で足が滑る、小石の飛来、蜂の襲来等)で倒れた場合をいう。また、災害防止バンドのずり上がり規制バンドは、単なるリング状でも良いし、長さの調整機能を有するタイプ等でも良い。連結具は、専用品でも良いし、登山に使用するカラビナ(carabiner)等でも良い。さらに、刈払機用の災害防止バンドは、少なくとも送電事業、林業、農業、造園工事、建設工事、土木工事、ゴルフ場等の分野で使用することができる。
【0010】
本発明によれば、倒れたり、尻餅をつく等して作業者の姿勢が崩れ、刈払機が作業者の身体上方にずり上がろうとすると、ずり上がり規制バンドが刈払機のずり上がり移動を直接間接に制約する。したがって、刈払機の刈刃と作業者との間に空き領域を確保することができ、刈払機の刈刃が作業者の身体に接触するのを抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における股ベルト、すなわち刈払機用の災害防止バンドは、図1ないし図6等に示すように、刈払機1を操作する作業者20の作業姿勢が転倒等により崩れた場合に、刈払機1の先端部の刈刃3が作業者20の足首を切創するのを防ぐ災害防止バンド40を備えるようにしている。
【0012】
刈払機1は図1や図3に示すように、例えばツーグリップの肩掛式刈払機1Aからなり、この肩掛式刈払機1Aは、エンジン部2と刈刃3とがパイプからなる操作桿4により連結されており、この操作桿4が作業者20に肩掛けバンド30を介して着脱自在に吊持される。エンジン部2は、例えば2サイクルの混合ガソリンエンジンからなり、一般的にはダイヤフラムタイプの気化器や自動遠心クラッチ等が設置されており、操作桿4の末端部に装着される。このようなエンジンは、エンジンスイッチの押圧操作、あるいはリコイルグリップが引かれることにより駆動する。
【0013】
刈刃3は、操作桿4の先端部にギヤケースや飛散防護カバー5と共に締結具等を介し軸支された丸のこ刃からなり、エンジン部2に操作桿4の伝導軸を介して連結されており、エンジン部2の駆動により回転する。操作桿4は、エンジンスイッチ、スロットルレバー、複数のグリップ6、ハンガー7等が配設され、このハンガー7に肩掛けバンド30が吊り金具32を介して着脱自在に接続される。また、肩掛けバンド30は、図1に示す腰当31て付きの簡易タイプ、図2に示すエンドレスの簡易タイプ、図3や図4に示す腰バンド付きの十文字タイプ等からなり、腰当31、吊り金具32、腰バンドがその一部として選択的に併用される。
【0014】
災害防止バンド40は、図5や図6に示すように、作業者20の右足大腿部21に装着されるずり上がり規制バンド41と、このずり上がり規制バンド41と肩掛式刈払機1Aの肩掛けバンド30とを着脱自在に連結する軽合金製の連結具43とから構成される。ずり上がり規制バンド41は、例えばナイロン製の安価な帯体からなり、その両端部が直接逢着されたり、両端部が着脱自在に接続されたり、あるいは長さ調整用のイタオクリ42を介して接続されることによりリング状に形成される。さらに、連結具43は、例えば片側にバネ式ゲートを備えたD型やO型のカラビナ等からなり、ずり上がり規制バンド41に着脱自在に嵌め通されて肩掛けバンド30のバンド部、吊り金具32、あるいは腰バンドに着脱自在に連結される。
【0015】
上記構成において、例えば傾斜地で作業者20が肩掛式刈払機1Aを使用して刈り払い作業をする場合には、先ず、肩掛けバンド30とその肩当を正しく身体にあてがい、腰当31が右腰の適当な個所に位置するよう、肩掛けバンド30の長さを調整し、腰バンドがあるときにはそれを締める。こうして肩掛けバンド30を装着したら、右足大腿部21に、ずり上がり規制バンド41を嵌めたり、巻いたりする等して装着し、このずり上がり規制バンド41に連結具43を嵌め通す。
【0016】
次いで、肩掛式刈払機1Aのエンジン部2を始動し、肩掛式刈払機1Aのハンガー7を肩掛けバンド30の吊り金具32に吊持させてバランスを調整し、その後、肩掛けバンド30のバンド部、吊り金具32、あるいは腰バンドとずり上がり規制バンド41とを連結具43により着脱自在に連結して長さを調整すれば、傾斜地で作業者20が肩掛式刈払機1Aを使用して刈り払い作業をすることができる。
【0017】
作業者20の作業の際、誤って転倒したりすると、肩掛式刈払機1Aが肩掛けバンド30と共に作業者20の身体上方にずり上がろうとするが、ずり上がり規制バンド41が肩掛けバンド30のずり上がりを規制するので、露出した刈刃3が作業者20の足首よりも上方に移動することがない(図3、図4参照)。したがって、刈刃3が作業者20の足首を切創するのをきわめて有効に抑制防止することができる。また、災害防止バンド40を、入手しやすい安価なずり上がり規制バンド41と連結具43とから構成するので、著しい構成の簡素化と軽量化を図ることができ、構造の複雑化やコストアップを有効に防止することができるとともに、作業の効率化が大いに期待できる。
【0018】
なお、本実施形態ではツーグリップ6の肩掛式刈払機1Aを示したが、なんらこれに限定されるものではない。例えば図7に示すように、比較的広範囲の作業に適するUグリップタイプの肩掛式刈払機1Aを使用する場合でも同様である。
【0019】
次に、図8ないし図10は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、災害防止バンド40を、作業者20の右足大腿部21に装着されて背負式刈払機1Bの操作桿4に着脱自在に連結されるずり上がり規制バンド41とするようにしている。
背負式刈払機1Bは、図8や図9に示すように、エンジン部2が作業者20の背中に背負いバンド8等を介して背負われるとともに、エンジン部2と刈刃3とがフレキシブル軸9により連結され、操作桿4が作業者20の背負いバンド8に吊り紐10を介して着脱自在に吊持されており、比較的楽に動かせるという特徴がある。
【0020】
ずり上がり規制バンド41は、例えばナイロン製の安価な帯体からなり、その両端部が長さ調整用のイタオクリ42を介して接続等されることにより、略リング状に形成されており、余剰部が背負式刈払機1Bの操作桿4、より詳しくは、グリップ6付近に着脱自在に結束される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0021】
上記構成において、例えば傾斜地で作業者20が背負式刈払機1Bを使用して刈り払い作業をする場合には、先ず、右足大腿部21に、ずり上がり規制バンド41を嵌めたり、巻いたりする等して装着する。こうして右足大腿部21にずり上がり規制バンド41を装着したら、背負式刈払機1Bのエンジン部2を始動し、右側の背負いバンド8を右肩にかけるとともに、左側の背負いバンド8を左肩にかけ、背負いバンド8の長さ等を調整する。そして、操作桿4を作業者20の背負いバンド8に吊り紐10を介して着脱自在に支持させた後、操作桿4のグリップ6付近とずり上がり規制バンド41とを着脱自在に連結して長さを調整すれば、作業者20が背負式刈払機1Bを使用して刈り払い作業をすることができる。
【0022】
作業の際、誤って転倒すると、背負式刈払機1Bの操作桿4が作業者20の身体上方にずり上がろうとするが、ずり上がり規制バンド41が操作桿4のずり上がりを規制するので、露出した刈刃3が作業者20の足首よりも上方に移動することがない(図10参照)。したがって、刈刃3が作業者20の足首を切創するのをきわめて有効に抑制防止することができる。また、災害防止バンド40を、入手しやすい安価なずり上がり規制バンド41のみから構成するので、著しい構成の簡素化と軽量化とを図ることができ、構造の複雑化やコストアップを有効に防止することが可能となる。
【0023】
なお、上記本実施形態では災害防止バンド40を、ずり上がり規制バンド41のみとしたが、なんらこれに限定されるものではない。例えば、災害防止バンド40を、作業者20の大腿部21に取り付けられるずり上がり規制バンド41と、このずり上がり規制バンド41と背負式刈払機1Bの操作桿4とを連結する連結具とから構成しても良い。また、作業者20の大腿部21にずり上がり規制バンド41を粘着帯を介して取り付け、ずり上がり規制バンド41の位置ずれを防ぐようにしても良い。さらに、肩掛けバンド30の吊り金具32をずり上がり規制バンド41に取り付けることも可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、刈払機を取り扱う作業者の姿勢が崩れた場合に、刈払機の刈刃が作業者に接触するのを防ぐ災害防止バンドを備えるので、構造の複雑化やコストアップを防ぐことができるという効果がある。特に、災害防止バンドを、入手しやすい安価なずり上がり規制バンドと連結具とから構成するので、構成の簡素化と軽量化を図ることができ、構造の複雑化やコストアップを有効に防止することができるとともに、作業の効率化が大いに期待できる。また、作業者の姿勢が崩れた場合に、刈払機が作業者の身体上方にずり上がり、作業者の身体を傷付けるのを有効に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの実施形態における肩掛式刈払機の使用状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの実施形態における肩掛けバンドを示す説明図である。
【図3】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの実施形態における肩掛式刈払機を操作する作業者が転倒した状態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの実施形態における肩掛式刈払機を操作する作業者が転倒した状態を示す要部拡大説明図である。
【図5】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの実施形態における災害防止バンドを示す説明図である。
【図6】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの実施形態における他の災害防止バンドを示す説明図である。
【図7】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの実施形態におけるUグリップの肩掛式刈払機を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの第2の実施形態を示す説明図である。
【図9】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの第2の実施形態における背負式刈払機を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る刈払機用の災害防止バンドの第2の実施形態における背負式刈払機を操作する作業者が転倒した状態を示す説明図である。
【図11】刈払機を使用した作業状態を示す説明図である。
【図12】林業の下刈作業時に作業者が転倒した状態を示す説明図である。
【図13】図12の作業者が操作する刈払機の刈刃が作業者の足首に接触し、切創が生じる状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 刈払機
1A 肩掛式刈払機
1B 背負式刈払機
2 エンジン部
3 刈刃
4 操作桿
6 グリップ
7 ハンガー
20 作業者
21 右足大腿部(大腿部)
30 肩掛けバンド
31 腰当
32 吊り金具
40 災害防止バンド
41 ずり上がり規制バンド
42 イタオクリ
43 連結具
Claims (1)
- 刈払機を取り扱う作業者の姿勢が崩れた場合に、刈払機がずり上がってその刈刃が作業者に接触するのを災害防止バンドにより防ぐ刈払機用の災害防止バンドであって、
災害防止バンドを、作業者の片足大腿部にリング状に取り付けられるずり上がり規制バンドと、このずり上がり規制バンドと肩掛式刈払機の肩掛けバンドとを着脱自在に連結する連結具とから構成し、
連結具を片側にバネ式ゲートを備えたD型あるいはO型の形状に形成したことを特徴とする刈払機用の災害防止バンド。
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2003
- 2003-02-05 JP JP2003028639A patent/JP3817578B2/ja not_active Expired - Fee Related
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