JP3816609B2 - ピリジル基を有するポリマーからなるシリカ分散性改良剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、置換基を有していてもよい4−ピリジル基を分子末端に有するポリマーからなるシリカ分散性改良剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリマーの分野においては、極性を有する他のポリマーやフィラーに対する親和性を高めるために、ポリマーの分子末端に極性基を導入することが検討されている。
【0003】
しかしながら、窒素原子含有極性基をポリマー末端へ導入する場合には、該極性基を与える試薬が関与する副反応を阻止するために、保護・脱保護工程や特殊な条件下での工程を要することがある。例えば一級アミノ基をアニオンリビングポリマーの末端に導入する際には、一級アミノ基を与える試薬として、有機シリル基で保護されたハロゲン化アルキルアミンや、冷却条件下でメトキシアミンとメチルリチウムとから調製した試薬等が利用されるが、いずれの試薬も工業的に汎用なものではなく、その調製のために高価な原料の使用や冷却条件下での余分な工程を要する点、試薬を反応させた後、脱保護工程等の余分な工程が必要となる点などから、これらの方法は工業化に適しているとは言い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリマーの分子末端に窒素原子含有極性基が高い導入率で導入されているポリマーをシリカ分散性改良剤として提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、アニオン重合の活性末端であるカルボアニオンを利用し、これをピリジン骨格を持つ特定の有機化合物と反応させることによって、窒素原子含有極性基を簡便にかつ高い導入率でポリマー分子末端に導入できることを見いだし、さらに検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0007】
本発明は、主として芳香族ビニル化合物単位および/または共役ジエン単位からなるポリマー鎖を有し、かつ該ポリマー鎖の少なくとも一方の末端に、置換基を有していてもよい4−ピリジル基を有するポリマーからなる天然ゴム中へのシリカ分散性改良剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明のシリカ分散性改良剤を構成するポリマーは、カルボアニオンを分子末端に有するポリマーを、ピリジン環の4位の炭素原子に水素原子が結合している構造を有するピリジン類と反応させる方法により製造することができる。該製造方法で使用するカルボアニオンを分子末端に有するポリマーは、線状のものであっても分岐状のものであってもよい。また、カルボアニオンは該ポリマーの分子末端のうち、置換基を有していてもよい4−ピリジル基(以下、該4−ピリジル基を「ピリジン骨格含有基」ということがある)を導入したい分子末端に存在していればよく、すべての分子末端にあっても、一部の分子末端のみにあってもよい。
【0010】
上記のカルボアニオンを分子末端に有するポリマーを構成するモノマーとしては、特には限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物;イソプレン、ブタジエン等の共役ジエンなどのアニオン重合性モノマーの1種または2種以上が好ましく使用可能である。主として芳香族ビニル化合物単位および/または共役ジエン単位からなるポリマー鎖を有し、かつ該ポリマー鎖の少なくとも一方の末端にカルボアニオンを有するポリマーからは、本発明の製造方法により、上記のものと同様のポリマー鎖を有し、かつ該ポリマー鎖の少なくとも一方の末端にピリジン骨格含有基を有するポリマーを得ることができる。
【0011】
カルボアニオンを分子末端に有するポリマー鎖中におけるモノマーの配列様式も特には限定されず、ホモ重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体などの様式から、目的に応じて適宜選択することができる。なお、ブロック共重合体の様式の場合、それを構成するブロックは、ランダム共重合体ブロック、ホモ重合体ブロックなどの1種または2種以上が任意に選ばれる。
【0012】
上記のカルボアニオンを分子末端に有するポリマーの分子量について特に制限はなく、一般に数平均分子量1000〜1000000の範囲で好適に用いられるが、得られる末端にピリジン骨格含有基を持つポリマーを他のポリマーやフィラーとの組成物の形態で使用する場合において、用途に適した末端ピリジン骨格含有基濃度を考慮にいれると、成形材料の一成分として好適なポリマーを得たいのであれば数平均分子量で5000〜300000の範囲内であることがより好ましく、フィラーの分散性改良剤として好適なポリマーを得たいのであれば数平均分子量で3000〜300000の範囲内であることがより好ましい。
【0013】
上記のカルボアニオンを分子末端に有するポリマーの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができるが、とりわけアニオンリビング重合法によって容易に合成することができる。すなわち、上記例示のごとき芳香族ビニル化合物、共役ジエン等のモノマーは、アニオン重合によって、カルボアニオンを分子末端に有するアニオンリビングポリマーを形成するが、常法に従って条件を適宜選択することによって、得られるアニオンリビングポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を1.0〜1.3の範囲内にすることが可能である。かかる範囲内のMw/Mnの値を有するカルボアニオンを分子末端に有するポリマーを本発明の製造方法に使用した場合には、得られるピリジン骨格含有基を末端に有するポリマーもMw/Mnが1.0〜1.3の範囲内となり(すなわち分子量分布の狭いポリマーとなり)、所望の諸物性、熱特性等を再現性よく実現することが可能となるので好ましい。
【0014】
アニオンリビングポリマーを得るためのアニオン重合は、通常の方法に従い、例えば、有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いて、有機溶媒中でモノマーを重合することによって行うことができる。例えば、該重合開始剤としてn−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム等のアルキルリチウムなどの単官能性の重合開始剤を使用した場合には、片方の分子鎖末端にカルボアニオンを有する線状のアニオンリビングポリマーを得ることができ、また、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属とナフタレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン等の芳香族または不飽和の炭化水素化合物とを組み合わせた二官能性の重合開始剤を使用した場合には、両方の分子鎖末端にカルボアニオンを有する線状のアニオンリビングポリマーを得ることができる。上記の有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル化合物等を使用することができる。またアニオン重合の温度としては、特に制限されるものではないが、−100℃〜100℃の範囲内の温度が一般的である。
【0015】
この際、単官能性の重合開始剤の存在下に芳香族ビニル化合物モノマーを重合し、次いで共役ジエンモノマーを添加して重合することによって、片方の分子鎖末端にカルボアニオンを有する2元ブロック共重合体が得られる。さらに芳香族ビニル化合物モノマーを添加して重合することによって、片方の分子鎖末端にカルボアニオンを有する3元ブロック共重合体を得ることができる。また、このような重合操作を繰り返すことにより、片方の分子鎖末端にカルボアニオンを有する4元以上の多元ブロック共重合体を製造可能である。この時、ブロック共重合体を構成する各ブロックのモノマーは、例えば上記例示のアニオン重合性モノマーより任意に選択することが可能であり、添加する順序も適宜選択することが可能である。
【0016】
このようにしてアニオン重合を行うことによって調製される、カルボアニオンを分子末端に有するポリマーを含有する有機溶媒の溶液は、特に、濃縮、希釈等の操作に付することなく、そのまま、ピリジン環の4位の炭素原子に水素原子が結合している構造を有するピリジン類(以下、これを単に「ピリジン類」ということがある)との反応に使用することができる。
【0017】
使用するピリジン類としては、下記一般式
【0018】
【化3】
【0019】
(式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ水素原子、1価の飽和炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基またはピリジル基を表す。ただし、R1およびR2は両者が一緒になって、またはR3およびR4は両者が一緒になって2価の炭化水素基を表してもよい。)
【0020】
で示される化合物が好ましい。上記R1、R2、R3およびR4で表される1価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましく、1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基等が好ましい。また、R1およびR2が一緒になって、またはR3およびR4が一緒になって表す2価の炭化水素基としては、式−CH=CH−CH=CH−で示される基などが好ましい。該化合物の好ましい例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、2−エチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2−フェニルピリジン、キノリン、2,2’−ジピリジル等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、分子末端への導入率の高さ、入手しやすさの観点から、ピリジンが特に好ましく用いられる。ピリジン類として上記一般式(I)で示される化合物を使用した場合、下記一般式
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、R1、R2、R3およびR4は前記定義のとおりである。)
【0023】
で示される基をポリマー鎖の少なくとも一方の末端に有するポリマーが得られる。
【0024】
カルボアニオンを分子末端に有するポリマーとピリジン類との反応における反応温度は特に限られるものではないが、−100℃〜150℃の範囲内から選ぶことが一般に好ましく、70℃〜150℃の範囲内であることがより好ましい。ピリジン類の使用量は、カルボアニオンを分子末端に有するポリマーが有するカルボアニオンの1モルに対して、1モル以上となるような量であることが好ましく、1〜20モルの範囲内となるような量であることがより望ましい。なお、ピリジン類として2,2’−ジピリジル等のピリジン環の4位の炭素原子に結合した水素原子を2個有する化合物を用いる場合には、該化合物がカルボアニオンの攻撃点を2箇所有するため、2つのポリマーの連結剤として機能することを防止する点から、カルボアニオンに対して10〜20倍モルとなるような量の該化合物に、カルボアニオンを分子末端に有するポリマーの溶液を少量ずつ添加するような方法で反応させることが好ましい。
【0025】
カルボアニオンを分子末端に有するポリマーとピリジン類との反応は、有機溶媒中で行うのが望ましい。好ましい有機溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素化合物;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル化合物などを挙げることができる。有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、通常、カルボアニオンを分子末端に有するポリマーに対して50倍重量以下であり、好ましくは1〜20倍重量の範囲内である。用いられるピリジン類は、一般に、窒素雰囲気下で蒸留精製を行ったのち、モレキュラーシーブスを加えるなどして、水分をできるだけ除去しておくこと望ましい。カルボアニオンを分子末端に有するポリマーとピリジン類との接触は、該ポリマーの有機溶媒中の溶液にピリジン類またはその有機溶媒中の溶液を添加する方法、ピリジン類またはその有機溶媒中の溶液に該ポリマーの有機溶媒中の溶液を添加する方法など、任意の方式を採用することができる。これらの場合の添加操作は一括でも、連続的でもよい。反応中、両者の混合物は窒素等の不活性ガス雰囲気中で十分に撹拌下することが望ましい。反応時間は特に限定されるものではないが、一般に1分間〜5時間の範囲内である。
【0026】
上記のようにして得られる分子末端にピリジン骨格含有基を有するポリマーを含む反応混合物からの該ポリマーの取得方法としては、特に制限されることなく、公知の方法に準じた種々の方法を採用することができる。反応混合物から溶媒等を留去するのみでよい場合もあるが、目的とするポリマーの純度が十分には高くない場合には、再沈精製などの方法で適宜、精製処理に供することができる。
【0027】
例えば再沈による精製法は、一般的な方法に従って行うことができる。得られたポリマーをそのポリマーに応じた良溶媒に溶解させ、この溶液を多量(例えば、得られた溶液の約10倍量)の貧溶媒に撹拌しながら徐々に滴下するという手順で行うことができる。本発明では、良溶媒としてトルエンを用い、貧溶媒としてメタノールを用いると好結果が得られることが多い。この際、ポリマーがトルエンに溶解しているときに水洗することで、未反応のピリジン類等の不純物を効率よく除去することも可能である。
【0028】
置換基を有していてもよい4−ピリジル基を分子末端に有するポリマー、好ましくは、主として共役ジエン単位(例えば、イソプレン単位、ブタジエン単位など)からなるポリマー鎖を有するポリマーは、天然ゴム、シリカとともに、例えばロールミキサー、ニーダー、バンバリーミキサーなどの各種混練機を用いて混練することにより、天然ゴム中へのシリカ分散性改良剤としての機能を発現する。この場合、ポリマーの数平均分子量は3000〜300000の範囲内であることが好ましい。なお、この際の置換基を有していてもよい4−ピリジル基を分子末端に有するポリマーの添加量は必ずしも限られるものではないが、天然ゴム100重量部に対して約1〜30重量部であることが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれにより限定されない。
【0031】
実施例1(分子鎖の片末端に4−ピリジル基を有するポリイソプレンの合成)
十分に脱水されたシクロヘキサン1000重量部の入った撹拌装置付き容器中に、s−ブチルリチウム0.13重量部を加えた。ヒーターと温度調節装置を用いて容器内の溶液の温度を35℃にした後、イソプレン100重量部を徐々に滴下し、ついでその温度で2時間撹拌することによってアニオン重合反応を行った。
【0032】
このようにして調製したポリイソプレンのアニオンリビングポリマーのシクロヘキサン溶液に35℃でピリジン0.80重量部を加え、90℃に昇温して2時間撹拌した。このようにして反応混合液を得た。この反応混合液を大量のメタノール中に注ぎポリマーを沈殿させた。上澄み液を除去し、沈殿物を70℃で真空乾燥することによって、97重量部のポリマーの粗製物を得た。
【0033】
得られた粗製物をトルエンに溶解し、同容量の蒸留水で3回洗浄した。得られたトルエン相を大量のメタノール中に注ぎ、ポリマーを再沈した。得られた沈殿物を70℃で真空乾燥した後、トルエンへの溶解、メタノール中への再沈および沈殿物の真空乾燥という一連の操作をさらに2回繰り返した。このようにしてポリマーの精製物を95重量部得た。
【0034】
上記のポリマーの精製物はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定において単峰性のピークを示し、数平均分子量が50000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.08であることが判明した。
【0035】
ポリマーの精製物を核磁気共鳴分光計(1H−NMR)で測定した結果、ピリジン環上の2位のプロトンに由来するピーク(δ=8.5ppm)および3位のプロトンに由来するピーク(δ=7.0ppm)が認められ、ピリジン環がポリマーに導入されたことが確認できた。また、ピリジン環の4位のプロトンに由来するピーク(δ=7.5ppm)はほぼ消失しており、ピリジンの4位が選択的に攻撃されてポリマーに導入されていることが判明した。開始剤(s−ブチルリチウム)由来の末端構造中のメチル基プロトンに由来するピーク(δ=1.8ppm)との強度比較を行った結果、4−ピリジル基の導入率はポリマー基準で90モル%と計算できた。
【0036】
製造例1(分子鎖の片末端に4−ピリジル基を有する線状のポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体の合成)
十分に脱水されたシクロヘキサン1000重量部の入った撹拌装置付き容器中に、s−ブチルリチウム0.13重量部を加えた。容器内の溶液の温度を35℃にした後、スチレン15重量部を徐々に滴下して1時間重合し、次いでイソプレン70重量部を加えて同温度で1時間重合し、さらにスチレン15重量部を加えて同温度で1時間重合した。
【0037】
このようにして調製したポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体の形態のアニオンリビングポリマーのシクロヘキサン溶液に40℃でピリジン0.80重量部を加え、90℃に昇温して2時間撹拌した。このようにして反応混合液を得た。この反応混合液を大量のメタノール中に注ぎポリマーを再沈した。沈殿物を70℃で真空乾燥することによって、95重量部のポリマーの粗製物を得た。
【0038】
得られた粗製物をトルエンに溶解し、同容量の蒸留水で3回洗浄した。得られたトルエン相を大量のメタノール中に注ぎ、ポリマーを再沈した。得られた沈殿物を70℃で真空乾燥した後、トルエンへの溶解、メタノール中への再沈および沈殿物の真空乾燥という一連の操作をさらに2回繰り返した。このようにしてポリマーの精製物を91重量部得た。
【0039】
上記のポリマーの精製物はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定において単峰性のピークを示し、数平均分子量が50000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.10であることが判明した。実施例1と同様に核磁気共鳴分光計(1H−NMR)による測定の結果、ピリジン環の4位が選択的に攻撃されてポリマーに導入されていることが判明し、ポリスチレンブロックのベンゼン環プロトン由来のピーク(δ=6.0〜7.5ppm)との強度比較を行った結果、4−ピリジル基の導入率はポリマー基準で91モル%と計算できた。
【0040】
参考例1(分子末端を変性していないポリイソプレンの合成)
実施例1と同様の反応条件で、末端の変性されていないポリイソプレンの合成を行った。すなわち、十分に脱水されたシクロヘキサン1000重量部の入った撹拌装置付き容器中に、s−ブチルリチウム0.13重量部を投入した。ヒーターと温度調節装置を用いて容器内の溶液の温度を35℃にした後、イソプレン100重量部を徐々に滴下し、さらにその温度で2時間撹拌することによってアニオン重合反応を行った。その後、実施例1と異なり、ピリジンは添加せずに、0.1重量部のメタノールを添加して反応を停止させた。
【0041】
得られた粗製物をトルエンに溶解し、蒸留水で3回洗浄した。得られたトルエン相を大量のメタノール中に注ぎ、ポリマーを再沈した。得られた沈殿物を70℃で真空乾燥した後、トルエンへの溶解、メタノール中への再沈および沈殿物の真空乾燥という一連の操作をさらに2回繰り返した。このようにしてポリマーの精製物92重量部を得た。
【0042】
上記のポリマーの精製物はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定において単峰性のピークを示し、数平均分子量が50000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.06であることが判明した。
【0047】
参考例3(シリカ分散性改良剤としての評価)
実施例1において合成した分子末端に4−ピリジル基を導入したポリイソプレンおよび参考例1において合成した未変性のポリイソプレンをそれぞれ天然ゴム(RSS#1)とシリカ(ニップシールVN−3;日本シリカ製)とともに表1に示す配合量で混練することによって、分散試験を行った。混練はブラベンダーを用い、温度55℃、回転数50rpmの条件で5分間行った。得られた試料を走査型電子顕微鏡を用いて300倍〜2000倍の倍率で観察し、シリカ分散粒子の平均粒子径、最大粒子径および最小粒子径により評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の結果より、分子末端に4−ピリジル基を導入したポリイソプレンを添加した試料1、試料3および試料5はそれぞれ未変性ポリイソプレンを添加した試料2、試料4および試料6と比較して、シリカの分散粒子径が小さくなっていることが観察され、分散状態が改善されていることが確認できる。
【0054】
【発明の効果】
本発明に用いるピリジン骨格含有基を分子末端に有するポリマーは、その基の存在により、天然ゴムに対するシリカ分散性改良剤として有用である。
Claims (3)
- 主として芳香族ビニル化合物単位および/または共役ジエン単位からなるポリマー鎖を有し、かつ該ポリマー鎖の少なくとも一方の末端に、置換基を有していてもよい4−ピリジル基を有するポリマーからなる天然ゴム中へのシリカ分散性改良剤。
- 主として芳香族ビニル化合物単位および/または共役ジエン単位からなるポリマー鎖が、主として芳香族ビニル化合物単位からなるポリマーブロックと主として共役ジエン単位からなるポリマーブロックとを含有するポリマー鎖である請求項1または2記載のシリカ分散性改良剤。
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