JP3816501B2 - 石炭焚ボイラの燃焼方法 - Google Patents
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Description
図11は竪型ミルを備えた石炭焚ボイラシステムの概略系統図である。図11の石炭焚ボイラシステムはボイラ1と、ボイラ1の微粉炭バーナ2に対し微粉炭を供給する竪型ミル3と、ボイラ1に対し一次空気B、二次空気を供給する押込通風機4と、竪型ミル3に対し一次空気Bを供給する一次空気用押込通風機5と、ボイラ1および竪型ミル3に供給される空気を予熱する空気予熱器6と、ボイラ1の燃焼ガスが導かれる集塵機7と、脱硝装置8と、誘引通風機9および脱硫装置10とから主に構成されている。
この竪型ミル3内で粉砕された微粉炭は、送炭管24を経由して微粉炭バーナ2に供給され、空気予熱器6から直接送られる二次空気と一緒になってボイラ1の火炉11内で燃焼される。燃焼によって生じた排ガスは集塵機7に導かれ、排ガス中のダストが集塵され、引き続いて脱硝装置8により窒素酸化物が除去される。これらの排ガスは、空気予熱器6を通って誘引通風機9によって吸引され、空気予熱器6のエレメントを加熱した後、脱硫装置10により硫黄酸化物が除去されて次工程に移送される。
一方、わが国で燃料として使用される石炭の輸入先は多岐にわたり、その性状も多種多様である。今まで、わが国では燃料比(固定炭素量/揮発分量)が1〜3程度の燃焼性が良好で、かつ、ボイラ内の伝熱面に灰が付着しにくい灰の溶融点が高い瀝青炭が利用されてきた。有限な化石燃料を有効に利用する観点から、わが国でも炭化度の低い亜瀝青炭や褐炭などもボイラ用燃料として利用する要求が強まっている。したがって、将来は石炭焚ボイラでは、今まで以上に多種多様の石炭を燃焼させるようになる。一般に亜瀝青炭や褐炭は灰の溶融点が低く、ボイラ火炉11の伝熱面に溶融灰が付着するスラッギングが激しいと言われており、その対策としてボイラ火炉11のサイズを大きくして火炉内の温度を下げる手法がとられている(Steam/40th Edition,P20−14〜16)。
火力原子力発電、Vol.43、No.4、P412 Steam/40th Edition,P20−14〜16
本発明の目的は、スラッギングの激しい石炭からスラッギングの激しい石炭までを高効率に燃焼させることができる石炭焚ボイラの燃焼方法を提供することにある。また、本発明の目的はスラッギングの激しい亜瀝青炭、褐炭などの石炭を燃焼する場合にボイラ火炉内の伝熱面に灰が付着するスラッギングを抑止できる石炭の燃焼方法を提供することにある。
すなわち、火炉を構成する垂直壁面の対向する同一水平面上の各壁面に微粉炭バーナをそれぞれ複数列配置すると共に、前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナを垂直壁面の上下方向に三段以上に設けた石炭焚ボイラの燃焼方法において、前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナのうち、両端の微粉炭バーナに供給される微粉炭粒度を他のバーナに供給される微粉炭粒度より粗くした石炭焚ボイラの燃焼方法である。
すなわち、火炉を構成する垂直壁面の対向する同一水平面上の各壁面に微粉炭バーナをそれぞれ複数列配置すると共に、前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナを垂直壁面の上下方向に三段以上に設けた石炭焚ボイラの燃焼方法において、前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナのうち、両端のバーナの空気比を1以上とし、その他のバーナの空気比を1以下とし、さらに、前記両端のバーナに供給される微粉炭の粒度を他のバーナに供給される微粉炭の粒度より粗くした石炭焚ボイラの燃焼方法である。
粉砕機(ミル)の負荷、石炭の粉砕性などによって異なるが、石炭はミルの粉砕部で200メッシュパス20〜50%程度に粉砕される。本発明において、粉砕された石炭は、一次空気により分級機へ運ばれる途中、重力分級により粗い粒子が分離され、分級機で200メッシュパス40〜60%程度に分級されてバーナへ送られる。ボイラ内では、従来よりも微粉炭の粒度が粗いので、燃焼が緩慢となり、燃焼の最高温度は従来の微粉炭より大幅に下がり、伝熱面への灰の付着を抑止することができる。さらに本発明では例えば分級機で200メッシュパス40〜60%程度に分級された微粉炭をボイラ火炉の同一水平面上の各列の微粉炭バーナのうち、両端のバーナへ送り、その他のバーナへは200メッシュパス70%程度に分級された微粉炭を送ると同時に、前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナのうち、両端のバーナの空気比を1以上とし、その他のバーナ空気比を1以下にすると、ボイラ火炉の前記両端では燃焼が緩慢となり、燃焼の最高温度は従来より大幅に下がり、酸化雰囲気になると灰の融点が上がることから伝熱面への灰の付着を抑止することができる。
図1は本実施例に係る石炭焚ボイラの燃焼システムの概略系統図、図2は図1の本実施例のフローチャート、図3は本実施例の竪型ミルに内蔵された回転式分級機回転数のプログラムの一例、図4は従来の竪型ミルの分級機回転数プログラム、図5は石炭の粉砕性が異なるときのミル差圧の特性図、図6は微粉炭の粒度による未燃損失の変化を表す図、図7はミル運転動力と微粉炭粒度の関係を表す図、図8はミル運転動力と未燃損失の総和と微粉炭粒度の関係を示す図である。
竪型ミル3はバンカ12と給炭機13により供給される石炭を粉砕する粉砕ローラ18と、粉砕される石炭のうち粗炭を分離した後、微粉のみを空気とともに送炭管24へ取り出す分級機21とが備えられるとともに、竪型ミル3の入口と分級機21の入口との圧力損失であるミル差圧を検出するミル差圧検出手段30が設けられている。
また、ミル制御系統200は石炭の性状とミル差圧と給炭機13により供給される石炭量と一次空気量の情報を分級機モータ31に取り込み、これらの情報に基づき、石炭性状に応じて分級機モータ31の回転数を変化させ、回転式分級機21の回転数プログラムを選択できるようになっている。
なお、空気比を変える方法としては、石炭量を同じにして二次空気量を変える方法、すなわち、微粉バーナ2bへの二次空気量を少なくして低空気比にし、粗粉バーナ2aの二次空気比を多くして高空気比にする方法、あるいは二次空気量を同じにして石炭量を変える方法、すなわち微粉バーナ2bへの石炭量を多くして低空気比にし、粗粉バーナ2aへの石炭量を少なくして高空気比にする方法などがある。
図9に示した例の具体例を示すと、例えば、火炉11の両端の粗粉バーナ2aの空気比は1.1、微粉炭の粒度は200メッシュパス50%とし、その他の微粉バーナ2bの空気比は0.8、微粉炭の粒度は200メッシュパス70%とする。この場合は全体として空気比は0.9、微粉炭粒度は63%になる。
亜瀝青炭あるいは褐炭は、燃料比(FR)が1前後と小さく、燃焼性が良好であるが、灰の溶融点が低くスラッギングしやすい。このようなスラッギングしやすい石炭の場合は、従来のように微粉炭の粒度を細かくしなくても、低NOx・高効率燃焼を達成できる。例えば、公知の低NOxバーナ(特公平4−39564号公報)を用いた場合、未燃損失(KW)とミルの運転動力の合計値に対する微粉炭の粒度の関係を図8に示す。ここで、未燃損失(KW)は微粉炭の粒度と灰中未燃分の関係から得られる未燃損失熱量に発電プラントの効率に乗じて求めた値である。図8からFR=2.1の瀝青炭の場合は、200メッシュパス80%程度で竪型ミルを運転すれば、石炭焚ボイラシステムのエネルギ損失が最小になり、FR=1.0の亜瀝青炭の場合は、石炭の粉砕性(HGI)が異なっても、微粉炭粒度が200メッシュパス40〜70%程度で竪型ミルを運転すれば、エネルギ損失が最小になることが分かる。そこで図9の具体例に示したように火炉11の両端の粗粉バーナ2aへ供給される微粉炭の粒度が200メッシュパス50%と粗いので、燃焼の最高温度が下げられると同時に、この粗粉バーナ2aは酸化雰囲気で燃焼するので、灰の溶融が下がる。したがって、灰の溶融が抑制され、ボイラ伝熱面への灰の付着(スラッギング)、特に火炉11の側壁への灰の付着を抑止することができる。
30…ミル差圧検出手段、31…分級機モータ、100…石炭供給系統、
200…ミル制御系統
Claims (4)
- 火炉を構成する垂直壁面の対向する同一水平面上の各壁面に微粉炭バーナをそれぞれ複数列配置すると共に、前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナを垂直壁面の上下方向に三段以上に設けた石炭焚ボイラの燃焼方法において、
前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナのうち、両端の微粉炭バーナに供給される微粉炭粒度を他のバーナに供給される微粉炭粒度より粗くしたことを特徴とする石炭焚ボイラの燃焼方法。 - 回転式分級機を内蔵した竪型ミル又はサイクロン式分級機を内蔵した竪型ミルを用いて石炭を粉砕し、粉砕された石炭を搬送用気体を用いて、回転式分級機またはサイクロン式分級機により分級して微粉炭の粒度を選択して火炉のバーナへ搬送することを特徴とする請求項1記載の石炭焚ボイラの燃焼方法。
- 火炉を構成する垂直壁面の対向する同一水平面上の各壁面に微粉炭バーナをそれぞれ複数列配置すると共に、前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナを垂直壁面の上下方向に三段以上に設けた石炭焚ボイラの燃焼方法において、
前記同一水平面上の各列の微粉炭バーナのうち、両端のバーナの空気比を1以上とし、その他のバーナの空気比を1以下とし、さらに、前記両端のバーナに供給される微粉炭の粒度を他のバーナに供給される微粉炭の粒度より粗くしたことを特徴とする石炭焚ボイラの燃焼方法。 - 回転式分級機を内蔵した竪型ミル又はサイクロン式分級機を内蔵した竪型ミルを用いて石炭を粉砕し、粉砕された石炭を搬送用気体を用いて分級して微粉炭の粒度を選択して火炉のバーナへ搬送することを特徴とする請求項3記載の石炭焚ボイラの燃焼方法。
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