JP2721375B2 - 粉砕機 - Google Patents

粉砕機

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JP2721375B2 JP63311017A JP31101788A JP2721375B2 JP 2721375 B2 JP2721375 B2 JP 2721375B2 JP 63311017 A JP63311017 A JP 63311017A JP 31101788 A JP31101788 A JP 31101788A JP 2721375 B2 JP2721375 B2 JP 2721375B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は石炭、セメント原料あるいは新素材原料など
の被粉砕物を微粉に粉砕する粉砕機に関するものであ
る。
[従来の技術] 近年、我が国においては重油供給量のひつ追から、石
油依存度の是正を計るために、従来の重油専燃から石炭
専焼へと燃料を変換しつつあり、特に事業用火力発電ボ
イラにおいては、石炭専燃の大容量火力発電所が建設さ
れている。
一方、最近の電力需要の特徴として、原子力発電の延
びと共に、負荷の最大、最小差も増加し、火力配電用ボ
イラをベースロード用から負荷調整用へと移行する傾向
にあり、この火力発電用ボイラを負荷に応じて圧力を変
化させて変圧運転する、いわゆる全負荷運転では超臨界
圧域、部分負荷運転では亜臨界圧域で運転する変圧運転
ボイラとすることによつて、部分負荷運転での発電効率
を数%向上させることができる。
このためにこの石炭専焼火力においては、ボイラ負荷
が常に全負荷で運転されるものは少なく、負荷を昼間は
75%負荷、50%負荷、25%負荷へと負荷を上げ、下げし
て運転したり、あるいは夜間は運転を停止するなど、い
わゆる毎日起動停止(Daily Start Stop以下単にDSSと
いう)運転を行なつて中間負荷を担う石炭専焼火力へと
移行しつつある。
またDSS運転を行なう石炭専焼ボイラにおいては、起
動時から全負荷に至るまで微粉炭のみで全負荷帯を運転
するものは少なく、石炭専焼ボイラといえども起動時、
低負荷時には微粉炭以外の軽油、重油、ガス等を燃料と
して用いている。
それは起動時においてはボイラからミルウオーミング
用の排ガス、加熱空気が得られず、このためにミルを運
転することができないので石炭を微粉炭に粉砕すること
ができないからである。
また、低負荷時にはミルのターンダウン比がとれない
こと、部粉炭自体の着火性が悪いことなどの理由によっ
て軽油、重油、ガス等が用いられている。
例えば起動時には軽油、重油を用いる場合は、起動時
から15%負荷までは軽油を燃料としてボイラを焚き上
げ、15%負荷から40%負荷までは軽油から重油へ燃料を
変更して焚き上げ、40%負荷以上になると重油と微粉炭
を混焼して順次重油燃料を少なくするとともに微粉炭燃
料を多くして微粉炭の混焼比率を上げて実質的な石炭専
焼へと移行する。
第10図は微粉炭焚ボイラの概略系統図、第11図及び第
12図は粉砕機の縦断面図及び横断面図である。
第10図において、ボイラ火炉1の前側壁2、後側壁3
には下段バーナ4,5、中段バーナ6,7、上段バーナ8,9が
ボイラ火炉1の底部から頂部へと順に配置されている。
そして上段バーナ8,9の上方には低NOx化のためのアフ
タエアポート10,11が設けられ、各バーナ4,5,6,7,8,9へ
は缶前風箱12、缶後風箱13より、アフタエアポート10,1
1へは缶前アフタエア風箱14、缶後アフタエア風箱15よ
りそれぞれ燃焼用空気が供給される。
一方、下段バーナ4,5、中段バーナ6,7、上段バーナ8,
9への給炭はコールバンカ16の石炭が石炭供給機17より
粉砕機18へ送られて、粉砕機18内で粉砕される。
そして、粉砕機18内で微粉炭中の粗粒炭は図示してい
ない分級装置で分離され、再び粉砕機18内の粉砕部に戻
され再粉砕されて微粉炭になる。
この粉砕された微粉炭は一次空気ダクト22からの一次
空気によつて粉砕機18より微粉炭管23を経て各バーナ4,
5,6,7,8,9へ搬送される。
他方、缶前風箱12、缶後風箱13、缶前アフタエア風箱
14および缶後アフタエア風箱15への燃焼用空気は、押込
通風機19によつて昇圧された後、空気予熱器20で予熱さ
れ、風路21、風量調整ダンパ24、風道25により各風箱1
2,13,14,15へ供給される。
また、ボイラは部分負荷時の蒸気温度制御用としてホ
ツパ26へ排ガスが排ガス再循環フアン27、排ガス再循環
通路28より供給され、低NOx対策のために排ガス再循環
フアン27の出口から風道25の燃焼用空気へ排ガスを混合
する排ガスダクト29が設けられている。
以上は微粉炭焚ボイラにおける燃焼用空気、排ガス、
微粉炭の一般的な流れを説明したものであり、以下粉砕
機18の構造について説明する。
粉砕機18は第11図、第12図に示すように円筒型ケーシ
ング30内の下部にあつて図示していない減速機を有する
モータで駆動され水平面上で低速回転する円板状の粉砕
テーブル31と、その上面外周部を円周方向へ等分する位
置へ油圧あるいはスプリング等で圧接されて回転する複
数個の粉砕ローラ32を備えている。粉砕テーブル31の中
心部へ原料供給管33より供給される被粉砕物34は、粉砕
テーブル31の回転と遠心力とによつて粉砕テーブル31上
をうず巻状の軌跡を描いて外周部へ移動し、粉砕テーブ
ル31上の粉砕リング35の粉砕レース36の面と粉砕ローラ
32の間にかみ込まれて粉砕される。円筒型ケーシング30
の底部には、図示にしていないダクト内を送られてきた
熱風37が導かれており、この熱風37が回転テーブル31の
外周部と円筒型ケーシング30の内周部との間のエア・ス
ロート38から吹き上つている。粉砕された後の粉流体は
エア・スロート38から吹き上る熱風37によつて円筒型ケ
ーシング30内を上昇しながら乾燥される。円筒型ケーシ
ング30の上部へ搬送された粉粒体は、円筒型ケーシング
30の上部に設けたサイクロンセパレータあるいは回転分
級機39で分級され、所定の粒径以下の微粉は熱風37によ
つて粉砕機18の外へ搬送され、ボイラ火炉1では微粉炭
バーナ4〜9あるいは図示していない微粉貯蔵ビンへと
送られる。回転分級機39を貫通することのない所定粒径
以上の粗粉は、粉砕テーブル31の上に落下し、粉砕機18
内へ供給されたばかりの被粉砕物34とともに再度粉砕さ
れる。このようにして、粉砕ローラ32と粉砕リング35に
よつて粉砕が繰り返される。
このような粉砕機(堅型ローラミル)18における粉砕
機構は粉砕テーブル31の上に装着した粉砕リング35の粉
砕レース36の面と粉砕ローラ32との間の圧縮によるもの
とせん断によるものがある。このような粉砕条件を最適
にするために、粉砕ローラ32や粉砕リング35の各種構造
が提案されている。
この様に粉砕テーブル31上における被粉砕物34は、原
料供給管(シユート)33から供給される粗い原料粒子と
粉砕機18内で1次分級あるいは2次分級されて再び粉砕
部に戻つてきた循環する比較的細かな粒子の混合物であ
る。
[発明が解決しようとする課題] 従来技術の粉砕機18では原料供給管33される粗い原料
粒子と粉砕機18で1次分級、2次分級された細かな粒子
の混合物が微小な粒子も含めて無差別に粉砕部(粉砕ロ
ーラ32と粉砕リング35の粉砕レース36の面)へと送給さ
れ、粉砕されずに粉砕ローラ32の間をシヨートパスして
しまうために粉砕効率が低下する欠点があつた。
特に回転分級機39を利用して、粉砕機18内での循環量
を増大させる運用条件では、粉砕部への微粉の戻り量が
多く、粉砕部における微粉介在の問題は大幅に増加す
る。粒子径が小さくなれば、粒子同士の凝集や、粒子群
の圧縮によるクツシヨン効果、あるいは粉砕ローラ32の
粉砕面と粒子群のすべりによつて、粉砕動力が有効に消
費されない欠点がある。また、このような現像が増加す
れば、ステイツク−スリツプ(stick−slip)によつて
粉砕ローラ32の振動も増大する。より粗大な粒子から優
先的に粉砕ローラ32へかみ込まれて粉砕されれば、粉砕
機18の粉砕効率は著しく向上するが、最近の粉砕機18で
は回転分級機39を採用しており、分級部からの循環量が
増加するため、上述したような問題はより深刻になる。
また従来、実開昭63−25150号公報に記載されている
ような粉砕機が提案されている。この粉砕機は、粉砕テ
ーブル上の被粉砕物を粉砕ローラ側に案内する円弧状の
案内部材を、ケーシングの内側に固定する。この案内部
材の下端は粉砕テーブルの上面近傍にあって、案内部材
の一端は一方の粉砕ローラの内側面近傍に位置し、粉砕
テーブルの回転方向とほぼ同じ方向に湾曲され、案内部
材の他端が他方の粉砕ローラの下側の粒子かみ込み部ま
で延びている。
このように構成された粉砕機において、粉砕テーブル
の中央部に投入された被粉砕物は、回転する粉砕テーブ
ルの遠心力により案内部材(固定状態)の内面側に移動
し、粉砕テーブルと被粉砕物との摩擦力と案内部材の曲
面とにより粉砕ローラの粒子かみ込み部に案内されて、
そこで粉砕される仕組みになっている。
しかしこの粉砕機では、 (イ)回転する粉砕テーブルに対して案内部材は固定し
ているため、案内部材に受け止められた粉層の底面と粉
砕テーブルの上面との間の摩擦力は(粉層の総重量も加
わって)相当なものになり、粉砕テーブルに大きな負荷
がかかり、粉砕テーブルを回転するモータの消費電力が
増大する。
(ロ)粉砕テーブルと案内部材の間に隙間が形成されて
いるから、粉砕テーブルの回転により前記隙間に粒子が
かみ込むと、粉砕テーブルの負荷が極端に増加するとと
もに、粉砕テーブルの回転状態が不安定になり、粉砕性
能に悪影響をおよぼす。
(ハ)静止している案内部材に受け止められる粉層は空
気を含み易く、そのために粉層の充填率が低く、粉砕ロ
ーラが粉層を安定にかみ込むことができないばかりでな
く、空気の混入割合が多いと粉砕ローラが粉層をかみ込
もうとしても滑りが生じ、これが切っ掛けとなり自励振
動が生じる。
(ニ)案内部材と粉砕ローラは定位置にあることから、
案内部材の他端(被粉砕物排出端)と粉砕ローラのかみ
込み部が常に一対一に対向している。そのため、粉砕テ
ーブル上に投入した被粉砕物が一方の案内部材側に偏っ
て移動すると、その案内部材の被粉砕物排出端と対向し
ている側の粉砕ローラに過度の負荷がかかり、粉砕ロー
ラ間でのバランスが崩れ、粉砕効率の低下をきたすなど
の問題点を有している。
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消
し、粉砕効率を高め、自励振動の発生がなく、しかも粉
砕動力の低減が図れる粉砕機を提供するにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は前述の目的を達成するため、 外周部側に粉砕リングを設けた回転する粉砕テーブル
と、前記粉砕リング上で転動する粉砕ローラと、前記粉
砕テーブル上の中央部に投入された被粉砕物を粉砕ロー
ラ側に案内する案内部材とを備え、その案内部材により
案内された被粉砕物を粉砕ローラと粉砕リングとの間で
粉砕する粉砕機において、 前記案内部材が前記粉砕テーブルに設けられ、その案
内部材は粉砕テーブの中央部から粉砕ローラよりも内側
の領域において渦巻状に設けられ、その案内部材の内側
部から外側部に向かう渦巻き方向が前記粉砕テーブルの
回転方向と反対になっていることを特徴とするものであ
る。
[作用] 本発明は前述のような構成になっており、 .案内部材が粉砕テーブルに設けられて一緒に回転す
るから、従来提案されたもののような粉層と粉砕テーブ
ルの間の摩擦力、ならびに案内部材と粉砕テーブルの間
の粒子のかみ込みが無くなり、粉砕テーブルに大きな負
荷がかからず、粉砕テーブルの回転状態が安定し、粉砕
動力を低減することができる。
.粉砕テーブルの回転により案内部材が振動するか
ら、粉層中の粗い粒子の間に微粉が入り込み、粉層にお
ける空気の混入割合が低く粒子の充填率が高くなり、そ
のため粉砕ローラが粉層を安定にかみ込み、しかも粗い
粒子も積極的にかみ込むことから、粉砕効率を高め、自
励振動の発生が防止できる。
.案内部材の他端(被粉砕物排出端)が粉砕ローラの
内側をまんべんなく移動しながら被粉砕物を排出するか
ら、従来提案されたもののように特定の粉砕ローラに過
度の負荷がかかり、粉砕ローラ間でのバランスが崩れる
ようなことがなく、粉砕効率を高く維持することができ
る。
.案内部材が粉砕テーブルの中央部から粉砕ローラよ
りも内側の領域において、内側部から外側部に向かう渦
巻き方向が粉砕テーブルの回転方向と反対になるように
渦巻き状に設けられているから、案内部材が粉砕テーブ
ルと一緒に回転しながら、被粉砕物を円滑に排出するこ
とができる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
第1図は本発明の実施例に係る粉砕機の横断面図、第
2図は第1図の縦断面図、第3図は本発明の要部を示す
展開図、第4図は本発明の粉砕機における粉砕作用を説
明する模式図、第5図から第9図は本発明者等が行なつ
た実験データの特性曲線図である。
第1図から第4図において符号18から符号39は第11図
および第12図のものと同一のものを示す。
40は回転する粉砕テーブル31に設けた案内部材で、こ
の案内部材40は粉砕テーブル31の中央部から粉砕ローラ
32よりも内側の領域において渦巻状に設けられ、第1図
に示されているようにその案内部材40の内側部から外側
部に向かう渦巻き方向が粉砕テーブル31の回転方向と反
対になっている。
この様な構造において、被粉砕物34は、原料供給管
(センターシユート)33より供給され、低速で回転する
粉砕テーブル31上へ落下する。粉砕テーブル31上には、
第1図、第2図及び第3図に示すように、案内部材40の
高さが粉砕テーブル31の中心軸側から粉砕テーブル31の
外周側へ向かうにつれて低くなり複数枚に分割された案
内部材40が、粉砕テーブル31上に渦巻状に配置されてい
る。案内部材40を複数枚の平板に分割したのは、加工、
施工上の容易さを配慮したこともさることながら、各案
内部材40の隙間から被粉砕物34のリークを許すことによ
り案内部材40間における粒子の閉塞を防止するためであ
る。被粉砕物34の原料粒子群の多くは、粉砕ローラ32,3
2間をすり抜け(シヨートパス)てしまうことなくこれ
ら案内部材40内で長い時間粉砕テーブル31上に滞留しな
がら粉砕リング35の粉砕レース36上へ至る。
被粉砕物34の原料粒子群は、この粉砕リング35の粉砕
レース36上で、圧下状態で転動する粉砕ローラ32によつ
て圧縮・せん断作用によつて微粉砕される。破壊で生じ
た粉粒体は、粉砕テーブル31の外側に円環状に配設され
たエア・スロート38から吹き込まれる熱風37によって粉
砕機18内を上方へと搬送される。これら粉砕体のうち、
大きな粒子は回転分級機39まで至らず重力によつて粉砕
部へ落下循環(1次分級)し再粉砕される。この1次分
級を通過した粒子群のうち、微細なものは回転分級機39
を貫通し、図示していない製品微粉排出ダクトから製品
微粉として回収される。
第1図の実線Aで示す矢印は本発明の粉砕機18におけ
る粉砕テーブル31上の被粉砕物34の軌跡を示し、破線B
で示す矢印は従来技術の粉砕機18における粉砕テーブル
31上の被粉砕物34の軌跡を描いたものである。従来技術
の粉砕機18においては案内部材40が無いため被粉砕物34
は、第1図中の破線Bで示す矢印のように移動し、1次
分級部および回転分級部から再循環する粒子群と混じり
合つて粉砕リング35へ到達する。
一方、本発明の実施例における粉砕テーブル31上には
第1図から第3図に示すように案内部材40が渦巻状に配
置されているために、被粉砕物34は案内部材40を越えら
れず、第4図に示すように案内部材40内の粉砕テーブル
31へ沈降する粗粒子の割合が増加する。
第4図は、本発明の実施例になる粉砕機18の粉砕テー
ブル31上における被粉砕物34の粒子の挙動を模式的に示
したものである。第4図では、繁雑さを避けるために、
粉砕テーブル31上の案内部材40は省略してある。
被粉砕物34中の粗い粒子は案内部材40にそつて第1図
の実線Aで示す矢印のように流動するため、案内部材40
内での滞留時間が長くなり、粗い粒子が粉砕ローラ32に
よつて高い効率で粉砕される。
この様に粉砕ローラ32が粗い粒子を積極的に噛み込む
ようになれば、粉砕ローラ32が微小な粒子をかみ込むこ
とによる余分ないわゆる“過粉砕”を防止することがで
き、粉砕効率が向上する。また、粉砕ローラ32と粉砕リ
ング35の間に微小な粒子が入り込むことによるすべり振
動も防止することができる。この振動抑止効果は、粉砕
機18の低負荷運用時に特に有効である。
第5図は実験結果であり、石炭供給負荷比に対する製
品微粉粒度の関係で、従来技術の粉砕機と本発明の実施
係に係る粉砕機(いずれも小型パイロツトスケール)の
粉砕性能を比較してものである。試験を実施した全供給
負荷比において、本発明になる粉砕機の方が第5図の曲
線Cで示すように微粉粒度が高い。また低負荷運用時に
は、従来技術の粉砕機では第5図の曲線Dで示すように
粒度が低減する傾向があるものの、本発明の粉砕機では
低負荷になるほど微粉粒度が向上しており粉砕がより活
発に行われていることが判明した。
これは前述したように、本発明の案内部材40による粗
粒子の選択粉砕効果によつてすべり振動が防止されたた
めと考えられる。
第6図は石炭供給負荷比に対するミルと差圧変化の測
定結果である。同一の石炭供給負荷比で比べれば、本発
明の粉砕機の方が第6図の曲線Eで示すように曲線Fで
示すものと比べミル差圧がかなり低くなつており、この
傾向は全実験範囲に一貫している。これは本発明の案内
部材40によつて粗粒子選択粉砕効果が上り粗い粒子の粉
砕機18での循環量が低減したためと考えられる。
第7図には、石炭種(ハードグローブ指数HGI)を変
化させた実験結果を示す。一般にHGIの高い石炭は粉砕
性が良好であり微粉粒度も増加する。従来技術の粉砕機
と本発明の粉砕機とも第7図の曲線G,Hで示すようにそ
の傾向は同一であるが、同じHGIの石炭であれば、本発
明になる粉砕機の方が曲線で示すようにはるかに粉砕能
力が高く、粒度の高い微粉が得らっることがわかる。
粉砕機により実際に粉砕した微粉炭を燃焼させ、本発
明になる粉砕機の効果を実証した。第8図はその結果で
あり、灰中未燃分率と排ガス中のNOx濃度の関係をマツ
プとし、従来技術の粉砕機と本発明になる粉砕機の粉砕
能力を曲線I,Jで比較したものである。本発明になる粉
砕機を用いた方が、第8図の曲線Iで示すように灰中未
燃分とNOx濃度がともに低い。これは、本発明の粉砕機
を用いた方が、微粉粒度の向上によつて着火・保炎性が
良好になりバーナ近傍に高温の低空気比燃焼域が形成さ
れるためである。すなわち、燃焼の促進によつて燃え切
りも早まり灰中未燃分が低減すると同時に、高温の低空
気燃焼域においてNOをN2に還元するための中間生成物が
多く放出されたためと予測される。
粉砕機の振動測定結果を第9図に示す。縦軸の無次元
振動変位δ/δは、円筒型ケーシング30の振動変位δ
を粉砕リング35上に全く石炭の無い場合(完全メタルタ
ツチ)の変位δで割り無次元化したものである。従来
技術の粉砕機では、第9図の曲線Lで示すように、低負
荷運用条件において振動変位が急増するが、本発明の粉
砕機では第9図の曲線Kで示すようにおおむねその半分
である。これは、本発明の粉砕機において粉砕ローラ32
と粉砕リング35の間で微粒によるすべり振動が発生して
いないことを示唆するものであり、本発明の機能である
粗粒の選択粉砕効果を側面から裏付けるものである。
以上のように、本発明を実施することにより、粉砕機
18の粉砕性能の向上のみならず、石炭焚ボイラにおいて
は低公害・高効率燃焼が達成されることにもつながり、
火力プラント全体の運用性改善に寄与することができ
る。
以上、本発明の実施例においては、微粉炭焚きあるい
は石油コークス等固体燃焼焚きボイラについて説明した
が、本発明の粉砕機は広くセメント用微粉砕機(予備粉
砕用あるいは仕上げ用)や銑鉄スラグ用微粉砕機、もし
くは特殊用途としてセラミツクス原料微粉砕用や顔料・
タルク製造用微粉砕線へも応用することができるもので
ある。
[発明の効果] 本発明は前述のような構成になっており、 .案内部材が粉砕テーブルに設けられて一緒に回転す
るから、従来提案されたもののような粉層と粉砕テーブ
ルの間の摩擦力、ならびに案内部材と粉砕テーブルの間
の粒子のかみ込みが無くなり、粉砕テーブルに大きな負
荷がかからず、粉砕テーブルの回転状態が安定し、粉砕
動力を低減することができる。
.粉砕テーブルの回転により案内部材が振動するか
ら、粉層中の粗い粒子の間に微粉が入り込み、粉層にお
ける空気の混入割合が低く粒子の充填率が高くなり、そ
のため粉砕ローラが粉層を安定にかみ込み、しかも粗い
粒子も積極的にかみ込むことから、粉砕効率を高め、自
励振動の発生が防止できる。
.案内部材の他端(被粉砕物排出端)が粉砕ローラの
内側をまんべんなく移動しながら被粉砕物を排出するか
ら、従来提案されたもののように特定の粉砕ローラに過
度の負荷がかかり、粉砕ローラ間でのバランスが崩れる
ようなことがなく、粉砕効率を高く維持することができ
る。
.案内部材が粉砕テーブルの中央部から粉砕ローラよ
りも内側の領域において、内側部から外側部に向かう渦
巻き方向が粉砕テーブルの回転方向と反対になるように
渦巻状に設けられているから、案内部材が粉砕テーブル
と一緒に回転しながら、被粉砕物を円滑に排出すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係る粉砕機の横断面図、第2
図は第1図の縦断面図、第3図は本発明の要部を示す展
開図、第4図は本発明の粉砕機における粉砕作用を説明
する模式図、第5図から第9図は本発明者等が行なつた
実験データの特性曲線図、第10図は微粉炭焚ボイラの概
略系統図、第11図は従来の粉砕機を示す縦断面図、第12
図は第11図の横断面図である。 31……粉砕テーブル、32……粉砕ローラ、34……被粉砕
物、35……粉砕リング、36……粉砕レース、40……案内
部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金本 浩明 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日 立株式会社呉工場内 (72)発明者 田岡 善憲 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日 立株式会社呉工場内 (72)発明者 長谷川 忠 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日 立株式会社呉工場内 (56)参考文献 実開 昭63−25150(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周部側に粉砕リングを設けた回転する粉
    砕テーブルと、 前記粉砕リング上で転動する粉砕ローラと、 前記粉砕テーブル上の中央部に投入された被粉砕物を粉
    砕ローラ側に案内する案内部材とを備え、 その案内部材により案内された被粉砕物を粉砕ローラと
    粉砕リングとの間で粉砕する粉砕機において、 前記案内部材が前記粉砕テーブルに設けられ、 その案内部材は粉砕テーブルの中央部から粉砕ローラよ
    りも内側の領域において渦巻状に設けられ、 その案内部材の内側部から外側部に向かう渦巻き方向が
    前記粉砕テーブルの回転方向と反対になっていることを
    特徴とする粉砕機。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第(1)項記載において、
    前記案内部材が複数の分割された案内板からなり、それ
    ら案内板が間隔をおいて渦巻状に設けられていることを
    特徴とする粉砕機。
JP63311017A 1988-12-10 1988-12-10 粉砕機 Expired - Fee Related JP2721375B2 (ja)

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