JP3815542B2 - 色変換装置、色変換係数算出装置、色変換方法、及び色変換係数算出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された色信号を出力装置に応じた色信号に変換する色変換装置及び色変換方法と、その色変換装置及び色変換方法で用いるマトリックス係数及びTRCのための関数を生成する色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
色信号のフォーマット形式の一つとして業界標準となっているICCプロファイルがある。近年、このICCプロファイルに色変換係数を記述しておき、この色変換係数を取り出し、OSレベルでデバイスに依存しない色空間の色信号(デバイスインディペンデントカラー)を介して各デバイス毎の色空間における色信号へ色変換を行うのが一般的となってきている。デバイスに依存しない色空間としては、例えばCIEXYZやCIEL* a* b* 等が一般的に用いられている。また、上述のようなOSレベルでの色変換を行うシステムとして、Macintosh(登録商標)のColorSyncや、Windows(登録商標)のICMなどのCMS(Color Management System)が代表的である。
【0003】
ICCプロファイルで規定されている表示装置については、式(1)、(2)に示すような、3×3マトリックス演算とTRC(Tone Reproduction Curve)による色変換を用いた色管理法が取られている。
【数1】
【数2】
ただし、R,G,Bは指定したディスプレイのRGBの値、f,g,hはTRCの特性関数、R’,G’,B’はTRC後のRGB値、mstは色変換係数、s,tはそれぞれ行数,列数、X,Y,Zは三刺激値である。
【0004】
出力装置の一つであるCRTでは、RGB各色の独立性が高く、ある程度は3色の加法則が成り立つといわれている。しかしながら、厳密には輝度信号が小さくなるほどその精度は悪くなる。それは、CRTなど自発光する表示装置は、非発光状態でも、計測器で計ると実際にはある程度の輝度を持つことによる。
【0005】
この表示装置が非発光時の色は、出力装置固有の色とともに、観察者が画像を観察する環境も影響する。図5は、表示装置において観察される色の説明図である。図中、21は表示装置、22は観察者、23は照明光である。表示装置21は、ここでは自発光型の表示装置であるものとする。表示装置21の発光によって放出された光は、観察者22によって受け取られる。このとき、照明光23から放射された光が表示装置21の表面で反射され、観察者22に届く。この照明光23からの光の反射光は、例えば映り込みなどと呼ばれており、照明光23以外からの光についても同様にして観察者22に届くことになる。
【0006】
観察者22は、このようにして表示装置21からの発光光と、照明光23などの環境光の表示装置21による反射光を受け取り、色を知覚することになる。従って、観察者22は表示装置21が非発光状態であっても、環境光の表示装置21による反射光を受け取って、色を知覚してしまう。
【0007】
このように、入力される色信号が0(黒)である場合でも、出力装置に固有の色(例えばCRT自体の色)や、環境光などの影響によって、ある程度の色が観測されることになる。
【0008】
一方、TRCの特性関数を作成する際には、RGB各色の色信号が0の場合、その色度も0として扱う。しかし、上述のように実際にはRGB各色の色信号が0の場合でも輝度が0ではないため、その分の誤差が含まれてしまう。また、一般的に分光放射輝度計では、1cd/m2 前後の低い輝度の被験物については測定中に誤差が生じやすく、こうした誤差もTRCの特性関数に含まれてしまう。こうしたことから、表示装置用のICCプロファイルに記述されている色変換係数は、特に暗い色に関しては予測精度が良くないという問題を有していた。
【0009】
これに対して、例えば特開平11−190986号公報では、発光状態の測定値から非発光状態の色度を予測し、その予測値も含めてTRCを作成している。しかしながら、非発光状態の色度を予測して補正するものの、最終的にはガンマ補正処理による制御を行っているので、特に輝度レベルの低い色の予測については、十分な精度は得ることができない。
【0010】
また、基本的に式(3)のように黒の値を加算してからTRCを適用することになるが、この場合には業界標準であるICCブロファイルなどには対応できないという問題があった。
【数3】
ただし、Xdark,Ydark,Zdarkはディスプレイが制御できる範囲の三刺激値、Xamb ,Yamb ,Zamb は非発光状態の色度の三刺激値、Xlight ,Ylight ,Zlight は最終的に観察者の眼に届く三刺激値である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、出力装置、特に表示装置において、信号の輝度レベルの低い色であっても、高精度に予測可能な色変換係数決定を行うことができる色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法と、そのような色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法を用いて実際の色信号に対する色変換を行う色変換装置及び色変換方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、色変換装置及び色変換方法において用いるマトリックス係数やTRC特性関数を算出する色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法において、色度予測手段によって出力装置の色特性を示すn色の信号から構成された第1の色信号と該第1の色信号に対応する測定値のデータ対を用いてn色の1次色及びすべての色の信号が0の色信号を含む第2の色信号から第1の予測値を予測し、マトリックス係数算出手段によって第2の色信号と該第2の色信号から予測された第1の予測値を用いて、第1の予測値から前記第2の色信号へマトリックス変換するためのマトリックス係数及び定数項を決定し、定数項を0とし決定したマトリックス係数を用いてマトリックス演算手段により第1の色信号に対応する測定値から第3の色信号を算出し、TRC算出手段によって第1の色信号と前記第3の色信号を用いて入出力が(0,0)を通らない任意形状のTRC特性関数、特に入力が0より大きな値において出力が0となるTRC特性関数を各色成分毎に作成することを特徴とするものである。さらに最適化手段を設け、TRC特性関数及びマトリックス係数を同時に最適化するように構成してもよい。このとき、マトリックス係数算出手段で決定したマトリックス係数及びTRC算出手段で作成したTRC特性関数を初期値とし、非線形最適化手法を用いてTRC特性関数及びマトリックス係数を同時に最適化することができる。
【0013】
なお、前記第2の色信号は、色信号を構成する色成分による1次色だけでなく、2次色、3次色を含むことができる。また、色度予測手段によって第1の予測値を予測する際に、色信号を構成する色成分による1次色及びすべての色の信号が0の色信号を用いたり、さらに2次色、3次色の第2の色信号を用いて第1の予測値の予測を行うことができる。さらにTRC算出手段においてTRC特性関数を作成する際には、第1の色信号と前記第3の色信号から最小自乗法によって求めることができる。
【0014】
また本発明は、入力された色信号を出力装置に応じた色信号に変換する色変換装置及び色変換方法において、上述の本発明の色変換係数算出装置で算出されたマトリックス係数を用いて入力された色信号に対してマトリクス変換手段でマトリクス変換を行い、さらに、上述の本発明の色変換係数算出装置で算出されたTRC特性関数を用いてTRC変換手段で各色成分毎に色変換を行うことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の色変換装置及び色変換方法の実施の一形態を示すブロック図である。図中、1はマトリックス変換部、2はTRC変換部、3〜5はTRC特性関数である。ここでは入力のデバイスインディペンデントカラーとしてCIEXYZ色空間における色信号が入力されるものとする。そして出力装置としてCRTやLCD等の表示装置に出力するための色信号(デバイスRGB)に変換する例を示している。
【0016】
マトリックス変換部1は、式(4)に示すような所定のマトリックス係数(ここでは3×3のマトリックス係数)を用いてマトリックス演算を行い、入力されたデバイスインディペンデントな色信号を、リニアなRGB色空間の色信号に変換する。
【数4】
ただし、R,G,BはリニアなRGB色空間における色信号値、pijはマトリックス係数、i,jはそれぞれ行数,列数、X,Y,Zは入力色信号値である。
【0017】
TRC変換部2は、各色成分毎にTRCの特性関数3〜5を有しており、各色成分毎に対応するTRC特性関数を用いて1次元の色変換を行う。すなわちTRC特性関数3は、リニアなR信号を出力装置に依存したデバイスR信号への変換を行う。またTRC特性関数4は、リニアなG信号を出力装置に依存したデバイスG信号への変換を行う。TRC特性関数5は、リニアなB信号を出力装置に依存したデバイスB信号への変換を行う。
【0018】
ここで、TRC特性関数3〜5は、RGBそれぞれの色成分について設定された1次元の変換特性を示しており、図1に示すように入出力が(0,0)を通らない任意形状の関数である。上述のように、CRTやLCD等の出力装置では、与える色信号が全て0(すなわち黒)であっても多少の色度を有している。これは、表示装置自体が無発光時にもある程度の色度を有していることに加え、照明光などの環境光の映り込みによる反射光など、様々な影響によるものである。従って、この色度の範囲にある色信号については、正確な色再現ができないことになるが、そればかりでなく、そのような色信号に応じて0以外の色信号を出力すると、所望の色と実際の表示色との色差はさらに増大してしまうことになる。TRC変換部2では、このように色信号が全て0であるときの出力装置における色度を考慮し、入出力が(0,0)を通らない形状のTRC特性関数を用いて、それぞれの色成分における1次元の色変換を行っている。これによって、出力装置の黒レベルの補正や、環境光などの誤差要因を吸収させている。
【0019】
次に、このようなマトリックス変換部1及びTRC変換部2において用いるマトリックス係数及びTRC特性関数を求めるための色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法について説明してゆく。
【0020】
図2は、本発明の色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法の第1の実施の形態を示すブロック図である。図中、11はマトリックス算出部、12は色度予測部、13はマトリックス係数算出部、14はマトリックス演算部、15はTRC算出部である。図2に示す構成では、大きくマトリックス算出部11、マトリックス演算部14,TRC算出部15から構成されている。
【0021】
マトリックス算出部11は、例えば図1に示すマトリックス変換部1で使用するマトリックス係数を算出する。そのための構成として、マトリックス算出部11は、色度予測部12、マトリックス係数算出部13を有している。色度予測部12は、出力装置の色特性を示す第1の色信号とその第1の色信号に対応する測定値のデータ対から、特定の第2の色信号から第1の予測値を予測する。特定の第2の色信号としては、R、G、B、それにR=G=B=0の時の色である黒(K)とすることができる。もちろん、これらの2次色、3次色を第2の色信号としてもよい。図1に置いては、予測時に用いる第1の色信号をデバイスRGBデータ、それに対応する測定値のデータを測定値XYZデータ、第2の色信号をマトリックス係数算出用RGBデータ、第1の予測値をマトリックス係数算出用XYZデータと記している。
【0022】
マトリックス係数算出部13は、第2の色信号と色度予測部12で予測された第1の予測値、すなわちマトリックス係数算出用RGBデータとマトリックス係数算出用XYZデータとを用い、3×3マトリックス係数を決定する。このとき決定する3×3マトリックス係数は、定数項付きである。色度予測部12で第1の予測値を予測する際に用いた測定値XYZデータには、出力装置の黒レベルの誤差や環境光の映り込みの影響などを含んでおり、これらによる影響を含んだ補正項として定数項が得られる。実際に図1のマトリックス変換部1で使用する際には、定数項を除く3×3のマトリックス係数を用いる。本発明では、定数項に含まれる誤差の補正は、TRC特性関数に含めており、TRC変換部2において行っている。
【0023】
マトリックス演算部14は、マトリックス係数算出部13で決定したマトリックス係数を用いて、第1の色信号に対応する測定値、すなわち測定値XYZデータから第3の色信号であるリニアRGBデータを算出する。このとき、決定されたマトリックス係数のうち、誤差の補正項である定数項を0としてマトリックス変換を行い、誤差を含まないリニアなRGB色信号を得る。
【0024】
TRC算出部15は、第1の色信号であるデバイスRGBデータと、第3の色信号であるリニアRGBデータとから、各色成分毎に色変換を行うTRC特性関数を作成する。このとき、TRC特性関数は、入出力が(0,0)を通らない任意形状の関数として作成する。上述のようにマトリックス演算部14では定数項を0としてマトリックス変換を行っているので、リニアRGBデータには出力装置の黒レベルや環境光などの影響による誤差が含まれている。このような誤差を補正するように、TRC特性関数を作成する。このとき、例えば黒(R=G=B=0)においても多少の色度を有している。これに対応し、入出力が(0,0)を通らない任意形状の関数としてTRC特性関数を作成することによって、黒の時の色度範囲内の入力信号に対しては出力色信号が全て0となるようにして、さらなる色差の拡大を防止することができる。
【0025】
次に、本発明の色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法の第1の実施の形態における動作を簡単に説明する。最初に、色度予測部12において予測を行うために必要なデータ対を収集する。RGBの値を任意に指定し、表示装置でその色を表示した時に、この色を分光放射輝度計などの色を計測できる機器で測定する。このようにして、指定したRGBの値と、そのときの測定値とのデータ対を取得してゆく。図2では、指定したRGBの値をデバイスRGBデータ、測定値を測定値XYZデータとしている。これらの対は、通常、数十から数百程度収集する。このようなデータ対は、例えば暗室で測定を行えば表示装置の黒レベルの誤差を含んでおり、また、明室で測定を行えば表示装置の黒レベルとともに環境光の映り込みなどの誤差も含んだものとなる。
【0026】
このようにしてデバイスRGBデータと、そのデバイスRGBデータに対応する測定値XYZデータとの対が収集できたら、まず、マトリックス算出部1の色度予測部12において、マトリックス係数を決定する際に用いるXYZデータの予測を行う。すなわち、色度予測部12は、デバイスRGBデータと測定値XYZデータの対を用いて、マトリックス係数算出用RGBデータから、これに対応するマトリックス係数算出用XYZデータを予測する。色信号の各色成分の値が0〜255の値をとるとき、マトリックス係数算出用RGBデータとしてはRGB色信号が(255,0,0),(0,255,0),(0,0,255),(0,0,0)、すなわちR、G、B、K(黒)のデータを用いることができる。この4つの色について、それぞれ、マトリックス係数算出用XYZデータを予測する。もちろん、これら4つの色に限らず、例えば2次色や3次色を用いてもよい。なお、この予測手法としては、例えば特開平10−262157号公報に示されているような方法を用いることができる。もちろん、予測方法としてはこれに限定されるものではない。
【0027】
次に、マトリックス係数算出部13において、マトリックス係数算出用デバイスRGBデータとマトリックス係数算出XYZデータとのデータ対を用いて、式(5)、式(6)に示すaij,bi ,cij,di (i,j=1〜3)を決定する。決定方法としては、例えば回帰法を用いて算出することができる。なお、aij、bi を特にフォワード用マトリックス係数、cij、di をインバース用マトリックス係数と呼ぶこととする。
【数5】
【数6】
このうち、式(5)は出力装置の特性を示す式であり、デバイスRGBデータを入力したとき、例えば表示装置に表示され、環境光などの影響を受けた色の刺激値XYZが得られる。上述のように、デバイスRGBデータと測定値XYZデータから得られるマトリックス係数は、式(5)に示すものである。表示された色と入力した色との一致を考えるとき、表示された色の刺激値XYZからデバイスRGBデータへの変換を考え、その変換を用いてデバイスRGBデータを生成すればよい。この変換が式(6)であり、表示された色と入力した色との一致より入力された色信号に対する変換式となる。この式(6)は、式(5)の逆関数として取得することができる。実際に図1に示したマトリックス変換部1では、式(6)のマトリックス係数cijを用いることになる。
【0028】
次に、マトリックス演算部14において、インバース用マトリックス係数の定数項di を0として、式(6)を用いて測定値XYZデータからリニアRGBデータを算出する。ここで定数項を0と置くのは、この定数項に環境光の映り込みや黒レベルのバイアス成分を吸収しているためである。定数項を0とすることによってこれらの補正成分を含まないマトリクス変換を行うことができる。また、測定値XYZデータは、上述のように出力された色と入力された色との一致を図ることから入力されるデータと等価であり、このマトリックス演算部3による変換によって、出力装置の黒レベルの誤差や環境光の映り込みなどの影響を含まないRGB色信号が得られる。これは測定値XYZデータと線形な関係を有しており、ここではリニアRGBデータと呼んでいる。
【0029】
さらに、マトリックス演算部14で得られたリニアRGBデータとデバイスRGBデータを用いて、TRC算出部15において、TRC特性関数の算出を行う。上述のように、マトリックス演算部14で得られたリニアRGBデータには出力装置の黒レベルの誤差や環境光の映り込みなどの影響を含んでおらず、このリニアRGBデータを、出力装置の黒レベルの誤差や環境光の映り込みなどの影響を考慮したデバイスRGBデータに変換する関数を考えればよい。従って、測定値XYZデータに対応するデバイスRGBデータと、その測定値XYZデータをマトリックス変換したリニアRGBデータとの対応付けによって、この変換のための関数を得ることができる。この変換のための関数として、ここでは各色ごとに1次元の変換を行うTRC特性関数を算出している。
【0030】
このTRC特性関数の算出は、例えば特開平10−262157号公報に示されているような方法によって、RGB残差を最小にするような、平均的なTRCの算出を行うことができる。もちろん、特にこの方法に限定されるものではなく、多項式近似などでもよい。こののち、形式を整え、最終的なTRCが作成される。
【0031】
図3は、TRC特性関数の一例の説明図である。図3中、×印がデバイスRGBデータ及び測定値XYZデータの対から得られたデバイス色とリニア色の対応点を示し、これらの対応点から得られたTRC特性関数を実線で示している。図3に示すように、リニアRGBデータとデバイスRGBデータとの対応付けを行うと、図3に×印で示すようにばらつくが、これらをもとに例えば残差を最小にするように演算を行うことによって、実線のようなTRC特性関数を得ることができる。
【0032】
図3にも示されているように、実線のTRC特性関数は(0,0)を通っていない。これは、リニアRGB色信号(図3ではリニアR色信号)が0から少しの区間ではデバイスRGB色信号(ここではデバイスR色信号)は0のままであり、ディスプレイ等の発光型の出力装置ではなにも発光しないことを示している。上述のようにディスプレイ等の発光型の出力装置では、なにも発光していない状態でもある程度の色度を有しており、その色度の範囲に相当するものである。従って、この色度の範囲では発光が発生しないことによってさらなる色ずれを防止することができる。
【0033】
図3に示すような関係は、それぞれの色成分毎に取得される。図3では一例としてR成分について取得した例を示しているが、G成分、B成分についても同様にしてTRC特性関数を取得することになる。なお、取得したTRC特性関数は、実際に使用する際には1次元のルックアップテーブルとして構成することができ、TRC算出部15は、この1次元ルックアップテーブルのテーブル値を決定すればよい。
【0034】
このようにして、マトリックス算出部11で算出した3×3マトリックス係数と、TRC算出部15で算出したTRC特性関数を得ることができる。なお、TRC算出部15で算出したTRC特性関数は、測定値XYZデータを得る際に暗室下で測定を行った場合には環境光などの影響を考慮せず、ディスプレイ等の黒レベルの誤差を吸収するものとなる。また、測定値XYZデータを得る際にディスプレイ等の画面を観察する環境下で測定すれば、TRC特性関数はディスプレイ等の黒レベルとともに、画面を観察する際の環境光の映り込みによる誤差などについても吸収することができる。もちろん、明室で測定値XYZデータの測定を行う際に、測定時と実際の画面の観察時で照明光が異なる場合には、照明光を合わせるための補正を加えるとよい。
【0035】
得られた3×3マトリックス係数とTRC特性関数は、例えば図1に示した色変換装置のマトリックス変換部1及びTRC変換部2に適用し、入力された色信号XYZからデバイスRGBへの色変換を行うことができる。これによって、出力装置に黒レベルの誤差や環境光などによる影響が存在する場合でも、入力された色信号XYZが示す色を忠実に再現することができる。
【0036】
図4は、本発明の色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法の第2の実施の形態を示すブロック図である。図中、図2と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。16はTRC及びマトリックス係数最適化部である。この実施の形態では、図2に示した構成に、さらにTRC及びマトリックス係数最適化部16を設けた構成を示している。
【0037】
上述の第1の実施の形態における説明では、TRC算出部15においてTRC特性関数を作成する際に、リニアRGBとデバイスRGBの残差を最小にするように決めた。しかしこれに限らず、例えば特許第2555728号に示されているように、シンプレックス法等の非線形最適化手法を用いて色差最小にすることも可能である。この場合、TRC特性関数とマトリックス係数を同時に最適化することも可能である。TRC及びマトリックス係数最適化部16では、このようなTRC特性関数とマトリックス係数を同時に最適化するものである。
【0038】
TRC及びマトリックス係数最適化部16は、マトリックス算出部11で算出された3×3マトリックス係数及びTRC算出部15で算出された各色ごとのTRC特性関数を受け取り、これらを初期値として用いて最適化する。例えばシンプレックス法を用いる場合、評価関数としてはL* a* b* 色度の二乗和から求められる誤差ΔEを用いれば良い。
【0039】
このようにして得られた最適化されたマトリックス係数及び最適化されたTRC特性関数(TRCのための1次元ルックアップテーブル値)を、例えば図1に示したマトリックス変換部1及びTRC変換部2に適用し、色変換を行うことができる。これによって、出力装置に黒レベルの誤差や環境光などによる影響が存在する場合でも、入力された色信号XYZが示す色をさらに忠実に再現することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、TRC特性関数に出力装置における誤差や環境光の映り込みなどによる影響を吸収させ、入出力が(0,0)を通らない関数として構成している。そのため、例えばディスプレイ等の自発光型の表示装置で発光していないときにある程度の色度が存在する場合でも暗色時の誤差の拡大を防止し、良好な色再現を実現することができる。
【0041】
また、そのような出力装置における誤差や環境光の映り込みなどの影響を考慮した色変換係数を算出する際に、マトリックス係数決定時に定数項に黒レベルの変動や環境光の映り込みによる誤差成分を吸収させ、その定数項を0として誤差成分の補正をTRC特性関数に移行させているため、TRC特性関数による出力装置における誤差や環境光の映り込みなどの影響の補正を可能とすることができる。このとき、使用するデータ対として、単色のみでなく、色空間全体の色を用い、ガンマに依存しない形状とすることによって、TRC特性関数による高精度の予測を可能にしている。さらに、シンプレックス法などの非線形最適化手法を用いることによって、TRC特性関数のみでなく、マトリックス係数とTRCを同時に最適化することができる。
【0042】
このようにTRC特性関数の入出力が(0,0)を通らない関数とし、出力装置における誤差や環境光の映り込みなどの影響をTRC特性関数に吸収させることによって、これらの影響を考慮した色変換係数を一般的に用いられているICCプロファイルによって記述することが可能になり、ICCプロファイルをそのまま利用することが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の色変換装置及び色変換方法の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明の色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】 TRC特性関数の一例の説明図である。
【図4】 本発明の色変換係数算出装置及び色変換係数算出方法の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】 表示装置において観察される色の説明図である。
【符号の説明】
1…マトリックス変換部、2…TRC変換部、3〜5…TRC特性関数、11…マトリックス算出部、12…色度予測部、13…マトリックス係数算出部、14…マトリックス演算部、15…TRC算出部、16…TRC及びマトリックス係数最適化部、21…表示装置、22…観察者、23…照明光。
Claims (12)
- 出力装置に応じたn色の信号から構成された第1の色信号と該第1の色信号に対応する測定値のデータ対を用いて出力装置に応じた前記n色の1次色及びすべての色の信号が0の色信号を含む第2の色信号から第1の予測値を予測する色度予測手段と、前記第1の予測値から前記第2の色信号へマトリックス変換するためのマトリックス係数及び定数項を決定するマトリックス係数算出手段と、前記マトリックス係数算出手段で決定した定数項を0として同じく前記マトリックス係数算出手段で決定した前記マトリックス係数を用いて前記第1の色信号に対応する測定値から第3の色信号を算出するマトリックス演算手段と、前記第1の色信号と前記第3の色信号を用いて各色成分毎に色変換を行うTRC特性関数を作成するTRC算出手段を有し、前記TRC算出手段は、入出力が(0,0)を通らない任意形状の前記TRC特性関数を作成することを特徴とする色変換係数算出装置。
- 前記TRC算出手段は、各色成分毎に入力が0より大きな値において出力が0となる前記TRC特性関数を作成することを特徴とする請求項1に記載の色変換係数算出装置。
- 前記マトリックス係数算出手段は、定数項付きのマトリックス係数を決定するものであり、前記マトリックス演算手段は、前記マトリックス係数のうち定数項を0と置いてマトリックス演算を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色変換係数算出装置。
- 前記TRC算出手段は、前記第1の色信号と前記第3の色信号から最小自乗法によって各色成分ごとの前記TRC特性関数を作成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色変換係数算出装置。
- さらに、前記TRC特性関数及び前記マトリックス係数を同時に最適化する最適化手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の色変換係数算出装置。
- 前記最適化手段は、前記マトリックス係数算出手段で決定した前記マトリックス係数及び前記TRC算出手段で作成した前記TRC特性関数を初期値とし非線形最適化手法を用いて前記TRC特性関数及び前記マトリックス係数を同時に最適化することを特徴とする請求項5に記載の色変換係数算出装置。
- 前記各色信号はn色の信号から構成されており、前記第2の色信号は、前記n色の1次色だけでなく、2次色あるいはさらに3次色も含むことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の色変換係数算出装置。
- 入力された色信号を出力装置に応じた色信号に変換する色変換装置において、請求項1ないし請求項7に記載の色変換係数算出装置で算出されたマトリックス係数を用いて色変換を行うマトリクス変換手段と、請求項1ないし請求項7に記載の色変換係数算出装置で算出されたTRC特性関数を用いてそれぞれの色成分について色変換を行うTRC変換手段を有することを特徴とする色変換装置。
- 出力装置の色特性を示すn色の信号から構成された第1の色信号と該第1の色信号に対応する測定値のデータ対を用いて前記n色の1次色及びすべての色の信号が0の色信号を含む第2の色信号から第1の予測値を色度予測手段で予測し、前記第2の色信号と該第2の色信号から予測された前記第1の予測値を用いて前記第1の予測値から前記第2の色信号へマトリックス変換するためのマトリックス係数及び定数項をマトリックス係数算出手段で決定し、前記定数項を0とし決定したマトリックス係数を用いて前記第1の色信号に対応する測定値から第3の色信号をマトリックス演算手段で算出し、前記第1の色信号と前記第3の色信号から入出力が(0,0)を通らない任意形状のTRC特性関数をTRC算出手段で各色成分毎に作成することを特徴とする色変換係数算出方法。
- 前記TRC特性関数として、各色成分毎に入力が0より大きな値において出力が0となるように設定された関数を作成することを特徴とする請求項9に記載の色変換係数算出方法。
- さらに、前記TRC特性関数及び前記マトリックス係数を同時に最適化することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の色変換係数算出方法。
- 入力された色信号を出力装置に応じた色信号に変換する色変換方法において、請求項1ないし請求項7に記載の色変換係数算出装置で算出されたマトリックス係数を用いて入力された色信号に対してマトリクス変換手段でマトリクス変換を行い、さらに、請求項1ないし請求項7に記載の色変換係数算出装置で算出されたTRC特性関数を用いてTRC変換手段で各色成分毎に色変換を行うことを特徴とする色変換方法。
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