JP3815528B2 - 電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回路基板をスペーサを介して筐体やフレームなどの外部金属面に固定した電子機器(電気機器)、特に回路基板からの不要な電磁波ノイズの発生を防止するようにした電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種の電子機器では、図13に示すように、回路基板31を、その例えばコーナー4点において、それぞれ柱状(ピン状)のスペーサ33を介し、ネジ34によって、筐体やフレームなどの構造体自体ないしこれに設けられた金属面である外部金属面32に固定するが、回路基板31内のグランド電位を安定化させるためには、スペーサ33を金属スペーサとして、回路基板31のグランド面と外部金属面32とを電気的に接続することが望ましい。
【0003】
しかし、そうすると、今日のように回路基板31上で用いる信号のスイッチング速度を速くする場合には、回路基板31で発生した高周波ノイズがスペーサ33を介して外部金属面32に伝播して、スペーサ33間の距離に対応した共振電流などが流れ、大きな放射ノイズが発生するという問題を生じる。
【0004】
そこで、特開平7−225634号には、回路基板のグランド層と導電性の本体フレームとを複数の接続点で電気的に接続する場合に、回路基板上でグランド層を抵抗部材を介して接続パッドに接続することによって、回路基板から本体フレームに流れ込むノイズ電流を抑制する方法が示されている。
【0005】
また、特開平9−23083号には、回路基板のシグナルグランドとフレームグランドを形成する筐体とを柱状の金属スペーサによって電気的に接続する場合に、金属スペーサの周面に磁性体コアを装着し、または金属スペーサとシグナルグランドもしくは筐体との間に抵抗シートを介在させることによって、回路基板から筐体に流れ込むノイズ電流を抑制する方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特開平7−225634号または特開平9−23083号に示された従来の方法は、一方で、回路基板と外部金属面とを複数の柱状スペーサによって接続することに変わりがないため、スペーサ間の距離に対応した共振放射の発生を本質的に防止することができないとともに、他方で、抵抗部材や磁性体コアによって回路グランド電位を安定化させるための電流を抑制してしまうため、回路グランド電位の不安定化による新たなノイズの発生を招いてしまう欠点がある。
【0007】
そこで、この発明は、共振放射の発生を本質的に防止することができるとともに、回路グランド電位の安定化を実現することができ、さらには配線などからの放射も遮蔽・抑制することができるようにしたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の電子機器は、
電源層およびグランド層を有する回路基板と、
外部金属面と、
前記電源層が前記グランド層と前記外部金属面との間に配置された状態で、前記回路基板の周辺部において周辺方向に所定以上の長さに渡って前記回路基板および前記外部金属面と接触して、前記回路基板と前記外部金属面との間に介在された壁状の導電性のスペーサとを備え、
前記スペーサは、断面形状が概略U字状で、弾性変形によって、一方の鍔部が前記回路基板に接触し、他方の鍔部が前記外部金属面に接触しているとともに、ネジによって前記回路基板および前記外部金属面に固定されて、前記グランド層と前記外部金属面とを電気的に接続している、ことを特徴とする。
【0009】
この場合、前記スペーサは、前記回路基板の全周の80%以上の長さに渡るものとすることが望ましい。
【0014】
また、前記スペーサに配線接続部を取り付けることができる。
【0015】
また、前記スペーサに微小な穴を多数、設けることができる。
【0016】
さらに、前記外部金属面は、他の回路基板に設けられた金属面とすることができる。
【0019】
なお、壁状スペーサは、一定の損失を持たせることもできる。
【0020】
【作用】
上記のように構成した、この発明の電子機器では、従来のように柱状スペーサを間隔を置いて配置するのではなく、回路基板の周辺方向に所定以上の長さに渡る壁状スペーサを配置するため、従来のような柱状スペーサ間の距離に起因する共振放射の発生を本質的に防止することができる。
【0021】
また、従来のように数本の柱状スペーサを介して回路基板のグランド面と外部金属面とを接続するのではなく、回路基板の周辺方向に所定以上の長さに渡る壁状スペーサを介して回路基板のグランド面と外部金属面とを接続するため、接続部のインピーダンスを従来より大幅に低下させることができ、回路グランド電位が安定化して、回路グランド電位の不安定化によるノイズの発生を防止することができるとともに、接続部のインピーダンスに起因する放射ノイズの発生を防止することができる。
【0022】
しかも、特に、電源層およびグランド層を有する回路基板は、ノイズ電流が発生しやすい電源層を、グランド層と外部金属面との間に、すなわちグランド層より外部金属面に近い側に配置するため、後述のように放射遮蔽効果が増大する。
さらに、壁状の導電性のスペーサは、断面形状を概略U字状とし、弾性変形によって、一方の鍔部を回路基板に接触させ、他方の鍔部を外部金属面に接触させるとともに、ネジによって回路基板および外部金属面に固定するため、ネジの本数を増加させることなく、回路基板を外部金属面に安定に固定することができるとともに、スペーサが回路基板および外部金属面に確実に接触して、回路基板と外部金属面とを電気的に確実に接続することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の電子機器の一実施形態を示す。
【0024】
この実施形態では、同図(a)に示すように、回路基板1と外部金属面2との間に介在させる壁状の導電性のスペーサ3を、回路基板1の全周を取り囲んで回路基板1および外部金属面2と接触するものとし、回路基板1のコーナー4点でネジ4によって、回路基板1をスペーサ3を介して外部金属面2に固定する。
【0025】
また、この実施形態では、同図(b)に示すように、スペーサ3を、金属によって、断面形状が概略U(ユー)字状の板バネとして形成し、スペーサ3が回路基板1および外部金属面2に固定されていない状態では、同図(c)に示すように、スペーサ3の2つの鍔部3aおよび3bが、互いに平行な状態に対して、それぞれ角度θだけ開いた状態にあり、ネジ4によってスペーサ3を回路基板1および外部金属面2に固定したとき、鍔部3aおよび3bが、それぞれ弾性変形して、互いに平行となるようにする。
【0026】
これによって、ネジ4の本数を増加させることなく、回路基板1を外部金属面2に安定に固定することができるとともに、鍔部3aおよび3bが回路基板1および外部金属面2に確実に接触して、回路基板1と外部金属面2とを電気的に確実に接続することができる。
【0027】
図2(a)(b)は、回路基板1の内部構造と接続部分の一例を示す。この例では、回路基板1の下面(外部金属面と対向する面)の周辺部に、表面パッド5を所定の幅で形成して、この表面パッド5をビア6およびネジ穴を兼ねたビア6’を介して回路基板1内のグランド層7に、直流から高周波までの周波数域に渡って低インピーダンスで接続する。そして、この表面パッド5をスペーサ3と接触させることによって、グランド層7をスペーサ3に、さらには外部金属面に、低インピーダンスで電気的に接続する。ビア6のピッチは、できるだけ細かい方が良く、望ましくは5cm以下、より望ましくは2cm以下とする。
【0028】
回路基板1の、ノイズ電流を発生しやすい電源層8や配線9は、この発明の後述する放射遮蔽効果を有効に利用するために、グランド層7より内側に、すなわちグランド層7と外部金属面との間に、配置することが望ましい。
【0029】
この発明の電子機器の作用および効果を、従来の電子機器と比較して示す。図3(a)は、図13に示した従来の電子機器、(b)は、特開平7−225634号または特開平9−23083号に示された従来の電子機器、(c)は、この発明の上述した実施形態の電子機器を、それぞれ示す。
【0030】
まず、この発明では、従来のように柱状のスペーサ33を間隔を置いて配置するのではなく、回路基板1の周辺方向に所定以上の長さに渡る壁状のスペーサ3を配置するため、従来のようなスペーサ33間の距離に起因する共振放射(共振電流12、放射ノイズ13)の発生を本質的に防止することができる。以下、これを基本効果と称する。
【0031】
次に、この発明では、従来のように数本の柱状のスペーサ33を介して回路基板31のグランド層11と外部金属面32とを接続するのではなく、回路基板1の周辺方向に所定以上の長さに渡る壁状のスペーサ3を介して回路基板1のグランド層7と外部金属面2とを接続するため、接続部のインピーダンスを従来より大幅に低下させることができ、回路グランド電位が安定化して、回路グランド電位の不安定化によるノイズの発生を防止することができるとともに、接続部のインピーダンス(17)に起因する放射ノイズ(18)の発生を防止することができる。以下、これをグランド電位安定化効果と称する。
【0032】
さらに、この発明の上述した実施形態では、回路基板1と外部金属面2との間が回路基板1の全周に渡ってスペーサ3で覆われているため、回路基板1のグランド層7、スペーサ3および外部金属面2によって、ほぼ完全に密閉されたシールドケースが形成されることになり、シールドケースの内部に位置する電源層や配線(14)から発生する放射ノイズ(電流15、放射16)を遮蔽することができる。以下、これを放射遮蔽効果と称する。
【0033】
壁状のスペーサ3は、回路基板1の全周に渡るものが望ましいが、必ずしも回路基板1の全周に渡るものでなくてもよい。図4は、壁状スペーサを回路基板の全周に渡るものとしない場合の例を示す。
【0034】
同図(a)は、回路基板1の一辺のみに渡って壁状のスペーサ3Aを配置し、対向する辺の両コーナーに柱状のスペーサ33を配置する場合であり、同図(b)は、回路基板1の一辺をスペーサのない開口部とし、他の三辺に渡って壁状のスペーサ3Bを配置する場合であり、同図(c)は、4分割した壁状のスペーサ3Cを、回路基板1のそれぞれのコーナーを含む周辺部に配置して、回路基板1のそれぞれの辺の一部を開口部とする場合であり、同図(d)は、回路基板1の一辺の両コーナーに柱状のスペーサ33を配置し、対向する辺側に、その辺側の基板部分を取り囲むように壁状のスペーサ3Dを配置する場合である。ただし、これらを組み合わせ、または変形した形態も可能である。
【0035】
図4の各例のように、回路基板1の全周に渡る壁状スペーサを設けず、回路基板1の周辺の一部に開口部が存在すると、上記の放射遮蔽効果は低下するが、基本効果およびグランド電位安定化効果は発揮される。
【0036】
図5は、この開口部の影響を調べた結果を示し、A4サイズの回路基板の全周の長さに対する、非開口部、すなわち壁状スペーサが位置する部分の長さの割合を、被覆率として、その被覆率に対する放射強度の変化を測定し、プロットしたものである。
【0037】
図5から明らかなように、被覆率が40%未満であると、放射遮蔽効果を期待できないが、被覆率を40%以上にすると、被覆率を大きくするほど放射が低減し、基板全周の80%以上の範囲に壁状スペーサを設けて被覆率を80%以上にすれば、基板全周に壁状スペーサを設けて被覆率を100%にした場合と同程度の放射遮蔽効果を得ることができる。ただし、この測定は主として放射遮蔽効果を観測したもので、被覆率が40%未満でも、他の基本効果およびグランド電位安定化効果は発揮される。
【0038】
また、壁状スペーサは全体が導電体であることが望ましいが、通気や後述するケーブル挿入などのために、壁状スペーサの図1(c)に示すような壁面部3cに穴や開口を設けてもよい。特に、壁面部3cに多数の微小な穴を設ける場合には、穴に起因する新たな放射の発生や放射遮蔽効果の低下を防止しつつ、十分な通気性を確保することができる。
【0039】
さらに、この発明の効果をシミュレーションによって確認した。図6は、その結果を示し、170mm×110mmの回路基板上に80mmのマイクロストリップラインが形成されているときの放射スペクトルの、モーメント法による計算結果である。
【0040】
破線が、回路基板のコーナー4点で、柱状の金属スペーサを介して、回路基板のグランド面と外部金属面とを接続した従来の電子機器の放射スペクトル、実線が、この発明の一実施形態の、回路基板の全周に渡る壁状スペーサを介して、回路基板のグランド面と外部金属面とを接続した電子機器の放射スペクトルである。
【0041】
図6から明らかなように、この発明では、全ての周波数域で放射強度Eが大きく減少するとともに、従来機器において観測された700MHz付近の放射ピークが消失した。700MHz付近の放射ピークは、従来機器において柱状スペーサ間のループによって新たに発生する共振モードであり、この発明によれば、この新たな共振放射の発生を防止できることが確認できた。全周波数帯における大きな放射低減は、この発明の上述したグランド電位安定化効果と放射遮蔽効果によるものと考えられる。
【0042】
壁状スペーサの断面形状は、図1に示したような概略U字状に限らず、概略S(エス)字状、概略I(アイ)字状、中空のまたは中空でない円形状ないし楕円形状、中空のまたは中空でない四角形状などでもよい。
【0043】
図7は、壁状スペーサの断面形状を概略S字状にした場合で、同図(a)は、回路基板1の下面(外部金属面2と対向する面)にグランド面が形成されている場合であり、同図(b)は、回路基板1の上面にグランド面が形成されている場合である。また、(a)(b)は、それぞれ、壁状のスペーサ3を別個のネジ4aおよび4bによって回路基板1および外部金属面2に固定する場合であるが、同図(c)に示すように、スペーサ3を共通のネジ4によって回路基板1および外部金属面2に固定することもできる。
【0044】
この発明では、通常は、図2(a)に示したように、回路基板1のグランド面(表面パッド5)とスペーサ3とを直結するが、目的によっては、回路基板のグランド面と壁状スペーサとを適当な回路素子を介して接続してもよい。
【0045】
図8は、その場合の一例を示す。この例では、回路基板1の表面に、ビア25によって内部のグランド層に接続された表面グランドパッド22と、壁状スペーサと直結されるスペーサパッド23とを形成し、表面グランドパッド22とスペーサパッド23とを、両者にまたがるように回路基板1に取り付けた回路素子24を介して接続する。回路素子24としては、抵抗素子、インダクタンス、コンデンサなどを用いることができる。この接続部分のインピーダンスが増加すると、上記のグランド電位安定化効果が抑制されるが、他の基本効果および放射遮蔽効果は発揮される。ネジ穴26は、図1などに示したネジ4を挿入するものである。
【0046】
壁状スペーサは、通常は低インピーダンスの金属によって形成するが、壁状スペーサに、数オーム程度以下の直流抵抗の損失を持たせてもよい。この場合も、損失の増加によってグランド電位安定化効果が抑制されるが、他の基本効果および放射遮蔽効果は発揮される。
【0047】
回路基板を外部に接続する方法としては、図9、図10または図11に示すような方法をとることができる。
【0048】
図9は、回路基板1の上面にレセプタクル42を取り付けて、回路基板1上の配線と接続し、レセプタクル42にプラグ43を装着して、ケーブル44を外部金属面2上に引き出す場合であり、図10は、回路基板1の下面にレセプタクル42を取り付けて、回路基板1上の配線と接続し、壁状のスペーサ3の内側において、レセプタクル42にプラグ43を装着して、ケーブル44をスペーサ3に形成した開口45に通して外部金属面2上に引き出す場合である。
【0049】
さらに、図11(a)(b)は、壁状のスペーサ3に形成した開口にレセプタクル42を取り付けて、内部配線46によって回路基板1上の配線と接続し、スペーサ3の外側において、レセプタクル42にプラグ43を装着する場合である。
【0050】
特に、図11のようにスペーサ3にコネクタ41を取り付ける方法は、(1)ケーブル44と外部金属面2との距離が近くなるため、相互インピーダンスが小さくなり、コモンモードノイズの発生を防止することができる、(2)コネクタ41によってスペーサ3の開口が塞がれ、放射遮蔽効果に優れる、(3)回路基板1上にコネクタを設けないため、回路基板1上のスペースを有効に利用することができる、などの利点がある。
【0051】
図示した例は、いずれも回路基板1より外部金属面2の方が大きい場合であるが、回路基板と外部金属面が同じ大きさでも、また外部金属面より回路基板の方が大きくても、この発明を適用することができる。外部金属面より回路基板の方が大きい場合には、壁状スペーサを回路基板の最外周部より内側の周辺部に設ければよい。
【0052】
また、外部金属面は、金属板の構造体自体、ないし金属以外の構造体に設けられた金属面(金属層)のほかに、他の回路基板に設けられた金属面(金属層)であってもよい。後者の場合には、複数の回路基板が積層されて、それら回路基板が壁状スペーサを介して結合されることになり、その結合された複数の回路基板につき、上記の効果が実現される。
【0053】
なお、図示した例は、回路基板1と外部金属面2とを壁状のスペーサ3を介して、ネジ4によって固定する場合であるが、ネジ以外の固定具または導電性接着剤などによって固定してもよい。
【0054】
この発明は、回路基板を着脱できる、または複数の回路基板を収納するラック構造の回路基板支持装置にも適用することができ、その場合でも、上述した基本効果、グランド電位安定化効果および放射遮蔽効果を得ることができる。図12は、この場合の一実施形態を示す。
【0055】
この実施形態では、同図(a)に示すように、回路基板1は、表裏両面の全周に渡って、内部のグランド層と直接または間接的に接続された表面パッド52を有し、一辺に端子部53を設け、対向する辺に、装置ケースの表面カバーを構成し、または外部との接続用コネクタを取り付けるパネル54を設けたものとする。
【0056】
同図(b)に示すように、壁状のスペーサ3は、回路基板1の全周に渡って表面パッド52と接触する枠状のものにするとともに、図1(c)に示したような弾性変形部(鍔部)3a,3bを有するものとする。ただし、この場合には、スペーサ3を回路基板1に固定しないので、ネジ穴は不要である。
【0057】
そして、図12(c)に示すように、上記のスペーサ3を複数、所定間隔で配置して、それぞれの弾性変形部3a,3b間の壁面部を、装置ケース59に固定し、装置ケース59のバックボード58には、それぞれ回路基板1の端子部53が差し込まれるソケット57を取り付け、バックボード58を介して信号が伝送されるようにする。
【0058】
隣接する2つのスペーサの間に回路基板1を挿入しないときには、その2つのスペーサのうちの一つの片側の弾性変形部3aと、もう一つの片側の弾性変形部3bとが、それぞれ外側に開いた状態で互いに接触するようにする。
【0059】
隣接する2つのスペーサの間に回路基板1を挿入すると、挿入された回路基板1に押されて、上記の弾性変形部3aおよび3bが、それぞれ内側に弾性変形し、挿入された回路基板1の表裏の表面パッド52と弾性的に接触して、表面パッド52とこれを挟持する2つのスペーサとの間で良好な電気伝導性が得られる。
【0060】
隣接する2つのスペーサの間に回路基板1を挿入しないとき、その2つのスペーサの間に隙間が形成されるようにしてもよいが、上記のように2つのスペーサが互いに接触して、その間に隙間が生じないようにすれば、放射遮蔽効果が高まるという利点がある。
【0061】
また、弾性変形部3a,3bは、上記のようにスペーサ3を金属板バネとすることによって形成するほか、スペーサ3を導電ゴム、その他の導電性を有する弾性材料により形成することによって得ることもできる。
【0062】
この実施形態によれば、スペーサ3を介して複数の回路基板のグランド面を接続することができるので、新たな共振放射などを生じることなく、回路グランド電位を安定化することができるとともに、スペーサ3による遮蔽作用によって、放射ノイズを大幅に減少させることができる。
【0063】
なお、上記の例は、スペーサ3の位置を固定し、弾性変形部3a,3bの弾性変形によって回路基板1とスペーサ3の接触を保持する場合であるが、スペーサ3をその配列方向に移動できるようにし、回路基板1の挿入後、機械的圧力を加える適当な手段によってスペーサ3を一方向に押すことによって、回路基板1が一定の圧力で支持され、回路基板1とスペーサ3の接触が保持されるようにしてもよい。
【0064】
この場合の圧力印加手段は、装置ケース59の内外の、いずれに設けてもよい。また、必要に応じて、回路基板1の移動に伴ってソケット57がバックボード58上で移動するように構成することができる。
【0065】
このように圧力印加手段によって回路基板1とスペーサ3の接触を保持する場合でも、隣接する2つのスペーサの間に回路基板1を挿入しないとき、その2つのスペーサが互いに接触するようにすれば、回路基板非収納部の放射遮蔽効果が高まる。
【0066】
また、図12の例は、スペーサ3を四辺が閉じた構成とする場合であるが、例えば、スペーサ3を装置ケース59のパネル54側の辺部のない形状にしてパネル54と接触させるなど、壁状スペーサは一辺部などに開口部を有するものでもよい。この場合、放射遮蔽効果は幾分低下するが、他の基本効果およびグランド電位安定化効果は十分に発揮される。
【0067】
【発明の効果】
上述したように、この発明によれば、共振放射の発生を本質的に防止することができるとともに、回路グランド電位の安定化を実現することができ、さらには配線などからの放射も遮蔽・抑制することができる。しかも、構造的に、回路基板を外部金属面に安定に固定することができるとともに、回路基板と外部金属面とを電気的に確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電子機器の一実施形態を示す図である。
【図2】回路基板の内部構造と接続部分の一例を示す図である。
【図3】この発明の電子機器の作用を従来の電子機器と比較して示す図である。
【図4】壁状スペーサを回路基板の全周に渡るものとしない場合の例を示す図である。
【図5】この発明の電子機器におけるスペーサ被覆率と放射強度との関係の測定結果を示す図である。
【図6】この発明の効果をシミュレーションによって確認した結果を示す図である。
【図7】壁状スペーサの断面形状を概略S字状にした場合の例を示す図である。
【図8】回路基板のグランド面と壁状スペーサとを回路素子を介して接続する場合の例を示す図である。
【図9】回路基板を外部に接続する方法の一例を示す図である。
【図10】回路基板を外部に接続する方法の他の例を示す図である。
【図11】回路基板を外部に接続する方法のさらに他の例を示す図である。
【図12】この発明の回路基板支持装置の一実施形態を示す図である。
【図13】従来の電子機器の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 回路基板
2 外部金属面
3 スペーサ(壁状スペーサ)
3a,3b 弾性変形部(鍔部)
5 表面パッド
6 ビア
7 グランド層
8 電源層
9 配線
41 コネクタ
44 ケーブル
Claims (4)
- 電源層およびグランド層を有する回路基板と、
外部金属面と、
前記電源層が前記グランド層と前記外部金属面との間に配置された状態で、前記回路基板の周辺部において周辺方向に所定以上の長さに渡って前記回路基板および前記外部金属面と接触して、前記回路基板と前記外部金属面との間に介在された壁状の導電性のスペーサとを備え、
前記スペーサは、断面形状が概略U字状で、弾性変形によって、一方の鍔部が前記回路基板に接触し、他方の鍔部が前記外部金属面に接触しているとともに、ネジによって前記回路基板および前記外部金属面に固定されて、前記グランド層と前記外部金属面とを電気的に接続している、ことを特徴とする電子機器。 - 請求項1の電子機器において、
前記スペーサに配線接続部が取り付けられていることを特徴とする電子機器。 - 請求項1の電子機器において、
前記スペーサに微小な穴が多数、設けられていることを特徴とする電子機器。 - 請求項1の電子機器において、
前記外部金属面が、他の回路基板に設けられた金属面であることを特徴とする電子機器。
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