JP3815212B2 - 電気光学装置及び電子機器、並びに電気光学装置の調整方法 - Google Patents

電気光学装置及び電子機器、並びに電気光学装置の調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液晶表示装置などの電気光学装置において、複数のデータ線をまとめたブロックの境において発生する輝度ムラの発生を抑えて、高品質な表示を可能とする電気光学装置、その補正量の設定が容易なパターン発生回路、および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気光学装置、例えば、アクティブ・マトリクス型の液晶表示装置について、図13および図14を参照して説明する。
まず、図13に示されるように、従来の液晶表示装置は、主に、液晶表示パネル100と、タイミング信号発生回路200と、画像信号処理回路30とから構成される。このうち、タイミング信号発生回路200は、各部の制御に用いるクロック信号や制御信号(必要に応じて後述する)などを出力するものである。また、画像信号処理回路30を構成するS/P変換回路302は、1系統の画像信号VIDをシリアル入力すると、これをN系統(図においてはN=6)に分配するとともに、時間軸にN倍に伸長してパラレル出力するものである。ここで、画像信号をパラレル出力する理由は、後述するように、サンプリングされた画像信号がデータ線に印加される時間を十分に確保するためである。
【0003】
一方、画像信号処理回路30を構成する反転回路304は、N系統にパラレル出力された画像信号を、次のような基準にしたがって極性反転させた後、適宜、増幅して画像信号VID1〜VID6として液晶表示パネル100に供給するものである。すなわち、反転回路304は、画像信号の極性反転について、画像信号をデータ線に印加する方式が A:走査線単位の極性反転であるか、B:データ線単位の極性反転であるか、C:画素単位の極性反転であるかに応じて定め、その極性反転周期を、1水平走査期間またはドットクロック周期に設定する。ただし、この例においては説明の便宜上、A:走査線単位の極性反転である場合を例にとって説明する。なお、ここでいう画像信号の極性反転とは、対向電極の印加電圧またはこれにほぼ等しい電圧を基準として、変換直後における画像信号の電圧レベルを、交互に反転させることをいう。
【0004】
次に、液晶表示パネル100について説明する。この液晶表示パネル100は、素子基板と対向基板とが一定の間隙をもって対向し、この間隙に、例えばTN(Twisted Nematic)型液晶が封入された構成となっている。このうち、素子基板は、石英基板や、ハードガラス等からなるものである。そして、この素子基板には、図14においてX(行)方向に沿って平行に、m本の走査線112が形成され、また、これと直交するY(列)方向に沿って平行に、(6n)本のデータ線114が形成されている(m、nは、それぞれ整数である)。
ここで、データ線114は、6本を単位としてブロック化されており、これらを、便宜上、ブロックB1、B2、B3、…、Bnと表記する。また、以降の説明では、データ線を一般的に指摘する場合には、その符号を114として示すが、ブロックにおけるデータ線を特定して指摘する場合には、その符号を114a、114b、114c、114d、114e、114fとして示すことにする。
【0005】
続いて、走査線112とデータ線114とが絶縁膜(図示省略)を介して交差する部分の近傍には、スイッチング素子としての一例たる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、「TFT」と称する)116が設けられている。このTFT116のゲートは、走査線112に接続される一方、TFT116のソースがデータ線114に接続されるとともに、TFT116のドレインが画素電極118に接続されている。この画素電極118は、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等からなる透明電極であって、対向基板に形成された対向電極(共通電極)108に対向するものである。ここで、画素電極118と対向電極108との間に液晶105が挟持されているので、一端を画素電極118とし、他端を対向電極108として、液晶105を挟持した液晶容量は、走査線112とデータ線114との交差に対応して、m行×(6n)列のマトリクス状に配列することとなる。
なお、対向電極108には時間的に一定の電圧LCcomが印加されている。また、走査線112とデータ線114との交差においては、ほかに蓄積容量(図示省略)が設けられて、その一端が画素電極118(TFT116のドレイン)に接続される一方、その他端が共通接続されて時間的に一定の電圧が印加されている。
【0006】
ここで、素子基板および対向基板の各対向面には、液晶105における分子の長軸方向が両基板間で約90度連続的に捻れるようにラビング処理された配向膜(図示省略)がそれぞれ設けられる一方、基板背面側には配向方向に沿った方向に吸収軸が設定された偏光子(図示省略)がそれぞれ設けられる。これにより、液晶容量に印加される電圧実効値がゼロであれば、この液晶容量を通過する光の透過率が最大(白色)になる一方、電圧実効値が大きくなるにつれて、透過率が徐々に減少して、ついには透過率が最小(黒色)になるように構成されている(ノーマリーホワイトモード)。
【0007】
次に、走査線駆動回路120は、素子基板上に形成されて、タイミング信号発生回路200からのクロック信号CLYや、この反転クロック信号CLYinv、転送開始パルスDY等に基づいて、走査信号G1、G2、…、Gmを生成し 走査線112の各々に出力するものである。詳細には、走査線駆動回路120は、図15に示されるように、垂直走査期間の最初に供給される転送開始パルスDYを、クロック信号CLY(および反転クロック信号CLYinv)の論理レベルが遷移する毎にシフトして、順番かつ排他的にHレベルになる走査信号G1、G2、…、Gmを、それぞれ1行目、2行目、…、m行目の走査線112に供給するものである。
【0008】
続いて、シフトレジスタ回路130は、サンプリング制御信号S1、S2、…、Snを、1水平走査期間内に出力するものである。詳細には、シフトレジスタ回路130は、図15に示されるように、1水平有効走査期間のはじまりに供給される転送開始パルスDXを、クロック信号CLX(および反転クロック信号CLXinv)の論理レベルが遷移する毎にシフトするとともに、隣接するパルス同士が同時にHレベルにならないように、そのパルス幅の期間をSmpに狭めたサンプリング制御信号S1、S2、…、Smを、それぞれ出力するものである。
【0009】
一方、画像信号処理回路30によって6系統に変換された画像信号VID1〜VID6は、6本の画像信号線171を介して供給され、サンプリング制御信号S1、S2、…、Snにしたがってデータ線114の各々にサンプリングされる構成となっている。詳細には、データ線114は、6本毎にブロック化されるとともに、図14において左から数えてj(jは、1、2、…、n)番目のブロックに属するデータ線114の6本のうち、最も左に位置するデータ線114aの一端に接続されるサンプリングスイッチ141は、サンプリング制御信号SjがHレベルになると、画像信号線171を介して供給された画像信号VID1をサンプリングして、当該データ線114aに供給する構成となっている。
【0010】
また、同じくj番目のブロックに属するデータ線114の6本のうち、2列目に位置するデータ線114bの一端に接続されるサンプリングスイッチ141は、サンプリング制御信号SjがHレベルになると、画像信号VID2をサンプリングして、当該データ線114bに供給する構成となっている。以下、同様に、j番目のブロックに属するデータ線114の6本のうち、3、4、5、6列目に位置するデータ線114c、114d、114e、114fの一端に接続されるサンプリングスイッチ141の各々は、サンプリング制御信号SjがHレベルになると、画像信号VID3、VID4、VID5、VID6の各々をそれぞれサンプリングして、対応するデータ線114c、114d、114e、114fに供給する構成となっている。すなわち、シフトレジスタ回路130と6n個のサンプリングスイッチ141によりデータ線駆動回路が構成されることになる。
また、サンプリングスイッチ141の各々は、データ線114と画素電極118との間に介挿されたスイッチング素子と同様なTFTである。
【0011】
このような構成において、サンプリング制御信号S1がHレベルになると、ブロックB1に属する6本のデータ線114a〜114fには、それぞれ画像信号VID1〜VID6がサンプリングされて、サンプリングされた画像信号VID1〜VID6の電圧に応じた電荷が、現時点において選択された(走査信号がHレベルとなっている)走査線112とブロックB1に属する6本のデータ線114a〜114fとの交差に対応する6個の液晶容量に、TFT116のオンによってそれぞれ書き込まれることとなる。
【0012】
この後、サンプリング制御信号S2がHレベルになると、今度は、ブロックB2に属する6本のデータ線114a〜114fに、それぞれ画像信号VID1〜VID6がサンプリングされて、サンプリングされた画像信号VID1〜VID6の電圧に応じた電荷が、現時点において選択された走査線112とブロックB2に属する6本のデータ線114a〜114fとの交差部分に対応する6個の液晶容量に、それぞれ書き込まれることとなる。
【0013】
以下、サンプリング制御信号S3、S4、…、Snが順次Hレベルになると、ブロックB3、B4、…、Bnに属する6本のデータ線114a〜114fには、それぞれ画像信号VID1〜VID6がサンプリングされて、液晶容量への書き込みが同様に行われることになる。そして、この後、次の走査線が選択されて、ブロックB1、B2、…、Bnにおいて同様な書き込みが繰り返し実行されることとなる。
【0014】
この駆動方式では、サンプリングスイッチ141を制御するシフトレジスタ回路130の段数が、データ線を点順次で駆動する方式と比較して1/6に低減される。さらに、シフトレジスタ回路130に供給すべきクロック信号CLXおよびその反転クロック信号CLXinvの周波数も1/6となるので、段数の低減化と併せて低消費電力化も図られることとなる。
【0015】
ところで、対向基板108は、画素電極118のほかに、データ線114にも液晶105を介して対向する。また、データ線114は、Y方向に延在しているため、特に、隣接するもの同士が容量的に結合しやすい。さらに、データ線114は自体は、アルミニウムなどの低抵抗の配線層から形成されるが、高精細化によりその線幅が狭められるために、ある程度の配線抵抗を持つことは避けられない。
これらの要因のため、画像信号をデータ線114にサンプリングしても、データ線114の電圧は、画像信号の電圧と直ちに一致するのではなく、寄生容量や配線抵抗等で定まる時定数に従って徐々に画像信号の電圧に近づくことになる。
【0016】
さらに、この例では、走査線単位で画像信号を極性反転するので、水平走査周期毎にデータ線114の電圧を対向電極の印加電圧(または近傍電圧)を基準に極性反転させる必要がある。
したがって、ある水平走査期間においては、画像信号を印加する直前におけるデータ線114の電圧と、実際に印加すべき画像信号の電圧とが極性反転の関係にあるため、データ線114にサンプリングされる電圧が本来的な画像信号の電圧と一致するまでの時間は、より長くなる傾向がある。
【0017】
そこで、データ線114を本来的な電圧に短時間で到達させるために、図14に示されるように、プリチャージ回路160が設けられている。このプリチャージ回路160は、データ線114毎に設けられるプリチャージングスイッチ165を備えており、各プリチャージングスイッチ165は、それぞれ対応するデータ線114の他端とプリチャージ信号NRSが供給される信号線との間に介挿されて、プリチャージ制御信号NRGがアクティブレベル(Hレベル)になると、オンするように構成されている。このプリチャージ制御信号NRGは、サンプリング制御信号S1、S2、…、Snよりも先行するタイミングにおいて、すなわち、ある走査線の選択が終了してから次の走査線が選択されるまでの水平帰線期間において、Hレベルになる信号である。
【0018】
このため、データ線114の各々は、一旦、水平帰線期間においてプリチャージ信号NRSの電圧にプリチャージされた後、画像信号VID1〜VID6がサンプリングされる構成となっている。したがって、画像信号VID1〜VID6によるデータ線114の充放電量が小さくなって、データ線114の電圧が本来的な電圧に短時間で到達する結果、書き込みに要する時間が短縮化されることになる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、データ線114をブロック化して駆動したり、これとプリチャージとを併用したりすると、ブロックB1、B2、…、Bnの境において輝度ムラが、特に、中間濃度(灰色)を背景として、ある種の規則パターンを表示させた場合に発生する、という問題が生じた。
【0020】
そこで、この輝度ムラの発生原理について、ブロックB1、B2に着目し、規則パターンとして、同一濃度の灰色を一面にわたって表示させる場合を例にとって説明する。図16は、この場合に発生する輝度ムラを説明するための電圧波形図である。
ここで、図16に示す例において、プリチャージ信号NRSが取り得る電圧は、正極性書込時において黒色レベルに相当する電圧Vpre(+)、または、負極性書込時において黒色レベルに相当する電圧Vpre(-)のいずれかであり、走査線毎に書込極性を反転するのにあわせて、1水平走査期間を1周期として交互に反転する。また、電圧Vpre(+)と画像信号VID1〜VID6(ただし、図16では、VID1、VID6だけを示している)を極性反転する際の中心電圧との差と、電圧Vpre(-)と中心電圧との差は、絶対値でみて互いに等しい関係となっている。
【0021】
さて、図16において、1水平帰線期間におけるタイミングt11に至ると、プリチャージ制御信号NRGがHレベルになる。このため、プリチャージングスイッチ165がオンするため、すべてのデータ線114は、正極性書込に対応するプリチャージ電圧Vpre(+)にプリチャージされる。この後、プリチャージ制御信号NRGがLレベルになるが、すべてのデータ線114は、その寄生容量によりプリチャージ電圧Vpre(+)を維持する。
【0022】
次に、1水平有効期間におけるタイミングt12に至り、サンプリング制御信号S1がHレベルに立ち上がると、ブロックB1のデータ線114fには、サンプリングスイッチ141によって画像信号VID6がサンプリングされる。このため、データ線114fの電圧は、それまで維持していた電圧Vpre(+)から、サンプリングされた画像信号VID6に相当する電圧▲1▼に遷移して、これがブロックB1に属するデータ線114fと選択走査線112との交差に対応する液晶容量に書き込まれる。この後、サンプリング制御信号S1がLレベルに立ち下がる。
【0023】
続いて、タイミングt13に至り、サンプリング制御信号S2がHレベルに立ち上がると、ブロックB2のデータ線114aには、サンプリングスイッチ141によって画像信号VID1がサンプリングされる。このため、ブロックB2のデータ線114aは、それまで維持していたプリチャージ電圧Vpre(+)から、サンプリングされた画像信号VID1の電圧▲3▼まで遷移して、これがブロックB2に属するデータ線114aと選択走査線112との交差に対応する液晶容量に書き込まれる。
【0024】
この際、ブロックB1に属するデータ線114のうち、ブロックB2に隣接するデータ線114fは、ブロックB2のデータ線114aと容量的に結合しているため、ブロックB2に属するデータ線114aがプリチャージ電圧Vpre(+)から画像信号VID1の電圧▲3▼に遷移することによって、電圧変動することになる。詳細には、ブロックB1のデータ線114fは、ブロックB2に属するデータ線114aの電圧が遷移することによって、本来の電圧▲1▼から、容量結合による変動分だけ変位して、電圧▲2▼に変化する。
【0025】
ここで、同一濃度の灰色を一面にわたって表示させるのであれば、サンプリング制御信号S1がHレベルになるときに、ブロックB1に属するデータ線114fに印加される画像信号VID6の電圧▲1▼と、サンプリング制御信号S2がHレベルになるときに、ブロックB2に属するデータ線114fに印加される画像信号VID1の電圧▲3▼とは、互いに等しいはずである。
【0026】
しかしながら、ブロックB1に属するデータ線114fが、本来の電圧▲1▼から電圧▲2▼に変化することになるので、最終的に、ブロックB1に属するデータ線114fと選択走査線112との交差に対応する液晶容量(画素)の濃度と、ブロックB2に属するデータ線114aと選択走査線112との交差に対応する画素の濃度とは、互いに異なってしまうことになる。
これに対して、ブロックB1に属する他のデータ線114a〜114eについては、隣接するブロックB2に属するデータ線114aの電圧遷移による影響を受けない(にくい)ので、これらのデータ線と、現時点において選択された走査線との交差に対応する画素は、本来的な電圧を維持するので、濃度差はほとんど生じない。
このような濃度の相違は、負極性書込に対応するタイミングt21、t22、t23においても、また、他のブロックについても、さらに、他の走査線を選択した場合でも同様に発生する。
したがって、すべての画素に対して同一濃度の表示をしようとしても、あるブロックのデータ線114fに接続された画素の濃度と、それ以外のデータ線114a〜114eに接続された画素の濃度とに差が生じるので、結局、各ブロックB1、B2、…、Bnの境において縦状に輝度ムラが発生することとなる。
【0027】
このような輝度ムラは、プリチャージ信号NRSの電圧として、正極性書込に対応する電圧/中心電圧の差と、負極性書込に対応する電圧/中心電圧の差とが、絶対値でみて異なるレベルとなるように設定すれば、例えば、正極性書込では白色に相当する電圧に、負極性書込では黒色に相当する電圧にそれぞれ設定すれば、ある程度、解消することが知られている。ただし、このように設定しても、輝度ムラを目立たなくする程度にまで抑えることができないし、さらに、プリチャージ信号NRSを印加してから本来の画像信号が書き込まれるまでの短期間ではあるが、直流成分が印加されることになるので、液晶劣化を招く原因にもなる。
【0028】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ブロックの境において発生する輝度ムラを目立たなくして、高品質の表示が可能な電気光学装置および電子機器を提供することを目的としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられたスイッチング素子、画素電極及び対向電極を備えた画素と、前記走査線を選択して、前記スイッチング素子をオンさせる走査信号を供給する走査線駆動回路と、前記走査線が選択された期間に、所定本数の前記データ線からなるブロックを順次選択するとともに、選択したブロックに属するデータ線に、画像信号を供給するデータ線駆動回路と、一のブロックに属するデータ線のうち、当該ブロックの次に選択されるブロックに隣接する第1のデータ線と前記走査線との交差に対応する第1の画素を任意の中間輝度とし、前記次に選択されるブロックに属するデータ線のうち、前記第1のデータ線に隣接する第2のデータ線と前記走査線との交差に対応する第2の画素を特定の輝度とし、前記次に選択されるブロックに含まれ、前記第2のデータ線とは異なる第3のデータ線と前記走査線との交差に対応する第3の画素を、前記任意の中間輝度とするパターンの調整用画像信号を供給するパターン発生回路と、前記第1の画素に供給される画像信号の輝度を補正するために用いられ、前記調整用画像信号が供給された場合に前記第1の画素の輝度が前記第3の画素の輝度と等しくなるように決定された補正量を記憶する記憶手段と、表示用の画像信号が供給された場合に、前記記憶手段に記憶された補正量を読み出し、当該読み出した補正量をもとに前記第2の画素に供給される画像信号の輝度に応じた、前記第1の画素に供給される画像信号の輝度を補正するための補正量を演算する補正量出力部とを具備することを特徴とする電気光学装置を要旨とする。
また、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられたスイッチング素子、画素電極及び対向電極を備えた画素と、前記走査線を選択して、前記スイッチング素子をオンさせる走査信号を供給する走査線駆動回路と、前記走査線が選択された期間に、所定本数の前記データ線からなるブロックを順次選択するとともに、選択したブロックに属するデータ線に、画像信号を供給するデータ線駆動回路と、を備えた電気光学装置の調整方法であって、一のブロックに属するデータ線のうち、当該ブロックの次に選択されるブロックに隣接する第1のデータ線と前記走査線との交差に対応する第1の画素を任意の中間輝度とし、前記次に選択されるブロックに属するデータ線のうち、前記第1のデータ線に隣接する第2のデータ線と前記走査線との交差に対応する第2の画素を特定の輝度とし、前記次に選択されるブロックに含まれ、前記第2のデータ線とは異なる第3のデータ線と前記走査線との交差に対応する第3の画素を、前記任意の中間輝度とし、前記第1の画素の輝度が前記第3の画素の輝度と等しくなるように、前記第1の画素に供給される画像信号の輝度を補正するための画像信号の補正量を決定することを特徴とする。
【0030】
この構成によれば、実際の表示においてブロックの境がどこに位置するのか明示されないが、パターン発生回路によるパターンを用いると、各ブロックのうち、ブロック選択方向の端に位置する中間濃度は、調整前であれば、他の中間濃度と異なるので、ブロックの境を直ちに特定することができる。さらに、ブロック選択方向の端に位置する中間濃度を、他の中間濃度にまで修正するのに要する量が補正量として用いられるので、補正量を極めて容易に設定することが可能となる。
【0031】
また、上記目的を達成するために本件の第2発明に係る電気光学装置にあっては、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられてなるスイッチング素子と、前記画素電極を一端とし、対向電極を他端とする電気光学容量であって、前記画素電極と前記対向電極とに印加される電圧実効値に応じて濃度が変化する電気光学容量と、前記走査線の1本を選択して、前記スイッチング素子をオンさせる走査信号を供給する走査線駆動回路と、前記走査線の1本が選択された期間に、前記データ線を複数本毎にまとめたブロックを順次選択するとともに、選択したブロックに属するデータ線に、画像信号を供給するデータ線駆動回路と、前記電気光学容量を中間濃度とする画像信号、前記電気光学容量を特定の濃度とする画像信号のいずれかを選択するセレクタと、前記セレクタによる選択を制御する制御手段であって、前記中間濃度または前記特定の濃度の画像信号を選択させる第1の場合に、ある1つのブロックに属するデータ線のうち、当該ブロックの次に選択されるブロックに隣接する第1のデータ線に位置する電気光学容量の少なくても一部を中間濃度とし、次に選択されるブロックに属するデータ線のうち、前記第1のデータ線に隣接する第2のデータ線に位置する電気光学容量の少なくても一部を特定の濃度とし、前記第2のデータ線に位置する電気光学容量の残余若しくはその一部、又は、前記第1、第2のデータ線とは異なる第3のデータ線に位置する電気光学容量の少なくとも一部を、前記中間濃度とするパターンとなるように、前記セレクタを制御する制御手段と、前記第1の場合に、前記第1のデータ線に位置する電気光学容量のうち前記中間濃度とした電気光学容量の濃度を、前記第2のデータ線に位置する電気光学容量のうち前記中間濃度とした電気光学容量の濃度まで、修正するのに要する補正量を記憶する記憶手段と、を具備することを特徴としている。
この構成によれば、上記第1発明と同様に、ブロックの境を直ちに特定することができ、さらに、補正量を極めて容易に設定することが可能となる。
【0032】
また、上記目的を達成するために本件の第3発明に係るパターン発生回路にあっては、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられてなるスイッチング素子と、前記画素電極を一端とし、対向電極を他端とする電気光学容量であって、前記画素電極と前記対向電極とに印加される電圧実効値に応じて濃度が変化する電気光学容量と、前記走査線の1本を選択して、前記スイッチング素子をオンさせる走査信号を供給する走査線駆動回路と、前記走査線の1本が選択された期間に、前記データ線を複数本毎にまとめたブロックを順次選択するとともに、選択したブロックに属するデータ線に、画像信号を供給するデータ線駆動回路と、選択されたブロックに属するデータ線のうち、次に選択されるブロックに隣接する第1のデータ線に供給すべき画像信号に、次に選択されるブロックに属し、かつ、前記第1のデータ線に隣接する第2のデータ線に供給されるべき画像信号にしたがった補正量を加算して、前記データ線駆動回路への画像信号として供給する画像信号処理回路とを備える電気光学装置に対し、前記第1のデータ線に位置する電気光学容量の少なくても一部を中間濃度とし、前記第2のデータ線に位置する電気光学容量の少なくても一部を特定の濃度とし、前記第2のデータ線に位置する電気光学容量の残余若しくはその一部、又は、前記第1、第2のデータ線とは異なる第3のデータ線に位置する電気光学容量の少なくとも一部を前記中間濃度としたパターンの画像信号を、前記画像信号処理回路に供給する構成を特徴としている。
この構成によって、上記第1および第2発明と同様に、ブロックの境を直ちに特定することができ、さらに、補正量を極めて容易に設定することが可能となる上、構成の簡略化も図られる。
【0033】
ここで、第1発明において、前記パターン発生回路による画像信号、または、外部からの画像信号のいずれか一方を選択するとともに、前記パターン発生回路による画像信号を選択する場合には、選択した画像信号を前記データ線駆動回路に供給するセレクタと、前記セレクタによって、外部からの画像信号が選択される場合であって、ある1つのブロックが選択されるとき、当該画像信号のうち、当該ブロックの次に選択されるべきブロックに属する第2のデータ線への画像信号が、前記特定の濃度に相当すれば、外部からの画像信号のうち、選択されるブロックに属する第1のデータ線に対応する画像信号に、前記補正量を加算して、前記データ線駆動回路への画像信号として出力する加算器とをさらに具備していても良い。
またここで、第2発明において、前記セレクタは、前記電気光学容量を中間濃度とする画像信号、前記電気光学容量を特定の濃度とする画像信号、または外部からの画像信号のいずれかを選択するセレクタであって、前記制御手段が、前記セレクタに、外部からの画像信号を選択させる第2の場合であって、ある1つのブロックが選択されるとき、当該画像信号のうち、当該ブロックの次に選択されるべきブロックに属する第2のデータ線への画像信号が、前記特定の濃度に相当すれば、外部からの画像信号のうち、選択されるブロックに属する第1のデータ線に対応する画像信号に、前記補正量を加算して、前記データ線駆動回路への画像信号として出力する加算器とをさらに具備していても良い。
またここで、第1、第2および第3発明におけるパターンとしては、前記中間濃度の電気光学容量と前記特定の濃度の電気光学容量とを、前記走査線の延在方向および前記データ線の延在方向にわたって1個毎に交互に配列させるものであることが好ましい。このパターンを用いると、中間濃度と、それとはブロック選択方向で隣接する特定の濃度との間にブロックの境が位置する行配列が1/2の確率で出現するので、パターンを特定の濃度の電気光学容量に対応付ける必要がなくなる。
【0034】
また、パターンとしては、前記中間濃度の電気光学容量と前記特定の濃度の電気光学容量とを、前記データ線の延在方向に対し2個以上の周期で交互に配列させるものであることが好ましい。このパターンを用いると、対象となる濃度の領域が視覚的に広がるので、補正量をより容易に設定することができる。したがって、この点だけを考慮すれば、パターンとして、前記中間濃度の電気光学容量と前記特定の濃度の電気光学容量とを前記データ線の延在方向に対して、それぞれ連続させて配列させたものであることが望ましい。
【0035】
さらに、いずれのパターンにおいても、前記特定の濃度の電気光学容量を、前記走査線の延在方向または前記データ線の延在方向にわたって濃度変化するように配列させたものであることが望ましい。このようなパターンでは、1回の表示パターンで必要な補正量をすべて設定できるので、効率化を図ることができる。
【0036】
また、本発明に係る電子機器は、第1または第2発明の電気光学装置を表示部として備えるので、ブロックの境における輝度ムラが抑えられる結果、高品位な表示が可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0038】
<実施形態>
はじめに、本発明の実施形態に係るアクティブ・マトリクス型の液晶表示装置について説明する。図1は、この液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。なお、この図における液晶表示パネル100の構成については、図14における構成とはなんら変わらないので、ここでは、それ以外の構成を中心に説明することにする。
【0039】
図1において、パターン発生回路34aは、調整時において、後述するようなパターンを表示させるための画像信号をディジタルにて発生させ、セレクタ36の入力端Bに供給するものである。セレクタ36は、その選択を制御する信号Sel1がHレベルであれば、入力端Aに供給されているディジタル画像信号Dを選択する一方、信号Sel1がLレベルであれば、入力端Bに供給されているパターン発生回路34aによる画像信号を選択して、選択した画像信号を画像信号処理回路32に供給するものである。
ここで、画像信号Dは、液晶表示パネル100に対して通常の表示をさせるために、図示せぬ外部回路から供給されるものである。これに対し、パターン発生回路34aによる画像信号は、例えば工場出荷時など調整時において、後述する補正テーブルの補正量を設定するために用いられるものである。
【0040】
次に、画像信号処理回路32は、第1に、画像信号Dに対して補正処理を施し、第2に、補正された画像信号をアナログ変換し、第3に、N系統に分配するとともに時間軸にN倍に伸長して、極性反転を行うものである。
ここで、ブロックB1、B2、…、Bnを図14において右から左方向に向かって順次選択する場合、上述した輝度ムラは、ブロックB1、B2、…、Bnにおける右端のデータ線114fの交差に対応する画素にて発生するものである。そして、該データ線114fに影響を与えるのは、ブロックの選択方向に隣接するデータ線114aであって、次ブロックに属するデータ線114aの電圧変位である。このため、画像処理回路32は、あるブロックBjに属するデータ線114fに印加すべき画像信号に、その次のブロックB(j+1)に属するデータ線114aに印加される画像信号VID1の電圧変位に応じた補正量を加算する、という補正処理を施す構成となっている。
【0041】
そこでまず、この補正処理を実行するための構成について説明する。はじめに、ラッチ回路330は、時系列に供給される画像信号Dのうち、データ線114aへの画像信号に対応するものだけを抜き出して、画像信号Daとしてラッチするものである。
次に、補正量出力部340は、ラッチされた画像信号Daに対応する補正量Cmpを、例えば図4に示されるような特性で出力するものである。ここで、補正量Cmpは、あるブロックに属するデータ線114aとの交差に対応する画素が白色から黒色までのいずれかの濃度となった場合に、当該ブロックの選択により当該データ線114aの電圧が遷移することによって、その左方において隣接するデータ線114f(前ブロックに属するデータ線114f)の電圧が変動する分をキャンセルするためのでものである。このため、補正量出力部340は、アドレス発生回路342と、補正テーブル344と、補間回路346とから構成される。
【0042】
このうち、補正テーブル344は、図4に示されるように、画像信号D(Da)によって指示される濃度レベルのうち、特定レベルVg1、Vg2、Vg3、Vg4およびVg5の5点にそれぞれ対応する補正量Cmp1、Cmp2、Cmp3、Cmp4およびCmp5を予め記憶するとともに、アドレスで指定された補正量を読み出して出力するものである。この特定レベルVg1、Vg2、Vg3、Vg4およびVg5は、濃度レベルが取り得る白から黒までの範囲において、ほぼ等間隔となるように選択される。
なお、本実施形態において、補正テーブル344は、電気的に消去が可能なメモリからなり、調整時において、補正量Cmp1、Cmp2、Cmp3、Cmp4を、任意な値に設定可能とするとともに、設定された記憶内容を保持し続ける構成となっている。
【0043】
ここで、補正テーブル344に記憶された補正量Cmp1は、あるブロックに属するデータ線114aとの交差に対応する画素を、白色に相当する特定レベルVg1とする場合に、当該ブロックの選択により当該データ線114aの電圧が遷移することによって、その左方において隣接するデータ線114fの電圧が変動する分に相当する大きさを有し、その符号は、上記変動方向とは逆向きのものである。
同様に、補正量Cmp2、Cmp3およびCmp4は、あるブロックに属するデータ線114aとの交差に対応する画素をそれぞれ特定レベルVg2、Vg3およびVg4とする場合に、当該ブロックの選択により当該データ線114の電圧が遷移することによって、その左方において隣接するデータ線114fの電圧が変動する分にそれぞれ相当する大きさを有し、その符号は、上記変動方向とはそれぞれ逆向きのものである。
そして、補正量Cmp5は、あるブロックに属するデータ線114aとの交差に対応する画素を、黒色に相当する特定レベルVg5とする場合に、当該ブロックの選択により当該データ線114の電圧が遷移することによって、その左方において隣接するデータ線114fの電圧が変動する分に相当する大きさを有し、その符号は、上記変動方向とは逆向きのものである。
なお、補正量Cmp1、Cmp2、Cmp3、Cmp4およびCmp5を、本実施形態において、いかにして規定するかについては、後述することにする。
【0044】
次に、アドレス発生回路342は、画像信号Daで指示される濃度レベルを判別し、この判別結果から次のように場合分けして、補正テーブル344から補正量を読み出すためのアドレスad1、ad2を出力するものである。
【0045】
まず、画像信号Daにより指示される濃度レベルが、特定レベルVg1、Vg2、Vg3、Vg4およびVg5の5点のいずれかであれば、アドレス発生回路342は、補正テーブル344から対応する補正量を読み出すためのアドレスad1を1つ出力する。
一方、画像信号Daで指示される濃度レベルが、上記5点のいずれでもなければ、アドレス発生回路342は、特定レベルVg1、Vg2、Vg3、Vg4およびVg5の5点のうち、該画像信号Daの前後に位置する特定レベルに対応した補正量を読み出すためのアドレスad1、ad2を2つ出力する。例えば、画像信号Daで指示される濃度レベルが特定レベルVg2よりも黒側であって、かつ、特定レベルVg3よりも白側であれば、アドレス発生回路342は、特定レベルVg2に対応する補正量Cmp2を読み出すためのアドレスad1と、特定レベルVg3に対応する補正量Cmp3を読み出すためのアドレスad2とを出力する。
【0046】
続いて、補間回路346は、画像信号Daにより指示される濃度レベルが特定特定レベルVg1、Vg2、Vg3、Vg4およびVg5の5点のいずれかであれば、補正テーブル344から読み出された補正量をそのまま補正量Cmpとして出力する一方、該5点のいずれでもなければ、補正テーブル344から読み出された補正量を、次のように補間演算して、その補間結果を補正量Cmpとして出力するものである。
詳細には、画像信号Daで指示される濃度レベルが、上記5点のいずれでもなければ、補間回路346は、補正テーブル344から読み出された2つの補正量を、その2点間内における画像信号Daで指示される濃度レベルによって内分して求める。
【0047】
なお、補間演算は、これに限られず、このほかにも3点以上の多点補間処理を実行しても良いし、外分補間としても良い。また、本実施形態では、5点の特定レベルに対応する補正量を記憶する構成としているが、これに限るものではない。
【0048】
次に、セレクタ350は、その選択を制御する信号Sel2がHレベルであれば、入力端Aに供給されている補正量Cmpを選択する一方、信号Sel2がLレベルであれば、入力端Bに供給されているゼロデータNULLを選択し、選択結果SelOutとして、加算器324における入力端の一方に供給するものである。
一方、遅延回路322は、加算器324における入力端の一方に供給される選択結果SelOutとタイミングが一致するように、セレクタ36により選択された画像信号を時間dly’だけ遅延させて画像信号Ddとして出力するものである。
続いて、加算器324は、画像信号Ddと選択結果SelOutとを加算して、その加算結果を画像信号D’として出力するものである。
【0049】
そして、D/A変換器326は、ディジタルの画像信号D’をアナログ変換して、画像信号VIDとして出力するものである。これ以降の構成であるS/P変換回路302および反転回路304については、図13に示した構成と全く同一であるので、その説明を省略することにする。
また、本実施形態におけるタイミング信号発生回路202は、パターン発生回路34aや、セレクタ36、画像信号処理回路32における各部、および、液晶表示パネル100を、それぞれクロック信号や制御信号などにより制御するものである。
【0050】
次に、このような構成に係る画像信号処理回路32による補正処理の動作について説明する。なお、画像信号処理回路32によって補正処理をする場合、タイミング信号発生回路202は、信号Sel1をHレベルにして、セレクタ36に対して入力端Aを選択させるように制御する。
ここで、図2は、補正処理の動作を説明するためのタイミングチャートである。この図に示されるように、1行分のディジタルの画像信号Dが、1列目、2列目、3列目、…、(6n)列目の画素に対応して時系列的に供給される。
【0051】
この際、タイミング信号発生回路202は、1列目、7列目、13列目、…、(6n−5)列目の画素に対応する画像信号Dが供給されるタイミングにおいて、信号SWPをHレベルにする。この結果、ラッチ回路330によりラッチされる画像信号Daは、1列目、2列目、3列目、…、(6n)列目の画素に対応して時系列的に供給される画像信号Dのうち、データ線114aとの交差に対応する画素への画像信号Dのみを抜き出してラッチしたものとなる。
【0052】
そして、補正量出力部340は、ラッチ回路330によりラッチされた画像信号Daに対応する補正量Cmpを、前述したように補正テーブル344から読み出して、あるいは、補間演算することにより出力する。ここで、1列目、7列目、13列目、…、(6n−5)列目の画素に対応する画像信号Daに対して出力される補正量を、便宜上、Cmp(1)、Cmp(7)、Cmp(13)、…、Cmp(6n−5)と表記すると、これらの補正量は、補正テーブル344からの読み出しや、補間演算などのために、画像信号Daに対して時間dlyだけ遅延して出力される。
【0053】
次に、タイミング信号発生回路202は、信号Sel2として、信号SWPを時間dlyだけ遅延させてセレクタ350に供給する。このため、セレクタ350による選択結果SelOutは、信号Sel2が1回目にHレベルになったときに補正量Cmp(1)となり、信号Sel2が2回目にHレベルになったときに補正量Cmp(7)となり、信号Sel2が3回目にHレベルになったときに補正量Cmp(13)となって、以降同様に、信号Sel2がn回目にHレベルになったときに補正量Cmp(6n−5)となり、それ以外では、ゼロデータNULLとなる。
【0054】
一方、画像信号Ddは、画像信号Dに対し、時間dlyよりも画像信号の1画素分を供給する分だけ長い時間dly’、遅延回路322によって遅延させられる。
このため、画像信号Ddのうち、データ線114a、114b、114c、114d、114eとの交差に対応する画素への画像信号についてはゼロデータNULLが加算されるだけであるので、その内容は全く変更されない。これに対し、画像信号Ddのうち、データ線114fとの交差に対応する画素への画像信号には、該データ線114fに対しブロック選択方向で隣接するデータ線114aへの画像信号に対応する補正量Cmpが加算器324によって加算されることになる。
ただし、最終ブロックBnのデータ線114fには、ブロック選択方向で隣接するデータ線114aが存在しないので、本件ではゼロデータNULLを加算して、その内容が変更されないようにしている。また、セレクタ350による選択結果が補正量Cmp(1)である期間において、被加算対象たる画像信号Ddは、遅延回路322による遅延によって未だ供給されないので、本件では当該期間での画像信号D’を無効としている。
【0055】
そして、加算器324による加算結果たる画像信号D’は、D/A変換器324によってアナログ変換されて画像信号VIDとして出力された後、S/P変換回路302によって6系統に分配されるとともに、時間軸に6倍に伸長されて、反転回路304によって極性反転されて、画像信号VID1〜VID6として供給されることになる。
なお、ここでは1行分の画素に対応する画像信号に対しての補正処理について説明したが、このような動作は、1行からm行までの行毎に繰り返し行われることになる。
【0056】
続いて、本実施形態において、輝度ムラの発生が抑えられる点について、従来(図16参照)との比較のために、ブロックB1、B2に着目し、規則パターンとして、同一濃度の灰色を一面にわたって表示させる場合を例にとって説明する。図3は、この場合において輝度ムラの発生が抑えられる点を説明するための電圧波形図である。
【0057】
まず、図3において、1水平帰線期間におけるタイミングt11に至ると、プリチャージ制御信号NRGがHレベルになる。このため、プリチャージングスイッチ165がオンするため、すべてのデータ線114は、正極性書込に対応するプリチャージ電圧Vpre(+)にプリチャージされる。この後、プリチャージ制御信号NRGがLレベルになるが、すべてのデータ線114は、その寄生容量によりプリチャージ電圧Vpre(+)を維持する。
【0058】
次に、1水平有効期間におけるタイミングt12に至り、サンプリング制御信号S1がHレベルに立ち上がると、ブロックB1のデータ線114fには、サンプリングスイッチ141によって画像信号VID6がサンプリングされる。この画像信号VID6は、本来的な電圧▲1▼に補正量Cmp(7)に相当する電圧▲4▼を加算した電圧▲5▼である。
このため、データ線114fの電圧は、それまで維持していた電圧Vpre(+)から、サンプリングされた画像信号VID6に相当する電圧▲5▼に遷移して、これがブロックB1に属するデータ線114fと選択走査線112ととの交差に対応する液晶容量に書き込まれる。この後、サンプリング制御信号S1がLレベルに立ち下がる。
【0059】
続いて、タイミングt13に至り、サンプリング制御信号S2がHレベルに立ち上がると、ブロックB2のデータ線114aには、サンプリングスイッチ141によって画像信号VID1がサンプリングされる。ここで、データ線114aへの画像信号には何も加算されないので、画像信号VID1は、本来的な電圧▲3▼のままである。
このため、ブロックB2のデータ線114aは、それまで維持していたプリチャージ電圧Vpre(+)から、サンプリングされた画像信号VID1の電圧▲3▼まで遷移して、これがブロックB2に属するデータ線114aと選択走査線112との交差に対応する液晶容量に書き込まれる。
【0060】
この際、ブロックB1に属するデータ線114のうち、ブロックB2に隣接するデータ線114fについては、ブロックB2のデータ線114aと容量的に結合しているため、ブロックB2に属するデータ線114aの電圧がプリチャージ電圧Vpre(+)から画像信号VID1の電圧▲3▼に遷移することによって、電圧変動することになる。しかしながら、本実施形態では、本来的な電圧▲1▼に、変動分に相当する電圧▲4▼が予め加算された電圧▲5▼が、印加されているので、変動による影響がキャンセルされる結果、本来の電圧▲1▼とほぼ一致することになる。
【0061】
したがって、ブロックB1に属するデータ線114fが、電圧▲5▼から電圧▲1▼に変化するので、最終的に、ブロックB1に属するデータ線114fと選択走査線112との交差に対応する液晶容量(画素)の濃度と、ブロックB2に属するデータ線114aと選択走査線112との交差に位置する画素の濃度とは、互いにほぼ等しくなることになる。
また、ブロックB1に属する他のデータ線114a〜114eについては、何も加算されないので、これらのデータ線と、現時点において選択された走査線との交差に対応する画素は、本来的な灰色を維持することになる。
このような書き込みは、負極性書込に対応するタイミングt21、t22、t23においても、また、他のブロックについても、さらに、他の走査線を選択した場合でも同様である。
したがって、本実施形態では、例えばすべての画素に対して同一濃度の表示をする場合であっても、ブロックB1、B2、…、Bnの右端に位置するデータ線114fは、最終的に本来の電圧となるので、他のデータ線114a、114b、114c、114d、114eとほぼ等しくなるので、画素同士で濃度の差がほとんど発生しない結果、ブロックの境における輝度ムラの発生が抑えられることになる。
【0062】
次に、プリチャージ電圧Vpre(+)、Vpre(-)について検討してみる。上述のように、あるブロックの右端に位置するデータ線114fの電圧は、それに隣接するデータ線114aの電圧変化によって変動するが、その変動量は、データ線114aとの結合容量や、データ線114aの電圧変化量などに依存する。このうち、データ線114との結合容量は、動作時において一定とみなせる。また、データ線114aの電圧変化量は、プリチャージ電圧Vpreとサンプリングによる画像信号VID1との差電圧である。
【0063】
仮に、上述した補正処理を実行しない構成とすれば、ブロックの境における輝度ムラを低減するために、プリチャージ電圧Vpre(+)またはVpre(- )と、画像信号VID1との差電圧を小さくする必要がある。ここで、画像信号VID1の電圧は、表示すべき画像内容に応じて変化するが、その平均値は、極性反転する際の中心電圧になる。したがって、プリチャージ電圧Vpre(+)、Vpre(-)を該中心電圧とすれば、データ線114aの電圧変化量が小となるはずであるから、輝度ムラの低減を図ることができる。
【0064】
しかしながら、プリチャージ電圧Vpre(+)、Vpre(-)を該中心電圧とすると、ノーマリーホワイトモードでいえば黒色に相当する画像信号VID1を、容量性の負荷であるデータ線114aにサンプリングする際、大きな電圧変化を伴うので、短時間に書き込みを完了することができなくなり、十分なコントラストを得ることが困難になる。
これに対して、本実施形態のような補正動作を実行する構成では、電圧変化量についての考慮が不要となるため、プリチャージ電圧Vpre(+)、Vpre(-)を、ノーマリーホワイトモードでいえば黒色に相当する電圧に設定することができる。したがって、本実施形態によれば、輝度ムラの発生が抑えられるとともに、大きなコントラストを得ることができる。
【0065】
続いて、本実施形態において、補正テーブル344に記憶される補正量Cmp1、Cmp2、Cmp3、Cmp4およびCmp5を、いかにして設定するかについて説明する。なお、説明の便宜上、補正量Cmp1、Cmp2、Cmp3、Cmp4およびCmp5は、初期状態として、それぞれゼロである状態、すなわち、何ら補正しない状態とする。
この状態から補正量を設定する場合、タイミング信号発生回路202は、信号Sel1をLレベルにして、セレクタ36に対して入力端Bを選択させるよう制御する。
【0066】
さらに、タイミング信号発生回路202は、パターン発生回路34aに対して、図6(a)に示されるようなパターンを表示させるための画像信号を出力するように制御する。詳細には、パターン発生回路34aは、特定色として特定レベルVg1(図4)に相当する白色の画素と、中間色として任意の中間濃度(灰色)の画素とを、行方向および列方向とにわたって交互に配列させた市松模様のパターンを表示させる画像信号を出力する。
この表示パターンでは、図6(a)に示されるように、中間色の画素と、当該画素とはブロック選択方向に隣接する特定色(白色)の画素との間にブロックの境が位置する行配列が、必ず出現することになる。
【0067】
ここで、補正量Cmp1がゼロである状態では、画像信号に何ら補正が行われないので、実際には、図5(a)に示されるように、データ線114fの交差に対応する画素f(各ブロックにおいて右端に位置する画素f)の濃度は、同一であるべき灰色画素b、dの濃度とは異なることになる。
そこで、補正量Cmp1を増減させて、図5(b)に示されるように、画素fの濃度を、画素b、dの濃度に一致させる。そして、一致した段階での補正量Cmp1を、前述した補正処理に用いるように設定する。なお、この濃度の調整は、表示画像を撮像した画像処理により自動的に実行しても良いし、調整者が視覚を頼りに手動で実行しても良い。
【0068】
次に、パターン発生回路34aは、図6(a)における特定色を特定レベルVg2(図4)に相当する濃度とする。補正量Cmp2がゼロである状態では、画像信号に何ら補正が行われないので、図5(a)に示されるように画素fの濃度は、画素b、dの濃度とは異なることになる。そこで、補正量Cmp2を増減させて、図5(b)に示されるように、画素fの濃度を、画素b、dの濃度に一致させ、一致した段階での補正量Cmp2を、前述した補正処理に用いるように設定する。
以下同様に、特定色を特定レベルVg3、Vg4、Vg5として、画素fの濃度が、画素b、dの濃度と一致した段階での補正量Cmp3、Cmp4、Cmp5を、前述した補正処理に用いるように設定する。
このような設定により、特定レベルVg1、Vg2、Vg3、Vg4、Vg5にそれぞれ適切に対応する補正量Cmp1、Cmp2、Cmp3、Cmp4、Cmp5が設定されることになる。
【0069】
ここで、実際の表示では、ブロックの境がどこに位置するのかが明示されないので、どの画素がどのデータ線に対応するのかについて、通常の表示では、判別することができない。これに対して、図6(a)に示される表示パターンでは、ブロックの選択方向が左から右方向である場合、ブロックの右端に位置する灰色画素の濃度は、調整前であれば、他の灰色画素の濃度と異なるので、ブロックの境を直ちに特定することができる。
しかも、図6(a)における表示パターンでは、中間色の画素と、当該画素とはブロック選択方向で隣接する特定色の画素との間にブロックの境が位置する行配列が、1/2の確率で出現する。このため、表示パターンを画素に対応付ける必要もない。例えば、画素fを中間色とし、かつ、画素aを特定色とする対応付けは必ずしも必要ない。
したがって、図6(a)のようなパターンを用いると、補正量Cmp1、Cmp2、Cmp3、Cmp4およびCmp5を、簡易な構成によって、極めて容易に設定することが可能となる。
【0070】
なお、本実施形態にあっては、補正量の設定に好適な表示パターンとしては、図6(a)のほか、図6(b)や、図6(c)に示されるパターンが挙げられる。このうち、図6(b)に示されるように、中間色の画素と、特定色の画素とが列方向に2以上連続して、交互に配列するパターンを用いると、調整対象となる画素と、濃度変化しない画素とが、いずれも連続するために、視覚上の表示面積が増加して、調整がより容易となる。
したがって、極端に言えば、図6(c)に示されるように、中間色の画素と、特定色の画素とが列方向の全域にわたって連続して配列するパターンを用いても良い。ただし、本実施形態のように、1ブロックを構成するデータ線114の本数が偶数であると、画素fを中間色とし、かつ、画素aを特定色とする対応付けが必要となる。なお、1ブロックを構成するデータ線114の本数が奇数とすると、この対応付けが必要なくなる。
【0071】
さらに、本実施形態にあっては、5点の補正量を個別に設定したが、図7に示されるように、特定色を列方向にグレースケール化したパターンを用いても良い。このようなパターンを用いた場合、調整対象たる画素の濃度を、当該画素とは行方向に位置する画素の濃度に一致するように、表示パターンのすべてにわたって調整すれば、補正量Cmp1、Cmp2、Cmp 3、Cmp4、Cmp5を1回の表示で設定することが可能となる。このため、補正量の設定を効率化することも可能となる。なお、図7に示されるパターンについては、グレースケールの方向を行方向としても良い。
【0072】
このような実施形態によれば、ブロックの境における輝度ムラの発生が抑えられるとともに、その補正処理に用いる補正量についても、容易に設定することが可能となる。
【0073】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、パターン発生回路34aにより生成した画像信号によってパターンを表示し、画像信号の補正処理に用いる補正量を設定する構成としたが、パターンそのものは、単純な規則性を有するのみであるので、表示パターンにあわせて、いずれかの濃度に対応する画像信号を選択する構成としても良い。
そこで、このような構成の第2実施形態について説明する。図8は、この第2実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。この図において、セレクタ38は、画像信号処理回路32の入力段に設けられ。その入力端Aには外部からの画像信号Dが、入力端Bには中間色に対応する画像信号Dgが、入力端Cには特定色に対応する画像信号Dsが、それぞれ供給されている。
また、タイミング信号発生回路204は、液晶表示パネル100、画像信号処理回路32のほか、セレクタ38での選択を制御するための信号Sel11を出力するものである。このため、タイミング信号発生回路204は、セレクタ38での選択を制御する制御手段として機能することになる。
【0074】
この構成において、液晶表示パネル100に対して通常の表示をさせる場合(すなわち、画像信号Dにしたがって表示を行う場合)、タイミング信号発生回路204は、セレクタ38に対し、信号Sel11により入力端Aを選択するように制御する。
一方、補正量を設定する場合、タイミング信号発生回路204は、セレクタ38に対し、信号Sel11により入力端B、Cのいずれか一方を、表示パターンに濃度にしたがってAを選択するように制御する。
例えば、図6(a)や、図6(b)、図6(c)に示されるパターンを表示させるのであれば、タイミング信号発生回路204は、画像信号の1画素分が供給される間隔毎に入力端B、Cを交互に切り替えるようにセレクタ38を制御する。また、図7に示されるように、グレースケール化したパターンを表示させるのであれば、画像信号Dsで指示される濃度を、垂直走査または水平走査にあわせて増減させれば良い。
【0075】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置について説明する。上述した第1実施形態ではセレクタ36により、また、第2実施形態ではセレクタ38により、それぞれ画像信号D、または、パターン表示の画像信号を切り替える構成としたが、補正量は、一旦設定されれば、度々設定し直す性格のものではない。そこで、補正量を規定する場合には、図9に示される第3実施形態のように、画像信号処理回路32の入力に、直接、パターン発生回路34bを接続して、表示パターンに対応する画像信号を供給する構成しても良い。
ここで、パターン発生回路34bは、上述した図6(a)や、図6(b)、図6(c)、図7に示されるようなパターンを表示させるものであり、補正量の設定は、このパターンを用いて行われることになる。
【0076】
<実施形態の応用・変形>
本発明は、上述した第1、第2および第3実施形態に限られず、種々の応用・変形が可能である。
【0077】
<応用変形:その1>
後述するように、液晶表示装置は、ビデオプロジェクタの画像形成に用いられる場合がある。ビデオプロジェクタでは、装置を床面に置く場合と、装置を天井からつり下げる場合との2通りの使用状態が想定される。この2つの使用状態では、スクリーンに対する液晶パネルの位置関係が上下左右に逆転する関係にあるので、双方の使用状態に対応するためには、液晶パネルにおける走査方向を上下方向、左右方向ともに逆転可能とする必要がある。
【0078】
上述した実施形態にあっては、ブロックの選択方向が、図10(a)に示されるように左から右方向であったため、ブロックB1、B2、…、Bnの右端に位置するデータ線114fが、これに隣接するデータ線114aでの電圧変位の影響を受けた。
しかし、データ線114の走査方向を逆転させると、図10(b)に示すようにブロックの選択方向が右から左方向となるので、各ブロックの左端に位置するデータ線114aが、これに隣接するデータ線114fでの電圧変位の影響を受けることになる。
【0079】
ここで、ブロックの選択方向を切り替えるためには、液晶表示装置の前段に1フレーム分の画像信号が格納可能なフレームメモリを2個設け、一方のフレームメモリに画像信号を書き込んでいる期間では、他方のフレームメモリから画像信号を読み出して、この画像信号を、画像信号処理回路32に供給する構成とする。さらに、画像信号をフレームメモリから読み出す際には、書き込み順序とは逆の順序で読み出す構成とする。
この構成では、ブロックの選択方向を逆転させた場合に、データ線114aへの画像信号が、影響を与えるデータ線114fへの画像信号よりも先に画像信号処理回路32に供給される。このため、画像信号の供給順序は、ブロックの選択方向を逆転させても変わらないことになる。
【0080】
したがって、ブロックの選択方向の正転・反転に対応するためには、実施形態におけるS/P変換回路302に分配方向を指示する制御信号を供給し、この制御信号にしたがって、画像信号VID1〜VID6と画像信号線との対応関係を変更すれば良い。具体的には、制御信号が正転を指示する場合には、第1番目の画像信号線171に画像信号VID1を、第2番目の画像信号線171に画像信号VID2を、…、第6番目の画像信号線171に画像信号VID6を、それぞれ供給する一方、制御信号が反転を指示する場合には、第1番目の画像信号線171に画像信号VID6を、第2番目の画像信号線171に画像信号VID5を、…、第6番目の画像信号線171に画像信号VID1を、それぞれ供給する構成とすれば良い。
なお、走査線駆動回路120やシフトレジスタ回路130を、正転・反転の双方転送可能な構成とするのは、当然のことである。
【0081】
<応用変形:その2>
上述した実施形態では、6本のデータ線114が1ブロックにまとめられて、1ブロックに属する6本のデータ線114に対して、6系統に変換された画像信号VID1〜VID6をサンプリングする構成したが、変換数およびサンプリングするデータ線数(すなわち、1ブロックを構成するデータ線数)は、「6」に限られるものではない。例えば、サンプリングスイッチ141の応答速度が十分に高いのであれば、画像信号をパラレルに変換することなく1本の画像信号線171にシリアル伝送して、データ線114毎に順次サンプリングするように構成しても良い。
【0082】
また、変換数および同時に印加するデータ線の数を「3」や、「12」、「24」等として、3本や、12本、24本等のデータ線に対して、3系統変換や、12系統変換、24系統変換等した画像信号を同時に供給する構成としても良い。なお、変換数としては、カラーの画像信号が3つの原色に係る信号からなることとの関係から、3の倍数であることが制御や回路などを簡易化する上で好ましい。ただし、後述するプロジェクタのように単なる光変調の用途の場合には、3の倍数である必要はない。
さらに、実施形態にあって、補正回路300は、画像信号のシリアル−パラレル変換の前に、補正を行う構成となっていたが、シリアル−パラレル変換の後に、補正を行う構成としても良い。
【0083】
<応用変形:その3>
上述した実施形態では、ブロックの選択を行う前の水平帰線期間においてプリチャージする構成を前提として説明したが、本発明は、ブロックを順次選択する際に、他のデータ線における電圧変位によって、電圧変動するデータ線への画像信号に、予めその変動分を相殺するような補正量を加算することにより、ブロックの境で発生する輝度ムラを抑えるものであるから、プリチャージをしない構成であっても良いことは勿論である。
要は、他のデータ線における電圧変位によって、電圧変動するデータ線への画像信号に、予めその変動分を相殺するような補正量を加算する構成のすべてに適用可能である。
このため、画像信号補正処理を、ディジタルで処理する構成のほか、アナログで処理する構成でも適用可能であるし、正極性書込・負極性書込の各々に対応して補正量を変更する構成でも適用可能である。
【0084】
くわえて、実施形態にあっては、液晶容量に印加される電圧実効値がゼロである場合に白色表示を行うノーマリーホワイトモードとして説明したが、液晶容量に印加される電圧実効値がゼロである場合に黒色表示を行うノーマリーブラックモードとしても良い。
さらに、上述した実施形態では、液晶としてTN型を用いたが、BTN(Bi-stable Twisted Nematic)型・強誘電型などのメモリ性を有する双安定型や、高分子分散型、さらには、分子の長軸方向と短軸方向とで可視光の吸収に異方性を有する染料(ゲスト)を一定の分子配列の液晶(ホスト)に溶解して、染料分子を液晶分子と平行に配列させたGH(ゲストホスト)型などの液晶を用いても良い。
【0085】
また、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する、という垂直配向(ホメオトロピック配向)の構成としても良いし、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する、という平行(水平)配向(ホモジニアス配向)の構成としても良い。このように、本発明では、液晶や配向方式として、種々のものに適用することが可能である。
【0086】
くわえて、液晶表示装置のほかに、エレクトロルミネッセンス(EL)や、プラズマ発光や電子放出による蛍光などを用いて、その電気光学効果により表示を行う種々の電気光学装置に適用可能である。この際、電気光学物質としては、EL、ミラーデバイス、ガス、蛍光体などとなる。なお、電気光学物質としてELを用いる場合、素子基板101においてELが画素電極118と透明導電膜の対向電極との間に介在することになるので、液晶表示装置としてみれば必要であった対向基板は不要となる。このように、本発明は、上述した構成と類似の構成を有する電気光学装置のすべてに適用可能である。
【0087】
<電子機器>
次に、上述した実施形態に係る液晶表示装置を用いた電子機器のいくつかについて説明する。
【0088】
<その1:プロジェクタ>
まず、上述した液晶表示装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図11は、このプロジェクタの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。
【0089】
ここで、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bは、上述した実施形態に係る液晶表示パネル100と基本的には同様である。すなわち、ライトバルブ100R、100G、100Bは、それぞれRGBの各原色画像を生成する光変調器として機能するものである。
また、Bの光は、他のRやGの光と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123および出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。
【0090】
さて、ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム1112において、RおよびBの光は90度に屈折する一方、Gの光は直進する。これにより、各原色画像の合成したカラー画像が、投射レンズ1114を介して、スクリーン1120に投射されることになる。
【0091】
<その2:パーソナルコンピュータ>
次に、上述した液晶表示装置を、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図21は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図に示されるように、コンピュータ1200の本体1210には、表示部として用いられる液晶表示パネル100や、光学ディスクの読取・書込ドライブ1212、磁気ディスクの読取・書込ドライブ1214、ステレオ用スピーカ1216などが備えられる。また、キーボード1222およびポインティングデバイス(マウス)1224は、本体1210とは入力信号・制御信号等の授受を、赤外線等を介してワイヤレスで行う構成となっている。
この液晶表示パネル100は、直視型として用いられるので、RGBの3画素で1ドットが構成されるとともに、各画素に応じてカラーフィルタが設けられる。また、液晶表示パネル100の背面には、暗所での視認性を確保するためのバックライトユニット(図示省略)が設けられる。
【0092】
<電子機器のまとめ>
なお、電子機器としては、図11および図12を参照して説明した他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種の電子機器に対して、実施形態や応用・変形例に係る液晶表示装置が適用可能なのは言うまでもない。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ブロックの境における輝度ムラの発生が抑えられるとともに、その補正処理に用いる補正量についても、容易に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 同液晶表示装置における画像信号処理回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】 同液晶表示装置の動作を説明するための電圧波形図である。
【図4】 同補正回路において、入力たる画像信号と出力たる補正量との関係を示す図である。
【図5】 (a)および(b)は、それぞれ同画像信号処理回路の補正回路における補正量の設定動作を説明するための図である。
【図6】 (a)、(b)および(c)は、それぞれ同液晶表示装置におけるパターン発生器によるパターン例を示す図である。
【図7】 パターン発生器によるパターン例を示す図である。
【図8】 本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 (a)は、ブロック選択方向が左から右方向に向かう場合において、影響を受けるデータ線を示したものであり、(b)は、ブロック選択方向が右から左方向に向かう場合において、影響を受けるデータ線を示した図である。
【図11】 実施形態に係る液晶表示装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す断面図である。
【図12】 同液晶表示装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す正面図である。
【図13】 従来の液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図14】 従来の液晶表示装置における液晶表示パネルの電気的構成を示すブロック図である。
【図15】 従来の液晶表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図16】 従来の液晶表示装置の動作を説明するための電圧波形図である。
【符号の説明】
32…画像信号処理回路
34a、34b…パターン発生回路
36、38…セレクタ
100…液晶表示パネル
108…画素電極
112…走査線
114a〜114f…データ線
116…TFT
118…画素電極
120…走査線駆動回路
130…シフトレジスタ
141…サンプリングスイッチ
324…加算器
344…補正テーブル(記憶手段)

Claims (10)

  1. 複数の走査線と、
    複数のデータ線と、
    前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられたスイッチング素子、画素電極及び対向電極を備えた画素と、
    前記走査線を選択して、前記スイッチング素子をオンさせる走査信号を供給する走査線駆動回路と、
    前記走査線が選択された期間に、所定本数の前記データ線からなるブロックを順次選択するとともに、選択したブロックに属するデータ線に、画像信号を供給するデータ線駆動回路と、
    一のブロックに属するデータ線のうち、当該ブロックの次に選択されるブロックに隣接する第1のデータ線と前記走査線との交差に対応する第1の画素を任意の中間輝度とし、前記次に選択されるブロックに属するデータ線のうち、前記第1のデータ線に隣接する第2のデータ線と前記走査線との交差に対応する第2の画素を特定の輝度とし、前記次に選択されるブロックに含まれ、前記第2のデータ線とは異なる第3のデータ線と前記走査線との交差に対応する第3の画素を、前記任意の中間輝度とするパターンの調整用画像信号を供給するパターン発生回路と、
    前記第1の画素に供給される画像信号の輝度を補正するために用いられ、前記調整用画像信号が供給された場合に前記第1の画素の輝度が前記第3の画素の輝度と等しくなるように決定された補正量を記憶する記憶手段と、
    表示用の画像信号が供給された場合に、前記記憶手段に記憶された補正量を読み出し、当該読み出した補正量をもとに前記第2の画素に供給される画像信号の輝度に応じた、前記第1の画素に供給される画像信号の輝度を補正するための補正量を演算する補正量出力部と、
    を具備することを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記パターン発生回路による画像信号と外部から供給される画像信号とのうちのいずれか一方を選択して前記データ線駆動回路に供給するセレクタを、具備することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記パターン発生回路は、前記画素を中間輝度とする画像信号及び前記画素を特定の輝度とする画像信号が供給され、当該中間輝度とする画像信号と特定の輝度とする画像信号のいずれかを選択するセレクタであることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  4. 前記特定の輝度は複数種類設定されており、前記記憶手段には特定の輝度に対応して複数の補正量が記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  5. 前記パターンは、前記中間輝度の画素と前記特定の輝度の画素とを、前記走査線の延在方向および前記データ線の延在方向にわたって1個毎に交互に配列させるものである
    ことを特徴とする請求項1または3に記載の電気光学装置。
  6. 前記パターンは、前記中間輝度の画素と前記特定の輝度の画素とを、前記データ線の延在方向に対し2個以上の周期で交互に配列させるものであることを特徴とする請求項1または3に記載の電気光学装置。
  7. 前記パターンは、前記中間輝度の画素と前記特定の輝度の画素とを前記データ線の延在方向に対して、それぞれ連続させて配列させたものであることを特徴とする請求項1または3に記載の電気光学装置。
  8. 前記パターンは、前記特定の輝度の画素を、前記走査線の延在方向または前記データ線の延在方向にわたって輝度変化するように配列させたものであることを特徴とする請求項1または3に記載の電気光学装置。
  9. 請求項1または3に記載の電気光学装置を表示部に備えることを特徴とする電子機器。
  10. 複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられたスイッチング素子、画素電極及び対向電極を備えた画素と、前記走査線を選択して、前記スイッチング素子をオンさせる走査信号を供給する走査線駆動回路と、前記走査線が選択された期間に、所定本数の前記データ線からなるブロックを順次選択するとともに、選択したブロックに属するデータ線に、画像信号を供給するデータ線駆動回路と、を備えた電気光学装置の調整方法であって、
    一のブロックに属するデータ線のうち、当該ブロックの次に選択されるブロックに隣接する第1のデータ線と前記走査線との交差に対応する第1の画素を任意の中間輝度とし、
    前記次に選択されるブロックに属するデータ線のうち、前記第1のデータ線に隣接する第2のデータ線と前記走査線との交差に対応する第2の画素を特定の輝度とし、
    前記次に選択されるブロックに含まれ、前記第2のデータ線とは異なる第3のデータ線と前記走査線との交差に対応する第3の画素を、前記任意の中間輝度とし、
    前記第1の画素の輝度が前記第3の画素の輝度と等しくなるように、前記第1の画素に供給される画像信号の輝度を補正するための画像信号の補正量を決定する
    ことを特徴とする電気光学装置の調整方法。
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