JP3814920B2 - スポット溶接方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンベアなどで所定の溶接工程位置まで搬送されたワークに対し、溶接ロボットに設けた溶接ガンによりスポット溶接を行うスポット溶接方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、所定の溶接工程位置まで搬送されたワークに対する溶接位置を、位置決め治具を用いることなく正規なものとすることで、汎用化を容易にしてコスト低下を達成することを目的としている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、第1に、溶接工程位置まで搬送されたワークの所定部位を、溶接ロボットに設けた溶接ガンにおける一対の電極チップで加圧挟持してワークの振動を停止させ、前記両電極チップでのワークの加圧挟持動作を解除した後、前記電極チップを再度ワークに接近させて接触させた状態で微弱電流を供給してこの接触時での電極チップの溶接ロボットから見たワーク位置を測定し、この測定したワーク位置と、あらかじめ決められた電極チップの溶接ロボットから見た正規の溶接位置とに基づいて、ワークに対する溶接ロボットから見た電極チップの溶接位置を補正し溶接を行うスポット溶接方法としてある。
【0004】
このようなスポット溶接方法によれば、溶接ガンの一対の電極チップ相互の加圧挟持動作により、搬送によって発生するワークの振動が停止し、これに続くワークに対する溶接作業を、電極チップのワークへの接触によりワーク位置を測定して溶接位置を補正してから行うので、ワークに対する専用の位置決め治具及び、ワーク位置を検出する専用の検出器が不要となってコスト低下が達成される。
【0005】
第2に、一対の電極チップによるワークに対する加圧挟持動作は、一方の電極チップをワークに接触させた後、他方の電極チップをワークに接触させる方法としてある。
【0006】
上記方法によれば、一対の電極チップによる挟持動作がスムーズになされる。
【0007】
第3に、ワーク位置の測定は、ワークの搬送方向位置と、この搬送方向に直交する左右方向位置と、これら各方向を含む平面に直交する上下方向位置とからなる三次元の座標値を算出することにより行う方法としてある。
【0008】
上記方法によれば、ワーク位置の測定は、三次元の座標値を算出することにより精度よくなされる。
【0009】
第4に、三次元の座標値を算出して測定する一対の電極チップを備えた複数の溶接ロボットの測定動作は、同時に行われる方法としてある。
【0010】
上記方法によれば、測定時間が短縮化されたものとなる。
【0011】
第5に、ワークの振動を停止させるための電極チップによる加圧挟持動作を、ワークの複数部位で行う方法としてある。
【0012】
上記方法によれば、ワークの振動停止がより確実になされる。
【0013】
【発明の効果】
第1の発明によれば、溶接ガンの一対の電極チップ相互の加圧挟持動作により、溶接工程位置まで搬送されたワークの振動が停止し、これに続くワークに対する溶接作業を、電極チップのワークへの接触によりワーク位置を測定して溶接位置を補正してから行うようにしたので、ワークに対する専用の位置決め治具及び、ワーク位置を検出する専用の検出器が不要となってコスト低下を達成することができる。
【0014】
第2の発明によれば、一対の電極チップによるワークに対する加圧挟持動作を、一方の電極チップをワークに接触させた後、他方の電極チップをワークに接触させることにより行うようにしたので、加圧挟持動作をスムーズに行うことができる。
【0015】
第3の発明によれば、ワーク位置の測定は、三次元の座標値を算出することにより行うようにしたので、精度よく行うことができる。
【0016】
第4の発明によれば、複数の溶接ロボットの測定動作を同時に行うことで、測定時間の短縮を図ることができる。
【0017】
第5の発明によれば、ワークの振動を停止させるための電極チップによる加圧挟持動作を、ワークの複数部位で行うようにしたので、ワークの振動停止をより確実に行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0019】
図1は、この発明の実施の一形態に係わるスポット溶接方法がなされるワークを及び溶接ロボットの斜視図である。ここにおけるワークWは、自動車のボディサイドアウタであり、そのルーフレール側が上部で、サイドシル側が下部となるよう起立させた状態で、前記サイドシルの下端が、チェーン1を用いた搬送用コンベア2上のスラット3に固定支持されて搬送される。所定の溶接工程位置に搬送されたボディサイドアウタに対し、搬送用コンベア2の側方に配置した複数の溶接ロボット5により、例えばインナ部品が溶接接合される。
【0020】
ここでは、上記した溶接ロボット5を用いて溶接工程位置でのワークWの振動停止及び、ワークWの位置の測定を行う。振動停止の作業には、2台の溶接ロボット5を使用し、位置測定には、その2台を含めて全部で6台の溶接ロボット5を使用するものとする。これらの各溶接ロボット5は、サーボガンタイプの溶接ガン7を備えており、この各溶接ガン7は、一対の電極チップ13,15が相互に接近移動可能に設けられている。
【0021】
図2は、搬送用コンベア2上にセットされたワークWの正面図で、2台の溶接ロボット5によるワークWに対する振動停止位置は、ルーフレール部におけるXで示す2点である。一方ワークWの位置測定は、上記したXで示す2点、ルーフレール部におけるZで示す2点、フロントピラー下部におけるYで示す1点及び、センタピラーにおけるX1の1点の全部で6点である。
【0022】
上記Y点での測定は、ワークWの搬送方向位置に対するもので、X点及びX1点での測定は、搬送方向と直交する左右方向位置に対するもので、Z点での測定は、これら各方向を含む平面に直交する上下方向位置に対するものである。これにより、ワークWに対する三次元の座標位置が測定可能となる。
【0023】
図3は、ワークWの側方に配置された6台の溶接ロボット5と、ワークWに対して振動停止及び位置測定を行うべく溶接ロボット5を制御する制御盤17との接続状態を簡略化して示している。ここでは、R1,R2及びR3に対応する溶接ロボット5が、前記図2におけるX及びX1での測定動作、すなわちワークWの搬送方向位置を測定し、R4に対応する溶接ロボット5が、図2におけるYでの測定動作、すなわち搬送方向と直交する左右方向位置を測定し、さらにR5及びR6に対応する溶接ロボット5が、図2におけるZでの測定動作、すなわち上下方向位置を測定するものとする。つまり、搬送方向、左右方向及び上下方向をすべて合わせて6座標値を算出して位置測定することになる。
【0024】
図4ないし図6は、ワークWが所定の溶接工程位置まで搬送されてきた状態での、前記した振動停止動作及び位置測定動作を含むスポット溶接方法の動作を示すフローチャートである。図4は、振動停止動作に係わるもので、まず、2台の溶接ロボット5の一対の電極チップ13,15を、図7に示すように、ワークWの溶接部位に対して相互に接近移動させる(ステップ401)。このときの接近移動については、ワークWの位置ずれの方向が実験によりある程度わかるので、それを考慮した方向から行うものとする。
【0025】
上記した電極チップ13,15の接近移動は、そのいずれかがワークWに接触するまで行う(ステップ403)。電極チップ13,15のいずれか一方がワークWに接触すると、この接触した方を基準として他方を接近させて、2〜3kgfの荷重でワークWを加圧して挟持固定し(ステップ405)、これにより、搬送動作により発生しているワークWの振動が停止する。
【0026】
図5は、ワークWの位置測定動作に係わるもので、振動停止させた2台の溶接ロボット5の電極チップ13,15を、ワークWから離反させるべく同時に解放させ(ステップ501)、この解放させた2台の溶接ロボット5を含めた6台すべての溶接ロボット5における一対の電極チップ13,15を、前記図2に示した各位置X,X1,Y,Zにて相互に微小速度で接近させる(ステップ503)。この接近移動により、一方の電極チップ13(15)がワークWに接触した時点で、微弱電流を接触した電極チップ13(15)からワークWに流して導通させ、これにより、6台の全溶接ロボット5によるワーク位置、つまり三次元の座標値を6カ所にて取得することになる(ステップ505)。
【0027】
図6は、ワーク位置測定後の溶接位置の補正動作に係わるもので、図5のステップ505にて取得した6つの座標値のデータと、あらかじめ設定されている正規の溶接位置データとを比較して演算する(ステップ601)。次に、この各演算したデータを用いて三次元の座標変換マトリックスを作成した後(ステップ603)、作成したマトリックスの係数を各溶接ロボット5にそれぞれ転送する(ステップ605)。これにより、各溶接ロボット5は正規の溶接位置での溶接が可能となる。なお、上記したような6座標値を取得して三次元の座標変換マトリックスを作成する方法は、本発明の出願人により、特開昭62−182610号公報としてすでに提案されたものである。
【0028】
このように、溶接ガン7における一対の電極チップ13,15相互の加圧挟持動作により、溶接工程位置まで搬送されてくるワークWの振動が停止し、これに続く溶接作業を、両電極チップ13,15のワークWへの接触によりワーク位置を測定して溶接位置を補正してから行うようにしたので、ワークWに対する専用の位置決め治具及び、ワーク位置を検出する専用の検出器が不要となってコスト低下が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態に係わるスポット溶接方法がなされるワーク及び溶接ロボットの斜視図である。
【図2】搬送用コンベア上にセットされたワークの正面図である。
【図3】図1の溶接位置補正方法に使用される装置の簡略化した全体構成図である。
【図4】図1のスポット溶接方法におけるワークの振動を停止させる動作を示すフローチャートである。
【図5】図1のスポット溶接方法におけるワークの位置を測定する動作を示すフローチャートである。
【図6】図1のスポット溶接方法における溶接位置の補正動作を示すフローチャートである。
【図7】ワークに対する溶接ガンの接近動作を示す説明図である。
【符号の説明】
W ワーク
5 ロボット
7 溶接ガン
13,15 電極チップ

Claims (5)

  1. 溶接工程位置まで搬送されたワークの所定部位を、溶接ロボットに設けた溶接ガンにおける一対の電極チップで加圧挟持してワークの振動を停止させ、前記両電極チップでのワークの加圧挟持動作を解除した後、前記電極チップを再度ワークに接近させて接触させた状態で微弱電流を供給してこの接触時での電極チップの溶接ロボットから見たワーク位置を測定し、この測定したワーク位置と、あらかじめ決められた電極チップの溶接ロボットから見た正規の溶接位置とに基づいて、ワークに対する溶接ロボットから見た電極チップの溶接位置を補正し溶接を行うことを特徴とするスポット溶接方法。
  2. 一対の電極チップによるワークに対する加圧挟持動作は、一方の電極チップをワークに接触させた後、他方の電極チップをワークに接触させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のスポット溶接方法。
  3. ワーク位置の測定は、ワークの搬送方向位置と、この搬送方向に直交する左右方向位置と、これら各方向を含む平面に直交する上下方向位置とからなる三次元の座標値を算出することにより行うことを特徴とする請求項1記載のスポット溶接方法。
  4. 三次元の座標値を算出して測定する一対の電極チップを備えた複数の溶接ロボットの測定動作は、同時に行われることを特徴とする請求項3記載のスポット溶接方法。
  5. ワークの振動を停止させるための電極チップによる加圧挟持動作を、ワークの複数部位で行うことを特徴とする請求項1記載のスポット溶接方法。
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