JP3814857B2 - 光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類は、農薬、医薬などの基幹中間体として重要な化合物であり、その製造方法としては、不斉源としての銅錯体の存在下に、プロキラルなオレフィン類とジアゾ酢酸エステル類とを反応させる方法が知られている。
例えば、2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエンとジアゾ酢酸メンチルを反応させて光学活性なシクロプロパンカルボン酸メンチルを製造するにあたり、不斉源として1価の銅化合物であるCuClO4(CH3CN)4にビスオキサゾリン系配位子を作用させて得られる銅錯体を用いる方法(Tetrahedron Lett.,32,7373(1991).) が知られている。又、2価の銅化合物であるCuCl2 にビスオキサゾリン系配位子を作用させて得られる銅錯体に、更にフェニルヒドラジンを作用させて得られる銅錯体を用いる方法(Tetrahedron Lett.,31,6005(1991).) 等も知られている。ここで、2価の銅錯体にフェニルヒドラジンを作用させるのは、2価の銅錯体を1価の銅錯体に還元するためであることが報告されている。(特開昭59-225194 号) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法で得られる光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類の収率は、原料のジアゾ酢酸エステルに対して60〜80%程度であり、充分満足し得るものではなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題を解決すべく不斉源としての銅錯体について鋭意検討を重ねた結果、トリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)にビスオキサゾリン系配位子を作用させて得られる銅錯体を、フェニルヒドラジンを作用させることなくそのまま使用することにより、高収率で目的とする光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類を製造し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明は、トリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)に、一般式(1)
(式中、R1 、R2 は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アラルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表すが、R1 及びR2 が同時に水素原子であることはない。R3 は、水素原子又はアルキル基を表す。)
で示されるビスオキサゾリン系配位子を作用させ、フェニルヒドラジンを作用させることなく得られる銅錯体の存在下に、一般式(2)
(式中、A、B、Y、Zは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキルもしくはメトキシカルボニルで置換されていてもよいアルケニル基、アラルキル基又はアリール基を表すが、AとYが同じ基を表す時、BとZは互いに異なる基を表し、BとZが同じ基を表す時、AとYは互いに異なる基を表す。)
で示されるプロキラルなオレフィン類と一般式(3)
N2CHCOOR4 (3)
(式中、R4はアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。)
で示されるジアゾ酢酸エステル類とを反応させることを特徴とする一般式(4)
(式中、A、B、Y、Z及びR4は前記と同じ基を表す。)
で示される光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類の工業的に優れた製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、プロキラルなオレフィン類(2)とジアゾ酢酸エステル類(3)とを反応させるに当たり、トリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)に、ビスオキサゾリン系配位子(1)を作用させて得られる銅錯体を、フェニルヒドラジンを作用させることなくそのまま使用することを特徴とする。
【0007】
ビスオキサゾリン系配位子は、前記一般式(1)で表されるものであり、式中、R1 、R2 は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アラルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表すが、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、それらは直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t- ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、メンチル等を挙げることができる。アルコキシル基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、t- ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキソキシ等を挙げることができる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル、ジフェニルメチル、フェニルエチル等を挙げることができる。置換されていてもよいフェニル基としては、例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、アルキルアルコキシフェニル等を挙げることができる。かかるアルキルフェニル、アルコキシフェニル及びアルキルアルコキシフェニルとは、例えば、o-位、m-位、p-位が前記のアルキル基及び/又はアルコキシル基1〜3個で置換されたフェニル等が挙げられる。ただし、R1 及びR2 が同時に水素原子であることはない。R1 及びR2 は、好ましくはフェニルである。
R3 は水素原子又はアルキル基を表すが、アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル等の低級アルキル基を挙げることができる。好ましくは水素原子である。
【0008】
光学活性なビスオキサゾリン系配位子(1)の具体的化合物としては、2,2'- メチレンビス[4- エチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4-t- ブチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4- エチル-5-t- ブチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4,5- ジ-t- ブチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4- フェニル-2- オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4-(m-メチルフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4-(p-メトキシフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4- メチル-5-t- ブチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4,5- ジフェニル-2- オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4,5- ビス(m- メチルフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4,5- ビス(m- メトキシフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4,5- ビス(3,5- ジメチルフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- メチレンビス[4,5- ビス(3,5- ジメトキシフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4- エチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4-t- ブチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4- エチル-5-t- ブチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4,5- ジ-t- ブチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4- フェニル-2- オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4-(m-メチルフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4-(p-メトキシフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4- メチル-5-t- ブチル-2- オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4,5- ジフェニル-2- オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4,5- ビス(m- メチルフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4,5- ビス(m- メトキシフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4,5- ビス(3,5- ジメチルフェニル)-2-オキサゾリン] 、2,2'- イソプロピリデンビス[4,5- ビス(3,5- ジメトキシフェニル)-2-オキサゾリン] 等の光学活性体を挙げることができる。好ましくは、2,2'- メチレンビス[4,5- ジフェニル-2- オキサゾリン] の光学活性体である。
【0009】
これらのビスオキサゾリン系配位子(1)は、公知の方法により得ることができ、例えば、塩化メチレン溶媒下、2-アミノ-1,2- ジフェニルエタノールとマロノビスイミデートを反応させ、次いでトリエチルアミンを作用させて中和することにより、2,2'- メチレンビス[4,5- ジフェニル-2- オキサゾリン] を得ることができる(米国特許第 5298623号)。
【0010】
トリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)に、ビスオキサゾリン系配位子(1)を作用させて銅錯体を得るにあたっては、通常溶媒が使用されるが、かかる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙げることができ、又、原料のプロキラルなオレフィン類(2)を溶媒として用いることもでき、その際、前記のハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等をも同時に用いることができる。溶媒の使用量としては、トリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)に対し、通常、10〜500 重量倍である。
ビスオキサゾリン系配位子(1)の使用量は、トリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)に対し、通常、0.8 〜5モル倍であり、好ましくは、1〜2モル倍である。
さらにトリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)にビスオキサゾリン系配位子(1)を作用させるにあったては、通常、実質的に水の非存在下、アルゴン、窒素等不活性ガスの雰囲気下で実施される。該作用温度は特に限定されないが、通常、0〜50℃で実施される。
【0011】
かくして銅錯体が得られるが、該銅錯体は単離してもよいし、又、単離することなく、プロキラルなオレフィン類(2)とジアゾ酢酸エステル類(3)との反応に、そのまま使用される。該銅錯体の使用量は、ジアゾ酢酸エステル類(3)に対し、使用したトリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)換算量で0.0001〜0.01等量であり、好ましくは、0.0005〜0.01等量である。
【0012】
本発明において用いられるジアゾ酢酸エステル類は、一般式(3)で表されるものであるが、式中、R4はアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表し、具体的には、R1 、R2 で示したものと同様のアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基等を挙げることができる。該ジアゾ酢酸エステル類(3)は、公知の方法で得ることができ、例えば、対応するアミノ酢酸エステル類をジアゾ化反応に付し、次いでクロロホルム等のハロゲン化炭化水素で抽出することにより得ることができる。必要に応じて、溶媒留去し蒸留して単離することもできる。
【0013】
ジアゾ酢酸エステル類(3)の具体的化合物としては、ジアゾ酢酸メチル、ジアゾ酢酸エチル、ジアゾ酢酸n-プロピル、ジアゾ酢酸i-プロピル、ジアゾ酢酸n-ブチル、ジアゾ酢酸sec-ブチル、ジアゾ酢酸t-ブチル、ジアゾ酢酸n-ペンチル、ジアゾ酢酸n-ヘキシル、ジアゾ酢酸シクロヘキシル、ジアゾ酢酸メンチル、ジアゾ酢酸フェニル、ジアゾ酢酸m-メチルフェニル、ジアゾ酢酸m-メトキシフェニル、ジアゾ酢酸3,5-ジメチルフェニル、ジアゾ酢酸3,5-ジメトキシフェニル、ジアゾ酢酸4-メチル-2,6- ジ-t- ブチルフェニル、等を挙げることができる。
【0014】
又、もう一方の原料であるプロキラルなオレフィン類は、一般式(2)で表されるものであるが、式中、A、B、Y、Zは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキルもしくはメトキシカルボニルで置換されていてもよいアルケニル基、アラルキル基又はアリール基を表す。ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基としては、前記R1 、R2 として挙げたアルキル基、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリブロモエチル、2-メチル-2- クロロプロピル、2-メチル-2- ブロモプロピル等を挙げることができる。ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキルもしくはメトキシカルボニルで置換されていてもよいアルケニル基としては、エテニル、1-メチルエテニル、1-プロペニル、2-メチル-1- プロペニル、2,2-ジクロロエテニル、2,2-ジブロモエテニル、2,2-ジフルオロエテニル、2-フルオロ-2- クロロエテニル、2-フルオロ-2- ブロモエテニル、2-クロロ-1- プロペニル、2-フルオロ-1- プロペニル、2-クロロ-2- トリフルオロメチルエテニル、2-メトキシカルボニル-1- プロペニル、3-クロロ-2- メチル-1- プロペニル等を挙げることができる。アラルキル基としては、前記R1 、R2 として挙げたアラルキル基と同様の基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル等を挙げることができる。ただし、AとYが同じ基を表す時、BとZは互いに異なる基を表し、BとZが同じ基を表す時、AとYは互いに異なる基を表す。好ましくは、Aは水素原子、Bは2,2,2-トリクロロエチル、2-メチル-1- プロペニル及び2,2-ジクロロエテニル、Yはメチル、Zはメチルである。
【0015】
プロキラルなオレフィン類(2)の具体的化合物としては、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、スチレン、4-クロロ-1- ブテン、イソブチレン、1,1-ジフェニルエチレン、α- メチルスチレン、trans-4-オクテン、trans-β- メチルスチレン、cis-β- メチルスチレン、trans-スチルベン、trans-2-ペンテン、cis-2-ペンテン、trans-2-ヘプテン、cis-2-ヘプテン、2-メチル-2- ブテン、2-メチル-1- フェニル-1- プロペン、2,5-ジメチル-2,4- ヘキサジエン、2-クロロ-5- メチル-2,4- ヘキサジエン、2-フルオロ-5- メチル-2,4- ヘキサジエン、1,1,1-トリフルオロ-5- メチル-2,4- ヘキサジエン、2-メトキシカルボニル-5- メチル-2,4- ヘキサジエン、1,1-ジクロロ-4- メチル-1,3- ペンタジエン、1,1-ジブロモ-4- メチル-1,3- ペンタジエン、1,1-ジフルオロ-4- メチル-1,3- ペンタジエン、1-クロロ-1- フルオロ-4- メチル-1,3- ペンタジエン、1-フルオロ-1- ブロモ-4- メチル-1,3- ペンタジエン、1,1,1-トリクロロ-4- メチル-3- ペンテン、1,1,1-トリブロモ-4- メチル-3- ペンテン、2,3-ジメチル-2- ペンテン、2-メチル-3- フェニル-2- ブテン、2-ブロモ-2,5- ジメチル-4- ヘキセン、2-クロロ-2,5- ジメチル-4- ヘキセン、2,5-ジメチル-6- クロロ-2,4- ヘキサジエン等を挙げることができる。好ましくは、2,5-ジメチル-2,4- ヘキサジエン、1,1-ジクロロ-4- メチル-1,3- ペンタジエン、1,1,1-トリクロロ-4- メチル-3- ペンテン、イソブチレンである。
【0016】
プロキラルなオレフィン類(2)の使用量は、ジアゾ酢酸エステル類(3)に対し、通常、2 モル倍以上であり、好ましくは、5 〜50モル倍である。
【0017】
本発明は、前記の銅錯体の存在下にプロキラルなオレフィン類(2)とジアゾ酢酸エステル類(3)とを反応させることを特徴とするものであるが、その具体的な方法としては、例えば、前記のようにして得られた銅錯体とプロキラルなオレフィン類(2)の混合物に、溶媒に溶解させたジアゾ酢酸エステル類(3)を加える方法をとることができる。ここで溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、プロキラルなオレフィン類(2)及びこれらの混合物等を挙げることができる。
溶媒の使用量としては、ジアゾ酢酸エステル類(3)に対し、通常2 〜30重量倍、好ましくは5 〜20重量倍である。
【0018】
プロキラルなオレフィン類(2)とジアゾ酢酸エステル類(3)とを反応させるにあったては、通常、実質的に水の非存在下、アルゴン、窒素等不活性ガスの雰囲気下で実施される。該反応温度は、特に限定されず、溶媒を用いた場合には、該溶媒の沸点以下で実施することができるが、通常、0 〜100 ℃で、好ましくは5 〜50℃で実施される。
【0019】
かかる反応で生成した光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類(4)は、必要に応じ、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法により単離することができる。
【0020】
本発明で得られる光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類(4)の具体的化合物としては、例えば、2,2-ジメチル-3-(1-プロペニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(3-メチル-2- ブテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2,2-ジクロロ-1- エテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2,2,2-トリクロロエチル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2,2-ジブロモ-1- エテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-フェニル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(trans-4-オクテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(trans-2-フェニル-1- エテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(cis-2-ペンテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(cis-2-フェニル-1- エテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(1,1-ジクロロ-4- メチル-1,3- ペンタジエニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2,3-ジメチル-2- ペンテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-3- フェニル-2- ブテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2,2-ジフルオロ-1- エテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-フルオロ-2- クロロ-1- エテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-フルオロ-2- ブロモ-1- エテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-フルオロ-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-クロロ-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-クロロ-2,2,2- トリフルオロメチルエテニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-メトキシカルボニル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-クロロ-2- メチル) プロピルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2-ジメチル-3-(2-ブロモ-2- メチル) プロピルシクロプロパンカルボン酸エステル等の光学活性体を挙げることができる。
ここで光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類(4)のエステル残基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、t-ぶちる、シクロヘキシル、メンチル、4-メチル-2,6- ジ-t- ブチルフェニル等を挙げることができる。
【0021】
かくして得られた光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類(4)は、公知の方法により脱エステル化反応に付して、置換基R4が水素原子に対応する光学活性なシクロプロパンカルボン酸類に変換することができる。その際、本発明の反応に従って製造した光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類(4)は、単離することなく脱エステル化反応に付すこともできる。
【0022】
前記の脱エステル化の方法は特に限定されず、公知の方法に準拠して実施されるが、例えば、アルカリ金属の水酸化物等で加水分解する方法、酸触媒存在下で加熱により熱分解する方法等により実施することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、プロキラルなオレフィン類(2)とジアゾ酢酸エステル類(3) を反応させるに当たり、トリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)にビスオキサゾリン系配位子(1)を作用させて得られる銅錯体を、フェニルヒドラジンを作用させることなくそのまま使用することにより、高収率で目的とする光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類(4)を製造し得るので、その工業的製造方法として有利である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
窒素置換したシュレンク管に、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)18.05mg 、2,2'- メチレンビス[(4S,5R)-4,5- ジフェニル-2- オキサゾリン]25mg 、1,2-ジクロロエタン7ml を加えた後、室温下で10分間攪拌した。次いで、2,5-ジメチル-2,4- ヘキサジエン6.1gを加えた後、25℃下でジアゾ酢酸エチル1.1gの1,2-ジクロロエタン溶液8ml を2 時間かけて滴下し、その後25℃下で1 時間攪拌した。この反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸エチル1.8g(原料のジアゾ酢酸エチル基準にして、収率93.2%)が生成したことがわかった。トランス体/シス体の異性体比は、71/29 であった。次いで蒸留することにより、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸エチル1.7gを得た。
このものの一部を常法により脱エステル化した後、光学活性なメンチルエステル体に誘導し、ガスクロマトグラフィーで分析して光学純度を求めたところ、トランス体67%e.e. 、シス体35%e.e. であった。
【0026】
実施例2
実施例1において、ジアゾ酢酸エチル1.1gの1,2-ジクロロエタン溶液8ml をジアゾ酢酸t-ブチル1.4gの 1,2- ジクロロエタン溶液8ml に代える以外は実施例1に準拠して実施したところ、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸t-ブチル2.0g(原料のジアゾ酢酸t-ブチル基準にして、収率90%)を得た。トランス体/シス体の異性体比は、81/19 であった。蒸留することにより、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸t-ブチル1.9gを得た。光学純度は、トランス体84%e.e. 、シス体62%e.e. であった。
【0027】
比較例1
実施例2において、2,5-ジメチル-2,4- ヘキサジエンを加える前に、フェニルヒドラジン5.4mg を加える以外は実施例2に準拠して実施したところ、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸t-ブチル1.6g(原料のジアゾ酢酸t-ブチル基準にして、収率70%)を得た。トランス体/シス体の異性体比は、82/18 であった。蒸留することにより、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸t-ブチル1.5gを得た。光学純度は、トランス体80%e.e. 、シス体61%e.e. であった。
【0028】
実施例3
実施例1において、ジアゾ酢酸エチル1.1gの1,2-ジクロロエタン溶液8ml をジアゾ酢酸l-メンチル2.2gの1,2-ジクロロエタン溶液8ml に代える以外は実施例1に準拠して実施したところ、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸l-メンチル2.9g(原料のジアゾ酢酸l-メンチル基準にして、収率95.5%)を得た。トランス体/シス体の異性体比は、91/9であった。蒸留することにより、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1- プロペニル) シクロプロパンカルボン酸l-メンチル2.7gを得た。光学純度は、トランス体93%e.e. 、シス体78%e.e. であった。
Claims (3)
- トリフルオロメタンスルホン酸銅 (II)に、一般式(1)
(式中、R1 、R2 は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アラルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表すが、R1 及びR2 が同時に水素原子であることはない。R3 は、水素原子又はアルキル基を表す。)
で示される光学活性なビスオキサゾリン系配位子を作用させ、フェニルヒドラジンを作用させることなく得られる銅錯体の存在下に、一般式(2)
(式中、A、B、Y、Zは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキルもしくはメトキシカルボニルで置換されていてもよいアルケニル基、アラルキル基又はアリール基を表すが、AとYが同じ基を表す時、BとZは互いに異なる基を表し、BとZが同じ基を表す時、AとYは互いに異なる基を表す。)
で示されるプロキラルなオレフィン類と一般式(3)
N2CHCOOR4 (3)
(式中、R4はアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。)
で示されるジアゾ酢酸エステル類とを反応させることを特徴とする一般式(4)
(式中、A、B、Y、Z及びR4は前記と同じ基を表す。)
で示される光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステル類の製造方法。 - 一般式(1)で示されるビスオキサゾリン系配位子が、2,2'- メチレンビス[4,5- ジフェニル-2- オキサゾリン] の光学活性体である請求項1に記載の製造方法。
- 一般式(2)で示されるプロキラルなオレフィン類が、2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエン、1,1-ジクロロ-4- メチル-1,3- ペンタジエン又は1,1,1-トリクロロ-4- メチル-3- ペンテンである請求項1または2に記載の製造方法。
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