JP3814531B2 - 弁の軸封装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グランドパッキン部のカセット化、即ち、グランド押え板によって押圧されたグランドパッキンをグランドパッキンボックス内に収納してパッキン部のカセット化することによって、保守作業時にパッキングの交換作業を筒易にし、保守作業時間の短縮を図った弁の軸封装置において、特に、弁を配管から取り外すことなく交換できるようにした弁の軸封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な弁(バルブ)の場合、その構造上の特徴として本体の弁棒穴貫通部にグランドパッキンを収納するスペースを設けて、弁棒挿入後にグランドパッキンを収納位置に弁棒と直接接触するように配し、さらにグランド押え板でグランドパッキンに圧力を掛けてパッキンの圧縮を得ることによって、グランドの漏洩を防止する機構を持つようになっている。
【0003】
また、グランドパッキンは一般的にグラファイト系の柔らかい材質を選定する場合が多く、弁軸の回転による摩耗及び摩耗進行による漏れの発生が多い。
【0004】
摩耗進行による漏れ発生の場合には、グランド押え板より入力されたパッキンへの初期圧縮は低下している状況であり、点検者はグランド押え板のボルト・ナットを増し締めを行い、グランドパッキンの圧縮を保持させる。増し締めにより漏れを防止出来ない場合には、パッキンを交換する。
【0005】
従来、カセット方式を用いた例として実公昭62-22709号がある。このものは、グランドパッキング交換作業を簡易化するために、内端側のシール部の受圧径を外端側のパッキング収容部内径以下にしている薄肉径違い円筒状のグランドパッキングボックスを軸封部に備え、これと組合される2つ割りのグランドプッシュが嵌合するグランド押えの内径が上記グランドパッキングボックス外径より大径であると共に、パッキングをグランドパッキングホックス内に装着し、かつ、Oリングをグランドパッキングボックスの外周に設けていることによってカセット化したものを弁箱体と弁棒との間に装着可能に構成している軸封装置で、保守作業を筒易にした構造ではあるが、弁軸を取り外すことによってカセット交換することを目的としている。即ち、その説明によると、分解作業時に例えば、パッキン取替えの際、締付けナットを緩めグランド押えを上方に移動し、それに嵌合された2つ割れグランドブッシュを取り除き、次に上方のステムブッシュを緩め、ハンドルを開側に回わしてステム即ち、弁軸、パッキングボックス、弁体を引き上げる。次いでハンドルを外せば、弁軸、グランドパッキングボックス及び弁体を手動で引き出し、同時に外すことができるようになっている。つまり、弁軸を取り外すことによってカセット交換することを目的としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来例のものは、弁軸を取り外すことによってカセット交換するもので、本発明のように、弁を配管から取り外すことなく交換作業ができるものとは構造を異にしている。
【0007】
また、一般に弁の軸封装置の問題として、
(i)配管中の使用流体が高圧/高温の場合、部品個々の熱膨張の影響及び高圧下でのパッキンのラピリンス効果の低減によって、バルブ使用初期段階でグランド押え板のボルト・ナットを増し締めする機会が多い。
【0008】
(ii)グランドの漏洩が発見された場合、点検者はグランド押え板のボルト・ナットを増し締めし、パッキンの圧縮を保持するが、パッキンの締め付けを定量的に評価することができない。
また、弁軸の回転による摩耗や劣化によるパッキンの圧縮量の低下は、漏れ検知で確認されるという状況であり、安全面で危惧される点が多い。
特に、配管中の使用流体が毒性の高い場合には、人体への影響を考える必要がある。
【0009】
(iii)グランドパッキンは本体の弁棒貫通穴部に直接配しているため、交換時にはパッキンを1つずつ取り外す必要がある。またバルブ使用時、グランドパッキンの一部は常に流体と接触した状態であり、劣化や摺動摩耗によって、本体部や弁棒とパッキンが固着している場合がある。
通常、取り外し作業はパッキンメーカーが推奨する図3(a)のようなパッキンフックや図3(b)のようなタンパー等の治具を用いても、パッキン除去、固着面の清掃を含めて、作業には長時間を要する。
【0010】
という問題点があった。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決し、グランドパッキン部のカセット方式により、弁を配管から取り外すことなく交換作業ができ、それによって時間的短縮を図ることができる軸封装置を得ることを技術的課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の採った手段は、グランド押え板によって押圧されたグランドパッキンをグランドパッキンボックス内に収納してパッキン部のカセット化し、グランドパッキン交換作業を容易化した弁の軸封装置において、弁棒が挿通するグランド押え板の上端面近傍の弁棒周面に、複数條のスリット加工による溝を設け、パッキンの摩耗量及び交換時期が容易に確認できるようにしたことを特徴としている。
【0013】
また、上記のものにおいて、グランド押え板の弁棒を取り巻く円筒部の下端部とグランドパッキンの上端部との間にスプリングを介在させたことを特徴としている。
【0014】
また、上記のものにおいて、内部にグランドパッキンを収納した外側のグランドパッキンボックスの弁本体との嵌合面を、下部より上部を大径にした勾配を設けたことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に記載した実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す軸封装置を備えた弁(偏心型バタフライ弁)の全閉状態にある全体図を示す断面図であり、図2は、弁の軸封装置の拡大断面図である。
【0016】
図1において、弁本体1部の図示しないアクチュエーター(例:ギヤBOX)及びプレート2を取り外し、弁棒3が突出た状態として、まず、グランドボルト・ナット4及びグランド押え板5を取り外し、次にスパナ等をグランドパッキンボックス6と本体1の間に挿入し、てこの要領でボックス6全体を引き出すようになっている。図中7は偏心型弁体である。
【0017】
次に、図2において、軸封装置の構造を組立て時の手順に従って説明する。本体1に弁棒3が組込まれた状態で、底面に設けられたメタルOリング8、パッキン類9(編組パッキン9a、グラファイトパッキン9b等)、及び2枚の円板状のシム板10の間にスプリング11を、順次、下部から上部へ向って仮組したグランドパッキンボックス6を、本体1の弁棒穴貫通部のパッキンボックス部に組み込む。この際、該グランドパッキンボックス6の外周面には、下部が小径に上部が大径になるように勾配(約5°)が設けられているので、カセットの出し入れ作業が容易である。また、上記底部のメタルOリング8は、グランドパッキンボックス6外周部からの漏洩を防止している。
【0018】
また、上記シム板10は、パッキン類への損傷防止ならびにスプリング11の力を一定にグランドパッキン9に伝達させるために使用される。また、グランドパッキンボックス6内にグランドパッキン9を複数段組み込むことにより、これらのパッキンのそれぞれに流体が直接触媒する量が少なく、流体温度による劣化を低減させる。
【0019】
最後にグランドボルト・ナット4を用いて、弁棒3を取り巻く円筒部と直角のフランジ部とからなるグランド押え板5を締め付ける。この時点で、ボルト・ナット4に入力したトルクによるスプリング11が圧縮されてグランドパッキン9に一定量の力を掛ける。(一例として、弁棒径35mmの場合、パッキン締付面圧400kgf/cm2をグランドナットより入力することが好ましい。)同時にグランド押え板5とグランドパッキンボックス6の間に隙間を設けておくことによって、グランド押え板5のボルトナット4に増し締めが実施出来るスペースを残すことが可能になる。
【0020】
さらに、弁棒3とグランド押え板5との接触範囲(約10mm)に1mm間隔のスリット加工による溝12を設けることにより、グランド押え板5の初期設定位置が明確となり、グランドボルト・ナット4の増し締めを行った場合の圧縮量が定量的に確認が可能となり、スリット12の減少数量に応じて、交換時期を伝えることが可能となる。
【0021】
なお、上記した実施例において、偏心型バタフライ弁の構造について説明したが、その他の弁についても同様に適用することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、グランド押え板によって押圧されたグランドパッキンをグランドパッキンボックス内に収納してパッキン部のカセット化し、グランドパッキン交換作業を容易化した弁の軸封装置において、弁棒が挿通するグランド押え板の上端面近傍の弁棒周面に、複数條のスリット加工による溝を設け、パッキンの摩耗量及び交換時期が容易に確認できるようにしたことにより、次のような効果を奏することができる。
【0023】
(i)弁棒の挿通するグランド押え板の上端面近傍の弁棒周面に、複数條のスリット加工による溝を設けたことにより、グランドボルト・ナットを増し締めした場合のパッキンの摩耗量が明確となり、スリット減少数に応じてパッキン交換時期を定量的に判定でき、且つ安全性にも優れている。
【0024】
(ii)また、軸封装置を上記したカセット方式としているので、流れ方向を限定し、バルブを全閉にして漏れが無い条件下であれば、配管内に圧力が掛かっている場合でもパッキンの交換が可能となる。
【0025】
(iii)また再組立時においても、最初の組立て手順(要領)に従って組立を実施すれば、容易にグランドパッキンを組み入れることができる。
【0027】
また、内部にグランドパッキンを収納した外側のグランドパッキンボックスの弁本体との嵌合面を、下部より上部を大径にした勾配を設けたことにより、グランドパッキン交換時には、グランドパッキンボックスと本体の間にスパナのようなものを挟みこみ、てこの要領でボックスを引き出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す軸封装置を備えた弁の全体図を示す断面図である。
【図2】図1の弁の軸封装置の拡大断面図である。
【図3】(a)(b)は従来からパッキンの取り外し作業に用いられている治具の使用要領を示す説明用図面である。
【符号の説明】
1 本体
2 プレート
3 弁棒
4 グランドボルト・ナット
5 グランド押え板
6 グランドパッキンボックス
7 弁体
8 メタルOリング
9 パッキン
9a 編組パッキン
9b グラファイトパッキン
10 シム板
11 スプリング
12 溝
Claims (3)
- グランド押え板によって押圧されたグランドパッキンをグランドパッキンボックス内に収納してパッキン部のカセット化し、グランドパッキン交換作業を容易化した弁の軸封装置において、弁棒が挿通するグランド押え板の上端面近傍の弁棒周面に、複数條のスリット加工による溝を設け、パッキンの摩耗量及び交換時期が容易に確認できるようにしたことを特徴とする弁の軸封装置。
- 上記グランド押え板の弁棒を取り巻く円筒部の下端部とグランドパッキンの上端部との間にスプリングを介在させ、グランド押え板の押圧作業を低減したことを特徴とする請求項1記載の弁の軸封装置。
- 内部にグランドパッキンを収納したグランドパッキンボックスの弁本体との嵌合面を、下部より上部を大径にした勾配を設け、グランドパッキンボックスの交換を容易にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の弁の軸封装置。
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