JP3814153B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ装置などの電力変換装置に係り、特に、シャント抵抗による電流検出器を備えたパルス幅変調制御方式の電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータ装置は、近年、誘導電動機など交流電動機の運転に広く用いられ、これにより可変速運転による利点が充分に享受できるようになっているが、このとき、その制御に負荷電流の検出を要する場合がある。
そして、この負荷電流の検出には、ホール素子型電流センサや、シャント抵抗型電流検出回路が従来から採用されている。
【0003】
ここで、ホール素子型電流センサとは、環状の磁性体の一部にホール素子を設け、この磁性体に負荷電流が流れる電線を巻付けたり貫通させたりすることにより、負荷電流が作り出す磁束をホール素子で電圧に変換する電流センサのことであり、この場合、検出対象となる電路から電気的に隔離された検出信号が得られるというメリットがある。
【0004】
同じく、ここでシャント抵抗型電流検出回路とは、要するに、負荷電流が流れる電路に直列に挿入した抵抗器を用い、その両端子間に、負荷電流により現われる電圧降下を取り出し、検出信号とする回路のことで、従って、かなり低コストで済むので、従来からかなり広く用いられている。
【0005】
ここで、図5は、従来技術の一例として、PWM(パルス・ワイド・モジュレーション:パルス幅変調)制御方式のインバータ装置を対象として、これにホール素子型電流センサと、シャント抵抗型電流検出回路の双方を適用した場合について示したもので、ここで、ホール素子型電流センサと、シャント抵抗型電流検出回路の双方が示されているのは説明のためで、実際には何れか一方を設ければよいことは言うまでもない。
【0006】
この図5は、一般的なPWM方式のインバータ装置を対象としたもので、ダイオード整流器からなるコンバータ部(順変換部)2と、このコンバータ部2から出力される直流電力が入力されるPWM制御方式のインバータ部(逆変換部)3、それにコンバータ部2とインバータ部3の間の直流部に接続された平滑用のコンデンサ(キャパシタ)5で構成された主回路を備えている。
【0007】
そして、コンバータ部2に、電力源となる商用電源1から交流電力が入力されると、コンデンサ5で平滑化された直流電力がインバータ部3に供給され、ここで、インバータ部3の半導体スイッチング素子がPWM制御されることにより、直流電力が所定の電圧と所定の周波数の交流電力に変換され、この結果、誘導電動機などの負荷4に可変電圧可変周波数の電力が供給されることになる。
【0008】
このとき、インバータ部3にある半導体スイッチング素子のPWM信号によるオン(導通)、オフ(遮断)制御は、図示のように、タイミング回路とドライバ回路を介して、計算機(コンピュータ)により実行されるが、このとき、計算機による制御には、負荷5に流れる電流の値、つまり負荷電流値が必要になる。
【0009】
ここで、この検出には、上記したように、ホール素子型電流センサを用いる方法と、シャント抵抗型電流検出回路を用いる方法がある。
そして、まず、ホール素子型電流センサを用いたときは、図示のように、この電流センサをインバータ部3の負荷4の間に直列に接続し、これによる検出結果をA/D変換して計算機に入力する。
【0010】
一方、シャント抵抗型電流検出回路を用いたときは、図示のように、シャント抵抗をコンバータ部2とインバータ部3の間に直列に接続する。そして、このシャント抵抗に負荷電流が流れることにより現われる電圧降下を、第1のローパスフィルタと増幅器、それに第2のローパスフィルタを介して、一旦、S&H回路(サンプルホールド回路)に取り込む。
【0011】
ここで、このS&H回路は、図示のように、タイミング回路からS&H制御信号が入力されていて、シャント抵抗の両端の電圧を、PWM制御に同期してサンプルホールドして、この後、このS&H回路の出力をA/D変換して計算機に入力するようになっている。
なお、このようなシャント抵抗を用いたインバータ装置については、例えば、特開平8−19263号公報の開示を挙げることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、PWM制御に伴う高周波ノイズに充分な配慮がされているとは言えず、負荷電流検出精度の向上とコスト抑制に問題があった。
すなわち、PWM制御方式の場合、電流が断続されるため、電力線や負荷系統に存在する浮遊キャパシタンスや浮遊インダクタンスにより、PWM制御に同期して、断続的に高周波ノイズが線路に流れる。
【0013】
このとき、まず、ホール素子型電流センサの場合、そこに用いられている磁性体に渦電流が発生し、発熱して性能が低下してしまう虞れがあった。
また、このホール素子型電流センサは、比較的高価なホール素子や大きな磁性体を必要とするため、低価格化と小形化に問題があった。
【0014】
一方、シャント抵抗型電流検出回路は、安価な電子部品で構成できるか、電力線を流れる高周波ノイズが信号に重畳されてしまうため、サンプルホールドすべきタイミングによって検出結果の精度が著しく悪化してしまうという問題があった。
【0015】
ここで、図5に示した従来技術では、図示のように、S&H回路の入力にローパスフィルタを設け、更に増幅器の前段にもローパスフィルタを設けるなどの方法より、ノイズの波高値を抑えると言った対策が施されている。
【0016】
しかし、この場合は、スイッチング素子の入力信号の幅が狭くなったとき、つまりPWM制御におけるパルスのデューティが大きくなったとき、挿入してあるローパスフィルタの影響により、S&H回路のホールドデータが入力信号の波高値より小さくなり、検出結果に誤差を生じ、制御の精度が低下していまうという問題があった。
【0017】
本発明の目的は、シャント抵抗型電流検出回路による負荷電流の検出が正確に且つ容易に得られるようにして、高精度制御特性の電力変換装置を低価格で提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、パルス幅変調制御型インバータ部の入力にシャント抵抗を備え、当該シャント抵抗により検出した電流をサンプルホールドしてレジスタに上書きし、このレジスタに上書きされてゆく電流値により前記パルス幅変調制御型インバータ部を制御する方式の電力変換装置において、前記パルス幅変調制御型インバータ部に供給されるパルス幅変調信号のパルス幅を検出し、検出したパルス幅が所定値以下になったことを検出する誤検出手段を設け、この誤検出手段の出力により、前記レジスタに対する前記電流値の上書きを禁止させるようにして達成される。
【0019】
同じく上記目的は、パルス幅変調制御型インバータ部の入力にシャント抵抗を備え、当該シャント抵抗により検出した電流をサンプルホールドしてレジスタに上書きし、このレジスタに上書きされてゆく電流値により前記パルス幅変調制御型インバータ部を制御する方式の電力変換装置において、前記パルス幅変調制御型インバータ部に供給されるパルス幅変調信号のパルス幅と前記シャント抵抗により検出した電流に含まれる高周波ノイズの幅を比較し、前記パルス幅に対する前記ノイズの幅の比率が所定値以下になったことを検出する誤検出手段を設け、この誤検出手段の出力により、前記レジスタに対する前記電流値の上書きを禁止させるようにしても達成される。
【0020】
このとき、前記誤検出手段は、前記サンプルホールドのためのサンプルホールド制御信号に基づいて、前記パルス幅を検出するものでもよく、前記シャント抵抗の出力に基づいて、前記パルス幅を検出するものでもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電力変換装置について、図示の実施形態により詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の一例で、ダイオード整流器からなるコンバータ部2と、このコンバータ部2から出力される直流電力が入力されるPWM制御方式のインバータ部3、それにコンバータ部2とインバータ部3の間の直流部に接続された平滑用のコンデンサ5で構成された主回路を備えている点は、図5で説明した従来技術と同じである。
【0023】
そして、コンバータ部2に、電力源となる商用電源1から交流電力が入力されると、コンデンサ5で平滑化された直流電力がインバータ部3に供給され、ここで、インバータ部3の半導体スイッチング素子がPWM制御されることにより、直流電力が所定の電圧と所定の周波数の交流電力に変換され、この結果、誘導電動機などの負荷4に可変電圧可変周波数の電力が供給される点も、図5で説明した従来技術と同じである。
【0024】
更に、ここで、インバータ部3にある半導体スイッチング素子のPWM制御についても、タイミング回路11とドライバ回路10を介して、計算機7により実行されるが、このとき、図示のように、シャント抵抗6をコンバータ部2とインバータ部3の間に直列に接続し、このシャント抵抗6に負荷電流が流れることにより現われる電圧降下を、一旦、S&H回路8で、タイミング回路11から供給されているS&H制御信号により、PWM制御に同期してサンプルホールドし、この後、このS&H回路8の出力をA/D変換器9でディジタル信号にし、計算機7に入力するようになっている点も、図5の従来技術と同じである。
【0025】
なお、図5では説明を省略したが、この図1の実施形態では、インバータ部3から負荷5に供給される交流電力の電圧値や周波数については、図示してない外部の設定器や上位のコンピュータなどから、計算機7に入力されるようになっており、この点も、図5の従来技術と同じである。
【0026】
ここで、更に説明を補足すると、この図1の実施形態では、計算機7で演算されるPWM制御結果に従って、ンバータ部3の半導体スイッチング素子がオンオフ制御され、負荷4に交流電力が供給されるが、このとき、インバータ部3に直列にシャント抵抗6を接続すると、負荷4に流れる電流(負荷電流)の一部が櫛波状の電流としてシャント抵抗6に流れる。
【0027】
ここで、この負荷電流を検出するには、シャント抵抗6の出力である櫛波波形の中から、負荷電流に相当する電圧波形をサンプリングする必要がある。
そこで、タイミング制御回路11を用いて、PWM制御信号からサンプリングに必要なタイミングを生成してS&H回路8を制御し、その検出結果をA/D変換器9でディジタル信号に変換して計算機7に入力するのである。
【0028】
そして、計算機7では、次のPWM制御信号を生成し、その生成されたPWM制御信号がドライブ回路15を介してインバータ部3に入力され、負荷4に供給すべき交流電力を制御することになる。
【0029】
従って、この図1に示した実施形態が、図5の従来技術と異なる点は、誤検出回路12が設けられている点と、更には過電流保護回路13が設けられている点にある。
そこで、以下、これら誤検出回路12と過電流保護回路13について詳細に説明する。
【0030】
まず、ここで、近年、インバータ部3を構成する半導体素子の性能が大きく改善され、高速化が進んだ結果、半導体スイッチング素子がオンオフ動作する際に高いdV/dt(インバータ部3の出力電位の急峻な変化)が生じる。
このことは、それ自体でみると、スイッチングの高速化を意味するので、本来は好ましいことではある。
【0031】
しかし、副次的な作用として、負荷4やケーブル間に寄生する容量のため、これらを介してインバータ部3と対地間及びシャント抵抗6に漏れ電流が現われ、図2に示すように、シャント抵抗出力に高周波ノイズ14が重畳されてしまい、検出結果に誤差が現われてしまう虞れがある。
なお、このことが、従来技術の問題点であることは、上記した通りである。
【0032】
そこで、この実施形態では、誤検出回路12を設け、S&H回路8に供給されるタイミング制御信号の幅が、例えば数μ秒と短くなったとき、計算機7と過電流保護回路13に、負荷電流の検出結果に異常が現われたことが知らされるようにしたものである。
【0033】
このため、誤検出回路12は、タイミング制御回路11からS&H回路8に供給されているS&H制御信号を入力し、これからサンプル期間の幅を検出し、この検出結果を、予め設定してある所定の基準幅データと比較し、サンプル期間の幅が基準幅データにより与えられる幅より大きくなっているときと、サンプル期間の幅が基準幅データにより与えられる幅未満になったときとが識別できるようになっている誤検出信号を発生する働きをする。
【0034】
このためには、例えばS&H制御信号を微分することにより、そのパルスの立上り時点と立ち下がり時点を検出し、所定のカウンタをセット/リセットし、カウンタの計測値を基準幅データと比較してやればよい。
【0035】
この誤検出回路12から出力される誤検出信号は、計算機7と過電流検出回路13に供給され、この結果、計算機7と過電流検出回路13では、シャント抵抗6の出力からサンプリングされた検出結果の中で、高周波ノイズ14の影響が大きくなって、負荷電流の検出値としては誤差が多くなってしまっていることが計算機7や過電流検出回路13で確認できるようにしたものである。
【0036】
いま、上記したようにして高周波ノイズ14が発生し、これが図2に示すように、シャント抵抗出力のパルスに乗ってしまったとする。
ところで、この場合でも、図2のサンプル(n)期間で示すように、サンプル期間の幅(継続時間:パルス幅)に比較して、高周波ノイズ14が継続している幅が小さければ、シャント抵抗出力のパルスからみた負荷電流値の誤差は小さく、実用上は無視できる。
【0037】
しかし、図2のサンプル(n+1)期間で示すように、サンプル幅が、高周波ノイズ14が継続している幅よりも狭くなってしまうと、高周波ノイズ14が支配的になってしまい、負荷電流値には大きな誤差が含まれ、この結果、このままではインバータ部3のPWM制御の基礎となる負荷電流の検出値が、実際の負荷電流値からから離れてしまい、制御精度が低下してしまうことになる。
【0038】
ここで、この実施形態では、誤検出回路12が設けてあり、これは、上記したように、サンプル期間の幅が基準幅データにより与えられる幅未満になったときときと、そうでないときが識別できるようになっている誤検出信号が発生されるように構成してある。
【0039】
そして、このとき、図2に示すように、サンプル(n)期間で示す状態が順次継続している間は“検出結果良好”を表わす状態(ここではハイレベル)にあり、サンプル(n+1)期間で示す状態になったら、“検出検出不良”を表わす状態(同、ローレベル)になる誤検出信号が発生するように、つまり、サンプル(n+1)期間で示す幅が上記した基準幅データに等しくなるように設定されている。
【0040】
そこで、計算機7は、この誤検出信号を取り込み、それが検出結果良好を表わす状態にあるときは、A/D変換器9から、各サンプル期間毎に取り込んだ信号を所定のレジスタに次々と上書きし、このレジスタに書込まれたデータを、PWM制御の基礎となる負荷電流の検出値として使用し、インバータの制御を実行する。
【0041】
そして、誤検出信号が検出結果不良を表わす状態に変わったら、そのときは、この時点からレジスタに対するデータの書込み更新を禁止し、その直前で、誤検出信号が検出結果良好を表わす状態にあったとき取り込んであったデータを、そのまま負荷電流の検出値として制御を実行し、この状態を、再び誤検出信号が検出結果良好を表わす状態になるまで継続させるのである。
【0042】
ここで、PWM制御方式のインバータでは、特別な場合を除き、出力に正弦波の電圧波形が得られるように、出力交流電力の各サイクル期間内でパルス幅を変化させているのが通例であり、このため、正弦波電圧のゼロクロス点の近傍の期間でPWM信号のパルス幅か狭くなっており、従って、主として、この期間で高周波ノイズ14の影響が大きくなる。
【0043】
そこで、誤検出回路12に設定してある基準幅データを、このゼロクロス点の近傍におけるPWM信号のパルス幅よりも、所定値だけ大きくなるように設定することより、高周波ノイズ14による影響がほとんど無いサンプリング期間での負荷電流検出値だけによる制御が行なえることになる。
【0044】
従って、この図1の実施形態によれば、シャント抵抗型電流検出回路における高周波ノイズ14の影響が充分に抑えられることになり、高精度で低価格の電力変換装置を容易に得ることができる。
【0045】
また、この図1の実施形態では、過電流保護回路13にも誤検出信号が供給され、これにより、過電流保護回路13でも、高周波ノイズ14による影響がほとんど無いサンプリング期間での負荷電流検出値だけによる過電流保護が行なえることになり、信頼性の高い保護動作を得ることができる。
【0046】
次に、本発明の他の実施形態について説明すると、まず、図3は、本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置の一例で、この実施形態が、図1で説明した実施形態と異なる点は、図1の実施形態における誤検出回路12に代えて、誤検出回路15を設けた点にある。
【0047】
そして、この誤検出回路15が、誤検出回路12と異なる点は、その入力が、タイミング制御回路11の出力であるS&H制御信号ではなく、シャント抵抗6から供給されるシャント抵抗出力になっている点だけで、パルス幅検出機能と働きは、図1の実施形態と同じである。
【0048】
ここで、図2を見れば明らかなように、シャント抵抗出力も、S&H制御信号とほとんど同じパルス状になっており、異なっているのは、その波高値と、高周波ノイズ14が乗っている点だけであるから、このシャント抵抗出力からも、PWM信号のパルス幅が容易に、しかも確実に検出できることが判る。
【0049】
従って、この図3に示した実施形態によっても、シャント抵抗型電流検出回路における高周波ノイズ14の影響が充分に抑えられることになり、高精度で低価格の電力変換装置が容易に得られ、同じく、過電流保護回路13でも、高周波ノイズ14による影響がほとんど無いサンプリング期間での負荷電流検出値だけによる過電流保護が行なえ、信頼性の高い保護動作が得られることになる。
【0050】
更に、図4は、本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置の一例で、この実施形態が、図1で説明した実施形態と異なる点は、2台の誤検出回路120、150を設けた上で、更にノイズ幅検出回路16を設け、これら誤検出回路12、15によるパルス幅の監視についての信頼性が高められるようにした点にあり、その他の構成は、図1及び図3の実施形態と同じである。
【0051】
ここで、ノイズ幅検出回路16は、シャント抵抗出力の中に現われる高周波ノイズ14の継続時間、つまりノイズ幅を検出する回路で、具体的には、シャント抵抗出力の各サンプル期間の立上り時点から高周波ノイズ14が所定値に減衰するまでの時間を検出し、ノイズ幅検出値を出力する働きをする。
【0052】
このため、例えば、シャント抵抗出力を微分し、微分出力が所定のレベルにある期間を、各サンプル期間の立上り時点からカウンタで計測し、ノイズ幅を検出するようにしてもよく、或いは、微分出力を更に積分し、このときの積分時定数からノイズの幅を検出するようにしてもよい。
【0053】
そして、このノイズ幅検出回路16の出力であるノイズ幅検出値は、誤検出回路120、150に供給され、S&H制御信号又はシャント抵抗出力から検出されたサンプル期間幅とそれぞれ対比され、誤検出信号の発生にあずかる。
【0054】
このため、これらの誤検出回路120、150は、まず、図1と図3の実施形態で説明した誤検出回路12、15と同じく、S&H制御信号又はシャント抵抗出力を入力し、これらからサンプル期間の幅を検出する機能を備えている上、更に、こうして検出したサンプル期間の幅をノイズ幅検出回路16から供給されるノイズ幅検出値と比較する機能が備えられている。
【0055】
そして、これらの誤検出回路120、150は、サンプル期間の幅に対するノイズ幅検出値が、例えば80%などの所定の割合に達するまでは、例えば図2に示した場合と同様、“検出結果良好”を表わす状態(例えばハイレベル)にあり、これ以上になったら“検出検出不良”を表わす状態(同、ローレベル)になる誤検出信号を発生するように構成されている。
【0056】
従って、この図4に示した実施形態によっても、シャント抵抗型電流検出回路における高周波ノイズ14の影響が充分に抑えられることになり、高精度で低価格の電力変換装置が容易に得られ、同じく、過電流保護回路13でも、高周波ノイズ14による影響がほとんど無いサンプリング期間での負荷電流検出値だけによる過電流保護が行なえ、信頼性の高い保護動作が得られることになる。
【0057】
しかも、この図4の実施形態の場合、電力変換装置を設置し、負荷4を接続して使用状態にしたとき、実際に発生される高周波ノイズ14の幅に応じて“検出結果良好”を表わす状態と、“検出検出不良”を表わす状態の識別が得られることになる。
【0058】
従って、この図4の実施形態によれば、電力変換装置の設置条件等で様々に変化する高周波ノイズ14に対して、シャント抵抗出力の中の高周波ノイズ14の影響を受け易い幅の狭い検出結果が計算機7や過電流検出回路13で確認でき、この結果、更に高精度で高信頼性を備えた電力変換装置が容易に提供できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、シャント抵抗型電流検出回路を用いても、高周波ノイズによる精度低下の虞れがないので、高精度で高信頼の電力変換装置をローコストで容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電力変換装置の第1の実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を説明するためのタイミング図である
【図3】本発明による電力変換装置の第2の実施形態を示すブロック構成図である。
【図4】本発明による電力変換装置の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
【図5】従来技術により電力変換装置の一例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
1 商用電源
2 コンバータ部(順変換部:ダイオード整流器)
3 インバータ部(逆変換部)
4 負荷(誘導電動機)
5 コンデンサ(キャパシタ)
6 シャント抵抗
7 計算機(コンピュータ)
8 S&H回路(サンプルホールド回路)
9 A/D変換器
10 ドライブ回路
11 タイミング制御回路
12 誤検出回路
13 過電流保護回路
14 高周波ノイズ
15 誤検出回路(シャント抵抗出力での検出)
16 ノイズ幅検出回路
120、150 誤検出回路

Claims (4)

  1. パルス幅変調制御型インバータ部の入力にシャント抵抗を備え、当該シャント抵抗により検出した電流をサンプルホールドしてレジスタに上書きし、このレジスタに上書きされてゆく電流値により前記パルス幅変調制御型インバータ部を制御する方式の電力変換装置において、
    前記パルス幅変調制御型インバータ部に供給されるパルス幅変調信号のパルス幅を検出し、検出したパルス幅が所定値以下になったことを検出する誤検出手段を設け、
    この誤検出手段の出力により、前記レジスタに対する前記電流値の上書きを禁止させるように構成したことを特徴とする電力変換装置。
  2. パルス幅変調制御型インバータ部の入力にシャント抵抗を備え、当該シャント抵抗により検出した電流をサンプルホールドしてレジスタに上書きし、このレジスタに上書きされてゆく電流値により前記パルス幅変調制御型インバータ部を制御する方式の電力変換装置において、
    前記パルス幅変調制御型インバータ部に供給されるパルス幅変調信号のパルス幅と前記シャント抵抗により検出した電流に含まれる高周波ノイズの幅を比較し、前記パルス幅に対する前記ノイズの幅の比率が所定値以下になったことを検出する誤検出手段を設け、
    この誤検出手段の出力により、前記レジスタに対する前記電流値の上書きを禁止させるように構成したことを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の発明において、
    前記誤検出手段が、
    前記サンプルホールドのためのサンプルホールド制御信号に基づいて、前記パルス幅を検出するように構成されていることを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の発明において、
    前記誤検出手段が、
    前記シャント抵抗の出力に基づいて、前記パルス幅を検出するように構成されていることを特徴とする電力変換装置。
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