JP3812856B2 - 含水系作動液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性作動油の一種である含水系作動液組成物に関し、詳しくはポンプ性能及び廃水処理性が優れ、更に安定性などの諸性能が優れる含水系作動液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧装置は産業界に広く取り入れられ、生産性の向上に貢献している。これらの油圧装置は油圧作動油により駆動されているが、鉄鋼や自動車産業などでは、高温の金属を扱う装置や加熱炉、電気スパークが生じる機器などの近くで使用する場合が多く、各種の難燃性作動油が用いられている。難燃性作動油のうち含水系作動液は、難燃性にも優れ、かつそのコストが合成油系作動油に比べ安価であることから、広く利用されている。
この含水系作動液にはソリューションタイプとエマルションタイプがある。代表的な含水系作動液である水−グリコール系作動液は、ソリューションタイプであり、分離や腐敗の心配がなく、不燃性、高温安定性等の優れた性能を有している。
【0003】
しかし、従来の水−グリコール系作動液は、上記のような優れた性能を有する反面、廃水処理上の問題があることが知られている。すなわち、水−グリコール系作動液が油圧系統から漏洩し、廃水に混入した場合、凝集沈殿法や活性汚泥法等、通常の廃水処理方法ではCOD値を悪化させる成分を除去することが難しいという問題があった。
廃水処理において、水−グリコール系作動液の組成の中で特に問題となるのは、水溶性ポリマーとグリコール類である。これらは、水溶性であるため凝集沈殿処理では分離することができず、また、高分子量のポリアルキレングリコール類は、活性汚泥処理による分解も極めて困難である。このため、活性炭などへの吸着による分離や膜分離等の方法が検討された例もあるが、処理速度や処理コストの問題から実用化が進んでいない。
【0004】
廃水処理性が改善された潤滑油として、ポリオキシアルキレングリコールジエーテルと、ポリオキシエチレングリコールモノエーテルと、水からなる難燃性潤滑油が提案されている(特公昭61−23240号公報)。しかしながら、この潤滑油は、水溶性であるポリオキシエチレングリコールモノエーテルを10〜45wt%と高い割合で使用しているので、凝集沈殿処理性が悪く、その廃水処理性は未だ充分なものということができない。
一方、廃水処理の点で注目されているエマルション系作動油は、乳化液の分離や腐敗などの安定性および金属やシール材との適合性が劣る。
さらに、作動油として用いるには優れたポンプ性能も有しなければならない。このように、従来の含水系作動液は、優れた廃水処理性と安定性およびポンプ性能を併せ持ったものはなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水−グリコール系作動液と同等の優れた難燃性を有すると共に、安定性、耐腐食性及び耐摩耗性を有し、廃水処理施設における凝集沈殿処理性に優れ、併せてポンプ性能も優れた含水系作動液組成物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、先に凝集沈殿処理性とポンプ性能に優れた含水系作動液を提案した(特開平6−279779号)。その後、この含水系作動液に検討を加えた結果、ポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物の平均分子量を特定のものにし、特定の界面活性剤を配合することにより、水−グリコール系と比べ廃水処理性を大幅に改善したまま、構造粘性を抑制し、作動液の曇点、ポンプ性能が向上することを見い出し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)下記一般式(1)で表される平均分子量が1500〜1950のポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物から選ばれる1種以上を1〜30質量%、(B)下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物から選ばれる1種以上を1〜30質量%、(C)下記一般式(3)で表されるジアルキルスルホコハク酸型アニオン系界面活性剤及び下記一般式(4)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸型アニオン系界面活性剤から選ばれる1種以上を0.5〜20質量%、及び(E)水53.5〜97.5質量%を含有していることを特徴とする含水系作動液を提供するものである。
【0008】
一般式(1):
【0009】
【化7】
R1−P1−CH2−P2−R2
(式中、R1,R2は炭素数7〜30の一価の炭化水素基、P1,P2はオキシエチレン基とオキシプロピレン基から成るポリオキシアルキレン基を表し、ポリオキシアルキレン基中のオキシエチレン基の割合は、30〜100質量%の範囲である。)
一般式(2):
【0010】
【化8】
R3−〔O(C3H6O)a(C2H4O)bH〕x
(式中、R3は炭素数3〜20の一価又は多価の炭化水素基、aはプロピレンオキシドの平均付加モル数であって4〜25であり、bはエチレンオキサイドの平均付加モル数を表し、b/a≦2であり、b=0の場合も含まれる。また、xはR3の価数に対応する整数を示す。)
一般式(3):
【0011】
【化9】
(式中、R4、R5は炭素数2〜20の直鎖または分岐を有する炭化水素基、M1は塩形成性陽イオンを表す。)
一般式(4):
【0012】
【化10】
R6C6H4SO3M2
(式中、R6は炭素数6〜20の直鎖または分岐を有する炭化水素基、M2は塩形成性陽イオンを表す。)
また、本発明は、(A)一般式(1)で表される平均分子量が1500〜1950のポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物から選ばれる1種以上を1〜30質量%、(B)一般式(2)で表されるポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物から選ばれる1種以上を1〜30質量%、(C)一般式(3)で表されるジアルキルスルホコハク酸型アニオン系界面活性剤及び一般式(4)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸型アニオン系界面活性剤から選ばれる1種以上を0.5〜20質量%、(D)一般式(5)で表される脂肪酸塩及び一般式(6)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸塩から選ばれる1種以上を0.5〜15質量%、及び(E)水53.5〜97.5質量%を含有していることを特徴とする含水系作動液を提供するものである。
一般式(5):
【0013】
【化11】
R7COOM3
(式中、R7は炭素数6〜36の炭化水素基、M3は塩形成性陽イオンを表す。)
一般式(6):
【0014】
【化12】
R8C10H6SO3M4
(式中、R8は炭素数2〜12の直鎖または分岐を有する炭化水素基、M4は塩形成性陽イオンを表す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の含水系作動液は、その(A)成分として、前記一般式(1)で表される平均分子量が1500〜1950のポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物(以下、化合物Aということがある。)を使用する。
この化合物Aを表す前記一般式(1)において、R1及びR2は一価の炭化水素基であり、脂肪族系炭化水素基、脂環族系炭化水素基及び芳香族系炭化水素基を包含するが、脂肪族系炭化水素基が好ましい。脂肪族系炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のものであることができ、また飽和又は不飽和のものであることができる。
この一価の炭化水素基の炭素数は、7〜30であり、好ましくは8〜26、さらに好ましくは8〜20、特に好ましくは12〜18である。炭化水素基R1及びR2の炭素数が7未満であると化合物Aは、水に溶け易くなり、作動液の凝集沈殿処理性に悪影響を及ぼし、一方炭素数が30を超えると作動液の粘度が高くなり過ぎる。なお、R1及びR2は同一でもよく、また異なってもよい。R1及びR2の具体例としては、例えば、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ヘキサデセニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、オレイル基、ヘキシルフェニル基、オクチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0016】
前記一般式(1)におけるP1及びP2は、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との共重合物から成るポリオキシアルキレン基を表し、ポリオキシアルキレン基中のオキシエチレン基の割合は、30〜100質量%の範囲であり、好ましくは40〜80質量%の範囲である。オキシエチレン基の割合が30質量%未満であると作動液の安定性に悪影響を及ぼす。また、このオキシアルキレン基P1及びP2において、オキシエチレン基単位とオキシプロピレン基単位とはランダム構造を形成してもよいし、ブロック構造を形成してもよいが、構造粘性を抑制する点で好ましくはランダム構造である。
また、化合物Aの平均分子量は、1650〜1950の範囲である。
なお、化合物Aは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
前記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物は、例えば特開昭48−22198号公報、特公昭49−15185号公報に記載されている方法を利用して製造することができる。即ち、R1OHのアルコール又はフェノールにプロピレンオキシドを付加重合させ、次にエチレンオキシドを付加重合させてオキシアルキレングリコールモノエーテルを作り、これにナトリウムアルコキシドを加えて不活性ガス中80〜150℃で加熱混合し、得られた生成物に二ハロゲン化メチレンを徐々に添加して反応させる方法によって調整できる。また、R1OHのアルコールまたはフェノールにプロピレンオキシドを付加重合させ、次にエチレンオキシドを付加重合させ、次にプロピレンオキシドを付加重合させてポリオキシアルキレングリコールモノエーテルを作り、その2分子の末端のOH基をメチレン基を介してエーテル化する方法によっても調整できる。
【0018】
本発明の含水系作動液においては、その(B)成分として、前記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物(以下、化合物Bということがある。)を使用する。前記一般式(2)において、R3は一価又は多価の炭化水素基を表し、脂肪族系炭化水素基、脂環族系炭化水素基及び芳香族系炭化水素基を包含するが、脂肪族系炭化水素基が好ましい。
この一価又は多価の炭化水素基の炭素数は、3〜20の範囲であり、好ましくは4〜15の範囲である。この一価又は多価の炭化水素基の炭素数が3未満であると化合物Bが水溶性となり、凝集沈殿処理性に悪影響を及ぼし、一方20を超えると化合物Bの疎水性が大きくなり過ぎて可溶化系を形成せず、本発明の目的とする性能の作動液を得ることができなくなる。また、一価又は多価の炭化水素基の価数は、適宜選定すればよいが、一価〜六価が好ましく、特に一価又は二価が好ましい。
【0019】
プロピレンオキシドの付加モル数aとエチレンオキシドの付加モル数bの比b/aは2以下であるが、R3の炭素数が3〜6の場合、b/aは好ましくは3/18以下であり、特に好ましくは2/18以下である。R3の炭素数が7〜10の場合、b/aは好ましくは3/7以下であり、特に好ましくは2/8以下である。R3の炭素数が11〜20の場合、b/aは好ましくは5/5以下であり、特に好ましくは4/6以下である。これらの範囲を超えると、化合物の親水性が強くなる傾向がある。
なお、プロピレンオキシド単位とエチレンオキシド単位は、ランダム構造を形成してもよいし、ブロック構造を形成してもよいが、下記の一般式(7)及び一般式(8)で表されるブロック構造を形成するものが好ましく、特に一般式(7)で表されるブロック構造を形成するものが好ましい。
一般式(7):
【0020】
【化13】
R3−〔O−(C3H6O)a−(C2H4O)b−H〕x
一般式(8):
【0021】
【化14】
R3−〔O−(C2H4O)b−(C3H6O)a−H〕x
【0022】
前記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物は、炭素数3〜20の一価又は多価のアルコールにプロピレンオキシドとエチレンオキシドを付加させることにより得ることができる。一価又は多価アルコールの具体例としては、例えばプロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、ノニルアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0023】
本発明で用いる化合物Bが一価アルコールから誘導されるものである場合、その化合物Bは、次の一般式で示される。
【0024】
【化15】
R3−〔O(C3H6O)a(C2H4O)b〕−H
前記式中、R3は炭素数3〜20、好ましくは4〜15の一価炭化水素基を示す。炭化水素基R3としては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。aはプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示し、4〜25の範囲であり、好ましくは4〜20の範囲であり、bはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、0〜10の範囲であり、好ましくは0〜5の範囲である。
なお、化合物Bは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
本発明の含水系作動液においては、その(C)成分の1つとして、前記一般式(3)で表されるジアルキルスルホコハク酸型アニオン系界面活性剤を使用する。前記一般式(3)におけるR4およびR5は炭化水素基であり、好ましくは脂肪族系炭化水素基であり、直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和炭化水素基を包含する。この炭化水素基の炭素数は、2〜20の範囲であり、好ましくは4〜16の範囲であり、特に好ましくは、6〜12の範囲である。この炭化水素基の炭素数が2未満であっても、20を超えても、可溶化能力が低下し、組成物が不安定になる。
なお、R4およびR5は同一でもよく、また異なっていてもよい。
R4およびR5の具体例としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘキセニル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、デセニル基、ウンデシル基、ウンデセニル基、ドデシル基、ドデセニル基、テトラデシル基、テトラデセニル基、ヘキサデシル基、ヘキサデセニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基などが挙げられる。
【0026】
もう1つの(C)成分として、前記一般式(4)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸型アニオン系界面活性剤を使用する。前記一般式(4)におけるR6は炭化水素基であり、好ましくは脂肪族系炭化水素基であり、直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和炭化水素基を包含する。この炭化水素基の炭素数は、6〜20の範囲であり、好ましくは8〜18の範囲である。この炭化水素基の炭素数が6未満であっても、20を超えても、可溶化能力が低下し、組成物が不安定になる。R6の具体例としては、例えば、ヘキシル基、ヘキセニル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、デセニル基、ウンデシル基、ウンデセニル基、ドデシル基、ドデセニル基、テトラデシル基、テトラデセニル基、ヘキサデシル基、ヘキサデセニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、などが挙げられる。
【0027】
また、一般式(3)におけるM1、および一般式(4)におけるM2は、塩形成性陽イオンを表し、例えば、アルカリ金属、アンモニウム、アミンなどが挙げられる。M1、およびM2の具体例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられ、好ましくはナトリウム、カリウム、のアルカリ金属、およびトリエタノールアミンである。
なお、(C)成分としての、一般式(3)で表されるジアルキルスルホコハク酸型アニオン系界面活性剤および一般式(4)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸型アニオン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明の含水系作動液においては、(D)成分の1つとして、前記一般式(5)で表される脂肪酸塩を使用する。前記一般式(5)におけるR7は、炭化水素基であり、好ましくは脂肪族系炭化水素基であり、直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和炭化水素基を包含する。この炭化水素基の炭素数は、6〜36の範囲であり、好ましくは10〜20の範囲である。この炭化水素基の炭素数が6未満であると、可溶化能力が低下し、組成物が不安定になり、36を超えると粘度が増加し、作動液としての使用が困難になる。この脂肪酸塩の具体例としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、芳香族脂肪酸、ダイマー酸などの塩が挙げられる。
【0029】
もう1つの(D)成分として、前記一般式(6)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸塩を使用する。前記一般式(6)におけるR8は、炭化水素基であり、好ましくは脂肪族系炭化水素基であり、直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和炭化水素基を包含する。この炭化水素基の炭素数は、2〜12の範囲であり、好ましくは3〜8の範囲である。この炭化水素基の炭素数が2未満であっても、12を超えても、可溶化能力が低下し、組成物が不安定になる。R8の具体例としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘキセニル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、デセニル基、ウンデシル基、ウンデセニル基、ドデシル基、ドデセニル基などが挙げられる。
【0030】
また、一般式(5)におけるM3、および一般式(6)におけるM4は、塩形成性陽イオンを表し、例えば、アルカリ金属、アンモニウム、アミンなどが挙げられる。M3、およびM4の具体例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられ、M3として好ましくはナトリウム、カリウム、のアルカリ金属、およびエタノールアミンである。M4として好ましくは、ナトリウム、カリウムのアルカリ金属である。
なお、(D)成分としての、一般式(5)で表される脂肪酸塩および一般式(6)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分及び(B)成分と組合せることにより、凝集沈殿処理性能(廃水処理性)に優れた含水系作動液として使用することができる。また、この含水系作動液に、本願(C)成分を加えることにより、(A)成分及び(B)成分の配合量を増やすことができ、結果として廃水処理性を維持しつつ、さらに潤滑性(ポンプ性能)を向上させることができる。
本発明の含水系作動液においては、(E)成分として水を用いる。(E)成分である水は、蒸留水やイオン交換水などの精製水を使用することが好ましい。
【0031】
本発明の請求項1の含水系作動液における各成分の配合割合を示すと、(A)成分は1〜30質量%の範囲であり、好ましくは2〜25質量%、さらに好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは8〜25質量%の範囲であり、(B)成分は1〜30質量%の範囲であり、好ましくは5〜20質量%の範囲であり、(C)成分は0.5〜20質量%の範囲であり、好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは5〜18質量%の範囲であり、また、(E)成分である水の含有量は、(A)〜(C)成分の配合量に応じて全体が100質量%となるように配合され、その配合量は、53.5〜97.5質量%の範囲である。
(A)成分が、1質量%未満であると粘度が低く、30質量%を超えると油の安定性が悪く、または固化してしまう。(B)成分が、1質量%未満であると粘度が低く、30質量%を超えると組成物が不安定になる。(C)成分が、0.5質量%未満であると可溶化能力が低下し、15質量%を超えると組成物が不安定になる。
【0032】
本発明の請求項2の含水系作動液における各成分の配合割合を示すと、(A)成分は1〜30質量%の範囲であり、好ましくは2〜25質量%、さらに好ましくは5〜25質量%の範囲であり、(B)成分は1〜30質量%の範囲であり、好ましくは5〜25質量%の範囲であり、(C)成分は0.5〜20質量%の範囲であり、好ましくは1〜15質量%の範囲であり、(D)成分は0.5〜15質量%の範囲であり、好ましくは2〜13質量%の範囲であり、また、(E)成分である水の含有量は、(A)〜(D)成分の配合量に応じて全体が100質量%となるように配合され、その配合量は、53.5〜97.5質量%の範囲である。
(A)成分が、1質量%未満であると粘度が低く、30質量%を超えると油の安定性が悪く、または固化してしまう。(B)成分が、1質量%未満であると粘度が低下し、30質量%を超えると組成物が不安定になる。(C)成分が、0.5質量%未満であると可溶化能力が低下し、20質量%を超えると組成物が不安定になる。(D)成分が、0.5質量%未満であると可溶化能力が低下し、15質量%を超えると粘度が増加しすぎる。
【0033】
本発明の含水系作動液には、前記成分の他、必要に応じて他の成分、例えば、極圧剤として硫黄化合物やリン化合物、pH調整剤としてアルカリ金属やアミン類の水酸化物、腐食防止剤としてメルカプトベンゾチアゾール、トリアゾール等の含窒素化合物の金属塩やアミン塩、金属イオン封鎖剤としてエチレンジアミン四酢酸などのアミノカルボン酸の金属塩などの補助成分を適量配合することができる。
本発明の含水系作動液は、前記各成分を所定量適宜配合して混合することにより調整することができる。
【0034】
本発明の含水系作動液を使用することができる油圧装置は、特に制限されるものではなく、工作機械、ダイカストマシン、トランスファーマシン、プレス機械、鍛圧機械、荷役運搬機械、土木建設機械、プラント制御装置を始め各種油圧装置が挙げられるが、特に高温の金属を扱う装置、電気スパークを生じる装置、加熱炉、鉄鋼設備などの油圧装置において有効である。
また、油圧装置において用いられる油圧ポンプも、特に制限されるものではなく、種々の油圧ポンプに使用することができる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの例によっては何ら制限されるものではない。
実施例1〜12
表1及び表2に示す成分組成の含水系作動液を調整し、その性能評価を行った。その結果を表3に示す。
なお、実施例において用いたポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物のポリオキシアルキレン部はランダム構造であり、ポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物のポリオキシアルキレン部はブロック構造であり、水は蒸留水を用いた。
【0036】
【表1】
【0037】
※1:[C9H19O(C2H4O)m(C3H6O)n]2CH2においてオキシアルキレン基におけるオキシエチレン基の質量分率が50質量%、平均Mn=1500
※2:[C9H19O(C2H4O)m(C3H6O)n]2CH2においてオキシアルキレン基におけるオキシエチレン基の質量分率が70質量%、平均Mn=1550
※3:[C12H25O(C2H4O)m(C3H6O)n]2CH2においてオキシアルキレン基におけるオキシエチレン基の質量分率が70質量%、平均Mn=1700
※4:[C18H35O(C2H4O)m(C3H6O)n]2CH2においてオキシアルキレン基におけるオキシエチレン基の質量分率が50質量%、平均Mn=1950
※5:[C18H35O(C2H4O)m(C3H6O)n]2CH2においてオキシアルキレン基におけるオキシエチレン基の質量分率が70質量%、平均Mn=1700
※6C9H19O(C3H6O)7H
※7C9H19O(C3H6O)7(C2H4O)H
※8における塩:カリウム塩
※9における塩:モノエタノールアミン塩
※10におけるアルキル基:ブチル基
なお、表1において示される配合量の単位は、質量%である。
【0038】
【表2】
【0039】
なお、表2における※数字の示すことは、表1と同じである。
また、表2において示される配合量の単位は、質量%である。
【0040】
比較例1〜3
含水率が70wt%以下の市販の3種の水−グリコール系作動液(I)、(II)及び(III)について、その性能評価を行った。その結果を表4に示す。これらの市販の水−グリコール系作動液(I)、(II)及び(III)は、水を35〜45質量%、溶剤(グリコール)を40〜50質量%、増粘剤を10〜15質量%、その他添加剤を数%〜15質量%から成る組成を有する作動液である。
【0041】
比較例4
含水率が約40wt%の市販のW/Oエマルション系作動油(IV)についてその性能評価を行った。その結果を表4に示す。
【0042】
比較例5
表3に示す成分組成の含水系作動液を調整し、その性能評価を行った。その結果を表4に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
比較例6
下記の組成を有する含水系作動液を調整し、その性能評価を行った。その結果を表4に示す。
(A)ジエーテル※2 15.0質量%
(C)ジアルキルスルホコハク酸Na 5.0質量%
(D)ラウリン酸K 10.4質量%
(E)水 69.9質量%
※2は、表1に同じ。
【0045】
以下において示した含水系作動液の性状は、次の試験法により評価されたものである。
(1)凝集沈殿処理試験
作動液の1%水溶液100質量部に、実施例3〜10、12については、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3・14〜18H2O)を1質量%、実施例1、2、11については、PAC(ポリ塩化アルミニウム)1.2質量%を、加えた後、NaOH水溶液でpHを7.5に調整する。その後急速撹拌10分、緩速撹拌15分行った後、1時間静置、ろ紙(5C)で濾別した後、得られた濾液のCOD値を測定した。W/Oエマルション系は水溶性でないため、試料1%水溶液のCOD値は理論的な概算値を示した。
(2)曇点の測定試験
作動液を入れた試験管に温度計を挿し、恒温槽で加熱し、白濁した温度を曇点とする。
なお、曇点は、温度上昇により可溶化系のHLBバランスが変化して、可溶化しているポリグリコールが分離し、エマルション状に白濁する現象を言い、曇点以上の温度で長時間放置すると、溶液が分離(ポリグリコール/水溶液)する。このため、曇点は高ければ高い方がよい。
【0046】
【表4】
【0047】
実施例の各作動液について、シェル四球試験(ASTM D−2783準拠)を行った。その結果を表5に示す。
(2)シェル四球試験(ASTM D−2783準拠)
下記の条件により測定した。
条件:1200rpm、15kg、30min
【0048】
【表5】
【0049】
実施例 作動液について、静置安定性試験(JIS K 2241準拠)を行った。その結果を表6に示す。
(3)静置安定性試験(JIS K 2241準拠)
下記の条件により測定した。
条件:70℃、168時間
【0050】
【表6】
※エマルション系は油層−乳化層−水層
【0051】
実施例 作動液について、金属腐食性試験(JIS K 2234準拠)を行った。その結果を表7に示す。
(4)金属腐食性試験(JIS K 2234準拠)
下記の条件により測定した。
条件:70℃、168時間
【0052】
【表7】
【0053】
実施例1、12の作動液について不二越製ピストンポンプ(W−PVS−1B−−16N3)によるポンプ試験を行い、100時間後の部品磨耗量を測定した。その結果を表8に示す。
(5)ピストンポンプ試験
下記の試験条件により測定した。
条件 回転数:1200rpm、圧力:20.6MPa
【0054】
【表8】
実施例1 282mg
実施例12 159mg
比較例1 39.6mg
比較例4 664mg
比較例5 513mg
比較例6 427mg
【0055】
なお、他の実施例のピストンポンプ試験結果も、実施例1及び実施例12と同様であった。
表4〜表8の結果より明らかなように、本発明の含水系作動液は、いずれも作動液として充分な性能を有しており、特に凝集沈殿処理後のCOD値は、水−グリコール系作動液の1/20〜1/50と非常に優れている。また、W/Oエマルション系と比較して安定性や材質適合性に優れていることが分かる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の含水系作動液は、水−グリコール系作動液と同等の優れた難燃性を有すると共に、安定性、耐腐食性などの作動油に要求される諸性能に優れた性状を有している。また、廃水処理施設における凝集沈殿処理性に優れ、併せてポンプ性能も優れている。従って、本発明の含水系作動液は、廃水中に混合しても廃水処理可能であり、環境への負荷が極めて低い。
Claims (2)
- (A)下記一般式(1)で表される平均分子量が1500〜1950のポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物から選ばれる1種以上を1〜30質量%、(B)下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物から選ばれる1種以上を1〜30質量%、(C)下記一般式(3)で表されるジアルキルスルホコハク酸型アニオン系界面活性剤及び下記一般式(4)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸型アニオン系界面活性剤から選ばれる1種以上を0.5〜20質量%、及び(E)水53.5〜97.5質量%を含有していることを特徴とする含水系作動液。
一般式(1):
一般式(2):
一般式(3):
一般式(4):
- (A)一般式(1)で表される平均分子量が1500〜1950のポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物から選ばれる1種以上を1〜30質量%、(B)一般式(2)で表されるポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物から選ばれる1種以上を1〜30質量%、(C)一般式(3)で表されるジアルキルスルホコハク酸型アニオン系界面活性剤及び一般式(4)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸型アニオン系界面活性剤から選ばれる1種以上を0.5〜20質量%、(D)一般式(5)で表される脂肪酸塩及び一般式(6)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸塩から選ばれる1種以上を0.5〜15質量%、及び(E)水53.5〜97.5質量%を含有していることを特徴とする含水系作動液。
一般式(5):
一般式(6):
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