JP3812286B2 - 水処理装置 - Google Patents

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は,膜状に流れる水に超音波によりキャビテーションを発生させ,キャビテーションの作用によって水中の微生物等の殺菌又は不活性化を行なう水処理装置に関する。
【従来の技術】
現在,浄水場等では塩素による殺菌処理が一般に行なわれている。しかし,塩素処理はクリプトスポリジウム等の耐塩素性に優れた病原性微生物の殺菌にはあまり有効ではない。
キャビテーション効果により水中の微生物等の殺菌又は不活性化が可能であることは知られている(「超音波技術便覧(新訂版)」,実吉他,日刊工業新聞社,p.844−p.858(1991))。キャビテーションは,超音波の照射に伴い液体が減圧されることにより液体中に気泡が発生する現象であり,この気泡が圧縮及び膨脹したり圧壊したりする際に生じる熱作用,化学作用,機械的破壊作用等により微生物等が殺菌又は不活性化されると考えられる。
15〜150kHzの超音波に伴うキャビテーションを利用する水処理装置が知られている(USP4,961,860)。
20kHz以上の超音波によるキャビテーションを利用した病原性微生物の殺菌が可能な水処理方法が知られている(例えば,ヨーロッパ公開特許567225号公報)。
従来,超音波によりキャビテーションを発生させる場合,主に定在波音場が利用されていたが,この場合,キャビテーションの発生する領域にいわゆる斑が生じてしまう。水処理方法に定在波による超音波キャビテーションを利用すると,処理効果が場所により異なって全体の処理効率が低下する。
また,流体で隔てられた小さい間隔のもつ2面の一方が高速振動することによってもキャビテーションが発生することが知られている(「トライボロジ(基礎と応用)I」,トライボロジ研究会編,幸書房,p.57−p.59(1976))。このキャビテーションの発生原因は,2面間に挟まれた流体膜に生じる圧力であるが,この圧力が生じる現象は「スクイーズ膜効果」又は「絞り膜効果」と呼ばれている(「トライボロジ(基礎と応用I)」,トライボロジ研究会編,幸書房,p.70(1976))
【発明が解決しようとする課題】
本明細書で使用する「水処理のための作用」は,スクイーズ膜効果により生じるキャビテーションによる気泡が圧縮及び膨脹したり圧壊したりする際に生じる熱作用,化学作用,機械的破壊作用等を意味し,「水処理」は,「水処理のための作用」により微生物等を殺菌又は不活性化させ,水の消毒を水を流しながら実行することを意味し,「水処理領域」は,「水処理」が実行される領域を意味し,「水処理効率」は,「水処理」の効率,即ち,水中の微生物等が殺菌又は不活性化される,速度,スループット等を意味する。
また,本明細書で例示する装置の各部の寸法は,装置が動作していない状態での寸法例である。
本発明者による出願(特願平11−182903号)では,超音波キャビテーションによる殺菌効果に注目し,効率良く微生物を殺菌するためにスクイーズ膜効果を利用した水処理方法が提案されている。この水処理方法では,(1)薬剤を使用しない方法であること,(2)装置が小型で取扱いが容易であこと,(3)保守管理が容易であるという特徴がある。
特願平11−182903号には,キャビテーションの作用を高い確率で水中の微生物に与え水処理効率を向上させるために,膜状に流れる水にキャビテーションを発生させる水処理方法及びその装置が示されている。また,超音波振動子に連結され,軸方向と径方向にほぼ同勢力で振動する円柱と,この円柱を内包する円筒状容器を有し,円柱の側面と円筒状容器の内面との間のリング状の間隔が超音波振動子の駆動周波数に於ける水中での音波の波長の(1/4)以下であり,このリング状の間隔の領域で膜状に流れる水にキャビテーションを発生させる水処理装置が示されている。
上記の水処理装置では,リング状の間隔の領域で膜状に流れる水に超音波振動源によりキャビテーションを発生させた領域を水処理領域として,この水処理領域の水中の微生物にキャビテーションの作用を高い確率で付与するようにしている。しかし,薄い厚さの水処理領域で水にキャビテーションを発生させさせるために,水処理領域の大きさが比較的小さくなる。従って,水を流しながら確実に水処理を行ない,更に,エネルギ効率良く水処理を行ない,水処理のスループット向上を実現するには,1つの超音波振動源によりできるだけ広い面積にキャビテーションを発生させる必要がある。広い水処理領域にキャビテーションを一様に発生させるためには水処理領域で水が流れながら水が接する面全体を超音波振動させる必要がある。
また,キャビテーションの発生に伴う音場の乱れ等によってキャビテーションの発生分布に偏りが生じたり,水処理領域で膜状に水が通過する経路に差異があると,水中の微生物に水処理のための作用を一様に付与することができず,安定した水処理ができなくなってしまう。
本発明の第1の目的は,1つの超音波振動源により広い面積にキャビテーションを発生させ,水処理領域の面積を広くして,水処理領域のほぼ全域を水が膜状に流れるようにして,水処理のための作用を流れる水に十分に効率良く付与できる,スクイーズ膜効果を用いた流水式の水処理装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は,キャビテーションの発生に偏りがある場合にも,水中の微生物に水処理のための作用を安定して一様に付与し,スクイーズ膜効果を用いた流水式の水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明の水処理装置では,超音波振動子と該超音波振動子に結合される振動伝送要素と該振動伝送要素の軸方向に結合され振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する円柱とを含んで超音波振動体が構成される。中心軸を円柱と共有して円柱を内包する円筒の一端に結合され,超音波振動体を支持し複数の第1の管が接続される第1の蓋と,円筒の他端に結合され,第2の管が接続される第2の蓋と,円筒により1つの反応容器が構成される。
第1の蓋の面とこれに対向する円柱の面との第1の間隔,円筒の内周面と円柱の外周面との第2の間隔,及び第2の蓋の面とこれに対向する円柱の面との第3の間隔がそれぞれ,水中での音波の波長の(1/4)以下に設定されている。
第1の管から水処理すべき水を反応容器に流入させ第2の管から水処理された水を流出させ,又は,第2の管から水処理すべき水を反応容器に流入させ第1の管から水処理された水を流出させて,水処理すべき水の流入と水処理された水の流出の間に,第1から第3の間隔の領域にキャビテーションを発生させて水処理を行なう。
本発明の他の水処理装置では,第1の超音波振動子と該第1の超音波振動子に結合される第1の振動伝送要素と該第1の振動伝送要素の軸方向に結合され第1の振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する第1の円柱とを含んで第1の超音波振動体が構成され,第2の超音波振動子と該第2の超音波振動子に結合される第2の振動伝送要素と該第2の振動伝送要素の軸方向に結合され第2の振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する第2の円柱とを含んで第2の超音波振動体が構成される。
中心軸を第1の円柱及び第2の円柱と共有して第1の円柱及び第2の円柱を内包する円筒の一端に結合され,第1の超音波振動体を支持し複数の第1の管が接続される第1の蓋と,円筒の他端に結合され,第2の超音波振動体を支持し複数の第2の管が接続される第2の蓋と,前記円筒により1つの反応容器が構成される。
第1の蓋の面とこれに対向する第1の円柱の面との第1の間隔,円筒の内周面と第1の円柱の外周面との第2の間隔,第1の円柱と第2の円柱の対向する面の第3の間隔,円筒の内周面と第2の円柱の外周面との第4の間隔,及び第2の蓋の面とこれに対向する第2の円柱の面との第5の間隔がそれぞれ,水中での音波の波長の(1/4)以下に設定されている。
第1の管から水処理すべき水を反応容器に流入させ第2の管から水処理された水を流出させ,又は,第2の管から水処理すべき水を反応容器に流入させ第1の管から水処理された水を流出させて,水処理すべき水の流入と水処理された水の流出の間に前記第1から第5の間隔の領域にキャビテーションを発生させて水処理を行なう。
なお,複数の第1の管は,円筒の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置で第1の蓋に接続され,複数の第2の管は,円筒の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置で第2の蓋に接続される。
本発明の他の水処理装置では,第1の超音波振動子と該第1の超音波振動子に結合される第1の振動伝送要素と該第1の振動伝送要素の軸方向に結合され第1の振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する第1の円柱とを含んで第1の超音波振動体が構成され,第2の超音波振動子と該第2の超音波振動子に結合される第2の振動伝送要素と該第2の振動伝送要素の軸方向に結合され第2の振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する第2の円柱とを含んで第2の超音波振動体が構成される。
中心軸を第1の円柱と共有して第1の円柱を内包する第1の円筒と,中心軸を第2の円柱と共有して第2の円柱を内包する第2の円筒と,第1の円筒の一端に結合され,第1の超音波振動体を支持し複数の第1の管が接続される第1の蓋と,第2の円筒の一端に結合され,第2の超音波振動体を支持し複数の第2の管が接続される第2の蓋と,中心部に貫通孔をもち,第1の円筒の他端と第2のの円筒の他端とを対向させて結合する仕切り板とを具備している。
第1の蓋,第1の円筒,仕切り板により第1の反応容器が構成され,第2の蓋,第2の円筒,仕切り板により第2の反応容器が構成される。
第1の蓋の面とこれに対向する第1の円柱の面との第1の間隔,第1の円筒の内周面と第1の円柱の外周面との第2の間隔,仕切り板の面とこれに対向する第1の円柱の面との第3の間隔,仕切り板の面とこれに対向する第2の円柱の面との第4の間隔,第2の円筒の内周面と第2の円柱の外周面との第5の間隔,及び第2の蓋の面とこれにに対向する第2の円柱の面との第6の間隔がそれぞれ,水中での音波の波長の(1/4)以下に設定されている。
第1の管から水処理すべき水を第1の反応容器に流入させ貫通孔から第2の反応容器に水を流し第2の管から水処理された水を流出させ,又は,第2の管から水処理すべき水を第2の反応容器に流入させ貫通孔から第1の反応容器に水を流し第1の管から水処理された水を流出させて,水処理すべき水の流入と水処理された水の流出の間に第1から第6の領域にキャビテーションを発生させて水処理を行なう。
なお,複数の第1の管は,第1の円筒の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置で第1の蓋に接続され,複数の第2の管は,第2の円筒の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置で第2の蓋に接続される。
本発明では,1つの超音波振動源により広い面積にキャビテーションを発生させ,水処理領域の面積を広くして水処理領域のほぼ全域を膜状に水が通過するようにして,水処理のための作用を十分に効率良く流れる水に付与し,スクイーズ膜効果を用いた水処理装置を提供でき,キャビテーションの発生に偏りがある場合にも,流れる水中の微生物に水処理のための作用を安定して一様に付与し,安定した効果が得られるスクイーズ膜効果を用いた水処理装置を提供できる。
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施例を図を用いて詳細に説明する。本発明では,円柱の軸方向及び径方向の結合振動を利用した円柱表面の振動変位を利用して,円柱の側面(外周面)と両端面と反応セルの内壁との間の領域でスクイーズ膜効果が生起するようにし,広い水処理領域をもち軸対称性をもつ反応容器を使用する。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図であり,水処理用の1つの反応容器を備える最も基本的な構造をもつ水処理装置の断面図である。駆動電源1によって発生された電気的振動は,超音波振動子21によって機械的振動に変換される。超音波振動子21は電歪型,磁歪型の何れの超音波振動子でも良いが,駆動時の電気音響変換効率がより良い,例えば,ボルト締めランジュバン型超音波振動子等が望ましい。超音波振動子21で発生した機械的振動は,超音波振動子21の出力端に結合された振動伝送要素22を介して円柱23に伝達される。振動伝送要素22は複数段に構成されても良く,また,固体ホーン等の形状の振動伝送要素を用いても良い。
円柱23は円筒24の内側に,円柱23の中心軸と円筒24の中心軸とが一致するように配置される。超音波振動子21,振動伝送要素22,円柱23からなる超音波振動体は,円筒24の一端に結合され円筒24の一端を密閉する第1の蓋25によって支持されている。円筒24の他端を密閉する第2の蓋31,円筒24,及び第1の蓋25により反応容器20が構成される。
反応容器20に水を流入させる第1の管26が複数(少なくとも2つ以上)第1の蓋25に接続され,各第1の管26は円筒24の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置に接続され,各第1の管26はリング状の配管41に接続されている。リング状の配管41から配管42が分岐しており,図示しない水処理すべき水を供給する系を含む外部の系に接続されている。また,反応容器20から水処理された水が流出する第2の管43が第2の蓋31の中心部に設けられている。
円柱23の側面と円筒24の内周面との間隔,円柱23の上面と第1の蓋25の内面との間隔,円柱23の下面と第2の蓋31の内面との間隔は何れも,超音波振動子の駆動周波数に於ける水中での音波の波長の(1/4)以下とする。各第1の管26から反応容器20に流入した水は,円柱23のほぼ全表面(外周面,両端面)上で膜状に流れ,第2の管43から排水される。第2の管43は図示しない水処理された水を貯蔵する系を含む外部の系に接続されている。
円柱23は,超音波振動する際,破線23’で示すように,円柱23の軸方向と径方向の勢力がほぼ等しい振動姿態をもち,いわゆる結合振動するように構成されており,水中での音波の波長の(1/4)以下である領域には安定してキャビテーションが発生し,円柱23のほぼ全表面で膜状に流れる水にキャビテーションが発生される。複数の第1の管26から反応容器に流入した水はよどむことなく均一に,キャビテーションが発生する水処理領域に供給される。円柱23のほぼ全表面で膜状に流れる水にキャビテーションが発生し,広い水処理領域が確保されているので,安定した水処理の効果が得られる。なお,円柱23からの超音波の放射能力を良くするためには,円柱23の振動による媒質排除量を大きくすれば良いと考えられるので,円柱23の軸方向と径方向に於ける結合振動の振動モードとしては,破線23’のような基本結合振動モードを利用するのが望ましい。
なお,以上の説明に於いて,水を第2の管43から流入させ各第1の管26から流出させる構成として,水の流れる方向は逆方向としても良く,同様の効果が得られる。
(実施例2)
端面が対向するように2つの円柱を配置して,2つの円柱の端面の間の領域でもスクイーズ膜効果が生起するようにし,広い水処理領域をもち,軸対称性及び円柱の軸に直交する面に対して対称な構造をもつ反応容器を使用する。
図2は本発明の実施例2の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図である。図2に示す水処理装置は,図1に示す水処理装置の第2の蓋31を除いた構成を2つ結合した構成を有し,対向する第1の円柱23aの面と第2の円柱23bの面の間隔が,超音波振動子の駆動周波数に於ける水中での音波の波長の(1/4)以下に保持された状態で,第1の円筒24aと第2の円筒24bとが結合されている。
第1の円柱23aは第1の円筒24aの内側に,第1の円柱23aの中心軸と第1の円筒24aの中心軸とが一致するように配置される。第1の超音波振動子21a,第1の振動伝送要素22a,第1の円柱23aからなる第1の超音波振動体は,第1の円筒24aの一端に結合され第1の円筒24aの一端を密閉する第1の蓋25aによって支持されている。
第2の円柱23bは第2の円筒24bの内側に,第2の円柱23bの中心軸と第2の円筒24bの中心軸とが一致するように配置される。第2の超音波振動子21b,第2の振動伝送要素22b,第2の円柱23bからなる第2の超音波振動体は,第2の円筒24bの一端に結合され第2の円筒24bの一端を密閉する第2の蓋25bによって支持されている。
第1の円筒24aと第2の円筒24bとを1つの円筒で構成して,円筒の一端に第1の蓋25a,他端に第2の蓋25bをする構成としても良い。
第1の円筒24a,第2の円筒24b(又は,円筒24aと円筒24bを構成する1つの円筒),第1の蓋25a,及び第1の蓋25bにより反応容器20が構成される。
反応容器20に水を流入させる第1の管26aが複数(少なくとも2つ以上)第1の蓋25aに接続され,各第1の管26aは第1の円筒24a(又は,第1の円筒24aと第2の円筒24bを構成する1つの円筒)の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置に接続され,各第1の管26aは第1のリング状の配管41aに接続されている。第1のリング状の配管41aから第1の配管42aが分岐しており,図示しない水処理すべき水を供給する系を含む外部の系に接続されている。
反応容器20から水処理された水が流出する第2の管26bが複数(少なくとも2つ以上)第2の蓋25bに接続され,各第2の管26bは第2の円筒24b(又は,第1の円筒24aと第2の円筒24bを構成する1つの円筒)の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置に接続され,各第2の管26bは第2のリング状の配管41bに接続されている。第2のリング状の配管41bから第2の配管42bが分岐しており,第2の配管42bは図示しない水処理された水を貯蔵する系を含む外部の系に接続されている。
第1の円柱23aの側面と第1の円筒24a(又は,第1の円筒24aと第2の円筒24bを構成する1つの円筒)の内周面との間隔(D1),第1の円柱23aの面と第1の蓋25aの内面との間隔(D2),第1の円柱23aと第2の円筒23bの対向する面との間隔(D3),第2の円柱23bの側面と第2の円筒24b(又は,第1の円筒24aと第2の円筒24bを構成する1つの円筒)の内周面との間隔(D4),第2の円柱23bの面と第2の蓋25bの内面との間隔(D5)は何れも,超音波振動子の駆動周波数に於ける水中での音波の波長の(1/4)以下である。各第1の管26aから反応容器20に流入した水は,第1の円柱23a,第2の円柱23bのほぼ全表面上で膜状に流れ各第2の管26bから排水される。
第1の超音波振動子21a,第2の超音波振動子21bは図示されない駆動電源に接続されている。第1の円柱23aと第2の円柱23bは同位相で振動させるのが望ましい。実施例1と同様に,間隔が水中での音波の波長の(1/4)以下である領域には,水中での音波の波長の(1/4)以下である領域には安定してキャビテーションが発生し,第1の円柱23a,第2の円柱23bのほぼ全表面で膜状に流れる水にキャビテーションが発生される。
なお,以上の説明に於いて,水を各第2の管26bから流入させ各第1の管26aから流出させる構成として,水の流れる方向は逆方向としても良く,同様の効果が得られる。
振動伝送要素(22a,22b),結合振動する円柱(23a,23b)が駆動周波数28kHzで共振し目的とする振動モードとなるように,負荷状態での振動状態の解析を有限要素法を用いて行ない,反応容器20の各構成要素の寸法を決定した。
円柱(23a,23b)を,直径117mm,長さ82mmのTi合金の円柱とし,第1の円筒24aと第2の円筒24bをステンレスの1つの円筒(内径123mm,外径163mm)で構成し,振動伝送要素(22a,22b)を,直径40mm,長さ85mmのAl合金の円柱棒とした。間隔D1,D2,D3,D4,D5は何れも3mmとした。反応容器20の容積は約800mLである。超音波振動子(21a,21b)としてボルト締めランジュバン型超音波振動子を使用し,駆動周波数を約26kHzとし,第1の円柱23aと第2の円柱23bは同位相で振動させた。26kHzの音波の水中の(1/4)波長は間隔D1,D2,D3,D4,D5(3mm)よりも十分大きいので,3mmの方向には定在波は生じずこの3mmの方向の圧力分布はほぼ一様と見なせ,3mmの間隔の空間に発生する圧力変動はスクイーズ膜効果によるものである。
実施例2の水処理装置の構造では,実施例1(図1)の水処理装置よりも水処理領域が広くなると共に,第1の円柱23a,第2の円柱23bの間で膜状に流れる水は,第1の円柱23a,第2の円柱23bから振動を受けるので,キャビテーション強度が強くなり,従って,水の膜に非常に強力な水処理のための作用が付与される。
以下,実施例2の水処理装置を用いて,大腸菌(E.Coli)の殺菌評価実験を行ない得られた殺菌性能について説明する。殺菌評価実験系は,試料タンクの試料(大腸菌)を含む試料水をポンプで反応容器に送流し,反応容器から流出する試料水を再度試料タンクに戻す循環系により構成されている。試料タンクの試料水は撹拌器により常時撹拌されており,試料タンク内の試料の濃度を一定に保持している。
水処理の継続中に試料タンクから試料水を採取して,吸光光度計により試料濃度を計測する。吸光度と実際の大腸菌の濃度との較正値として,大腸菌の濃度5.8×108(cells/mL)に対する660nmの光での吸光度の値0.53を用いた。殺菌評価実験に先立ち,超音波振動子を駆動させない状態で試料水を循環させて,大腸菌の濃度が殆ど変化しないことを確認した。
図3は実施例2による流水式の水処理装置による殺菌評価実験の結果例を示す図であり,縦軸は試料水中に生存する大腸菌の濃度(cells/mL),横軸は水処理の継続時間(min)を示す。
但し,図3に示す結果は,図2に於いて,第1の管26aを1つのステンレス円筒(第1の円筒24aと第2の円筒24bを構成する)の25aの近傍の一箇所に結合し,第2の管26bをこのステンレス円筒の25bの近傍の一箇所に結合した流水式の水処理装置を使用した。
殺菌評価実験は,駆動周波数26.2kHz,消費電力130W,大腸菌の初期濃度(定数)Q0=6.0×107(cells/mL),処理量2L(使用する試料水の液量),試料水の流量ν=600(mL/min)の各条件で行なった。
図3に示す結果から,大腸菌の濃度の水処理の継続時間に対する変化は,反応速度論的に1次反応と同じ関係式で表現できると仮定できる。この1次反応の反応速度定数を大腸菌の殺菌速度定数kEと定義すると,図3に示す直線の勾配から,kE=0.052(min-1)が得られる。ここで得られた殺菌速度定数kEは,使用する循環系に於ける殺菌速度を示し,処理量にも依存する。そこで,以下に説明する手順で,反応容器そのものの殺菌速度を求めるため,反応容器を1度だけ通過するときの殺菌速度定数kECを求める。
いま,時刻tに於いて,試料タンク内での大腸菌の濃度をCm(t),反応容器の水の流入口での大腸菌の濃度をCin(t)(=Cm(t)),反応容器の水の流出口での大腸菌の濃度をCout(t),試料タンク内での試料水の体積をVt,反応容器内での試料水の体積をVCとする。但し,試料タンクと反応容器を結ぶ配管等の体積は無視する。
反応容器内での殺菌反応も1次反応であると仮定し,時刻tでの反応容器内での大腸菌の濃度をCC(t)は(数1)で与えられる。
【数1】
C(t)=Q0exp{−kECt} …(数1)
t=t1の時,
【数2】
C(t1)=Cin(t1)=Cm(t1) …(数2)
であり,t={t1+(VC/ν)}の時,
【数3】
C{t1+(VC/ν)}=Cout{t1+(VC/ν)} …(数3)
であるから,(数4)の関係が得られる。
【数4】
out{t1+(VC/ν)}=Cm(t1)exp{−kECC/ν} …(数4)
一方,循環系に於ける大腸菌の濃度の変化は,(数5)で示される(limはΔtの0への極値を示す)。
【数5】
Figure 0003812286
更に,時刻(t1+Δt)に於ける試料タンク内での大腸菌の濃度は(数6)で与えられる。
【数6】
Figure 0003812286
(数5),(数6)から(数7)が得られる。
【数7】
Figure 0003812286
(数7)に(数4)を代入して整理すると,kE(循環系の殺菌速度定数)とkEC(反応容器を1度だけ通過するときの殺菌速度定数)との関係を示す式(数8)が求められる。従って,(数8)から,kEC=0.082(min-1)が得られる。
【数8】
EC=(−ν/VC)ln{1−(kEt/ν)} …(数8)
更に,大腸菌の生存率を10-mのように表すと,(数4)から(数9)が得られる。m=1,2,3の時,殺菌率はそれぞれ,90%,99%,99.9%である。
【数9】
m=0.036(min-1)VC(mL)/ν(mL/min) …(数9)
(数9)によれば,反応容器を1度だけ通過させて,例えば,99%以上(m=2以上)の殺菌率を得るには,試料水の流量νを約14(mL/min)以下に設定すれば良いことがわかる。
キャビテーションを発生させるために従来多用されていた定在波音場を用いる大腸菌の殺菌評価実験を行なった結果を,比較のために以下に示す。定在波音場を用いる殺菌評価実験は,バッチの容器に先の殺菌評価実験に使用した試料水の約100mLを入れて,同相縦振動する直径30mmの円形振動面から周波数27.3kHzの超音波を照射した。この時,平均消費電力は約50Wであった。
図4は,本発明の実施例2による流水式の水処理装置による殺菌評価実験の結果例(図3)と,定在波音場を用いる殺菌評価実験の結果例を比較する図である。図4に於いて,縦軸は単位電力当りに殺菌された大腸菌の数(cells/W)を示し,横軸は水処理の継続時間(min)を示す。
図4に示す結果から明らかなように,流水式の水処理装置では試料水を流しながら水処理しているのにも係わらず,単位電力当りに殺菌される大腸菌の数は,定在波音場を用いる場合の約2倍に向上している。大腸菌の濃度の変化を反応速度定数kの1次反応と仮定すると,図4に於ける変化曲線(円で示す点を結ぶ)の傾向は{1−exp(−kt)}で表されるが,定在波音場を用いる場合(四角の点を結ぶ曲線)には,この傾向があまり見られず,安定した殺菌効果が得られないようである。この原因は,定在波音場を用いる場合,キャビテーションや液面の上下動等により振動子に対する水の負荷変動が大きく変化して,安定してキャビテーションが発生しないためと考えられる。逆に,スクイーズ膜効果を利用してキャビテーションを発生させる本発明の場合には,安定してキャビテーションを発生させることができ,この結果,安定した大腸菌の殺菌効果が得られていると考えられる。
(実施例3)
中心に貫通孔をもつ仕切り板を介して,端面が対向するように2つの円柱を配置して,2つの円柱の各端面と仕切り板の面との間の領域でもスクイーズ膜効果が生起するようにし,広い水処理領域をもち,軸対称性及び仕切り板に対して対称な構造をもつ反応容器を使用する。
図5は本発明の実施例3の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図であり,水処理用の2つの反応容器を備えた構造をもつ水処理装置の断面図である。実施例3の水処理装置では実施例2(図2)の水処理装置よりも更に広い面積の水処理領域を形成できる。図5に示す水処理装置は,図1に示す水処理装置の第2の蓋31を除いた構成を2つ結合した構成を有し,仕切り板32の面と対向する第1の円柱23aの面との間隔,仕切り板32の面と対向する第2の円柱23bの面との間隔がそれぞれ,超音波振動子の駆動周波数に於ける水中での音波の波長の(1/4)以下に保持された状態で,第1の円筒24aと第2の円筒24bとが,中心に水の流路をもつ仕切り板32を挟んで結合されている。
第1の円柱23aは第1の円筒24aの内側に,第1の円柱23aの中心軸と第1の円筒24aの中心軸とが一致するように配置される。第1の超音波振動子21a,第1の振動伝送要素22a,第1の円柱23aからなる第1の超音波振動体は,第1の円筒24aの一端に結合され第1の円筒24aの一端を密閉する第1の蓋25aによって支持されている。
第2の円柱23bは第2の円筒24bの内側に,第2の円柱23bの中心軸と第2の円筒24bの中心軸とが一致するように配置される。第2の超音波振動子21b,第2の振動伝送要素22b,第2の円柱23bからなる第2の超音波振動体は,第2の円筒24bの一端に結合され第2の円筒24bの一端を密閉する第2の蓋25bによって支持されている。
第1の円筒24aと第2の円筒24bは,中心部に水の流路をもつ仕切り板32の面と対向する第1の円柱23aの面との間隔,仕切り板32の面と対向する第2の円柱23bの面との間隔がそれぞれ,超音波振動子の駆動周波数に於ける水中での音波の波長の(1/4)以下に保持された状態で,仕切り板32を挟んで結合されている。
第1の円筒24a,第1の蓋25a,及び仕切り板32により第1の容器が構成され,第2の円筒24b,第2の蓋25b,及び仕切り板32により第2の容器が構成される。
第1の反応容器20aに水を流入させる第1の管26aが複数(少なくとも2つ以上)第1の蓋25aに接続され,各第1の管26aは第1の円筒24aの中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置に接続され,各第1の管26aは第1のリング状の配管41aに接続されている。第1のリング状の配管41aから第1の配管42aが分岐しており,図示しない水処理すべき水を供給する系を含む外部の系に接続されている。
第1の反応容器20aを通過し水処理された水は,仕切り板32の中心部の貫通孔33を通り第2の反応容器20bに流入する。
第2の反応容器20から水処理された水が流出する第2の管26bが複数(少なくとも2つ以上)第2の蓋25bに接続され,各第2の管26bは第2の円筒24bの中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置に接続され,各第2の管26bは第2のリング状の配管41bに接続されている。第2のリング状の配管41bから第2の配管42bが分岐しており,第2の配管42bは図示しない水処理された水を貯蔵する系を含む外部の系に接続されている。
第1の円柱23aの側面と第1の円筒24aの内周面との間隔(d1),第1の円柱23aの面と第1の蓋25aの内面との間隔(d2),仕切り板32の面と対向する第1の円柱23aの面との間隔(d3),仕切り板32の面と対向する第2の円柱23bの面との間隔(d4),第2の円柱23bの側面と第2の円筒24bの内周面との間隔(d5),第2の円柱23bの面と第2の蓋25bの内面との間隔(d6)は何れも,超音波振動子の駆動周波数に於ける水中での音波の波長の(1/4)以下に保持されている。
各第1の管26aから第1の反応容器20aに流入した水は,第1の反応容器の内部で第1の円柱23aのほぼ全表面(外周面,両端面)上で膜状に流れ,その後,仕切り板32の中心部の貫通孔33を通り第2の反応容器20bに流入し,第2の反応容器の内部で第2の円柱23bのほぼ全表面(外周面,両端面)上で膜状に流れ各第2の管26bから排水される。
なお,第1の円筒24a,第2の円筒24b,及び仕切り板32を1つの円柱から機械化工により製作して一体としても良い。
第1の超音波振動子21a,第2の超音波振動子21bは図示されない駆動電源に接続されている。第1の円柱23aと第2の円柱23bは同位相で振動させるのが望ましい。実施例1,実施例2と同様に,間隔が水中での音波の波長の(1/4)以下である領域には,水中での音波の波長の(1/4)以下である領域には安定してキャビテーションが発生し,第1の円柱23a,第2の円柱23bのほぼ全表面で流れる膜状の水にキャビテーションが発生される。
実施例3の水処理装置の構造は実施例1(図1)の水処理装置を2個直列に連結した構成と等しいが,よりコンパクトな構成となっており,省スペース化できる。
なお,以上の説明に於いて,水を各第2の管26bから流入させ各第1の管26aから流出させる構成として,水の流れる方向は逆方向としても良く,同様の効果が得られる。
実施例2と同様にして,振動伝送要素(22a,22b),結合振動する円柱(23a,23b)が駆動周波数28kHzで共振し目的とする振動モードとなるように,負荷状態での振動状態の解析を有限要素法を用いて行ない,反応容器20の各構成要素の寸法を決定した。
円柱(23a,23b)を,直径117mm,長さ82mmのAl合金の円柱とし,円筒(24a,24b)をAl合金の円筒(内径123mm,外径163mm)で構成し,振動伝送要素(22a,22b)を,直径40mm,長さ85mmのAl合金の円柱棒とした。間隔d1,d2,d3,d4,d5,d6は何れも3mmとした。仕切り板32は厚さ20mmのAl合金であり,中心の貫通孔33の直径は10mmである。
実施例3の反応容器の電気的な性質は,実施例2の殺菌評価実験に使用した反応容器の電気的な性質とほぼ同じく,駆動周波数は約26kHz,消費電力は約150Wであり,反応容器(20a,20b)の容積は約250mLである。
実施例2と同様に,超音波振動子(21a,21b)としてボルト締めランジュバン型超音波振動子を使用し,駆動周波数を約26kHzとし,第1の円柱23aと第2の円柱23bは同位相で振動させた。26kHzの音波の水中の(1/4)波長は間隔d1,d2,d3,d4,d5,d5(3mm)よりも十分大きいので,3mmの方向には定在波は生じずこの3mmの方向の圧力分布はほぼ一様と見なせ,3mmの間隔の空間に発生する圧力変動はスクイーズ膜効果によるものである。
以下,実施例2と同様にして,実施例3の水処理装置を用いて循環系を用い大腸菌(E.Coli)の殺菌評価実験を行ない得られた殺菌性能について説明する。
図6は実施例3による流水式の水処理装置による大腸菌の殺菌評価実験の結果例を示す図であり,縦軸は試料水中に生存する大腸菌の濃度(cells/mL),横軸は水処理の継続時間(min)を示す。
図6示す勾配から,kE(循環系の殺菌速度定数)=0.045(min-1)が得られる。実施例2と同様の手順により,得られたkE,Q0=8.5×107(cells/mL),Vt=1750(mL),VC=250(mL),ν=600(mL/min)の各値を用いると,kEC(反応容器を1度だけ通過するときの殺菌速度定数)=0.34(min-1)が得られる。このkECの値は,実施例2の殺菌評価実験により得られたkEC=0.082(min-1)の4倍である。大腸菌の生存率を10-mとした時の関係式は(数10)となる。例えば,99%以上(m=2以上)の殺菌率を得るには,流量νを約18(mL/min)以下に設定すれば良い。
【数10】
m=0.147(min-1)VC(mL)/ν(mL/min) …(数10)
(実施例4)
実施例1,実施例2,及び実施例3の水処理装置は,反応容器に流入した水は必ず薄い厚さをもつ軸対称性をもつ水処理領域を流れるので,反応容器に流入した水が最短の経路で反応容器から流出する場合でも,理論的にはキャビテーションの作用を与えることができる。キャビテーションが発生し,発生したキャビティによって音場が乱されたりすると,キャビテーションの発生領域にも偏りが生じることも考えられる。この場合,水処理領域を通過する水の経路を制御して,水処理領域の全体を水が通過するようにできると都合が良い。
図7は本発明の実施例4の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図である。以下,円柱の側面,端面で水の流れる経路を制御する水処理装置の構成例について説明する。図7は,実施例1(図1)の水処理装置の構成に於いて,円柱23の側面で水の流れる経路を制御する構成例を示す図である。図7に於いて,円柱23の側面と円筒24の内面との間に,水の流れ仕切ることが可能で細長く軟らかい弾性体5を螺旋状に円柱23の外周に巻き付けるようにして挿入する。弾性体5は軟らかいので円柱23の振動を拘束せず,水の流れだけを制御する。この構成により各第1の管26から流入した水は常に円柱23の側面を螺旋状に流れ,キャビテーションの発生に位置的な偏りがある場合にも,水が各第1の管26から流入して第2の管43から流出する間に,反応容器20を流れる水に水処理のための作用を一様に付与できる。
図8は,実施例1(図1)の流水式の水処理装置の構成に於いて,円柱23の第2の蓋31に対向する端面で水の流れる経路を制御する構成例を示す図である。円柱23の端面に,別の弾性体5’を,例えば,図8に示すように渦巻き状に配置して水の仕切りを作り,水の流れを仕切る。円柱23の側面を通過してきた水は,円柱23の第2の蓋31に対向する端面では,円柱23の外周部から端面の中心部へ渦巻き状に流れていき,第2の蓋31の中心部に設けられた第2の管43から排水される。弾性体5,5’としては,例えば,スポンジを細長く成形して表面をシリコン等でコーティングしたものを用いれば良い。
以上説明した構成を実施例2,実施例3に適用して,同様の構成により,実施例2(図2)の水処理装置の構成に於いて,第1の円柱23a,第2の円柱23bの側面に弾性体5を配置して側面を水の流れる経路を制御し,第2の円柱23bの第2の蓋25bに対向する端面に弾性体5’を配置して端面で水の流れる経路を制御できる。
実施例3(図5)の水処理装置の構成に於いて,第1の円柱23a,第2の円柱23bの側面に弾性体5を配置して側面を水の流れる経路を制御し,第2の円柱23aの仕切り板32に対向する端面に弾性体5’を配置して端面で水の流れる経路を制御し,第2の円柱23bの第2の蓋25bに対向する端面に弾性体5’を配置して端面で水の流れる経路を制御できる。
このようにして,キャビテーションの発生に位置的な偏りがある場合にも,水が反応容器20,反応容器20a,20bに流入してから流出する間に,反応容器20,反応容器20a,20bを流れる水に水処理のための作用を一様に付与できる。
以上説明した各実施例では,円柱の表面全体に水処理領域が形成されるように,水の流入,流出のための管を蓋に結合し,水の流入,流出のための管の蓋への結合位置を円柱の中心軸に対して対称な位置とすることにより,広い水処理領域を形成して,水処理される水が反応容器内を対称に流れ,水処理領域のほぼ全域を通過する。この結果,反応容器内での水の停滞がなく,水処理のための作用を流れる水に安定して付与でき安定な水処理ができる。
一般的に比較的低い周波数の方が少ないエネルギでキャビテーションが発生できる。また,図1の破線23’に示すような円柱23の振動姿態は,円柱の材質,寸法,及び使用する超音波の周波数により決定され,同じ材質であれば低い周波数ほど寸法が大きくなる。これらから,薄い厚さの水処理領域の面積を広くを確保し,効率良くキャビテーションの効果を利用するには,比較的低い周波数域の超音波,望ましくは100kHz以下の超音波を用いるのが良い。
更に,各実施例に於いて,複数の水処理装置を直列又は並列に連結すればより広い面積の水処理領域を確保することができる。
また,図1,図2,図5,図7,図8に示す構成では,円柱(23,23a,23b)と円筒(24,24a,24b)との間隔を3mmとしたが,この間隔の値は,超音波振動子の駆動周波数に於ける水中の音波の波長の(1/4)以下であれば良く,装置の組立ての容易性,装置の安全な運転等の観点から最小値を500μm程度の値とするのが好ましい。
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,1つの超音波振動源により広い面積にキャビテーションを発生させ,水処理領域の面積を大きく確保でき,同じ消費エネルギで水中の微生物に水処理のための作用を十分に付与できる。
また,本発明によれば,円柱の側面の振動を利用して形成される水処理領域で水を膜状に流すと共に,円柱の側面以外の面の振動を利用して形成される水処理領域でも水を膜状に流して,水を水処理領域のほぼ全域を通過させるので,水処理効率(速度,スループット等)が向上する。
また,本発明によれば,水処理領域に水の流れを仕切る弾性体を配置するので,キャビテーションの発生分布に偏りが生じた場合にも水処理のための作用を流れる水に安定して付与でき,安定な水処理ができる。
更に,本発明によれば,反応容器の中心軸に関して対称な複数の位置から水を流入させ,反応容器の中心軸に関して対称な複数の位置から水を流出させるので,反応容器内で水がよどむことなく,水処理のための作用を流れる水に安定して付与でき,安定な水処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図。
【図2】本発明の実施例2の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図。
【図3】実施例2による流水式の水処理装置による殺菌評価実験の結果例を示す図。
【図4】本発明の実施例2による流水式の水処理装置による殺菌評価実験の結果例(図3)と,定在波音場を用いる殺菌評価実験の結果例を比較する図。
【図5】本発明の実施例3の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図。
【図6】実施例3による流水式の水処理装置による殺菌評価実験の結果例を示す図。
【図7】本発明の実施例4の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図。
【図8】本発明の実施例4の流水式の水処理装置の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1…駆動電源,5,5’…弾性体,20…反応容器,20a…第1の反応容器,20b…第2の反応容器,21…超音波振動子,21a…第1の超音波振動子,21b…第2の超音波振動子,22…振動伝送要素,22a…第1の振動伝送要素,22b…第2の振動伝送要素,23…円柱,23a…第1の円柱,23b…第2の円柱,23’…円柱の振動姿態,24…円筒,24a…第1の円筒,24b…第2の円筒,25,25a…第1の蓋,25b…第2の蓋,26,26a…第1の管,26b…第2の管,31…第2の蓋,32…仕切り板,33…貫通孔33,41…リング状の配管,41a…第1のリング状の配管,41b…第2のリング状の配管,42…配管,42a…第1の配管,42b,43…第2の配管。

Claims (11)

  1. 超音波振動子と該超音波振動子に結合される振動伝送要素と該振動伝送要素の軸方向に結合され前記振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する円柱とを含む超音波振動体と,中心軸を前記円柱と共有して前記円柱を内包する円筒と,前記円筒の一端に結合され,前記超音波振動体を支持し複数の第1の管が接続される第1の蓋と,前記円筒の他端に結合され,第2の管が接続される第2の蓋とを有し,前記第1の蓋,前記円筒,前記第2の蓋により反応容器が構成され,前記第1の蓋の面とこれに対向する前記円柱の面との第1の間隔,前記円筒の内周面と前記円柱の外周面との第2の間隔,及び前記第2の蓋の面とこれに対向する前記円柱の面との第3の間隔がそれぞれ,水中での音波の波長の(1/4)以下であり,前記第1の管から水を前記反応容器に流入させ前記第2の管から水を流出させ,又は,前記第2の管から水を前記反応容器に流入させ前記第1の管から水を流出させて,前記流入と前記流出の間に前記第1から前記第3の間隔の領域にキャビテーションを発生させて水処理を行なうことを特徴とする水処理装置。
  2. 請求項1に記載の水処理装置に於いて,前記円柱の外周面に水流れを仕切る弾性体を備えることを特徴とする水処理装置。
  3. 請求項1に記載の水処理装置に於いて,前記第2の蓋の面に対向する前記円柱の面に水の流れを仕切る弾性体を備えることを特徴とする水処理装置。
  4. 第1の超音波振動子と該第1の超音波振動子に結合される第1の振動伝送要素と該第1の振動伝送要素の軸方向に結合され前記第1の振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する第1の円柱とを含む第1の超音波振動体と,第2の超音波振動子と該第2の超音波振動子に結合される第2の振動伝送要素と該第2の振動伝送要素の軸方向に結合され前記第2の振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する第2の円柱とを含む第2の超音波振動体と,中心軸を前記第1の円柱及び前記第2の円柱と共有して前記第1の円柱及び前記第2の円柱を内包する円筒と,前記円筒の一端に結合され,前記第1の超音波振動体を支持し複数の第1の管が接続される第1の蓋と,前記円筒の他端に結合され,前記第2の超音波振動体を支持し複数の第2の管が接続される第2の蓋とを有し,前記第1の蓋,前記円筒,前記第2の蓋により反応容器が構成され,前記第1の蓋の面とこれに対向する前記第1の円柱の面との第1の間隔,前記円筒の内周面と前記第1の円柱の外周面との前記第2の間隔,前記第1の円柱と前記第2の円柱の対向する面の第3の間隔,前記円筒の内周面と前記第2の円柱の外周面との前記第4の間隔,及び前記第2の蓋の面とこれに対向する前記第2の円柱の面との第5の間隔がそれぞれ,水中での音波の波長の(1/4)以下であり,前記第1の管から水を前記反応容器に流入させ前記第2の管から水を流出させ,又は,前記第2の管から水を前記反応容器に流入させ前記第1の管から水を流出させて,前記流入と前記流出の間に前記第1から前記第5の間隔の領域にキャビテーションを発生させて水処理を行なうことを特徴とする水処理装置。
  5. 請求項4に記載の水処理装置に於いて,前記第1の円柱及び前記第2の円柱の外周面に水流れを仕切る弾性体を備えることを特徴とする水処理装置。
  6. 請求項4に記載の水処理装置に於いて,前記第2の蓋の面に対向する前記第2の円柱の面に水の流れを仕切る弾性体を備えることを特徴とする水処理装置。
  7. 請求項4に記載の水処理装置に於いて,前記複数の第1の管が,前記円筒の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置で前記第1の蓋に接続され,前記複数の第2の管が,前記円筒の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置で前記第2の蓋に接続されることを特徴とする水処理装置。
  8. 第1の超音波振動子と該第1の超音波振動子に結合される第1の振動伝送要素と該第1の振動伝送要素の軸方向に結合され前記第1の振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する第1の円柱とを含む第1の超音波振動体と,第2の超音波振動子と該第2の超音波振動子に結合される第2の振動伝送要素と該第2の振動伝送要素の軸方向に結合され前記第2の振動伝送要素からの振動によって軸方向と径方向の最大変位振幅が同程度で振動する第2の円柱とを含む第2の超音波振動体と,中心軸を前記第1の円柱と共有して前記第1の円柱を内包する第1の円筒と,中心軸を前記第2の円柱と共有して前記第2の円柱を内包する第2の円筒と,前記第1の円筒の一端に結合され,前記第1の超音波振動体を支持し複数の第1の管が接続される第1の蓋と,前記第2の円筒の一端に結合され,前記第2の超音波振動体を支持し複数の第2の管が接続される第2の蓋と,中心部に貫通孔をもち,前記第1の円筒の他端と前記第2円筒の他端とを対向させて結合する仕切り板とを有し,前記第1の蓋,前記第1の円筒,前記仕切り板により第1の反応容器が構成され,前記第2の蓋,前記第2の円筒,前記仕切り板により第2の反応容器が構成され,前記第1の蓋の面とこれに対向する前記第1の円柱の面との第1の間隔,前記第1の円筒の内周面と前記第1の円柱の外周面との前記第2の間隔,前記仕切り板の面とこれに対向する前記第1の円柱の面との第3の間隔,前記仕切り板の面とこれに対向する前記第2の円柱の面との第4の間隔,前記第2の円筒の内周面と前記第2の円柱の外周面との第5の間隔,及び前記第2の蓋の面とこれにに対向する前記第2の円柱の面との第6の間隔がそれぞれ,水中での音波の波長の(1/4)以下であり,前記第1の管から水を前記第1の反応容器に流入させ前記貫通孔から前記第2の反応容器に水を流し前記第2の管から水を流出させ,又は,前記第2の管から水を前記第2の反応容器に流入させ前記貫通孔から前記第1の反応容器に水を流し前記第1の管から水を流出させて,前記流入と前記流出の間に前記第1から前記第6の領域にキャビテーションを発生させて水処理を行なうことを特徴とする水処理装置。
  9. 請求項8に記載の水処理装置に於いて,前記第1の円柱及び前記第2の円柱の外周面に水流れを仕切る弾性体を備えることを特徴とする水処理装置。
  10. 請求項8に記載の水処理装置に於いて,前記第2の蓋の面に対向する前記第2の円柱の面に水の流れを仕切る弾性体を備えることを特徴とする水処理装置。
  11. 請求項8に記載の水処理装置に於いて,前記複数の第1の管が,前記第1の円筒の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置で前記第1の蓋に接続され,前記複数の第2の管が,前記第2の円筒の中心軸に対応する位置を中心とする円周上の対称な位置で前記第2の蓋に接続されることを特徴とする水処理装置。
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