JP3810981B2 - 座標位置検出方法及びこれを用いた表示装置 - Google Patents

座標位置検出方法及びこれを用いた表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標位置検出方法及びこれを用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)やブラウン管(以下、CRTという)に用いられるタッチパネル等の表示装置においては、指などが触れた位置を座標上で検出する場合がある。
タッチパネル上で指などが触れた場合の位置を検出する方式の一つとして、指の位置を座標上で割り出す方式があり、この方式の一例として、例えば、図10に示すような光学的に座標を割り出す構成が知られている。
図10において、表示面1の一方の縦辺と横辺には複数の発光素子Ax1〜Axn及びAy1〜Aymがそれぞれ配列され、これら発光素子と対向する他方の縦辺と横辺には複数の受光素子Bx1〜Bxn及びBy1〜Bymとがそれぞれ配列されている。これら各発光素子から照射される光、この場合には、対向する受光素子によって赤外線ビームが受光されるようになっている。
【0003】
このタッチパネルは、指やタッチペンなどによって表示面1上の任意の点(以下、タッチ位置という)pがタッチされると、このタッチ位置pにおいて、横辺及び縦辺の対応する発光素子から照射される光が遮断されてそれぞれ対向する受光素子に受光されなくなるので、この横辺と縦辺の受光していない受光素子の配列位置からタッチ位置pのX軸とY軸との座標位置を検出することにより、タッチ位置pを特定するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のタッチパネルでは、上述したように、所定間隔を以て配列されている一対の発光素子と受光素子とが必要となる。このため、素子の配列数に応じた解像度が得られることになり、解像度を向上させるには発光素子と受光素子との数を増やすことになり、このことが部品点数の増加によるコスト上昇を招く原因となる。しかも、発光素子や受光素子を増やすには、それ相応のスペースが必要となるが、タッチパネルが設置される場所の広さなどによる制約によって限界があり、闇雲に素子の増設を行うことができない。仮に、各素子の増設が可能な場合でも、増設に伴う信号処理のための回路基板の大型化という新たな問題が生じる。従って、限られているスペースを用いた場合には、素子の増設が難しいことから高い解像度(分解能)を得ることが困難であるという問題があった。
【0005】
一方、上述した構成を用いて各方向での座標位置を求める場合、横方向(X軸方向)では、Ax1からAxn迄を順次走査することにより赤外線ビームが遮断された位置に基づき座標位置が検出され、縦方向(Y軸方向)では、同じくAy1からAyn迄を順次走査することにより赤外線ビームが遮断された位置に基づき座標位置が検出される。つまり、Y軸方向の各列毎にX軸方向での各発光素子を用いた走査を行い、この走査をY軸方向の各列を対象として繰り返している。
しかし、このような従来の走査方法では座標検出に要する時間が長大化して操作性が悪化する。
すなわち、例えば、配列された順番に従って、X軸方向の各先頭の発光素子(Ax1,Ay1)から順に点灯走査が最後段の発光素子(Axn、Ayn)に至るまで繰り返される必要があり、座標位置検出ポイント数が増加するとそれに応じて走査時間が長くなり、座標検出に要する時間が長くなり操作性が悪くなる。
【0006】
本発明の目的は、前記従来の座標位置割り出しに際しての問題に鑑み、解像度(分解能)を向上させるとともに座標検出に要する時間を短縮して操作性を向上させることができる座標位置検出方法及びこれを用いた表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本願の各請求項に係る発明は、以下の特徴を具備するものである。
【0008】
第1に、水平方向及び垂直方向で所定の間隔を以って配列された発光素子及びこれらに対向する受光素子を用い、各発光素子と受光素子との間に構成される光路が遮光物体により遮断されることにより前記遮光物体の座標位置を検出する方法であって、前記遮光物体の動きを検出した直近の過去のN個の座標データを記憶し、前記N個の座標データの内のn個(1≦n≦N)を用いて前記遮光物体の座標位置を算出すると共に、前記遮光物体の動き速度に応じて、前記座標位置の算出に用いる前記座標データの個数nを変更する座標位置検出方法において、全ての発光素子を含む第1の範囲内で発光素子を順番に走査して光ビームを出射し、光ビームが遮断された座標位置を算出する第1モードと、光ビームが遮断された位置の発光素子を含む、前記第1の範囲よりも狭い第2の範囲内で発光素子を順番に走査して光ビームを出射し、光ビームが遮断された座標位置を算出する第2モードとを設定し、前記第1モードにより座標位置を算出した後、前記遮光物体の連続的な動きに対する座標位置の算出を前記第2モードにより行うことを特徴とする。
【0009】
第2には、前記遮光物体の動き速度が速い場合には前記座標位置を算出するのに用いる前記座標データの個数nを少なくし、前記遮光物体の動き速度が遅い場合には前記座標位置を算出するのに用いる前記座標データの個数nを多くすることを特徴とする。
【0010】
第3には、前記第2モードにおいて、前記遮光物体の動き方向側を走査する発光素子数を動き方向とは反対側を走査する発光素子数に比して多くすることを特徴とする。
【0011】
第4には、前記第2モードにおいて、前記遮光物体の動き方向側を走査する発光素子数を動き方向とは反対側を走査する発光素子数に比して多くすることを特徴とする。
【0012】
第5には、前記第2モードにおいて、前記遮光物体の動き速度が小さい場合に比して該動き速度が大きい場合に、前記第2の範囲を広げて前記動き速度に対応した検出を可能にすることを特徴とする。
【0013】
第6には、水平方向及び垂直方向で所定の間隔を以って配列された発光素子及びこれらに対向する受光素子を用い、各発光素子と受光素子との間に構成される光路が遮光物体により遮断されることにより前記遮光物体の座標位置を検出する方法であって、前記遮光物体の動きを検出した直近の過去のN個の座標データを記憶し、前記N個の座標データの内のn個(1≦n≦N)を用いて前記遮光物体の座標位置を算出すると共に、前記遮光物体の動き速度に応じて、前記座標位置の算出に用いる前記座標データの個数nを変更する座標位置検出方法において、全ての発光素子を含む第1の範囲内で発光素子を順番に走査して光ビームを出射し、光ビームが遮断された座標位置を算出する第1モードと、光ビームが遮断された位置の発光素子を含む、前記第1の範囲よりも狭い第2の範囲内で発光素子を順番に走査して光ビームを出射し、光ビームが遮断された座標位置を算出すると共に前記第2の範囲を除く前記第1の範囲内で発光素子を間引いて走査して遮光物体の座標位置を検出する第2モードとを設定し、前記第1モードにより座標位置を算出した後、前記遮光物体の連続的な動きに対する座標位置の算出を前記第2モードにより行うことを特徴とする。
【0014】
第7には、前記第2モードにおいて、前記遮光物体の動き方向側を走査する発光素子数を動き方向とは反対側を走査する発光素子数に比して多くすることを特徴とする。
【0015】
第8には、前記第2モードにおいて、前記遮光物体の動き速度が小さい場合に比して該動き速度が大きい場合に、前記第2の範囲を広げて前記動き速度に対応した検出を可能にすることを特徴とする。
【0016】
第9には、前述のいずれかに記載の座標位置検出方法を用いる表示装置であって、対向する辺部の一方に配列されて赤外線ビームを出射可能な複数の発光素子と、対向する辺部の他方に配列されて赤外線ビームを受光可能な複数の受光素子とを備えた表示面と、前記発光素子及び受光素子がそれぞれ接続されている制御部とを有することを特徴とする。
【0018】
【作用】
このような特徴を有する本発明は、以下の作用を有する。一つには、検出された座標位置に関する直近の過去のデータを記憶した座標データに基づいて座標位置を算出できるようにすることで、新たなデータサンプリングによる座標位置の新たな算出を行う手間を簡略化することができる。しかも、算出の際には遮光物体の動き速度に応じて取り込まれる座標データの個数を変化させるので、動き速度に応じた解像度(分解能)を得られるようにして座標位置の算出に必要なサンプリング時間の冗長化を防止できる。
【0019】
また、遮光物体が検出された座標位置の前後所定数の発光素子を用いて順番に走査し、それ以外の発光素子を間引いて走査するので、解像度(分解能)を低下させることなく座標位置の算出に要する時間を短縮することができる。
【0020】
また、遮光物体の移動方向に順じた方向の発光素子の数を遮光物体の移動方向と反対側のものよりも多くし、及び/又は遮光物体の移動量が小さい場合に比して移動量が大きい場合に発光素子の数を多くしているので、遮光物体の移動に先んじて発光素子による密な走査が行えるとともに、移動方向と反対側、換言すれば、遮光物体が位置しない側では発光素子の間引きを行うことができるので、遮光物体の移動方向での座標検出に対する解像度(分解能)を上げるとともに走査時間を短縮することができる。
【0021】
また、全ての発光素子を対象として順番に走査する第1のモードと光ビームが遮断された位置の発光素子を含んで前記全ての発光素子よりも少ない発光素子を対象として順番に走査する第2のモードとを設定し、第1モードで算出された座標位置から遮断位置が変化した場合には、その変化する位置を第1モードではなく、第2モードで算出することができるので、一々、第1モードによる全ての発光素子を対象としたフルストロークでの走査ではなく、ショートストロークによる走査によって遮断位置を割り出すことができ、第1モードを実行する場合に比べて遮断位置の算出時間を短くすることができる。
【0022】
また、第2モードでの遮断物体の動き速度に応じて発光素子の数を変更できるので、解像度を低下させることなく遮断位置の算出時間を短くすることができる。
【0023】
また、制御部により、遮断物体の動き速度に対応して発光素子の走査態位を設定することにより、解像度(分解能)を低下させることなく遮断位置の算出時間を短縮することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図示実施例により本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明実施例による座標位置検出方法を用いる表示装置を示す図である。
同図において、タッチパネルなどの表示装置10における表示面11は、水平及び垂直方向で対向する辺部を有している。
水平、垂直方向の各辺部において、水平方向の辺部の一方及び垂直方向の辺部の一方には、辺部に沿ってX側発光器12A、Y側発光器12Bが等間隔を以て複数配列されている。
水平、垂直方向の各辺部の他方には、辺部に沿って受光部を構成するX側検出器12A’、Y側検出器12B’が発光器12A、12Bと正対する関係を以て複数配列されている。
各方向での発光器12A、12Bには、これら発光器の点灯駆動を行うための駆動制御部12A1,12B1が接続され、各方向での検出器12A’、12B’には、検出器から出力された光電信号を後述する制御部13に対して出力する出力選択部12A1’、12B1’が接続されている。
本実施例での発光器12A、12B及び検出器12A’、12B’は、発光素子及び受光素子を1ブロックに8素子備え、水平方向に28ブロック(224素子)、垂直方向に16ブロック(128素子)が配列されている。
【0025】
制御部13は、出力選択部12A1’、12B1’からの信号に基づき座標位置を検出する座標検出部13Aと、発光器12A、12Bに対する点灯順序を設定する駆動順序制御部13Bと、座標検出部13Aにおいて割り出された座標位置を座標データ信号として変換するデータ変換部13Cとを備えている。
【0026】
制御部13では、表示面11において発光器12A、12Bから出射された赤外線ビームが検出器12A’、12B’に至る途中で遮断された座標位置を割り出すようになっている。
座標位置を特定するために、制御部13では、高分解能座標位置検出モードが設定されている。
このモードは、遮光物体(スタイラス)を検出した際の過去の所定数(N)の座標データを記憶し、それに応じて光学素子間の中間の座標を検出して解像度(分解能)を上げる方式において、遮光物体(スタイラス)の移動量に応じて座標検出に用いる検出座標データの個数を変更するモードである。このモードを設定する理由は次の通りである。
光学式座標検出装置による検出座標をそのままディスプレイ上のポインタの座標に反映させると、遮光物体(スタイラス)の微妙な揺れが原因してディスプレイ上のポインタが隣接する画素間で位置が定まらないドリフト現象が発生する。このために、ゆっくりと直線を描くと、まっすぐに描くことができず、いわゆる、ギザギザ(階段状となる)状態が発生する。
一方、光学式座標検出装置による解像度はディスプレイの解像度よりも低いという関係であるので、座標位置検出に用いられる光学素子の中間座標を生成する一つの方法として、光学式座標検出装置における過去の検出座標をメモリに記憶し、直近の数個の座標データの演算によりディスプレイ上のポインタの座標を算出する方法がある。この演算に用いられるデータの数を多くすると上述したギザギザ状態を解消することができる。しかし、多くのデータを用いて演算する場合には、遮光物体の動きに対してポインタの追随性が悪くなり、座標位置を割り出す際の時間的な冗長感が発生して操作性が低下する。このため、ギザギザ状態の解消とポインタの追随性とは相反する関係となる。
【0027】
本実施例では、遮光物体の動き速度に応じて演算に用いる座標データの個数を変更することにより前記両者間の相反する関係を同時に満足させるようにしている。具体的には、遮光物体の動き速度が速い場合には、演算に用いるデータの数を少なくして追随性を改善し、遮光物体の動き速度が遅い場合には、演算に用いるデータの数を多くしてギザギザ状態を解消するようにしている。
【0028】
図2は、高分解能座標位置検出モードを実行する制御部13での動作を説明するフローチャートであり、同図において、
L:積分レベル
P1〜P4:記憶されている過去データ
a1(L)〜a4(L):係数(Lの関数)
PI:検出座標
PO:出力座標
とし、遮光物体の動きの量に応じて、演算に用いるデータの個数(積分レベル)を最小2,最大4とした場合、遮光物体(スタイラス)の検出が開始され、遮光物体により赤外線ビームが遮断されると(ST1)、その遮断位置検出座標位置が算出されて記憶されるとともに出力される(ST2)。
遮光物体の検出座標位置が出力されると、その前後所定数の発光素子を用いた走査が行われ(ST3)、新たな領域、つまり先に検出された遮光物体の座標位置前後での走査に基づき得られた検出座標位置が記憶され(ST4)、ステップST2とST4との座標位置から遮光物体の移動量が検出され(ST5)、その移動量に応じて出力座標に導出するために用いられる検出座標の個数がチェックされ(ST6)、新たに設定された場合には設定された個数の検出座標位置を用いて遮光物体の座標位置が算出される(ST7)。この処理は、電源がオフするまでの間継続されて遮光物体の座標位置割り出しが維持される(ST8)。
【0029】
図3は、データの個数を決定する際の動作を説明するための模式図であり、同図において、
al(2)=0.5,a2(2)=0.5,a3(2)=0,a4(2)=0
a2(3)=0.33,a2(3)=0.33,a3(3)=0.33,a4(3)=0
a2(4)=0.25,a2(4)=0.25,a3(4)=0.25,a4(4)=0.25
とした場合の例を示す。同図において、検出座標PI1〜PI5までと、PI8〜PI9までは移動量が少なく、PI6〜PI8までは移動量が多い。
各出力座標は、移動量に応じた個数の検出座標を用いて次のように導出される。
(A)L=1:PO1=PI1
(B)L=2:PO2=0.5*PI1+0.5*PI2,
PO7=0.5*PI6+0.5PI7,PO8=0.5*PI7+0.5*PI8
(C)L=3:PO3=0.33*PI1+0.33*PI2+0.33*PI3,PO6=0.33*PI4+0.33*PI5+0.33* PI6,PO9=0.33*PI7+0.33*PI8+0.33PI9
(D)L=4:P04
PO4=0.25*PI1+0.25PI2+0.25PI3+0.25*PI4
PO5=0.25*PI2+0.25PI3+0.25PI4+0.25*PI5
このように、(B)においては、過去の2個のデータを、(C)においては過去の3個のデータを、(D)においては過去の4個のデータをそれぞれ使用するというように、移動量が小さくなるほど、データの個数を多くしており、例えば、移動量が少ない場合であるPO5に関する出力座標は、PI1〜PI4の4個のデータを用い、また、移動量が多い場合であるPO7に関する出力座標はPI6〜PI7の2個のデータが用いられ、移動量が少ない場合での描画特性を向上させて分解能を高めるようになっている。
【0030】
前記モードにおいては、遮光物体(スタイラス)を検出するまでの間での発光素子の数を間引き、遮光物体が検出された時点でその検出した位置を境にして上述したように検出位置の発光素子を境にしてその前後所定数の発光素子を走査することも可能である。
このように、遮光物体の検出位置を境にして走査状態を異ならせることにより、走査時間が無用に長大化するのを防止することができる。
【0031】
次に、本発明の別実施例について説明する。
図4は、制御部13に設定されている第1,第2モードを説明するための模式図であり、これら第1,第2モードは、図2において説明した高分解能座標位置検出モードと併せて実行される。
(1)フルスキャンモード(第1モード)
このモードは、画面上での全領域を走査する。このモードについて図4を用いて説明すると次の通りである。
なお、図4は、図1に示した発光器12A、12B及び検出器12A’、12B’の配列状態を示す模式図であり、同図では、X軸方向の発光器(図1において符号12Aで示す部材)が符号Ax1〜Axnで示され、X軸方向での検出器(図1において符号12A’で示した部材)がBx1〜Bxnで示されており、これら各符号で示した発光器及び検出器は、上述した8素子を有するブロックが相当している。また、Y軸方向での発光器(図1において符号12Bで示した部材)及び検出器(図1において符号12B’で示した部材)は、符号Ay1〜Ayn及びBy1〜Bynで示してある。
同図において、フルスキャンモード(第1モード)は、走査開始位置の発光素子ブロックでの先頭に位置する発光素子(便宜上、図4において、発光器の符号であるAx1で示す)から走査終了位置の発光素子ブロックでの最終位置に設けられている発光素子(便宜上、図4において、発光器の符号であるAxnで示す)迄を用いて順番に赤外線ビームを出射させ、これを水平方向及び垂直方向で繰り返して走査する。
【0032】
(2)ショートスキャンモード(第2モード)
このモードは、第1モードにおいて検出された赤外線ビームの遮断位置を含ませてフルスキャンモード(第1モード)での走査範囲よりも狭い範囲に限定し、その範囲内で順番に走査する。
図4において、例えば、符号(A)で示す位置が遮断位置である場合、この遮断位置を割り出すことができる発光素子を有した発光素子ブロックX2(発光器Axi)の前後を新たな走査範囲として設定し、発光素子ブロックX2(Axi)の一つ前の発光素子ブロックX1(発光器Ax(i−1))における先頭位置の発光素子から走査を開始し、発光素子ブロックX2(発光器Axi)の一つ後ろの発光素子ブロックX3(発光器Ax(i+1))における最後位置の発光素子迄を用いた走査を行う。
このモードでは、水平方向で該当する発光素子ブロックAx1〜Axnに対応する垂直方向においても同様な走査が行われる。
【0033】
制御部13では、フルスキャンモード(第1モード)による走査時に赤外線ビームが遮断されると、その遮断された座標位置の発光素子ブロックを境にした前後位置に配列されているブロックを対象として第2モードを実行することで走査対象範囲を狭くする。
これにより、フルスキャンモード(第1モード)を実行する場合に比較してショートスキャンモード(第2モード)での走査範囲が狭くなるので、走査に要する時間がそれだけ短縮されることになる。
ショートスキャンモード(第2モード)では、限定された範囲内での走査において赤外線ビームが遮断された位置の座標位置がフルスキャンモード(第1モード)と同様に算出される。従って、ショートスキャンモード(第2モード)において遮断された位置の座標位置が算出された場合、その座標位置が、仮に、限定された範囲内で最後に位置する発光素子ブロックよりも前の位置であると、最後までの走査を行なわずに、その算出された座標位置に対応する発光素子を有する発光素子ブロックを境にして新たにその前後に位置する発光素子ブロックを対象とした範囲で走査が再開される。
【0034】
図5は、フルスキャンモード(第1モード)からショートスキャンモード(第2モード)に切り換えられる際の走査状態を説明するための模式図であり、同図において、フルスキャンモード(第1モード)において赤外線ビームが遮断されると、遮断された位置の座標上に位置する発光素子ブロックを境にしてその前後の発光素子ブロックを対象とした走査に切り換えられる。このため、ショートスキャンモード(第2モード)では、フルスキャンモード(第1モード)での行程に対して赤外線ビームが遮断された座標位置から一つ前の位置を始点としてその座標位置から一つ後ろの位置までを対象とした行程が設定される。
従って、フルスキャンモード(第1モード)により遮断された座標位置が割り出されると、次回の走査範囲がX、Y各軸方向での全領域ではなく、遮断された座標位置を含む前後の領域のみとされるので、走査に要する時間が短縮されることになる。
ショートスキャンモード(第2モード)は、限定された範囲内で赤外線ビームの遮断された位置が割り出されると、その座標上にある発光素子を有した発光素子ブロックを境にしてその前後位置の発光素子ブロックを新たな走査範囲として繰り返される。
【0035】
図6は、制御部13の作用を説明するためのフローチャートであり、同図において、表示装置10の電源が投入されると走査が開始され(便宜上、図6ではスタートと表示している)、まずフルスキャンモード(第1モード)が実行される(ST9)。
フルスキャンモードにおいて赤外線ビームが遮断された場合には、前述した高分解能座標位置検出処理と同様に、その遮断位置検出座標位置が算出されて記憶されるとともに出力される(ST2)。
遮光物体の検出座標位置が出力されると、検出された座標位置を境にして前後所定数の発光素子を用いたショートスキャンモードによる走査が行われ(ST10)、新たな領域、つまり先に検出された遮光物体の座標位置前後での走査に基づき得られた検出座標が記憶され(ST4)、ステップST2とST4との座標位置から遮光物体の移動量が検出され(ST5)、その移動量に応じて出力座標を導出するために用いられる検出座標の個数がチェックされ(ST6)、新たに設定された場合にはその設定された個数の検出座標位置を用いて遮光物体の座標位置が算出される(ST7)。この処理は、電源がオフするまでの間継続されて遮光物体の座標位置割り出しが維持される(ST8)。
本実施例によれば、フルスキャンモードを実行している過程で遮光物体の座標位置が検出されると、フルスキャンモードから所定範囲内のみを走査するショートスキャンモードが実行されるので、座標の検出スピードを速めることができる。
【0036】
次に本発明のさらに別の実施例を説明する。
図7は、制御部13において設定されている疎密スキャンモードを説明するための模式図であり、このモードでは、図2に示した高分解能座標位置検出処理モードに併せて遮光物体の座標位置を検出した場合にその座標位置の周辺部での発光素子の数を増やし、それ以外の範囲での発光素子の数を減らすことで1周期あたりの走査時間を短縮するようになっている。
図7において、白丸及び黒丸は発光素子群を示しており、白丸は走査する発光素子を、また黒丸は走査しない発光素子をそれぞれ示している。
走査する発光素子(白丸)は、スタイラスAが検出された周辺部が該当し、それ以外の箇所での発光素子(黒丸)は、例えば1個毎に走査を行うようになっている。本実施例では、図7における(1)で示した走査手順と(2)で示した走査手順とのいずれかあるいは両方を交互に組み合わせる等して走査が行われる。
【0037】
図8は、制御部13において疎密スキャンモードを実行するためのフローチャートであり、同図において、図6に示した処理と同様に、まずフルスキャンモード(第1モード)が実行される(ST9)。
フルスキャンモードにおいて赤外線ビームが遮断された場合には、前述した高分解能座標位置検出処理と同様に、その遮断位置の検出座標位置が算出されて記憶されるとともに出力される(ST2)。
遮光物体の検出座標位置が出力されると、検出された座標位置を基準としてその周辺部の発光素子を用いて順番に走査するとともにそれ以外の箇所での発光素子による走査を図7に示した手順に基づき行う疎密スキャンモードが実行される(ST11)。
ステップST10において疎密スキャンモードが実行されると、その検出座標位置の周辺部での走査に基づき得られた検出座標が記憶され(ST4)、ステップST2とST4との座標位置から遮光物体の移動量が検出され(ST5)、その移動量に応じて出力座標を導出するために用いられる検出座標の個数がチェックされ(ST6)、新たに設定された場合にはその設定された個数の検出座標位置を用いて遮光物体の座標位置が算出される(ST7)。この処理は、電源がオフするまでの間継続されて遮光物体の座標位置割り出しが維持される(ST8)。
本実施例によれば、図6に示した場合と同様に、遮光物体の周辺部以外での走査が間引かれることになるので、一周期での走査時間がフルスキャン時に比べて短縮されることになる。
【0038】
図9は図7に示した手順の変形例を示す模式図であり、同図においては、遮光物体の座標位置が検出されると、遮光物体の移動方向に応じて発光素子の走査方向をずらして(図中、発光素子群の欄に示した矢印方向への移動)、いわゆる、走査の重み付けを行うことで移動方向と反対側での発光素子の走査を少なくできるようにして移動方向と反対側の走査範囲での無駄な走査を抑止するようになっている。これにより、遮光物体の移動方向と反対側の発光素子が遮光物体の検出に寄与しない場合には走査を行わないようにして走査時間をより限定された範囲に特定することで走査時間をより短縮化することができる。
【0039】
検出された座標位置に関する直近の過去のデータを記憶した座標データに基づいて座標位置を算出できるようにすることで、新たなデータサンプリングによる座標位置の新たな算出を行う手間を簡略化することができる。しかも、算出の際には遮光物体の動き速度に応じて取り込まれる座標データの個数を変化させるので、動き速度に応じた解像度(分解能)を得られるようにして座標位置の算出に必要なサンプリング時間の冗長化を防止できる。
【0040】
遮光物体が検出された座標位置の前後所定数の発光素子を用いて順番に走査し、それ以外の発光素子を間引いて走査するので、解像度(分解能)を低下させることなく座標位置の算出に要する時間を短縮して操作性を向上させることが可能となる。
【0041】
遮光物体の移動方向に順じた方向の発光素子の数を遮光物体の移動方向と反対側のものよりも多くし、及び/又は遮光物体の移動量が小さい場合に移動量が大きい場合に比して発光素子の数を多くしているので、遮光物体の移動に先んじて発光素子による密な走査が行えるとともに、移動方向と反対側、換言すれば、遮光物体が位置しない側では発光素子の間引きを行うことができるので、遮光物体の移動方向での座標検出に対する解像度(分解能)を上げるとともに走査時間を短縮することができ、操作性の向上と解像度の向上とが両立可能となる。
【0042】
全ての発光素子を対象として順番に走査する第1のモードと光ビームが遮断された位置の発光素子を含んで前記全ての発光素子よりも少ない発光素子を対象として順番に走査する第2のモードとを設定し、第1モードで算出された座標位置から遮断位置が変化した場合には、その変化する位置を第1モードではなく、第2モードで算出することができるので、一々、第1モードによる全ての発光素子を対象としたフルストロークでの走査ではなく、ショートストロークによる走査によって遮断位置を割り出すことができ、第1モードを実行する場合に比べて遮断位置の算出時間を短くすることができる。
【0043】
第2モードでの遮断物体の動き速度に応じて発光素子の数を変更できるので、解像度を低下させることなく遮断位置の算出時間を短くすることができ、操作性の向上が可能となる。
【0044】
制御部により、遮断物体の動き速度に対応して発光素子の走査態位を設定することにより、解像度(分解能)を低下させることなく遮断位置の算出時間を短縮させることができ、操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例による表示装置に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示した制御部の作用を説明するためのフローチャートである。
【図3】図2に示したフローチャートで実行される高分解能座標位置検出モードの動作を説明するための模式図である。
【図4】図1に示した制御部で実行される第1,第2モードの動作を説明するための模式図である。
【図5】図4に示したモードの概要を説明するための模式図である。
【図6】図4に示した第1,第2モードを含む制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1に示した制御部で実行される疎密スキャンモードの動作を説明するための模式図である。
【図8】図7に示した疎密スキャンモードを含む制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図7に示した疎密スキャンモードの変形例を説明するための模式図である。
【図10】表示装置の一例であるタッチパネルに用いられる座標位置検知構造の従来例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
10 表示装置の一例であるタッチパネル
11 表示面
12A 発光素子
12B 受光素子
13 制御部

Claims (5)

  1. 水平方向及び垂直方向で所定の間隔を以って配列された発光素子及びこれらに対向する受光素子を用い、各発光素子と受光素子との間に構成される光路が遮光物体により遮断されることにより前記遮光物体の座標位置を検出する方法であって、
    前記遮光物体の動きを検出した直近の過去のN個の座標データを記憶し、前記N個の座標データの内のn個(1≦n≦N)を用いて前記遮光物体の座標位置を算出すると共に、前記遮光物体の動き速度に応じて、前記座標位置の算出に用いる前記座標データの個数nを変更する座標位置検出方法において、
    全ての発光素子を含む第1の範囲内で発光素子を順番に走査して光ビームを出射し、光ビームが遮断された座標位置を算出する第1モードと、光ビームが遮断された位置の発光素子を含む、前記第1の範囲よりも狭い第2の範囲内で発光素子を順番に走査して光ビームを出射し、光ビームが遮断された座標位置を算出する第2モードとを設定し、
    前記第1モードにより座標位置を算出した後、前記遮光物体の連続的な動きに対する座標位置の算出を前記第2モードにより行い、
    前記第2モードにおいて、前記遮光物体の動き方向側を走査する発光素子数を動き方向とは反対側を走査する発光素子数に比して多くすると共に、前記遮光物体の動き速度が小さい場合に比して該動き速度が大きい場合に、前記第2の範囲を広げて前記動き速度に対応した検出を可能にすることを特徴とする座標位置検出方法。
  2. 前記遮光物体の動き速度が速い場合には前記座標位置を算出するのに用いる前記座標データの個数nを少なくし、前記遮光物体の動き速度が遅い場合には前記座標位置を算出するのに用いる前記座標データの個数nを多くすることを特徴とする請求項1記載の座標位置検出方法。
  3. 前記第2モードにおいて、前記遮光物体の検出された座標位置の前後所定数の発光素子のみを順番に走査して前記遮光物体の座標位置を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の座標位置出方法。
  4. 水平方向及び垂直方向で所定の間隔を以って配列された発光素子及びこれらに対向する受光素子を用い、各発光素子と受光素子との間に構成される光路が遮光物体により遮断されることにより前記遮光物体の座標位置を検出する方法であって、
    前記遮光物体の動きを検出した直近の過去のN個の座標データを記憶し、前記N個の座標データの内のn個(1≦n≦N)を用いて前記遮光物体の座標位置を算出すると共に、前記遮光物体の動き速度に応じて、前記座標位置の算出に用いる前記座標データの個数nを変更する座標位置検出方法において、
    全ての発光素子を含む第1の範囲内で発光素子を順番に走査して光ビームを出射し、光ビームが遮断された座標位置を算出する第1モードと、光ビームが遮断された位置の発光素子を含む、前記第1の範囲よりも狭い第2の範囲内で発光素子を順番に走査して光ビームを出射し、光ビームが遮断された座標位置を算出すると共に前記第2の範囲を除く前記第1の範囲内で発光素子を間引いて走査して遮光物体の座標位置を検出する第2モードとを設定し、
    前記第1モードにより座標位置を算出した後、前記遮光物体の連続的な動きに対する座標位置の算出を前記第2モードにより行い、
    前記第2モードにおいて、前記遮光物体の動き方向側を走査する発光素子数を動き方向とは反対側を走査する発光素子数に比して多くすると共に、前記遮光物体の動き速度が小さい場合に比して該動き速度が大きい場合に、前記第2の範囲を広げて前記動き速度に対応した検出を可能にすることを特徴とする座標位置検出方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の座標位置検出方法を用いて前記遮光物体の座標位置を出力する制御部を備え、前記遮光物体の表示面上の座標位置に応じて前記表示面の表示を制御する表示装置であって、
    前記発光素子は、前記表示面の対向する辺部の一方に配列されて赤外線ビームを出射可能な複数の発光素子であり、
    前記受光素子は、前記表示面の対向する辺部の他方に配列されて赤外線ビームを受光可 能な複数の受光素子であり、
    前記制御部は、前記発光素子の走査と前記受光素子の受光に基づいて前記座標位置を出力することを特徴とする表示装置。
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