JP3810452B2 - マグネトロンスパッタ成膜装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、特に半導体や電子機器の製造工程で基板上の微細な穴に十分なステップカバレッジにて成膜を行うのに使用されるマグネトロンスパッタ成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デバイスの高集積化に伴い、半導体や電子機器等の製造工程ではデザインルールの微細化や多層配線化が進んでいる。この様な技術的進展に伴い、高アスペクト比を持つコンタクトホールやスルーホール等に対する金属材料の埋め込みや十分なステップカバレッジの成膜技術が重要視されてきた。このような成膜技術として、スパッタリング法やCVD法が知られているが、CVD法は使用するガスが人間にとって有害なものが多く高価なガス設備や除害設備が必要であり、また成膜可能な金属の種類も限られているという問題が有り、現状ではスパッタリング法により高アスペクト比の穴埋めを行おうという考え方が優勢である。
【0003】
ところで、スパッタリング法により成膜を行なう装置は、真空槽内に基板を配設すると共に、該基板の上方に所定距離を存して、基板上に成膜させたい物質からなるターゲットを配設し、更に該ターゲットの上方に例えば環状に並べた永久磁石等からなる磁界形成手段を備えている。そして、真空槽内に放電ガスを導入すると共に真空槽内を一定の減圧状態に維持し、ターゲット側に負電圧を印加して放電を起こさせ、放電中の電離されたガス分子のイオンを陰極降下で加速しターゲットに入射させる。ところで、プラズマは磁界形成手段によって形成される磁界により電子が補足されターゲット上の所定範囲内に放電が集中し、該所定範囲が高密度のエロージョン領域となる。そしてガス分子のイオンがターゲットに入射するとターゲット表面の原子が叩き出され、その叩き出された原子の一部が下方に配設されている基板上に堆積して薄膜が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上述の従来装置を用いて高アスペクト比を持つコンタクトホールやスルーホールに成膜しようとすると、図5に示すように、ターゲットから斜め方向に叩き出された原子AOがコンタクトホールHの奥深く進まず、コンタクトホールHの開口近傍に堆積し、コンタクトホールHの開口面積が狭められる。このため、基板Bに対して直角方向に叩き出された原子ARもコンタクトホールHの奥深く進むことができず開口近傍への堆積が進み、コンタクトホールHの底の部分には原子がほとんど堆積しないシャドウイング効果が起こり、断線等の不良が発生し易くなる。
【0005】
尚、この様な問題に対して、ターゲットと基板との間に、細長い貫通穴が多数設けられた格子状のフィルタを、貫通穴の両端開口が各々ターゲットと基板とに対向するように配置し、該貫通穴を通過することのできる原子、即ち基板上のコンタクトホールに対して垂直方向に叩き出された原子のみを基板上に入射させるようにしたスパッタ成膜装置(コリメートスパッタ成膜装置)が知られているが、このような装置ではターゲットから叩き出された原子の大部分がフィルタに付着しフィルタの表面に堆積するため、しばらく使用しているとフィルタ上に堆積した薄膜が基板上に剥がれ落ちてダストとなり基板が不良品になるという問題が新たに発生する。また、フィルタの貫通穴開口部にも膜が堆積するため、開口部の開口径が狭まり開口部を通過する原子が減少するので、成膜速度が経時変化するという不具合が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、従来のスパッタリング法による上記の問題を解決し、しかもダストの発生等の問題なしに基板上の高アスペクト比の穴に対し良好なステップカバレッジを実現し得る成膜装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、基板に形成された微細な穴内に配線用金属膜または配線用バリア膜を成膜するマグネトロンスパッタ成膜装置であって、基板の上方に所定距離を存してターゲットが配設されると共に、該ターゲット上のエロージョン領域を所定範囲に絞る磁界形成手段と、磁界形成手段をターゲットに沿って移動させ、エロージョン領域をターゲット上の任意の位置に形成する磁界形成手段移動機構とを備え、基板とターゲットとの距離をLとし、エロージョン領域の直径をDとしたときに、L/Dが1.2以上かつ2.5以下であり、さらに、基板の直径よりも基板とターゲットとの距離Lの方が小さいことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記エロージョン領域の直径が、基板の直径よりも小さいことを特徴とする。また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記L/Dが1.2以上かつ2.5以下であるエロージョン領域を複数有し、これら複数のエロージョン領域が1つのループを形成するように連結されていることを特徴とする。
【0009】
【作用】
ターゲットにおけるエロージョン領域を狭くすれば原子が叩き出される領域が狭くなり、通常のスパッタ圧力より低い圧力(0.2Pa以下)では全体に原子の飛び出し方向を基板に直角な方向にそろえることができる。また、ターゲットと基板との距離を長くすると斜めに叩き出された原子は基板に到達せず、基板に対して直角方向に叩き出された原子のみが開口に到達する。従って、基板とターゲットの距離をLとし、エロージョン領域の外接円の直径をDとすると、L/Dが大きい方が開口に真直に入射する原子の割合が増加する。そして、L/Dが1.2以上の領域では1.2未満の領域に比べて飛躍的に多くの原子がコンタクトホール等の奥深く到達し、L/Dが1.2以上であれば必要性能を満足し得るに十分な成膜ができることが確認された。
【0010】
尚、基板上にコンタクトホール等が散在しているような場合には原子が叩き出されるエロージョン領域を各コンタクトホール等の真上に位置させることが望ましい。そこで、磁界形成手段を移動自在に設け、磁界形成手段移動機構によりエロージョン領域を成膜使用とするコンタクトホールの真上に形成させるようにした。また、このように磁界形成手段を移動させることにより基板上の全域において堆積量を均一にすることができる。
【0011】
【実施例】
図1を参照して、1はマグネトロンスパッタ成膜装置の真空槽であって、放電ガスを真空槽1内に導く導入口11と真空槽1内を所定の負圧にする真空排気口12とが設けられている。また、真空槽1内の底部には適宜の昇降装置21によって昇降される基板ホルダ2が設けられている。該基板ホルダ2内には加熱用のヒータ22が内設され、また、該基板ホルダ2の上面には基板3がセットされている。一方、真空槽1内の天井面にはターゲット電極4を介してターゲット5が固定されている。そして、該ターゲット電極4は直流電源41の負極側に接続され負のバイアスが印加されるように構成されている。また、ターゲット電極4の上方に、磁性体からなるマグネットプレート6をモータ7の回転軸に取り付けて配置し、該プレート6にチップ状の永久磁石を内外二重に並べ永久磁石列61・62を形成した。両永久磁石列61・62は共にターゲット5に対向する端部(図1において下端部)が極性の相違する磁極となり、従って両永久磁石列61・62間に磁束がまたがるように配列されている。両永久磁石列61・62間にまたがる磁束はターゲット電極4及びターゲット5を貫通し、ターゲット5の表面に磁界が形成される。尚、上記モータ7は相互に直角な方向に長手のガイドレール81・82を備えた移動機構8に保持されており、ターゲット5の全域に対応して移動することができる。本実施例の場合、真空槽1内を3×10-2Paに設定し、投入電力を10kWとして、直径0.35μmで深さ0.7μm(アスペクト比2)のコンタクトホールを持つ8インチウエハを基板3とした。そして、基板3とターゲット5との距離Lを140mm・170mm・200mmの3通りに変えて基板3の表面にTi及びTiNのスパッタリングを行ないコンタクトホールの成膜を行なった。尚、上記永久磁石列61・62は図2に示すように配列される、D1 =50mm・D2 =120mm・D3 =160mm(No.1)のものを用いた。該寸法に永久磁石を配列し磁力の調整をするとターゲット5の表面には直径80mmのエロージョン領域が形成される。
【0012】
また、No.2〜No.4として上記永久磁石の配列であるD1 ・D2 ・D3 を変更し磁力調整したものを用い、全て同じ条件でコンタクトホールに成膜した。尚、No.2のエロージョン領域の直径は140mmであり、No.3のエロージョン領域の直径は170mmであり、No.4のエロージョン領域の直径は230mmである。No.1〜No.4の場合の成膜結果を次表に示す。
【0013】
上記表中のボトムカバレッジとは、基板3の表面に形成される膜厚に対する、コンタクトホール底面に堆積する膜厚の比である。一般的に、十分なボトムカバレッジは30〜35%といわれており、本表に示すボトムカバレッジとL/Dとの関係を示す図3から明らかなように、L/Dが略1.2以上であれば実用上十分なボトムカバレッジが得られる。尚、L/Dが略1.2以上であればボトムカバレッジが飛躍的に増加している。
【0014】
ところで、Dは上述のごとくターゲット5の表面に形成されるエロージョン領域の直径を示しており、従って、Dが上記寸法条件を満足すれば、永久磁石列61・62を円形に配列する必要はなく、例えば、図4に示すように、この条件を満たす磁石配列を別個に複数形成しても同様の効果が得られる。但し、その際には放電を安定させるため高密度放電領域が1つのループを形成するように個々の磁石配列を相互にリンクさせる必要がある。また、このように配列したマグネットプレート6を、例えばモータ7で回転されば基板上の全域において実用上十分な成膜が実施できる。
【0015】
尚、上記移動機構8を、互いに直行する方向に長手のガイドレール81・82を有する直交座標形式のもので構成したが、関節式等の他の形式のものを用いてもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上述べてきたごとく、本発明によれば、基板に形成した高アスペクト比のホールに十分なボトムカバレッジで成膜することができるため、配線の断線がない金属膜や信頼性の高いバリヤ膜を形成でき、基板の歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す図
【図2】永久磁石の配列状態を示すII−II断面図
【図3】ボトムカバレッジとL/Dとの関係を示す図
【図4】永久磁石の第2の配列状態を示す図
【図5】従来の不具合を示す基板の部分断面図
【符号の説明】
1 (マグネトロンスパッタ成膜装置の)真空槽
2 基板ホルダ
3 基板
4 ターゲット電極
5 ターゲット
6 マグネットプレート
7 モータ
8 移動機構
41 直流電源
61 永久磁石列
62 永久磁石列
Claims (3)
- 基板に形成された微細な穴内に配線用金属膜または配線用バリア膜を成膜するマグネトロンスパッタ成膜装置であって、基板の上方に所定距離を存してターゲットが配設されると共に、該ターゲット上のエロージョン領域を所定範囲に絞る磁界形成手段と、磁界形成手段をターゲットに沿って移動させ、エロージョン領域をターゲット上の任意の位置に形成する磁界形成手段移動機構とを備え、基板とターゲットとの距離をLとし、エロージョン領域の直径をDとしたときに、L/Dが1.2以上かつ2.5以下であり、さらに、基板の直径よりも基板とターゲットとの距離Lの方が小さいことを特徴とするマグネトロンスパッタ成膜装置。
- 上記エロージョン領域の直径は、基板の直径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のマグネトロンスパッタ成膜装置。
- 上記L/Dが1.2以上かつ2.5以下であるエロージョン領域を複数有し、これら複数のエロージョン領域が1つのループを形成するように連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマグネトロンスパッタ成膜装置。
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JP06438395A JP3810452B2 (ja) | 1995-03-23 | 1995-03-23 | マグネトロンスパッタ成膜装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06438395A JP3810452B2 (ja) | 1995-03-23 | 1995-03-23 | マグネトロンスパッタ成膜装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08264447A JPH08264447A (ja) | 1996-10-11 |
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Family
ID=13256744
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP06438395A Expired - Lifetime JP3810452B2 (ja) | 1995-03-23 | 1995-03-23 | マグネトロンスパッタ成膜装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3810452B2 (ja) |
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US6398929B1 (en) * | 1999-10-08 | 2002-06-04 | Applied Materials, Inc. | Plasma reactor and shields generating self-ionized plasma for sputtering |
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-
1995
- 1995-03-23 JP JP06438395A patent/JP3810452B2/ja not_active Expired - Lifetime
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